発明の詳細な説明
本発明は、「生の」("quick") カルシウム−マグネシウム化合物と鉄ベースの化合物とを含むブリケットの形態の組成物を製造する方法、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と酸化鉄とを含む生ブリケット、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物とカルシウムフェライトとを含む熱処理されたブリケット、およびそれらの使用に関する。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物との用語は、本発明における意味では、化学組成が主に酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムである無機固体材料を意味する。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、本発明における意味では、生石灰(カルシウム石灰)、マグネシウム生石灰、ドロマイト生石灰または「生の」焼成ドロマイトを含んでいることを意味する。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、不純物、すなわち、数%程度のシリカ、SiO2、アルミナ(Al2O3)等の化合物を含んでいる。これらの不純物は、前記の形態で表されるが、実際にはさまざまな相として現れ得るものである。また、一般に未焼成分と呼ばれる残留CaCO3またはMgCO3を数%含み、さらに冷却、搬送、貯蔵工程の間に「生の」生成物を部分的に水素化された残留Ca(OH)2またはMg(OH)2を数%含む。
生石灰とは、化学組成が主に酸化カルシウム(CaO)である無機固体物質を意味する。生石灰は、一般的に、主にCaCO3からなる石灰岩の焼成によって得られる。生石灰は、不純物、即ち、酸化マグネシウム(MgO)、シリカ(SiO2)、更にはアルミナ(Al2O3)等の化合物を数%の量で含む。これらの不純物は、前述の形態で表されるが、実際にはさまざまな相として現れ得るものと理解される。生石灰には、一般に未焼成分と呼ばれる数%の残留CaCO3と、冷却、搬送および/または貯蔵時において酸化カルシウムCaOが部分的に水素化された数%の残留Ca(OH)2とが含まれる。
本発明によれば、「ブリケット」という用語は、長楕円形状のコンパクトを意味する。ブリケット当たりの重量は5〜100gであり、平坦または細長い回転楕円面(「扁球の回転楕円面」または「幅の広い回転楕円面」)に内設している。一般的にはブリケットは、棒状石鹸状であり、または「エッグ状のブリケット」として説明される。
これらは、通常ペレットの形状をした、「Eurotab」社の「Titan(チタン)」をプレスすることで製造されるようなタブレットと比較される。定義では、産業用のタブレットは標準の形状で、より詳細には、高さが低いシリンダー形状をしている。
ブリケットは、既知であり、WO2015/007661に例証されている。本文献によると、コンパクト(すなわち、ブリケットまたはタブレット)は、少なくとも50%の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含むカルシウム−マグネシウム化合物の粒子を含むことが記載されている。開示されたコンパクト(ブリケットまたはタブレットの形状をした)もまた、添加剤(特に酸化鉄)を含むことができる。
本文献によると、落下強度(落下機械強度)は、シャッターテストで測定される。説明されたコンパクトは、一般的には、10%未満のシャッターテスト指数を有する。
「シャッターテスト指数」との用語は、本発明における意味では、10kgの生成物を用いて、2mの落下を4回行った後に生じた10mm未満の微粒子の重量%を意味する。これらの微粒子は、2mの落下を4回行った後、10mmの正方形のメッシュを備えたふるいにかけることにより定量化する。
前記文献の実施例および比較例の詳細な分析は、向上した落下強度を有する生タブレットは、少なくとも50%の「生の」生成物を用いて得られること、また、これらのタブレットは、多湿の雰囲気下での劣化に対する耐性を示すことを示している。一方、「生の」化合物のブリケットを「生の」化合物を用いて得るとき、シャッターテスト指数(機械強度を表している)は高いまま(13〜15%)であり、10%未満のシャッターテスト指数を達成したい場合は、熱処理を行う必要がある。
米国特許第5,186,742号では、任意選択的に潤滑剤と共に、55〜85重量%の石灰と、10〜40重量%の灰と、紙繊維を0.1〜10重量%含む石灰ブリケットが開示されている。米国特許第5,186,742号で開示されたブリケットは、落下残存率を試験され、この試験は、シャッターテスト指数を測定するための試験との互換性はない。それらは、衝突強度が150〜300ポンドであり、シャッターテスト指数が10%よりはるかに上であることを意味する。
カルシウム−マグネシウム化合物は、例えば、鋼鉄金属学、ガス処理、水およびスラッジの処理、農業、建築業界、公共土木事業等の、多くの産業で使用されている。それらは、礫若しくは塊として、または微粒子(典型的に7mm未満のサイズ)としてのいずれかで使用することができる。しかし、特定の産業では、礫形状が好ましい。
これは、例えば、鋼鉄業において、酸素転炉または電気アーク炉にカルシウム−マグネシウム化合物を添加する場合である。
礫および塊の製造時に、多くの微粒子が生成される。これらの微粒子は、通常、搬送および取り扱いが難しいので使用できる範囲が限定されている。
何年間かの間に、より簡単かつより安全に搬送、取り扱いおよび使用ができるように、多くの産業分野において初めは粉末の形態の化合物をブリケットに変えることが試みられてきた。
石灰製造者は、礫形状のカルシウム−マグネシウム化合物と、焼成の前および間、並びに取り扱いおよびそれに続く操作の間に生じるその微粒子との間の物質収支を、常に維持する。それにもかかわらず、場合によって、過剰の微粒子が生産される。その後、これらの微粒子は、ブリケット等の形態で凝集し得るので、過剰の微粒子を除去できることが可能になり得るだけでなく、これらのブリケット、または礫と同様の物を添加することによって、人為的に礫形状のカルシウムおよびマグネシウム化合物の生産を高めることが可能になる。
Barnettらの文献(Roll-press briquetting: Compacting fines to reduce waste-handlingcosts, powder and bulk engineering, Vol. 24, No. 10, October 2010, 1-6)には、石灰の生ブリケットの製造方法が記載されている。しかしながらこの文献は、製造条件および得られたブリケットの機械的特性について記載していない。過剰の微粒子等に基づくブリケットは、一般的に、機械強度が、礫形状のカルシウムおよびマグネシウム化合物よりも低い。さらに、それらはしばしば、それらの貯蔵またはそれらの取り扱いの間の劣化に対する耐性が、礫形状のカルシウムおよびマグネシウム化合物よりも、非常に低い。
これにより、実際には、カルシウムおよびマグネシウム化合物の微粒子のブリケットは、今日では、あまり使用されていない理由が説明される。このタイプのプロセスによって形成されたブリケットの品質が低いことを考慮すると、再循環工程が必要なこのタイプのプロセスの終了時に、非常に多くの使用できないブリケットが存在するため、ブリケット化の収率は、50%未満であると推定される。
潤滑剤および接合剤は、ブリケットまたはその類似物の形態への集塊の方法においてよく用いられる添加物である。
潤滑剤には内的または外的の2つのタイプがある。内的潤滑剤は、ブリケット化すべき材料と密に混合される。これは、一方で、ブリケット化の機械への供給時に混合物の流動性を増やし、他方で、圧縮中、混合物内の粒子の再配列を促進する。外的潤滑剤は、ブリケット化の機械のローラーの表面に塗布され、主に離型のために用いられる。何れの場合も、表面での摩擦およびそれによる摩耗を低減する。潤滑剤は、鉱物油、シリコーン等の液体、または、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩等の固体であり得る。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物に基づく組成物においては、ステアリン酸塩が好ましく、より好ましくはステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムである。
接合剤は、接着力または化学反応の何れかによって、粒子を凝集させることが可能な物質である。接合剤は、鉱物由来(セメント、粘土、ケイ酸塩等)、植物または動物由来(セルロース、デンプン、ゴム、アルギナート、ペクチン、膠等)、合成物由来(ポリマー、ワックス等)であり得る。多くの場合、接合剤は、水とともに用いられ、水は接合剤の凝集特性を活性化する。
何年にも亘って、カルシウムおよびマグネシウム化合物のブリケット等の強度および耐久性を高めるために、いくつかの添加剤、例えば、ステアリン酸カルシウムまたは紙繊維(例えば、米国特許第5,186,742号参照)が、使用されてきたが、十分な改善は得られなかった。さらに、特にカルシウム−マグネシウム化合物のブリケットを製造する場合のように、多くの場合に、他の成形された工業製品に現在使用されている添加剤を使用することは、制限されている。これは、カルシウム−マグネシウム化合物が、水と激しく反応すること、または、カルシウム−マグネシウム化合物のブリケットの最終的な使用に、これらの添加剤が潜在的に悪影響を及ぼすこと、のいずれかの理由による。
鉄鋼冶金における多くの精錬プロセスにおいて、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の組成物(例えば生石灰および/または「生の」ドロマイト等、並びにスクラップ材料)を、転炉に加え、スラグを形成する反応を動力学的におよび化学的に制御し、これにより、不純物の除去を助け、且つ炉の耐熱被膜を過度の摩耗から保護している。
添加された「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、高温の金属浴に浮かぶので、これにより界面を形成する。
精錬の間に、溶融金属は、容器に供給されるが、さらに、その容器に、スクラップ鉄も加えることができる。
金属化合物の溶融から得られた溶融金属には、典型的に、溶融金属1トン当り初期炭素含有量40〜45kg、および溶融金属1トン当り初期リン含有量0.7〜1.2kgが含まれる。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、溶融金属浴に添加されて溶融金属浴に浮かぶ。炭素を焼き尽くすために酸素を、所定の期間で吹込み、直接的および/または間接的にリン含有化合物、およびケイ素を酸化させる。吹込みの間、カルシウム−マグネシウム化合物は、溶融金属浴に浸され、カルシウム−マグネシウム化合物が常時浮遊している溶融金属との界面で僅かに分解/溶融する。
スラグは、浴の表面に浮かんでいる酸化物の層であり、吹込みの間のケイ素の酸化によるSiO2の形成、およびその他の酸化物(MnOおよびFeO)の形成、耐熱被膜におけるSiO2の作用を中和し、スラグを液化および活性化するための「生」カルシウム−マグネシウム化合物の添加、並びに耐熱被膜の摩耗から生じるMgOから生じる。
実際、転化の間に、炭素が燃焼して、ガス状のCOおよびCO2を形成して、金属/ガス反応が生じている。所定期間の吹込みの終わりに、炭素含有量は、溶融金属1トン当り約0.5kg、すなわち、約500ppm減少する。
溶融金属と浮遊カルシウム−マグネシウム化合物との界面では、金属/スラグ反応が起こる。これは、溶融金属からの脱リンを目的としている。スラグと金属との間の反応の終わりに、リン含有量は、溶融金属1トン当り約0.1kgまたはそれ未満、すなわち、約100ppmまたはそれ未満である。
金属が鉄で、カルシウム−マグネシウム化合物がカルシウム石灰の場合、化学反応は次のようになる。
FeO(酸化鉄)およびリンは、高温の金属に由来するが、一方、CaOは、転炉に添加される。この反応は、発熱反応であり、目的は、平衡を右辺に移すことである。これは、温度を下げ、できるだけスラグを流動化し、金属浴を均質化し(大抵の場合、アルゴンおよび/または窒素を底から吹込むことによって行われる)、塩基度指数CaO/SiO2を3〜6(酸であるシリカに対する酸化カルシウムの重量比)に保ち、スラグ中のマグネサイトの濃度を9%未満に保ち、十分な量のスラグを形成させることにより行うことができる。
マグネサイトは、典型的に、スラグ中に存在し、耐熱被膜の摩耗に起因しており、これは、「生の」ドロマイトの添加を制御することによって、減らすことができる。しかしながら、スラグ中の反応を動力学的に迅速化させるためには、マグネサイトの濃度は、9%未満に保つべきである。
理解されるように、高温金属を精錬することは、容易ではなく、その金属の質量バランスにおける作用により所定の液体金属量を達成するため、酸素の質量バランス(酸化反応)における作用により所定の化学分析を行うため、(熱バランスにおける作用により)吹込みの終わりにて所定の温度を達成するため、最適化される必要がある。
精錬の間の高温金属からの脱リン化を改善することは、とりわけ、3つのバランスを同時に重視することにより複雑化する。
このような精錬の間の脱リン化の方法は、「ペレット添加によるLinz Donawitz 転炉(BOF転炉)における鋼鉄の脱リン化プロセス」の文献(インド公開特許(ムンバイ)第IN01412MU2006A号)により当該技術分野において知られている。
この特許は、プロセスの後半にてスラグを冷却することによって、転炉におけるプロセス中の脱リン化の改善に焦点を当てている。
しかしながら、残念なことに、開示された方法には、無機添加剤および標準冷却剤を加えた後、岩石を転炉に加える方法において追加工程が必要となる。したがって、これは、処理時間を増加させるものであり、このような精錬プロセスの各瞬間は非常に高価であるため、これは精錬業にとって受け入れられる解決法ではない。
リンの除去のための別の方法は、Slag-Making Methods And Materialsの文献、米国特許第3,771,999号から知られている。この特許は、0.5〜15%のCaCl2、NaCl、KClおよび/またはNaF2を有するブリケットの石灰ベースの形成物を使用することによって、転炉を用いた方法における脱リン化の改善に焦点を当てている。
さらに、精錬プロセスの間に、酸化鉄、酸化マンガン、炭素、CaF2、酸化ホウ素のようなフラックスを石灰に添加することは、溶融金属の脱リン化のような精錬プロセスの品質を改善する従来の技術水準にて示された。
しかしながら、このようなフラックスの添加は、典型的には、精錬プロセスにさらなる複雑さを生じさせる。
そのため、特に酸化鉄では、フラックスを含有する「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を供給する必要が有る。
任意選択的にフラックスを含有している「生の」カルシウム−マグネシウム化合物のブリケットは、既知である。しかしながら、フラックスを含有した既知のカルシウム−マグネシウム化合物は、風化の影響が報告されてきた。これは、ヒュームにおける風化が吹き出し後に噴出することが問題である(米国特許第3,649,248号参照)。さらに、酸化鉄がフラックスとして添加された際、フェライトに転化されなければならず、そうすることでスラグ形成が加速する。
しかしながら、このことは理論上では簡単であるが、フェライトに完全に転化した酸化鉄は、大抵僅かしかなく、スラグ形成を加速するために機能しない。これにより、鉄鋼メーカーは、石灰を、任意選択的に鉄と共に加える一方で、他方では任意選択的に石灰と共にフェライトを加える。
カルシウムフェライトの形成は、(一般的には1200〜1250℃)の比較的高温にてかなり長時間の熱処理が必要となる(米国特許第3,649,248号参照)。それゆえ、先行技術に記載された生石灰(ドロマイト)をベースとしたブリケットと酸化鉄とは、カルシウムフェライトを容易に形成することにはならない。
従って、転炉の上流における前記熱処理を実施する工程は、技術的経済的観点(特定の炉、エネルギー消費、低い生産能力、不完全焼成、すなわち、比表面積の低下と細孔容積の減少)から悪影響がある。
熱処理を転炉においてその場で実行する際、カルシウムフェライトの形成は、動力学的にはかなり遅く、これらのブリケットを脱リン化する効果に悪い影響を与える。
その結果、あまり制約されることがなく簡単に使用でき、石灰の損失を最小限にする生成物はまだない。
本発明は、スラグ形成における、石灰の損失を大幅に低減すること、および石灰のスラグ形成効率の改善した方法を提供することにより、これらの欠点の少なくとも一部を解決することを目的とする。
この問題を解決するために、本発明によると、以下の工程を備えるブリケットの形態のカルシウム−マグネシウムの組成物を作製するための方法を提供する。
i.少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と鉄ベースの化合物とを含む粉末混合物を供給する工程(前記混合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含み、Ca/Mgモル比は1以上であって、好ましくは2以上がよく、より好ましくは3以上がよく、前記鉄ベースの化合物の量は、前記組成物の重量に対して、Fe2O3当量として少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%であり、前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満、および径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満を特徴とする非常に細かい粒度分布を有する。)、
ii.前記均質な混合物をローラープレスに供給する工程と、
iii.生ブリケットの形態のカルシウム−マグネシウム組成物を得るための、前記ローラープレスで、ローラープレスのローラー外面での線速度が10〜100cm/s、好ましくは20〜80cm/s、線圧力が60〜160kN/cm、好ましくは80〜140kN/cm、さらにより好ましくは80〜120kN/cmで前記粉末混合物を圧縮する工程と、
iv.前記生ブリケットを回収する工程。
少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含む、前記少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、粒子径が90μm以下であり、前記粉末混合物の重量に対して少なくとも20重量%のCaO等価物を有するカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を含む。
本発明の特定の実施形態において、前記粉末混合物は、前記組成物の重量に対して、最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88%、ある実施形態においては、最大60重量%のCaO+MgO等価物を含む。
任意には、本発明に係る方法において、工程iは、好ましくは、粉末状または濃縮懸濁液の状態の接合剤または潤滑剤の存在下で行われ、接合剤または潤滑剤はより詳細には、セメント、粘土、ケイ酸塩等の鉱物性の接合剤、セルロース、デンプン、ゴム、アルギン酸塩、ペクチン、膠等の植物性または動物性の接合剤、ポリマー、ワックス等の合成物質の接合剤、鉱物油またはシリコーン等の液状潤滑剤、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩からなる群から選択され、特には、カルシウムステアリン酸、マグネシウムステアリン酸およびそれらの混合物、好ましくは、カルシウムステアリン酸塩および/またはマグネシウムステアリン酸塩であり、前記ブリケットの総重量に対して、0.1〜1重量%、好ましくは0.15〜0.6重量%、より好ましくは0.2〜0.5重量%の含有量が含まれる。
CaO+MgO、およびFe2O3当量として表される重量%は、EN15309規格に記載されているようにX線蛍光観察(XRF)によって決定される。原子量が16(酸素)〜228(ウラニウム)である分子重量の相対濃度を決定するXRFによる半定量化学分析が、80μmまで粉砕してペレットに成形した試料で行われる。試料を、PANalytical/MagiX-Pro-PW2540装置に入れ、波長分散モードにおいて処理する。測定は、二重検出器を使用して、50kVおよび80mAの電力で実施される。
分析結果により、カルシウム、マグネシウム、および鉄の含有量が分かり、これらの測定により、CaOおよびMgOおよびFe2O3当量として表された重量が記録される。
本発明によると、既存の組成とは異なり、本発明に係るブリケットにおいて、一方では、形成された混合物が均質であることの影響により、他方では、非常に細かい粒度分布の酸化鉄の形態に存在する鉄ベースの化合物量の影響により、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物において90μm以下の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分が、前記の粉末混合物の重量に対して、少なくとも20重量%のCaO等価物をさらに含む影響と合わせることで、熱処理後、多量の酸化鉄がフェライトカルシウムに転化されたことが分かった。
しかしながら既知の組成物では、酸化鉄の粒度分布が大抵の場合粗いため適用されず、ブリケット化での成形プロセスにおいて鉄ベースの化合物を使用することに加え、混合物の流れ特性を劣化させ、プレスの供給が弱まるため、カルシウム−マグネシウム化合物の微粒子粉末を使用することは、従来技術の優れた慣習と相反していると当業者らは認知している。
本方法で使用される鉄ベースの化合物の粒度分布は、レーザー粒度分析により決定される。そのため測定は、光回折に基づいており、FraunhoferおよびMieの理論に従う。
特に、粒子は、球状で、通気性がなく、不透明であると見なされる。測定は、超音波を用いずにメタノール内でISO13320規格に従い実行される。
さらに、本発明によると、熱処理後または転炉内で十分な転化量を得ることを可能にするだけでなく、むしろ酸化鉄において細かい粒度分布が有効な粒度分布であることが、ブリケットの形態の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物とともに使用する際に酸化鉄が活性となるために、必要であることが実証された。
「鉄ベースの化合物」、「非常に細かい粒度分布の鉄ベースの化合物」という用語は、例えば、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満で、かつメジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満であることを特徴とする鉄ベースの化合物、好ましくは酸化鉄ベースの化合物を表す。そのため、酸化鉄を活性鉄と記載してもよく、これは、特に鉄ベースの化合物中に存在する酸化鉄の全量に対して、少なくとも40%の酸化鉄が、鉄ベースの化合物の粒子からなる周辺層に存在しており、前記周辺層は、3μmの膜厚で規定されている。これにより、熱処理時、またはそれ以外で転炉においてその場で直接的にフェライトに転化し得る、反応可能な酸化鉄の粒子の表面における酸化鉄の体積の画分が規定される。
本発明によると、鉄ベースの化合物は、鉄ベースの複数の化合物からなる混合物の形態であり、前記鉄ベースの複数の化合物の混合物が、1つ以上の酸化鉄を含み、順番に、前記鉄ベースの化合物の総重量に対して、活性酸化鉄を50重量%、好ましくは60重量%、より好ましくは70重量%を含むことができる。
ブリケットの形態の組成物における鉄ベースの混合物の粒度分布は、画像分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法およびX線マッピングによって決定される。
測定は、鉄ベースの化合物の粒子が高エネルギー照射(例えば、高密度電子ビーム)を受けた際に、所定のエネルギー(6.398keV)のX線を放出する鉄ベースの化合物の粒子の特性に基づく。前記放射線の検出を、観測された位置毎の電子ビームの正確な位置情報と重ね合わせることで鉄ベースの化合物の粒子を具体的にマッピングすることが可能になる。
特定された各粒子は、ISO13322-1規格で規定された、等価表面積(Xa、i)における粒子の直径で特定される。その結果、粒子は、粒子径の粒度分布画分によって分類される。
前記で言及した特定の条件では、本発明の意味において、前記割合の活性鉄は、鉄ベースの化合物の各粒子の周辺層にある。最外層は厚さが3μmである。従って、粒度分布画分ごと、つまり粒子径ごとに、周辺層における鉄の割合を以下の数式から計算可能である。
ここでVextは、鉄ベースの化合物の粒子の体積であり、Vintは、表面から3μmより遠くに位置する粒子のコアの体積である。つまり、半径が3μmだけ少ない球状粒子の体積に対応する。
粒子が完全に球であると見なすと、直径が6μmより大きい粒子において以下の数式が得られる。
ここでDextは、μmで表される粒子の直径で、つまりレーザー粒子分析上の粒子径である。
以下の数式は、直径が6μm未満の粒子に対して適用される。
そのため、本発明での意味における、活性鉄の全割合は、レーザー粒度分析によって得られた各粒子径の体積率を掛けた、活性鉄の割合について、全ての粒子径において足し合わせたものである。
その結果、本発明に係る方法によって製造されたブリケット内の鉄ベースの化合物が十分な活性酸化鉄を有するためには、活性鉄の割合は少なくとも40%でなければならない。
本発明によると、以上のように、細かい粒度分布だけでは不十分で、ブリケットにおける鉄ベースの化合物内に、予備熱処理時にまたは転炉でフェライトに十分に転化させることを可能にするだけの活性酸化鉄の割合を得ることが実際には必要である。
さらに、本発明に係る方法において、前記活性酸化鉄が、生ブリケットの総重量に対して、60重量%の高い含有量であっても、形成されたブリケットの機械強度に悪影響を与えないことが分かった。
さらに、高い含有量の酸化鉄を含む前記生ブリケットを形成することで、酸化鉄(Fe2O3)等のフラックスと同時に、必要とされるフェライトもブリケットに供給することができる。これは、生ブリケットがフェライトを直接的に含んでいなくても、フェライトが、例えばブリケットが使用されている転炉内で、直接的にその場で形成可能となるためである。
そのため、本発明に係る方法により、生ブリケットの組成が40重量%未満である酸化鉄に対して熱処理を行わない場合であっても、フラックスを添加することで、機械強度が強制的に弱まっていないカルシウム−マグネシウム化合物のブリケットを得ることができる。前記酸化鉄は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満で、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布である。さらに、前記抑制剤を添加しなくても、可撓性、および性能が優れている。
本発明における意味では、前記鉄ベースの化合物は1つ以上の鉄ベースの化合物から形成することができ、組成物における全含有量を合わせると、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%である。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記鉄ベースの化合物は、80μm以下、好ましくは60μm以下のd50を特徴とする粒度分布を有する。
本発明における意味では、特に記載されない限り、記号dxは、メタノール内で超音波を使用せずにレーザー粒度分析により測定された、測定された粒子のx体積%がそれ以下となる直径を表す。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の場合、特に生石灰の場合、粒度分布を測定する方法は、ふるいにより行われるものでレーザー回折によるものではない。
特定の実施形態では、本発明に係る方法は、さらに、900℃〜1200℃から構成される温度(好ましくは1050℃〜1200℃に含まれる温度、より好ましくは1100℃〜1200℃に含まれる温度から構成される温度)での前記生ブリケットの熱処理を含む。
熱処理は、好ましくは3〜20分間の間、好ましくは5分間以上、かつ15分間以下の所定時間で実施され、熱処理されたブリケットが形成および製造される。前記酸化鉄は、カルシウムフェライト(特に、モノカルシウムフェライトの形態)に転化する。つまり、熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と、少なくともカルシウムフェライトを含む鉄ベースの化合物とを含んでおり、前記少なくともカルシウムフェライトを含む鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量で、少なくとも3%、好ましくは少なくとも12%、より好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%の含有量でカルシウムフェライト少なくとも含む。
