<概要>
本開示の実施形態に係る眼鏡レンズ周縁加工情報取得装置(以下、取得装置と省略する)の概要について説明する。以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
<眼鏡フレームのリムの形状>
本実施形態において例示する眼鏡フレーム(以下、フレーム)は、そのリムで眼鏡レンズ(以下、レンズ)を保持するフレームであってもよい。例えば、フレームにレンズを枠入れした際、フレームのリムの半分以上がレンズに接触するフレームであってもよい。一例としては、フレームのリムがレンズを覆うフルリムフレームであってもよい。この場合、フレームのリムに隙間があるフレーム(つまり、リムが部分的に欠損したフレーム)、フレームのリムにレンズの一部が嵌まらないフレーム(つまり、リムにレンズの一部が接触しないフレーム)、等が挙げられる。
従来、フレームのリムでレンズを保持するこのようなフレームに対しては、リムの情報を得ることが難しかった。例えば、リムに隙間があるフレームでは、リムの隙間から測定子が脱落するために、隙間の情報を得ることができない。また、例えば、リムにレンズの一部が嵌まらないフレームでは、リムの形状とレンズの形状が不一致となるため、異なる情報が得られてしまう。このため、フレームに枠入れされていたデモレンズあるいは型板の情報を得て、レンズの加工が行われていた。しかし、リムにレンズが押圧されることで、レンズが歪んだり不安定に保持されたりすることがあり、フレームに合った加工済みのレンズを得られない場合があった。
本実施形態では、これらの眼鏡フレームに対して、以下で開示する技術を適用することで、眼鏡フレームへの眼鏡レンズの枠入れ状態を改善することができる。なお、本実施形態で開示する技術の少なくとも一部は、これらの眼鏡フレームに対して適用することに限定されない。例えば、眼鏡フレームのリムの一部から情報を上手く得られない場合に適用されてもよい。一例として、眼鏡フレームのリムに隙間がなくても、測定子が脱落してしまうような場合等に適用されてもよい。
<第1情報取得手段及び第2情報取得手段>
本実施形態において、取得装置は、第1情報取得手段(例えば、制御部50)を備える。第1情報取得手段は、フレームのリムの玉型形状(第1玉型形状)、または、リムの形状(第1リム形状)を取得する。
リムの第1玉型形状は、リムの3次元玉型形状データであってもよいし、リムの2次元玉型形状データであってもよい。リムの第1リム形状は、リムの3次元形状データであってもよいし、リムの2次元形状データであってもよい。例えば、第1玉型形状及び第1リム形状は、リムの内形形状に基づく形状であってもよい。一例として、リムに形成された凹部(例えば、溝)であって、レンズに形成された凸部(例えば、ヤゲン)を嵌め込む凹部の周方向の形状であってもよい。また、一例として、リムに形成された凸部であって、レンズに形成された凹部に嵌め込まれる凸部の周方向の形状であってもよい。
第1情報取得手段は、フレームの複数の動径角において、第1玉型形状または第1リム形状を取得してもよい。もちろん、第1情報取得手段は、フレームの1つの動径角において、第1玉型形状または第1リム形状を取得してもよい。なお、本実施形態において、第1情報取得手段が取得する第1玉型形状または第1リム形状は、その一部が欠損していてもよい。すなわち、第1情報取得手段が取得する第1玉型形状または第1リム形状は、その一部の形状が不明な状態であってもよい。
本実施形態において、取得装置は、第2情報取得手段(例えば、制御部50)を備える。第2情報取得手段は、フレームのデモレンズあるいは型板の形状である外形形状を取得する。例えば、デモレンズあるいは型板の外形形状は、デモレンズあるいは型板の3次元形状データであってもよいし、デモレンズあるいは型板の2次元形状データであってもよい。例えば、デモレンズあるいは型板の外形形状は、デモレンズあるいは型板の外形形状に基づく形状であってもよい。一例として、デモレンズあるいは型板に形成された凸部(例えば、ヤゲン)であって、レンズに形成された凹部(例えば、溝)に嵌め込まれる凸部の周方向の形状であってもよい。また、一例として、デモレンズあるいは型板に形成された凹部であって、レンズに形成された凸部に嵌め込む凹部の周方向の形状であってもよい。
第2情報取得手段は、眼鏡フレームの複数の動径角におけるデモレンズあるいは型板の外形形状を取得してもよい。もちろん、第2情報取得手段は、眼鏡フレームの1つの動径角におけるデモレンズあるいは型板の外形形状を取得してもよい。
なお、本実施形態において、第1情報取得手段は、蓄積されたデータから第1玉型形状及び第1リム形状を取得するようにしてもよい。また、本実施形態において、第2情報取得手段は、蓄積されたデータから外形形状を取得するようにしてもよい。すなわち、本実施形態では、第1玉型形状及び第1リム形状と、外形形状と、の少なくともいずれかが、蓄積されたデータから取得されてもよい。例えば、このような場合には、第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を予め測定してサーバやメモリに蓄積しておき、第1情報取得手段あるいは第2情報取得手段が、該当するデータを呼び出して設定することで、第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を取得することができる。
また、本実施形態において、第1情報取得手段は、第1測定手段(例えば、測定ユニット200)を用いて第1玉型形状及び第1リム形状を測定してもよい。また、本実施形態において、第2情報取得手段は、第2測定手段(例えば、測定ユニット200)を用いて外形形状を測定してもよい。なお、第1測定手段と第2測定手段とは兼用されてもよいし、それぞれが別に設けられてもよい。
例えば、取得装置が第1測定手段または第2測定手段の少なくともいずれかを備える場合、これらの測定手段は、第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を接触式で測定する構成を備えていてもよい。また、これらの測定手段は、第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を非接触式で測定する構成を備えていてもよい。もちろん、これらの測定手段は、第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状のいずれかを接触式で、いずれかを非接触式で測定する構成を備えていてもよい。
第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を接触式で測定する構成の一例としては、リムに測定子(例えば、測定子281)を接触させる構成、デモレンズまたは型板の周縁に測定子軸(例えば、測定子軸282)を接触させる構成、等が挙げられる。この場合、測定子及び測定子軸の移動を検出することで、第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を測定することができる。
第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を非接触式で測定する構成の一例としては、測定光束を照射する投光光学系と、測定光束が反射された反射光束を受光する受光光学系と、を備える構成が挙げられる。投光光学系は、リム、デモレンズの周縁、型板の周縁、等の少なくともいずれかに測定光束を照射してもよい。また、受光光学系は、測定光束がリム、デモレンズの周縁、型板の周縁、等の少なくともいずれかに反射された反射光束を受光してもよい。この場合、反射光束を解析処理することで、第1玉型形状、第1リム形状、及び外形形状を測定することができる。
<処理手段>
本実施形態において、取得装置は、処理手段(例えば、制御部50)を備える。処理手段は、リムの第1玉型形状の少なくとも一部に、デモレンズあるいは型板の外形形状の少なくとも一部を適用することで、第1玉型形状とは異なる第2玉型形状を取得する。例えば、本実施形態において、第2玉型形状は、フレームに枠入れするレンズを加工するための玉型形状であってもよい。処理手段は、第1玉型形状のすべてに対して外形形状を適用してもよいし、第1玉型形状のすべてに対して部分的に外形形状を適用してもよい。また、処理手段は、第1玉型形状の一部に対して外形形状のすべてに基づいた形状を適用してもよいし、第1玉型形状の一部に対して外形形状の一部を適用してもよい。
