JP2018087125A - 誘電体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%でP2O5成分 15.0%〜50.0%、モル和(TiO2+Nb2O5) 15.0%〜70.0%を含有し、1kHzにおける誘電率が25以上であることを特徴とするガラスセラミックス誘電体。
【選択図】なし
Description
本発明は以下の(1)〜(5)である。
(1)酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で
P2O5成分 15.0%〜50.0%、
モル和(TiO2+Nb2O5) 15.0%〜70.0%
を含有し、1kHzにおける誘電率が25以上であることを特徴とするガラスセラミックス誘電体。
(2)酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で
TiO2成分 1%〜40.0%、
Nb2O5成分 10.0%〜50.0%、
を含有することを特徴とする上記(1)に記載のガラスセラミックス誘電体。
(3)酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で
SiO2成分 0〜20.0%、
B2O3成分 0〜20.0%、
Al2O3成分 0〜15.0%、
BaO成分 0〜30.0%、
SrO成分 0〜30.0%、
CaO成分 0〜30.0%、
MgO成分 0〜30.0%、
ZnO成分 0〜45.0%、
Li2O成分 0〜10.0%、
Na2O成分 0〜10.0%、
K2O成分 0〜15.0%、
WO3成分 0〜20.0%、
Ta2O5成分 0〜15.0%
ZrO2成分 0〜15.0%
SnO2成分 0〜10.0%、
Ln2O3成分(式中、LnはLa、Ce、Gd、Y、Dy、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の合計量 0〜10.0%、
MxOy成分(式中、MxOyはV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Moからなる群より選択される1種以上)の合計量 0〜10.0%、
Sb2O3成分 0〜10.0%、
外割でFを0〜30.0%
を含有する上記(1)または(2)に記載のガラスセラミックス誘電体。
(4)Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の合計量が15.0%以下で、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)とZnO成分との合計量が3.0%〜50.0%の範囲にある、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガラスセラミックス誘電体。
(5)主結晶相としてリン・ニオブ酸化物化合物、タングステンブロンズ型結晶、ペロブスカイト型結晶、TiNb2O7結晶、TiO2結晶、BaTi2O5結晶、CaTi2O5結晶及びこれらの固溶体からなる群から選ばれる一種または一種以上を含む、上記(1)から(4)のいずれかに記載のガラスセラミックス誘電体。
本発明は、酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で
P2O5成分 15.0%〜50.0%、
モル和(TiO2+Nb2O5) 20.0〜70.0%
を含有し、1kHzにおける誘電率εが25以上であることを特徴とするガラスセラミックス誘電体である。
本発明のガラスセラミックス誘電体を構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。
以下において単に「%」と記した場合、「モル%」を意味するものとする。
また、本願明細書中において「%」で表されるガラス組成は、すべて酸化物換算組成の全物質量における百分率を意味するものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラスセラミックス誘電体の構成成分の原料として使用される酸化物、硝酸塩等が、溶融によってすべて分解され酸化物へ変化すると仮定した組成をいう。したがって「酸化物換算組成の全物質量における百分率」は、すべての成分が酸化物として存在しているとしたときの生成酸化物の質量の総和を100モル%とし、それに対する各成分の存在量を意味する。
なお、以下において「外割」とは、上記の「酸化物換算組成の全物質量」に含めないことを意味し、外割の比率は、上記の生成酸化物の質量の総和を100モル%としたときの、これに対する存在量を百分率で表した値を意味するものとする。
