JP2020001013A - 光触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた光触媒活性を有するとともに、耐熱性にも優れた光触媒機能性素材を得る。【解決手段】リンとニオブの酸化物結晶(Nb9PO25など)またはその固溶体を含有することによって、優れた耐熱性と優れた光触媒特性(メチレンブルーの分解活性指数が5.0nmol/L/min以上)を持つ素材を提供できる。更に、多孔質化することで表面積を増加させ光触媒活性能力を向上することができ、大きさや形状などを加工する場合の自由度が高く、光触媒機能が要求される様々な物品に利用できる。【選択図】図1

Description

本発明は、光触媒セラミックス、その製造方法及びその利用に関する。
光触媒は、光を吸収してエネルギーの高い状態になり、このエネルギーを用いて反応物質に化学反応を起こす材料である。光触媒としては、金属イオンや金属錯体等も用いられているが、特に二酸化チタン(TiO)をはじめとする半導体の無機化合物が光触媒として高い触媒活性を有することが知られており、特によく使用されている。半導体は、通常電気を通さないが、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーの光が照射されると、電子が伝導帯に移動することで電子の抜けた正孔が生成され、これら電子と正孔によって強い酸化還元力を持つようになる。光触媒の持つこの酸化還元力は、汚れや汚染物質、悪臭成分等を分解・除去し、浄化する働きを有する。これらの光触媒は、太陽光等を利用して酸化還元力を得られることから、エネルギーフリーな環境浄化技術として注目を浴びている。
代表的な光触媒物質としては二酸化チタン(TiO)があり、これは水や酸・アルカリに対する安定性に優れており且つ安全な無毒性物質であるとされている。特に、二酸化チタン(TiO)がアナターゼ型の結晶構造をもつことで、紫外線の照射によって有機物を分解する防汚効果、抗菌性および親水性を発揮することが知られている。
しかし、アナターゼ型TiOは耐熱性が弱く、700℃以上の温度で光触媒活性を示さないルチル型に変わってしまうため、作製工程における作業温度が制約されるという問題点がある。
光触媒活性を有する化合物(以下、単に「光触媒化合物」と記すことがある。)は、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーの光が照射されると、電子や正孔を生成するため、光触媒化合物の近傍において、酸化還元反応が強く促進される。二酸化チタンはバンドギャップが3〜3.2eVであるため、主に波長400nm以下の紫外線によって光触媒活性が得られる。一方、酸化タングステン(例えばWO)は、バンドギャップが約2.5eVであるため、可視光応答性の光触媒活性を有する。
ここで、種々の波長の光による応答性を得たり、特定の光触媒反応を進み易くしたりする目的で、光触媒化合物の結晶構造を変化させる技術が検討されている。例えば、特許文献2では、Ti原子を含有するペロブスカイト型構造を有する結晶からなる光触媒が開示されている。また、特許文献3では、AMWO(式中、Aはアルカリ金属及び/又は水素であり、MはV、Nb及びTaのうち1種以上である)を構成成分とする複合金属酸化物の結晶からなる光触媒が開示されている。
特開2004−283769号公報 特開2007−075678号公報 特開2000−189806号公報
しかしながら、特許文献1〜3の技術では、光触媒のバンドギャップの大きさについては着目しているものの、光触媒活性の大きさには着目しておらず、その光触媒活性が弱く且つ不充分である点で問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、リンとニオブの酸化物結晶を含有することにより、耐熱性と光触媒活性を共に高めた光触媒機能性素材を提供する。更に、それを用いたスラリー状混合物、成形部材及び塗料を提供できる。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、リンとニオブの酸化物結晶を含有することによって、耐熱性が高く優れた光触媒機能を有する素材及び製品を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の(1)〜(3)に存する。
(1)リンとニオブの酸化物結晶を含有し、日本工業規格JIS R 1703−2:2007に基づくメチレンブルーの分解活性指数が5.0nmol/L/min以上であることを特徴とする光触媒。
(2)NbPO25、Nb2.5及びこれらの固溶体からなる群より選択される1種以上の結晶相を含有することを特徴とする(1)に記載の光触媒。
(3)(1)又は(2)に記載の光触媒を含有することを特徴とする多孔質光触媒。
