<概要>
以下、典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。なお、本開示では、カップ取付け装置1に向かって、奥行き方向(前後方向)をZ方向、奥行き方向に垂直な平面上の水平方向(左右方向)をX方向、奥行き方向に垂直な平面上の鉛直方向(上下方向)をY方向として説明する。また、本実施例における略水平状態とは、完全な水平状態を含む。また、本実施例における略平行状態とは、完全な平行状態を含む。また、本実施例における略同一とは、完全に同一な状態を含む。
例えば、本実施形態におけるレンズ測定装置(例えば、カップ取付け装置1)は、レンズの光学特性を測定する。例えば、レンズ測定装置としては、レンズを測定する測定光学系を有し、レンズを測定できるものであればよい。例えば、レンズ測定装置としては、レンズメータ、カップ取付け装置、等であってもよい。
例えば、本実施形態におけるレンズ測定装置は、第1光源(例えば、第1光源41a)、第2光源(例えば、第2光源41b)、指標板(例えば、指標板44)、第1撮像素子(例えば、撮像素子48)、第2撮像素子(例えば、撮像素子48)、取得手段(例えば、制御部60)、等を備える。もちろん、レンズ測定装置としては、上記構成に限定されない。
例えば、第1光源は、第1の波長の光束をレンズに照射する。例えば、第2光源は、第1の波長とは異なる第2の波長の光束をレンズに照射する。例えば、第1光源と第2光源は、別途それぞれ設けられる構成であってもよい。また、例えば、第1光源は、第2光源と兼用されてもよい。この場合、例えば、照射制御手段を備えるようにしてもよい。なお、第2光源において、第1の波長とは異なる第2の波長の光束とは、少なくとも波長のピークと、波長帯域と、の少なくともいずれかが異なる波長の光束であればよい。例えば、照射制御手段は、第1光源による第1の波長の光束の照射と、第2光源による第2の波長の光束の照射と、を切り換える。例えば、第1光源と第2光源とが兼用され、兼用された光源から第1の波長の光束と第2の波長の光束とが切り換えられて照射されることによって、1つの光源の切り換えによって、レンズの光学特性及びレンズ情報を取得することができる。これによって、より容易な構成でレンズの光学特性及びレンズ情報を精度よく取得することができる。また、レンズの光学特性及びレンズ情報の取得に必要な部材を少なくすることができるため、装置の小型化に繋がる。
例えば、指標板は、第1の波長の光束及び第2の波長の光束を通過させる透光部(例えば、透光部44a)と、透光部とは異なる領域を遮光する遮光部(例えば、遮光部44b)であって、第1の波長の光束を遮光し、第2の波長の光束を透過する遮光部と、を有する。
なお、例えば、透光部は、第1の波長の光束及び第2の波長の光束の少なくとも一部の光束が遮光される構成であってもよい。すなわち、例えば、透光部は、第1の波長の光束及び第2の波長の光束を完全に透過させる構成に限定されない。この場合、例えば、透光部としては、透光部が第1の波長の光束を通過させる光束の量を、遮光部が第1の波長の光束を通過させる光束の量よりも多くした構成であってもよい。また、この場合、例えば、透光部としては、透光部が第2の波長の光束を通過させる光束の量を、遮光部が第2の波長の光束を通過させる光束の量よりも少なくした構成であってもよい。
なお、例えば、遮光部は、第2の波長の光束の少なくとも一部を遮光するようにしてもよい。この場合、例えば、遮光部は、第1の波長の光束を遮光する量よりも、第2の波長の光束を遮光する量が少ない遮光部であってもよい。なお、例えば、遮光部は、第1の波長の光束をより多く遮光することができる構成であることが好ましい。例えば、遮光部は、第1の波長の光束を完全に遮光することができる構成であることがより好ましい。
すなわち、例えば、透光部は、第1の波長の光束及び第2の波長の光束を遮光部よりも多く通過させる構成であってもよい。また、例えば、遮光部は、第1の波長の光束よりも、第2の波長の光束をより多く通過させる構成であってもよい。
例えば、透光部及び遮光部の少なくともいずれかは、指標板のベース部材にコーティング処理によって薄膜を形成することによって、形成されるようにしてもよい。例えば、コーティング処理としては、蒸着、浸漬、塗装等の手法を用いることができる。例えば、指標板における透光部と遮光部がコーティングによって形成されていることによって、指標板上に遮光部と透光部とを容易に設けることができる。すなわち、透光部と遮光部とを備える指標板を容易に製造することができる。
また、例えば、透光部及び遮光部の少なくともいずれかは、各種の印刷(例えば、シルク印刷等)を行うことによって、指標板のベース部材に形成されるようにしてもよい。また、例えば、本実施例においては、指標板のベース部材に貫通穴を開けることによって、透光部及び遮光部が形成される構成であってもよい。この場合、指標板のベース部材として、例えば、第1の波長の光束を遮光し、第2の波長の光束を通過する部材を用い、指標板のベース部材に貫通穴を開ける。このようにすれば、第1光源を照射した際には、第1の波長の光束が貫通穴のみを通過するため、レンズの指標パターン像を取得することができる。また、第2光源を照射した際には、第2の波長の光束が指標板のベース部材と貫通穴のどちらも通過するため、レンズ像を取得することができる。
例えば、透光部はパターン状に形成されている。例えば、パターンとしては、透光部がグリッド状のパターンで形成されていてもよい。また、例えば、パターンとしては、透光部が、非等間隔に形成されていてもよいし、放射状に形成されていてもよい。
例えば、第1撮像素子は、レンズ及び前記指標板を経由した第1の波長の光束による指標パターン像を撮像する。例えば、第2撮像素子は、レンズ及び指標板を経由した第2の波長の光束によるレンズ像を撮像する。例えば、第1撮像素子は、第2撮像素子と兼用されてもよい。また、例えば、第1撮像素子と第2撮像素子は、別途それぞれ設けられる構成であってもよい。
例えば、取得手段は、第1撮像素子によって撮像された指標パターン像に基づいてレンズの光学特性を取得し、第2撮像素子によって撮像されたレンズ像に基づいて光学特性とは異なるレンズ情報を取得する。
例えば、レンズの光学特性は、球面度数S、柱面度数C、乱視軸角度A、プリズム量Δ等であってもよい。例えば、レンズの光学特性とは異なるレンズ情報は、レンズの外形情報、レンズの小玉形状情報、レンズのプリントマーク情報、レンズの隠しマーク情報、レンズに付された印点情報、レンズに開けた穴の形状情報、レンズに開けた穴の位置情報等であってもよい。
例えば、レンズ測定装置は、第1の波長の光束及び第2の波長の光束を通過させる透光部と、透光部とは異なる領域を遮光する遮光部であって、第1の波長の光束を遮光し、第2の波長の光束を透過する遮光部と、を有する指標板を用いた。これによって、容易な構成で、レンズの光学特性及びレンズ情報を精度よく取得することができる。