熱処理が、「多層」条件で実行される場合、つまりブリケットが、特定の厚さのブリケットの静止層の形態である場合、熱処理時間を長くすることが可能で、それにより熱がブリケットの層の中心に浸透することが理解され得る。1200℃以下の温度条件では、熱処理により、細孔容積と比表面積とがほとんど、ないしは全く変化することのない、カルシウム−マグネシウム化合物と、カルシウムフェライトを含む鉄ベースの化合物とを含む、熱処理されたブリケットを得ることができ、それによりブリケットの機械強度が向上する。別の表現では、ブリケットの焼結現象は、これらの温度では回避される。これらの比較的大きな細孔の特性により、金属精錬工程において、熱処理されたブリケットがスラグ内で素早く溶解可能となる。
このため、本発明に係る方法で得られたブリケットは、十分に多い量のカルシウムフェライトを有するだけでなく、シャッターテスト指数で表された特に興味深い機械強度を有することが分かった。
実際、本発明に係る方法のある実施形態では、熱処理されたブリケットは、シャッターテスト指数が8%未満、時には6%未満、4%未満、3%未満、さらには約2%である。
これは、本発明により、強度の高いブリケットを製造できたことで、損傷したブリケット、または輸送時の微粒子の生成による損失が著しく減り、鋼鉄作業場への輸送の間の微粒子の生成のため並びに鉄鋼作業場内での取り扱いおよび輸送のために、20%を超える生石灰の損失が大抵生じる、という既知のブリケットの欠点を克服可能となったことを意味する。
さらに別の特定の有利な実施形態では、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物であり、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物が好ましい。
実際、本発明に係る方法では、均質な混合物の形態で供給されたカルシウム−マグネシウム化合物自体に十分な反応性がある場合、熱処理後、鉄ベースの化合物を含む粘着性のブリケットを製造することができる。さらに、スラグを形成するための転炉で使用する際には、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物に十分に反応性があることが有利である。
生石灰等の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、シャフト炉(2重フロー再生炉、環状炉、標準シャフト炉等)、ロータリーキルン等の種々のタイプの炉で天然石灰石を焼くことで産業的に製造される。例えば、水と激しく反応するカルシウム−マグネシウム化合物(例えば、生石灰)の品質および品質の一貫性は、使用される炉の種類、炉の動作条件、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物自体に由来する石灰の特性、またはそれ以外の特性、および使用される燃料の量にある程度関係している。このため、例えば、水と反応が最も速い生石灰から遅い生石灰等の全ての範囲の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を製造することが理論的に可能である。
有利には、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、生石灰である。
一般的には、緩やかに焼く(900〜1000℃)ことにより生石灰を製造することで、ある程度反応性の高い石灰を得ることが可能である。それに対して、反応性の低い石灰の製造は、高温(1200〜1400℃)での過剰燃焼が必要とされる。生石灰の組織の成長の度合いがかなり速い熱領域内で焼成操作が行われるため、過剰燃焼により、大抵の場合、水との反応性において不安定な品質の生石灰の製造に繋がる。過剰燃焼された生石灰は、より高い温度での使用が必要となるため、低反応性の生石灰よりも製造にさらに莫大な費用が掛かる。それだけでもなく、もし専用の炉が使用されなければ、過剰燃焼された生石灰の製造が、より一般的に使用され、焼成条件の安定化の問題もなく、それゆえ、品質を安定化させるための課題もない、低反応性の生石灰の製造に取って代わるために製造業務を止めることに繋がる。
緩やかに焼くことによって得られた生石灰は、通常、少なくとも2時間、190℃で、真空下で脱気した後、窒素吸着圧力計によって測定し、ISO9277:2010E規格で記載されているようにマルチポイントBET法に従って計算した比表面積が、1m2/g超と計算される。一方、過剰燃焼された生石灰の比表面積は、通常、1m2/g未満である。
本発明における意味では、生石灰の反応性は、欧州規格EN459−2:2010Eの水反応性試験を用いて測定される。そのため、150gの生石灰を、20℃の脱イオン化された水600cm3を含む1.7dm3の円筒状デューワーに添加して撹拌する。生石灰は、0〜1mmのサイズの微粒子の形態で供給される。特定の撹拌翼を使用して、250rpmで撹拌される。温度変化は、時間の関数で測定され、反応性曲線をプロットすることができる。t60値は、60℃に達する時間であり、本曲線から見出すことができる。
焼ドロマイトの反応性は、同じ反応性試験を使用して測定される。この場合、120gの焼ドロマイトを、40℃の脱イオン化された水400cm3を含む1.7dm3の円筒状デューワーに添加して撹拌させる。焼ドロマイトは、0〜1mmの間のサイズの微粒子の形態で供給される。特定の撹拌翼を使用して、250rpmで撹拌される。温度変化は、時間の関数で測定され、反応性曲線をプロットすることができる。t70値は、70℃に達する時間であり、本曲線から見出すことができる。
本発明に係る組成物は、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物を含み、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物を含むことが好ましい。これは必然的に比較的反応性が高く、従って、反応性が高いブリケットを提供できる。
本発明によると、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物(好ましくは軟焼カルシウム−マグネシウム化合物)は、カルシウム−マグネシウム化合物が生石灰である場合は、t60値が10分間未満であることを特徴とする。t60は、好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、より好ましくは4分間未満である。カルシウム−マグネシウム化合物が焼ドロマイトである場合は、t70が10分間未満であることを特徴とする。t70は、好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、より好ましくは4分間未満である。
本発明に係る特定の実施形態の方法は、粉末混合物を供給する前記供給工程の前に、以下の工程を含む:
i.前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO当量の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、および、前記組成物の重量に対して、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%のFe2O3当量の鉄ベースの化合物を混合機に供給する工程(前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満であり、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布を有し、少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含む前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、90μm以下の粒子径であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を少なくとも含み、粉末混合物の重量に対して、CaO等価物を20重量%さらに含む)、および、
ii.前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物および前記鉄ベースの化合物のほぼ均質な粉末混合物を得るのに十分な所定の時間、前記鉄ベースの化合物と、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を混合する工程。前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物および前記鉄ベースの化合物のほぼ均質な粉末混合物を得るのに十分な所定の時間、前記鉄ベースの化合物と、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を混合する工程。
有利には、本発明に係る、90μm以下の粒子径であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分は、粉末混合物の重量に対して、最大60重量%のCaO等価物を含む。
より詳細には、本発明に係る方法は、接合剤または潤滑剤が、ローラープレスを供給する工程の段階において直接添加可能である。前記接合剤または潤滑剤は、混合器に添加され、前記接合剤または潤滑剤は、前記粉末混合物(好ましくは均質な粉末混合物)に含まれる。
本発明に係る別の特定の実施形態の方法では、前記カルシウム−マグネシウム化合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも10重量%の粉砕粒子の形態の生石灰を含む。
有利には、本発明に係るカルシウム−マグネシウム化合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、特に、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、有利には少なくとも90重量%、さらには100重量%の生石灰を粉砕粒子の形態で含む。
「粉砕粒子の形態の生石灰」は、生石灰を粉砕することで石灰石のサイズが小さくなることに伴い形成された石灰の微粒子を示している。粉砕工程は、炉および/または貯蔵庫に残されている未分類の材料を開始材料とするか、予めふるい分けされた、炉および/または貯蔵庫に残されている未分類の材料を開始材料とするかのいずれかにより実行可能である。粉砕工程は、種々のタイプの粉砕ミル(インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ダブルロールクラッシャー、コーンクラッシャー等)を使用して、開回路(再循環ループがない)、または閉回路(再循環ループがある)で実行可能である。
粉砕粒子の形態の生石灰(別名、粉石灰という)は、ふるい分けされた石灰とは異なる。ふるい分けされた石灰は、石灰のふるい分けにより生じる石灰の微粒子を意味する。粒度分布は、ふるいのサイズで規定される。例えば、3mmのふるいを通過する石灰は、0から3mmでふるい分けされた石灰をもたらす。そのため、炉から取り出した未分類の材料をふるい分けする工程は、「第1の」ふるい分けされた石灰をもたらす。貯蔵用鉱舎から取り出した未分類の材料をふるい分けする工程は、「第2の」ふるい分けされた石灰をもたらす。
本発明における意味では、粉砕粒子の形態の生石灰は、ふるい分け後の石灰の微粒子よりもさらに非常に細かい粒子を一様に含む石灰の微粒子を意味する。そのため、例として、0から3mmの微粒子であれば、粉砕粒子の形態の生石灰の微粒子は、通常、100μm以下の非常に微細な微粒子を少なくとも30重量%、大抵の場合少なくとも40重量%、さらに、少なくとも50重量%含み得る。一方、ふるい分けされた石灰粒子は、大抵の場合、100μm以下の非常に細かい微粒子を最大25重量%、さらに最大15重量%含み得る。
粉砕石灰の微粒子の化学組成は、通常、ふるい分けされた石灰の微粒子の化学組成より、一層均一である。そのため、石炭(亜炭、硬質炭、無煙炭等)、またはそれ以外の石油コークス等の灰を生成する燃料を使用して焼成された10〜50mmの石灰石を考慮し、石灰石の粉砕またはふるい分けによって形成された0〜3mmの微粒子を規定する場合、粉砕によって形成された0〜3mmの微粒子中の0〜200μmの画分は、200μm〜3mmの画分と同様の化学特性である。一方、ふるい分けで形成された0〜3mmの微粒子の画分は、200μm〜3mmの画分よりも、不純物を多く含む。
粉砕石灰の微粒子は、通常、ふるい分けされた石灰の微粒子よりも反応性が高い。そのため、軟焼生石灰において、0〜3mmの微粒子の水との反応性を(EN459規格で)測定した場合、粉砕により形成された微粒子は、通常、5分間未満のt60値となり、一方、第1のふるい分けから形成された微粒子は、大抵5分間超のt60値となる。
実際、驚異的に、現時点において原因の説明が可能でないのだが、ブリケットの重量に対して、少なくとも10重量%の濃度の粉砕粒子の形態の生石灰を添加することで、より優れた落下強度を得ることが可能である。10重量%の限定された含有量で、著しく向上した機械強度を得ることが可能となるが、粉砕粒子の量を100重量%まで上げることも可能である。
さらに詳細には、粉砕粒子の形態の前記生石灰は、軟焼生石灰または半焼生石灰であり、好ましくは軟焼生石灰がよく、粉末の形態の前記生石灰はt60値が10分間未満であることを特徴とし、好ましくは8分間未満がよく、好ましくは6分間未満がよく、より好ましくは4分間未満である。
本発明に係る方法の好ましい実施形態は、調製雰囲気に対して、少なくとも2体積%のCO2、最大30体積%のCO2、好ましくは最大25体積%のCO2、好ましくは最大20体積%、より好ましくは最大15体積%のCO2、さらにより好ましくは最大10体積%のCO2を含む調製雰囲気下でブリケットを前処理する工程をさらに含む。
本発明により、調製雰囲気に対して、前記CO2%を含む前記調製雰囲気下で前処理を行うことで、ブリケットの機械強度を高めることができることが実際に確認された。
本発明の有利な変形例では、前記粉末混合物は、粉末混合物の総重量に対して、粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10%未満含む。
このため、本発明に係る方法で得られたブリケットは、相対粒子径の均一性が高い。つまり、ブリケットが切断された際に、体積の主な画分が粒状組成となっている。そのため、カルシウム−マグネシウム化合物、後者におけるカルシウム成分、鉄ベースの化合物の生ブリケット内の初期量に応じた、例えば、生石灰、任意選択的に酸化鉄等の鉄ベースの化合物等のカルシウムフェライト、カルシウム−マグネシウム化合物により形成される連続層を観察可能である。
前述の違いは、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法を用いて、本発明に係るブリケットの断面に基づき、明確にされる。これにより、当初は三次元の対象物(ブリケット)を二次元(前記断面の表面)で視覚化することが可能となるだけでなく、ブリケットを構成する粒子もまた二次元化できる。そのため、カルシウム−マグネシウム化合物の粒子もまた、断面において二次元で表示される。三次元において粒子が球に近似され、近似球の直径としてサイズ(「三次元」サイズ)を決定することが慣例であるように、本発明において粒子の切断面を、近似円盤とでき、「二次元」サイズもこの円盤の近似直径とできる。より正確には、カルシウムフェライトの連続マトリクス中に分散された「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子ごとに、切断面の最小寸法と最大寸法との合計を2で割った値を求めるプログラムを用いて二次元サイズを計算する。この合計値を2で割った値は、近似円盤の直径を表す。
この意味において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子は、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが63μm未満である場合、カルシウム−フェライトの前記マトリクス(連続層)において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が溶融したり、融合したりしているものと見なされる。
この意味において、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子は、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが63μm未満である場合、カルシウム−フェライトの前記マトリクス(連続層)において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が溶融したり、融合したりしているものと見なされる。
さらに、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子は、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが、63μm超である場合、カルシウム−フェライトの前記マトリクスにおいて、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子の含有量は、前記断面の面積の少なくとも20%に及ぶと見なされる。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが、63μm超で、ブリケットの断面にある「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が20%未満におよび、特に前記断面の表面積の10%未満に及ぶ場合、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の真の含有物は存在しないが、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物のいくつかの粒子は、時折、ブリケットの不完全な製造工程、特に熱処理の結果、思いがけず存在している。
そのため「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の含有物が有効に存在しないカルシウムフェライトのブリケットは、鉄鋼冶金上、スラグ形成を迅速化させるために溶融金属の精錬工程のための転炉で特に使用可能である。そのため前記ブリケットは、スラグの形成を加速させ、スラグの流動性を増加させるという利点を確かに提供できる。
しかしながら、カルシウムフェライト自体は、溶融金属を精錬することができない、すなわち、不純物を捕捉してしまう。カルシウム−マグネシウム化合物、特に生石灰だけがこの機能を提供できる。そのため、生石灰(生石灰の塊状またはブリケット)等を本発明に係るカルシウムフェライトに基づくブリケットと同時に添加可能である。
本発明の別の有利な変形例として、前記粉末混合物は、粉末混合物の総重量に対して、粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10〜60%含む。
本発明の有利な代替案は、上述のように、カルシウムフェライトの連続層(マトリクス)内に分散させた「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、特には生石灰の含有物を提供することである。実際、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、カルシウムフェライトのスラグ形成が速くなる場所でその場で利用することができ、フラックスとして機能し、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を即時に作用させることができる。
本方法の有利な変形例として、本発明に係る熱処理されたブリケットを切断すると、断面平面に、カルシウム−マグネシウム化合物および/または生石灰が散らばって含まれており、生石灰の形態における後者にカルシウムフェライトを形成するための反応をさせないようにでき、生石灰の形態のまま、例えば、製鋼におけるスラグ形成等のために使用可能である。カルシウム−マグネシウム化合物の前記含有量は、本発明に係る熱処理されたブリケットにおける断面について上述したように、多少重要となることもある。
より詳細には、本発明に係る方法では、少なくとも1つの鉄ベースの化合物は、粉末混合物の総重量に対して、20重量%以上のFe2O3当量で存在する。
鉄ベースの化合物の含有量、より詳細には、非常に細かい粒度分布を有する酸化鉄の含有量は、粉末混合物の重量に対して、少なくとも20重量%である。非常に細かい粒子(d30<90μm)の形態のカルシウム−マグネシウム化合物におけるCaOの量が少なくとも20重量%である場合、カルシウムフェライトの形成が迅速化するだけでなく、酸化鉄からカルシウムフェライトへの転化率が約90%となる。さらに、特に、CaOとFe2O3当量での量がつり合っている場合、モノカルシウムフェライトとジカルシウムフェライトとの間のつり合いがジカルシウムフェライト側に移る。需要と供給に基づいて、モノカルシウムフェライトの割合に対するジカルシウムフェライトの割合を制御可能であることが興味深いことになり得ることが実際に明らかとなってきた。
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、90μm未満の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%、および、非常に細かい粒子径を有する前記鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO等価物の重量%は、30%以上、好ましくは32%以上、好ましくは34%以上、ある程度特に好ましくは36%以上である。
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、90μm未満の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%、および、非常に細かい粒子径を有する前記鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO等価物の重量%は、40%未満、好ましくは38%未満、より好ましくは36%未満で、20%超、ある程度特に好ましくは36%超である。
有利なことに、前記生石灰粒子の総重量%に対して、粒子径が90μm未満の前記生石灰粒子の重量%を調節すること、および本発明に係る方法で使用される非常に細かい粒度分布を有する酸化鉄の固有の特性に従うことで、ブリケットの熱処理の間に、モノカルシウムフェライトとジカルシウムフェライトとの間の比に影響を及ぼし制御できることが実際に分かった。
90μm未満の粒子径を有するカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%および非常に細かい粒度分布を有する前記鉄ベースの化合物のFe2O3当量で表された重量%に対して、粒子径が90μm未満の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO当量で表された重量%は、30%以上であり、好ましくは32%以上であり、より好ましくは34%以上であり、ある程度特に好ましくは36%以上の場合、ブリケットの熱処理により、ジカルシウムフェライト(Ca2Fe2O5)の形成をさらに迅速化させることになる。
このことは、条件として:
P1は、ブリケット化を目的とする粉末混合物における、粒子径が90μm未満である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の%(粒子径が90μm未満のカルシウム−マグネシウム化合物の割合)を表し、
P2は、ブリケット化を目的とする粉末混合物における、粒子径が90μm超である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の%を表し、
P3は、ブリケット化を目的とする粉末混合物における鉄ベースの化合物の%を表し、
C1は、粒子径が90μm未満の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子におけるCaO当量で表された%を表し、
C2は、粒子径が90μm超の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子におけるCaO当量で表された%を表し、
C3は、鉄ベースの化合物におけるFe2O3当量で表された%を表すとき、
重量比「P1/(P1+P3)」は、モノカルシウムフェライトまたはジカルシウムフェライトのいずれかを優先的に形成するために制御されなければならない重要なパラメータで、より一般的には、重量比「P1.C1/(P1.C1+P3.C3)」が、モノカルシウムフェライトまたは他のジカルシウムフェライトのいずれかを優先的に形成することを可能にするパラメータの1つであることを意味する。
この場合、前記熱処理は、1100℃以上の温度、好ましくは1150℃以上の温度、特により好ましくは1200℃以上の温度、好ましくは、(熱処理の所定の時間)/(熱処理温度−1000℃)>5の式に従う熱処理であることが好ましい。
P2を表す%は、63μm超の二次元サイズの粒子を有する「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含む、もしくは含まないブリケットを成形するために制御されなければならない重要なパラメータであることを意味する。
他の好ましい実施形態において、鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、磁鉄鉱Fe3O4の形態の酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、特にある程度は95重量%より多く含む。
本発明に係るプロセスの他の好ましい実施形態において、粒子径が90μm未満の前記生石灰粒子の重量%およびまたは鉄ベースの化合物の重量%は、熱処理の間にモノカルシウムフェライトの形成に影響するため、40%未満、好ましくは38%未満、より好ましくは36%未満であり、20%超、好ましくは22%超、好ましくは24%である。
この場合、前記熱処理は、1150℃以下(好ましくは1100℃以下、より好ましくは900℃以上、好ましくは以下の関係による温度)の温度での熱処理であり、この温度は、さらにモノカルシウムフェライトの形成を促進する。
(所定の時間)/(熱処理温度−1000℃)>5
他の好ましい実施形態において、鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、赤鉄鉱Fe2O3の形態における酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、ある程度特には95重量%より多く含む。
本発明に係る方法の別の実施形態は、添付の特許請求の範囲で示される。
本発明は、少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と鉄ベースの化合物とを備える生ブリケットの形態の組成物にも関する。前記組成物が、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含み、Ca/Mgモル比は1以上であって、好ましくは2以上がよく、より好ましくは3以上であることを特徴とし、前記鉄ベースの化合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、ある程度好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%のFe2O3等価物を含むことを特徴とし、前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布を有する。少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含む前記少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、前記微粒子混合物の重量に対して、CaO当量で、少なくとも20重量%である90μm以下の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の粒子の画分を含み、前記組成物は、酸化鉄の含有量が40%未満の場合にシャッターテスト指数20%以下であり、驚くべきことに、これは、細かい粒子の量が多くとも同等である。