本発明の光触媒は、リンとニオブの酸化物結晶を含有し、耐熱性が高く、優れた光触媒活性を有する。更に、多孔質化することで表面積を増加させ光触媒活性能力を向上することができ、大きさや形状などを加工する場合の自由度が高く、光触媒機能が要求される様々な物品に利用できる。従って、本発明の光触媒セラミックスは、光触媒機能性素材として有用である。
実施例1のXRDパターンを示す図である。
以下、本発明の一実施形態を説明するが、これに本発明が限定されるものではない。
本発明のセラミックスに含まれる光触媒活性を有する結晶相としては、リンとニオブとの酸化物結晶が好ましい。
特に、NbPO25、Nb2.5及びこれらの固溶体からなる群より選択される1種以上の結晶相を含有することが好ましい。これらの結晶相を含有することで、より優れた光触媒活性を得ることができる。
特に、これらの結晶の固溶体を用いる場合、バンドギャップエネルギーを調整することができるので、光に対する応答性を向上させることが可能である。固溶体とは、2種類以上の金属固体又は非金属固体が互いの中に原子レベルで溶け込んで全体が均一の固相になっている状態のことをいい、混晶という場合もある。溶質原子の溶け込み方によって、結晶格子の隙間より小さい元素が入り込む侵入型固溶体や、母相原子と入れ代わって入る置換型固溶体等がある。
以下、本明細書では、前述した光触媒活性を有する結晶及びその固溶体結晶を総称して「光触媒結晶」と表現する。
また、「光触媒活性」とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことをいう。光触媒活性によって有機物質の分解作用や表面の親水化作用を示すことが知られている。
本発明のセラミックスは、紫外領域から可視領域までの波長の光によって触媒活性が発現されることが好ましい。ここで、本発明でいう「紫外領域の波長の光」は、波長が可視光線より短く軟X線よりも長い不可視光線の電磁波のことであり、その波長はおよそ10〜400nmの範囲にある。また、本発明でいう「可視領域の波長の光」は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の電磁波のことであり、その波長はおよそ400nm〜700nmの範囲にある。これら紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光、又はそれらが複合した波長の光がセラミックスの表面に照射されたときに触媒活性が発現されることにより、セラミックスの表面に付着した汚れ物質や細菌等が酸化反応又は還元反応によって分解されるため、セラミックスを防汚用途や抗菌用途等に用いることができる。
本発明のセラミックスは、紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光、又はそれらが複合した波長の光によって触媒活性が発現される。より具体的には、紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光を照射したときに、メチレンブルーなど液中の有機物を分解する特性を有する。これにより、光触媒セラミックスの表面に付着した汚れ物質や細菌等が酸化又は還元反応によって分解されるため、光触媒を防汚用途や抗菌用途等に用いることができる。
本発明のセラミックスは、液中の有害物質である有機物を分解し、種々の物質の浄化に用いることができる。有機物からなる不純物等が分解されるため、浄化対象となる物質を清浄に保つことができる。
本発明のセラミックスは、Si成分、Al成分、Ti成分、Cu成分、Ag成分、Au成分、Pd成分、Re成分、及びPt成分から選ばれる少なくとも1種の金属イオン又は粒子を含むことが好ましい。これらの金属イオン又は粒子は、所望の結晶の近傍に存在することで、光触媒活性を向上させることができる任意成分である。しかし、これらの金属イオン又は粒子の含有量の合計が、酸化物換算組成のセラミックス全物質量に対する外割り物質量比で、3%を超えると、光触媒活性がかえって低下し易くなる。従って、上記金属イオン又は粒子の含有量の、酸化物換算組成のセラミックス全質量に対する外割り質量比の合計は、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.15%以下を上限とする。
これらの金属イオン又は粒子は、原料として例えばSiO、TiO、CuO、CuO、Cu(NO)、AgO、AuCl、PtCl、PtCl、HPtCl、PdCl等を用いてセラミックスに導入することができる。
なお、これらの成分を含有する場合に、上記金属イオン又は粒子の含有量の、酸化物換算組成のセラミックス全物質量に対する外割り物質量比の合計は、好ましくは2.5×10−3%以上、より好ましくは5.0×10−3%以上、さらに好ましくは1.0×10−2%以上を下限とする。
[非金属元素成分及び金属元素成分]