また、処理手段は、リムの第1リム形状の少なくとも一部に、デモレンズあるいは型板の外形形状の少なくとも一部を適用することで、第1リム形状とは異なる第2リム形状を取得するとともに、第2リム形状に基づいて、第1リム形状が補正されたリムの全体の周長を取得する。例えば、本実施形態において、リムの全体の周長は、フレームに枠入れするレンズを加工するための周長であってもよい。処理手段は、第1リム形状のすべてに対して外形形状を適用してもよいし、第1リム形状のすべてに対して部分的に外形形状を適用してもよい。また、処理手段は、第1リム形状の一部に対して外形形状のすべてに基づいた形状を適用してもよいし、第1リム形状の一部に対して外形形状の一部を適用してもよい。
例えば、従来、フレームのリムから情報を得られないとき等は、デモレンズ(または型板)から情報を得て、レンズを加工するための玉型形状と周長をしていたが、フレームへの加工済みレンズの枠入れ状態が好ましくないことがあった。しかし、本実施形態の制御を行うことによって、操作者は、リムから情報が得られなかった場合であっても、リムの情報を考慮したレンズの玉型形状と周長を取得することができる。これらの玉型形状及び周長を用いて加工制御データを作成し、レンズの周縁を加工することによって、従来よりもフレームへのレンズの枠入れを適した状態に改善することができる。
処理手段は、第1情報取得手段が取得した第1玉型形状から所定の領域を特定し、第2情報取得手段が取得した外形形状から所定の領域に対応する対応領域を特定し、所定の領域の少なくとも一部に対応領域の少なくとも一部を適用する。また、処理手段は、第1情報取得手段が取得した第1リム形状から所定の領域を特定し、第2情報取得手段が取得した外形形状から所定の領域に対応する対応領域を特定し、所定の領域の少なくとも一部に対応領域の少なくとも一部を適用する。
例えば、所定の領域は、サーバやメモリに蓄積されたリムの第1玉型形状または第1リム形状を読みとることで特定されてもよい。また、例えば、操作者による操作手段(例えば、モニタ3、スイッチ部4)からの操作信号の入力により特定されてもよい。また、例えば、前述の第1測定手段により測定された測定結果に基づいて特定されてもよい。この場合、測定子が脱落した動径角の範囲が所定の領域として特定されてもよい。また、例えば、フレームを撮影した撮影画像を画像処理(一例として、エッジ検出等)により解析することで特定されてもよい。この場合、取得装置がフレームを撮影するための撮影手段を備え、処理手段が撮影手段により撮影された撮影画像を解析する構成としてもよい。また、この場合、処理手段が別の装置により撮影された撮影画像を受信して、これを解析する構成としてもよい。
例えば、対応領域は、サーバやメモリに蓄積されたデモレンズまたは型板の外形形状を読みとることで特定されてもよい。また、例えば、操作者による操作手段からの操作信号の入力により特定されてもよい。また、例えば、フレームをデモレンズが枠入れされた状態で撮影した撮影画像を画像処理により解析することで特定されてもよい。また、例えば、リムの第1玉型形状または第1リム形状における所定の領域と同一(略同一)の動径角の範囲として特定されてもよい。
このように、リムの所定の領域及びデモレンズあるいは型板の対応領域をそれぞれ特定しておくことで、リムの所定の領域に対するデモレンズあるいは型板の対応領域の適用がスムーズに行われる。また、リムの所定の領域とデモレンズあるいは型板の対応領域をそれぞれ特定しておくことで、リムの所定の領域に対してデモレンズあるいは型板の対応領域が正確に適用され、より精度の良いレンズの玉型形状と周長を取得することができる。
処理手段は、第1情報取得手段が取得した第1玉型形状または第1リム形状における所定の領域の有無を判定し、判定結果に基づいて、所定の領域の少なくとも一部に対応領域の少なくとも一部を適用する適用処理を実行してもよい。例えば、この場合、第1玉型形状または第1リム形状に所定の領域があるか否かは、サーバやメモリに蓄積されたリムの情報の読み取り、操作者による操作信号の入力、第1測定手段による測定結果、フレーム撮影画像の解析、等から判定されてもよい。
例えば、フレームのリムに所定の領域がない場合(例えば、リムに後述の欠損領域がない場合等)には、リムの情報からレンズの玉型形状と周長が取得されてもよく、必ずしもリムの情報にデモレンズあるいは型板の情報を適用する適用処理が実行されなくてもよい。本実施例のようにリムの所定の領域の有無を判定することで、必要に応じた適切な処理が実行され、フレームに合わせたレンズの最適な玉型形状及び周長を得ることができる。
なお、本実施形態では、必ずしも上記のように第1玉型形状または第1リム形状の所定の領域の有無を判定しなくてもよく、所定の領域が特定されることで、所定の領域の少なくとも一部に対応領域の少なくとも一部を適用する適用処理が実行されてもよい。つまり、所定の領域が設定されることで、適用処理が実行されてもよい。
例えば、第1玉型形状または第1リム形状における所定の領域は、第1玉型形状または第1リム形状の一部が欠損した欠損領域であってもよい。例えば、欠損領域は、リムに隙間があることでリムの一部が欠損した領域であってもよい。また、例えば、リムから測定子が外れるなどして、リムの情報を得られなかった領域としてもよい。これによって、リムに隙間があるフレーム(リムが部分的に欠損したフレーム)、リムの溝深さや反り等が影響して測定子が外れてしまうフレーム、等から得られた不完全なリムの情報であっても、デモレンズあるいは型板の情報を利用して、リムの情報を考慮したレンズの玉型形状と周長を取得することができる。なお、本実施形態では、リムにレンズの一部が嵌まらないことでリムにレンズの一部が接触しない領域を、第1玉型形状または第1リム形状の一部が欠損した欠損領域としてもよい。
処理手段は、リムの第1玉型形状または第1リム形状に外形形状を適用する際、第1玉型形状または第1リム形状を外形形状で置き換える置換処理を行ってもよい。例えば、第1玉型形状または第1リム形状における動径角の範囲を、外形形状における同一の動径角の範囲で置き換えてもよい。一例として、所定の領域を対応領域で置き換えてもよい。また、一例として、所定の領域を含む領域(所定の領域の前後を含む動径角の範囲、等)を、対応領域を含む領域(対応の領域の前後を含む動径角の範囲、等)で置き換えてもよい。なお、例えば、第1玉型形状または第1リム形状における動径角の範囲を、外形形状における異なる動径角の範囲で置き換えてもよい。つまり、所定の領域の動径角の範囲と、対応領域の動径角の範囲と、は必ずしも一致していなくてもよい。
処理手段は、リムの第1玉型形状または第1リム形状に外形形状を適用する際、第1玉型形状または第1リム形状を外形形状に基づいて補完する補完処理を行ってもよい。例えば、第1玉型形状または第1リム形状における動径角の範囲を、外形形状における同一の動径角の範囲に基づいて補完してもよい。一例として、所定の領域を対応領域で補完してもよい。また、一例として、所定の領域を含む領域(所定の領域の前後を含む動径角の範囲、等)を、対応領域を含む領域(対応の領域の前後を含む動径角の範囲、等)で補完してもよい。例えば、所定の領域の形状を対応領域の形状に基づいて演算することで、所定の領域が補完されてもよい。なお、例えば、第1玉型形状または第1リム形状における動径角の範囲を、外形形状における異なる動径角の範囲に基づいて補完してもよい。
処理手段は、リムの所定の領域の少なくとも一部にデモレンズまたは型板の対応領域の少なくとも一部を適用する適用処理として、上記の置換処理と補完処理を組み合わせて行ってもよい。一例として、所定の領域における一部の領域を外形形状で置き換え、所定の領域における残りの領域を外形形状に基づいて補完することで、所定の領域の少なくとも一部に対応領域の少なくとも一部を適用してもよい。
<加工制御データ取得手段>
