理解を容易にするため、可能な場合は、図面に共通している同一の要素を指定するのに同一の参照番号が使用されている。1つの実施例の要素が、他の実施例に有益に組み込まれてもよいことが想起される。
以下、様々な特徴について図面を参照して記載する。図面は縮尺通りに描かれていることも描かれていないこともあり、類似の構造または機能の要素は、図面全体を通して同様の参照番号で表されることに留意すべきである。図面は単に特徴の説明を容易にするためのものであることに留意すべきである。図面は、請求される発明の包括的な説明として、または請求される発明の範囲に対する限定として意図されるものではない。それに加えて、図示される実施例は、図示される態様または利点の全てを有するとは限らない。特定の実施例と関連して記載される態様または利点は、必ずしもその実施例に限定されるものではなく、他のいずれかの実施例における実施に関して例証されていない場合でも、またはそれに関して明示的に記載されていない場合でも、そのような実施が可能である。
電圧モードドライバのインピーダンスおよびスイング制御の技術について記載する。一実施例では、ドライバ回路は差動入力と差動出力との間に出力回路を含む。出力回路は第1および第2の共通ノードの間に結合される。各出力回路は、差動入力および出力の間に結合された、一対のインバータと一対の抵抗器とを含む。インバータ対の第1のソース端子は第1の共通ノードに結合され、インバータ対の第2のソース端子は第2の共通ノードに結合される。第1および第2の電圧レギュレーターは第1および第2の共通ノードに結合される。電流補償回路は第1および第2の電圧レギュレーターの出力の間に結合される。ゼロまたは1つ以上の電流補償回路を選択的に有効にして、更に後述するように、ダミー電流を電圧レギュレーターから引き出して逆流損失を改善することができる。更に、二重のレギュレーターを使用することによって、低スイングモードおよび高スイングモード両方において固定の同相モードが可能になる。これらおよび更なる態様について、図面に関連して後述する。
図1は、直列通信システム100の一実施例を示すブロック図である。直列通信システム100は、送信媒体160を通じて受信器126に結合された送信器112を備える。送信器112は、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)116の一部であることができる。受信器126はSERDES 122の一部であることができる。送信媒体160は、送信器112と受信器126との間に電気経路を備え、プリント回路基板(PCB)トレース、バイア、ケーブル、コネクタ、減結合コンデンサなどを含むことができる。実施例では、送信媒体160は、特性インピーダンス(Z0)をそれぞれ有する送信線の整合対を含む。SERDES 116の受信器およびSERDES 122の送信器は、明瞭にするため省略されている。いくつかの実施例では、SERDES 116は集積回路(IC)110に配設することができ、SERDES 122はIC 120に配設することができる。
一般に、送信器112は、並列データ経路から直列データ信号を生成させる(直列化)。直列データ信号は特定のデータ率(シンボルレート)を有する。いくつかの実施例では、並列データ経路からのデータバイトを、例えば8B/10Bエンコーダなどを使用して、直列化の前に符号化することができる。送信器112は、バイナリ非ゼロ復帰(NRZ)パルス増幅変調(PAM)などのデジタル変調技術を使用して、直列データ信号を送信媒体160へと送る。送信媒体160は、直列データ信号の符号(例えば、論理「1」および論理「0」)を表す電気信号を、受信器126へと伝播する。
図示される実施例では、送信媒体160は差動チャネルである。差動チャネルのデータは、2つの電気信号(「真」および「補」信号)を使用して表される。論理「0」は、真信号をその電圧下限値にし、補信号をその電圧上限値にすることによって表される。論理「1」は、真信号をその電圧上限値にし、補信号をその電圧下限値にすることによって表される。このように、送信された各符号の論理値は、真信号および補信号のどちらかのレベルに基づくのではなく、それらの信号間の差に基づく。真信号と補信号とのピーク間の差が、電圧スイング(信号スイングまたはスイングとも呼ばれる)である。
送信器112は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ114と、プレドライバ115と、出力ドライバ118と、制御論理150とを含む。送信器112は、送信媒体160を通じて送信する前に、直列データ信号を等化するように構成される。FIR 114は、送信媒体160によって起こる符号間干渉(ISI)を緩和するのに使用することができる。送信媒体160は送信信号の信号品質を劣化させる。チャネル挿入損失は、送信信号の信号電力における周波数依存性の劣化である。信号が送信線を通って移動すると、送信信号の高周波数成分の方が低周波数成分よりも減衰される。一般に、周波数増加に伴ってチャネル挿入損失が増加する。送信信号の信号パルスエネルギーは、送信媒体160における伝播中に、1つの符号期間から別の符号期間へと展開させることができる。結果として生じるひずみはISIとして知られる。一般に、ISIは、通信システムの速度が増加するにつれて悪化する。
FIRフィルタ114の出力はプレドライバ115の入力に結合される。FIRフィルタ114の出力は、メインカーソル信号と、1つもしくは複数のプレカーソル信号、1つもしくは複数のポストカーソル信号、または複数のポストカーソル信号およびプレカーソル信号とを含む、複数の信号を含むことができる。例によって明瞭にするため、本明細書は、FIRフィルタ114が、1つのメインカーソル信号と、1つのプレカーソル信号と、1つのポストカーソル信号とを出力するものと仮定する。プレドライバ115は、FIRフィルタ114の出力を出力ドライバ118に結合するように構成される。後述するように、出力ドライバ118はセグメント化され、送信媒体160に並列に結合された複数の出力回路を含む。プレドライバ115は、メインカーソル、プレカーソル、およびポストカーソル信号それぞれを、出力ドライバ118の選択された比率の出力回路に結合する。プレドライバ115によって選択されるような、メインカーソル、プレカーソル、およびポストカーソル信号によって駆動される出力回路の比率は、制御論理150によって制御される。制御論理150は、更に後述するように、出力ドライバ118のアスペクトも制御する。
SERDES 116およびSERDES 122が示されているが、他の実施例では、送信器112および/または受信器126はそれぞれ、より大型の送受信器回路の一部ではないスタンドアロン回路であることができる。いくつかの実施例では、送信器112および受信器126は、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルICなど、1つまたは複数の集積回路(IC)の一部であることができる。
図2は、一実施例による出力ドライバ118を示す概略図である。出力ドライバ118は、出力回路2081〜208N(Nは1よりも大きい整数)と、電圧レギュレーター2101および2102と、電流補償回路2061〜206M(Mは1よりも大きい整数)とを含む。出力回路2081〜208Nは集合的に出力回路208と呼ばれ、電圧レギュレーター2101および2102は集合的に電圧レギュレーター210と呼ばれ、電流補償回路2061〜206Mは集合的に電流補償回路206と呼ばれる。
出力回路208は、差動入力202と差動出力(Txp、Txn)との間に並列に結合される。差動入力202は、プレドライバ115によって出力されるN個の差動信号を含む。各差動信号は真信号Inpと補信号Innとを含む。したがって、差動入力202は信号Inp1〜InpNと信号Inn1〜InnNとを含む。
出力回路208は共通ノードVrefpおよびVrefnに結合される。出力回路208はそれぞれトランジスタMp1、Mp2、Mn1、およびMn2を含む。出力回路208はそれぞれ抵抗器RpおよびRnも含む。トランジスタMp1およびMn1は、P型金属酸化物半導体FET(MOSFET)(PMOSトランジスタとも呼ばれる)など、pチャネル電界効果トランジスタ(FET)を備える。トランジスタMp2およびMn2は、N型MOSFET(NMOSトランジスタとも呼ばれる)など、nチャネルFETを備える。明瞭にするため、出力回路2081のみを詳細に示している。しかしながら、出力回路2082〜208Nはそれぞれ出力回路2081と同一に構成される。
トランジスタMp1およびMn1のソースは共通ノードVrefpに結合される。トランジスタMp1およびMn1のドレインはそれぞれトランジスタMp2およびMn2に結合される。トランジスタMp2およびMn2のソースは共通ノードVrefnに結合される。トランジスタMp1およびMp2のゲートはともに結合され、入力差動信号のうち1つの信号Inpを受信するように結合される。トランジスタMn1およびMn2のゲートはともに結合され、入力差動信号のうち1つの信号Innを受信するように結合される。抵抗器Rpの第1の端子はトランジスタMp1およびMp2のドレインに結合され、抵抗器Rpの第2の端子は差動出力のノードTxpに結合される。抵抗器Rnの第1の端子はトランジスタMn1およびMn2のドレインに結合され、抵抗器Rnの第2の端子は差動出力のノードTxnに結合される。トランジスタMp1およびMp2は第1のインバータ(Mp)を形成し、トランジスタMn1およびMn2は第2のインバータ(Mn)を形成する。インバータ対(Mp、Mn)および抵抗器対RpおよびRnの直列の組み合わせは、差動入力202と差動出力(Txp、Txn)との間に結合される。インバータのソース端子はノードVrefpおよびVrefnの間に結合される。
電圧レギュレーター2101は演算増幅器AvrefpとトランジスタMvrefpとを含む。トランジスタMvrefpは、N型MOSFETなどのnチャネルFETである。演算増幅器Avrefpの非反転入力端子は第1の参照電圧源(Vref1)に結合される。演算増幅器Avrefpの反転入力はノードVrefpに結合される。トランジスタMvrefpのドレインは供給電圧源(Vsup)に結合される。トランジスタMvrefpのソースはノードVrefpに結合される。トランジスタMvrefpのゲートは演算増幅器Avrefpの出力に結合される。
電圧レギュレーター2102は演算増幅器AvrefnとトランジスタMvrefnとを含む。トランジスタMvrefnは、N型MOSFETなどのnチャネルFETである。演算増幅器Avrefnの非反転入力端子は第2の参照電圧源(Vref2)に結合される。演算増幅器Avrefnの反転入力はノードVrefnに結合される。トランジスタMvrefnのソースは接地電圧源に結合される。トランジスタMvrefnのドレインはノードVrefnに結合される。トランジスタMvrefnのゲートは演算増幅器Avrefnの出力に結合される。
電流補償回路206はノードVrefpおよびVrefnの間に並列に結合される。電流補償回路206はそれぞれトランジスタM1、M2、およびM3を含む。トランジスタM1は、P型MOSFETなどのpチャネルFETである。トランジスタM2およびM3は、N型MOSFETなどのnチャネルFETである。明瞭にするため、電流補償回路2061のみを詳細に示している。しかしながら、電流補償回路2062〜206Mはそれぞれ電流補償回路2061と同一に構成される。
