JP2007216355A - カップ取付け装置及び該装置にて使用するためのパターン板 - Google Patents

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Abstract

【課題】レンズの外周エッジや二重焦点レンズの小玉の境界部分の視認性を高めることができるカップ取付け装置及び該装置にて使用するパターン板を提供する。
【解決手段】眼鏡レンズLEよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズLEを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズLEを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置において、レンズLEより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板80を備え、パターン板80には、レンズの外周エッジを確認するために、該エッジの内側から外側に広がった領域で、且つエッジの確認が必要な円周方向の領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、拡散照明光によりレンズの外側領域にて観察されるパターンに対して、レンズの内側領域のエッジ付近にて観察されるパターンの連続性にレンズが持つ屈折力によりずれを発生させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、眼鏡レンズの周縁加工時に使用するカップを被加工レンズに取付けるカップ取付け装置(軸打ち機)及び該装置にて使用するためのパターン板に関する。
眼鏡レンズ周縁加工装置により眼鏡レンズを加工する前段階の作業として、軸打ち機と呼ばれるカップ取付け装置により加工治具としてのカップを眼鏡レンズの前側屈折面に取り付ける。この種の装置としては、カップ取付の基準軸とレンズに付された印点等を所定の位置関係にアライメントするために、平行光束により照明されたレンズの像をスクリーン板に投影し、スクリーン板に投影されたレンズ像を観察する投影タイプのものと(特許文献1、特許文献2参照)、眼鏡レンズの下に配置した拡散板を介して拡散照明光でレンズを照明し、拡散照明光で照明されたレンズ像を目視又はカメラで撮像して観察するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。拡散照明光を使用するタイプの装置においては、投影タイプのものに比べて印点等を観察して行うアライメントが、レンズの屈折力やプリズムの影響を受けずに精度良く行える。
特開2002−283202号公報 特開2002−292547号公報 特開2005−66735号公報
しかし、拡散照明光を使用するタイプの装置においては、レンズコバが薄い弱度屈折力のプラスレンズの外周エッジが判別し難いことがある。また、二重焦点レンズの場合には、小玉とその外側屈折面との境界が判別し難いことがある。この対応として、側面方向から強い光によりレンズを照明し、レンズの外周エッジや小玉の境界部分を光らせる方法をとることも考えられるが、視認性の改善は十分でなかった。
本発明は、上記従来装置の問題点に鑑み、レンズの外周エッジや二重焦点レンズの小玉の境界部分の視認性を高めることができるカップ取付け装置及び該装置にて使用するパターン板を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置において、
レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板を備え、
前記パターン板には、レンズの外周エッジを確認するために、レンズの外周エッジの内側から外側にかけて広がった領域で、且つレンズの外周エッジの確認が必要な円周方向の領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、拡散照明光によりレンズの外側領域にて観察されるパターンに対して、レンズの内側領域のエッジ付近にて観察されるパターンの連続性にレンズが持つ屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とする。
(2) (1)のカップ取付装置において、前記パターンは、レンズの外周エッジに対して斜めに横切るライン状のパターンを持つことを特徴とする。