40%未満の鉄ベースの化合物を含有する、生ブリケットについて、シャッターテストによって評価された前記機械強度は、これらの生ブリケットが、本発明の一実施形態に従い、前記ブリケットが繰り返し落下することになる回転炉内で後に熱処理されるため、特に興味深い。
本発明における意味では、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、1つ以上の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含む。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、生石灰(カルシウム石灰)、マグネシウム石灰、ドロマイト生石灰、焼成ドロマイトおよびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、粒子の形態(ふるい分け、粉砕により形成された粒子、濾過したダストおよびそれらの混合物等)がよい。前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物はそのため、ブリケットの形態の組成物のカルシウム−マグネシウム成分であると見なすことができ、後者は、別の化合物を含むこともできる。
本発明の特定の実施形態において、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、前記組成物の重量に対して、最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88%、ある実施形態においては、最大60重量%のCaO+MgO等価物を含む。
好ましい実施形態では、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、粉末混合物の総重量に対して、粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10%未満含む。
別の好ましい実施形態として、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、粉末混合物の総重量に対して粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10〜60%含む。
有利に、粒子径が90μm未満のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%および非常に細かい粒度分布の鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径である、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO当量の重量%は、30%以上、好ましくは32%以上、より好ましくは34%以上で、ある程度特に好ましくは36%以上である。
さらに有利には、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、磁鉄鉱Fe3O4の形態の酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、特にある程度は95重量%より多く含む。
他の有利な実施形態では、粒子径が90μm未満のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%および非常に細かい粒度分布の鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径である、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO当量の重量%は、40%未満、好ましくは38%未満、より好ましくは36%未満である。
さらに、有利には、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、赤鉄鉱Fe2O3の形態における酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、ある程度特には95重量%より多く含む。
本発明は、少なくとも1つの鉄ベースの化合物を含む熱処理されたブリケットの形態における組成物にも関する。前記組成物は、前記組成物の重量に対して、CaO+MgOを当量として、少なくとも40重量%の含有量を含み、Ca/Mgモル比は1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、前記鉄ベースの化合物は、前記組成物の重量に対して、Fe2O3当量が、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%である。前記鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量として表された重量で示された前記鉄ベースの化合物の総重量に対して、Fe2O3当量として表された重量で示されたカルシウムフェライトを少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%含む。
カルシウムフェライトは、式:CaFe2O4(モノカルシウムフェライト)および/またはCa2Fe2O5(ジカルシウムフェライト)で表される。
本発明の特定の実施形態において、前記粉末混合物は、前記組成物の重量に対して、最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88%、ある実施形態においては、最大60重量%のCaO+MgO等価物を含む。
本発明の特定の実施形態において、組成物が熱処理されたブリケットの形態にあるとき、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、前記組成物の総重量に対して、少なくとも10重量%、好ましくは20重量%、より好ましくは30重量%、ある程度より好ましくは40重量%のCaO+MgO等価物を含む。
好ましくは、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、生のブリケットの形態であっても、熱処理されたブリケットの形態であっても、前記「カルシウム−マグネシウム」の総重量に対して0重量%〜90重量%の濃度の、前記カルシウム−マグネシウム化合物の礫の製造での選別において不合格であった微粒子(フィルターからのカルシウム−マグネシウムダスト)、および、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の総重量に対して10〜100重量%の粉砕粒子の形態の生石灰を含む。
好ましくは、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は0〜100重量%の、前記カルシウム−マグネシウム化合物の礫を粉砕した粒子の形態の生石灰を含む。
本発明の好ましい変形例において、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、当該カルシウム−マグネシウム化合物の総重量に対して、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の礫の製造での選別において不合格であった微粒子を0〜90重量%、粉砕粒子の形態の生石灰を10〜100重量%含む。
有利には、生ブリケットまたは熱処理されたブリケットにおいて、粉砕粒子の形態の前記生石灰は、前記組成物の重量に対して、少なくとも15重量%(特に、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%)の濃度で存在している。
より詳細には、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記カルシウム−マグネシウム化合物は、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物であり、好ましくは軟焼カルシウム−マグネシウム化合物である。
粉砕粒子の形態の生石灰が存在するとき、粉砕粒子の形態の前記生石灰は、軟焼生石灰または半焼生石灰であり、好ましくは軟焼生石灰である。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であるとき、前記組成物は、BET比表面積が1m2/g以上(好ましくは1.2m2/g以上、より好ましくは1.4m2/g以上)である。
有利には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であるとき、前記組成物は、気孔率が20%以上(好ましくは22%以上、より好ましくは24%以上)である。
用語「ブリケットの形態の組成物の気孔率」は、本発明の意味において、ISO規格15901-1:2005Eの第1部に従い、水銀圧入細孔分析法を用いて決定される、水銀法による全細孔容積を意味する。当該方法は、30000psiaで測定される骨格密度と0.51psiaで測定される見かけの密度との差を骨格密度で割ることから構成される。
代わりに、気孔率を石油圧入細孔分析法により測定してもよい。前記ブリケットの密度および気孔率は、EN ISO 5017規格に基づく測定プロトコールに従い、石油圧入法により決定される。測定は5個のブリケットにおいて行われる。
前記ブリケットの密度は、式m1/(m3−m2)×Dpに従い算出され、気孔率(%)は、式(m3−m1)/(m3−m2)×100に従い算出される。
m1は5個のブリケットの重量であり、m2は石油に浸した5個のブリケットの重量であり、m3は5個の「湿った」ブリケット(すなわち、石油を含浸させたブリケット)の重量である。Dpは石油の密度である。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であり、前記カルシウム−マグネシウム化合物が主に生石灰であるとき、当該組成物の反応性のt60値は10分間未満(好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、さらにより好ましくは4分間未満)である。前記組成物中の鉄ベースの化合物の含有量を考慮すると、添加された生石灰150gと当量にするため、反応性試験では、150gよりやや多い前記組成物を加える。
有利には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であり、前記カルシウム−マグネシウム化合物が主に焼ドロマイトであるとき、当該組成物の反応性の値t70は10分間未満(好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、さらにより好ましくは4分間未満)である。前記組成物中の鉄ベースの化合物の含有量を考慮すると、添加された焼ドロマイト120gと当量にするため、反応性試験では、120gよりやや多い前記組成物を加える。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が熱処理されたブリケットの形態であるとき、当該組成物のBET比表面積は0.4m2/g以上(好ましくは0.6m2/g以上、より好ましくは0.8m2/g以上)である。
有利には、本発明によると、前記組成物が熱処理されたブリケットの形態であるとき、前記組成物は、気孔率が20%以上(好ましくは22%以上、より好ましくは24%以上)である。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が熱処理されたブリケットの形態であり、前記カルシウム−マグネシウム化合物が主に生石灰であるとき、当該組成物のt60値は10分間未満(好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、さらにより好ましくは4分間未満)である。前記組成物中の鉄ベースの化合物の含有量を考慮すると、添加された「未反応の」生石灰150gと当量にするため、反応性試験では、150gよりやや多い前記組成物を加える。「未反応の」生石灰は、酸化鉄と未反応であり、カルシウムフェライト(CaFe2O4および/またはCa2Fe2O5)を生じさせる生石灰を意味する。
本発明の好ましい実施形態において、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、7mm未満の粒子から形成される。代わりに、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、5mm未満の粒子から形成される。本発明に係る他の変形例において、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、3mm未満の粒子から形成される。
本発明のさらなる他の変形例において、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、7mm未満の粒子および/または5mm未満の粒子および/または3mm未満の粒子の混合物である。
本発明の一実施形態において、生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態の前記組成物は、接合剤または潤滑剤(より好ましくは、鉱物由来の接合剤(例えば、セメント、粘土、ケイ酸塩)、植物由来または動物由来の接合剤(例えば、セルロース、デンプン、ゴム、アルギン酸塩、ペクチン、膠)、合成物質由来の接合剤(例えば、ポリマー、ワックス)、液状潤滑剤(例えば、鉱物油またはシリコーン)、固形潤滑剤(例えば、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩)からなる群から選択され、特に、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムおよびこれらの混合物、好ましくはステアリン酸カルシウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムである)を、前記ブリケットの総重量に対して、0.1〜1重量%(好ましくは0.15〜0.6重量%、より好ましくは0.2〜0.5重量%)さらに含んでいる。
本発明に係る組成物は、工業的量で製造され、1m3以上の内容体積の種々の容器(例えば、大きな袋、容器、サイロ等)に包装(好ましくは密封)された生ブリケットまたは熱処理されたブリケットの組成物である。
有利には、生ブリケットの形態の組成物のブリケットは、酸化鉄の含有量が当該組成物の20重量%未満のとき、シャッターテスト指数が10%未満である。
有利には、熱処理されたブリケットの形態の組成物のブリケットは、鉄ベースの化合物の含有量に関わらず、シャッターテスト指数が8%未満(より詳細には6%未満)である。
有利には、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、当該ブリケットは、最大寸法が最大50mm(好ましくは最大40mm、より好ましくは最大30mm)である。これは、ブリケットの形態の前記組成物のブリケットが、幅がそれぞれ50mm(好ましくは40mm、特に30mm)の正方形のメッシュを有するふるいを通過することを意味する。
好ましくは、前記生ブリケットまたは熱処理されたブリケットは、最大寸法が少なくとも10mm(好ましくは少なくとも15mm、より好ましくは少なくとも20mm)である。
用語「最大寸法」は、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットの最大の固有寸法を意味する。(好ましくは、長楕円形のブリケットの長手方向における)直径、全長、幅、厚さのいずれかである。
好ましくは、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、「生の」ドロマイトである。
代わりに、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、生石灰である。
有利には、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットは、ブリケットあたりの平均重量が少なくとも5g(好ましくは少なくとも10g、より好ましくは少なくとも12g、特に少なくとも15g)である。
本発明によると、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットは、ブリケットあたりの平均重量が100g以下(好ましくは60g以下、より好ましくは40g以下、特に30g以下)である。
有利には、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットは、見かけ密度が2g/cm3〜3.0g/cm3(有利には2.2g/cm3〜2.8g/cm3)である。
他の好ましい実施形態において、本発明に係る熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子(好ましくは、前記ブリケットの断面において、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法により観察できる二次元サイズが63μm超、5mm未満であり、前記断面の面積の最大20%(好ましくは最大10%)に及ぶ「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子)をさらに含む。
より詳細には、本発明によると、熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子(好ましくは、前記ブリケットの断面において、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法により観察できる二次元サイズが63μm超、5mm未満であり、前記断面の面積の少なくとも20%(好ましくは最大60%)に及ぶ「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子)をさらに含む。
有利には、本発明に係る熱処理されたブリケットは、熱処理されたブリケットの形態の前記組成物の重量に対して少なくとも20重量%のカルシウムフェライトを含む。当該カルシウムフェライトは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子を分散させるマトリクスを形成している。
前記マトリクスは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子(特に生石灰)を分散させる、カルシウムフェライトに基づく連続相であると理解される。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子のサイズが小さく、カルシウムフェライトに基づくマトリクス中に明らかに溶解する場合と、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子がより大きなサイズであり、前記マトリクス中での「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の含有物として観察される場合とで、違いが生じる。
前述の違いは、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法を用いて、本発明に係るブリケットの断面に基づき、明確にされる。これにより、当初は三次元である対象(ブリケット)の二次元(前記断面の表面)で、さらにブリケットを構成する粒子の二次元で可視化できる。このように、カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子を断面平面において二次元でも観察する。三次元において粒子が球に近似され、近似球の直径としてサイズ(「三次元」サイズ)を決定することが慣例であるように、本発明において、前記粒子の切断表面は近似円盤に近似され、「二次元」サイズは、この円盤の近似直径として決定される。より正確には、二次元サイズは、カルシウムフェライトの連続マトリクスに分散した「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の各粒子について、切断面の最小寸法と最大寸法との合計を2で割った値を検出するプログラムを用いて計測される。2で割った合計は、近似円盤の直径を表している。
この意味において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子は、前記ブリケットの断面において、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法により観察できる二次元サイズが63μm未満であるとき、カルシウムフェライトの前記マトリクス(連続相)中に溶解するか、融合されると考えられる。
より詳細には、本発明に係る熱処理されたブリケットは、少なくとも40重量%(好ましくは少なくとも50重量%)のカルシウムフェライトを、モノカルシウムフェライトCaFe2O4の形態で含んでいる。
有利に、本発明に係る熱処理されたブリケットは、少なくとも40重量%(好ましくは少なくとも50重量%)の、カルシウムフェライトを、ジカルシウムフェライトCa2Fe2O5の形態で含んでいる。
本発明に係る生ブリケットの形態の組成物、または、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に提示されている。
また、本発明は、(特に酸素転換炉またはアーク炉での)鉄鋼冶金における、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物、または、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物の使用に関する。
より詳細には、本発明に係る生ブリケット、または、本発明に係る熱処理されたブリケットは、酸素転換炉またはアーク炉において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物のブリケットまたは「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の礫と混合することに使用される。
実際、従来の方法では、精錬プロセスの最初の時間において、脱リン化の反応を効率的に開始させるため、反応容器において不十分な利用可能なスラグが存在している。本発明に係る組成物の使用、すなわち、フラックス(石灰石よりも速く溶解する)でのドープ処理によって、従来の方法と比較して、プロセスの開始時により速く液状スラグを形成させることができる。均質化された混合物の均質な混合および形成により、スラグ形成プロセスをさらにより加速し、高い融点のスラグ(例えば、上述の従来の方法で通常形成されるケイ酸カルシウム)の形成を最小化することができる。
また、本発明は、(特に、溶融金属の脱リン化および/または溶融金属の脱硫化および/または前記スラグにおける精錬金属の損失削減のための)溶融金属を精錬するプロセスにおける、生ブリケットの形態の組成物または熱処理されたブリケットの形態の組成物の使用に関する。
溶融金属を精錬するプロセスにおける、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物または熱処理されたブリケットの形態の組成物の使用は、
高温金属および任意に鉄ベースのくずを容器に導入する少なくとも1つの工程、
本発明に係る生ブリケットの形態の組成物、または、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物(好ましくは、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物)を前記容器に導入する少なくとも1つの工程、
前記容器に酸素を吹き入れる少なくとも1つの工程、
前記容器において、ブリケットの前記組成物とともにスラグを形成する少なくとも1つの工程、
脱リン化および/または脱硫化によって高温金属から、リン化合物および/または硫黄化合物の含有量が低減した精錬金属、および/または精錬金属の含有量が増加した精錬金属を得る少なくとも1つの工程、並びに、
リン含有成分および/または硫黄含有成分の含有量が低減した前記精錬金属、および/または精錬金属の含有量が増加した前記精錬金属を排出する少なくとも1つの工程、を含む。
本発明に係る使用は、生石灰(好ましくは生石灰塊または生石灰成形体(特に、生石灰タブレットまたはブリケット))を加える工程をさらに含む。
本発明に係る使用の他の形態は、添付の特許請求の範囲に提示されている。
その他の本発明の特徴、詳細、および利点を、以下に記載された、実施例および図を用いた詳細な説明によって明らかにする。ただし、本発明はこれに限定されない。
図1は、本発明に係るブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、BET比表面積および石油圧入気孔率のグラフである。
図2は、本発明に係る熱処理されたブリケットおよび生ブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、シャッターテスト指数(STI)のグラフである。
図3は、本発明に係る熱処理されたブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、カルシウムフェライトに変化したFe2O3の割合(%)のグラフである。
図4は、熱処理前の生ブリケット中のFe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、熱処理されたブリケット中のFe2O3当量で表されるカルシウムフェライトの含有量の変化を表すグラフである。
図5は、実施例9〜16におけるブリケットの断面の画像を示す。
本発明は、カルシウム−マグネシウム化合物および鉄ベースの化合物の微粒子をブリケット化する方法に関する。前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満、および、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする、非常に細かい粒度分布を有する。
本発明に係るブリケット化の方法は、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO当量の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含み、かつ、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物を少なくとも3重量%(好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%)含む、ほぼ均質な粉末混合物を供給することを含む。ここで、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、CaO+MgO等価物を少なくとも40重量%含んでおり、さらに、粒子径が90μm以下であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を少なくとも含む。また、前記鉄ベースの化合物は、前記粉末混合物の重量に対して、さらに、CaO等価物を少なくとも20重量%含む。
本発明の特定の実施形態において、前記粉末混合物は、前記組成物の重量に対して、CaO+MgO等価物を最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88重量%、ある実施形態においては最大60重量%含む。
鉄ベースの化合物が均一に分布している均質な混合物を、ローラープレス(ときに接線プレスとも称される)へ供給する。前記ローラープレスとして、例えば、Komarek, Sahut Konreur, Hosokawa BepexまたはKoppern等のプレスが挙げられる。前記ローラープレス中で、ほぼ均質な粉末混合物を圧縮する。前記圧縮は、適宜、接合剤または潤滑剤の存在下で行われる。より具体的には、前記接合剤または前記潤滑剤は、セメント、粘土、ケイ酸塩等の鉱物由来の接合剤、セルロース、デンプン、ゴム、アルギン酸塩、ペクチン、膠等の植物由来または動物由来の接合剤、ポリマー、ワックス等の合成物質由来の接合剤、鉱物油またはシリコーン等の液状潤滑剤、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩等の固形潤滑剤からなる群より選択される。具体的には、前記ステアリン酸塩が、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、およびそれらの混合物、好ましくはステアリン酸カルシウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される。前記接合剤または潤滑剤の含有量は、前記ブリケットの総重量に対して、0.1〜1重量%であり、好ましくは0.15〜0.6重量%であり、より好ましくは0.2〜0.5重量%である。