トランジスタM1のソースはノードVrefpに結合される。トランジスタM1のドレインはトランジスタM2のドレインに結合される。トランジスタM2のソースはトランジスタM3のドレインに結合される。トランジスタM3のソースはノードVrefnに結合される。電流補償回路206それぞれのトランジスタM2のゲートはバイアス電圧源V1に結合される。電流補償回路206それぞれのトランジスタM3のゲートはバイアス電圧源V2に結合される。トランジスタM1のゲートは、イネーブル入力204のイネーブル信号を受信するように結合される。イネーブル入力204は、M個の電流補償回路206にそれぞれ結合される、M個のイネーブル信号EN1〜ENMを含む。
出力ドライバ118は、コンデンサCvrefpおよびCvrefnを更に含む。コンデンサCvrefpはノードVrefpと電気的接地との間に結合される。コンデンサCvrefnはノードVrefnと電気的接地との間に結合される。
差動出力(Txp、Txn)は、一対の送信線212pおよび212n(集合的に、送信線212)に結合される。送信線212は負荷抵抗RLを駆動する。送信線212および負荷抵抗RLは出力ドライバ118の一部ではない。それよりもむしろ、送信線212は送信媒体160の一部であり、負荷抵抗RLは受信器126の一部である。
動作の際、各出力回路208は、相補入力(差動入力202の差動信号)によって駆動される一対のインバータを含む。差動入力202の各差動信号は、メインカーソル信号、ポストカーソル信号、またはプレカーソル信号の1つであることができる。上述したように、プレドライバ115は、メインカーソル、ポストカーソル、およびプレカーソル信号それぞれを受信する出力回路208の数を制御する。例えば、出力回路は、全てのメインカーソル信号と、一部のメインカーソル信号と、一部のプレカーソル信号、一部のメインカーソル信号と一部のポストカーソル信号、または一部のメインカーソル信号と、一部のポストカーソル信号と、一部のプレカーソル信号を受信することができる。ポスト/プレカーソル信号とメインカーソル信号との混合を使用して、送信器112におけるエンファシスおよびデエンファシス等化が実現される。
電圧レギュレーター210は出力ドライバ118のスイングを設定する。差動ピーク間スイングはVrefp−Vrefnである。一実施例では、電圧レギュレーター2102は、トランジスタMvrefnのドレインを電気的接地に短絡させるように構成されたスイッチ214を含むことができる。これによって、電圧レギュレーター2102を1つのモード(高スイングモード)では無効にし、別のモード(低スイングモード)では有効にすることが可能になる。ゼロまたは1つ以上の電流補償回路206が、イネーブル入力204を使用して選択的に有効にされて、更に後述するように、ダミー電流を電圧レギュレーター210から引き出して逆流損失を改善する。スイッチ214の制御信号、および電流補償回路206に対するイネーブル入力は、制御論理150によって生成させることができる。
出力ドライバ118の二重のレギュレーター210
1および210
2を用いて、スイングおよび同相モードを独立して設定することができる。例えば、同相モードは0.45Vに固定することができる。次の表1は、二重のレギュレーターおよび単一のレギュレーター両方に関する、高スイングモードおよび低スイングモードの特性を示している。
表1に示されるように、両方のレギュレーター2101および2102が有効にされたとき、低スイングモードに対して同相モードは標的の0.45Vである(例えば、0.6V)。レギュレーター2101のみが有効にされた場合、低スイングモードに対して同相モードは標的の0.45Vよりも低い(例えば、0.3V)。二重のレギュレーターを使用することによって、低スイングモードおよび高スイングモード両方において固定の同相モードが可能になる。表1の値は例示であり、出力ドライバ118は、他の同相モード電圧、他の高スイング電圧、および他の低スイング電圧で構成することができる。
出力ドライバ118では、異なる数の出力回路208を異なるメイン/プレ/ポストカーソル信号で駆動することによって、等化を実現することができる。二重のレギュレーターの方策を用いて、レギュレーター電圧を調節することによってスイングが変化する。このように、等化制御はスイング制御とは独立している。これによって、低スイングモードであっても高FIR分解能が可能になる。
電圧モードドライバの場合、出力回路208によって引き出される電流は以下の関係を使用して計算することができる。Id=(差動スイング)/(外部差動抵抗+内部差動抵抗)。一実施例では、各送信線212pおよび212nは、50オームの特性インピーダンスZ0を有する(外部差動抵抗=100オーム)。理想的には、出力ドライバ118は、各送信線212に対して50オームの整合インピーダンスを提供する(例えば、内部差動抵抗=100オーム)。所望のスイングが0.9Vの場合、出力回路208によって引き出される電流は約4.5mAである。過渡スイッチングクローバー電流(transient switching crowbar current)を考慮して、実際の電流消費はより高いことがある。
上述の式に関して、出力回路208によって引き出される電流は出力スイングとともに変化することが注目される。より低いスイングの場合、出力回路208によって電圧レギュレーター2101から引き出される電流はより少ない。電圧レギュレーター2101から引き出される電流がより少ないので、電圧レギュレーター2101の出力インピーダンスが増加する。特に、電圧レギュレーター2101の出力インピーダンスは、トランジスタMvrefpの出力抵抗(gm)を(1+ループ利得)で割ったものである。電圧レギュレーター2101が低電流を供給しているとき、演算増幅器Avrefpが提供するループ利得はより少なく、それによって電圧レギュレーター2101の出力インピーダンスが増加する。出力回路208は、電圧レギュレーター2101の出力インピーダンスと平行して、コンデンサCvrefpの有効インピーダンスを見る。中〜低周波数(例えば、100MHz)の場合、コンデンサCvrefpのインピーダンスは高く、したがって電圧レギュレーター2101の出力インピーダンスは無視できない。このように、出力回路208によって引き出される電流が少ないことによる、電圧レギュレーター2101の出力インピーダンスの減少によって、出力ドライバ118の逆流損失が劣化する。
電流補償回路206は、出力回路208を用いて平行して一定したダミー電流を引き出すことによって、逆流損失の増加を緩和するため、選択的に有効にされる。このように、より高スイングの設定では、十分な電流が電圧レギュレーター2101から引き出されるので、より少数の電流補償回路206を有効にするか、または1つも有効にしないことができる。より低スイングの設定では、より多数の電流補償回路206を有効にすることができ、それによって十分な電流が電圧レギュレーター2101から引き出されて、ループ利得および低出力インピーダンスを維持することが担保される。
図3A〜3Bは、別の実施例による出力ドライバ118の概略図を示している。図3Aは、出力ドライバ118の部分118Aを示し、図3Bは、出力ドライバ118の部分118Bを示している。図3Aおよび3Bにおいて図2と同じまたは類似の要素は、同一の参照番号で指定されており、上述している。出力ドライバ118は、出力回路3081〜308N(Nは1よりも大きい整数)と、電圧レギュレーター2101および2102と、レプリカ回路3201および3202と、演算増幅器Arepl1、Arepl2および抵抗器Rref1〜Rref11を備える制御回路350とを含む。出力回路3081〜308Nは集合的に出力回路308と呼ばれ、レプリカ回路3201および3202は集合的にレプリカ回路320と呼ばれる。いくつかの実施例では、図3Aおよび3Bに示される出力ドライバは、上述した電流補償回路206も含むことができる。明瞭にするため、電流補償回路206は図3Aおよび3Bから省略されている。
図3Aの出力ドライバ118の部分118Aに示されるように、出力回路308は、差動入力202と差動出力(Txp、Txn)との間に並列に結合される。出力回路308は共通ノードVrefpおよびVrefnに結合される。出力回路308はそれぞれトランジスタMpdrv1、Mpdrv2、Mndrv1、Mndrv2、Mres1、およびMres2を含む。また、出力回路208はそれぞれ、抵抗器RpdrvおよびRndrvと、NANDゲートUp1およびUp2によって形成されるイネーブル回路Upと、Un1およびUn2によって形成されるイネーブル回路Unとを含む。トランジスタMpdrv1およびMndrv1は、P型MOSFETなどのpチャネルFETを備える。トランジスタMpdrv2およびMndrv2は、N型MOSFETなどのnチャネルFETを備える。トランジスタMpdrv1およびMndrv1のソースはトランジスタMres1のドレインに結合される。トランジスタMpdrv1およびMndrv1のドレインはそれぞれトランジスタMpdrv2およびMndrv2のドレインに結合される。トランジスタMpdrv2およびMndrv2のソースはトランジスタMres2のドレインに結合される。
トランジスタMpdrv1およびMpdrv2のゲートはそれぞれNANDゲートUp1およびNORゲートUp2の出力に結合される。別の実施例では、NANDゲートUp1およびNORゲートUp2は、トランジスタMpdrv1およびMpdrv2のゲートに結合された出力を有する単一のインバータに置き換えられる。NANDゲートUp1およびNORゲートUp2の第1の入力端子はともに結合され、差動入力信号の一端(Inp)を受信するように結合される。NANDゲートUp1およびNORゲートUp2の第2の入力は、真イネーブル信号enおよび補イネーブル信号enbに結合される。トランジスタMndrv1およびMndrv2のゲートはそれぞれNANDゲートUn1およびNORゲートUn2の出力に結合される。NANDゲートUn1およびNORゲートUn2の第1の入力端子はともに結合され、差動入力信号の他端(Inn)を受信するように結合される。NANDゲートUn1およびNORゲートUn2の第2の入力は、真イネーブル信号enおよび補イネーブル信号enbに結合される。真イネーブル信号enおよび補イネーブル信号enbはそれぞれ、真イネーブル入力および補イネーブル入力の信号である。真イネーブル入力は、N個の出力回路308にそれぞれ結合されたN個の真イネーブル信号en1〜enNを含み、補イネーブル入力は、N個の出力回路308にそれぞれ結合されたN個の補イネーブル信号enb1〜enbNを含む。
トランジスタMres1のソースは共通ノードVrefpに結合される。トランジスタMres2のソースは共通ノードVrefnに結合される。トランジスタMres1のゲートは演算増幅器Arepl1の出力に結合される(指定ノードVg1)。トランジスタMres2のゲートは演算増幅器Arepl2の出力に結合される(指定ノードVg2)。
抵抗器Rpdrvの1つの端子はトランジスタMpdrv1およびMpdrv2のドレインに結合され、抵抗器Rpdrvの別の端子は差動出力のノードTxpに結合される。抵抗器Rndrvの1つの端子はトランジスタMndrv1およびMndrv2のドレインに結合され、抵抗器Rndrvの別の端子は差動出力のノードTxnに結合される。トランジスタMpdrv1およびMpdrv2は第1のインバータ(Mpdrv)を形成し、トランジスタMndrv1およびMndrv2は第2のインバータ(Mndrv)を形成する。イネーブル回路(Up、Un)、インバータ対(Mpdrv、Mndrv)、および抵抗器対RpdrvおよびRndrvの直列の組み合わせは、差動入力202と差動出力(Txp、Txn)との間に結合される。インバータ(Mpdrv、Mndrv)のソース端子はノードVrefpおよびVrefnの間に結合される。