他方で、P2O5成分の含有量を50.0%以下にすることで、所望の誘電率をより容易に得ることができる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは40.0%以下、さらに好ましくは35.0%以下とする。
なお、本発明において、インピーダンスアナライザー(例えばソーラトロン社製 SI1260)を用いて10Hzから1MHzまでの周波数にわたって誘電率及び誘電損失を測定し、1kHzにおける値を本発明の誘電率及び誘電損失とした。
本発明のガラスセラミックス誘電体は、任意の形にすることが可能であるため、様々な誘電体として利用できる。例えば、通信機器や電子機器に搭載される回路基板及び電子部品、大容量高電圧コンデンサーなどの誘電材料に使用される。コンデンサーは電力変換装置における電流変動の緩衝、カップリングや平滑用に使用される。高電圧コンデンサーは半導体の加工や視力矯正手術で利用されるエキシマレーザー機器のほか、医療用X線装置、工業用高電圧電源や、再生可能エネルギー用送電システムに必要不可欠な部品である。これらのガラスセラミックス誘電体は単独で上記の用途に用いられる以外に、繊維、粉末及びペーストなどの態様で他の誘電体と複合化した形でも使用されることも可能である。具体的には、基板上にパターン電極を形成された誘電体基板、積層基板材料、誘電体共振素子、誘電材料の焼成助剤、誘電体ペースト(誘電体粉末を有機化合物等からなるビヒクル中に懸濁させたものであって、通常、スクリーン印刷や打ち抜き型印刷により電極上に成膜されて使用される)等の用途が挙げられる。
本発明のガラスセラミックス誘電体は、
(i)所定の比で混合した原料を溶融し、その融液を冷却してガラスを得る工程と、(ii)ガラスをそのガラス転移点以上の温度で熱処理することでガラスセラミックス誘電体に変換する結晶化工程とを含んでいる。
各成分が所定の含有量の範囲内になるように原料を調合し、均一に混合してから白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して電気炉又は燃焼炉で1200〜1500℃の温度範囲で1〜24時間溶融し、攪拌均質化したのち、その融液を冷却してガラスを得る工程である。なお、原料は特に限定されるものではなく酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、塩化物、メタ燐酸化合物等の通常のガラスに使用される原料を適宜に選択すればよく、ガラス化の条件は、ガラス組成及び溶解量等に応じて適宜に設定すればよい。また、本工程で得られるガラス体の形状は特に限定されず、用途に応じて板状、繊維状、粒状等であってよい。
上記工程(i)で得られたガラスを熱処理することで、ガラスセラミックス誘電体に変換する結晶化工程である。この熱処理は、ガラスのガラス転移点以上の温度で行われる。ガラス転移点(Tg)は、組成により相違するが、概ね600℃〜750℃の範囲にある。熱処理温度の上限は、特に限定されないが、DTA測定で見られた結晶化ピークを示す温度より300℃高い温度を上限とすることが好ましい。本発明のガラスの最高結晶化温度は組成により大きく異なるが、概ね650℃〜1000℃の範囲である。また、熱処理時間は、ガラスセラミックス誘電体に変換し得る時間であり、熱処理温度が高いと短く、低いと長くなり、通常0.1〜100時間の範囲である。なお、この結晶化工程は、1段階の熱処理でもよいし、2段階以上の熱処理過程を経てもよい。
組成:25P2O5−10TiO2−30Nb2O5−17.5BaO−14CaO−3.5ZnO (モル%)
上記の組成になるように原料(TiO2、Nb2O5、Ba(PO3)2、BaCO3、Ca(PO3)2、CaCO3、ZnO)を調合し、よく混合した後、石英坩堝に入れて1260℃で1時間溶解した。その後、溶融液を白金坩堝に移し、さらに2時間溶解し、攪拌均質化してから溶融液を金型に流し込み、板状のガラスを得た。DTAにより測定されたガラスの転移温度(Tg)は700℃付近、結晶化ピークは765℃及び900℃付近にあった。これらの温度特性に基づいて各種条件で熱処理を行うことによりガラスセラミックス誘電体に変換した。得られたガラスセラミックス誘電体について約30mm×30mm×1mmに加工し、以下の物性評価に供した。
図1に各種条件で熱処理して得たガラスセラミックス誘電体の誘電特性を示す。なお、誘電特性の測定はインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製 SI1260)により行われた。図1に見られるように誘電率は、周波数により、殆ど変化しないが、熱処理温度の上昇または時間の増大に従って大きくなった。
図2に1kHzにおける誘電率及び誘電損失を示す。誘電率は熱処理により大きく増大しても誘電損失は大きくなることがなく、0.01以下に抑えられることが分かる。