稼働中の、前記ローラープレスのローラー外面における線速度は、10〜100cm/s、好ましくは20〜80cm/sであり、ローラープレスのローラーの線圧力は60〜160kN/cm、好ましくは80〜140kN/cm、より好ましくは80〜120kN/cmである。
線圧力がフープの表面に作用するときの1/2の角度であるとみなすことで、表面圧力を計算できる。前記表面圧力は、線圧力を(1/2・π・D)/360で割った値に等しい。ここでDは、フープの直径(cm)である。前記表面圧力は、300〜500MPaであり、好ましくは300〜450MPaであり、より好ましくは350〜450MPaである。
圧縮後、カルシウム−マグネシウム組成物が生ブリケットの形態で得られ、これらを回収する。
本発明に係る方法の好ましい一実施形態において、回収された生ブリケットは、900〜1200℃、好ましくは1050℃〜1200℃、より好ましくは1100℃〜1200℃の温度で熱処理される。前記熱処理を、好ましくは3〜20分間のうち所定の時間行い、熱処理されたブリケットを得る。前記熱処理されたブリケットにおいて、前記酸化鉄がカルシウムフェライトに変化する。すなわち、前記熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、およびカルシウムフェライト化合物をFe2O3当量で少なくとも3%、好ましくは少なくとも12%、より好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%含有している。
本発明の一実施形態において、前記生ブリケットの熱処理を高温の回転炉内にて行う。好ましくは、酸化鉄含有量が40%未満のブリケットの熱処理のために前記回転炉を使用する。
または、前記熱処理を、例えば、トンネル炉、貫通型炉、車型炉、ローラー炉またはメッシュベルト炉等の横型炉内にて行う。変形例として、例えば、過度に摩擦が生じる等、炉内の詰め込み具合に変化を生じさせないのであれば、従来の炉のどんな種類を使用してもよい。
冷却を、炉の下流部、または炉の外で、従来の方法で行ってもよい。例えば、クエンチの場合、冷気の逆流による縦型冷却器、冷気を用いた流動層冷却器において冷却する。
特定の実施形態において、熱処理の最後に行われる冷却は、15分間未満、好ましくは10分間未満、冷気を用いた流動層冷却器内で素早く行われる。
本発明に係る好ましい一実施形態において、前記方法は、前述の均質な粉末混合物を供給する前に、以下の工程を含む;
i.粉末混合器に、少なくとも40重量%CaO+MgO当量の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、および、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%のFe2O3当量で表される鉄ベースの化合物(前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満、および径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布を有する)を供給する工程(ここで、前記生のカルシウム−マグネシウム化合物は、CaO+MgO等価物を少なくとも40重量%含んでおり、さらに、粒子径90μm以下であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を少なくとも含む。また、前記鉄ベースの化合物は、さらに、粉末混合物の重量に対して、CaO等価物を20重量%以上含む。)、および、
ii.前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と、前記鉄ベースの化合物とを、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物および前記鉄ベースの化合物のほぼ均質な粉末混合物を得るのに十分な、所定の時間混合する工程。
本発明の変形例として、カルシウム−マグネシウム化合物は、前記カルシウム−マグネシウム化合物の総重量に対して、粉砕した生石灰の粒子を少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、および最大100重量%含む。
「生」ブリケットは、生石灰(任意にドロマイト)および酸化鉄の超微粒子をベースとする。前記「生」ブリケットは、Fe2O3当量で表される鉄を、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%含むことを特徴とする。また、前記生ブリケットは、CaOおよびMgO当量で表されるカルシウムおよびマグネシウムを、少なくとも40重量%含むことを特徴とする。化学分析を、EN15309規格に従って、X線蛍光分光法(XRF)によって行う。
原子量が16(酸素)〜228(ウラニウム)である元素の重量によって相対濃度を測定するための、XRFによる半定量化学分析を、80μmまで粉砕してペレットに成形した試料から行う。前記試料を、高エネルギー源(第1X線)により励起状態にし、励起状態を標準状態に戻すために、前記試料が、試料を形成している化学元素の特徴となる第2X線を放出する。
前記試料を、PANalytical/MagiX Pro PW2540装置に入れ、波長分散モードにおいて処理する。測定は、二重検出器(duplex detector)を用いて、50kVおよび80mAで行われる。
前記分析の結果、カルシウム、マグネシウムおよび鉄が含有されていることがわかる。これらの測定は、CaOおよびMgO当量、およびFe2O3当量で示される。
鉄ベースの化合物(酸化鉄Fe2O3、Fe3O4、カルシウムフェライトCaFe2O4、Ca2Fe2O5)の半定量分析を、リートベルト法によるX線回折像を基に行う。
リートベルト法は、試料の結晶モデルを用いて回折像をシミュレートする工程、そして、シミュレートされた回折像が実験から得た回折像と可能な限り近づくように、本モデルのパラメータを調節する工程からなる。半定量分析の最後には、Fe2O3当量で表される鉄の全体量が、XRFによって得られた値と比較して10%より大きく異ならないことを実証する。カルシウムフェライトの形態である鉄全体の割合(%)は、単純な除法により求められる(フェライト中の鉄の量を、鉄ベースの化合物全体の鉄の量で割る)。
また、前記生ブリケットは、BET比表面積が1m2/g以上、好ましくは1.2m2/g以上、好ましくは1.4m2/g以上であることを特徴とする。
前記生ブリケットの気孔率は、20%以上、好ましくは22%以上、好ましくは24%以上である。
前記生ブリケットは、見かけ密度が2.0〜3.0であり、好ましくは2.2〜2.8である。
前記ブリケットは、経年変化に対する優れた抵抗性を有する。そのため、ブリケットを、例えば、5〜15g/m3の絶対湿度である多湿の雰囲気下にさらした場合、生ブリケットの力学的性質(STI)の劣化は、生石灰CaOが加水分解され、消石灰Ca(OH)2となる反応に続いて、1.5%を超えて重量が増加するとき、好ましくは2%を超えて重量が増加するとき、より好ましくは2.5%を超えて重量が増加するときのみ起こる。
前記熱処理されたブリケットは、カルシウム−マグネシウム化合物を含む。前記カルシウム−マグネシウム化合物としては、例えば、生石灰(ドロマイト)および酸化鉄およびカルシウムフェライト(CaFe2O4および/またはCa2Fe2O5)の超微粒子を含んでいる鉄ベースの化合物である。
前記熱処理されたブリケットは、Fe2O3当量で表される鉄を、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%含有することを特徴とする。また、前記熱処理されたブリケットは、CaOおよびMgO当量で表されるカルシウムおよびマグネシウムを、少なくとも40重量%含有することを特徴とする。化学分析を、前述したように、XRFによって行う。
全ての鉄のうち、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%が、カルシウムフェライトの形態である。
前記カルシウムフェライトの定量を、前記生ブリケットと同様に、前記ブリケットを粉砕した後、XRD/リートベルト分析によって行う。
本発明の熱処理されたブリケットは、鉄ベースの化合物の含有量に関わらず、シャッターテスト指数(STI:すなわち、2mの高さから4回落下させた後の、10mm未満の微粒子の重量%)が6%未満である。
また、前記熱処理されたブリケットは、比表面積が0.4m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、好ましくは0.6m2/g以上であることを特徴とする。
気孔率は、20%以上、好ましくは22%以上、好ましくは24%以上である。
前記熱処理されたブリケットの見かけ密度は、2.0〜3.0であり、好ましくは2.2〜2.8である。
前記熱処理されたブリケットは、経年変化に対する優れた抵抗性を有する。そのため、例えば、5〜15g/m3の絶対湿度である多湿の雰囲気下にさらした場合、前記熱処理されたブリケットの力学的性質(STI)の劣化は、生石灰CaOが加水分解され、消石灰Ca(OH)2となる反応に続き、4%を超えて重量が増加するとき、好ましくは4.5%を超えて重量が増加するとき、より好ましくは5%を超えて重量が増加するときのみ起こる。
〔実施例1.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
並行流再生炉内で軟焼石灰の塊から、粉砕された生石灰微粒子を作製した。粉砕は、2mmのふるい、および2mmより大きい粒子径のための再循環ループを備えるハンマーミル中で行われる。粉砕されたこれらの生石灰微粒子は、粒子径が90μm未満である粒子を29%(d30<90μm)、90μmより大きい粒子を71%、500μmより大きい粒子を37%、1mmより大きい粒子を21%、および2〜3mmの粒子を1%含んでいる。水反応性試験におけるt60の値は、0.9分間である。BET比表面積(190℃で2時間以上、真空脱ガス処理した後、窒素吸着圧力計により測定し、ISO規格9277:2010Eに記載のマルチポイントBET法によって算出する)は、1.7m2/gである。粉砕されたこれらの生石灰微粒子は、CaOを95.7重量%、MgOを0.8重量%含む。
磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕し、125μmの篩を通過させることによって酸化鉄微粒子を得る。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が8μm、d50が52μm、およびd90が126μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を66.4%含む。
350rpm(すなわち、2.6m/s)で回転する、旋回半径7cmの標準撹拌翼を備える、容量が10dm3のゲーリックGCM450粉末混合器を使用する。前記粉末混合器を、下記の物質からなる混合物を生成するために、連続運転モードで使用する:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
粉末の全体流速は300kg/hであり、滞留時間は3.5秒間である。
得られた混合物は、非常に均質である。非常に均質であるとは、最終混合物から取り出した試料10g中それぞれの鉄の含有量は、いずれも、これらの平均値のプラスマイナス5%であることを意味する。
棒状石鹸(1つのフープあたり67個のポケットが4列配置されている、または1つのフープあたり268個のポケットがある)の形状である、理論上の体積が7.2cm3であるブリケットを製造するために、直径604mmおよび幅145mmのフープを備えた接線プレスを使用する。前記接線プレスの最大線圧力は120kN/cmである。
10トンの前記混合物を、前記接線プレスに供給し、120kN/cmの線圧力(または、半分の角度において算出される表面圧力が455MPa)で、12rpmの速さ(すなわち、38cm/sの線速度)で圧密化を行う。
約8.5トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は21.4g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.8mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積(ISO規格15901-1:2005Eの第1部に従って、水銀圧入細孔分析法により測定され、30000psiaで測定される骨格密度と0.51psiaで測定される見かけ密度との差を、骨格密度で割ることによって求められる)は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、1分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.6%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた、画像分析によって決定する。その結果を表1に示す。酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、54%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を54%含んでいる。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量を、リートベルト分析によって行う。全ての鉄の52%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、48%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例2.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕し、150μmの篩を通過させることによって得る。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が9μm、d50が37μmおよびd90が102μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を67.1%含む。
実施例1の方法によって作製される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。約8.6トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は20.3g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.6mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、0.9分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.5%である。
ブリケット中の組成物における、酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、63%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の61%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、39%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
〔実施例3.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、赤鉄鉱(Fe2O3)型の鉄鉱石を粉砕し、150μmの篩を通過させることによって得る。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が0.5μm、d50が12.3μmおよびd90が35.7μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を64.6%含む。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。8.3トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.1g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.7m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、0.9分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、3.7%である。
ブリケット中の組成物における、酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、88%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の84%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、16%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例4.生石灰および酸化鉄の熱処理されたブリケット〕
実施例1におけるブリケット1トンを、容器中で100mmの厚さのブリケットの層になるように配置し、1100℃で20分間熱処理する。このとき温度は、1分間あたり50℃で増減する。
得られたブリケットの平均体積は8.2cm3、平均重量は19g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは36mm、幅は26mm、厚さは15.5mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.2m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、27%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、1.6%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分析分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた画像分析によって決定する。
その結果を表1に示す。
酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、43%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を43%含んでいる。
これらの熱処理されたブリケットのうち30個において、粒度分布80μm未満である粉末が作製される。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の54%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、46%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを174.2g加えることで測定される。ブリケット174.2gは、「未反応の」生石灰150gに相当する(すなわち、カルシウムフェライトの形態でない)。t60の値は、4.7分間である。
〔実施例5.生石灰および酸化鉄の熱処理されたブリケット〕
実施例3におけるブリケット1トンを、容器中で100mmの厚さのブリケットの層になるように配置し、1100℃で20分間熱処理する。このとき温度は、1分間あたり50℃で増減する。
得られたブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.0g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、0.9m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、27%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、1.4%である。
酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、84%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を84%含んでいる。
これらの熱処理されたブリケットのうち30個において、粒度分布80μm未満である粉末が作製される。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の91%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、9%がFe2O3の形態のままである。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを179.4g加えることで測定される。ブリケット179.4gは、「未反応の」生石灰150gに相当する(すなわち、カルシウムフェライトの形態でない)。t60の値は、3.8分間である。
〔実施例6.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。分類されなかった材料を、予熱器を備える回転炉の外部において、3mmの篩にかけた後、選別された生石灰粒子を回収した。選別された生石灰微粒子は、粒子径が90μm未満の粒子を26%、90μmより大きい粒子を74%、500μmより大きい粒子を60%、1mmより大きい粒子を47%、および2〜3mmの粒子を18%含んでいる。水反応試験におけるt60の値は、4分間である。BET比表面積は、1.2m2/gである。選別されたこれらの生石灰微粒子は、CaOを97.1重量%、MgOを0.7重量%含む。酸化鉄粒子は、実施例3と同じである。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 44.75重量%
前記選別された生石灰微粒子 45重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記ブリケットは、実施例1の方法によって前記混合物から製造される。8.6トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.6cm3、平均重量は20.3g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.4m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、1.6分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.4%である。
ブリケット形態中の組成物における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、86%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の83%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、17%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例7.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
選別された生石灰微粒子は、実施例6と同じである。酸化鉄微粒子は、実施例3と同じである。
実施例1の方法により製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記選別された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記ブリケットは、実施例1の方法によって前記混合物から製造される。8.1トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.0g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.6mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.3m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、3.7分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、11.6%である。
ブリケット形態中の組成物における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、87%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の81%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、19%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例8.ドロマイト生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。並行流再生炉内で製造した焼ドロマイト石灰の塊から、粉砕された焼ドロマイト微粒子を作製した。粉砕を、ハンマーミルで行った。これらの粉砕された焼ドロマイト微粒子は、90μmより大きい粒子を91%、500μmより大きい粒子を44%、1mmより大きい粒子を31%、2mmより大きい粒子を17%、および3mm〜5mmの粒子を8%含んでいる。水反応性試験におけるt70の値は、3.1分間である。BET比表面積は、2.8m2/gである。これらの粉砕された焼ドロマイト微粒子は、CaOを58.5重量%、MgOを38.4重量%含む。酸化鉄は、実施例3と同じである。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 64.75重量%
前記粉砕された焼ドロマイト微粒子 25重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記ブリケットは、実施例1の方法によって前記混合物から製造される。8.3トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は19.9g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.5mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、2.1m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、25%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、5.3%である。
ブリケット形態中の組成物における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、86%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の84%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、16%がFe2O3の形態のままである。
〔比較例1.生石灰および低い活性を示す酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕することによって得る。前記酸化鉄微粒子は、250μmの篩を通過するが、125μmの篩を通過しない。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が140μm、d50が227μmおよびd90が318μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を約67%含む。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。8.2トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.5g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.8mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、1.0分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.9%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分析分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた画像分析によって決定する。その結果を表1に示す。ブリケット中の組成物中における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、24%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の16%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、84%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