<実施例>
本開示の実施例について図面を用いて以下に説明する。図1はカップ取付け装置1の外観略図である。例えば、カップ取付け装置1としては、レンズを測定する測定光学系を有し、レンズを測定できるものであればよい。例えば、カップ取付け装置1としては、測定光束をレンズに投光し、レンズ及び指標板を通過した測定光束を撮像素子で撮像することによって、レンズを測定する測定光学系を備えるレンズメータであってもよい。また、例えば、測定光束をレンズに投光し、レンズ及び指標板を通過した測定光束をスクリーンに投影させ、スクリーンに投影された測定光束を撮像素子で撮像することによって、レンズ測定結果を取得し、レンズの加工を行うためのカップの取付け位置を決定するカップ取付け装置であってもよい。なお、本実施例においては、レンズ測定装置として、レンズを測定してカップを取付けるためのカップ取付け装置を例に挙げて説明する。
例えば、カップ取付け装置1は、ディスプレイ(モニタ)2、入力用スイッチ3、レンズ支持機構10、眼鏡フレーム形状測定ユニット20、カップ取付け機構30等を備える。なお、本実施例におけるカップ取付け装置1の構成はこれに限定されない。
例えば、ディスプレイ2には、LCD(Liquid Crystal Display)が用いられる。なお、本実施例において、ディスプレイ2は、LCDを用いる構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、ディスプレイ2は、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイを用いる構成であってもよい。
例えば、ディスプレイ2はタッチパネルである。すなわち、本実施例においては、ディスプレイ2が操作部(コントローラ)として機能する。もちろん、ディスプレイ2は、タッチパネル式でなくともよい。また、例えば、ディスプレイ2は、複数のディスプレイを併用してもよい。
例えば、ディスプレイ2は、入力された操作指示に応じた信号を、後述する制御部60(図7参照)に出力する。もちろん、ディスプレイ2と操作部は別に設けられた構成でもよい。例えば、操作部としては、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末等の少なくともいずれかを用いる構成が挙げられる。
例えば、ディスプレイ2には、各種の情報が表示される。例えば、各種の情報とは、レンズの光学特性(例えば、球面度数S、柱面度数C、乱視軸角度A、プリズム量Δ等)、光学特性とは異なるレンズ情報(例えば、レンズの外形情報、レンズの小玉形状情報、レンズのプリントマーク情報、レンズの隠しマーク情報、レンズに付された印点情報、レンズに開けた穴の形状情報、レンズに開けた穴の位置情報等)、レンズに固定するカップの外形形状等である。
例えば、入力用スイッチ3は、カップ取付け装置1が各種の処理を実行するための信号(例えば、測定モードの切り換え、レンズへのカップの固定、レンズの加工条件等)を入力する際に使用する。例えば、本実施例においては、入力用スイッチ3がディスプレイ2の画面上に電子的に表示される。すなわち、例えば、入力用スイッチ3は、ディスプレイ2の画面をタッチすることによって操作できる。なお、入力用スイッチ3の構成については本実施例に限定されない。例えば、入力用スイッチ3は、カップ取付け装置1の本体カバー4やディスプレイカバー5等に設置されていてもよい。
例えば、レンズ支持機構10は、レンズの凸面を上方向にして、レンズを載置するためのものである。例えば、眼鏡フレーム形状測定ユニット20は、眼鏡フレームの形状をトレースする際に用いる。また、例えば、眼鏡フレーム形状測定ユニット20を用いることによって、レンズを眼鏡フレームに枠入れするための玉型形状等を得ることができる。例えば、カップ取付け機構30は、カップをレンズの前面に固定(軸打ち)するためのものである。なお、本実施例では、レンズに対するカップの固定位置をレンズの前面としたがこれに限定されない。例えば、カップの固定位置は、レンズの後面であってもよい。
なお、レンズ支持機構10及びカップ取付け機構30の構成については、後で詳しく述べる。眼鏡フレーム形状測定ユニット20の構成と、眼鏡フレーム形状測定ユニット20を用いた眼鏡フレーム形状のトレース方法については、周知の技術であるため、詳しくは特開2015-007536号公報を参照されたい。
図2はレンズ支持機構10の概略構成図である。図2(a)はレンズ支持機構10の一例を示す斜視図である。図2(b)はレンズ支持機構10の変容例を示す図である。例えば、レンズ支持機構10は、円筒ベース11、リング部材12、保護カバー13、支持ピン14等を備える。また、例えば、レンズ支持機構10は、その内部に、後述する測定光学系40の指標板44や再帰性反射部材45等(図4参照)を備える。なお、本実施例におけるレンズ支持機構10の構成はこれに限定されない。
例えば、円筒ベース11の内部には、指標板44(図5参照)や再帰性反射部材45(図6参照)等が収納されている。例えば、円筒ベース11の上部には、リング部材12に取付けられた保護カバー13が設置されている。なお、本実施例においては、保護カバー13と、後述する指標板44と、が兼用されてもよい。例えば、支持ピン14は、レンズの後面に当接することによって、レンズを保持する。例えば、支持ピン14は、後述する指標板44の上面に固定されている。例えば、支持ピン14は3本で構成される。例えば、それぞれの支持ピン14は、測定光学系40(図4参照)の光軸L1に対して等距離かつ等角度(120度)となるように配置されている。
なお、本実施例では、支持ピン14を用いてレンズLEを保持する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、レンズLEは、保護カバー13上に載置する構成であってもよい。この場合には、保護カバー13と指標板44とを所定の距離だけ離し、後述する透光部44aのパターンに形状や大きさが異なる基準指標を形成した構成であることが好ましい。すなわち、レンズLEと指標板44との間が所定の距離だけ離れていることが好ましい。また、本実施例では、支持ピン14の本数を3本としたがこれに限定されない。支持ピン14は、レンズLEを保持できるのであれば、何本で構成されていてもよい。
また、本実施例では、それぞれの支持ピン14を測定光学系40の光軸L1に対して等距離かつ等角度で配置したがこれに限定されない。測定光学系40の光軸L1から支持ピン14までの距離及び角度は、それぞれ異なっていてもよい。すなわち、それぞれの支持ピン14毎に、検者が任意の距離や角度を設定する構成としてもよい。この場合、例えば、支持ピン14はレンズLEの中心付近を保持する構成でもよいし、レンズLEの外周を保持する構成でもよい。