出力ドライバ118の部分118Bに示されるように、レプリカ出力回路3201は、トランジスタMresrepl1およびMrepl1と抵抗器Rrepl1とを含む。トランジスタMresrepl1およびMrepl1はそれぞれ、P型MOSFETなどのpチャネルFETである。トランジスタMresrepl1のソースは共通ノードVrefpに結合される。トランジスタMresrepl1のドレインはトランジスタMrepl1のソースに結合される。トランジスタMrepl1のドレインは抵抗器Rrepl1の1つの端子に結合される。抵抗器Rrepl1の別の端子はノードVpで抵抗器Rrepl_loadの1つの端子に結合される。トランジスタMresrepl1のゲートは演算増幅器Arepl1の出力に結合される。トランジスタMrep1のゲートは接地ソースに結合される。
レプリカ出力回路3202は、トランジスタMresrepl2およびMrepl2と抵抗器Rrepl2とを含む。トランジスタMresrepl2およびMrepl2はそれぞれ、N型MOSFETなどのnチャネルFETである。トランジスタMresrepl2のソースは共通ノードVrefnに結合される。トランジスタMresrepl2のドレインはトランジスタMrepl2のソースに結合される。トランジスタMrepl2のドレインは抵抗器Rrepl2の1つの端子に結合される。抵抗器Rrepl2の別の端子はノードVnで抵抗器Rrepl_loadの第2の端子に結合される。トランジスタMresrepl2のゲートは演算増幅器Arepl2の出力に結合される。トランジスタMrep2のゲートは供給源(Vsup)に結合される。レプリカ出力回路3202は起動回路S1も含む。起動回路S1は、演算増幅器Arepl2の出力と供給源Vsupとの間に結合されたスイッチを備える。
演算増幅器Arepl1の反転入力は抵抗器Rrepl1と抵抗器Rrepl_loadとの間に結合される。演算増幅器Arepl1の非反転入力はスイッチト抵抗器ネットワーク3221に結合される。スイッチト抵抗器ネットワーク3221は、抵抗器Rref1〜Rref5とスイッチSw1とを備える。抵抗器Rref1〜Rref5は、ノードVrefpと抵抗器Rref6との間に直列で結合される。スイッチト抵抗器ネットワーク3221は複数のタップ(例えば、実施例では5つのタップ)を含む。スイッチSw1は、演算増幅器Arepl1の非反転入力をタップの1つに結合するように制御可能である。
演算増幅器Arepl2の反転入力は抵抗器Rrepl2と抵抗器Rrepl_loadとの間に結合される。演算増幅器Arepl2の非反転入力はスイッチト抵抗器ネットワーク3222に結合される。スイッチト抵抗器ネットワーク3222は、抵抗器Rref7〜Rref11とスイッチSw2とを備える。抵抗器Rref7〜Rref11は、ノードVrefnと抵抗器Rref6との間に直列で結合される。スイッチト抵抗器ネットワーク3222は複数のタップ(例えば、実施例では5つのタップ)を含む。スイッチSw2は、演算増幅器Arepl2の非反転入力をタップの1つに結合するように制御可能である。
インピーダンス制御の1つの例示の技術は、ドライバアレイの全ての出力スライスと直列でスタッキングされた一対のプログラマブル抵抗器を提供するというものである。その意図は、出力スライスにおける変化を補償するようにプログラマブル抵抗器を調節することである。しかしながら、プログラマブル抵抗器は全ての出力スライスによって共有されるので、いくつかの出力スライスが反対方向に駆動されると、差動インピーダンスは所望の100オームから逸脱することになる。インピーダンス制御の別の例示の技術は、ドライバアレイの出力スライスを選択的に有効/無効にするように構成するというものである。しかしながら、かかる技術のみでは、例えばPMOSが高速コーナーにあってNMOSが低速コーナーにあるとき、または逆のときなど、PMOSおよびNMOSトランジスタのプロセス変化の差動が補償されない。
一実施例では、出力ドライバ118は、これらの課題に対処するインピーダンス制御を提供する。出力回路308のオン・オフは、オンチップ抵抗器の変化を補償することにのみ使用される。NMOS/PMOSの変化を補償するため、各出力回路308は一対のスタッキングされたプログラマブル抵抗器(後述)を含む。スタッキングされたプログラマブル抵抗器のインピーダンスは、2つのインピーダンス制御ループによって制御される。
動作の際、イネーブル入力を通して、出力回路308を選択的に有効にしたり無効にしたりすることができる。イネーブル入力は制御論理150によって提供することができる。有効にされた場合、出力回路308は差動出力(Txp、Txn)に寄与する。無効にされた場合、出力回路308は差動出力(Txp、Txn)に寄与しない(高インピーダンス状態)。出力回路308をオン・オフすることによって、オンチップ抵抗器RpdrvおよびRndrvにおける変化を補償するような粗いインピーダンス制御がもたらされる。トランジスタMres1およびMres2は、三極領域で動作して、それぞれVg1およびVg2を通して制御可能なプログラマブル抵抗器となるように駆動される。トランジスタMres1およびMres2は、トランジスタMpdrv1、Mpdrv2、Mndrv1、およびMndrv2の変化を補償するように制御される。トランジスタMres1およびMres2によって提供される抵抗は、フィードバック制御ループを使用して、それらそれぞれのゲート・ソース間電圧を調節することによって制御される。トランジスタMres1を制御するフィードバック制御ループは、レプリカ3201と演算増幅器Arepl1とを備える。トランジスタMres2を制御するフィードバック制御ループは、レプリカ3202と演算増幅器Arepl2とを備える。
演算増幅器Arepl1は、インピーダンスが所望の値に設定されるように、トランジスタMresrepl1のゲート・ソース間電圧を調節する。特に、トランジスタMresrepl1はトランジスタMres1のレプリカであるように加工される。トランジスタMrepl1は、出力回路308におけるpチャネルFETのレプリカであるように加工される(例えば、Mpdrv1、Mpdrv2、およびMrepl1それぞれの特性は同じであるか、または実質的に同様である)。抵抗器Rrepl_loadは、出力回路308におけるオンチップ抵抗器のレプリカであるように加工される(例えば、Rpdrv、Rndrv、およびRrepl_loadそれぞれの特性は同じであるか、または実質的に同様である)。各出力回路308(有効にされた場合)は、Mres1と、1つのpチャネルFET(即ち、Mpdrv1もしくはMndrv1)と、1つの抵抗器(RpdrvもしくはRndrv)との直列の組み合わせによって形成される、送信線212の1つと直列の内部インピーダンスを含む。レプリカ3201はこの内部インピーダンスを複製している。ノードVpにおける所望の電圧が演算増幅器Arepl1の非反転入力において選択され、演算増幅器Arepl1は、トランジスタMresrepl1のインピーダンスを制御することによってノードVpをその電圧まで駆動する。演算増幅器Arepl1は、各出力回路308におけるトランジスタMres1のゲートと同じ制御電圧を提供する。
演算増幅器Arepl2は、インピーダンスが所望の値に設定されるように、トランジスタMresrepl2のゲート・ソース間電圧を調節する。トランジスタMresrepl2はトランジスタMres2のレプリカであるように加工される。トランジスタMrepl2は、出力回路308におけるnチャネルFETのレプリカであるように加工される(例えば、Mndrv1、Mndrv2、およびMrepl2それぞれの特性は同じであるか、または実質的に同様である)。抵抗器Rrepl2は、出力回路308におけるオンチップ抵抗器のレプリカであるように加工される(例えば、Rpdrv、Rndrv、およびRrepl2それぞれの特性は同じであるか、または実質的に同様である)。各出力回路308(有効にされた場合)は、Mres2と、1つのnチャネルFET(即ち、Mpdrv1もしくはMndrv1)と、1つの抵抗器(RpdrvもしくはRndrv)との直列の組み合わせによって形成される、送信線212の1つと直列の内部インピーダンスを含む。レプリカ3202はこの内部インピーダンスを複製している。ノードVnにおける所望の電圧が演算増幅器Arepl2の非反転入力において選択され、演算増幅器Arepl2は、トランジスタMresrepl2のインピーダンスを制御することによってノードVnをその電圧まで駆動する。演算増幅器Arepl2は、各出力回路308におけるトランジスタMres2のゲートと同じ制御電圧を提供する。
トランジスタMres1およびMres2を各出力回路308に含めることによって、メインおよびプレ/ポストカーソル信号が反対方向に切り替わったときであっても、送信媒体160を整合するように出力ドライバ118の差動出力インピーダンスを維持することができる。更に、トランジスタMres1およびMres2によって提供される抵抗を別個に制御する、2つのフィードバック制御ループを提供することによって、出力ドライバ118は、異なるNMOSおよびPMOSプロセスの変化を補償することができる。
図3Bに示されるように、2つのフィードバック制御ループは、2つのループを通る電流を再使用することができるように、抵抗器Rrepl_loadを通してともに結合される。両方のループが適切に起動することを担保するため、起動回路S1をレプリカ回路3202に組み込むことができる。起動回路S1は、一方のループを最初に無効にすることによって、他方のループが適切に起動するようにすることができる。あるいは、起動回路S1ではなく、同相モードバッファを使用して、レプリカ負荷の中点を同相モード電圧へと駆動することによって、2つのフィードバック制御ループを脱結合することができる。
インピーダンス制御を更に詳細に例証するため、出力ドライバ118がN=75〜85個の出力回路308を含む実施例について考察する。一般的に、オンチップ抵抗器は、プロセスの変化によって±10%変化することができる。上述したように、オンチップ抵抗器R
pdrvおよびR
ndrvにおける変化は、有効にされる出力回路308の数(例えば、表2の例に示されるように75〜85個)を調節することによって補償される。
表2に示されるように、より多数またはより少数の出力回路308を有効にすることによって、オンチップ抵抗の±10%の変化にかかわらず、所与の差動出力に対して合計出力インピーダンスを約50オームで維持することができる(送信線の50オームの特性インピーダンスを仮定)。オン・オフされる出力回路308の数を校正するため、オンチップ抵抗器RpdrvおよびRndrvの抵抗を、定電流源(図示なし)で感知することができる。制御論理150は、感知動作の出力を読み取り、次にルックアップテーブルの値に基づいて、出力回路308を有効/無効にすることができる。
レプリカ出力回路320と出力回路308との1つの違いは、レプリカ回路320の負荷Rrepl_loadがオンチップ抵抗器を用いて実現され、送信器の実際の負荷RLoadが受信器の一定の終端である点である。外部抵抗器を使用すること、またはオンチップ抵抗器Rrepl_loadをトリミングすることを回避するため、フィードバック制御ループで使用される参照電圧を調整して、オンチップレプリカ抵抗器Rrepl_loadの変化を補償することができる。これは、演算増幅器Arepl1およびArepl2に対する非反転入力における、所望の電圧を選択することによって達成される。各スイッチト抵抗器ネットワーク322は、5つの参照電圧を提供する5つのタップを有するものとして示されているが、スイッチト抵抗器ネットワーク322は5つよりも多数または少数のタップを有することができる。