〔比較例2.生石灰および活性の低い酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕することによって得る。前記酸化鉄微粒子は、500μmの篩を通過するが、250μmの篩を通過しない。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が282μm、d50が417μmおよびd90が663μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を約67%含む。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。8.5トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は20.3g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、0.9分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.8%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分析分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた画像分析によって決定する。その結果を表1に示す。ブリケット中の組成物中における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、10%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の11%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、89%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
〔比較例3.生石灰および活性の低い酸化鉄の、熱処理されたブリケット〕
比較例2におけるブリケット1トンを、容器内で100mmの厚さのブリケットの層になるように配置し、1200℃で2時間熱処理する。このとき温度は、1分間あたり50℃で増減する。
得られたブリケットの平均体積は7.2cm3、平均重量は20.1g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの厚さは約15.4mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、0.4m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、23%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、1.5%である。
酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、9%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を9%含んでいる。
これらの熱処理されたブリケットのうち30個において、粒度分布80μm未満である粉末が生成される。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の16%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、84%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを169.0g加えることで測定される。ブリケット169.0gは、「未反応の」生石灰150gに相当する(すなわち、カルシウムフェライトの形態でない)。t60の値は、13分間である。
〔実施例9〜16〕
0〜2mmの大きさの粒子を含む、粉砕された生石灰を用いて、本発明に係る生ブリケットを製造する。前記粉砕した生石灰は、異なる粒度分布を有し、赤鉄鉱型の酸化鉄をFe2O3当量で10〜60重量%含む。これらの実施例において使用する酸化鉄は、d10が0.5μm、d50が12.3μmおよびd90が35.7μmであることを特徴とする。各実施例において、0〜2mmの大きさである粉砕された生石灰の粒子は、90μm未満の粒子を30%以上有する。また、それぞれの生ブリケットは、潤滑剤としてステアリン酸カルシウムを0.25重量%含む。
同一の組成の生ブリケットを、1100℃または1200℃で20分間熱処理して、生石灰および鉄ベースの化合物の含有量が異なる、熱処理されたブリケットを得た。ブリケットの組成および行った熱処理を表2に示す。これらの生ブリケットおよび熱処理されたブリケットにおいて、数回のテストを行った。これらのテストについて、図1〜4を用いて以下に説明する。
図1は以下を示すグラフである:
生ブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、BET比表面積の変化;
生ブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、気孔率の変化;
1100℃で20分間熱処理されたブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、BET比表面積の変化;および
1100℃で20分間熱処理されたブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、気孔率の変化。
図1からわかるように、これらの気孔率および比表面積の変化は、生ブリケットおよび熱処理されたブリケットの鉄ベースの化合物の含有量に伴い、線形にわずかに減少している。熱処理されたブリケットは、生ブリケットよりも小さい比表面積を有する。一方、熱処理されたブリケットは、鉄ベースの化合物の含有量が同一の生ブリケットよりも高い気孔率を有する。
図2は、以下を示すグラフである:
生ブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、シャッターテスト指数の変化;および、
1100℃で20分間熱処理されたブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、シャッターテスト指数の変化。
図2からわかるように、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量が40%未満である生ブリケットにおいて、シャッターテスト指数は20%未満である。一方、熱処理されたブリケット全てにおいて、シャッターテスト指数は10%未満、または6%未満である。
図3は、Fe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、カルシウムフェライトに変化した鉄ベースの化合物(酸化鉄)の量の変化、およびモノカルシウムフェライトおよびジカルシウムフェライトに変化した酸化鉄の量を示すグラフである。厚さ100mmのブリケットの固定層を、トンネル炉中において、1100℃で20分間熱処理した。
図3からわかるように、Fe2O3当量で表される酸化鉄の含有量が40%を超えると、カルシウムフェライトへの変化量は減少し始める。酸化鉄の量が40%のとき、モノカルシウムフェライトの割合(%)は最大となる。ジカルシウムフェライトの形成の割合(%)は、酸化鉄の含有量に伴い減少した。
図4は、熱処理前の生ブリケット中のFe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、熱処理されたブリケット中のFe2O3当量で表されるカルシウムフェライトの含有量の変化を示している。
図4からわかるように、熱処理されたブリケット中のカルシウムフェライトの含有量は、生ブリケット中の酸化鉄の含有量に伴い増加する。しかし、生ブリケット中の酸化鉄の含有量が40〜45%のとき、カルシウムフェライトの含有量は、50%と最大となる。そして、生ブリケット中の酸化鉄の含有量が60%のとき、カルシウムフェライトの含有量は、約40%に減少する。
しかしながら、酸化鉄のカルシウムフェライトへの変化量を90%よりも多くし、熱処理されたブリケット中のカルシウムフェライトの含有量を50%より多く、さらには70%より多くをすることは可能である。これは、例えば、熱処理の温度を1200℃に上げること、または90μm未満の生石灰の粒子の割合を増加させるために生石灰の粉砕を最適化すること、または上述の2つの手段を組み合わせることによって可能である。いくつかの実施例を行い、測定結果を表2に示す。
表2においてわかるように、70%より多くの、好ましくは80%より多くの、より好ましくは90%より多くの酸化鉄をカルシウムフェライトへ変化させ、かつカルシウムフェライトのうち少なくとも40重量%がモノカルシウムフェライトの形態とするために、酸化鉄の割合、熱処理の温度、生石灰の粒度分布の様々なパラメータを最適化することは可能である。
実施例11において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約40重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を60重量%含む生ブリケットを1200℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の98%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して55.3重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。
実施例13において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を25重量%、およびd97が90μmである生石灰を25重量%含む生ブリケットを1100℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の90%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して69.9重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。
実施例14において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が90μmである生石灰を50重量%含む生ブリケットを1100℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の96%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して47.2重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。
実施例15において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を25重量%含む生ブリケットを1200℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の99%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して43.9重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。熱処理温度を1100℃へ下げることによって、モノカルシウムフェライトの収量は増加し得る。
実施例16において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を50重量%含む生ブリケットを1100℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の61%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して82.6重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。d97が90μmである生石灰の重量を増やすことによって、モノカルシウムフェライトの収量は増加し得る。
モノカルシウムフェライトは、ジカルシウムフェライトよりも低い融点を有するため、モノカルシウムフェライトの量が40重量%より多いことは金属精製プロセスにおいて有用であり得る。これにより、スラグ内のブリケットの溶解が促進され得る。
また、70%より多く、好ましくは80%より多く、より好ましくは90%より多くの酸化鉄がカルシウムフェライトへ変化し、かつ、カルシウムフェライトのうち40重量%以上がジカルシウムフェライトの形態とするために、酸化鉄の割合、熱処理の温度、生石灰の粒度分布の様々なパラメータを最適化することが可能である。しかし、実施例14のように、1100℃で20分間において、カルシウムフェライトの全体量に対して52.8%のジカルシウムフェライトを得ることができる一方、その他の実施例のほとんどにおいて、ブリケットを1200℃で20分間熱処理する場合に、カルシウムフェライトの全体量に対して、少なくとも40%のジカルシウムフェライトが形成され易いことを示している。
酸化鉄のカルシウムフェライトへの変化量を最大にするために、生ブリケットを1200℃で熱処理することは有用であり得る。
図5は、実施例9〜16におけるブリケットの断面図の画像を表す。実施例9〜16における熱処理されたブリケット断面を作製し、その断面を樹脂で封入した後、断面を研磨することによって、これらの熱処理されたブリケットの構成を、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型分析とを組み合わせて分析した。これらの分析によって、ブリケットの断面における、各成分の分布図を作成することができる。画像分析ソフトウェアを用いて、得られた各成分の分布図を重ね合せて、各成分のサイズ分布および相対的被覆率を測定することができる。
以上のことから、実施例9〜16に係るブリケットにおいて、カルシウムフェライトが、生石灰の粒子(不連続層)が分散しているマトリクス(または、連続層)を形成することが示された。カルシウムフェライトマトリクスは、カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を少なくとも20重量%含み、好ましくは生石灰の形態であり、d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、より好ましくは100μm未満であって、d50が50未満である酸化鉄を少なくとも20重量%含む生ブリケットを、900〜1200℃、好ましくは1050〜1200℃で20分間熱処理した後に、得ることができる。マトリクス中に分散している石灰の粒子の二次元サイズを、カルシウムフェライトマトリクス中の生石灰のそれぞれの粒子の最小および最大の寸法の平均を求めるプログラムによって算出する。粒子を、粒子の二次元方向の大きさが63μm未満であり、測定装置の検出可能下限値より大きい第1グループ、および粒子の二次元方向の大きさが63μmより大きい第2グループに分類する。以下の表3は、実施例9〜16に係るブリケットにおける、それぞれのブリケットの断面中のカルシウムフェライトマトリクスの相対的被覆率、63μm未満の生石灰の粒子の相対的被覆率、および63μmより大きい生石灰粒子の相対的被覆率を示す。
組成物のうちカルシウムフェライトを60重量%より多く含有する熱処理されたブリケットにおいて、63μmより大きい生石灰の粒子の表面被覆率の割合(%)は、25%より小さい。
〔実施例17〕
ブリケットの重量に対して、d97が150μmであり、d50が40μmである磁鉄鉱Fe3O4の形態の酸化鉄を38.85重量%、d97が2mm未満であり、d30が90μm未満である生石灰を60.9重量%、およびステアリン酸カルシウムを0.25重量%用いて生ブリケットを作製した。3層のブリケットからなる固定層を、1100℃で20分間熱処理し、熱処理されたブリケットを得た。熱処理されたブリケット中のモノカルシウムフェライトに変化した鉄の重量%は8%であり、ジカルシウムフェライトに変化した鉄の重量%は82%である。
〔実施例18〕
ブリケットの重量に対して、d10が0.5μmであり、d50が12.3μmであり、d90が35.7μmであることを特徴とする赤鉄鉱Fe2O3の形態である酸化鉄を39.9重量%、d97が2mm未満であり、d30が90μm未満である生石灰を59.85重量%、およびステアリン酸カルシウムを0.25重量%用いて、生ブリケットを作製した。得られたブリケットを、実施例17と同様の条件で熱処理し、熱処理されたブリケットを得た。このとき、熱処理されたブリケット中のモノカルシウムフェライトに変化した鉄の割合(%)は65重量%であり、ジカルシウムフェライトに変化した鉄の割合(%)は24重量%である。
〔実施例19〜35.表4中のテスト1〜17のそれぞれに対応するCO2を含む調製雰囲気下における前処理〕
以下の実施例において、Pharmatron Multitest 50を用いて、ブリケットに対して圧縮強度試験を行った。Pharmatron Multitest 50のプレートの1つは、突起部を有する。突起部があることにより、ブリケットを破裂させるために必要な力が、突起部がない場合で行われる圧縮強度試験に比べて少ない。
実施例1において使用される生石灰と同様の生石灰を59.85重量%、実施例11と同様のFe2O3を39.9%、およびステアリン酸カルシウムを0.25%含む生ブリケット10個を、この圧縮強度試験によって測定した。平均値は、33kg重である。
表4に示すようにパラメータを変更し、毎度、11リットル電気マッフル炉に新しい生ブリケットを10個充填して、数回の前処理テストを行った。これらの前処理は全て、毎分10リットルのN2、H2OおよびCO2からなる混合ガスフロー下において、20〜450℃で行われた。温度上昇率は、2〜10℃/分である。
ガス中のH2Oの体積濃度は、3.9〜20.1%である。ガス中のCO2の体積濃度は、0.9〜9.1%である。
各テストにおける前処理の最後に、ブリケット10個を圧縮強度試験によって特性を示した。加えて、前処理されたブリケット10個全てを分析し、水和反応に伴い増加する重量dm(H2O)/mおよび炭化反応に伴い増加する重量dm(CO2)/mを測定した。これら全ての結果を表4に示す。
表4からわかるように、調製雰囲気を構成するガス中のCO2が2体積%より多い場合、前処理によってブリケットが圧密化される。反対に、CO2が2体積%未満である場合、ブリケットは、凝集力が低下する。
〔比較例4〕
複数の試料の生ブリケットにおいて、落下指数を圧縮力と比較した。そして、落下指数と圧縮力の相関関係を明らかにした。試験された生ブリケットは、ブリケットの総重量に対して、0〜60重量%の異なる含有量の酸化鉄、および0.125重量%〜0.5重量%の範囲の異なる含有量の潤滑剤を含む、0〜3mmの粒子径を有する生石灰を含んでいた。また、相関関係を明らかにするのに十分大きい母数となるよう、ブリケット化プロセスのパラメータを変更した。
圧縮力が144kg(317.5ポンドに対応する)より大きい場合、ブリケットの落下指数は10%未満である必要がある。
もちろん、本発明は、上述の実施例によって、何ら制限されることはなく、請求項の範囲内において、種々の変更を加えてよい。
図1は、本発明に係るブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、BET比表面積および石油圧入気孔率のグラフである。
図2は、本発明に係る熱処理されたブリケットおよび生ブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、シャッターテスト指数(STI)のグラフである。
図3は、本発明に係る熱処理されたブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、カルシウムフェライトに変化したFe2O3の割合(%)のグラフである。
図4は、熱処理前の生ブリケット中のFe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、熱処理されたブリケット中のFe2O3当量で表されるカルシウムフェライトの含有量の変化を表すグラフである。
図5は、実施例9〜16におけるブリケットの断面の画像を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、「生の」("quick") カルシウム−マグネシウム化合物と鉄ベースの化合物とを含むブリケットの形態の組成物を製造する方法、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と酸化鉄とを含む生ブリケット、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物とカルシウムフェライトとを含む熱処理されたブリケット、およびそれらの使用に関する。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物との用語は、本発明における意味では、化学組成が主に酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムである無機固体材料を意味する。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、本発明における意味では、生石灰(カルシウム石灰)、マグネシウム生石灰、ドロマイト生石灰または「生の」焼成ドロマイトを含んでいることを意味する。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、不純物、すなわち、数%程度のシリカ、SiO2、アルミナ(Al2O3)等の化合物を含んでいる。これらの不純物は、前記の形態で表されるが、実際にはさまざまな相として現れ得るものである。また、一般に未焼成分と呼ばれる残留CaCO3またはMgCO3を数%含み、さらに冷却、搬送、貯蔵工程の間に「生の」生成物を部分的に水素化された残留Ca(OH)2またはMg(OH)2を数%含む。
生石灰とは、化学組成が主に酸化カルシウム(CaO)である無機固体物質を意味する。生石灰は、一般的に、主にCaCO3からなる石灰岩の焼成によって得られる。生石灰は、不純物、即ち、酸化マグネシウム(MgO)、シリカ(SiO2)、更にはアルミナ(Al2O3)等の化合物を数%の量で含む。これらの不純物は、前述の形態で表されるが、実際にはさまざまな相として現れ得るものと理解される。生石灰には、一般に未焼成分と呼ばれる数%の残留CaCO3と、冷却、搬送および/または貯蔵時において酸化カルシウムCaOが部分的に水素化された数%の残留Ca(OH)2とが含まれる。
本発明によれば、「ブリケット」という用語は、長楕円形状のコンパクトを意味する。ブリケット当たりの重量は5〜100gであり、平坦または細長い回転楕円面(「扁球の回転楕円面」または「幅の広い回転楕円面」)に内設している。一般的にはブリケットは、棒状石鹸状であり、または「エッグ状のブリケット」として説明される。
これらは、通常ペレットの形状をした、「Eurotab」社の「Titan(チタン)」をプレスすることで製造されるようなタブレットと比較される。定義では、産業用のタブレットは標準の形状で、より詳細には、高さが低いシリンダー形状をしている。
ブリケットは、既知であり、WO2015/007661に例証されている。本文献によると、コンパクト(すなわち、ブリケットまたはタブレット)は、少なくとも50%の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含むカルシウム−マグネシウム化合物の粒子を含むことが記載されている。開示されたコンパクト(ブリケットまたはタブレットの形状をした)もまた、添加剤(特に酸化鉄)を含むことができる。
本文献によると、落下強度(落下機械強度)は、シャッターテストで測定される。説明されたコンパクトは、一般的には、10%未満のシャッターテスト指数を有する。
「シャッターテスト指数」との用語は、本発明における意味では、10kgの生成物を用いて、2mの落下を4回行った後に生じた10mm未満の微粒子の重量%を意味する。これらの微粒子は、2mの落下を4回行った後、10mmの正方形のメッシュを備えたふるいにかけることにより定量化する。
前記文献の実施例および比較例の詳細な分析は、向上した落下強度を有する生タブレットは、少なくとも50%の「生の」生成物を用いて得られること、また、これらのタブレットは、多湿の雰囲気下での劣化に対する耐性を示すことを示している。一方、「生の」化合物のブリケットを「生の」化合物を用いて得るとき、シャッターテスト指数(機械強度を表している)は高いまま(13〜15%)であり、10%未満のシャッターテスト指数を達成したい場合は、熱処理を行う必要がある。
米国特許第5,186,742号では、任意選択的に潤滑剤と共に、55〜85重量%の石灰と、10〜40重量%の灰と、紙繊維を0.1〜10重量%含む石灰ブリケットが開示されている。米国特許第5,186,742号で開示されたブリケットは、落下残存率を試験され、この試験は、シャッターテスト指数を測定するための試験との互換性はない。それらは、衝突強度が150〜300ポンドであり、シャッターテスト指数が10%よりはるかに上であることを意味する。
カルシウム−マグネシウム化合物は、例えば、鋼鉄金属学、ガス処理、水およびスラッジの処理、農業、建築業界、公共土木事業等の、多くの産業で使用されている。それらは、礫若しくは塊として、または微粒子(典型的に7mm未満のサイズ)としてのいずれかで使用することができる。しかし、特定の産業では、礫形状が好ましい。
これは、例えば、鋼鉄業において、酸素転炉または電気アーク炉にカルシウム−マグネシウム化合物を添加する場合である。
礫および塊の製造時に、多くの微粒子が生成される。これらの微粒子は、通常、搬送および取り扱いが難しいので使用できる範囲が限定されている。
何年間かの間に、より簡単かつより安全に搬送、取り扱いおよび使用ができるように、多くの産業分野において初めは粉末の形態の化合物をブリケットに変えることが試みられてきた。
石灰製造者は、礫形状のカルシウム−マグネシウム化合物と、焼成の前および間、並びに取り扱いおよびそれに続く操作の間に生じるその微粒子との間の物質収支を、常に維持する。それにもかかわらず、場合によって、過剰の微粒子が生産される。その後、これらの微粒子は、ブリケット等の形態で凝集し得るので、過剰の微粒子を除去できることが可能になり得るだけでなく、これらのブリケット、または礫と同様の物を添加することによって、人為的に礫形状のカルシウムおよびマグネシウム化合物の生産を高めることが可能になる。
Barnettらの文献(Roll-press briquetting: Compacting fines to reduce waste-handling costs, powder and bulk engineering, Vol. 24, No. 10, October 2010, 1-6)には、石灰の生ブリケットの製造方法が記載されている。しかしながらこの文献は、製造条件および得られたブリケットの機械的特性について記載していない。過剰の微粒子等に基づくブリケットは、一般的に、機械強度が、礫形状のカルシウムおよびマグネシウム化合物よりも低い。さらに、それらはしばしば、それらの貯蔵またはそれらの取り扱いの間の劣化に対する耐性が、礫形状のカルシウムおよびマグネシウム化合物よりも、非常に低い。
これにより、実際には、カルシウムおよびマグネシウム化合物の微粒子のブリケットは、今日では、あまり使用されていない理由が説明される。このタイプのプロセスによって形成されたブリケットの品質が低いことを考慮すると、再循環工程が必要なこのタイプのプロセスの終了時に、非常に多くの使用できないブリケットが存在するため、ブリケット化の収率は、50%未満であると推定される。
潤滑剤および接合剤は、ブリケットまたはその類似物の形態への集塊の方法においてよく用いられる添加物である。