また、本実施例では、支持ピン14を固定に配置する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、支持ピン14は、移動する機構であってもよい。すなわち、例えば、図2(b)のように、円筒ベース11の外周部に回転軸15及びアーム16を設けて、アーム16の先端に支持ピン14を取付ける構成でもよい。この場合には、例えば、カップ取付け装置1に回転軸15を回転させるための図示なきレバー等を設けておく。例えば、検者が図示なきレバーを操作することによって、回転軸15が回転し、回転軸15に連動してアーム16が回転する。これによって、アーム16が実線で示す退避位置から点線で示す支持位置に移動するため、支持ピン14の配置位置を移動させることができる。また、支持ピン14の配置位置を移動させることによって、測定光学系40(図4参照)の光軸L1から支持ピン14までの距離を調節することができ、支持ピン14が支持することが可能な領域の大きさを変更することができる。なお、上記では検者が図示なきレバーを手動で操作することによって支持ピン14が移動する構成としたがこれに限定されない。例えば、支持ピン14は、モータ等の回転を伝達する伝達機構を用いることによって、自動的に移動する構成であってもよい。
図3はカップ取付け機構30の概略構成図である。例えば、カップ取付け機構30は、装着部31、アーム32、アーム保持ベース33、X方向移動機構35、Y方向移動機構36、Z方向移動機構37等を備える。例えば、装着部31は、アーム32に取付けられている。例えば、装着部31は、カップCuに形成された凹凸部Cuaに嵌合する凹凸部31aを備える。例えば、検者は、装着部31が有する凹凸部31aと、カップCuに形成された凹凸部Cuaと、が一致するように、装着部31とカップCuを当接させる。これによって、装着部31は、カップCuをカップ取付け装置1の接地面に対して略水平な状態に保持することができる。
例えば、アーム32は、装着部31の水平方向における回転角度を可変に保持するための図示なき回転伝達機構を備える。例えば、アーム32は、アーム保持ベース33に取付けられている。例えば、アーム保持ベース33は、モータ34を備える。例えば、モータ34の回転は、アーム32に備えられた図示なき回転伝達機構を介して、装着部31へと伝達される。すなわち、例えば、モータ34が回転することによって、装着部31がカップCuの取付け中心軸S1の軸回りに回転する。これによって、装着部31に取付けられるカップCuの水平方向における回転角度を変更することが可能である。
例えば、X方向移動機構35は、カップ取付け装置1の左右方向(X方向)に移動する。例えば、X方向移動機構35の上部には、Y方向移動機構36が設置される。例えば、Y方向移動機構36は、カップ取付け装置1の上下方向(Y方向)に移動する。例えば、Y方向移動機構36の上部には、Z方向移動機構37が設置される。例えば、Z方向移動機構37は、カップ取付け装置1の前後方向(Z方向)に移動する。例えば、Z方向移動機構37は、アーム32と、アーム保持ベース33と、アーム保持ベース33が備えるモータ34と、を保持する。例えば、本実施例においては、X方向移動機構35が移動されることによって、Y方向移動機構36、Z方向移動機構37、アーム32等が、カップ取付け装置1に対して左右方向に移動する。また、例えば、Z方向移動機構37が移動されることによって、アーム32等がカップ取付け装置1に対して前後方向に移動する。これによって、アーム32に保持された装着部31が、レンズ支持機構10の上部まで移動する。さらに、例えば、Y方向移動機構36を移動させることによって、Z方向移動機構37及びアーム32等が、カップ取付け装置1に対して上下方向に移動する。これによって、装着部31に当接されたカップCuは、支持ピン14上に載置されたレンズLEの前面に軸打ちされる。
図4は、カップ取付け装置1における測定光学系40の概略構成図である。例えば、本実施例におけるカップ取付け装置1は、少なくともレンズLEの光学特性を検出するための測定光学系と、光学特性とは異なるレンズ情報(例えば、レンズの外形情報、レンズの小玉形状情報、レンズのプリントマーク情報、レンズの隠しマーク情報、レンズに付された印点情報、レンズに開けた穴の形状情報、レンズに開けた穴の位置情報等)を得るための測定光学系と、を共有している。なお、レンズLEの光学特性を検出するための測定光学系と、光学特性とは異なるレンズ情報を得るための測定光学系とは、それぞれ別に設けられた構成であってもよい。
例えば、本実施例における測定光学系40は、光源41、ハーフミラー49、ハーフミラー42、コンデンサレンズ43、指標板44、再帰性反射部材45、絞り46、撮像レンズ47、撮像素子48等を備える。なお、本実施例における測定光学系40の構成はこれに限定されない。本実施例における測定光学系は、少なくとも、光源と、レンズと、指標板と、撮像素子と、を備えていればよい。
例えば、絞り46は、コンデンサレンズ43の焦点位置に配置される。例えば、絞り46は、光源41(すなわち、後述する第1光源41a及び第2光源41b)と共役な位置関係である。例えば、撮像素子48は、CCD(Charge Coupled Device)で構成されている。例えば、撮像素子48は、後述する第1光源41aから照射された光束と、後述する第2光源41bから照射された光束と、を撮像する。なお、本実施例においては、1つの撮像素子によって、第1光源41aから照射された光束と、第2光源41bから照射された光束と、を撮像する構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、撮像素子は、それぞれの光束に対して別途それぞれ設けられていてもよい。すなわち、第1光源41aから照射された光束を撮像する撮像素子と、第2光源41bから照射された光束を撮像する撮像素子と、の2つの撮像素子を備えた構成であってもよい。
<光源>
例えば、光源41は、第1光源41aと第2光源41bの2つからなる。例えば、第1光源41aは、光軸L1上に配置される。例えば、第1光源41aから出射された光束は、ハーフミラー49を通過してレンズLEに向かう。また、例えば、第2光源41bは、光軸L2上に配置される。例えば、第2光源41bから出射された光束は、ハーフミラー49に反射されることによって、光軸L1に一致され、レンズLEに向かう。
例えば、本実施例においては、第1光源41aが光軸L1上に固定配置され、第2光源41bが光軸L2上に固定配置される。例えば、第1光源41aは、後述する指標板44において、透光部44aを通過し、遮光部44bに遮光される第1の波長(例えば、波長のピークが875nmの赤外線)の光束を出射(照射)する。例えば、第2光源41bは、後述する指標板44において、透光部44aと遮光部44bのどちらも通過する第2の波長(例えば、波長のピークが520nmの可視光線)の光束を出射する。