本実施形態において、取得装置は、加工制御データ取得手段(例えば、制御部50)を備える。加工制御データ取得手段は、処理手段により取得された第2玉型形状及びリムの全体の周長に基づいて、レンズを加工するための加工制御データを取得する。なお、加工制御データ取得手段は、第2玉型形状及びリムの全体の周長に加えて、レンズのレイアウトデータ、レンズの加工条件、レンズのレンズ形状データ、フレームのフレーム形状データ、等の少なくともいずれかを用いることで、加工制御データを取得してもよい。これによって、操作者は、従来よりも精度のよい加工制御データを取得することができ、さらに、この加工制御データをレンズの加工に用いることで、眼鏡フレームに対する眼鏡レンズの枠入れ状態が改善される。
なお、加工制御データ取得手段は、取得装置の制御部により加工制御データを演算することで取得してもよい。また、加工制御データ取得手段は、他の装置の制御部により演算された加工制御データを受信することで、加工制御データを取得してもよい。
また、加工制御データ取得手段は、第2玉型形状及びリムの全体の周長に基づくレンズの加工制御データを直接取得してもよい。また、例えば、加工制御データ取得手段は、第2玉型形状及びリムの全体の周長に基づくレンズの玉型形状及び周長を取得し、この玉型形状及び周長に基づく加工制御データを取得してもよい。
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、下記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介してシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
<実施例>
以下、典型的な実施形態の1つである実施例について説明する。
図1は、取得装置1の外観略図である。本実施例では、取得装置1の左右方向(水平方向)をX方向、上下方向(鉛直方向)をY方向、前後方向をZ方向として表す。例えば、取得装置1は、開口窓2、モニタ3、スイッチ部4、取付部10、フレーム保持ユニット100、測定ユニット200、等を備える。
例えば、モニタ3はタッチパネルである。すなわち、モニタ3が操作部(コントローラ)として機能する。本実施例では、モニタ3により、フレームFの欠損領域、フレームFに枠入れするレンズのレイアウトデータや加工条件、等を入力することができる。モニタ3から入力された操作指示に応じた信号は、後述する制御部50に出力される。なお、モニタ3はタッチパネル式でなくてもよく、モニタ3と操作部とを別に設ける構成であってもよい。この場合には、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末、等の少なくともいずれかを操作部として用いることができる。
例えば、モニタ3は、取得装置1に搭載されたモニタであってもよい。また、例えば、モニタ3は、取得装置1に接続されたモニタであってもよい。この場合には、パーソナルコンピュータのモニタを用いる構成としてもよい。なお、モニタ3は、複数のモニタを併用する構成であってもよい。
スイッチ部4は、取得装置1に各種の処理を実行させるための信号を入力する際に使用する。例えば、各種の処理とは、測定モードの切り換え、測定の開始、等である。なお、本実施例では、スイッチ部4が取得装置1の本体カバーに設けられている。もちろん、スイッチ部4は、モニタ3の画面上おいて電子的に表示されてもよい。この場合には、モニタ3の画面をタッチしてスイッチ部4を操作することができる。
取付部10には、フレームFから取り外したデモレンズDL、または、型板MPを測定する際に使用するホルダ15が取り付けられる。なお、ホルダ15についての詳細は、例えば、特開2013-068439号公報を参照されたい。
<フレーム保持ユニット>
図2及び図3は、フレーム保持ユニット100を説明する図である。図2は、フレーム保持ユニット100の上面図である。なお、図2のフレーム保持ユニット100は、フレームを保持した状態である。図3は、フレーム保持ユニット100の斜視図である。なお、図3のフレーム保持ユニット100は、取付部10にホルダ15を装着した状態である。
フレーム保持ユニット100は、開口窓2の内部に配置されている。フレーム保持ユニット100は、フレームFを所期する状態に保持する。例えば、フレーム保持ユニット100は、保持部ベース101、第1スライダー102、第2スライダー103、開閉移動機構110、クランプ機構150、等を備える。
第1スライダー102及び第2スライダー103は、保持部ベース101上に載置されている。第1スライダー102は、フレームFの右リムFRR及び左リムFRLの上側に当接する第1面105をもつ。第2スライダー103は、フレームFの右リムFRR及び左リムFRLの下側に当接する第2面106をもつ。第1面105と、第2面106と、は互いに対向する。第1面105と第2面106は、開閉移動機構110によって、第1面105と第2面106との間隔が開閉される方向(間隔が広がる方向と狭まる方向)に移動する。また、第1面105と第2面106には、クランプ機構150が備えるクランプピンが突き出すように配置されている。
クランプピンは、リムの厚み方向(眼鏡装用時の前側及び後側)から、左右のリムをクランプ(保持)する。第1スライダー102には、クランプピンとして、一対のクランプピン230aとクランプピン230bとが設けられている。クランプピン230a及びクランプピン230bは2箇所に配置され、右リムFRR及び左リムFRLの上側をクランプする。第2スライダー103には、クランプピンとして、一対のクランプピン230cとクランプピン230dとが設けられている。クランプピン230c及びクランプピン230dは2箇所に配置され、右リムFRR及び左リムFRLの下側をクランプする。
開閉移動機構110は、2つのガイドレール111、プーリー112、プーリー113、ワイヤー114、バネ115、等を備える。ガイドレール111は、保持部ベース101の左右それぞれに配置され、Y方向に延びている。ワイヤー114は、プーリー112とプーリー113とに掛け渡されている。ワイヤー114の左側には、第1スライダー102の右端部102Rが取り付けられる。ワイヤー114の右側には、第2スライダー103の右端部103Rが取り付けられる。バネ115は、第1スライダー102及び第2スライダー103の間隔を閉じる方向に常時付勢する。開閉移動機構110は、このような構成をもつことによって、X方向の中心線N1を中心に、第1スライダー102と第2スライダー103とを、その間隔が広がる方向と狭まる方向とに移動させる。第1スライダー102が移動すると、第2スライダー103も連動して移動する。
図4はクランプ機構150の概略構成図である。なお、図5は第1スライダー102の左側に配置されたクランプ機構150を示している。クランプ機構は、ベース板151、クランプピン230a、クランプピン230b、第1アーム152、第2アーム153、圧縮バネ157、バネ156、ギヤ158、ギヤ159、ワイヤー160、プーリー161、駆動ユニット170、等を備える。
ベース板151は、第1スライダー102の内部に配置されている。第1アーム152は、回転軸175によって、ベース板151に対して回転可能に保持されている。第1アーム152には、回転軸175を中心としたギヤ158が形成されている。第2アーム153は、回転軸176によって、ベース板151に対して回転可能に保持されている。第2アーム153には、回転軸176を中心としたギヤ159が形成されている。ギヤ158とギヤ159とは互いに噛合する。第1アーム152の先端には、クランプピン230aが取り付けられている。第2アーム153の先端には、クランプピン230bが取り付けられている。圧縮バネ157は、第1アーム152及び第2アーム153の間に設けられている。圧縮バネ157によって、クランプピン230aとクランプピン230bとの間隔が、常に開く方向に付勢される。第1アーム152の後端には、バネ156の一端が取り付けられている。バネ156の他端には、ワイヤー160が固定されている。ワイヤー160は、ベース板151に回転可能に取り付けられたプーリー161を介して、駆動ユニット170に接続される。