図4は、一実施例による送信器のドライバ回路の制御方法400を示すフローチャートである。方法400は、送信器112の出力ドライバ118を制御するように実施することができる。方法400は、ステップ402で開始し、プレドライバ115は、送信器112におけるイコライザーの出力を受信する(例えば、FIRフィルタ114)ステップ404で、プレドライバ115は、各イコライザー出力を出力ドライバ118における複数の出力回路のうち少なくとも1つに結合する(例えば、出力回路208または308)。ステップ404は、スイング制御およびインピーダンス制御とは独立してイコライザー制御を実現する。メイン、プレ、およびポストカーソル信号は、出力ドライバ118における任意の数の出力回路に結合されて、所望のエンファシスまたはデエンファシスを達成することができる。
ステップ406で、制御論理150は、出力ドライバ118の出力回路に結合された第1および第2の電圧レギュレーター210を有効にして、所望のスイングを確立する。二重の電圧レギュレーター210からの電圧出力は、出力ドライバ118の出力における所望のピーク間電圧スイングを発生させるように設定することができる。場合によっては、ステップ410で、制御論理150は任意に、1つまたは複数の電流補償回路206を有効にして、電流供給電圧レギュレーター(例えば、電圧レギュレーター2101)から引き出される電流を等化することができる。ステップ406は、イコライザー制御およびインピーダンス制御とは独立して出力スイング制御を実現する。
ステップ408で、出力ドライバのインピーダンスが制御される。例えば、ステップ412で、制御論理150は、出力ドライバ118における出力回路のうち1つまたは複数を無効にして、オンチップ抵抗器の変化を補償する。これにより、粗いインピーダンス制御がもたらされる。ステップ414で、出力ドライバのフィードバック制御ループは、レプリカ回路320からのフィードバックに基づいて、各出力回路のスタッキングされたトランジスタMres1およびMres2のゲート・ソース間電圧を調節して、NMOS/PMOSトランジスタの変化に対する調節を行い、良好なインピーダンス制御を提供する。上述したように、フィードバック制御ループは、スタッキングされたトランジスタMres1およびMres2のインピーダンスを独立して調節して、NMOSおよびPMOSの変化を独立して補償することができる。
電圧モードドライバの高速過渡低ドロップアウト(FAST TRANSIENT LOW DROP−OUT)電圧レギュレーター
直列通信システムでは、合計電力の多くの部分が送信器で消費されるが、送信器は、適切なソース終端を維持しながら低インピーダンスチャネルで適切な信号スイングを提供しなければならない。それに加えて、送信器は、チャネルにおける周波数依存の損失を補償する等化を含む場合が多い。多くの場合、送信器のドライバ回路が送信器の電力の大部分を消費する。ドライバ回路は、電流モードドライバまたは電圧モードドライバとして実装することができる。電圧モードドライバは、電流モードドライバと比べて消費電力が大幅に少ないことが知られている。例えば、電圧モードドライバが消費するDC電力は、同じ出力スイングを提供する電流モードドライバの4分の1であり得る。
送信器の電圧モードドライバは、スイングおよび同相モード/差動モードの逆流損失が規格内であるような、スイングおよびインピーダンス制御を必要とする。ドライバ回路における出力信号スイング制御の1つの技術は、単一の電圧レギュレーターを使用して、電圧スイングを設定する参照電圧を発生させるというものである。しかしながら、単一のレギュレーターでは、ドライバ回路の出力スイングが変化すると同相モードがシフトしてしまう。かかる同相モードのシフトによって、逆流損失が規格を超えてしまう恐れがある。更に、従来の低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレーターはリップルが大きく、そのためジッタも大きい。確定的ジッタは送信器ドライバの重要な仕様である。送信器ドライバの電圧レギュレーターは、ジッタが小さくなるように、電源リップルをできるだけ抑制すべきである。
電圧モードドライバの高速過渡低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレーターを提供する技術について記載する。一実施例では、電圧レギュレーターは、第1の電圧供給ノードに結合されたソースと、出力ノードに結合されたドレインとを含む、出力トランジスタを含む。電圧レギュレーターは、出力ノードに結合されたソースを含む第1のトランジスタと、出力トランジスタのゲートに結合されたソースおよび第2の電圧供給ノードに結合されたドレインを含む第2のトランジスタとを更に含む。電圧レギュレーターは、第2の電圧供給ノードと、第1のトランジスタのドレインおよび第2のトランジスタのゲートを含む第1のノードとの間に結合された抵抗器を更に含む。電圧レギュレーターは、参照電圧ノードに結合された第1の入力と、出力ノードに結合された第2の入力と、第1のトランジスタのゲートに結合された出力とを含む、誤差増幅器を更に含む。
別の実施例では、ドライバ回路は、電圧モード出力ドライバと、電圧モード出力ドライバに結合された電圧レギュレーターとを含む。電圧レギュレーターは、出力電圧を電圧モード出力ドライバに提供する。電圧レギュレーターは、第1の電圧供給ノードに結合されたソースと、出力電圧を供給する、出力ノードに結合されたドレインとを含む、出力トランジスタを含む。電圧レギュレーターは、出力ノードに結合されたソースを含む第1のトランジスタと、出力トランジスタのゲートに結合されたソースおよび第2の電圧供給ノードに結合されたドレインを含む第2のトランジスタとを更に含む。電圧レギュレーターは、第2の電圧供給ノードと、第1のトランジスタのドレインおよび第2のトランジスタのゲートを含む第1のノードとの間に結合された抵抗器を更に含む。電圧レギュレーターは、参照電圧ノードに結合された第1の入力と、出力ノードに結合された第2の入力と、第1のトランジスタのゲートに結合された出力とを含む、誤差増幅器を更に含む。
別の実施例では、電圧レギュレーターは、第1の電圧供給ノードに結合されたソースと、調整出力電圧を供給する、出力ノードに結合されたドレインとを含む、出力トランジスタを含む。DC調整ループは、調整出力電圧を制御するように構成された第1のソースフォロワと、第1のソースフォロワを制御するように構成された誤差増幅器とを含む。高速過渡ループは、第2のソースフォロワと、抵抗器と、第1のソースフォロワとを含み、第2のソースフォロワは出力トランジスタを制御するように構成される。抵抗器と第1のソースフォロワとの間の電圧で、第2のソースフォロワを制御する。
電圧モードドライバの高速過渡低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレーターを提供する技術について記載する。一実施例では、電圧レギュレーターは、第1の電圧供給ノードに結合されたソースと、出力ノードに結合されたドレインとを有する、出力トランジスタを含む。第1のトランジスタは出力ノードに結合されたソースを含む。第2のトランジスタは、出力トランジスタのゲートに結合されたソースと、第2の電圧供給ノードに結合されたドレインとを含む。抵抗器は、第2の電圧供給ノードと、第1のトランジスタのドレインおよび第2のトランジスタのゲートを含む第1のノードとの間に結合される。誤差増幅器は、参照電圧ノードに結合された第1の入力と、出力ノードに結合された第2の入力と、第1のトランジスタのゲートに結合された出力とを含む。
電圧レギュレーターは、DC調整ループおよび高速過渡ループを使用して、出力ノードにおいて電圧を制御することによって、出力電圧を調整する。DC調整ループは、第1のトランジスタおよび出力トランジスタによって形成されるソースフォロワと、誤差増幅器とを含む。高速過渡ループは、出力トランジスタのゲート電圧を制御する、第2のトランジスタおよび電流源によって形成される別のソースフォロワを含む。第2のトランジスタは、レベルシフタとして作用し、出力トランジスタのゲートに低インピーダンス極を作り出す。支配極は出力ノードにあり、2つの非支配極はギガヘルツ(GHz)範囲内にある。これによって、電圧レギュレーターが広帯域幅を達成することが可能になる。これにより、出力ノードにおける出力リップルが大幅に緩和される。2つの別個のループを使用するのではなく、DC調整ループおよび高速過渡ループは(第1のソースフォロワを通して)電圧レギュレーター内で結合される。これらおよび更なる態様について、図面に関連して後述する。
図5は、直列通信システム500の一実施例を示すブロック図である。直列通信システム500は、図1に示され上述したように、送信媒体160を通じて受信器126に結合された送信器112を備える。出力ドライバ118は差動信号を送信媒体160に結合する。本実施例では、出力ドライバ118は、高電圧および低電圧を出力ドライバ118の回路に供給する、一対の電圧レギュレーター162を含む。例示の電圧レギュレーターが図7に示されており、後述する。
図6は、一実施例による出力ドライバ118を示す概略図である。図6において図2と同じまたは類似の要素は、同一の参照番号で指定されている。出力ドライバ118は、出力回路2081〜208N(Nは1よりも大きい整数)と電圧レギュレーター1621および1622とを含む。出力回路2081〜208Nは集合的に出力回路208と呼ばれる。電圧レギュレーター1621および1622は集合的に電圧レギュレーター162と呼ばれる。電圧レギュレーター1621は共通ノードVrefpに結合される。電圧レギュレーター1621は、ノードVrefpで電圧を制御し、電流を出力回路208に供給する。電圧レギュレーター1622は共通ノードVrefnに結合される。電圧レギュレーター1622は、ノードVrefnで電圧を制御し、電流を出力回路208からシンクする。
動作の際、各出力回路208は、相補入力(差動入力202の差動信号)によって駆動される一対のインバータを含む。差動入力202の各差動信号は、メインカーソル信号、ポストカーソル信号、またはプレカーソル信号の1つであることができる。上述したように、プレドライバ115は、メインカーソル、ポストカーソル、およびプレカーソル信号それぞれを受信する出力回路208の数を制御する。例えば、出力回路は、全てのメインカーソル信号と、一部のメインカーソル信号と、一部のプレカーソル信号、一部のメインカーソル信号と一部のポストカーソル信号、または一部のメインカーソル信号と、一部のポストカーソル信号と、一部のプレカーソル信号を受信することができる。ポスト/プレカーソル信号とメインカーソル信号との混合を使用して、送信器112におけるエンファシスおよびデエンファシス等化が実現される。出力ドライバ118では、異なる数の出力回路208を異なるメイン/プレ/ポストカーソル信号で駆動することによって、等化を実現することができる。
電圧モードドライバの場合、出力回路208によって引き出される電流は以下の関係を使用して計算することができる。Id=(差動スイング)/(外部差動抵抗+内部差動抵抗)。一実施例では、各送信線212pおよび212nは、50オームの特性インピーダンスZ0を有する(外部差動抵抗=100オーム)。理想的には、出力ドライバ118は、各送信線212に対して50オームの整合インピーダンスを提供する(例えば、内部差動抵抗=100オーム)。所望のスイングが0.75Vの場合、出力回路208によって引き出される電流は約3.75mAである。過渡スイッチングクローバー電流を考慮して、実際の電流消費はより高いことがある。上述の式に関して、出力回路208によって引き出される電流は出力スイングとともに変化することが注目される。より低いスイングの場合、出力回路208によって電圧レギュレーター1621から引き出される電流はより少ない。