本発明の光触媒には、F成分、Cl成分、Br成分、S成分、N成分及びC成分からなる群より選ばれる1種以上の非金属元素成分が含まれていてもよい。これら非金属元素成分は、ナシコン型結晶に固溶し、又はその近傍に存在することで、光触媒の光触媒特性が向上する成分であり、光触媒中に任意に含有できる成分である。しかし、これら非金属元素成分の含有量が合計で20.0%を超えると、光触媒の機械的特性が著しく悪くなり、光触媒特性も低下し易くなる。従って、良好な機械的特性及び光触媒特性を確保するために、光触媒の全質量に対する非金属元素成分の含有量の合計は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、最も好ましくは5.0%以下を上限とする。
非金属元素成分の原料は、特に限定されないが、N成分の原料としてAlN、SiN等、S成分の原料としてNaS,Fe,CaS等、F成分の原料としてZrF、AlF、NaF、CaF等、Cl成分の原料としてNaCl、AgCl等、Br成分の原料としてNaBr等、C成分の原料としてTiC、SiC又はZrC等を用いることができる。なお、これらの原料は、2種以上を組み合わせて添加してもよいし、単独で添加してもよい。
本発明のセラミックスには、上記成分以外の成分を光触媒の特性を損なわない範囲で必要に応じ、含有することができる。但し、PbO等の鉛化合物、Th、Cd、Tl、Os、Se、Hgの各成分は、近年有害な化学物質として使用を控える傾向にあり、セラミックスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、セラミックスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、このセラミックスを製造し、加工し、及び廃棄することができる。
[光触媒の物性]
本発明の光触媒は、紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光、又はそれらが複合した波長の光によって触媒活性が発現される。より具体的には、紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光を照射したときに、メチレンブルー等の有機物を分解する特性を有する。これにより、光触媒の表面に付着した汚れ物質や細菌等が酸化又は還元反応により分解されるため、光触媒を防汚用途や抗菌用途等に用いることができる。ここで、本発明において、メチレンブルーの分解活性指数とは、日本工業規格JIS R 1703−2:2007に基づくメチレンブルーの分解活性指数によって測定された数値である。本発明では、分解活性指数が、3.0nmol/L/min以上が好ましく、3.5nmol/L/min以上がより好ましく、4.0nmol/L/min以上がさらに好ましく、5.0nmol/L/min以上が最も好ましい。また、本発明でいう光触媒は、メチレンブルーの分解活性指数が3.0nmol/L/min以上のものに限られず、有機物を分解する特性を有するものを広く指す。
また、本発明の光触媒は、優れた耐熱性を有する。これにより、光触媒を高温下で加熱処理した場合や光触媒を長時間に亘り加熱処理した場合にも光触媒特性が失われ難くなるため、光触媒の使用温度の幅を広げ、且つ応用製品の幅を広げることができる。すなわち、焼成等の加熱処理の条件や回数によらず、安定した光触媒特性を有する光触媒を得ることができる。ここで、900℃の大気中で1時間加熱する加熱試験を行った後における光触媒のメチレンブルーの分解活性指数は、3.0nmol/L/min以上が好ましく、4.0nmol/L/min以上が好ましく、5.0nmol/L/min以上が最も好ましい。
また、本発明の光触媒は、表面が親水性を呈することが好ましい。これにより、光触媒の表面がセルフクリーニング作用を有するため、光触媒の表面を水で容易に洗浄でき、汚れによる光触媒特性の低下を抑制することができる。ここで、紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光、又はそれらが複合した波長の光を照射した際の、光触媒の表面と水滴との接触角は、30°以下が好ましく、25°以下がより好ましく、20°以下が最も好ましい。
[光触媒の製造方法]
次に、本発明の光触媒を好適に作製できる製造方法について説明する。
この製造方法は、例えば、原料組成物を混合する混合工程、及び混合された原料組成物を焼成するか、原料組成物を所望の形状に成形して焼成することにより所望の結晶相を生成させる焼成工程を含む固相法を用いることができる。これにより、混合された原料組成物に含まれる各成分が互いに拡散して固相反応を起こすことで所望の結晶相が形成されるため、所望の結晶相の単位体積あたりの密度を高め、機械的強度に優れた光触媒を得ることができる。
以下、各工程の詳細を説明する。
(混合工程)