(3) (1)のカップ取付装置において、前記パターン板には、さらに二重焦点レンズの小玉の境界を確認するために、小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成された連続性を持つ第2のパターンであって、小玉の外側領域にて観察されるパターンに対して、小玉の内側領域内の左側境界付近及び右側境界付近にて観察されるパターンの連続性に小玉の屈折力によりずれを発生させる第2のパターンが形成されていることを特徴とする。
(4) 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置において、
レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板を備え、
前記パターン板には、二重焦点レンズの小玉の境界を確認するために、小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、小玉の外側領域にて観察されるパターンに対して、小玉の内側領域内の左側境界付近及び右側境界付近にて観察されるパターンの連続性に小玉の屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とする。
(5) (4)のカップ取付装置において、前記パターンは、小玉の左側境界及び左側境界に対して斜めに横切るライン状のパターンを持つことを特徴とする。
(6) 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置にて使用すために、レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板であり、
レンズの外周エッジを確認するために、レンズの外周エッジの内側から外側にかけて広がった領域で、且つレンズの外周エッジの確認が必要な円周方向の領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、レンズの外側領域にて観察されるパターンに対して、レンズの内側領域のエッジ付近にて観察されるパターンの連続性にレンズが持つ屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とする。
(7) 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置にて使用すために、レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板であり、
二重焦点レンズの小玉の境界を確認するために、小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、小玉の外側領域にて観察されるパターンに対して、小玉の内側領域内の左側境界付近及び右側境界付近にて観察されるパターンの連続性に小玉の屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、レンズの外周エッジ、二重焦点レンズの小玉の境界の視認性を高めることができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る装置の外観斜視図であり、図2は装置の光学系及び制御系の概略構成を示す図である。
装置本体1は側方視が略コの字状をした筐体を持つ。台座1aの上面には、被加工レンズである未加工の眼鏡レンズLEの径より大きな拡散面を持つ拡散板10がリング部材11によって取付けられている。拡散板10上にはレンズLEを支持するための部材として、3個の支持ピン12がカップ取付けの基準軸L1を中心に等間隔で植設されている。拡散板10の下側には白色光を発するLED等の照明光源14が配置されている。拡散板10は乳白色のガラスまたはプラスチック部材からなり、照明光源14側に拡散面が形成されている。レンズLEは、照明光源14と拡散板10とからなる拡散照明光学系の拡散照明光により照明される。レンズLEより上側の基準軸L1上には、撮影レンズ31,CCDカメラ32が配置されている。撮影レンズ31の撮影光軸は基準軸L1と同軸とされている。台座1aの手前側には表示パネル3が設けられている。パネル3はタッチパネル式であり、操作者はパネル3に表示される設定項目を選択操作することにより各種条件を設定することができる。パネル3にはCCDカメラ32により撮像されたレンズ像が表示される。
拡散板10とレンズLEとの間には、レンズ外周エッジ及び二重焦点レンズの小玉境界を確認するためのパターンが形成されたパターン板80が配置されている。パターン板80は拡散板10上に着脱自在に置かれる。また、支持ピン12は10〜20mm程の長さを持ち、レンズLEはパターン板80から離されて支持される。