電圧レギュレーター162は出力ドライバ118のスイングを設定する。差動ピーク間スイングはVrefp−Vrefnである。例えば、電圧レギュレーター1621は共通ノードVrefpで電圧を0.75Vに制御することができ、電圧レギュレーター1622は共通ノードVrefnで電圧を0.15Vに制御することができる。かかる実施例では、出力スイングは0.6Vである。電圧レギュレーター162はそれぞれ、低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレーターなどの電圧レギュレーターであることができる。
ジッタは出力ドライバ118の重要な仕様である。両方の供給電圧が出力ドライバ118に提供されるので(例えば、共通ノードVrefpおよびVrefnにおける電圧)、各供給電圧におけるリップルをできるだけ小さくして、ジッタを低減することが重要である。小さいリップルを達成するためには、電圧レギュレーター162は高速過渡レギュレーターであるべきである。
一例のLDO電圧レギュレーターは、nチャネルまたはpチャネルFETである直列要素に入力電圧を印加する。直列要素は線形領域で動作し、入力電圧を所望の出力電圧まで降下させる。分圧器は出力電圧を分割し、誤差増幅器は分割された出力電圧を感知する。誤差増幅器は、感知電圧を参照電圧と比較し、直列要素のゲートを適切な動作点へと駆動して出力電圧を制御する。かかるLDOレギュレーターは狭い帯域幅を有する。直列要素のゲートノードは高インピーダンスノードであり、支配極として設計される。十分な直流電流(DC)利得を有するためには、ゲートノードにおけるインピーダンスは高インピーダンスである。支配極はキロヘルツ範囲であることができる。非支配極は出力ノードで形成される。出力リップルを小さくするため、大きい減結合コンデンサを使用することができる。このように、非支配極を高周波数へと移動させ、回路の帯域幅を改善するためには、かなりの電流を要する。電圧リップルは、負荷電流を出力容量と帯域幅の積で割ったものに比例する。負荷電流が大きく変動した場合、出力リップルは著しく高い。出力容量を増加させることによってリップルを低減できるが、帯域幅も低減される。更に後述するように、図3に示される電圧レギュレーターは、比較的少ない電流でこの課題を解決する、反転電圧フォロワ(flipped voltage follower)(FVF)に基づく。
別の例示のLDO電圧レギュレーターはFVFアーキテクチャを使用する。FVF LDOレギュレーターはレプリカバイアシングを含む。トランジスタは、電流ミラーおよび誤差増幅器を含むレプリカ回路を使用してバイアスされて、参照電圧を発生させる。かかるLDOレギュレーターは、1つはDC出力を制御し、もう1つは過渡を低減する、2つの減結合ループを含む。かかるLDOレギュレーターの1つの課題はDC精度である。かかるLDOレギュレーターは、プロセスおよび温度(PVT)の変化に影響を受けやすい。更に、高速過渡ループのDC利得は低く、そのため負荷調整が良好ではない。更に、高速過渡ループの支配極は出力側に形成される。高負荷条件下では、支配極が高周波数(例えば、特に28nm未満の技術ノードでは、数十MHz)へと移動するので、システムの安定性が問題となる。
図7は、一実施例による電圧レギュレーター700の概略図である。電圧レギュレーター700は、上述した電圧レギュレーター1622として使用することができるLDO電圧レギュレーターである。当業者であれば、電圧レギュレーター700は、低ドロップアウトの線形電圧レギュレーターを利用する他の無数の用途で使用できることを認識するであろう。
電圧レギュレーター700はトランジスタMPower、MSF1、およびMSF2を含む。電圧レギュレーター700は、抵抗器R1と、電流源Ibias1と、誤差増幅器702とを更に含む。トランジスタMPower、MSF1、およびMSF2は、NMOSトランジスタなどのnチャネルFETである。トランジスタMPowerは、第1の電圧ノード(この実施例では、電気的接地として指定される)に結合されたソースと、ノードV2に結合されたベースと、ノードVoutに結合されたドレインとを含む。トランジスタMSF1は、ノードVoutに結合されたソースと、誤差増幅器702の出力に結合されたベースと、ノードV1に結合されたドレインとを含む。抵抗器R1は、第2の供給ノード(この実施例では、Vsupと指定される)とノードV1との間に結合される。トランジスタMSF2は、ノードV2に結合されたソースと、供給ノードVsupに結合されたドレインと、ノードV1に結合されたベースとを含む。電流源IbiasはノードV2と接地ノードとの間に結合される。実施例では、電流源Ibias1は電流をノードV2から離れる方向で送る。誤差増幅器702は、ノードVsupと接地ノードにそれぞれ結合された供給入力を含む。誤差増幅器702は、ノードVrefに結合された非反転入力と、ノードVoutに結合された反転入力とを更に含む。誤差増幅器702の一例が図8に示されており、後述する。コンデンサCoutはノードVoutと接地ノードとの間に結合される。
動作の際、電圧レギュレーター700は、ノードVoutにおいて、ノードVsupと接地ノードとの間の供給電圧から、調整出力電圧を発生させる。調整出力電圧は、トランジスタMPowerのドレインおよびソースの間に現れる(例えば、調整出力電圧はトランジスタMPowerのVDSである)。トランジスタMPowerは、本明細書では出力トランジスタとも呼ばれる。負荷RLoadは、供給電圧(例えば、図6のVrefp)と電圧レギュレーター700のノードVoutとの間に結合することができる。したがって、一実施例では、Voutにおける電圧は図6に示される電圧Vrefnである。負荷RLoadはDC電流ILoadを供給し、その電流はトランジスタMPowerによってシンクする。トランジスタMPowerは、負荷電流ILoadとトランジスタMSF1のドレイン・ソース間電流とを含む電流IDSを導通する。トランジスタMPowerは、負荷RLoadによって供給される負荷電流の所望の範囲に適応するようなサイズにされた、パワーMOSFETなどである。
電圧レギュレーター700は、DC調整ループおよび高速過渡ループを使用して、ノードVoutにおける電圧を制御することによって、出力電圧を調整する。DC調整ループは、ノードVoutにおける出力電圧を制御する第1のソースフォロワ(SF1)と、第1のソースフォロワを制御する誤差増幅器702とを含む。第1のソースフォロワは、トランジスタMSF1およびトランジスタMPowerによって形成される。第1のソースフォロワの入力は、誤差増幅器702によって出力される電圧Vgである。第1のソースフォロワの出力はノードVoutである。第1のソースフォロワに対する共通の入力はノードV1である。DC調整ループは、電圧Vgを発生させる、誤差増幅器702の非反転入力にフィードバックされる、ノードVoutにおける電圧を制御する、トランジスタMSF1のゲートに印加される電圧Vgを含む。誤差増幅器702は、電圧VrefおよびVoutの差が実質的にゼロになるように、トランジスタMSF1の動作点を設定する。
高速過渡ループは、第2のソースフォロワ(SF2)と、抵抗器R1と、第1のソースフォロワ(SF1)とを含む。第2のソースフォロワ(SF2)はトランジスタMSF2と電流源Ibias1とを含む。第2のソースフォロワの入力はノードV1における電圧である。第1のソースフォロワの出力はノードV2である。第1のソースフォロワに対する共通の入力は供給ノードVsupである。トランジスタMSF2のドレイン・ソース間電流は電流Ibias1に設定される。第2のソースフォロワは、ノードV2における電圧を制御することによってトランジスタMPowerを制御する。抵抗器R1と第1のソースフォロワ(SF1)との間(ノードV1)の電圧は、第2のソースフォロワ(例えば、トランジスタMSF2のゲート電圧)を制御する。トランジスタMSF2は、レベルシフタとして作用し、トランジスタMPowerのゲートに低インピーダンスノードを作り出す。支配極は出力ノードVoutにあり、2つの非支配極はギガヘルツ(GHz)範囲内にある。これによって、電圧レギュレーター700が広帯域幅を達成することが可能になる。これにより、ノードVoutにおける出力リップルが大幅に緩和される。2つの別個のループを使用するのではなく、DC調整ループおよび高速過渡ループは(第1のソースフォロワSF1を通して)電圧レギュレーター700内で結合される。
上述した例示のLDOレギュレーターと比較して、電圧レギュレーター700のDC精度はより良好である。負荷電流ILoadが増加すると、高速過渡ループが追加の負荷電流をシンクする作用を通して、トランジスタMPowerのゲート電圧が増加する。対照的に、負荷電流ILoadが減少すると、高速過渡ループがトランジスタMPowerのIDSの変化に応答する作用を通して、トランジスタMPowerのゲート電圧が減少する。トランジスタMSF1のゲートの電圧Vgはほぼ一定であり、それによって異なる負荷電流に対するDC利得の変化が少なくなり、負荷調整が改善される。
一実施形態では、誤差増幅器702は折返しカスコード増幅器を含む。誤差増幅器702の一例が図8に示されている。ノードVoutにおける出力電圧は、分割された出力電圧ではなく、誤差増幅器702に直接フィードバックされる。誤差増幅器702が折返しカスケード増幅器に基づく場合、DC利得は高く、それによってPVTの変化に対して影響を受けなくなる。高速過渡ループのDC利得は低いが、誤差増幅器702の高DC利得が補償するので、トランジスタMSF1のゲートにおける電圧Vgの変化は小さくなる。このように、ノードVoutにおける出力電圧は実質的に一定であり、負荷調整が良好になる。
抵抗器R1は、電流ミラーを使用するのではなく、高速過渡ループにおいて電圧V1を発生させるのに使用される。電圧レギュレーター700はレプリカバイアシングに基づかないので、高速過渡ループにおいて電流ミラーの代わりに抵抗器R1を使用することによる、DC精度に対する影響は最小限である。抵抗器R1はまた、零入力電流を大幅に増加させずに、非支配極をより高周波数側へと押しやることを可能にする。
図8は、一実施例による誤差増幅器702を示す概略図である。誤差増幅器702は、ソース結合トランジスタ対(M1、M2)と、電流源Ibias2と、カスコード分岐回路802とを含む。カスコード分岐回路802(出力回路とも呼ばれる)は、ベース結合トランジスタ対(M3、M4)と、ベース結合トランジスタ対(Mcascode1、Mcascode2)と、ベース結合トランジスタ対(Mcascode3、Mcascode4)と、ベース結合トランジスタ対(M5、M6)とを含む。トランジスタM1はトランジスタM2のソースに結合されたソースを含む。トランジスタM1は、ノードVrefに結合されたベースとトランジスタM3のドレインに結合されたドレインとを含む。トランジスタM2は、ノードVoutに結合されたベースとトランジスタM4のドレインに結合されたドレインとを含む。電流源Ibias2は、供給ノードVsupとソース結合トランジスタ対(M1、M2)のソースノードとの間に結合される。トランジスタM1およびM2は、PMOSトランジスタなどのpチャネルFETである。