混合工程では、所定の原料組成物を混合する。ここで用いられる原料組成物は、結晶相を含有していてもよい。原料組成物が結晶相を含有することで、結晶相が焼成工程の生成物の結晶成長する際の核になり易くなる。そのため、焼成工程をより短い時間で行い易くできる。
混合した原料組成物は、必要に応じてボールミル等で粒径及び/又は粒度分布を調整する。これにより、原料組成物の粒度が揃えられるため、焼成工程において固相反応を進み易くすることができる。原料組成物の粒子径は、焼成工程における固相反応の起こし易さ等に応じて適宜設定できる。具体的には、焼成工程における焼成時間を短くできる点で平均粒子径は出来るだけ小さい方が好ましい。そこで、原料組成物の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以下を上限とする。なお、原料組成物の平均粒子径は、例えばレーザー回折散乱法によって測定した時のD50(累積50%径)の値を使用できる。具体的には日機装株式会社の粒度分布測定装置MICROTRAC(MT3300EXII)によって測定した値を用いることができる。
(焼成工程)
焼成工程では、原料組成物、またはそれを所望の形状に成形したもの、を加熱して焼成を行うことで、所望の結晶を生成する。ここで、焼成工程の具体的な工程は、特に限定されないが、粉粒体を基材上に配置する工程と、基材上に配置された粉粒体を設定温度へと徐々に昇温させる工程、粉粒体を設定温度に一定時間保持する工程、粉粒体を室温へと徐々に冷却する工程を含んでよい。
ここで、原料組成物を基材上に配置するには、原料組成物を所定の厚み・寸法で基材上に配置することが好ましい。これにより、所望の結晶を有する光触媒を所望の形状及び厚さで形成できる。ここで、原料組成物を基材上に配置する場合の厚さは、光触媒に十分な機械的強度を付与する観点では、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、最も好ましくは0.3mm以上を下限とする。但し、光触媒を粉末状にして用いる場合(例えば、他の材料に混練するような場合)等は、この範囲に限定されない。一方、原料組成物の厚さは、焼成時間の短縮化を図り、且つ光触媒へのひび割れの形成を低減する観点では、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、最も好ましくは1mm以下を上限とする。
焼成工程における焼成の条件は、原料組成物の組成等に応じ、適宜設定されてよい。具体的には、焼成時の雰囲気温度は、基材の耐熱性を考慮しつつ1400℃以下の温度範囲で適宜選択できる。従って、焼成温度の上限は、好ましくは1400℃以下であり、より好ましくは1380℃以下であり、最も好ましくは1350℃以下である。
焼成工程における焼成時間は、原料組成物の組成や焼成温度等に応じて設定する。昇温速度を遅くすれば、焼成温度まで加熱するだけでよい場合もあるが、目安としては高い温度の場合は短く、低い温度の場合は、長く設定することが好ましい。具体的には、所望の結晶をある程度まで成長させ、且つ十分な量の所望の結晶を析出させ得る点で、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上、最も好ましくは2時間以上を下限とする。一方、焼成時間が24時間を越えると、目的の所望の結晶が大きくなりすぎて十分な光触媒特性が得られなくなるおそれがある。従って、焼成時間は、好ましくは24時間以下、より好ましくは18時間以下、最も好ましくは12時間以下を上限とする。なお、ここで言う焼成時間とは、焼成工程のうち焼成温度が一定(例えば、上記設定温度)以上に保持されている期間の長さを指す。
焼成工程は、例えばガス炉、マイクロ波炉、電気炉等の中で、空気交換しつつ大気中で行うことが好ましい。ただし、この条件に限らず、上記の工程を、不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気にて行ってもよい。
なお、光触媒の製造方法は、上述の固相法に限定されず、ゾルゲル法をはじめとする液相法等を用いてもよい。液相法を用いることにより、均一な粒径を有する結晶相が形成されるため、溶媒やバインダー等に溶解することで均一なスラリー状混合物を得ることができる。
[光触媒の用途]
本発明の光触媒は、その内部及び表面に光触媒活性を持つ所望の結晶相が析出しているため、優れた光触媒活性と可視光応答性を有するとともに、耐熱性にも優れている。すなわち、光触媒機能が要求される様々な物品に加工できる。
(スラリー状混合物)
本発明の光触媒は、粉砕して粉粒体を形成し、これを任意の溶媒等と混合することで、スラリー状混合物を調製してもよい。これにより、光触媒の基材上への塗布が容易になるため、様々の基材に光触媒を持たせることができる。具体的には、光触媒からなる粉粒体に、好ましくは無機若しくは有機のバインダー及び/又は溶媒を添加することによりスラリー状混合物を調製できる。