なお、本実施例においては、第1光源41aと第2光源41bのそれぞれが光軸上に固定配置されている構成を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。例えば、第1光源41aと第2光源41bは、移動可能な構成であってもよい。例えば、第1光源41a及び第2光源41bの内、一方の光源が光軸L1上に配置されるように第1光源41a及び第2光源41bを移動させる。他方の光源が、光軸L1から外れるように、第1光源41a及び第2光源41bを移動させる。なお、例えば、光軸L1から外れる位置とは、光軸L1の光路上であってもよいし、光軸L1の光路から外れた位置であってもよい。
より詳細には、例えば、第1の波長の光束をレンズLEに照射して測定を行う場合には、第1光源41aが光軸L1上に移動される。このとき、第2光源41bは光軸L1上から外れた位置に移動される。また、例えば、第2の波長の光束をレンズLEに照射して測定を行う場合には、第2光源41bが光軸L1上に移動される。このとき、第1光源41aは光軸L1上から外れた位置に移動される。
また、本実施例では、第1光源41aとして波長のピークが875nmの赤外線を出射する光源を用い、第2光源41bとして波長のピークが520nmの可視光線を出射する光源を用いているが、それぞれの光源が出射する波長の光束はこれに限定されない。例えば、本実施例における光源は、特定の波長帯域をもつ光束を出射する光源であってもよい。例えば、このような光源は、波長帯域の狭い光束を出射する光源(例えば、レーザ等)であってもよいし、波長帯域の広い光束を出射する光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)等)であってもよい。
また、本実施例における光源は、第1の波長の光束をレンズLEに照射する第1光源と、第1の波長とは異なる第2の波長の光束をレンズLEに照射する第2光源と、を備えた構成であればよい。なお、第1の波長とは異なる第2の波長の光束とは、第1の波長と第2の波長とにおける波長のピークと、第1の波長と第2の波長とにおける波長帯域と、の少なくともいずれかが異なる波長の光束であればよい。例えば、この場合、第1光源41aと第2光源41bは、異なる波長のピークと、異なる波長帯域と、の少なくともいずれかをもつのであれば、いずれの光源においても可視光線を出射する光源を用いた構成であってもよい。また、例えば、この場合、第1光源41aと第2光源41bは、異なる波長のピークと、異なる波長帯域と、の少なくともいずれかをもつのであれば、いずれの光源においても赤外線を出射する光源を用いた構成であってもよい。
<指標板>
図5は指標板の構成を示す一例である。図5(a)は、指標板を側面方向から見た図である。図5(b)は、指標板44を正面方向(光軸L1方向)から見た図である。例えば、指標板44は、透光部44a、遮光部44b、ベース部材44c等を備える。なお、本実施例においては、ベース部材44cとしてベース部材が円盤形状で形成されている円盤部材が用いられる。もちろん、ベース部材44cは、異なる形状で形成された部材(例えば、四角形状、六角形状等)であってもよい。
例えば、透光部44aは、第1光源41aから照射される第1の波長の光束と、第2光源41bから照射される第2の波長の光束を通過(透過)させる特性を持つ。なお、例えば、透光部44aは、第1の波長の光束、及び第2の波長の光束を完全に透過させる構成に限定されない。例えば、透光部44aは、第1の波長の光束、及び第2の波長の光束の少なくとも一部の光束を透過する構成であってもよい。例えば、この場合には、透光部44aを透過する第1の波長の光束が、遮光部44bを透過する第1の波長の光束よりも多くなる構成であってもよい。また、この場合には、透光部44aを透過する第2の波長の光束が、遮光部44bを透過する第2の波長の光束よりも少なくなる構成であってもよい。
例えば、透光部44aは、ベース部材(以下、円盤部材と記載)44cの表面及び裏面の少なくとも一方に設けられる。なお、本実施例においては、透光部44aが一方に設けられる場合を例に挙げて説明する。本実施例では、透光部44aが、円盤部材44cの一方の面において、透光部44aの材料を円盤部材44cの全領域(全面)に対してコーティングすることによって形成されている。
例えば、遮光部44bは、第1光源41aから照射される第1の波長の光束を遮光し、第2光源41bから照射される第2の波長の光束を通過(透過)させる特性を持つ。なお、例えば、遮光部44bは、第1の波長の光束を完全に遮光する構成に限定されない。例えば、遮光部44bは、第1の波長の光束の少なくとも一部の光束を遮光する構成であってもよい。また、例えば、遮光部44bは、第2の波長の光束を完全に透過する構成に限定されない。例えば、遮光部44bは、第2の波長の光束の少なくとも一部の光束を透過する構成であってもよい。例えば、このような場合には、遮光部44bに遮光される第2の波長の光束が、遮光部44bに遮光される第1の波長の光束よりも少ない構成であってもよい。なお、遮光部44bは、第1の波長の光束をより多く遮光する構成であればよい。好ましくは、第1の波長の光束を完全に遮光する構成であるとよい。
例えば、遮光部44bは、円盤部材44cの表面及び裏面の少なくとも一方に設けられる。なお、本実施例においては、遮光部44bが一方に設けられる場合を例に挙げて説明する。本実施例では、遮光部44bが、円盤部材44cの一方の面において、遮光部44bの材料を円盤部材44c上の一部の領域にコーティングすることによって形成されている。
例えば、透光部44aがグリッド状(等間隔かつ格子状)のパターンとなるように、円盤部材44cに対して、透光部44aと、遮光部44bとが形成されている。もちろん、例えば、遮光部44bがグリッド状のパターンとなるように、円盤部材44cに対して、透光部44aと、遮光部44bとが形成されるようにしてもよい。
なお、本実施例においては、指標板44において、透光部44aと、遮光部44bとで、グリッド状のパターン形状が形成されている構成を例に挙げているがこれに限定されない。例えば、パターン形状としては、異なるパターンで形成される構成としてもよい。例えば、パターン形状としては、非等間隔に配置されていてもよいし、放射状に配置されていてもよい。
例えば、本実施例においては、円盤部材44cの同一面上に透光部44aと遮光部44bが形成されている。もちろん、円盤部材44cの一方の面上に透光部44aが形成され、他方の面に遮光部44bが形成された構成であってもよい。