潤滑剤には内的または外的の2つのタイプがある。内的潤滑剤は、ブリケット化すべき材料と密に混合される。これは、一方で、ブリケット化の機械への供給時に混合物の流動性を増やし、他方で、圧縮中、混合物内の粒子の再配列を促進する。外的潤滑剤は、ブリケット化の機械のローラーの表面に塗布され、主に離型のために用いられる。何れの場合も、表面での摩擦およびそれによる摩耗を低減する。潤滑剤は、鉱物油、シリコーン等の液体、または、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩等の固体であり得る。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物に基づく組成物においては、ステアリン酸塩が好ましく、より好ましくはステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムである。
接合剤は、接着力または化学反応の何れかによって、粒子を凝集させることが可能な物質である。接合剤は、鉱物由来(セメント、粘土、ケイ酸塩等)、植物または動物由来(セルロース、デンプン、ゴム、アルギナート、ペクチン、膠等)、合成物由来(ポリマー、ワックス等)であり得る。多くの場合、接合剤は、水とともに用いられ、水は接合剤の凝集特性を活性化する。
何年にも亘って、カルシウムおよびマグネシウム化合物のブリケット等の強度および耐久性を高めるために、いくつかの添加剤、例えば、ステアリン酸カルシウムまたは紙繊維(例えば、米国特許第5,186,742号参照)が、使用されてきたが、十分な改善は得られなかった。さらに、特にカルシウム−マグネシウム化合物のブリケットを製造する場合のように、多くの場合に、他の成形された工業製品に現在使用されている添加剤を使用することは、制限されている。これは、カルシウム−マグネシウム化合物が、水と激しく反応すること、または、カルシウム−マグネシウム化合物のブリケットの最終的な使用に、これらの添加剤が潜在的に悪影響を及ぼすこと、のいずれかの理由による。
鉄鋼冶金における多くの精錬プロセスにおいて、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の組成物(例えば生石灰および/または「生の」ドロマイト等、並びにスクラップ材料)を、転炉に加え、スラグを形成する反応を動力学的におよび化学的に制御し、これにより、不純物の除去を助け、且つ炉の耐熱被膜を過度の摩耗から保護している。
添加された「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、高温の金属浴に浮かぶので、これにより界面を形成する。
精錬の間に、溶融金属は、容器に供給されるが、さらに、その容器に、スクラップ鉄も加えることができる。
金属化合物の溶融から得られた溶融金属には、典型的に、溶融金属1トン当り初期炭素含有量40〜45kg、および溶融金属1トン当り初期リン含有量0.7〜1.2kgが含まれる。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、溶融金属浴に添加されて溶融金属浴に浮かぶ。炭素を焼き尽くすために酸素を、所定の期間で吹込み、直接的および/または間接的にリン含有化合物、およびケイ素を酸化させる。吹込みの間、カルシウム−マグネシウム化合物は、溶融金属浴に浸され、カルシウム−マグネシウム化合物が常時浮遊している溶融金属との界面で僅かに分解/溶融する。
スラグは、浴の表面に浮かんでいる酸化物の層であり、吹込みの間のケイ素の酸化によるSiO2の形成、およびその他の酸化物(MnOおよびFeO)の形成、耐熱被膜におけるSiO2の作用を中和し、スラグを液化および活性化するための「生」カルシウム−マグネシウム化合物の添加、並びに耐熱被膜の摩耗から生じるMgOから生じる。
実際、転化の間に、炭素が燃焼して、ガス状のCOおよびCO2を形成して、金属/ガス反応が生じている。所定期間の吹込みの終わりに、炭素含有量は、溶融金属1トン当り約0.5kg、すなわち、約500ppm減少する。
溶融金属と浮遊カルシウム−マグネシウム化合物との界面では、金属/スラグ反応が起こる。これは、溶融金属からの脱リンを目的としている。スラグと金属との間の反応の終わりに、リン含有量は、溶融金属1トン当り約0.1kgまたはそれ未満、すなわち、約100ppmまたはそれ未満である。
金属が鉄で、カルシウム−マグネシウム化合物がカルシウム石灰の場合、化学反応は次のようになる。
FeO(酸化鉄)およびリンは、高温の金属に由来するが、一方、CaOは、転炉に添加される。この反応は、発熱反応であり、目的は、平衡を右辺に移すことである。これは、温度を下げ、できるだけスラグを流動化し、金属浴を均質化し(大抵の場合、アルゴンおよび/または窒素を底から吹込むことによって行われる)、塩基度指数CaO/SiO2を3〜6(酸であるシリカに対する酸化カルシウムの重量比)に保ち、スラグ中のマグネサイトの濃度を9%未満に保ち、十分な量のスラグを形成させることにより行うことができる。
マグネサイトは、典型的に、スラグ中に存在し、耐熱被膜の摩耗に起因しており、これは、「生の」ドロマイトの添加を制御することによって、減らすことができる。しかしながら、スラグ中の反応を動力学的に迅速化させるためには、マグネサイトの濃度は、9%未満に保つべきである。
理解されるように、高温金属を精錬することは、容易ではなく、その金属の質量バランスにおける作用により所定の液体金属量を達成するため、酸素の質量バランス(酸化反応)における作用により所定の化学分析を行うため、(熱バランスにおける作用により)吹込みの終わりにて所定の温度を達成するため、最適化される必要がある。
精錬の間の高温金属からの脱リン化を改善することは、とりわけ、3つのバランスを同時に重視することにより複雑化する。
このような精錬の間の脱リン化の方法は、「ペレット添加によるLinz Donawitz 転炉(BOF転炉)における鋼鉄の脱リン化プロセス」の文献(インド公開特許(ムンバイ)第IN01412MU2006A号)により当該技術分野において知られている。
この特許は、プロセスの後半にてスラグを冷却することによって、転炉におけるプロセス中の脱リン化の改善に焦点を当てている。
しかしながら、残念なことに、開示された方法には、無機添加剤および標準冷却剤を加えた後、岩石を転炉に加える方法において追加工程が必要となる。したがって、これは、処理時間を増加させるものであり、このような精錬プロセスの各瞬間は非常に高価であるため、これは精錬業にとって受け入れられる解決法ではない。
リンの除去のための別の方法は、Slag-Making Methods And Materialsの文献、米国特許第3,771,999号から知られている。この特許は、0.5〜15%のCaCl2、NaCl、KClおよび/またはNaF2を有するブリケットの石灰ベースの形成物を使用することによって、転炉を用いた方法における脱リン化の改善に焦点を当てている。
さらに、精錬プロセスの間に、酸化鉄、酸化マンガン、炭素、CaF2、酸化ホウ素のようなフラックスを石灰に添加することは、溶融金属の脱リン化のような精錬プロセスの品質を改善する従来の技術水準にて示された。
しかしながら、このようなフラックスの添加は、典型的には、精錬プロセスにさらなる複雑さを生じさせる。
そのため、特に酸化鉄では、フラックスを含有する「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を供給する必要が有る。
任意選択的にフラックスを含有している「生の」カルシウム−マグネシウム化合物のブリケットは、既知である。しかしながら、フラックスを含有した既知のカルシウム−マグネシウム化合物は、風化の影響が報告されてきた。これは、ヒュームにおける風化が吹き出し後に噴出することが問題である(米国特許第3,649,248号参照)。さらに、酸化鉄がフラックスとして添加された際、フェライトに転化されなければならず、そうすることでスラグ形成が加速する。
しかしながら、このことは理論上では簡単であるが、フェライトに完全に転化した酸化鉄は、大抵僅かしかなく、スラグ形成を加速するために機能しない。これにより、鉄鋼メーカーは、石灰を、任意選択的に鉄と共に加える一方で、他方では任意選択的に石灰と共にフェライトを加える。
カルシウムフェライトの形成は、(一般的には1200〜1250℃)の比較的高温にてかなり長時間の熱処理が必要となる(米国特許第3,649,248号参照)。それゆえ、先行技術に記載された生石灰(ドロマイト)をベースとしたブリケットと酸化鉄とは、カルシウムフェライトを容易に形成することにはならない。
従って、転炉の上流における前記熱処理を実施する工程は、技術的経済的観点(特定の炉、エネルギー消費、低い生産能力、不完全焼成、すなわち、比表面積の低下と細孔容積の減少)から悪影響がある。
熱処理を転炉においてその場で実行する際、カルシウムフェライトの形成は、動力学的にはかなり遅く、これらのブリケットを脱リン化する効果に悪い影響を与える。
その結果、あまり制約されることがなく簡単に使用でき、石灰の損失を最小限にする生成物はまだない。
本発明は、スラグ形成における、石灰の損失を大幅に低減すること、および石灰のスラグ形成効率の改善した方法を提供することにより、これらの欠点の少なくとも一部を解決することを目的とする。
この問題を解決するために、本発明によると、以下の工程を備えるブリケットの形態のカルシウム−マグネシウムの組成物を作製するための方法を提供する。
i.少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含む粉末混合物を供給する工程(前記混合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含み、Ca/Mgモル比は1以上であって、好ましくは2以上がよく、より好ましくは3以上がよい)、
ii.前記均質な混合物をローラープレスに供給する工程と、
iii.生ブリケットの形態のカルシウム−マグネシウム組成物を得るため、前記ローラープレスで前記粉末混合物を圧縮する工程と、
iv.前記生ブリケットを回収する工程。
前記粉末混合物は、さらに、鉄ベースの化合物を含むことを特徴とし、前記鉄ベースの化合物の量は、前記組成物の重量に対して、Fe 2 O 3 当量として少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%であり、前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d 50 が100μm未満、好ましくは50μm未満、および径d 90 が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満を特徴とする非常に細かい粒度分布を有する。また、少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含む、前記少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、粒子径が90μm以下であり、前記粉末混合物の重量に対して少なくとも20重量%のCaO等価物を有するカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を含み、ローラープレスのローラー外面での線速度は、10〜100cm/s、好ましくは20〜80cm/s、線圧力が60〜160kN/cm、好ましくは80〜140kN/cm、さらにより好ましくは80〜120kN/cmである。
本発明の特定の実施形態において、前記粉末混合物は、前記組成物の重量に対して、最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88%、ある実施形態においては、最大60重量%のCaO+MgO等価物を含む。
任意には、本発明に係る方法において、工程iは、好ましくは、粉末状または濃縮懸濁液の状態の接合剤または潤滑剤の存在下で行われ、接合剤または潤滑剤はより詳細には、セメント、粘土、ケイ酸塩等の鉱物性の接合剤、セルロース、デンプン、ゴム、アルギン酸塩、ペクチン、膠等の植物性または動物性の接合剤、ポリマー、ワックス等の合成物質の接合剤、鉱物油またはシリコーン等の液状潤滑剤、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩からなる群から選択され、特には、カルシウムステアリン酸、マグネシウムステアリン酸およびそれらの混合物、好ましくは、カルシウムステアリン酸塩および/またはマグネシウムステアリン酸塩であり、前記ブリケットの総重量に対して、0.1〜1重量%、好ましくは0.15〜0.6重量%、より好ましくは0.2〜0.5重量%の含有量が含まれる。
CaO+MgO、およびFe2O3当量として表される重量%は、EN15309規格に記載されているようにX線蛍光観察(XRF)によって決定される。原子量が16(酸素)〜228(ウラニウム)である分子重量の相対濃度を決定するXRFによる半定量化学分析が、80μmまで粉砕してペレットに成形した試料で行われる。試料を、PANalytical/MagiX-Pro-PW2540装置に入れ、波長分散モードにおいて処理する。測定は、二重検出器を使用して、50kVおよび80mAの電力で実施される。
分析結果により、カルシウム、マグネシウム、および鉄の含有量が分かり、これらの測定により、CaOおよびMgOおよびFe2O3当量として表された重量が記録される。
本発明によると、既存の組成とは異なり、本発明に係るブリケットにおいて、一方では、形成された混合物が均質であることの影響により、他方では、非常に細かい粒度分布の酸化鉄の形態に存在する鉄ベースの化合物量の影響により、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物において90μm以下の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分が、前記の粉末混合物の重量に対して、少なくとも20重量%のCaO等価物をさらに含む影響と合わせることで、熱処理後、多量の酸化鉄がフェライトカルシウムに転化されたことが分かった。
しかしながら既知の組成物では、酸化鉄の粒度分布が大抵の場合粗いため適用されず、ブリケット化での成形プロセスにおいて鉄ベースの化合物を使用することに加え、混合物の流れ特性を劣化させ、プレスの供給が弱まるため、カルシウム−マグネシウム化合物の微粒子粉末を使用することは、従来技術の優れた慣習と相反していると当業者らは認知している。
本方法で使用される鉄ベースの化合物の粒度分布は、レーザー粒度分析により決定される。そのため測定は、光回折に基づいており、FraunhoferおよびMieの理論に従う。
特に、粒子は、球状で、通気性がなく、不透明であると見なされる。測定は、超音波を用いずにメタノール内でISO13320規格に従い実行される。
さらに、本発明によると、熱処理後または転炉内で十分な転化量を得ることを可能にするだけでなく、むしろ酸化鉄において細かい粒度分布が有効な粒度分布であることが、ブリケットの形態の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物とともに使用する際に酸化鉄が活性となるために、必要であることが実証された。
「鉄ベースの化合物」、「非常に細かい粒度分布の鉄ベースの化合物」という用語は、例えば、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満で、かつメジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満であることを特徴とする鉄ベースの化合物、好ましくは酸化鉄ベースの化合物を表す。そのため、酸化鉄を活性鉄と記載してもよく、これは、特に鉄ベースの化合物中に存在する酸化鉄の全量に対して、少なくとも40%の酸化鉄が、鉄ベースの化合物の粒子からなる周辺層に存在しており、前記周辺層は、3μmの膜厚で規定されている。これにより、熱処理時、またはそれ以外で転炉においてその場で直接的にフェライトに転化し得る、反応可能な酸化鉄の粒子の表面における酸化鉄の体積の画分が規定される。
本発明によると、鉄ベースの化合物は、鉄ベースの複数の化合物からなる混合物の形態であり、前記鉄ベースの複数の化合物の混合物が、1つ以上の酸化鉄を含み、順番に、前記鉄ベースの化合物の総重量に対して、活性酸化鉄を50重量%、好ましくは60重量%、より好ましくは70重量%を含むことができる。
ブリケットの形態の組成物における鉄ベースの混合物の粒度分布は、画像分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法およびX線マッピングによって決定される。
測定は、鉄ベースの化合物の粒子が高エネルギー照射(例えば、高密度電子ビーム)を受けた際に、所定のエネルギー(6.398keV)のX線を放出する鉄ベースの化合物の粒子の特性に基づく。前記放射線の検出を、観測された位置毎の電子ビームの正確な位置情報と重ね合わせることで鉄ベースの化合物の粒子を具体的にマッピングすることが可能になる。
特定された各粒子は、ISO13322-1規格で規定された、等価表面積(Xa、i)における粒子の直径で特定される。その結果、粒子は、粒子径の粒度分布画分によって分類される。
前記で言及した特定の条件では、本発明の意味において、前記割合の活性鉄は、鉄ベースの化合物の各粒子の周辺層にある。最外層は厚さが3μmである。従って、粒度分布画分ごと、つまり粒子径ごとに、周辺層における鉄の割合を以下の数式から計算可能である。
ここでVextは、鉄ベースの化合物の粒子の体積であり、Vintは、表面から3μmより遠くに位置する粒子のコアの体積である。つまり、半径が3μmだけ少ない球状粒子の体積に対応する。
粒子が完全に球であると見なすと、直径が6μmより大きい粒子において以下の数式が得られる。
ここでDextは、μmで表される粒子の直径で、つまりレーザー粒子分析上の粒子径である。
以下の数式は、直径が6μm未満の粒子に対して適用される。
そのため、本発明での意味における、活性鉄の全割合は、レーザー粒度分析によって得られた各粒子径の体積率を掛けた、活性鉄の割合について、全ての粒子径において足し合わせたものである。
その結果、本発明に係る方法によって製造されたブリケット内の鉄ベースの化合物が十分な活性酸化鉄を有するためには、活性鉄の割合は少なくとも40%でなければならない。
本発明によると、以上のように、細かい粒度分布だけでは不十分で、ブリケットにおける鉄ベースの化合物内に、予備熱処理時にまたは転炉でフェライトに十分に転化させることを可能にするだけの活性酸化鉄の割合を得ることが実際には必要である。
さらに、本発明に係る方法において、前記活性酸化鉄が、生ブリケットの総重量に対して、60重量%の高い含有量であっても、形成されたブリケットの機械強度に悪影響を与えないことが分かった。
さらに、高い含有量の酸化鉄を含む前記生ブリケットを形成することで、酸化鉄(Fe2O3)等のフラックスと同時に、必要とされるフェライトもブリケットに供給することができる。これは、生ブリケットがフェライトを直接的に含んでいなくても、フェライトが、例えばブリケットが使用されている転炉内で、直接的にその場で形成可能となるためである。
そのため、本発明に係る方法により、生ブリケットの組成が40重量%未満である酸化鉄に対して熱処理を行わない場合であっても、フラックスを添加することで、機械強度が強制的に弱まっていないカルシウム−マグネシウム化合物のブリケットを得ることができる。前記酸化鉄は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満で、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布である。さらに、前記抑制剤を添加しなくても、可撓性、および性能が優れている。
本発明における意味では、前記鉄ベースの化合物は1つ以上の鉄ベースの化合物から形成することができ、組成物における全含有量を合わせると、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%である。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記鉄ベースの化合物は、80μm以下、好ましくは60μm以下のd50を特徴とする粒度分布を有する。
本発明における意味では、特に記載されない限り、記号dxは、メタノール内で超音波を使用せずにレーザー粒度分析により測定された、測定された粒子のx体積%がそれ以下となる直径を表す。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の場合、特に生石灰の場合、粒度分布を測定する方法は、ふるいにより行われるものでレーザー回折によるものではない。
特定の実施形態では、本発明に係る方法は、さらに、900℃〜1200℃から構成される温度(好ましくは1050℃〜1200℃に含まれる温度、より好ましくは1100℃〜1200℃に含まれる温度から構成される温度)での前記生ブリケットの熱処理を含む。
熱処理は、好ましくは3〜20分間の間、好ましくは5分間以上、かつ15分間以下の所定時間で実施され、熱処理されたブリケットが形成および製造される。前記酸化鉄は、カルシウムフェライト(特に、モノカルシウムフェライトの形態)に転化する。つまり、熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と、少なくともカルシウムフェライトを含む鉄ベースの化合物とを含んでおり、前記少なくともカルシウムフェライトを含む鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量で、少なくとも3%、好ましくは少なくとも12%、より好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%の含有量でカルシウムフェライト少なくとも含む。
熱処理が、「多層」条件で実行される場合、つまりブリケットが、特定の厚さのブリケットの静止層の形態である場合、熱処理時間を長くすることが可能で、それにより熱がブリケットの層の中心に浸透することが理解され得る。1200℃以下の温度条件では、熱処理により、細孔容積と比表面積とがほとんど、ないしは全く変化することのない、カルシウム−マグネシウム化合物と、カルシウムフェライトを含む鉄ベースの化合物とを含む、熱処理されたブリケットを得ることができ、それによりブリケットの機械強度が向上する。別の表現では、ブリケットの焼結現象は、これらの温度では回避される。これらの比較的大きな細孔の特性により、金属精錬工程において、熱処理されたブリケットがスラグ内で素早く溶解可能となる。
このため、本発明に係る方法で得られたブリケットは、十分に多い量のカルシウムフェライトを有するだけでなく、シャッターテスト指数で表された特に興味深い機械強度を有することが分かった。
実際、本発明に係る方法のある実施形態では、熱処理されたブリケットは、シャッターテスト指数が8%未満、時には6%未満、4%未満、3%未満、さらには約2%である。
これは、本発明により、強度の高いブリケットを製造できたことで、損傷したブリケット、または輸送時の微粒子の生成による損失が著しく減り、鋼鉄作業場への輸送の間の微粒子の生成のため並びに鉄鋼作業場内での取り扱いおよび輸送のために、20%を超える生石灰の損失が大抵生じる、という既知のブリケットの欠点を克服可能となったことを意味する。
さらに別の特定の有利な実施形態では、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物であり、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物が好ましい。
実際、本発明に係る方法では、均質な混合物の形態で供給されたカルシウム−マグネシウム化合物自体に十分な反応性がある場合、熱処理後、鉄ベースの化合物を含む粘着性のブリケットを製造することができる。さらに、スラグを形成するための転炉で使用する際には、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物に十分に反応性があることが有利である。
生石灰等の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、シャフト炉(2重フロー再生炉、環状炉、標準シャフト炉等)、ロータリーキルン等の種々のタイプの炉で天然石灰石を焼くことで産業的に製造される。例えば、水と激しく反応するカルシウム−マグネシウム化合物(例えば、生石灰)の品質および品質の一貫性は、使用される炉の種類、炉の動作条件、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物自体に由来する石灰の特性、またはそれ以外の特性、および使用される燃料の量にある程度関係している。このため、例えば、水と反応が最も速い生石灰から遅い生石灰等の全ての範囲の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を製造することが理論的に可能である。
有利には、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、生石灰である。
一般的には、緩やかに焼く(900〜1000℃)ことにより生石灰を製造することで、ある程度反応性の高い石灰を得ることが可能である。それに対して、反応性の低い石灰の製造は、高温(1200〜1400℃)での過剰燃焼が必要とされる。生石灰の組織の成長の度合いがかなり速い熱領域内で焼成操作が行われるため、過剰燃焼により、大抵の場合、水との反応性において不安定な品質の生石灰の製造に繋がる。過剰燃焼された生石灰は、より高い温度での使用が必要となるため、低反応性の生石灰よりも製造にさらに莫大な費用が掛かる。それだけでもなく、もし専用の炉が使用されなければ、過剰燃焼された生石灰の製造が、より一般的に使用され、焼成条件の安定化の問題もなく、それゆえ、品質を安定化させるための課題もない、低反応性の生石灰の製造に取って代わるために製造業務を止めることに繋がる。
緩やかに焼くことによって得られた生石灰は、通常、少なくとも2時間、190℃で、真空下で脱気した後、窒素吸着圧力計によって測定し、ISO9277:2010E規格で記載されているようにマルチポイントBET法に従って計算した比表面積が、1m2/g超と計算される。一方、過剰燃焼された生石灰の比表面積は、通常、1m2/g未満である。
本発明における意味では、生石灰の反応性は、欧州規格EN459−2:2010Eの水反応性試験を用いて測定される。そのため、150gの生石灰を、20℃の脱イオン化された水600cm3を含む1.7dm3の円筒状デューワーに添加して撹拌する。生石灰は、0〜1mmのサイズの微粒子の形態で供給される。特定の撹拌翼を使用して、250rpmで撹拌される。温度変化は、時間の関数で測定され、反応性曲線をプロットすることができる。t60値は、60℃に達する時間であり、本曲線から見出すことができる。
焼ドロマイトの反応性は、同じ反応性試験を使用して測定される。この場合、120gの焼ドロマイトを、40℃の脱イオン化された水400cm3を含む1.7dm3の円筒状デューワーに添加して撹拌させる。焼ドロマイトは、0〜1mmの間のサイズの微粒子の形態で供給される。特定の撹拌翼を使用して、250rpmで撹拌される。温度変化は、時間の関数で測定され、反応性曲線をプロットすることができる。t70値は、70℃に達する時間であり、本曲線から見出すことができる。
本発明に係る組成物は、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物を含み、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物を含むことが好ましい。これは必然的に比較的反応性が高く、従って、反応性が高いブリケットを提供できる。
本発明によると、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物(好ましくは軟焼カルシウム−マグネシウム化合物)は、カルシウム−マグネシウム化合物が生石灰である場合は、t60値が10分間未満であることを特徴とする。t60は、好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、より好ましくは4分間未満である。カルシウム−マグネシウム化合物が焼ドロマイトである場合は、t70が10分間未満であることを特徴とする。t70は、好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、より好ましくは4分間未満である。
本発明に係る特定の実施形態の方法は、粉末混合物を供給する前記供給工程の前に、以下の工程を含む:
i.前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO当量の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、および、前記組成物の重量に対して、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%のFe2O3当量の鉄ベースの化合物を混合機に供給する工程(前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満であり、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布を有し、少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含む前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、90μm以下の粒子径であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を少なくとも含み、粉末混合物の重量に対して、CaO等価物を20重量%さらに含む)、および、