図3に各種の熱処理条件で作製した実施例1の絶縁破壊強度を示す。なお、絶縁破壊破強度は厚み1mmのサンプルを用いて、JIS C 2141に準じ測定を行った。絶縁破壊強度は熱処理条件により大きく変化するが、いずれの条件においても30kV/mm以上の値を示すことが分かった。
ガラスセラミックス誘電体の結晶相についてX線回折装置(フィリップス社製、商品名:X'Pert−MPD)で確認した結果、熱処理温度が800℃以下の場合は、主結晶相としてタングステンブロンズ型結晶である(Ba,Ca)Nb2O6結晶相が析出したが、熱処理温度がより高くなると、Nb9PO25の析出が顕著となり、図4に示すように950℃ではNb9PO25結晶がほぼ単相で析出した。
組成:4.5SiO2−2.5Al2O3−32P2O5−28TiO2−23Nb2O5−9.5ZnO−0.5SnO2 (モル%)
上記の組成になるように原料としてSiO2、Al(PO4)3、NH4H2PO4、TiO2、Nb2O5、Zn(PO3)2、ZnO及びSnO2を調合し、よく混合した後、白金ポットに入れて700℃で3時間保温してから1450℃まで上げて、この温度で2時間溶解し、攪拌均質化してから溶融液を金型に流し込み、板状のガラスを得た。DTAにより測定されたガラスの転移温度(Tg)は635℃付近、結晶化ピークは800℃付近にあった。これらの温度特性に基づいて各種条件で熱処理を行うことによりガラスセラミックス誘電体に変換した。得られたガラスセラミックス誘電体について約30mm×30mm×1mmに加工し、諸物性の評価に供した。図5に本実施例のガラス組成について各種条件で熱処理して得たガラスセラミックス誘電体の誘電率の周波数依存性を示す。誘電率は周波数の減少に従って大きく増大することが分かる。なお、ガラスセラミックス誘電体に析出した主結晶相はNbPO5及びTiO2であった。
図7に実施例24、25及び26のエネルギー貯蔵密度を示す。値として1.5J/cm3以上のエネルギー密度を得ることが可能であることが分かった。
Claims (5)
- 酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で
P2O5成分 15.0%〜50.0%、
モル和(TiO2+Nb2O5) 15.0%〜70.0%
を含有し、1kHzにおける誘電率が25以上であることを特徴とするガラスセラミックス誘電体。 - 酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で
TiO2成分 1%〜40.0%、
Nb2O5成分 10.0%〜50.0%、
を含有することを特徴とする請求項1に記載のガラスセラミックス誘電体。 - 酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で
SiO2成分 0〜20.0%、
B2O3成分 0〜20.0%、
Al2O3成分 0〜15.0%、
BaO成分 0〜30.0%、
SrO成分 0〜30.0%、
CaO成分 0〜30.0%、
MgO成分 0〜30.0%、
ZnO成分 0〜45.0%、
Li2O成分 0〜10.0%、
Na2O成分 0〜10.0%、
K2O成分 0〜15.0%、
WO3成分 0〜20.0%、
Ta2O5成分 0〜15.0%
ZrO2成分 0〜15.0%
SnO2成分 0〜10.0%、
Ln2O3成分(式中、LnはLa、Ce、Gd、Y、Dy、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の合計量 0〜10.0%、
MxOy成分(式中、MxOyはV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Moからなる群より選択される1種以上)の合計量 0〜10.0%、
Sb2O3成分 0〜10.0%、
外割でFを0〜30.0%
を含有する請求項1または2に記載のガラスセラミックス誘電体。 - Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の合計量が15.0%以下で、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)とZnO成分との合計量が3.0%〜50.0%の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載のガラスセラミックス誘電体。
- 主結晶相としてリン・ニオブ酸化物化合物、タングステンブロンズ型結晶、ペロブスカイト型結晶、TiNb2O7結晶、TiO2結晶、BaTi2O5結晶、CaTi2O5結晶及びこれらの固溶体からなる群から選ばれる一種または一種以上を含む、請求項1から4のいずれかに記載のガラスセラミックス誘電体。
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