例えば、本実施例における指標板44は、透光部44a上に遮光部44bが形成されている。この場合には、例えば、指標板44は、円盤部材44cに透光部44aをコーティングにて形成した後に、遮光部44bをコーティングにて形成することによって、製造されてもよい。なお、本実施例における指標板44は、透光部44a上に遮光部44bが形成されている構成を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。例えば、遮光部44b上に透光部44aが形成されている構成であってもよい。また、例えば、透光部44a上に遮光部44bが形成されることなく、遮光部44bが形成されていない部分(遮光部44bの間の部分)に透光部44aが形成されている構成であってもよい。このような場合に、例えば、遮光部44bを円盤部材44c上の一部の領域にコーティングした後で、透光部44aを円盤部材44cにコーティングしてもよい。
なお、本実施例において、指標板44は、透光部44aと遮光部44bをコーティングすることによって形成した構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、指標板44は、透光部44a又は遮光部44bのいずれか一方のみを円盤部材44cにコーティングすることで形成したものであってもよい。この場合、例えば、円盤部材44cとして、第1の波長の光束と第2の波長の光束が通過する材料(ベース部材が透光部を兼ねる材料)を用いる構成が挙げられる。このような円盤部材44cの一部の領域に遮光部44bをコーティングするようにすればよい。すなわち、第1の波長の光束を遮光し、第2の波長の光束を通過する材料をコーティングするようにすればよい。また、この場合、例えば、円盤部材44cとして、第1の波長の光束を遮光し、第2の波長の光束を通過する材料(ベース部材が遮光部を兼ねる材料)を用いる構成が挙げられる。このような円盤部材44cの一部の領域に透光部44aをコーティングするようにすればよい。すなわち、遮光部の遮光特性を抑制し、第1の波長の光束を通過させる材料をコーティングするようにすればよい。
例えば、本実施例において、円盤部材(ベース部材)44cにコーティングを行うための手法としては、蒸着、浸漬、塗装等の手法を用いることができる。なお、指標板に透光部及び遮光部の少なくとも一方を形成する手法はコーティングに限定されない。本実施例においては、ベース部材に材料を付着させることによって、透光部と遮光部を形成するものであってもよい。例えば、ベース部材に各種の印刷(例えば、シルク印刷等)を行うことによって、指標板に透光部と遮光部を形成するようにしてもよい。
また、例えば、指標板に透光部及び遮光部の少なくとも一方を形成する手法はコーティングに限定されない。本実施例においては、ベース部材に貫通穴を開けることによって、透光部と遮光部を形成するものであってもよい。より詳細には、例えば、ベース部材として、第1の波長の光束を遮光し、第2の波長の光束を通過する部材を用い、このベース部材に貫通穴を開けてグリッド状のパターンを形成する。このようにすれば、第1光源を照射した際には、第1の波長の光束が貫通穴のみを通過するため、レンズの指標パターン像を取得することができる。また、第2光源を照射した際には、第2の波長の光束がベース部材と貫通穴のどちらも通過するため、レンズ像を取得することができる。
<再帰性反射部材>
図6は、再帰性反射部材の構成を示す一例である。例えば、再帰性反射部材45は、厚さ100μmほどの板である。例えば、再帰性反射部材45は、微細なガラス小球51、反射膜52、光透過カバー53、基板54等を備える。例えば、再帰性反射部材45に入射した入射光T1は、光透過カバー53を通過し、ガラス小球51によって屈折され、ガラス小球51の球面付近の1点で焦点を結ぶ。この入射光T1は、反射膜52によって反射され、反射光T2となる。反射光T2は、ガラス小球51によって再度屈折され、入射光T1と略平行となって元の方向に反射される。なお、再帰性反射部材の構成については本実施例に限定されない。本実施例における再帰性反射部材は、光束を入射方向と略同一方向に反射することが可能であればよい。すなわち、再帰性反射部材の構成として、ガラス小球に限らず、マイクロコーナーキューブやマイクロプリズム等が用いられたものを使用することができる。
例えば、本実施例において、再帰性反射部材45は、図示なきモータ等によって、光軸L1を中心として軸回りに高速で移動される。例えば、再帰性反射部材45は、ガラス小球51や反射膜52の分布にばらつきがあるために反射ムラが生じている。しかしながら、上記のように、再帰性反射部材45を移動させることによって、反射ムラを均一にすることができる。なお、再帰性反射部材45の移動としては、種々の移動の仕方で移動する構成を適用することができる。例えば、再帰性反射部材45の移動としては、回転移動であってもよいし、直線移動であってもよいし、楕円状に移動する構成であってもよい。なお、本実施例においては、再帰性反射部材45を移動させる構成を例に挙げて説明しているが、再帰性反射部材45を回転させない構成であってもよい。
なお、本実施例においては、入射光T1を反射する部材として、再帰性反射部材を用いた構成を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。入射光T1を反射する反射部材であればよい。例えば、反射部材としては、入射された光の散乱作用を高めるスクリーン等を用いてもよい。
<制御部>
図7はカップ取付け装置1における制御系の概略構成図である。例えば、制御部60には、ディスプレイ2、眼鏡フレーム形状測定ユニット20、光源41(第1光源41a及び第2光源41b)、撮像素子48、不揮発性メモリ61等が接続されている。また、例えば、制御部60には、カップ取付け機構30が有するモータ34、X方向移動機構35が備えるX方向駆動手段35a、Y方向移動機構36が備えるY方向駆動手段36a、Z方向移動機構37が備えるZ方向駆動手段37a等が接続されている。
例えば、制御部60は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。例えば、制御部60のCPUは、各部の駆動(例えば、モータ34、X方向駆動手段35a、Y方向駆動手段36a、Z方向駆動手段37a等の駆動)を制御する。また、例えば、制御部60のCPUは、各種の演算処理(例えば、レンズの光学特性、レンズの光学特性とは異なるレンズ情報等の演算処理)を行う。例えば、制御部60のRAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、制御部60のROMには、CPUが実行するプログラムや初期値等が記憶されている。