トランジスタM3は、接地ノードに結合されたソースと、ノードVbias3に結合されたベースと、トランジスタMcascode1のソースに結合されたドレインとを含む。トランジスタM4は、接地ノードに結合されたソースと、ノードVbias3に結合されたベースと、トランジスタMcascode2のソースに結合されたドレインとを含む。トランジスタMcascode1は、ノードVbias2に結合されたベースとトランジスタMcascode3のドレインに結合されたドレインとを含む。トランジスタMcascode2は、ノードVbias2に結合されたベースとトランジスタMcascode4のドレインに結合されたドレインとを含む。トランジスタMcascode3は、ノードVbias1に結合されたベースとトランジスタM5のドレインに結合されたソースとを含む。トランジスタMcascode4は、ノードVbias1に結合されたベースとトランジスタM6のドレインに結合されたソースとを含む。トランジスタM6は、トランジスタM6のベースを含むノードと、トランジスタMcascode1およびMcascode3のドレインを含む別のノードとに結合されたベースを含む。トランジスタM6は供給ノードVsupに結合されたソースを含む。トランジスタM6は供給ノードVsupに結合されたソースを含む。トランジスタMcascode1、Mcascode2、M3、およびM4は、NMOSトランジスタなどのnチャネルFETである。トランジスタMcascode3、Mcascode4、M5、およびM6は、PMOSトランジスタなどのpチャネルFETである。トランジスタMcascode4およびMcascode2のドレインを含むノードは、図7に示されるソースフォロワSF1の入力(例えば、トランジスタMSF1のベース)に結合された電圧Vgを提供する。
動作の際、トランジスタ対(M3、M4)は、ソース結合対(M1、M2)に対する負荷トランジスタである。トランジスタM3およびM4には、ノードVbias3に結合されたバイアス源(図示なし)によって、飽和するようにゲートバイアスが供給される。同様に、カスコード対(Mcascode1、Mcascode2)およびカスコード対(Mcascode3、Mcascode4)には、ノードVbias2およびVbias1にそれぞれ結合されたバイアス源(図示なし)によって、飽和するようにゲートバイアスが供給される。トランジスタM5およびMcascode3は、トランジスタM6に電流が反映されるカスコード電流ミラーを形成する。トランジスタ(M1、M2)は電流源Ibias2とともに、差動入力電圧(Vref−Vout)に応答して、ソース結合対の2つの側の間のテール電流を負荷トランジスタ(M3、M4)に至らせる。電圧Vrefが電圧Voutに等しいとき、等しい電流Ibias2/2が負荷トランジスタM3およびM4それぞれに流れる。
負荷トランジスタM3およびM4はまた、電流ミラー(M5、Mcascode3)および関連するトランジスタM6、Mcascode1、Mcascode2、およびMcascode4によって生成される、固定の電流を受け取る。入力電圧が等しいとき、負荷トランジスタM3およびM4を通るドレイン・ソース間電流は、Ibias2の2分の1に電流ミラーおよびカスコードトランジスタの電流を加えたものに等しい。入力電圧(Vref−Vout)の不均衡によって、カスコード分岐回路802の分岐間に電流の不均衡がもたらされて、電圧Vgが入力電圧の変化と同じ方向にシフトする。したがって、Vout>Vrefの場合、Vgは低出力側に駆動されるので、ソースフォロワSF1が出力ノードVoutを低出力側に駆動する。Vout<Vrefの場合、Vgは高出力側に駆動されるので、ソースフォロワSF1が出力ノードVoutを高出力側に駆動する。誤差増幅器702の高利得によって、定常状態では、Vgの一定値からの変化は少量におさまることが担保される。
電圧モードドライバにおけるデータ依存の電流補償
直列通信システムでは、合計電力の多くの部分が送信器で消費されるが、送信器は、適切なソース終端を維持しながら低インピーダンスチャネルで適切な信号スイングを提供しなければならない。それに加えて、送信器は、チャネルにおける周波数依存の損失を補償する等化を含む場合が多い。多くの場合、送信器のドライバ回路が送信器の電力の大部分を消費する。ドライバ回路は、電流モードドライバまたは電圧モードドライバとして実装することができる。電圧モードドライバは、電流モードドライバと比べて消費電力が大幅に少ないことが知られている。例えば、電圧モードドライバが消費するDC電力は、同じ出力スイングを提供する電流モードドライバの4分の1であり得る。
送信器は、共通出力ノードに結合された複数の電圧モードドライバを含むことができる。電圧レギュレーターは、調整供給電圧を電圧モードドライバに提供する。電圧モードドライバは、異なる入力信号によって駆動されて等化を実現する。このように、電圧モードドライバはデータ依存の電流を電圧レギュレーターから引き出す。平均供給電圧の大きいスイングは、送信器の確定的ジッタを劣化させる場合がある。
電圧モードドライバのデータ依存の電流補償の技術について記載する。一実施例では、出力ドライバは、第1の電圧供給ノードと第2の電圧供給ノードとの間に並列に結合された複数の出力回路を含む。複数の出力回路はそれぞれ、複数の論理信号のうちのある論理信号を受信するように結合された差動入力と、共通出力ノードに結合された差動出力とを含む。出力ドライバは、第1の電圧供給ノードおよび第2の電圧供給ノードのそれぞれ少なくとも1つに結合された少なくとも1つの電圧レギュレーターを更に含む。出力ドライバは電流補償回路を更に含む。電流補償回路は、電流源と直列で結合されたスイッチを含み、スイッチおよび電流源の直列の組み合わせは、第1の電圧供給ノードと第2の電圧供給ノードとの間に結合される。電流補償回路は、イネーブル信号を供給する、スイッチに結合されたイベント検出器を更に含み、イベント検出器は、複数の論理信号におけるパターンの存在に基づいて、イネーブル信号の状態を制御するように構成される。
別の実施例では、送信器は、入力データに応答して複数の論理信号を供給するように構成された有限インパルス応答(FIR)フィルタを含む。送信器は、複数の論理信号を出力ドライバに結合するように構成されたプレドライバを更に含む。出力ドライバは、第1の電圧供給ノードと第2の電圧供給ノードとの間に並列に結合された複数の出力回路を含み、複数の出力回路はそれぞれ、複数の論理信号のうちある論理信号を受信するように結合された差動入力と、共通出力ノードに結合された差動出力とを含む。出力ドライバは、第1の電圧供給ノードおよび第2の電圧供給ノードのそれぞれ少なくとも1つに結合された少なくとも1つの電圧レギュレーターを更に含む。出力ドライバは電流補償回路を更に含む。電流補償回路は、電流源と直列で結合されたスイッチを含み、スイッチおよび電流源の直列の組み合わせは、第1の電圧供給ノードと第2の電圧供給ノードとの間に結合される。電流補償回路は、イネーブル信号を供給する、スイッチに結合されたイベント検出器を更に含み、イベント検出器は、複数の論理信号におけるパターンの存在に基づいて、イネーブル信号の状態を制御するように構成される。
別の実施例では、送信器の出力ドライバを制御する方法は、送信器のイコライザーから複数の論理信号を受信することと、複数の論理信号それぞれを、出力ドライバの複数の出力回路のうちの少なくとも1つと結合することであって、複数の出力回路が第1の電圧供給ノードと第2の電圧供給ノードとの間に結合され、第1の電圧供給ノードおよび第2の電圧供給ノードの少なくとも1つが電圧レギュレーターに結合されていることと、複数の論理信号のパターンを検出することと、第1の電圧供給ノードと第2の電圧供給ノードとの間に結合された複数の電流源の少なくとも1つを有効にすることとを含む。
図9は、直列通信システム900の一実施例を示すブロック図である。直列通信システム900は、送信媒体960を通じて受信器926に結合された送信器912を備える。送信器912は、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)916の一部であることができる。受信器926はSERDES 922の一部であることができる。送信媒体960は、送信器912と受信器926との間に電気経路を備え、プリント回路基板(PCB)トレース、バイア、ケーブル、コネクタ、減結合コンデンサなどを含むことができる。実施例では、送信媒体960は、特性インピーダンス(Z0)をそれぞれ有する送信線の整合対を含む。SERDES 916の受信器およびSERDES 922の送信器は、明瞭にするため省略されている。いくつかの実施例では、SERDES 916は集積回路(IC)910に配設することができ、SERDES 922はIC 920に配設することができる。
動作の際、SERDES 916は入力デジタル信号を直列化する。本明細書で使用するとき、デジタル信号はkビットコードのシーケンスであり、kは正の整数である。kビットコードはワード(またはデータワード)と呼ばれることがある。特定の実施例では、8ビットコードはバイト(またはデータバイト)と呼ばれることがある。1秒当たりのコード数がデータ率である(サンプル率とも呼ばれる)。デジタル信号はまた、各離散時間における信号の振幅が2k離散値から選択される、離散時間離散振幅信号として概念的に見ることもできる。本明細書で使用するとき、論理信号は1ビットコードのシーケンスである。論理信号は、各離散時間における信号の振幅が論理高レベル(または論理「1」)および論理低レベル(または論理「0」)と呼ばれる2つの状態から選択される、離散時間離散振幅信号としてみることができる。入力信号は、離散時間における各kビットコードを、j離散時間にわたるjビットのシーケンス(直列データと呼ばれる)に分解することによって直列化される。jはk以上の正の整数である。いくつかの実施例では、入力デジタル信号によって提供されるデータワードは、例えば、8B/10Bエンコーダまたは他の任意のライン符号化スキーム(例えば、j>k)を使用して、直列化の前に符号化することができる。
SERDES 916は、1つまたは複数の論理信号を生成させて、直列データを送信器912に提供する。送信器912は、デジタルベースバンド変調技術を使用して、直列データを送信媒体960へと送る。一般に、直列データは符号へと分割される。送信器912は、各符号を符号に対してマッピングされたアナログ電圧に変換する。送信器912は、各符号から生成したアナログ電圧を送信媒体960に結合する。本明細書に記載する実施例では、送信器912はバイナリ非ゼロ復帰(NRZ)変調スキームを使用する。バイナリNRZでは、符号は1ビットの直列データであり、各ビットを表すのに2つのアナログ電圧が使用される。当業者であれば、本明細書に記載される技術は、符号が複数ビットの直列データを含むパルス振幅変調(PAM)など、他のデジタルベースバンド変調技術とともに使用することもできることを認識するであろう。
図示される実施例では、送信媒体960は差動チャネルである。アナログ電圧は、2つの補アナログ信号(正および負アナログ信号と呼ばれる)を使用して送信媒体960に結合される。バイナリNRZの場合、直列データの論理「0」は、正アナログ信号がその電圧下限値に、負アナログ信号がその電圧上限値にある状態で、送信媒体960を駆動することによって表される。直列データの論理「1」は、正アナログ信号がその電圧上限値に、負アナログ信号がその電圧下限値にある状態で、送信媒体960を駆動することによって表される。このように、直列データの各ビットの論理値は、どちらかのアナログ信号個々のレベルに基づくのではなく、正および負アナログ信号の差に基づく。正アナログ信号と負アナログ信号とのピーク間の差が、電圧スイング(出力スイングまたはスイングとも呼ばれる)である。2つの補アナログ信号は差動信号(送信信号とも呼ばれる)を形成する。
送信器912は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ914と、プレドライバ915と、出力ドライバ918と、制御論理950とを含む。送信器912は、直列データを処理して、送信信号のプレエンファシスを行い、送信媒体960を等化するように構成される。FIR 914は、送信媒体960によって起こる符号間干渉(ISI)を緩和するのに使用することができる。送信媒体960は送信信号の信号品質を劣化させる。チャネル挿入損失は、送信信号の信号電力における周波数依存性の劣化である。信号が送信線を通って移動すると、送信信号の高周波数成分の方が低周波数成分よりも減衰される。一般に、周波数増加に伴ってチャネル挿入損失が増加する。送信信号の信号パルスエネルギーは、送信媒体960における伝播中に、1つの符号期間から別の符号期間へと展開させることができる。結果として生じるひずみはISIとして知られる。一般に、ISIは、通信システムの速度が増加するにつれて悪化する。送信器912は、プレエンファシスを使用して送信媒体960を等化する。