例えば、駆動ユニット170は、シャフト171、モータ172、等を有する。シャフト171は、ワイヤー160を巻き取る。モータ172は、シャフト171を回転させる。例えば、モータ172を駆動させ、ワイヤー160を巻き取ると、第1アーム152は回転軸175を中心として反時計回りに回転する。このとき、ギヤ158とギヤ159とは噛合しているため、第2アーム153が回転軸176を中心として時計回りに回転する。これにより、クランプピン230a及びクランプピン230bが連動して閉じられ、左リムFRLの上側がクランプされる。
なお、右リムFRRの上側をクランプするためのクランプ機構(すなわち、第1スライダー102の右側に配置されたクランプ機構)は、図4に示すクランプ機構150を左右に反転させた構成であってもよい。また、右リムFRR及び左リムFRLの下側をクランプするためのクランプ機構(すなわち、第2スライダー103の左側及び右側のそれぞれに配置されたクランプ機構)は、第1スライダー102に配置されたクランプ機構150を上下に反転させた構成であってもよい。
また、モータ172及びシャフト171は、4箇所に設けられたクランプ機構150にそれぞれ配置される構成であってもよいが、4箇所のクランプ機構150において共通で使用される構成であってもよい。本実施例では、いずれの場合も、4箇所のクランプピンが同時に開閉するように構成される。
<測定ユニット>
測定ユニット200は、フレーム保持ユニット100の下部に配置される。測定ユニット200は、フレームFにおけるリムの玉型形状(第1玉型形状)またはリムの形状(第1リム形状)を測定する。本実施例において、測定ユニット200は、フレームFのリムの溝に後述する測定子281を挿入し、測定子281の移動を検出することにより、リムの溝の第1玉型形状と第1リム形状を測定する。また、測定ユニット200は、デモレンズDLまたは型板MPの周縁の形状(外形形状)を測定する。本実施例において、測定ユニット200は、デモレンズDLまたは型板MPの周縁に後述する測定子軸282を接触させ、測定子軸282の移動を検出することにより、デモレンズDLまたは型板MPの周縁の外形形状を測定する。つまり、測定ユニット200は、リムの第1玉型形状及び第1リム形状を測定するための測定ユニットと、デモレンズDLまたは型板MPの外形形状を測定するための測定ユニットと、を兼ねる。
図5は測定ユニット200を説明する図である。図5(a)は移動ユニット210の概略構成図である。図5(b)は測定子保持ユニット250の概略構成図である。例えば、測定ユニット200は、ベース部211、移動ユニット210、測定子保持ユニット250、等を備える。ベース部211は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット100の下部に配置される。移動ユニット210は、測定子保持ユニット250を、フレームF、デモレンズDL、または型板MP、に対して相対的に移動させる。測定子保持ユニット250は、測定子軸282、及び、測定子軸282に取り付けられた測定子281、を保持する。
移動ユニット210は、測定子保持ユニット250をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させる。例えば、移動ユニット210は、Y移動ユニット230、X移動ユニット240、Z移動ユニット220、モータ235、モータ225、モータ245、等を有する。Y移動ユニット230は、測定子保持ユニット250をY方向に移動させる。Y移動ユニット230は、モータ235の駆動により、Y方向に延びる図示なきガイドレールに沿って、測定子保持ユニット250をY方向に移動させる。X移動ユニット240は、Y移動ユニット230をX方向に移動させる。X移動ユニット240は、モータ245の駆動により、X方向に延びるガイドレール241に沿って、Y移動ユニット230をX方向に移動させる。Z移動ユニット220は、測定子保持ユニット250をZ方向に移動させる。Z移動ユニット220はY移動ユニット230に取り付けられ、モータ225の駆動により、Z方向に延びるガイドレール221に沿って、測定子保持ユニット250をZ方向に移動させる。
測定子保持ユニット250は、Z方向に延びる回転軸P1の軸回りに測定子軸282を回転する回転ユニット260を有する。回転ユニット260は、測定子軸282が取り付けられた回転ベース251と、回転軸P1を中心として回転ベース251を回転させるモータ265と、を有する。回転ベース251は、測定子軸282を、測定子281の先端方向に移動可能(傾斜可能)に保持する。また、回転ベース251は、測定子軸282を、Z方向に移動可能に保持する。測定子281の先端方向の位置、及び測定子軸282の中心位置は、検知器であるエンコーダ286により検知される。測定子281のZ方向の位置、及び測定子軸282のZ方向の位置は、検知器であるエンコーダ288により検知される。なお、測定子保持ユニット250は、測定子281の先端をリム(右リムFRRと左リムFRL)の溝に押し当てる測定圧を付与するための図示なき測定圧付与機構を備える。
<制御部>
図6は、本実施例に係る取得装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部50には、モニタ3、スイッチ部4、不揮発性メモリ55(以下、メモリ55)、エンコーダ(エンコーダ286、及び288)と、各モータ(モータ172、225、235、245、及び265)、等が電気的に接続されている。メモリ55は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体であってもよい。例えば、メモリ55としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、着脱可能なUSBメモリ、等を使用することができる。メモリ55は、測定ユニット200が測定したフレームFにおけるリムの第1情報、測定ユニット200が測定したデモレンズDL(または型板MP)の第2情報、制御部50が取得した加工制御データ、等を記憶してもよい。
例えば、制御部50は、一般的なCPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等で実現される。例えば、CPUは、取得装置1における各部の駆動を制御する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、CPUが実行する各種プログラムが記憶されている。なお、制御部50は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
<制御動作>
図7は、取得装置1の制御動作を示すフローチャートである。以下、取得装置1がフレームFに枠入れするレンズを加工するための玉型形状及び周長を取得し、これらを利用して加工制御データを作成する制御動作を、フローチャートに沿って説明する。
図8は、フレームFの一例である。図8(a)は、フレームFの外観図である。図8(b)は、フレームFを測定している状態の模式図である。本実施例では、取得装置1が、図8に示すフレームFに枠入れするレンズを加工するための玉型形状及び周長を取得する場合を例に挙げる。例えば、フレームFのリムには溝が形成され、デモレンズDLにはヤゲンが形成され、リムの溝にデモレンズのヤゲンが嵌め込まれることで、フレームFにレンズが枠入れされている。しかし、フレームFはリムに隙間Gをもち、リムの隙間GにはデモレンズDLが接触しない。なお、このようなフレームFを測定する際には、測定子281がリムの隙間Gで脱落する。
<フレームデータとレンズデータの取得(S1)>
まず、操作者は、モニタ3を操作して、予め、フレームFのフレーム形状データ、フレームFに枠入れするレンズのレンズ形状データ、レンズの加工条件、レンズのレイアウトデータ、等を入力する。例えば、フレーム形状データとしては、フレーム中心間距離、フレームのカーブ値、フレームの反り角、等が入力されてもよい。また、例えば、レンズ形状データとしては、デモレンズDLに対応したレンズの前屈折面及び後屈折面における位置の位置情報、デモレンズDLに対応した位置のコバ面の厚み、レンズの前屈折面におけるカーブ情報、等が入力されてもよい。また、例えば、レンズの加工条件としては、レンズの種類、レンズの材質、各種の加工の有無、等が入力されてもよい。また、例えば、本実施例では、レイアウトデータとして、デモレンズDLの後述する外形形状S2とレンズの光学中心との位置関係等が入力されてもよい。制御部50は、これらのデータをメモリ55に記憶させる。