図3は、パターン板80の構成を説明する図である。パターン板80は厚さ2mm程の透明なアクリルから成り、基準軸L1に略一致される中心点Oを中心に支持ピン12を通す3個の孔82が形成されている。パターン板80の表面には、レンズの外周エッジを確認するための連続性を持つ第1のパターン81と二重焦点レンズの小玉境界を確認するための連続性を持つ第2のパターン91がシルク印刷により形成されている。
パターン81は、レンズLEの外周エッジの内側から外側にかけて広がった領域に形成され、また、レンズLEの外周エッジの確認が必要な円周方向の領域に少なくとも形成されている。本実施形態では、パターン81の領域は中心点Oを中心として半径r1=25mmの境界85と半径r2=45mmの境界86で囲まれた領域87とされている。パターン81の形態は、レンズLEの外周エッジに対して斜めに横切るライン状のパターン(言い換えると、レンズLEの外周エッジの法線方向から傾いて横切るライン状のパターン)として、円弧ラインを等間隔に90本に形成したパターンとしている。図3の例では、1つの円弧ラインが内側境界85上の点81s1を起点として、外側境界86上でα=25°となる終点81s2まで延ばし、且つ半径40mmの円弧を持つラインで描いている。これにより、半径r1=25mmより大きく、半径r2=45mm未満の外径のレンズにおいて、何れの外周エッジについても円弧ラインが約45度前後で横切るようになる。レンズLEの外周エッジを斜めに横切るラインの角度としては、20〜70度の範囲であることが好ましい。
図3のパターン81はレンズLEの円周方向の全領域に形成されているが、これはレンズLEの外周エッジの確認が必要な円周方向の領域に少なくとも形成されていれば良い。すなわち、レンズLEの上側及び下側(レンズを装用したときの上下を言う)については、玉型形状の配置関係によるレンズ径の確認は必ずしも必要無いので、図3上の領域87の上側及び下側のパターン81は省かれていても良い。実用的には、少なくとも中心点Oを中心にして上下幅40mmの領域にパターン81が形成されていれば良い。また、第1のパターン81のみを形成する場合、パターン板80の中心部分までパターン81が形成されていても良いが、中央領域ではレンズに付された印点を観察しやすくするため、中央領域についてはパターン81を省くことが好ましい。
第2のパターン91の領域は、パターン81が形成された境界85の内側領域で、且つ中心点Oよりやや下側半分(図3の例では中心Oより3mm下側)の領域90とされている。パターン板80を拡散板10上に配置するとき、中心点Oよりやや下側半分の領域90が装置本体1に向かって手前側に置かれる。二重焦点レンズをアライメントするときは、その小玉部分が領域90内にほぼ入るようになっている。二重焦点レンズの小玉の境界を確認するために、パターン91は小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成されていればよい。例えば、小玉の上半部が入ればよい。パターン91の形態は、二重焦点レンズの小玉を置いたとき、ほぼ縦方向に延びる左側境界及び右側境界に対して、できるだけ斜めに横切るライン状の連続性を持つパターンとして形成されている。図3の例では、横軸に対して45°及び135°で互いに直交する方向に連続性を持つ直線を配置した格子ラインとしている。各ラインの間隔は等間隔であり、例えば、1mmである。
境界85の内側領域で、中心Oを含み、パターン91の領域90より上側の領域は、レンズ屈折面に施された印点を観察し易いように、パターンの無い透明領域とされている。
なお、パターン板80は、3個の孔82に支持ピン12を通して拡散板10上に着脱自在に配置する構成としたが、拡散板10のレンズLE側の面にパターン81,91を形成し、拡散板10をパターン板80として兼用する構成としても良い。
図1において、カップ取付機構20が持つカップ取付けアーム21は、装置本体1に対して回転軸23を中心に上下動可能でかつ回転可能に保持されている。アーム21の先端の下側に、カップC(レンズ屈折面に取り付けられる加工治具)を装着するための装着部22が配置されている。カップCを取り付け時、操作者は装着部22にカップCの基部を取付け、アーム21を回転させてカップCの中心を基準軸L1上に位置させる。その後、アーム21を下方向に押すことでカップCをレンズLEに取付けることができる(カップ取付機構20の詳細は、例えば特開2002−283202号公報等、周知の機構を使用できる)。25はレンズ押えであり、回転軸26を中心に上下動と回転が可能となっている。
図2において、制御部50は装置本体1に内蔵され、各種回路等を制御する。CCDカメラ32からの画像信号は画像合成回路51に入力され、画像合成回路51は制御部50に接続された表示回路52で生成される文字やマーク等と合成して表示パネル3のディスプレイに表示する。また、制御部50には、表示パネル3のタッチ検知部55、入力されたデータ等を記憶するメモリ56、外部装置とデータの送受信を行うデータ送受信部57等が接続されている。データ送受信部57を介して、眼鏡枠形状測定装置100,眼鏡レンズ周縁加工装置101とのデータの送受信が可能である。