FIRフィルタ914の出力はプレドライバ915の入力に結合される。プレドライバ915の出力は出力ドライバ918の入力に結合される。出力ドライバ918の出力は送信媒体960に結合される。動作の際、FIRフィルタ914は直列データを受信する。FIRフィルタ914は、異なる離散時間における直列データの状態をそれぞれ提供する複数のタップを含む。一実施例では、FIRフィルタ914は、1つのタップが直列データの電流符号を提供し、別のタップが直列データの遅延符号を提供し、別のタップが直列デジタル信号の先行符号を提供する、3つのタップを含む。電流符号、遅延符号、および先行符号はそれぞれ、メインカーソル、プレカーソル、およびポストカーソルと呼ばれる。FIRフィルタ914は、更に後述するように、メイン、プレ、およびポストカーソルから生成した複数の論理信号を出力する。FIRフィルタ914は3つのタップを有するものと記載されているが、一般に、FIRフィルタ914は、メインカーソル、ならびに1つもしくは複数のプレカーソルおよび/または1つもしくは複数のポストカーソルを提供する複数のタップを含むことができる。
プレドライバ915は、FIRフィルタ914によって出力された論理信号を出力ドライバ918に結合する。後述するように、出力ドライバ918はセグメント化され、送信媒体960に結合された複数の出力回路を含む。出力回路はそれぞれ、直列ソース終端(a series−source terminated)(SST)出力ドライバ(例えば、電圧モードドライバ)を含む。プレドライバ915は、出力回路の中でも特にFIRフィルタ914によって出力される論理信号を多重化して、メイン、プレ、およびポストカーソルそれぞれをそれぞれの比率の出力回路に提供する。メインカーソル、プレカーソル、およびポストカーソルによって駆動される出力回路の数は、選択されたプレエンファシスを送信信号に提供して送信媒体960を等化するように、制御論理950によって選択される。
実施例では、出力ドライバ918は差動信号を送信媒体960に結合する。出力ドライバ918の出力回路は、データ依存の電流を電圧レギュレーターから引き出す。平均供給電流の変動は、送信器の確定的ジッタ(DJ)を劣化させる場合がある。したがって、出力ドライバ918は、一定の平均電流が電圧レギュレーターから引き出されることを担保する、電流補償回路1150を含む。電流補償回路1150については後述する。
SERDES 916およびSERDES 922が示されているが、他の実施例では、送信器912および/または受信器926はそれぞれ、より大型の送受信器回路の一部ではないスタンドアロン回路であることができる。いくつかの実施例では、送信器912および受信器926は、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルICなど、1つまたは複数のICの一部であることができる。
図10は、一実施例による送信器912を示すブロック図である。送信器912の入力は、SERDES 916の並列入力直列出力(PISO)回路1002に結合される。PISO回路1002は、送信されるデジタル信号を受信する並列入力を含む。PISO回路1002は、デジタル信号を直列化して直列データを生成させる。実施例では、PISO回路1002は、偶信号および奇信号と呼ばれる2つの論理信号を出力する。偶信号は直列データの全ての偶符号を含み、奇信号は直列データの全ての奇符号を含む。本明細書に記載する実施例では、各符号は1ビットの直列データであり、したがって、符号およびビットという用語はこれらの実施例では互換可能に使用される。送信器912が、PAMなどの多重ビット符号変調スキームを使用するように構成される場合、各符号は複数のビットを含む。直列データは符号間に期間Tを含む(シンボルレート1/T)。偶信号および奇信号はそれぞれ期間2Tを有する(データ率1/(2T))。
FIRフィルタ914は、PISO 1002によって出力される偶および奇信号を受信する。実施例では、FIRフィルタ914は、偶および奇信号それぞれに対するメイン、プレ、およびポストカーソル(偶および奇メイン、プレ、およびポストカーソルと呼ばれる)を提供する3つのタップを含む。FIRフィルタ914は、偶および奇メイン、プレ、およびポストカーソルを提供する、複数の論理信号を出力する。特に、FIRフィルタ914は、奇プレカーソル(「プレカーソル奇数」)、偶プレカーソル(「プレカーソル偶数」)、奇メインカーソル(「メインカーソル奇数」)、偶メインカーソル(「メインカーソル偶数」)、奇ポストカーソル(「ポストカーソル奇数」)、および偶ポストカーソル(「ポストカーソル偶数」)のそれぞれに対する論理信号を出力する。FIRフィルタ914によって出力される論理信号はそれぞれ、期間2Tを有する。
プレドライバ915は、多重化器10041〜1004N(集合的に多重化器1004)と、多重化論理(MUX)1006とを含む。多重化器1004は2:1多重化器である。多重化論理1006は、奇プレカーソル信号、偶プレカーソル信号、奇メインカーソル信号、偶メインカーソル信号、奇ポストカーソル信号、および偶ポストカーソル信号を受信する入力を含む。多重化論理1006は、多重化器1004それぞれの第1の入力に結合された2T奇出力と、多重化器1004それぞれの第2の入力に結合された2T偶出力とを含む。多重化論理1006の各2T奇出力は、プレカーソル、メインカーソル、またはポストカーソル奇信号の1つに対する補論理信号を提供する。多重化論理1006の各2T偶出力は、プレカーソル、メインカーソル、またはポストカーソル偶信号の1つに対する補論理信号を提供する。各多重化器1004の入力は、1/Tのレートで出力に交互に結合される。したがって、各多重化器1004の出力は期間Tを有する補論理信号を提供する。明瞭にするため、多重化器1004の制御入力は図面から省略されている。多重化器1004の制御入力は、クロック信号に結合されて、1/Tのレートで偶入力か奇入力かを選択する。
出力ドライバ918は複数の出力回路1008(例えば、N個の出力回路)を含む。上述したように、プレカーソル、メインカーソル、およびポストカーソル信号はそれぞれ、出力ドライバ918における特定の比率の出力回路1008に結合される。MUX論理1006は、多重化器1004の間でプレ、メイン、およびポストカーソル信号を分配するように構成され、それによって出力回路1008が供給される。MUX論理1006は、プレカーソル、メインカーソル、またはポストカーソルのいずれかに対する論理信号を、多重化器1004のいずれかに結合することができる。MUX論理1006は制御論理950に結合された制御入力を含む。制御論理950は、プレカーソルに対する論理信号を選択された数の多重化器1004に、ポストカーソルに対する論理信号を選択された数の多重化器1004に、メインカーソルに対する論理信号を選択された数の多重化器1004に結合するように、MUX論理1006を構成する。多重化器1004は、多重化論理1006の2T出力を出力回路1008の1T入力に変換する。
図11は、一実施例による出力ドライバ918を示す概略図である。出力ドライバ918は出力ドライバ118と同様に構成される。出力ドライバ918は、出力回路2081〜208N(Nは1よりも大きい整数)と、電圧レギュレーター2101および2102と、電流補償回路1150とを含む。電圧レギュレーター2101は共通ノードVrefpに結合される。電圧レギュレーター2101は、ノードVrefpで電圧を制御し、電流を出力回路208に供給する。電圧レギュレーター2102は共通ノードVrefnに結合される。電圧レギュレーター2102は、ノードVrefnで電圧を制御し、電流を出力回路208からシンクする(例えば、負電流を出力回路208に供給する)。電圧レギュレーター2101は第1の供給電圧Vsupに結合され、電圧レギュレーター2102は第2の供給電圧(例えば、電気的接地)に結合される。
電圧レギュレーター210は出力ドライバ918のスイングを設定する。差動ピーク間スイングはVrefp−Vrefnに基づく。出力ドライバ918の二重のレギュレーター2101および2102を用いて、スイングおよび同相モードを独立して設定することができる。例えば、同相モード0.45Vおよび出力スイング0.6Vの場合、Vrefpは0.75Vに設定され、Vrefnは0.15Vに設定される。出力ドライバ918では、異なる数の出力回路208を異なるメイン/プレ/ポストカーソル信号で駆動することによって、等化を実現することができる。二重のレギュレーターの方策を用いて、レギュレーター電圧を調節することによってスイングが変化する。このように、等化制御はスイング制御とは独立している。これによって、低スイングモードであっても高FIR分解能が可能になる。
出力回路208は、データ依存の電流を電圧レギュレーター210から引き出す。電圧レギュレーター210から引き出された電流は差動出力電圧の大きさに反比例する。差動出力電圧の大きさ自体は、メイン、プレ、およびポストカーソルの状態に応じて決まる。メインカーソルがプレカーソルおよび/またはポストカーソルと異なる状態を有するとき、差動出力電圧の大きさは大きく、供給電流は小さい。つまり、メインカーソル(1T)信号のビットがその前および/または後のビットとは異なる場合は常に、差動出力電圧の大きさは大きく、供給電流は小さい。対照的に、メインカーソルがプレカーソルおよび/またはポストカーソルと同じ状態を有するとき、差動出力電圧の大きさは小さく、供給電流は大きい。つまり、メインカーソル(1T)信号のビットがその前および/または後のビットと同じである場合は常に、差動出力電圧の大きさは小さく、供給電流は大きい。「大」電流と「小」電流との差(即ち、電流スイング)は、送信器912の確定的ジッタを劣化させるのに十分な大きさであり得る。
電流補償回路1150は、共通ノードVrefpおよびVrefnの間に結合される。電流補償回路1150は、選択された電流を電圧レギュレーター2101から引き出す(また、電圧レギュレーター2102によってシンクされる)ように、(制御論理950を使用して)制御可能である。制御論理950は、電流補償回路1150を制御して、電圧レギュレーター2101によって供給され電圧レギュレーター2502によってシンクされた平均電流を等化することができる。電流補償回路1150は、電流スイングを最小限に抑え、送信器912の確定的ジッタ性能を維持するように制御される。FIRフィルタ1150の一実施形態について、図12に関連して以下に記載する。
図12は、一実施例による電流補償回路1150を示す概略図である。一般に、電流補償回路1150は、イベント検出器1220と、共通ノードVrefpおよびVrefnの間に結合された分岐回路1202とを含む。分岐回路1202は、電流源1212に結合されたスイッチ1210を含む。スイッチ1210および電流源1212の直列の組み合わせは、共通ノードVrefpおよびVrefnの間に結合される。イベント検出器1220はスイッチ1210に結合されて、イネーブル信号(Sel1)と呼ばれる論理信号を供給する。イベント検出器1220は、FIRフィルタ914によって出力される論理信号におけるパターンの存在に基づいて、イネーブル信号(Sel1)の状態を制御する。