例えば、本実施例における制御部60のCPUは、第1光源41aと第2光源41bの切り換え等を制御する。例えば、制御部60は、撮像素子48が撮像したレンズ像を画像処理することによって、レンズの外形、二重焦点レンズの小玉形状、累進レンズのプリントマーク、レンズに付された印点、レンズに開けた穴の形状や位置等を検出する検出機能をもつ。また、例えば、本実施例における制御部60は、撮像素子48が撮像したレンズの指標パターン像を画像処理することによって、各測定指標50の位置を検出し、レンズの光学特性を演算する。なお、制御部60は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されていてもよい。
例えば、不揮発性メモリ61は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、不揮発性メモリ61としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ等を使用することができる。例えば、不揮発性メモリ61には、後述するレンズの0D基準状態における指標パターン像50、光学特性の測定結果、眼鏡フレーム形状測定ユニット20がトレースした眼鏡フレームの玉型形状等が記憶される。
上記のような構成を備えるカップ取付け装置1において、その動作を説明する。例えば、本実施例におけるカップ取付け装置1は、第1測定モードと、第2測定モードと、を備える。例えば、第1測定モードは、第1光源41aから照射される第1の波長の光束を用いることによって、レンズの光学特性を測定するためのモードである。また、例えば、第2測定モードは、第2光源41bから照射される第2の波長の光束を用いることによって、レンズの光学特性とは異なるレンズ情報を測定するためのモードである。
例えば、本実施例においては、第1測定モードと第2測定モードとが切り換えられて用いられる。例えば、第1測定モードと第2測定モードの切り換えは、自動的に切り換えられる構成としてもよい。また、例えば、第1測定モードと第2測定モードの選択は、検者によって手動で行われる構成であってもよい。
<第1測定モード>
以下、第1測定モードについて詳細に説明する。例えば、第1測定モードでは、光源41として第1光源41aが選択され、第1の波長の光束が照射される。例えば、制御部60は、光軸L1上に固定配置された第1光源41aを点灯させる。
図4に示すように、例えば、第1光源41aから出射された第1の波長の光束は、ハーフミラー49を通過し、ハーフミラー42に反射され、コンデンサレンズ43を介して平行光束となり、レンズLEに投光される。レンズLEを透過した第1の波長の光束は、指標板44へ照射される。ここで、例えば、レンズLEを透過した第1の波長の光束のうち、指標板44の遮光部44bに照射された光束は、遮光部44bによって遮光される。すなわち、レンズLEを透過した第1の波長の光束のうち、指標板44の遮光部44bに照射された光束は、指標板44を通過することなく遮蔽される。一方、例えば、レンズLEを透過した第1の波長の光束のうち、指標板44の透光部44aに照射された光束は、指標板44を通過して再帰性反射部材45に入射する。
第1の波長の光束は、再帰性反射部材45によって反射されると、再度、指標板44がもつ透光部44a、レンズLE、コンデンサレンズ43、及びハーフミラー42、絞り46、撮像レンズ47を介して、撮像素子48に撮像される。
図8は、第1光源41aを用いたレンズの撮像結果を示す図である。例えば、レンズLEを介した第1の波長の光束が撮像素子48によって撮像されると、指標パターン像50が撮像される。
例えば、指標パターン像は、指標板44に透光部44aと遮光部44bとで形成されたパターン形状に基づく像である。すなわち、本実施例においては、指標板44において、透光部44aがグリッド状のパターン形状となる構成を備えているため、撮像素子48によって撮像される指標パターン像は、グリッド状のパターン形状となっている。つまり、例えば、指標板44に、第1光源41aから第1の波長の光束を照射した場合に、第1の波長の光束が透光部44aを通過するため、透光部44aで形成されたパターン形状が指標パターン像50として形成される。例えば、指標パターン像は、複数の小孔像50aと、複数の支持ピン像50bで形成される。なお、第2光源41bから第2の波長の光束を照射した場合は、第2の波長の光束が指標板44の透光部44aと遮光部44bのどちらも通過するため、撮像された撮像結果としては、指標パターン像50が形成されない(詳細は後述する)。
例えば、第1光源41aから第1の波長の光束を用いて撮像された撮像結果(指標パターン像50)は、レンズLEの光学特性を演算するために用いられる。例えば、レンズLEを支持ピン14上に載置した場合に、レンズLEによって第1の波長の光束が屈折されるため、撮像素子48が撮像する指標パターン像50がレンズの屈折に応じて変化する。例えば、レンズLEを支持ピン14上に載置していない「0D基準」状態において、撮像素子48に撮像される指標パターン像がメモリ61に記憶されている。例えば、制御部60は、「0D基準」を示す指標パターン像に対する、レンズLEを介して撮像された指標パターン像の変化量に基づいてレンズLEの光学特性を演算する。
本実施例においては、例えば、撮像された指標パターン像50を解析することによって、レンズLEの複数の位置における屈折度数を1度に測定し、それぞれの位置における光学特性を1度に演算することができる。例えば、本実施例では、指標板44上に形成されたパターン形状がグリッドパターン状になっているため、撮像される指標パターン像もグリッドパターン状となる。指標パターン像50の内、隣接する4つ(少なくとも3つ)の小孔像50aを1組として用いることによって、レンズLEの光学特性が演算される。なお、指標パターン像50を用いたレンズLEの光学特性測定については、周知の技術を応用しているため、詳しくは特開2008-241694号公報を参照とすることができる。
なお、本実施例においては、レンズLEの光学特性を測定する際に、支持ピン14の像を基準指標として用いる場合について説明する。図9は、レンズLEを支持ピン14上に載置した状態における支持ピン14の像について説明する図である。なお、図9においては、便宜上、小孔像50aについては省略している。例えば、0D基準状態においては、撮像素子48が撮像する支持ピンの頂点14aの像及び支持ピンの根本14bの像の位置は略同一となり、像が重なる。しかし、例えば、レンズLEが支持ピン14上に載置され、第1の波長の光束がレンズLEによって屈折されると、撮像素子48に撮像される指標パターン像50における小孔像50aと支持ピン像50bは、0D基準状態の指標パターン像50に対して拡大あるいは縮小する。