以上のような構成を持つ装置の動作を説明する。まず、レンズLEが単焦点レンズであり、屈折面に印点が施されたレンズにカップCを取り付ける場合を説明する。
眼鏡枠形状測定装置100で測定された玉型データは、パネル3に表示される所定のデータ転送スイッチを押すことにより、装置本体1に入力されてメモリ56に記憶される。玉型データが入力されると、パネル3の画面上(図2参照)に玉型形状データに基づく玉型図形60が表示され、レイアウトデータ及び加工条件を入力可能になる。操作者は、パネル3のスイッチ部3bに表示されるスイッチにより、レンズLEの左右の区別、装用者のPD値、FPD値、光学中心の高さ等のレイアウトデータ、レンズの材質、フレームの材質等の加工条件を入力する。また、単焦点レンズの場合は、レイアウトモードを単焦点モード(二重焦点以外のモード)を選択する。
単焦点モードを選択すると、パネル3のアライメント表示部3aの画面上には玉型形状図形60の他、レンズLEに取り付けられるカップCの外形形状を表す円形カップ図形61、レンズ屈折面に施された印点をアライメントするためのアライメントマーク63が表示される。円形カップ図形61は、カップ取付け中心である基準軸L1に対応する画面上の位置を中心にして表示される。レンズの光学中心にカップCを取り付ける光心モードが選択された場合、円形カップ図形61はアライメントマーク63の中心位置62に表示される。
必要なデータの入力ができたら、操作者はレンズLEを拡散板10上の支持ピン12に載せ、レンズLEを移動してカップ取付けのためのアライメントを行う。レンズLEの屈折面には予めレンズメータを使用して印点を施しておく。レンズLEは拡散照明光により照明され、CCDカメラ32によりレンズLEの全体像が撮像される。パネル3の画面上には、CCDカメラ32により撮像されたレンズ像LEPが玉型形状図形60等の表示と合成されて映し出される(図2参照)。操作者はパネル3を見ながら3つの印点の内、光学中心に施された印点が中心位置62に合うようにアライメントする。また、3つの印点がマーク63内に入って水平になるようにして軸角度のアライメントを行う。アライメント完了後、パネル3の画面を観察してレンズ像LEPのエッジが玉型形状図形60を満足しているか否か(レンズ径が足りているか否か)を確認する。
ここで、レンズLEがマイナスレンズの場合には、従来と同じように、パターン81が無くても、レンズLEの外側領域の輝度に対して、レンズLEの内側領域では暗く見えるため(カメラ32に入射する散乱照明光の光量が減少するため)、レンズLEのエッジを認識できる。コバの厚みが厚い場合(2mm以上ある場合)も、コバで反射されてカメラ32に入射する散乱照明光が減少し、レンズLEの外側領域に対してレンズLEの内側領域が暗く見えるため、レンズLEのエッジを認識できる。レンズLEがプラスレンズで、且つ屈折力が強い場合には(+1.0D以上)、レンズLEの外側領域の輝度に対して、レンズLEの内側領域が明るく見えるため(カメラ32に入射する散乱照明光の光量が増加するため)、レンズLEのエッジを認識できる。
ところが、レンズコバが薄い弱度屈折力(例えば、+1.0D未満)のプラスレンズの場合には、レンズLEの外側領域と内側領域とに輝度の差が生じ難いので、明るさの違いのみではレンズLEのエッジが認識し難い。そこで、拡散板10とレンズLEとの間にパターン81を持つスケール板80を配置し、これを通して散乱照明光が透過したレンズLEの像を観察する。
図4は、その観察像の例である。図4において、レンズLEのエッジより外側に位置するパターン像81aは、レンズLEの屈折力の影響を受けないので、パターン板80に形成されたパターン81の円弧ラインとしてそのまま観察される。一方、レンズLEの内側に位置するパターン81の円弧ラインは、レンズLEの屈折力の影響を受けるため、元のパターン81の円弧ラインから連続性がずれた円弧ラインのパターン像81bとして観察される。したがって、レンズLEのエッジではパターン像81aとパターン像81bとの間の連続性にずれが生じて分離して見え、これがレンズLEの全周でほぼ同じように観察される。これにより、レンズLEの外周エッジを容易に判断できる。そして、図4の例では、レンズ像LEPの領域に対して玉型形状図形60が内側に位置しているので、玉型形状に対してレンズLEの径が足りていると判断される。
レンズLEの径に問題なければ、カップ取付機構20を操作してカップCをレンズLEの屈折面に固定する。パネル3を使用して入力された玉型データ,レイアウトデータ等のデータは、所定のスイッチを押すことにより眼鏡レンズ周縁加工装置101側に転送され、加工時に利用される。