<第1玉型形状の取得(S2)>
操作者は、フレームFからリムの第1玉型形状を取得する。本実施例では、取得装置1が備える測定ユニット200を用いて、フレームFのリムを測定することで、リムの第1玉型形状が取得される。なお、取得装置1の測定ユニット200を用いず、取得装置1とは別の装置にて測定したデータを受信することで、リムの第1玉型形状を取得することも可能である。
操作者は、スイッチ部4を操作して、測定モードを、リムの第1玉型形状を取得するためのフレームトレースモードに設定する。また、操作者は、第1スライダー102と第2スライダー103との間隔を広げ、リムの上側と下側をクランプピンでクランプすることで、フレーム保持ユニット100にフレームFを保持させる。なお、第1スライダー102の移動が制限された後述の状態(取付部10にホルダ15を取り付けた状態)よりも、第1スライダー102と第2スライダー103との間隔が狭い状態を検知することで、測定モードが自動的にフレームトレースモードに設定されてもよい。
続いて、操作者は、スイッチ部4を操作して、リムの第1玉型形状の測定を開始する。制御部50は、測定開始の信号が入力されると、測定ユニット200の駆動を制御して、右リムFRRの第1玉型形状を測定する。制御部50は、測定子281を初期位置から測定開始位置に移動させ、測定子281の先端を右リムFRRの溝に挿入する。例えば、本実施例では、測定子281のXY方向における初期位置が、右リムFRR側の位置SR(図2参照)に設定されている。位置SRは、そのX方向の位置が、クランプピン230a及び230bの中央の位置であり、Y方向の位置が、中心線N1の位置であってもよい。もちろん、初期位置は、任意の位置に設定可能であってもよい。
制御部50は、初期位置SRにて、測定子281の先端が右リムFRRの下側のクランプピン230a及び230bを向くように、回転ユニット260を回転させる。また、制御部50は、測定子281が右リムFRRの溝に接触するように、測定子保持ユニット250をリム側に移動させる。例えば、このようにして、測定子281は初期位置SRから測定開始位置へ移動され、測定子281の先端が右リムFRRの溝に挿入される。
制御部50は、測定子281の先端を右リムFRRの溝に沿って移動させる。このとき、制御部50は、モータ265を駆動することで、回転ベース251を回転角(動径角)毎に回転させるとともに、回転軸P1(図5(b)参照)の軸回りに測定子軸282及び測定子281を回転させる。測定子281は、リムの溝の変化に追従して、X方向、Y方向、及びZ方向に移動する。本実施例では、トレース時における測定子281のX方向及びY方向の位置が、エンコーダ286により検知され、トレース時における測定子281のZ方向の位置が、エンコーダ288により検知される。
ここで、本実施例におけるフレームFのリムには隙間Gが存在するため、測定子281が右リムFRRの隙間Gに差し掛かると、測定子281が右リムFRRから外れてしまう。例えば、制御部50は、測定開始位置から所定の方向へと測定子281を回転させるが、測定子281が右リムFRRから外れたことを検出した場合には、測定子281を測定開始位置へと戻し、測定開始位置から所定の方向とは逆の方向へと測定子281を回転させる。これによって、測定子281は、右リムFRRの周方向に移動し、右リムFRRの隙間Gを除く溝がトレースされる。
制御部50は、回転ベース251の回転角(動径角)毎に、基準位置から右リムFRRの溝までの動径長を得る。例えば、本実施例では、回転ベース251の回転角が0.36度毎に設定されている。また、例えば、本実施例では、基準位置が回転軸P1の位置に設定されている。例えば、回転ベース251のある回転角(θn)における動径長(rn)は、測定子軸282の回旋角と、回旋中心から測定子281の先端までの距離(これは既知である)と、に基づいて演算される。また、制御部50は、エンコーダ286及びエンコーダ288の検知信号に基づいて、回転ベース251の回転角毎に、X方向、Y方向、及びZ方向におけるリムの溝の位置を得る。回転ベース251を1回転させることで、右リムFRRの溝の3次元データ(xn,yn,zn)(n=1、2、3、・・・、N)が取得される。なお、本実施例において、このような3次元データは、3次元の直交座標で表されている。3次元データは、X方向及びY方向の位置を回転角θn及び動径長rnによって2次元の極座標で表すとともに、Z方向の位置をZ座標で表した(rn,zn,θn)(n=1,2,3、・・・、N)に適宜変換されてもよい。例えば、制御部50は、上記のように取得したリムの隙間Gを除く3次元データを、第1玉型形状としてメモリ55に記憶させる。なお、本実施例においては、このような3次元データが、第1リム形状としてメモリ55に記憶されてもよい。
図9は、フレームFにおけるリムの第1玉型形状の一例である。本実施例において、取得した第1玉型形状F1は3次元データであるが、後述する外形形状F2は2次元データである。このため、制御部50は、第1玉型形状F1のZ座標を省略することで、第1玉型形状F1と外形形状F2を同一次元にしてもよい。制御部50は、第1玉型形状F1における回転角θn毎のXY座標を繋ぎ合わせて2次元データとした第1玉型形状F2を取得し、メモリ55に記憶させる。
例えば、操作者は、右リムFRRの測定を終えると、同様に左リムFRLの溝の3次元データを取得する。なお、左リムFRLの溝における3次元データは、右リムFRRの溝における3次元データを左右反転させることで取得するようにしてもよい。
<第1玉型形状における欠損領域の特定(S3)>
ここで、第1玉型形状F1及びF2にはリムの隙間Gに該当する部分のデータがなく、一部が欠損した状態でメモリ55に記憶されている。制御部50は、リムの第1玉型形状F1及びF2において、玉型形状が欠損した領域(欠損領域R1)を特定する。本実施例において、リムの第1玉型形状F1は、回転ベース251の回転角毎に、測定開始位置P0(例えば、回転ベース251の回転角0度の位置)から所定の方向へ、順にデータが取得されている。しかし、例えば、測定子281が測定開始位置P0からリムの溝に沿って時計回りに進み、測定子281がリムの溝から外れたある回転角θn1以降では、第1玉型形状F1が得られていない。また、例えば、測定子281が測定開始点P0からリムの溝に沿って反時計回りの方向へ進み、測定子281がリムの溝から外れたある回転角θn2以降では、第1玉型形状F1が得られていない。このため、例えば、制御部50は、第1玉型形状F1における欠損領域R1を回転ベース251の回転角で表し、欠損領域R1を回転角θn1~θn2までの領域としてメモリ55に記憶する。
<外形形状の取得(S4)>
次に、操作者は、デモレンズDLから外形形状を取得する。本実施例では、取得装置1が備える測定ユニット200を用いて、フレームFから外したデモレンズDLを測定することで、デモレンズDLの外形形状が取得される。なお、取得装置1の測定ユニット200を用いず、取得装置1とは別の装置にて測定したデータを受信することで、デモレンズDLの外形形状を取得することも可能である。
操作者は、スイッチ部4を操作して、測定モードを、デモレンズDLの外形形状を取得するためのパターントレースモードに設定する。また、操作者は、右リムFRRから外した右デモレンズをホルダ15に取り付け、第1スライダー102と第2スライダー103との間隔を広げて、取付部10にホルダ15を取り付ける。このとき、第1スライダー102がホルダ15に接触し、第1スライダー102の手前側(操作者側)への移動が制限される。なお、第1スライダー102の移動が制限された状態を検知することで、測定モードが自動的にパターントレースモードに設定されてもよい。