ii.前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物および前記鉄ベースの化合物のほぼ均質な粉末混合物を得るのに十分な所定の時間、前記鉄ベースの化合物と、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を混合する工程。前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物および前記鉄ベースの化合物のほぼ均質な粉末混合物を得るのに十分な所定の時間、前記鉄ベースの化合物と、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を混合する工程。
有利には、本発明に係る、90μm以下の粒子径であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分は、粉末混合物の重量に対して、最大60重量%のCaO等価物を含む。
より詳細には、本発明に係る方法は、接合剤または潤滑剤が、ローラープレスを供給する工程の段階において直接添加可能である。前記接合剤または潤滑剤は、混合器に添加され、前記接合剤または潤滑剤は、前記粉末混合物(好ましくは均質な粉末混合物)に含まれる。
本発明に係る別の特定の実施形態の方法では、前記カルシウム−マグネシウム化合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも10重量%の粉砕粒子の形態の生石灰を含む。
有利には、本発明に係るカルシウム−マグネシウム化合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、特に、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、有利には少なくとも90重量%、さらには100重量%の生石灰を粉砕粒子の形態で含む。
「粉砕粒子の形態の生石灰」は、生石灰を粉砕することで石灰石のサイズが小さくなることに伴い形成された石灰の微粒子を示している。粉砕工程は、炉および/または貯蔵庫に残されている未分類の材料を開始材料とするか、予めふるい分けされた、炉および/または貯蔵庫に残されている未分類の材料を開始材料とするかのいずれかにより実行可能である。粉砕工程は、種々のタイプの粉砕ミル(インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ダブルロールクラッシャー、コーンクラッシャー等)を使用して、開回路(再循環ループがない)、または閉回路(再循環ループがある)で実行可能である。
粉砕粒子の形態の生石灰(別名、粉石灰という)は、ふるい分けされた石灰とは異なる。ふるい分けされた石灰は、石灰のふるい分けにより生じる石灰の微粒子を意味する。粒度分布は、ふるいのサイズで規定される。例えば、3mmのふるいを通過する石灰は、0から3mmでふるい分けされた石灰をもたらす。そのため、炉から取り出した未分類の材料をふるい分けする工程は、「第1の」ふるい分けされた石灰をもたらす。貯蔵用鉱舎から取り出した未分類の材料をふるい分けする工程は、「第2の」ふるい分けされた石灰をもたらす。
本発明における意味では、粉砕粒子の形態の生石灰は、ふるい分け後の石灰の微粒子よりもさらに非常に細かい粒子を一様に含む石灰の微粒子を意味する。そのため、例として、0から3mmの微粒子であれば、粉砕粒子の形態の生石灰の微粒子は、通常、100μm以下の非常に微細な微粒子を少なくとも30重量%、大抵の場合少なくとも40重量%、さらに、少なくとも50重量%含み得る。一方、ふるい分けされた石灰粒子は、大抵の場合、100μm以下の非常に細かい微粒子を最大25重量%、さらに最大15重量%含み得る。
粉砕石灰の微粒子の化学組成は、通常、ふるい分けされた石灰の微粒子の化学組成より、一層均一である。そのため、石炭(亜炭、硬質炭、無煙炭等)、またはそれ以外の石油コークス等の灰を生成する燃料を使用して焼成された10〜50mmの石灰石を考慮し、石灰石の粉砕またはふるい分けによって形成された0〜3mmの微粒子を規定する場合、粉砕によって形成された0〜3mmの微粒子中の0〜200μmの画分は、200μm〜3mmの画分と同様の化学特性である。一方、ふるい分けで形成された0〜3mmの微粒子の画分は、200μm〜3mmの画分よりも、不純物を多く含む。
粉砕石灰の微粒子は、通常、ふるい分けされた石灰の微粒子よりも反応性が高い。そのため、軟焼生石灰において、0〜3mmの微粒子の水との反応性を(EN459規格で)測定した場合、粉砕により形成された微粒子は、通常、5分間未満のt60値となり、一方、第1のふるい分けから形成された微粒子は、大抵5分間超のt60値となる。
実際、驚異的に、現時点において原因の説明が可能でないのだが、ブリケットの重量に対して、少なくとも10重量%の濃度の粉砕粒子の形態の生石灰を添加することで、より優れた落下強度を得ることが可能である。10重量%の限定された含有量で、著しく向上した機械強度を得ることが可能となるが、粉砕粒子の量を100重量%まで上げることも可能である。
さらに詳細には、粉砕粒子の形態の前記生石灰は、軟焼生石灰または半焼生石灰であり、好ましくは軟焼生石灰がよく、粉末の形態の前記生石灰はt60値が10分間未満であることを特徴とし、好ましくは8分間未満がよく、好ましくは6分間未満がよく、より好ましくは4分間未満である。
本発明に係る方法の好ましい実施形態は、調製雰囲気に対して、少なくとも2体積%のCO2、最大30体積%のCO2、好ましくは最大25体積%のCO2、好ましくは最大20体積%、より好ましくは最大15体積%のCO2、さらにより好ましくは最大10体積%のCO2を含む調製雰囲気下でブリケットを前処理する工程をさらに含む。
本発明により、調製雰囲気に対して、前記CO2%を含む前記調製雰囲気下で前処理を行うことで、ブリケットの機械強度を高めることができることが実際に確認された。
本発明の有利な変形例では、前記粉末混合物は、粉末混合物の総重量に対して、粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10%未満含む。
このため、本発明に係る方法で得られたブリケットは、相対粒子径の均一性が高い。つまり、ブリケットが切断された際に、体積の主な画分が粒状組成となっている。そのため、カルシウム−マグネシウム化合物、後者におけるカルシウム成分、鉄ベースの化合物の生ブリケット内の初期量に応じた、例えば、生石灰、任意選択的に酸化鉄等の鉄ベースの化合物等のカルシウムフェライト、カルシウム−マグネシウム化合物により形成される連続層を観察可能である。
前述の違いは、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法を用いて、本発明に係るブリケットの断面に基づき、明確にされる。これにより、当初は三次元の対象物(ブリケット)を二次元(前記断面の表面)で視覚化することが可能となるだけでなく、ブリケットを構成する粒子もまた二次元化できる。そのため、カルシウム−マグネシウム化合物の粒子もまた、断面において二次元で表示される。三次元において粒子が球に近似され、近似球の直径としてサイズ(「三次元」サイズ)を決定することが慣例であるように、本発明において粒子の切断面を、近似円盤とでき、「二次元」サイズもこの円盤の近似直径とできる。より正確には、カルシウムフェライトの連続マトリクス中に分散された「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子ごとに、切断面の最小寸法と最大寸法との合計を2で割った値を求めるプログラムを用いて二次元サイズを計算する。この合計値を2で割った値は、近似円盤の直径を表す。
この意味において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子は、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが63μm未満である場合、カルシウム−フェライトの前記マトリクス(連続層)において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が溶融したり、融合したりしているものと見なされる。
この意味において、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子は、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが63μm未満である場合、カルシウム−フェライトの前記マトリクス(連続層)において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が溶融したり、融合したりしているものと見なされる。
さらに、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子は、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが、63μm超である場合、カルシウム−フェライトの前記マトリクスにおいて、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子の含有量は、前記断面の面積の少なくとも20%に及ぶと見なされる。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が、ブリケットの断面におけるエネルギー分散分析を備えた走査電子顕微鏡によって観察できる二次元サイズが、63μm超で、ブリケットの断面にある「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子が20%未満におよび、特に前記断面の表面積の10%未満に及ぶ場合、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の真の含有物は存在しないが、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物のいくつかの粒子は、時折、ブリケットの不完全な製造工程、特に熱処理の結果、思いがけず存在している。
そのため「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の含有物が有効に存在しないカルシウムフェライトのブリケットは、鉄鋼冶金上、スラグ形成を迅速化させるために溶融金属の精錬工程のための転炉で特に使用可能である。そのため前記ブリケットは、スラグの形成を加速させ、スラグの流動性を増加させるという利点を確かに提供できる。
しかしながら、カルシウムフェライト自体は、溶融金属を精錬することができない、すなわち、不純物を捕捉してしまう。カルシウム−マグネシウム化合物、特に生石灰だけがこの機能を提供できる。そのため、生石灰(生石灰の塊状またはブリケット)等を本発明に係るカルシウムフェライトに基づくブリケットと同時に添加可能である。
本発明の別の有利な変形例として、前記粉末混合物は、粉末混合物の総重量に対して、粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10〜60%含む。
本発明の有利な代替案は、上述のように、カルシウムフェライトの連続層(マトリクス)内に分散させた「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、特には生石灰の含有物を提供することである。実際、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、カルシウムフェライトのスラグ形成が速くなる場所でその場で利用することができ、フラックスとして機能し、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を即時に作用させることができる。
本方法の有利な変形例として、本発明に係る熱処理されたブリケットを切断すると、断面平面に、カルシウム−マグネシウム化合物および/または生石灰が散らばって含まれており、生石灰の形態における後者にカルシウムフェライトを形成するための反応をさせないようにでき、生石灰の形態のまま、例えば、製鋼におけるスラグ形成等のために使用可能である。カルシウム−マグネシウム化合物の前記含有量は、本発明に係る熱処理されたブリケットにおける断面について上述したように、多少重要となることもある。
より詳細には、本発明に係る方法では、少なくとも1つの鉄ベースの化合物は、粉末混合物の総重量に対して、20重量%以上のFe2O3当量で存在する。
鉄ベースの化合物の含有量、より詳細には、非常に細かい粒度分布を有する酸化鉄の含有量は、粉末混合物の重量に対して、少なくとも20重量%である。非常に細かい粒子(d30<90μm)の形態のカルシウム−マグネシウム化合物におけるCaOの量が少なくとも20重量%である場合、カルシウムフェライトの形成が迅速化するだけでなく、酸化鉄からカルシウムフェライトへの転化率が約90%となる。さらに、特に、CaOとFe2O3当量での量がつり合っている場合、モノカルシウムフェライトとジカルシウムフェライトとの間のつり合いがジカルシウムフェライト側に移る。需要と供給に基づいて、モノカルシウムフェライトの割合に対するジカルシウムフェライトの割合を制御可能であることが興味深いことになり得ることが実際に明らかとなってきた。
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、90μm未満の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%、および、非常に細かい粒子径を有する前記鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO等価物の重量%は、30%以上、好ましくは32%以上、好ましくは34%以上、ある程度特に好ましくは36%以上である。
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、90μm未満の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%、および、非常に細かい粒子径を有する前記鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO等価物の重量%は、40%未満、好ましくは38%未満、より好ましくは36%未満で、20%超、ある程度特に好ましくは36%超である。
有利なことに、前記生石灰粒子の総重量%に対して、粒子径が90μm未満の前記生石灰粒子の重量%を調節すること、および本発明に係る方法で使用される非常に細かい粒度分布を有する酸化鉄の固有の特性に従うことで、ブリケットの熱処理の間に、モノカルシウムフェライトとジカルシウムフェライトとの間の比に影響を及ぼし制御できることが実際に分かった。
90μm未満の粒子径を有するカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%および非常に細かい粒度分布を有する前記鉄ベースの化合物のFe2O3当量で表された重量%に対して、粒子径が90μm未満の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO当量で表された重量%は、30%以上であり、好ましくは32%以上であり、より好ましくは34%以上であり、ある程度特に好ましくは36%以上の場合、ブリケットの熱処理により、ジカルシウムフェライト(Ca2Fe2O5)の形成をさらに迅速化させることになる。
このことは、条件として:
P1は、ブリケット化を目的とする粉末混合物における、粒子径が90μm未満である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の%(粒子径が90μm未満のカルシウム−マグネシウム化合物の割合)を表し、
P2は、ブリケット化を目的とする粉末混合物における、粒子径が90μm超である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の%を表し、
P3は、ブリケット化を目的とする粉末混合物における鉄ベースの化合物の%を表し、
C1は、粒子径が90μm未満の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子におけるCaO当量で表された%を表し、
C2は、粒子径が90μm超の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子におけるCaO当量で表された%を表し、
C3は、鉄ベースの化合物におけるFe2O3当量で表された%を表すとき、
重量比「P1/(P1+P3)」は、モノカルシウムフェライトまたはジカルシウムフェライトのいずれかを優先的に形成するために制御されなければならない重要なパラメータで、より一般的には、重量比「P1.C1/(P1.C1+P3.C3)」が、モノカルシウムフェライトまたは他のジカルシウムフェライトのいずれかを優先的に形成することを可能にするパラメータの1つであることを意味する。
この場合、前記熱処理は、1100℃以上の温度、好ましくは1150℃以上の温度、特により好ましくは1200℃以上の温度、好ましくは、(熱処理の所定の時間)/(熱処理温度−1000℃)>5の式に従う熱処理であることが好ましい。
P2を表す%は、63μm超の二次元サイズの粒子を有する「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含む、もしくは含まないブリケットを成形するために制御されなければならない重要なパラメータであることを意味する。
他の好ましい実施形態において、鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、磁鉄鉱Fe3O4の形態の酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、特にある程度は95重量%より多く含む。
本発明に係るプロセスの他の好ましい実施形態において、粒子径が90μm未満の前記生石灰粒子の重量%およびまたは鉄ベースの化合物の重量%は、熱処理の間にモノカルシウムフェライトの形成に影響するため、40%未満、好ましくは38%未満、より好ましくは36%未満であり、20%超、好ましくは22%超、好ましくは24%である。
この場合、前記熱処理は、1150℃以下(好ましくは1100℃以下、より好ましくは900℃以上、好ましくは以下の関係による温度)の温度での熱処理であり、この温度は、さらにモノカルシウムフェライトの形成を促進する。
(所定の時間)/(熱処理温度−1000℃)>5
他の好ましい実施形態において、鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、赤鉄鉱Fe2O3の形態における酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、ある程度特には95重量%より多く含む。
本発明に係る方法の別の実施形態は、添付の特許請求の範囲で示される。
本発明は、少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と鉄ベースの化合物とを備える生ブリケットの形態の組成物にも関する。前記組成物が、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含み、Ca/Mgモル比は1以上であって、好ましくは2以上がよく、より好ましくは3以上であることを特徴とし、前記鉄ベースの化合物は、前記組成物の重量に対して、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、ある程度好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%のFe2O3等価物を含むことを特徴とし、前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布を有する。少なくとも40重量%のCaO+MgO等価物を含む前記少なくとも1つの「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、前記組成物の重量に対して、CaO当量で、少なくとも20重量%である90μm以下の粒子径のカルシウム−マグネシウム化合物の粒子の画分を含み、前記組成物は、酸化鉄の含有量が40%未満の場合にシャッターテスト指数20%以下であり、驚くべきことに、これは、細かい粒子の量が多くとも同等である。
40%未満の鉄ベースの化合物を含有する、生ブリケットについて、シャッターテストによって評価された前記機械強度は、これらの生ブリケットが、本発明の一実施形態に従い、前記ブリケットが繰り返し落下することになる回転炉内で後に熱処理されるため、特に興味深い。
本発明における意味では、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、1つ以上の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含む。
「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、生石灰(カルシウム石灰)、マグネシウム石灰、ドロマイト生石灰、焼成ドロマイトおよびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、粒子の形態(ふるい分け、粉砕により形成された粒子、濾過したダストおよびそれらの混合物等)がよい。前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物はそのため、ブリケットの形態の組成物のカルシウム−マグネシウム成分であると見なすことができ、後者は、別の化合物を含むこともできる。
本発明の特定の実施形態において、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、前記組成物の重量に対して、最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88%、ある実施形態においては、最大60重量%のCaO+MgO等価物を含む。
好ましい実施形態では、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、組成物の総重量に対して、粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10%未満含む。
別の好ましい実施形態として、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、組成物の総重量に対して粒子径が90μm以上、かつ5mm以下である「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を10〜60%含む。
有利に、粒子径が90μm未満のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%および非常に細かい粒度分布の鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径である、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO当量の重量%は、30%以上、好ましくは32%以上、より好ましくは34%以上で、ある程度特に好ましくは36%以上である。
さらに有利には、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、磁鉄鉱Fe3O4の形態の酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、特にある程度は95重量%より多く含む。
他の有利な実施形態では、粒子径が90μm未満のカルシウム−マグネシウム化合物の画分における生石灰の総重量%および非常に細かい粒度分布の鉄ベースの化合物のFe2O3当量の%に対する、90μm未満の粒子径である、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の画分におけるCaO当量の重量%は、40%未満、好ましくは38%未満、より好ましくは36%未満である。
さらに、有利には、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物は、Fe2O3当量として表された鉄ベースの化合物の総重量に対して、赤鉄鉱Fe2O3の形態における酸化鉄を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、ある程度特には95重量%より多く含む。
本発明は、少なくとも1つの鉄ベースの化合物を含む熱処理されたブリケットの形態における組成物にも関する。前記組成物は、前記組成物の重量に対して、CaO+MgOを当量として、少なくとも40重量%の含有量を含み、Ca/Mgモル比は1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、前記鉄ベースの化合物は、前記組成物の重量に対して、Fe2O3当量が、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%である。前記鉄ベースの化合物は、Fe2O3当量として表された重量で示された前記鉄ベースの化合物の総重量に対して、Fe2O3当量として表された重量で示されたカルシウムフェライトを少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%含む。
カルシウムフェライトは、式:CaFe2O4(モノカルシウムフェライト)および/またはCa2Fe2O5(ジカルシウムフェライト)で表される。
本発明の特定の実施形態において、前記粉末混合物は、前記組成物の重量に対して、最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88%、ある実施形態においては、最大60重量%のCaO+MgO等価物を含む。
本発明の特定の実施形態において、組成物が熱処理されたブリケットの形態にあるとき、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、前記組成物の総重量に対して、少なくとも10重量%、好ましくは20重量%、より好ましくは30重量%、ある程度より好ましくは40重量%のCaO+MgO等価物を含む。
好ましくは、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、生のブリケットの形態であっても、熱処理されたブリケットの形態であっても、前記「カルシウム−マグネシウム」の総重量に対して0重量%〜90重量%の濃度の、前記カルシウム−マグネシウム化合物の礫の製造での選別において不合格であった微粒子(フィルターからのカルシウム−マグネシウムダスト)および、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の総重量に対して10〜100重量%の粉砕粒子の形態の生石灰を含む。
好ましくは、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は0〜100重量%の、前記カルシウム−マグネシウム化合物の礫を粉砕した粒子の形態の生石灰を含む。
本発明の好ましい変形例において、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、当該カルシウム−マグネシウム化合物の総重量に対して、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の礫の製造での選別において不合格であった微粒子を0〜90重量%、粉砕粒子の形態の生石灰を10〜100重量%含む。
有利には、生ブリケットまたは熱処理されたブリケットにおいて、粉砕粒子の形態の前記生石灰は、前記組成物の重量に対して、少なくとも15重量%(特に、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%)の濃度で存在している。
より詳細には、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記カルシウム−マグネシウム化合物は、軟焼カルシウム−マグネシウム化合物または半焼カルシウム−マグネシウム化合物であり、好ましくは軟焼カルシウム−マグネシウム化合物である。