より詳細には、例えば、支持ピン14の頂点14aはレンズLEに当接しているため、撮像素子48が撮像する支持ピン14の頂点14aの像51aは大きく移動せず、0D基準状態と略同一の位置となる。しかし、支持ピン14の根本14bはレンズLEから離れているため、撮像素子48が撮像する支持ピンの根本14bの像51bは、レンズLEによる屈折の影響を受け、0D基準状態と比較して位置が大きくずれる。
例えば、制御部60は、撮像素子48が撮像した指標パターン像50から支持ピン14の頂点14aの位置を検出し、これを基にして支持ピン14の根本14bの位置を判断する。また、例えば、制御部60は、支持ピン14の根本14bの像51bを、指標パターン像50の各小孔像50aの偏位を検出するための基準指標として用いる。すなわち、支持ピンの根本14bの像は、支持ピン14上にレンズLEを載置したことによって変化した指標パターン像50におけるある位置の小孔像50aが、0D基準状態における指標パターン像50における各小孔像50aの内、どの小孔像50aに該当するかを特定するために用いられる。なお、本実施例において、支持ピン14の根本14bは指標板44に隣接しているため、根本14bと透光部44aとの位置関係を把握することに用いることができる。
なお、本実施例では、基準指標として支持ピンの根本14bを用いる構成としたがこれに限定されない。本実施例における基準指標は、指標パターン像50における各小孔像50aの位置を特定できるものであればよい。この場合、例えば、指標板44に形成される透光部44aのうち、少なくとも1つの形状や大きさを変えておき、これを基準指標として用いる構成が挙げられる。また、基準指標としては、上記のように透光部44aの形状や大きさを変えて用いる構成と、支持ピンの根本14bを用いる構成と、を併用する構成としてもよい。なお、指標板44に形成される透光部44aのうち、少なくとも1つの形状や大きさを変えておき、これを基準指標として用いる構成については、特開2008-241694号公報を参照とすることができる。
以上のように、第1測定モードでは、第1光源41aから照射された第1の波長の光束が、指標板44がもつ透光部44aを通過し、指標板44がもつ遮光部44bで遮光されるため、指標パターン像50が撮像される。制御部60は、撮像素子48が撮像した指標パターン像50を利用して、レンズLEが有する光学特性を演算する。このようにして、本実施例における第1測定モードでは、レンズLEの光学特性を測定することが可能である。
<第2測定モード>
以下、第2測定モードについて詳細に説明する。例えば、第2測定モードでは、光源41として第2光源41bが選択され、第2の波長の光束が照射される。例えば、制御部60は、光軸L2上に固定配置された第2光源41bを点灯させる。
図4に示すように、例えば、第2光源41bから出射された第2の波長の光束は、ハーフミラー49に反射され、光軸L1に一致する。ハーフミラー49によって反射された第2の波長の光束は、ハーフミラー42に反射され、コンデンサレンズ43を介して平行光束となり、レンズLEに投光される。例えば、レンズLEを透過した第2の波長の光束は、指標板44がもつ透光部44aと遮光部44bのどちらも通過して、再帰性反射部材45に入射する。
第2の波長の光束は、再帰性反射部材45によって反射されると、再度、指標板44がもつ透光部44a、レンズLE、コンデンサレンズ43、及びハーフミラー42、絞り46、撮像レンズ47を介して、撮像素子48に撮像される。
このように、第2測定モードでは、第2光源41bから照射された第2の波長の光束が、指標板44の全領域(つまり、指標板44の透光部44aと遮光部44b)を通過するため、撮像素子48はレンズLEの全体像(レンズ像)を撮像することができる。例えば、制御部60は、撮像素子48が撮像したレンズ像を画像処理することによって、光学特性とは異なるレンズ情報(例えば、レンズの外形情報、レンズの小玉形状情報、レンズのプリントマーク情報、レンズの隠しマーク情報、レンズに付された印点情報、レンズに開けた穴の形状情報、レンズに開けた穴の位置情報等を検出する。
図10は、第2光源41bを用いたレンズの撮像結果を示す図である。なお、図10においては、便宜上、支持ピンの頂点の像51aと、支持ピンの根本の像51bと、については省略している。例えば、レンズLEを介して第2の波長の光束が撮像素子48によって撮像されると、レンズ像70が撮像される。例えば、図10においては、レンズ像には、レンズLEに施された印点が撮像された場合を例に挙げている。
例えば、制御部60は、撮像されたレンズ像70から、画像処理によってレンズ情報を取得する。例えば、制御部60は、レンズ像70からレンズLEに施された印点を検出することができる。例えば、制御部60は、画像処理によってエッジ検出を行い、レンズの外形形状71、印点マーク(レンズLEに施された印点の像)P等を検出する。もちろん、レンズ情報の検出においては、異なる画像処理の手法が用いられる構成であってもよい。
以上のように、第2測定モードでは、第2光源41aから照射された第2の波長の光束が、指標板44がもつ透光部44a及び遮光部44bを通過し、レンズ像70が撮像される。制御部60は、撮像素子48が撮像したレンズ像70を利用して、レンズLEが有する光学特性とは異なるレンズ情報を演算する。このようにして、本実施例における第2測定モードでは、レンズLEの光学特性とは異なるレンズ情報を測定することが可能である。
以下、レンズLEの光学特性とは異なるレンズ情報の測定についてより詳細に説明する。例えば、第2測定モードを利用して二重焦点レンズを測定する場合について説明する。例えば、検者が図示なき測定モード選択スイッチを操作して第2測定モードを選択すると、制御部60は自動的に第2測定モードを設定する。第2測定モードが設定されると、第2光源41bから第2の波長の光束が照射され、撮像素子48によってレンズ像が撮像される。制御部60は、撮像素子48が撮像したレンズ像を画像処理して、光学特性とは異なるレンズ情報を取得することができる。なお、例えば、測定するレンズが二重焦点レンズの場合、光学特性とは異なるレンズ情報としては、レンズの外形情報やレンズの小玉情報等が挙げられる。もちろん、上記以外のレンズ情報が検出されてもよい。
また、例えば、第2測定モードを利用して累進レンズを測定する場合について説明する。例えば、検者が図示なき測定モード選択スイッチを操作して第2測定モードを選択すると、制御部60は自動的に第2測定モードを設定する。第2測定モードが設定されると、第2光源41bから第2の波長の光束が照射され、撮像素子48によってレンズ像が撮像される。制御部60は、レンズ像を画像処理することによって、光学特性とは異なるレンズ情報を取得することができる。なお、例えば、測定するレンズLEが累進レンズの場合、光学特性とは異なるレンズ情報としては、レンズの外形情報、レンズの隠しマーク情報、レンズのプリントマーク情報等が挙げられる。もちろん、上記以外のレンズ情報が検出されてもよい。