ここで、無機バインダーは、特に限定されるものではないが、紫外線や可視光線を透過する性質のものが好ましく、例えば、珪酸塩系バインダー、リン酸塩系バインダー、無機コロイド系バインダーや、アルミナ、シリカ及びジルコニア等の微粒子等を挙げることができる。
また、有機バインダーは、例えば、プレス成形やラバープレス、押出成形又は射出成形用の成形助剤として汎用されている市販のバインダーを用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチルメタアクリレート、及び、ビニル系共重合物等が挙げられる。
また、溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、及び、ポリビニルアルコール(PVA)等の公知の溶媒が使用できる。その中でも特に、環境負荷を軽減できる点で、アルコール又は水を用いることが好ましい。
また、スラリー状混合物の均質化を図るために、溶媒と適量の分散剤とを併用してもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン及びシクロヘキサン等の炭化水素類、セロソルブ、カルビトール、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキソラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、並びに、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル及び酢酸アミル等のエステル類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のスラリー状混合物には、その用途に応じて、上記成分以外に例えば硬化速度や比重等を調節するための添加剤成分を適宜配合できる。
本発明のスラリー状混合物における光触媒の含有量は、その用途に応じて適宜設定できる。そのため、スラリー状混合物における光触媒の含有量は、特に限定されるものではないが、その一例を挙げれば、十分に光触媒特性を発揮させる観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、最も好ましくは5質量%以上を下限とし、スラリー状混合物としての流動性と機能性を確保する観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、最も好ましくは65質量%以下を上限とする。
本発明の光触媒及びこれを含有するスラリー状混合物は、光触媒機能性素材として、例えば塗料、成形/固化が可能な混練物などに配合して使用できる。特に、本発明の光触媒を塗料に配合して用いることが好ましい。これにより、塗料を部材に塗布することで形成される塗膜は、光触媒特性が高められながらも化学的な安定性が高められるため、より光触媒特性及び耐候性に優れた塗膜形成部材を得ることができる。
(成形部材)
本発明の光触媒は、加熱を行って光触媒を粉砕した粉粒体を固化させることで、任意の形状の成形部材を形成してもよい。このとき、光触媒に含まれる所望の結晶は、固化時に加熱されても他の結晶相への転移が起こり難い。すなわち、固化時の加熱による光触媒特性の低下が抑制されながらも、成形する際の形状選択の自由度が高められるため、所望の光触媒特性を有しつつ、様々な形状を有する光触媒機能性成形部材を形成できる。
ここで、成形部材は、例えば光触媒のみから形成してもよく、基材を含んでもよく、さらに任意のバインダー等を含有してもよい。
また、成形部材の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば成形した光触媒を焼結させる方法や、成形した光触媒を加熱しながらプレスする方法を用いることができる。これにより、光触媒を構成する粒子同士が結合されるため、成形部材の機械的強度を高めることができる。特に、光触媒を一旦上述のスラリー状混合物の形態にしてから、テンプレート法で所望の形状に成形して1100℃以上の温度で焼成することにより多孔質体を作製することも可能である。このような多孔質体は高い比表面積を有するためより高い光触媒特性を有し、有害ガス(例えば、アセトアルデヒド等)を除去するフィルターとして応用できる。
部材作製の焼成や加熱プレスにおける焼成温度及び時間は、光触媒の組成や、光触媒に混合された添加物の種類及び量等に応じ、適宜設定することができる。このうち焼成温度は、1400℃以下の温度範囲で適宜選択できる。熱処理温度が1400℃を超えると、所望の結晶構造を有する結晶相が他の結晶相へと転移し易くなる。従って、熱処理温度は、好ましくは1400℃以下であり、より好ましくは1350℃以下であり、最も好ましくは1300℃以下を上限とする。