続いて、操作者は、スイッチ部4を操作して、デモレンズDLの外形形状の測定を開始する。制御部50は、測定開始の信号が入力されると、測定ユニット200の駆動を制御して、右デモレンズの外形形状を測定する。制御部50は、測定子軸282を初期位置から測定開始位置に移動させ、測定子軸282のZ方向における中央部285(図5(b)に示す斜線部)を右デモレンズの周縁に接触させる。例えば、本実施例では、測定子軸282のX方向の位置が、クランプピン230a及び230bの中央の位置に設定されている。また、例えば、本実施例では、測定子軸282のY方向における初期位置が、デモレンズDLの取付中心軸P2(図3参照)の位置に設定されている。もちろん、初期位置は、任意の位置に設定可能であってもよい。
制御部50は、このような初期位置にて、測定子軸282の中央部285が、ホルダ15に取り付けられたデモレンズDLの高さに位置するように、測定子保持ユニット250を駆動する。また、制御部50は、測定子軸282の中央部285が、デモレンズDLの周縁に接触するように、測定子保持ユニット250をデモレンズDL側に移動させる。例えば、このようにして、測定子軸282は初期位置から測定開始位置へ移動され、測定子軸281の中央部285が右デモレンズの周縁に接触する。
制御部50は、測定子軸282を右デモレンズの周縁に沿って移動させる。このとき、制御部50は、モータ265を駆動することで、回転ベース251を回転角(動径角)毎に回転させるとともに、回転軸P1(図5(b)参照)の軸回りに測定子軸282を回転させる。測定子軸282は、右デモレンズの周縁の変化に応じて、X方向及びY方向に移動する。本実施例では、トレース時における測定子軸282のX方向及びY方向の位置が、エンコーダ286により検知される。これによって、測定子軸282は、右デモレンズの周縁に沿って移動し、右デモレンズの周縁がトレースされる。
制御部50は、回転ベース251の回転角(動径角)θn毎に、基準位置から右デモレンズの周縁までの動径長rnを得る。例えば、本実施例では、基準位置が取付中心軸P2の位置に設定されている。また、制御部50は、エンコーダ286の検知信号に基づいて、回転ベース251の回転角毎に、X方向及びY方向における右デモレンズの周縁の位置を得る。回転ベース251を1回転させることで、右デモレンズ(本実施例では、右デモレンズに形成されたヤゲンの頂点)の全周の2次元データ(xn,yn)(n=1,2,3、・・・、N)が取得される。本実施例では、このような2次元データが、2次元の直交座標(すなわち、XY座標)で表されている。
図10は、デモレンズDLの周縁の外形形状S2の一例である。制御部50は、回転角θn毎のYX座標を繋ぎ合わせることで、外形形状S2を取得し、メモリ55に記憶させる。例えば、操作者は、右デモレンズの測定を終えると、同様に左デモレンズの周縁の2次元データを取得する。なお、左デモレンズの周縁における2次元データは、右デモレンズの周縁における2次元データを左右反転させることで取得してもよい。
<鋳型領域における対応領域の特定(S5)>
デモレンズDLの外形形状S2は、回転ベース251の回転角毎に、測定開始位置P0(回転角0度の位置)から所定の方向へ、順にデータが取得されている。本実施例では、フレームFのリムに隙間Gがあるため、デモレンズDLをリムに枠入れした際、デモレンズDLの一部はリムに接触しない。外形形状S2には、このような、デモレンズDLがリムに接触しない領域(非接触領域R2a)の情報が含まれる。制御部50は、外形形状S2において、非接触領域R2aを特定する。
なお、本実施例において、リムの第1玉型形状F1から特定される欠損領域R1はリムの隙間Gに該当する領域であるため、リムの第1玉型形状F1における欠損領域R1と、デモレンズDLの外形形状S2における非接触領域R2aとでは、回転ベース251の回転角が略同一になると考えることができる。このため、デモレンズDLの外形形状S2における非接触領域R2aは、リムの第1玉型形状F1における欠損領域R1と同様の回転角θn1~θn2までの領域としてもよい。つまり、デモレンズDLの外形形状における非接触領域R2aを、リムの第1玉型形状F1における欠損領域R1に対応する対応領域(以下、対応領域R2a)としてもよい。制御部50は、このような対応領域R2aをメモリ55に記憶する。
<欠損領域に対する対応領域の適用(S6)>
制御部50は、リムの第1玉型形状F2とデモレンズの外形形状S2をそれぞれ取得すると、第1玉型形状F2の少なくとも一部に、外形形状S2の少なくとも一部を適用する。本実施例では、第1玉型形状F2において玉型形状が欠損した欠損領域R1に、デモレンズにおいて欠損領域R1に対応する対応領域R2aが適用される。
図11は、リムの第1玉型形状F2とデモレンズDLの外形形状S2の関係を示す図である。図11(a)は、第1玉型形状F2に外形形状S2を適用する適用処理を説明する図である。図11(b)は、第1玉型形状F2に外形形状S2を適用することで取得される第2玉型形状K1を示す図である。例えば、リムの第1玉型形状F2とデモレンズDLの外形形状S2は、必ずしも完全には一致しない。一例として、リムの溝底に対してデモレンズDLのヤゲン頂点が浅い場合、リムの第1玉型形状F2は、デモレンズDLの外形形状S2よりも一回り大きな形状となる。また、一例として、リムの溝の深さとデモレンズDLのヤゲンの長さとの関係が回転角θn毎に異なる場合、リムの溝の第1形状S1とデモレンズDLの外形形状S2は、互いに異なる形状となる。
このため、制御部50は、リムの第1玉型形状F2とデモレンズDLの外形形状S2において、その一方の形状が他方の形状に略一致するように、少なくともいずれかの形状を補正してもよい。本実施例では、デモレンズDLの外形形状S2を補正し、外形形状S2をリムの第1玉型形状F2に略一致させる。より詳細には、デモレンズDLの外形形状S2を補正することで、デモレンズDLの外形形状S2における対応領域R2aとは異なる領域(非対応領域R2b)を、リムの第1玉型形状F2に略一致させる。
一例として、このような外形形状S2の補正は、外形形状S2と第1玉型形状F2とが略同一の形状であることを利用し、外形形状S2を拡大あるいは縮小する補正であってもよい。この場合、すべての回転角θnにおいて一様の比率が適用されてもよいし、回転角θn毎に異なる比率を適用してもよい。また、一例として、このような外形形状S2の補正は、外形形状S2を第1玉型形状F2に重ね合わせるためのパラメータを作成し、パラメータに基づいて外形形状S2を変形させる補正であってもよい。これによって、デモレンズDLの外形形状S2は、その回転角θn毎のXY座標が変化し、リムの第1玉型形状F2における回転角θn毎のXY座標に略一致するようになる。
制御部50は、補正されたデモレンズDLの外形形状S2から、対応領域R2aの回転角θn1~θn2に対応するXY座標を抽出し、リムの第1玉型形状F2における欠損領域R1の回転角θn1~θn2に適用させる。これによって、リムの第1玉型形状F2と、デモレンズDLにおける対応領域R2aに該当する外形形状S2’と、を回転角θn1とθn2でそれぞれ繋ぎ合わせた、リムの第1玉型形状F2とは異なる形状である第2玉型形状K1が取得される。
続いて、制御部50は、リムの第1リム形状(本実施例では、3次元データである第1玉型形状F1)の少なくとも一部に、デモレンズの外形形状S2の少なくとも一部を適用する。本実施例では、第1リム形状における欠損領域R1に、デモレンズにおける欠損領域R1に対応する対応領域R2aが適用される。例えば、制御部50は、デモレンズDLの外形形状S2を補正し、外形形状S2をリムの第1リム形状に略一致させる。より詳細には、デモレンズDLの外形形状S2を補正することで、デモレンズDLの外形形状S2における対応領域R2aとは異なる領域(非対応領域R2b)を、リムの第1リム形状に略一致させる。これによって、デモレンズDLの外形形状S2は、その回転角θn毎のXY座標が変化し、リムの第1リム形状における回転角θn毎のXY座標に略一致するようになる。
制御部50は、補正されたデモレンズDLの外形形状S2’から、対応領域R2aの回転角θn1~θn2に対応するXY座標を抽出し、リムの第1リム形状における欠損領域R1の回転角θn1~θn2に適用させる。これによって、リムの第1リム形状と、デモレンズDLにおける対応領域R2aに該当する外形形状S2’と、を回転角θn1とθn2でそれぞれ繋ぎ合わせた、リムの第1リム形状とは異なる形状である第2リム形状が取得される。