次に、レンズLEが二重焦点レンズの場合について説明する。レイアウトモードについては、二重焦点モードを選択する。前述と同様に、玉型データを入力した後、レンズLEの左右の区別、FPD値、近用PD値、小玉上境界線の高さ位置等のレイアウトデータを入力する。二重焦点モードの場合、図5のように、パネル3の表示部3aには、円形カップ図形61,玉型形状図形60の他、レイアウトデータに基づいて小玉形状を模したマーク67が表示される。図5はレンズLEが右眼用の例であり、小玉形状を模したマーク67はカップ取付中心62(基準軸L1に対応した位置)に対して右側に表示される。マーク67の上境界中心はカップ取り付け中心62に対してレイアウトデータに基づく位置関係にて表示される。二重焦点モードでは、レンズLEの小玉がマーク67と所定の関係になるようにアライメントする。この例では、レンズLEの小玉の上境界をマーク67の上境界中心に一致させ、またレンズLEの小玉の左側境界及び右側境界が、小玉マーク67の左右に対して均等に位置するようにアライメントする。
ここで、拡散照明光により照明されたレンズLEの小玉部分の加入度が強くない場合、小玉領域内と小玉領域外の輝度差が少なく、その境界が識別し難い。この場合、拡散板10とレンズLEとの間にパターン91を持つスケール板80が配置された状態で、散乱照明光が透過したレンズLEの小玉を観察する。図6は、その観察像の例であり、パターン91の領域付近を拡大して図示している。
図6において、小玉の領域内で観察される格子パターン91bは、小玉が持つ加入度の屈折力の影響を受け、小玉の外側領域(遠用領域)に観察される格子パターン像91aに対して、パターンの連続性にずれが生じて観察される。さらに、小玉領域内で観察される格子パターン像91bの格子ラインの間隔は、小玉の外側領域で観察される格子パターン像91aの格子ラインの間隔に対して拡大されて観察される。これにより、小玉の位置を認識できる共に、アライメント時に着目する小玉の左右の境界部分92が認識できる。小玉の上境界部分93は遠用領域に対して段差となっており、拡散照明によって輝度が暗くなる。このため、ある程度は境界部分93を認識できる。さらに、格子パターン像91aと格子パターン91bとの間の連続性にずれが生じていることにより、上境界部分93についても容易に認識できる。
なお、パターン91の格子ラインは、小玉の左斜め下及び右斜め下の境界部分に対して接線方向及び法線方向に近い形で横切るため、パターン像91aとパターン像91bとのずれだけでは厳密な境界が認識できないが、アライメント時の着目部分でないため、その影響は少ない。
二重焦点レンズにおいても、小玉マーク67に対してレンズLEの小玉部分を所定の関係にアライメントできたら、パターン81によりレンズ外周エッジを確認する。玉型形状に対してレンズLEの径が足りていると判断されれば、カップ取付機構20を操作してカップCをレンズLEの屈折面に固定する。
図7は、レンズ外周エッジを確認するためのパターンにおける変容例の説明図である。図3のパターン81においては、レンズLEの外周エッジを斜めに横切るラインを円弧ラインとしたが、図7(a)のパターン121では直線としている。図7(b)は、プラスレンズを置いたときにパネル3の画面3aに表示される観察像の例である。この例においても、レンズLEの内側領域のパターン像121bは、レンズLEのエッジより外側に位置するパターン像121aに対して、レンズLEの屈折力によりパターンの連続性にずれが生じて観察される。これにより、レンズLEの外周エッジを容易に認識でき、玉型形状図形60と比較することにより、レンズ径が足りているか否かを確認できる。
図8は、レンズ外周エッジを確認するためのパターンにおける、さらなる変容例の説明図である。図8(a)のパターンは、図3の第2のパターン91と同じように、横軸に対して45°及び135°で互いに直交する方向に規則的にラインを配置した格子パターン131とした例である。図8(b)はプラスレンズを置いたときにパネル3の画面3aに表示される観察像の例であり、レンズLEの内側領域のパターン像131bは、レンズLEのエッジより外側に位置するパターン像131aに対して、レンズLEの屈折力によりパターンの連続性にずれが生じて観察される。このパターンの場合、格子ラインがレンズの外周エッジに対して接する方向及び法線方向となる45度方向,135度方向,225度方向及び315度方向の近辺においては、レンズの外周エッジの認識がやや不明瞭になるものの、玉型形状図形60がレンズの外周エッジに近接していなければ、レンズ径が足りているか否かの判断は可能である。