また、焼成時間は、焼成温度に応じて設定する必要があるが、焼成温度が高い場合は時間を短く設定し、焼成温度が低い場合は熱時間を長く設定することが好ましい。
以上述べたように、本発明の光触媒は、光触媒特性を有する所望の結晶を含有するものであるため、優れた光触媒活性を有し、且つ優れた耐熱性を有する光触媒機能性材料として有用なものである。また、本発明の光触媒は、例えばスラリー状、固形状など任意の形態にも加工しやすい。従って、その用途や、適用される基材等の種類や形状に応じて最適な形態で提供でき、様々な光触媒機能性部材や親水性部材への適用が可能である。
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制約を受けるものではない。
(実施例1〜5)
表1に示す組成になるように原料としてNb及びNHPOを用いてバッチを調合してから乳鉢でよく混合し、アルミナ坩堝に入れて1000℃で2時間仮焼した。さらに乳鉢で粉砕し、同じ条件で再度の焼成を行ってから10μm以下に粉砕し、粉末仮焼物Aとした。本焼成は粉末仮焼物Aを2g取って直径20mmの円板状に成形してから電気炉に入れ、大気中で表1に示すような条件で焼結を行った。その後、1L/分で酸素を流しながら1100℃で4時間熱処理を行い、室温に冷却してから両面を研磨し、物性評価用サンプルとした。
(比較例1)
実施例1と同様な方法でP成分を含まずNb成分のみからなる焼結体を作製した。
実施例及び比較例の結晶相は、X線回折装置(フィリップス社製、商品名:X’Pert−MPD)で同定した。実施例1の結果を図1に示す。
光触媒特性は日本工業規格JIS R 1703−2:2007に基づき、メチレンブルーの分解活性指数(nmol/l/min)を測定することにより光触媒特性を評価した。
具体的にメチレンブルーの分解活性指数の測定方法は次の通りである。
0.020mMのメチレンブルー水溶液(以下、吸着液とする)と0.010mMのメチレンブルー水溶液(以下、試験液とする)を調製した。そして、試料の表面と、石英管(内径10mm、高さ30mm)の一方の開口と、を高真空用シリコーングリース(東レ・ダウコーニング株式会社製)で固定し、石英管の他方の開口から吸着液を注入して試験セルを吸着液で満たした。その後、石英管の他方の開口と吸着液の液面とをカバーガラス(松浪ガラス工業株式会社製、商品名:白縁磨フロストNo.1)で覆い、光が当たらないようにしながら、12〜24時間にわたって吸着液を試料に十分に吸着させた。吸着後の吸着液について、分光光度計(日本分光株式会社製、型番:V−650)を用いて波長664nmの光に対する吸光度を測定し、この吸着液の吸光度が試験液について同様に測定された吸光度よりも大きくなった時点で、吸着を完了させた。
このとき、試験液について測定された吸光度(Abs(0))とメチレンブルー濃度(c(0)=10[μmol/L])の値から、下式(1)を用いて換算係数K[μmol/L]を求めた。
K=c(0)/Abs(0) ・・・(1)
次いで、カバーガラスを取り外して石英管内の液を試験液に入れ替えた後、石英管の他方の開口と吸着液の液面とをカバーガラスで再度覆い、1.0mW/cm2の紫外線を照射した。そして、紫外線を60分、120分及び180分間にわたり照射した後における波長664nmの光に対する吸光度を測定した。
紫外光の照射を開始してt分後に測定された吸光度Abs(t)の値から、下式(2)を用いて、紫外光の照射を開始してt分後のメチレンブルー試験液の濃度C(t)[μmol/L]を求めた。ここで、Kは上述の換算係数である。
C(t)=K×Abs(t) ・・・(2)
そして、上述により求められたC(t)を縦軸にとり、紫外線の照射時間t[min]を横軸にとってプロットを作成した。このとき、プロットから得られる直線の傾きa[μmol/L/min]を最小二乗法によって求め、下式(3)を用いてメチレンブルーの分解活性指数R[nmol/L/min]を求めた。
R=|a|×1000 ・・・(3)
表1に実施例及び比較例の分解指数を示す。本発明のセラミックスはJISの基準値の5.0nmol/L/minを上回ることから、光触媒特性を有することが明らかになった。
Figure 2020001013

Claims (3)

  1. リンとニオブの酸化物結晶を含有し、日本工業規格JIS R 1703−2:2007に基づくメチレンブルーの分解活性指数が5.0nmol/L/min以上であることを特徴とする光触媒。
  2. NbPO25、Nb2.5及びこれらの固溶体からなる群より選択される1種以上の結晶相を含有することを特徴とする請求項1に記載の光触媒。
  3. 請求項1又は2に記載の光触媒を含有することを特徴とする多孔質光触媒。
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