さらに、制御部50は、第2リム形状に基づいて、リムの全体の周長Waを取得する。本実施例において、制御部50は、リムの第1リム形状(第1玉型形状F1)の3次元データから、各々の位置座標間の距離を算出して足し合わせることで、欠損領域R1(回転角θn1~θn2)を除く第1周長W1を取得する。また、制御部50は、回転角θn1及びθn2のZ座標と、外形形状S2’と、を利用して、回転角θn1~θn2までのZ座標を予測することで、欠損領域R1の第2周長W2を取得する。なお、制御部50は、回転角θn1及びθn2のZ座標と外形形状S2’に加えて、予め取得したレンズのカーブ情報、フレームのカーブ情報、デモレンズのカーブ情報、等の少なくともいずれかを用いることで、回転角θn1~θn2までのZ座標を予測し、欠損領域R1の第2周長W2を取得してもよい。制御部50は、第1周長W1と第2周長W2を足し合わせることで、第2リム形状に基づくリムの全体の周長Waを取得する。
<レンズの玉型形状と周長の取得(S7)>
本実施例においては、リムの第2玉型形状K1と、周長Waと、をより最適な状態に補正することで、フレームFのリムに枠入れするレンズを加工するための玉型形状と周長がそれぞれ取得される。例えば、制御部50は、フレーム形状データ、レンズ形状データ、レイアウトデータ、等から、レンズに形成するヤゲンの頂点位置、ヤゲンのカーブ値、ヤゲンの傾斜角度、等を自動的に設定する。例えば、ヤゲンの頂点の位置は、レンズのコバ厚に基づいて、コバ厚が最も薄い部分の半分の位置を通るように設定されてもよい。また、例えば、ヤゲンのカーブは、レンズの前面カーブに沿ったカーブであってもよい。なお、設定されたヤゲンの頂点位置、ヤゲンのカーブ値、ヤゲンの傾斜角度、等は、操作者が手動で調整することもできる。これによって、リムの第2玉型形状K1における3次元データが取得される。さらに、この3次元データに基づき、回転角θn毎の位置座標間の距離からレンズの周長Wbが取得される。
制御部50は、第2リム形状に基づいて取得されたリムの全体の周長Waと、リムの第2玉型形状K1を3次元データとすることで取得されたレンズの周長Wbと、が異なる長さであった場合には、周長Waと周長Wbとが同一(略同一)の長さとなるように、第2玉型形状K1の大きさを調整してもよい。例えば、周長Wa<周長Wbであった場合には、周長Wa=周長Wbとなるように、第2玉型形状K1の大きさを全体的に縮小する。また、周長Wa>周長Wbであった場合には、周長Wa=周長Wbとなるように、第2玉型形状K1の大きさを全体的に拡大する。これによって、レンズを加工するための玉型形状と周長が取得される。
<加工制御データの取得(S8)>
制御部50は、取得した玉型形状、レイアウトデータ、加工条件、等を用いて、フレームFに枠入れするレンズを加工するための加工制御データを取得する。本実施例では、制御部50によって、眼鏡レンズ周縁加工装置におけるチャック軸の回転、チャック軸の移動、等を制御する加工制御データが演算される。例えば、制御部50は、このようにして加工制御データを取得し、レンズ周縁加工装置に送信してもよい。もちろん、取得した玉型形状、レンズのレイアウトデータ、レンズの加工条件、等がレンズ周縁加工装置に送信され、レンズ周縁加工装置の制御部にて加工制御データが演算されてもよい。例えば、レンズ周縁加工装置の制御部は、加工制御データに基づいたレンズの加工を実施する。これによって、操作者は、フレームFへの枠入れ状態がよいレンズを取得することができる。
以上説明したように、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工情報取得装置は、眼鏡フレームのリムの第1玉型形状またはリムの第1リム形状を取得し、眼鏡フレームのデモレンズあるいは型板の形状である外形形状を取得し、第1玉型形状の少なくとも一部に外形形状の少なくとも一部を適用することで、第1玉型形状とは異なる第2玉型形状を取得する、または、第1リム形状の少なくとも一部に外形形状の少なくとも一部を適用することで、第1リム形状とは異なる第2リム形状を取得するとともに、第2リム形状に基づいて、第1リム形状が補正されたリムの全体の周長を取得する。例えば、従来、フレームのリムから情報を得られないとき等は、デモレンズ(または型板)から情報を得て、レンズを加工するための玉型形状と周長をしていたが、フレームへの加工済みレンズの枠入れ状態が好ましくないことがあった。しかし、本実施例の制御を行うことによって、操作者は、リムから情報が得られなかった場合であっても、リムの情報を考慮したレンズの玉型形状と周長を取得することができる。これらの玉型形状及び周長を用いて加工制御データを作成し、レンズの周縁を加工することによって、従来よりもフレームへのレンズの枠入れを適した状態に改善することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工情報取得装置は、フレームのリムの第1玉型形状または第1リム形状から所定の領域を特定し、デモレンズあるいは型板の外形形状から所定の領域に対応する対応領域を特定し、所定の領域の少なくとも一部に対応領域の少なくとも一部を適用する。リムの所定の領域及びデモレンズあるいは型板の対応領域をそれぞれ特定しておくことで、リムの所定の領域に対するデモレンズあるいは型板の対応領域の適用がスムーズに行われる。また、リムの所定の領域とデモレンズあるいは型板の対応領域をそれぞれ特定しておくことで、リムの所定の領域に対してデモレンズあるいは型板の対応領域が正確に適用され、より精度の良いレンズの玉型形状と周長を取得することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工情報取得装置において、リムの所定の領域は、リムの第1玉型形状または第1リム形状の一部が欠損した欠損領域であって、リムの欠損領域の少なくとも一部に、デモレンズあるいは型板の対応領域の少なくとも一部が適用される。これによって、リムの溝深さや反り等が影響して測定子が外れてしまうフレーム、リムに隙間があるフレーム(リムが部分的に欠損したフレーム)、等から得られた不完全なリムの情報であっても、デモレンズあるいは型板の情報を利用して、リムの情報を考慮したレンズの玉型形状と周長を取得することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工情報取得装置において、眼鏡フレームは、眼鏡レンズを枠入れした際に、リムの半分以上が眼鏡レンズに接触する眼鏡フレームである。例えば、リムに隙間があるフレーム(リムが部分的に欠損したフレーム)、リムにレンズの一部が嵌まらないフレーム(リムにレンズの一部が接触しないフレーム)、等に対しては、隙間から測定子が脱落する、リムの形状とレンズの形状が不一致となる、こと等から、フレームのリムの情報を得ることが難しく、デモレンズあるいは型板の情報がレンズの加工に利用されていた。しかし、このような場合には、フレームに対してレンズを上手く枠入れできないことがあった。一例としては、適切な玉型形状を得られないために、フレームに対してレンズを上手く枠入れできないことがあった。本実施例によっては、リムの欠損部分やレンズが接触しない部分の情報を取得し、リムの全体の情報(一例として、リムの反り、リムのカーブ、左右のレンズ間の距離、等)を考慮してレンズを加工できるため、これらのフレームに対する枠入れ状態が改善される。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工情報取得装置は、リムの第2玉型形状とリムの全体の周長に基づく加工制御データを取得する。操作者は、これによって、従来よりも精度のよい加工制御データを取得することができ、さらに、この加工制御データをレンズの加工に用いることで、眼鏡フレームに対する眼鏡レンズの枠入れ状態が改善される。
<変容例>