なお、図3、図7及び図8の何れにおいても、通常、図上の90度近辺及び270度近辺は玉型形状図形60が位置することは無いので、この近辺のパターンは部分的に欠落していても良い。
図9は、二重焦点レンズの小玉境界を確認するためのパターンにおける変容例の説明図である。図9(a)の領域90内のパターン151は、横軸(左右方向)に対して60度に傾いた直線ラインで形成されている。各ラインの間隔は図3のパターン91より広く、1.5mmであり、ラインの太ささも図3のパターン91より太くしている。図9(b)は、二重焦点レンズを置いたときの観察像の例である。パターン151は小玉の左側及び右側の境界152に対して斜めに横切る形となっている(小玉のカーブの法線方向から傾いている)。このため、小玉の外側領域(遠用領域)に観察されるパターン151aに対して、小玉の左側境界及び右側境界の付近で観察されるパターン151bは、小玉が持つ加入度の屈折力により、パターンの連続性にずれが生じている。これにより、小玉の左側境界及び右側境界を認識できる。このパターン151の場合、図3のパターン91に対して、見た目の煩わしさは少なく、パターン151aとパターン151bのずれを認識しやすい。
図10は、二重焦点レンズの小玉境界を確認するためのパターンにおける、さらなる変容例の説明図である。領域90内の左側半分のパターン161は、横軸(左右方向)に対して45度傾いた直線ラインで形成されている。右側半分のパターン162は横軸(左右方向)に対して135度傾いた直線ラインで形成されている。観察像の例は略すが、このパターン161及び162においても、小玉の左側及び右側の境界に対して斜めに横切る形となるため、上記と同様に小玉の境界を認識し易くなる。
以上、レンズ外周エッジを確認するためのパターン81については、レンズLEの外側領域で観察されるパターンに対して、レンズLEの内側領域を通過して観察されるパターンの連続性にレンズLEの屈折力によりずれを生じさせるパターンであれば、他のパターンであっても良い。二重焦点レンズの小玉境界を確認するためのパターン91についても、小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、小玉の外側領域にて観察されるパターンに対して、小玉の内側領域内の左側境界付近及び右側境界付近にて観察されるパターンの連続性に小玉の屈折力によりずれを発生させるパターンでれば、他のパターンであっても良い。各パターンのラインの太さや間隔を変えても良い。あるいは、各パターンのラインを波線としたり、多数のドットをライン状に配置して視覚的に連続したパターンとしたものも含まれる。
また、上記においては、レンズ外周エッジを確認するためのパターン81と二重焦点レンズの小玉境界を確認するためのパターン91を一つのパターン板80に形成するものとしたが、それぞれ別に形成したパターン板を用意しても良い。二重焦点レンズでないレンズにカップを固定する場合は、レンズ外周エッジを確認するためのパターンが形成されたパターン板を使用する。二重焦点レンズにカップを固定する場合は、二重焦点レンズの小玉境界を確認するためのパターンが形成されたパターン板と交換して使用すればよい。
また、レンズLEと玉型形状を観察する手段としては、カメラ32を用いることなく、直接目視する方式でも良い。この方式において、レンズの観察像と重ねて玉型形状図形60、アライメント用のマーク63、小玉形状を模したマーク67等を表示する場合は、特開2005−66735号公報等にあるように、観察光路に配置したハーフミラーを利用してディスプレイの表示と光学的に合成すれば良い。
本発明に係るカップ取付け装置の外観斜視図である。 装置の光学系および制御系の概略構成を示す図である。 本発明に係るパターン板を説明する図である。 単焦点レンズの観察像の例を説明する図である。 二重焦点レンズのレイアウトを説明する図である。 二重焦点レンズの小玉部分の観察像を説明する図である。 レンズ外周を観察するパターンの変容例を説明する図である。 レンズ外周を観察するパターンのさらなる変容例を説明する図である。 二重焦点レンズの小玉部分の観察するパターンの変容例を説明する図である。 二重焦点レンズの小玉部分を観察するパターンのさらなる変容例を説明する図である。
符号の説明
1 装置本体
3 パネル
10 拡散板
12 支持ピン
14 照明光源
32 CCDカメラ
50 制御部
80 パターン板



Claims (7)

  1. 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置において、
    レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板を備え、