特に、イベント検出器1220は、直列データの電流符号の状態が遅延符号および/または先行符号とは異なるときに生じる、FIRフィルタ914によって出力される複数の2T論理信号におけるパターンを検出する。パターンを検出すると、イベント検出器1220はイネーブル信号(Sel1)を制御してスイッチ1210を閉止し、共通ノードVrefpおよびVrefnの間の電流源1212が結合される。電流源1212は、分かっている量の電流を電圧レギュレーター210から引き出すように制御される。パターンが存在しない場合、イベント検出器1220はイネーブル信号(Sel1)を制御してスイッチ1210を開放し、共通ノードVrefpおよびVrefnの間の電流源1212が減結合される。このように、電圧レギュレーター210から引き出される平均電流は、直列データの状態に基づいて、送信器912の確定的ジッタに対する影響を最小限に抑えるように制御される。
一実施例では、電流補償回路1150は一般に、並列に結合されたM個の分岐回路1202を、例えば分岐回路12021〜1202Mを含み、Mは正の整数である。スイッチ1210は一般に、スイッチ回路12101〜1210Mを含む。同様に、電流源1212は電流源回路12121〜1212Mを含む。分岐回路12021〜1202Mはそれぞれ、スイッチ回路12101〜1210Mと電流源回路12121〜1212Mとを含む。Mが1よりも大きいとき、スイッチ回路12101〜1210Mは、イネーブル信号(Sel1)と、制御論理950によって生成させることができる論理信号である、個々のイネーブル信号W1〜WMとに応答する。動作の際、イベント検出器1220がパターンを検出すると、イベント検出器1220は、制御論理950によって制御されるように、選択された数の電流源回路12121〜1212Mを有効にする。このように、個々のイネーブル信号W1〜WMは、分岐回路12021〜1202Mによって引き出される電流の重みを制御する。分岐回路12021〜1202Mは、イネーブル信号(Sel1)と論理信号W1〜WMによって形成されるデジタル信号(例えば、2M電流レベルから選択するMビットのデジタルコード)とに応答してアナログ電流を発生させる、電流出力デジタル・アナログ変換器(DAC)を実現する。DACの強度は、等化の強度と合致するようにプログラミングすることができる。
イベント検出器1220は、イネーブル信号(Sel1)を生成させるように構成される論理ゲート1222を含む。図示される実施例では、論理ゲート1222は排他的NOR(XNOR)ゲートである。論理ゲート1222の1つの入力は、2T奇メインカーソル(main_odd(2T)と示される)を受信するように結合される。論理ゲート1222の別の入力は、2T奇プレカーソル(pre_odd(2T)と示される)を受信するように結合される。論理ゲート1222による論理信号出力は、奇メインカーソル信号の状態が奇プレカーソル信号の状態と異なるとき、論理「0」である。論理ゲート1222による論理信号出力は、奇メインカーソル信号の状態が奇プレカーソル信号の状態と同じであるとき、論理「1」である。そのため、論理ゲート1222は、1Tメインカーソル信号のビットがその前のビットとは異なることを示す、奇メインカーソル信号の状態が奇プレカーソル信号の状態と異なる場合のパターンを検出する。パターンを検出すると、論理ゲート1222はイネーブル信号をアサートして、1つまたは複数の分岐回路1202の起動が可能になる。電流補償回路1150は供給側から引き出される平均電流を等化するので、電流補償回路1150は、1T信号ではなく2T信号を使用してパターンを検出することができ、その方がエネルギー効率が良い。
図13Aは、1Tメインカーソル信号およびそれに関連する2T奇信号の部分例を示す表である。実施例では、1Tメインカーソル信号は、離散時間2n+1〜2n+10(nは整数)に対して、ビットシーケンス0011100010を有する。2T奇メインカーソル信号は、奇離散時間2n+1、2n+3、…、2n+9からのビットを含み、これはビットパターン01101である。2T奇ポストカーソル信号は、奇離散時間2n+1、2n+3、…、2n+9に対するビットパターン01000である。2T奇プレカーソル信号は、奇離散時間2n+3、2n+5、…、2n+9に対するビットパターン0100である。影付きの区画は、2T奇メインカーソルが2T奇プレカーソルおよび/または2T奇ポストカーソルと異なることを示している。これは、離散時間2n+3、2n+5、および2n+9で生じる。図12の実施例における論理ゲート1222は、2T奇メインカーソルと2T奇プレカーソルとの状態差を検出すると、離散時間2n+3および2n+9でイネーブル信号(Sel1)をアサートする。
図12に戻ると、論理ゲート1222は、その前のビットとは異なる1Tメインカーソル信号のビットを示すパターンを探す。イベント検出器1220はまた、その後のビットとは異なる1Tメインカーソル信号のビットを示すパターンを探す論理ゲート1224を含むことができる。図示される実施例では、論理ゲート1224はXNORゲートである。論理ゲート1224は、イネーブル信号(Sel2)と呼ばれる論理信号を出力する。論理ゲート1224の1つの入力は、main_odd(2T)を受信するように結合される。論理ゲート1224の別の入力は、2T奇ポストカーソル(post_odd(2T)と示される)を受信するように結合される。論理ゲート1224による論理信号出力は、奇メインカーソル信号の状態が奇ポストカーソル信号の状態と異なるとき、論理「0」である。論理ゲート1224による論理信号出力は、奇メインカーソル信号の状態が奇ポストカーソル信号の状態と同じであるとき、論理「1」である。そのため、論理ゲート1224は、1Tメインカーソル信号のビットがその後のビットとは異なることを示す、奇メインカーソル信号の状態が奇ポストカーソル信号の状態と異なる場合のパターンを検出する。パターンを検出すると、論理ゲート1224はイネーブル信号(Sel2)をアサートする。図13Aの実施例では、論理ゲート1224は離散時間2n+5および2n+9でイネーブル信号(Sel2)をアサートする。
イネーブル信号(Sel2)は、電流源1212と並列に結合された別の抵抗を制御するのに使用される。特に、電流補償回路1150は、共通ノードVrefpおよびVrefnの間に結合された少なくとも1つの分岐回路1204を含む。分岐回路1204は、電流源1216と直列で結合されたスイッチ1214を提供する。スイッチ1214および電流源1216の直列の組み合わせは、共通ノードVrefpおよびVrefnの間に結合される。イベント検出器1220はスイッチ1214に結合されて、イネーブル信号(Sel2)を供給する。
一実施例では、電流補償回路1150は一般に、並列に結合されたM個の分岐回路1204を、例えば分岐回路12041〜1204Mを含む。スイッチ1214は一般に、スイッチ回路12141〜1214Mを含む。同様に、電流源1216は電流源回路12161〜1216Mを含む。分岐回路12041〜1204Mはそれぞれ、スイッチ回路12141〜1214Mと電流源回路12161〜1216Mとを含む。Mが1よりも大きいとき、スイッチ回路12141〜1214Mは、イネーブル信号(Sel2)と、制御論理950によって生成させることができる論理信号である、個々のイネーブル信号X1〜XMとに応答する。分岐回路12041〜1204Mは、イネーブル信号(Sel2)と論理信号X1〜XMによって形成されるデジタル信号(例えば、2M電流レベルから選択するMビットのデジタルコード)とに応答してアナログ電流を発生させる、別の電流出力DACを実現する。
一実施例では、各スイッチ回路12101〜1210Mは論理ゲート1206とトランジスタM1とを含む。図示される実施例では、論理ゲート1206はNANDゲートであり、トランジスタM1はPMOSトランジスタなどのpチャネルFETである。論理ゲート1206の出力はトランジスタM1のゲートに結合される。トランジスタM1のソースは共通ノードVrefpに結合される。トランジスタM1のドレインは電流源回路12121〜1212Mそれぞれに結合される。論理ゲート1206の1つの入力はイネーブル信号(Sel1)を受信する。論理ゲート1206の別の入力は個々のイネーブル信号W<M:1>の1つを受信する。
同様に、各スイッチ回路12141〜1214Mは論理ゲート1208とトランジスタM4とを含む。図示される実施例では、論理ゲート1208はNANDゲートであり、トランジスタM4はPMOSトランジスタなどのpチャネルFETである。論理ゲート1208の出力はトランジスタM4のゲートに結合される。トランジスタM4のソースは共通ノードVrefpに結合される。トランジスタM4のドレインは電流源回路12161〜1216Mそれぞれに結合される。論理ゲート1208の1つの入力はイネーブル信号(Sel2)を受信する。論理ゲート1208の別の入力は個々のイネーブル信号X<M:1>の1つを受信する。
一実施例では、各電流源回路12121〜1212MはトランジスタM2とトランジスタM3とを含む。トランジスタM2のドレインはトランジスタM1のドレインに結合される。トランジスタM2のソースはトランジスタM3のドレインに結合される。トランジスタM3のソースは共通ノードVrefnに結合される。トランジスタM2のゲートはバイアスノード(Bias2)に結合される。トランジスタM3のゲートはバイアスノード(Bias1)に結合される。同様に、各電流源回路12161〜1216MはトランジスタM5とトランジスタM6とを含む。トランジスタM5のドレインはトランジスタM4のドレインに結合される。トランジスタM5のソースはトランジスタM6のドレインに結合される。トランジスタM6のソースは共通ノードVrefnに結合される。トランジスタM5のゲートはバイアスノード(Bias2)に結合される。トランジスタM6のゲートはバイアスノード(Bias1)に結合される。トランジスタM2、M3、M5、およびM6は、NMOSトランジスタなどのnチャネルFETである。トランジスタM2、M3、M5、およびM6は、バイアス電圧Bias1およびBias2によって飽和するようにバイアシングされる。
図12の実施例では、イベント検出器1220は、2T奇メインカーソル信号を2T奇プレおよびポストカーソル信号と比較する。他の実施例では、イベント検出器1220は、2T偶メインカーソル信号を2T偶プレおよびポストカーソル信号それぞれと比較することができる。図13Bは、1Tメインカーソル信号およびそれに関連する2T偶信号の部分例を示す表である。実施例では、1Tメインカーソル信号は、図13Aに示されるように、離散時間2n+1〜2n+10に対して同じビットシーケンス0011100010を有する。2T偶メインカーソル信号は、偶離散時間2n+2、2n+4、…、2n+10からのビットを含み、これはビットパターン01000である。2T偶ポストカーソル信号は、偶離散時間2n+2、2n+4、…、2n+8に対するビットパターン1101である。2T偶プレカーソル信号は、偶離散時間2n+2、2n+4、…、2n+10に対するビットパターン01101である。影付きの区画は、2T偶メインカーソルが2T偶プレカーソルおよび/または2T偶ポストカーソルと異なることを示している。これは、離散時間2n+2、2n+4、2n+6、2n+8、および2n+10で生じる。イベント検出器1220は、離散時間2n+6および2n+10でイネーブル信号(Sel1)をアサートし、離散時間2n+2および2n+8でイネーブル信号(Sel2)をアサートするように構成することができる。
上記は特定の実施例を対象としているが、実施例の基本的範囲から逸脱することなく他の実施例および更なる実施例を考案することができ、それらの範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。