なお、本実施例では、リムの第1玉型形状を取得するためのフレームトレースモードによる測定を実施した後に、デモレンズDL(または型板MP)の周縁の外形形状を取得するためのパターントレースモードによる測定を実施する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。フレームトレースモードによる第1玉型形状の取得と、パターントレースモードによる外形形状の取得と、はどちらを先に実施してもよい。また、フレームトレースモードによる第1玉型形状の取得と、パターントレースモードによる外形形状の取得は、自動的に連続で実施されてもよい。
なお、本実施例では、測定ユニット200を用いてリムとデモレンズを測定することで、リムの第1玉型形状とデモレンズの外形形状とをそれぞれ取得する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、本実施例における取得装置1は、リムの第1玉型形状を測定する第1測定ユニットと、デモレンズ(または型板)の外形形状を測定する第2測定ユニットを、それぞれ備える構成であってもよい。この場合、第1玉型形状の取得と外形形状の取得とを同時に行い、測定時間を短縮することができる。
なお、本実施例では、リムから測定子281が外れた回転角θnを検出することによって、リムに欠損領域R1があるか否かの判定と、リムの欠損領域R1の特定と、が同時に行われる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。もちろん、リムに欠損領域R1が存在するか否かの判定は、リムの欠損領域R1の特定とは別に行われてもよい。
例えば、リムの欠損領域R1の有無は、操作者がモニタ3あるいはスイッチ部4を操作することにより入力された入力信号に基づいて判定されてもよい。また、例えば、リムの欠損領域R1の有無は、リムから測定子281が外れたか否かを検出することで判定されてもよい。また、例えば、リムの欠損領域R1の有無は、フレームFを撮影し、その撮影画像を画像処理で解析(例えば、エッジ検出等)することで判定されてもよい。なお、この場合は、デモレンズDLが枠入れされた状態のフレームFを撮影しても、デモレンズDLが枠入れさていない状態のフレームFを撮影してもよい。
例えば、制御部50がフレームFに欠損領域R1が存在しないと判定した場合、フレームFのリムから加工するレンズの玉型形状及び周長が取得されてもよい。しかし、例えば、制御部50がフレームFに欠損領域R1が存在すると判定した場合、その判定結果に基づいて、本実施例のような、欠損領域R1に対応領域R2aを適用する適用処理が実行されてもよい。これによって、必要に応じた適切な処理が実行されるので、フレームに合わせたレンズの最適な玉型形状及び周長を得ることができる。
なお、制御部50がフレームFに欠損領域R1が存在すると判定した場合、制御部50は、判定結果に基づいて、操作者にデモレンズDLの測定を促すための誘導情報(例えば、モニタ3へのメッセージ表示、音声ガイドの発生、スイッチ部の点滅、等の少なくともいずれか)が出力される構成としてもよい。
また、制御部50がフレームFに欠損領域R1が存在すると判定した場合であっても、リムの欠損領域R1の大きさによっては、必ずしも第1玉型形状F2の欠損領域R1に外形形状S2の対応領域R2aを適用しなくてもよい。例えば、第1玉型形状F2の欠損領域R1が所定の回転角θnの範囲よりも狭い場合等には、第1玉型形状F2における所定の回転角θnの範囲の前後の回転角の位置座標を利用した補間処理(例えば、直線補間、曲線補間、等)を行うようにしてもよい。一例として、制御部50は、欠損領域R1よりも前の任意の回転角θnに相当する点(例えば、10個の点、等)の位置座標から二次関数を求めるとともに、欠損領域R1よりも後の任意の回転角θnに相当する点(例えば、10個の点、等)の位置座標から二次関数を求める。制御部50は、それぞれの二次関数を近似した近似関数を求めることで、欠損領域R1を補間してもよい。
なお、本実施例では、リムから測定子281が外れた回転角θnを検出することによって、リムの第1玉型形状F2から欠損領域R1を特定する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。操作者が予め欠損領域R1を指定することによって、リムの第1玉型形状F2から欠損領域R1を特定する構成としてもよい。例えば、この場合には、パターントレースモードによりデモレンズDLの外形形状S2が取得され、モニタ3に外形形状S2が表示されてもよい。操作者は、モニタ3またはスイッチ部4を操作して、外形形状S2上の任意の位置を指定する。例えば、デモレンズがリムと接触する始点と終点の2点を指定する。これによって、制御部50が、リムの欠損領域R1の回転角θn1とθn2を取得してもよい。もちろん、リムの第1玉型形状F2における欠損領域R1は、フレームFを撮影した撮影画像を画像処理で解析することで、その回転角θn1とθn2が特定されてもよい。
なお、本実施例では、リムの第1玉型形状F2にデモレンズの外形形状S2を略一致させることで、リムの欠損領域R1に対応領域S1を適用する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、デモレンズの外形形状S2をリムの第1形状S1に略一致させることで、リムの欠損領域R1に対応領域S1を適用する構成としてもよい。より詳細には、リムの第1玉型形状F2を補正することで、デモレンズDLの外形形状S2における対応領域R2aとは異なる領域(非対応領域R2b)に、リムの第1玉型形状F2を略一致させてもよい。制御部50は、デモレンズDLの外形形状S2から対応領域R2aの回転角θn1~θn2に対応するXY座標を抽出し、これを補正されたリムの第1玉型形状における欠損領域R1の回転角θn1~θn2に適用させることで、リムの第2玉型形状K1を取得してもよい。
なお、本実施例では、必ずしもリムの第1玉型形状F2とデモレンズの外形形状S2を用いて、欠損領域R1に対応領域R2aを適用しなくてもよい。例えば、デモレンズの外形形状S2における対応領域R2aのみを用いて、欠損領域R1に対応領域R2aを適用してもよい。この場合、デモレンズの外形形状S2において、対応領域R2aに相当する回転角θnにおける各点の位置座標を抽出し、抽出した位置座標の両端の点(すなわち、回転角θn1及びθn2の点)が、欠損領域R1の回転角θn1及びθn2に一致するように、対応領域R2aの形状を拡大または縮小することで、リムの第2玉型形状K1を取得してもよい。
なお、本実施例では、リムに隙間Gをもつフレーム(リムが部分的に欠損したフレーム)に対して、上記の適用処理を行うことで、レンズの玉型形状及び周長を取得する場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、リムにレンズの一部が嵌まらないフレーム(リムにレンズの一部が接触しないフレーム)等に対して、上記の適用処理を行い、レンズの玉型形状及び周長を取得してもよい。すなわち、本実施例では、フレームにレンズを枠入れした際、少なくともフレームのリムの半分以上がレンズに接触するフレームに対して、上記の適用処理を行い、レンズの玉型形状及び周長を取得してもよい。また、本実施例では、フレームのリムの一部から第1玉型形状を上手く得られない場合等に、上記の適用処理を行い、レンズの玉型形状及び周長を取得してもよい。このようなデータを用いて加工制御データを作成し、レンズを加工することで、フレームにレンズを枠入れした際に生じるガタつき、歪、不安定さ、等を改善することができる。
なお、本実施例では、第1玉型形状及び外形形状に基づいてレンズの玉型形状を取得し、玉型形状に基づいて加工制御データを取得する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第1玉型形状及び外形形状に基づいて、加工制御データを直接取得するようにしてもよい。
なお、本実施例では、取得装置1にてレンズの玉型形状及び加工制御データが取得される場合を例に挙げて説明したがこれに限定されにない。もちろん、別装置(例えば、特開2016-190287号公報に記載の眼鏡レンズ加工装置、等)にて、玉型形状及び加工制御データが取得されてもよい。この場合には、第1玉型形状及び外形形状が別装置に転送される構成としてもよいし、第1玉型形状と外形形状に基づいて取得された第2玉型形状K1が別装置に転送される構成としてもよい。