    前記パターン板には、レンズの外周エッジを確認するために、レンズの外周エッジの内側から外側にかけて広がった領域で、且つレンズの外周エッジの確認が必要な円周方向の領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、拡散照明光によりレンズの外側領域にて観察されるパターンに対して、レンズの内側領域のエッジ付近にて観察されるパターンの連続性にレンズが持つ屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とするカップ取付装置。
  2. 請求項1のカップ取付装置において、前記パターンは、レンズの外周エッジに対して斜めに横切るライン状のパターンを持つことを特徴とするカップ取付装置。
  3. 請求項1のカップ取付装置において、前記パターン板には、さらに二重焦点レンズの小玉の境界を確認するために、小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成された連続性を持つ第2のパターンであって、小玉の外側領域にて観察されるパターンに対して、小玉の内側領域内の左側境界付近及び右側境界付近にて観察されるパターンの連続性に小玉の屈折力によりずれを発生させる第2のパターンが形成されていることを特徴とするカップ取付装置。
  4. 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置において、
    レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板を備え、
    前記パターン板には、二重焦点レンズの小玉の境界を確認するために、小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、小玉の外側領域にて観察されるパターンに対して、小玉の内側領域内の左側境界付近及び右側境界付近にて観察されるパターンの連続性に小玉の屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とするカップ取付装置。
  5. 請求項4のカップ取付装置において、前記パターンは、小玉の左側境界及び左側境界に対して斜めに横切るライン状のパターンを持つことを特徴とするカップ取付装置。
  6. 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置にて使用すために、レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板であり、
    レンズの外周エッジを確認するために、レンズの外周エッジの内側から外側にかけて広がった領域で、且つレンズの外周エッジの確認が必要な円周方向の領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、レンズの外側領域にて観察されるパターンに対して、レンズの内側領域のエッジ付近にて観察されるパターンの連続性にレンズが持つ屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とするパターン板。
  7. 眼鏡レンズよリ大きな径の拡散照明光により照明されたレンズを観察し、カップ取り付けの基準軸に対してレンズを所定の位置関係にアライメントしてカップを取り付けるカップ取付装置にて使用すために、レンズより下方の拡散照明光の光路中に配置されるパターン板であり、
    二重焦点レンズの小玉の境界を確認するために、小玉の左側境界及び右側境界がそれぞれ位置する内側から外側にかけて広がった領域に少なくとも形成された連続性を持つパターンであって、小玉の外側領域にて観察されるパターンに対して、小玉の内側領域内の左側境界付近及び右側境界付近にて観察されるパターンの連続性に小玉の屈折力によりずれを発生させるパターンが形成されていることを特徴とするパターン板。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010094793A (ja) * 2008-10-20 2010-04-30 Hitachi Cable Ltd 窒化物半導体基板及び窒化物半導体基板の製造方法
EP3591334A1 (en) 2018-07-02 2020-01-08 Nidek Co., Ltd. Eyeglasses measurement system, eyeglasses measurement method and eyeglasses measurement program

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