以上のように、第1測定モード及び第2測定モードの少なくとも一方を用いて測定された測定結果は、種々の処理に用いられる。例えば、カップ取付け装置1においては、第1測定モード及び第2測定モードの少なくとも一方を用いて測定された測定結果に基づいて、レンズにカップを取り付ける動作等が行われる。
なお、上記の説明においては、指標板44における遮光部44bが第1の波長の光束を遮光する構成について説明したがこれに限定されない。例えば、遮光部44bは、第1の波長の光束の少なくとも一部を透過する構成であってもよい。
例えば、遮光部44bは第1の波長の少なくとも一部の光束を遮光する。言い換えると、遮光部44bは、第1の波長の光束を完全に遮光せず、第1の波長の光束の一部を透過させる。例えば、このような構成において、第1測定モードを選択して、第1光源41aから第1の波長の光束を照射した場合、レンズLEに投影された指標パターン像50における小孔像50aの周辺(すなわち、遮光部44bにより形成される部分)が、第1の波長を完全に遮光した状態における小孔像50aの周辺と比べて明るくなる。このため、小孔像50aと、小孔像50aの周辺と、の見分けをつけづらくなることがある。
このため、例えば、制御部60は、撮像素子48が撮像した指標パターン像50に対して二値化処理を行い、小孔像50aと、小孔像50aの周辺と、を明確にするようにしてもよい。例えば、制御部60は、撮像した指標パターン像50のそれぞれの画素位置において輝度値を検出する。また、例えば、制御部60は、予め実験やシミュレーション等から設定された閾値に基づいて、検出された輝度値を二値化する。なお、例えば、このような閾値は、操作者が任意に設定する構成としてもよいし、撮影した指標パターン像ごとに設定してもよい。この場合には、全画素位置における輝度値の平均と標準偏差による統計情報を用いて、閾値を設定してもよい。
例えば、制御部60は、閾値以上の輝度値をもつ画素位置と、閾値未満の輝度値をもつ画素位置と、において、それぞれの輝度値を置き換える。例えば、本実施例においては、輝度値が閾値以上の画素位置が255(白色)に置き換えられ、輝度値が閾値未満の画素位が0(黒色)に置き換えられる。なお、輝度値は、閾値を境界として異なる2つの値を用いる構成であればよく、本実施例に限定されない。
例えば、制御部60は、このように二値化処理を行うことで、指標パターン像50の検出精度を向上させるようにしてもよい。これによって、第1の波長の光束の少なくとも一部の光束が遮光され、小孔像50aと、小孔像50aの周辺と、が明瞭に分岐しない状態であっても、レンズLEが有する光学特性を精度よく取得できるようになる。
なお、上記の説明においては、指標板44における透光部44aが第2の波長の光束を透過する構成について説明したがこれに限定されない。例えば、透光部44aは、第2の波長の少なくとも一部の光束を遮光する構成であってもよい。
例えば、透光部44aは、第2の波長の少なくとも一部の光束を透過する。言い換えると、透光部44aは、第2の波長の光束の一部を遮光する。例えば、このような構成において、第2測定モードを選択して、第2光源41bから第2の波長の光束を照射した場合、レンズLEに投影された小孔像50aが、小孔像50aの周辺と比べて暗くなる。このため、撮像素子48が撮像した指標パターン像50に、小孔像50aが写ってしまうことがある。
例えば、制御部60は、このような場合においても、上述した二値化処理を行うようにしてもよい。これによって、第2の波長の光束の少なくとも一部の光束が透過され、小孔像50aが撮像された状態であっても、小孔像50aを取り除いて、光学特性とは異なるレンズ情報を精度よく検出できるようになる。
以上説明したように、例えば、本実施例におけるレンズ測定装置(本実施例においては、カップ取付け装置)は、第1の波長の光束及び第2の波長の光束を通過させる透光部と、透光部とは異なる領域を遮光する遮光部であって、第1の波長の光束を遮光し、第2の波長の光束を透過する遮光部を有する指標板を用いた。これによって、容易な構成で、レンズの光学特性及びレンズ情報を精度よく取得することができる。
また、例えば、本実施例において、指標板における透光部と遮光部がコーティングによって形成されていることによって、指標板上に遮光部と透光部とを容易に設けることができる。すなわち、透光部と遮光部とを備える指標板を容易に製造することができる。
なお、本実施例では、異なる波長の光束を出射する第1光源41aと第2光源41bの2つを光源として用いる構成としたがこれに限定されない。本実施例における光源は、異なる波長を使い分けることが可能であればよい。すなわち、例えば、1つの光源を用いた構成であってもよい。この場合には、例えば、光源の照射口に、所定の波長の光束のみを通過させるフィルタ又は所定の波長の光束のみを遮断するフィルタ等を設けて、光源の照射口にフィルタを挿脱する構成が挙げられる。
また、例えば、異なる波長を使い分けることが可能な光源として、少なくとも2種類の波長をもつ光束を出射することが可能な光源を用いた構成であってもよい。例えば、2種類の波長をもつ光束を出射することが可能な光源を用いた場合には、光源から出射する光束を切り換えることによって、2種類の異なる波長を使い分けることができる。また、例えば、3種類以上の波長をもつ光束を出射することが可能な光源(例えば、マルチカラーLED等)を用いた場合には、光源から出射される複数の光束のうち、2種類の光束を選択することができる構成とすればよい。これによって、3種類以上の波長をもつ光束を出射する光源を用いても、2種類の異なる波長を使い分けることができる。
なお、第1光源41aと第2光源41bがもつ波長は、本実施例とは逆であってもよい。つまり、第1光源41aが出射する第1の波長の光束が、指標板44の透光部44aと遮光部44bを通過し、第2光源41bが出射する第2の波長の光束が、指標板44の透光部44aを通過して遮光部44bに遮光される構成でもよい。この場合には、第1光源41aから照射される第1の波長の光束を用いることによって、レンズの光学特性とは異なるレンズ情報を測定することができる。また、第2光源41bから照射される第2の波長の光束を用いることによって、レンズの光学特性を測定することができる。
なお、本実施例においては、例えば、第1光源と第2光源とが兼用され、兼用された光源から第1の波長の光束と第2の波長の光束とが切り換えられて照射される構成を用いることによって、1つの光源の切り換えによって、レンズの光学特性及びレンズ情報を取得することができる。これによって、より容易な構成でレンズの光学特性及びレンズ情報を精度よく取得することができる。また、レンズの光学特性及びレンズ情報の取得に必要な部材を少なくすることができるため、装置の小型化に繋がる。