粉砕粒子の形態の生石灰が存在するとき、粉砕粒子の形態の前記生石灰は、軟焼生石灰または半焼生石灰であり、好ましくは軟焼生石灰である。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であるとき、前記組成物は、BET比表面積が1m2/g以上(好ましくは1.2m2/g以上、より好ましくは1.4m2/g以上)である。
有利には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であるとき、前記組成物は、気孔率が20%以上(好ましくは22%以上、より好ましくは24%以上)である。
用語「ブリケットの形態の組成物の気孔率」は、本発明の意味において、ISO規格15901-1:2005Eの第1部に従い、水銀圧入細孔分析法を用いて決定される、水銀法による全細孔容積を意味する。当該方法は、30000psiaで測定される骨格密度と0.51psiaで測定される見かけの密度との差を骨格密度で割ることから構成される。
代わりに、気孔率を石油圧入細孔分析法により測定してもよい。前記ブリケットの密度および気孔率は、EN ISO 5017規格に基づく測定プロトコールに従い、石油圧入法により決定される。測定は5個のブリケットにおいて行われる。
前記ブリケットの密度は、式m1/(m3−m2)×Dpに従い算出され、気孔率(%)は、式(m3−m1)/(m3−m2)×100に従い算出される。
m1は5個のブリケットの重量であり、m2は石油に浸した5個のブリケットの重量であり、m3は5個の「湿った」ブリケット(すなわち、石油を含浸させたブリケット)の重量である。Dpは石油の密度である。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であり、前記カルシウム−マグネシウム化合物が主に生石灰であるとき、当該組成物の反応性のt60値は10分間未満(好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、さらにより好ましくは4分間未満)である。前記組成物中の鉄ベースの化合物の含有量を考慮すると、添加された生石灰150gと当量にするため、反応性試験では、150gよりやや多い前記組成物を加える。
有利には、本発明によると、前記組成物が生ブリケットの形態であり、前記カルシウム−マグネシウム化合物が主に焼ドロマイトであるとき、当該組成物の反応性の値t70は10分間未満(好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、さらにより好ましくは4分間未満)である。前記組成物中の鉄ベースの化合物の含有量を考慮すると、添加された焼ドロマイト120gと当量にするため、反応性試験では、120gよりやや多い前記組成物を加える。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が熱処理されたブリケットの形態であるとき、当該組成物のBET比表面積は0.4m2/g以上(好ましくは0.6m2/g以上、より好ましくは0.8m2/g以上)である。
有利には、本発明によると、前記組成物が熱処理されたブリケットの形態であるとき、前記組成物は、気孔率が20%以上(好ましくは22%以上、より好ましくは24%以上)である。
より詳細には、本発明によると、前記組成物が熱処理されたブリケットの形態であり、前記カルシウム−マグネシウム化合物が主に生石灰であるとき、当該組成物のt60値は10分間未満(好ましくは8分間未満、好ましくは6分間未満、さらにより好ましくは4分間未満)である。前記組成物中の鉄ベースの化合物の含有量を考慮すると、添加された「未反応の」生石灰150gと当量にするため、反応性試験では、150gよりやや多い前記組成物を加える。「未反応の」生石灰は、酸化鉄と未反応であり、カルシウムフェライト(CaFe2O4および/またはCa2Fe2O5)を生じさせる生石灰を意味する。
本発明の好ましい実施形態において、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、7mm未満の粒子から形成される。代わりに、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、5mm未満の粒子から形成される。本発明に係る他の変形例において、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、3mm未満の粒子から形成される。
本発明のさらなる他の変形例において、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、7mm未満の粒子および/または5mm未満の粒子および/または3mm未満の粒子の混合物である。
本発明の一実施形態において、生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態の前記組成物は、接合剤または潤滑剤(より好ましくは、鉱物由来の接合剤(例えば、セメント、粘土、ケイ酸塩)、植物由来または動物由来の接合剤(例えば、セルロース、デンプン、ゴム、アルギン酸塩、ペクチン、膠)、合成物質由来の接合剤(例えば、ポリマー、ワックス)、液状潤滑剤(例えば、鉱物油またはシリコーン)、固形潤滑剤(例えば、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩)からなる群から選択され、特に、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムおよびこれらの混合物、好ましくはステアリン酸カルシウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムである)を、前記ブリケットの総重量に対して、0.1〜1重量%(好ましくは0.15〜0.6重量%、より好ましくは0.2〜0.5重量%)さらに含んでいる。
本発明に係る組成物は、工業的量で製造され、1m3以上の内容体積の種々の容器(例えば、大きな袋、容器、サイロ等)に包装(好ましくは密封)された生ブリケットまたは熱処理されたブリケットの組成物である。
有利には、生ブリケットの形態の組成物のブリケットは、酸化鉄の含有量が当該組成物の20重量%未満のとき、シャッターテスト指数が10%未満である。
有利には、熱処理されたブリケットの形態の組成物のブリケットは、鉄ベースの化合物の含有量に関わらず、シャッターテスト指数が8%未満(より詳細には6%未満)である。
有利には、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、当該ブリケットは、最大寸法が最大50mm(好ましくは最大40mm、より好ましくは最大30mm)である。これは、ブリケットの形態の前記組成物のブリケットが、幅がそれぞれ50mm(好ましくは40mm、特に30mm)の正方形のメッシュを有するふるいを通過することを意味する。
好ましくは、前記生ブリケットまたは熱処理されたブリケットは、最大寸法が少なくとも10mm(好ましくは少なくとも15mm、より好ましくは少なくとも20mm)である。
用語「最大寸法」は、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットの最大の固有寸法を意味する。(好ましくは、長楕円形のブリケットの長手方向における)直径、全長、幅、厚さのいずれかである。
好ましくは、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、「生の」ドロマイトである。
代わりに、前記組成物が生ブリケットの形態または熱処理されたブリケットの形態のいずれであっても、前記少なくとも1つのカルシウム−マグネシウム化合物は、生石灰である。
有利には、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットは、ブリケットあたりの平均重量が少なくとも5g(好ましくは少なくとも10g、より好ましくは少なくとも12g、特に少なくとも15g)である。
本発明によると、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットは、ブリケットあたりの平均重量が100g以下(好ましくは60g以下、より好ましくは40g以下、特に30g以下)である。
有利には、前記生ブリケットまたは前記熱処理されたブリケットは、見かけ密度が2g/cm3〜3.0g/cm3(有利には2.2g/cm3〜2.8g/cm3)である。
他の好ましい実施形態において、本発明に係る熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子(好ましくは、前記ブリケットの断面において、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法により観察できる二次元サイズが63μm超、5mm未満であり、前記断面の面積の最大20%(好ましくは最大10%)に及ぶ「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子)をさらに含む。
より詳細には、本発明によると、熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子(好ましくは、前記ブリケットの断面において、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法により観察できる二次元サイズが63μm超、5mm未満であり、前記断面の面積の少なくとも20%(好ましくは最大60%)に及ぶ「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子)をさらに含む。
有利には、本発明に係る熱処理されたブリケットは、熱処理されたブリケットの形態の前記組成物の重量に対して少なくとも20重量%のカルシウムフェライトを含む。当該カルシウムフェライトは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子を分散させるマトリクスを形成している。
前記マトリクスは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の粒子(特に生石灰)を分散させる、カルシウムフェライトに基づく連続相であると理解される。「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子のサイズが小さく、カルシウムフェライトに基づくマトリクス中に明らかに溶解する場合と、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子がより大きなサイズであり、前記マトリクス中での「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の含有物として観察される場合とで、違いが生じる。
前述の違いは、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法を用いて、本発明に係るブリケットの断面に基づき、明確にされる。これにより、当初は三次元である対象(ブリケット)の二次元(前記断面の表面)で、さらにブリケットを構成する粒子の二次元で可視化できる。このように、カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子を断面平面において二次元でも観察する。三次元において粒子が球に近似され、近似球の直径としてサイズ(「三次元」サイズ)を決定することが慣例であるように、本発明において、前記粒子の切断表面は近似円盤に近似され、「二次元」サイズは、この円盤の近似直径として決定される。より正確には、二次元サイズは、カルシウムフェライトの連続マトリクスに分散した「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の各粒子について、切断面の最小寸法と最大寸法との合計を2で割った値を検出するプログラムを用いて計測される。2で割った合計は、近似円盤の直径を表している。
この意味において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の前記粒子は、前記ブリケットの断面において、エネルギー分散分析を組み合わせた走査電子顕微鏡法により観察できる二次元サイズが63μm未満であるとき、カルシウムフェライトの前記マトリクス(連続相)中に溶解するか、融合されると考えられる。
より詳細には、本発明に係る熱処理されたブリケットは、少なくとも40重量%(好ましくは少なくとも50重量%)のカルシウムフェライトを、モノカルシウムフェライトCaFe2O4の形態で含んでいる。
有利に、本発明に係る熱処理されたブリケットは、少なくとも40重量%(好ましくは少なくとも50重量%)の、カルシウムフェライトを、ジカルシウムフェライトCa2Fe2O5の形態で含んでいる。
本発明に係る生ブリケットの形態の組成物、または、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に提示されている。
また、本発明は、(特に酸素転換炉またはアーク炉での)鉄鋼冶金における、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物、または、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物の使用に関する。
より詳細には、本発明に係る生ブリケット、または、本発明に係る熱処理されたブリケットは、酸素転換炉またはアーク炉において、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物のブリケットまたは「生の」カルシウム−マグネシウム化合物の礫と混合することに使用される。
実際、従来の方法では、精錬プロセスの最初の時間において、脱リン化の反応を効率的に開始させるため、反応容器において不十分な利用可能なスラグが存在している。本発明に係る組成物の使用、すなわち、フラックス(石灰石よりも速く溶解する)でのドープ処理によって、従来の方法と比較して、プロセスの開始時により速く液状スラグを形成させることができる。均質化された混合物の均質な混合および形成により、スラグ形成プロセスをさらにより加速し、高い融点のスラグ(例えば、上述の従来の方法で通常形成されるケイ酸カルシウム)の形成を最小化することができる。
また、本発明は、(特に、溶融金属の脱リン化および/または溶融金属の脱硫化および/または前記スラグにおける精錬金属の損失削減のための)溶融金属を精錬するプロセスにおける、生ブリケットの形態の組成物または熱処理されたブリケットの形態の組成物の使用に関する。
溶融金属を精錬するプロセスにおける、本発明に係る生ブリケットの形態の組成物または熱処理されたブリケットの形態の組成物の使用は、
高温金属および任意に鉄ベースのくずを容器に導入する少なくとも1つの工程、
本発明に係る生ブリケットの形態の組成物、または、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物(好ましくは、本発明に係る熱処理されたブリケットの形態の組成物)を前記容器に導入する少なくとも1つの工程、
前記容器に酸素を吹き入れる少なくとも1つの工程、
前記容器において、ブリケットの前記組成物とともにスラグを形成する少なくとも1つの工程、
脱リン化および/または脱硫化によって高温金属から、リン化合物および/または硫黄化合物の含有量が低減した精錬金属、および/または精錬金属の含有量が増加した精錬金属を得る少なくとも1つの工程、並びに、
リン含有成分および/または硫黄含有成分の含有量が低減した前記精錬金属、および/または精錬金属の含有量が増加した前記精錬金属を排出する少なくとも1つの工程、を含む。
本発明に係る使用は、生石灰(好ましくは生石灰塊または生石灰成形体(特に、生石灰タブレットまたはブリケット))を加える工程をさらに含む。
本発明に係る使用の他の形態は、添付の特許請求の範囲に提示されている。
その他の本発明の特徴、詳細、および利点を、以下に記載された、実施例および図を用いた詳細な説明によって明らかにする。ただし、本発明はこれに限定されない。
図1は、本発明に係るブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、BET比表面積および石油圧入気孔率のグラフである。
図2は、本発明に係る熱処理されたブリケットおよび生ブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、シャッターテスト指数(STI)のグラフである。
図3は、本発明に係る熱処理されたブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、カルシウムフェライトに変化したFe2O3の割合(%)のグラフである。
図4は、熱処理前の生ブリケット中のFe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、熱処理されたブリケット中のFe2O3当量で表されるカルシウムフェライトの含有量の変化を表すグラフである。
図5は、実施例9〜16におけるブリケットの断面の画像を示す。
本発明は、カルシウム−マグネシウム化合物および鉄ベースの化合物の微粒子をブリケット化する方法に関する。前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満、および、径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする、非常に細かい粒度分布を有する。
本発明に係るブリケット化の方法は、前記組成物の重量に対して、少なくとも40重量%のCaO+MgO当量の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物を含み、かつ、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物を少なくとも3重量%(好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%)含む、ほぼ均質な粉末混合物を供給することを含む。ここで、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物は、CaO+MgO等価物を少なくとも40重量%含んでおり、さらに、粒子径が90μm以下であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を少なくとも含む。また、前記鉄ベースの化合物は、前記粉末混合物の重量に対して、さらに、CaO等価物を少なくとも20重量%含む。
本発明の特定の実施形態において、前記粉末混合物は、前記組成物の重量に対して、CaO+MgO等価物を最大97重量%、好ましくは最大90重量%、好ましくは最大88重量%、ある実施形態においては最大60重量%含む。
鉄ベースの化合物が均一に分布している均質な混合物を、ローラープレス(ときに接線プレスとも称される)へ供給する。前記ローラープレスとして、例えば、Komarek, Sahut Konreur, Hosokawa BepexまたはKoppern等のプレスが挙げられる。前記ローラープレス中で、ほぼ均質な粉末混合物を圧縮する。前記圧縮は、適宜、接合剤または潤滑剤の存在下で行われる。より具体的には、前記接合剤または前記潤滑剤は、セメント、粘土、ケイ酸塩等の鉱物由来の接合剤、セルロース、デンプン、ゴム、アルギン酸塩、ペクチン、膠等の植物由来または動物由来の接合剤、ポリマー、ワックス等の合成物質由来の接合剤、鉱物油またはシリコーン等の液状潤滑剤、タルク、グラファイト、パラフィン、ステアリン酸塩等の固形潤滑剤からなる群より選択される。具体的には、前記ステアリン酸塩が、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、およびそれらの混合物、好ましくはステアリン酸カルシウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される。前記接合剤または潤滑剤の含有量は、前記ブリケットの総重量に対して、0.1〜1重量%であり、好ましくは0.15〜0.6重量%であり、より好ましくは0.2〜0.5重量%である。
稼働中の、前記ローラープレスのローラー外面における線速度は、10〜100cm/s、好ましくは20〜80cm/sであり、ローラープレスのローラーの線圧力は60〜160kN/cm、好ましくは80〜140kN/cm、より好ましくは80〜120kN/cmである。
線圧力がフープの表面に作用するときの1/2の角度であるとみなすことで、表面圧力を計算できる。前記表面圧力は、線圧力を(1/2・π・D)/360で割った値に等しい。ここでDは、フープの直径(cm)である。前記表面圧力は、300〜500MPaであり、好ましくは300〜450MPaであり、より好ましくは350〜450MPaである。
圧縮後、カルシウム−マグネシウム組成物が生ブリケットの形態で得られ、これらを回収する。
本発明に係る方法の好ましい一実施形態において、回収された生ブリケットは、900〜1200℃、好ましくは1050℃〜1200℃、より好ましくは1100℃〜1200℃の温度で熱処理される。前記熱処理を、好ましくは3〜20分間のうち所定の時間行い、熱処理されたブリケットを得る。前記熱処理されたブリケットにおいて、前記酸化鉄がカルシウムフェライトに変化する。すなわち、前記熱処理されたブリケットは、「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、およびカルシウムフェライト化合物をFe2O3当量で少なくとも3%、好ましくは少なくとも12%、より好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%含有している。
本発明の一実施形態において、前記生ブリケットの熱処理を高温の回転炉内にて行う。好ましくは、酸化鉄含有量が40%未満のブリケットの熱処理のために前記回転炉を使用する。
または、前記熱処理を、例えば、トンネル炉、貫通型炉、車型炉、ローラー炉またはメッシュベルト炉等の横型炉内にて行う。変形例として、例えば、過度に摩擦が生じる等、炉内の詰め込み具合に変化を生じさせないのであれば、従来の炉のどんな種類を使用してもよい。
冷却を、炉の下流部、または炉の外で、従来の方法で行ってもよい。例えば、クエンチの場合、冷気の逆流による縦型冷却器、冷気を用いた流動層冷却器において冷却する。
特定の実施形態において、熱処理の最後に行われる冷却は、15分間未満、好ましくは10分間未満、冷気を用いた流動層冷却器内で素早く行われる。
本発明に係る好ましい一実施形態において、前記方法は、前述の均質な粉末混合物を供給する前に、以下の工程を含む;
i.粉末混合器に、少なくとも40重量%CaO+MgO当量の「生の」カルシウム−マグネシウム化合物、および、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%のFe2O3当量で表される鉄ベースの化合物(前記鉄ベースの化合物は、メジアン径d50が100μm未満、好ましくは50μm未満、および径d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは130μm未満、より好ましくは100μm未満であることを特徴とする非常に細かい粒度分布を有する)を供給する工程(ここで、前記生のカルシウム−マグネシウム化合物は、CaO+MgO等価物を少なくとも40重量%含んでおり、さらに、粒子径90μm以下であるカルシウム−マグネシウム化合物の粒子画分を少なくとも含む。また、前記鉄ベースの化合物は、さらに、粉末混合物の重量に対して、CaO等価物を20重量%以上含む。)、および、
ii.前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物と、前記鉄ベースの化合物とを、前記「生の」カルシウム−マグネシウム化合物および前記鉄ベースの化合物のほぼ均質な粉末混合物を得るのに十分な、所定の時間混合する工程。
本発明の変形例として、カルシウム−マグネシウム化合物は、前記カルシウム−マグネシウム化合物の総重量に対して、粉砕した生石灰の粒子を少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、および最大100重量%含む。
「生」ブリケットは、生石灰(任意にドロマイト)および酸化鉄の超微粒子をベースとする。前記「生」ブリケットは、Fe2O3当量で表される鉄を、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%含むことを特徴とする。また、前記生ブリケットは、CaOおよびMgO当量で表されるカルシウムおよびマグネシウムを、少なくとも40重量%含むことを特徴とする。化学分析を、EN15309規格に従って、X線蛍光分光法(XRF)によって行う。
原子量が16(酸素)〜228(ウラニウム)である元素の重量によって相対濃度を測定するための、XRFによる半定量化学分析を、80μmまで粉砕してペレットに成形した試料から行う。前記試料を、高エネルギー源(第1X線)により励起状態にし、励起状態を標準状態に戻すために、前記試料が、試料を形成している化学元素の特徴となる第2X線を放出する。
前記試料を、PANalytical/MagiX Pro PW2540装置に入れ、波長分散モードにおいて処理する。測定は、二重検出器(duplex detector)を用いて、50kVおよび80mAで行われる。
前記分析の結果、カルシウム、マグネシウムおよび鉄が含有されていることがわかる。これらの測定は、CaOおよびMgO当量、およびFe2O3当量で示される。
鉄ベースの化合物(酸化鉄Fe2O3、Fe3O4、カルシウムフェライトCaFe2O4、Ca2Fe2O5)の半定量分析を、リートベルト法によるX線回折像を基に行う。
リートベルト法は、試料の結晶モデルを用いて回折像をシミュレートする工程、そして、シミュレートされた回折像が実験から得た回折像と可能な限り近づくように、本モデルのパラメータを調節する工程からなる。半定量分析の最後には、Fe2O3当量で表される鉄の全体量が、XRFによって得られた値と比較して10%より大きく異ならないことを実証する。カルシウムフェライトの形態である鉄全体の割合(%)は、単純な除法により求められる(フェライト中の鉄の量を、鉄ベースの化合物全体の鉄の量で割る)。
また、前記生ブリケットは、BET比表面積が1m2/g以上、好ましくは1.2m2/g以上、好ましくは1.4m2/g以上であることを特徴とする。
前記生ブリケットの気孔率は、20%以上、好ましくは22%以上、好ましくは24%以上である。
前記生ブリケットは、見かけ密度が2.0〜3.0であり、好ましくは2.2〜2.8である。
前記ブリケットは、経年変化に対する優れた抵抗性を有する。そのため、ブリケットを、例えば、5〜15g/m3の絶対湿度である多湿の雰囲気下にさらした場合、生ブリケットの力学的性質(STI)の劣化は、生石灰CaOが加水分解され、消石灰Ca(OH)2となる反応に続いて、1.5%を超えて重量が増加するとき、好ましくは2%を超えて重量が増加するとき、より好ましくは2.5%を超えて重量が増加するときのみ起こる。
前記熱処理されたブリケットは、カルシウム−マグネシウム化合物を含む。前記カルシウム−マグネシウム化合物としては、例えば、生石灰(ドロマイト)および酸化鉄およびカルシウムフェライト(CaFe2O4および/またはCa2Fe2O5)の超微粒子を含んでいる鉄ベースの化合物である。
前記熱処理されたブリケットは、Fe2O3当量で表される鉄を、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、ある程度好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%含有することを特徴とする。また、前記熱処理されたブリケットは、CaOおよびMgO当量で表されるカルシウムおよびマグネシウムを、少なくとも40重量%含有することを特徴とする。化学分析を、前述したように、XRFによって行う。
全ての鉄のうち、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%が、カルシウムフェライトの形態である。
前記カルシウムフェライトの定量を、前記生ブリケットと同様に、前記ブリケットを粉砕した後、XRD/リートベルト分析によって行う。
本発明の熱処理されたブリケットは、鉄ベースの化合物の含有量に関わらず、シャッターテスト指数(STI:すなわち、2mの高さから4回落下させた後の、10mm未満の微粒子の重量%)が6%未満である。
また、前記熱処理されたブリケットは、比表面積が0.4m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、好ましくは0.6m2/g以上であることを特徴とする。
気孔率は、20%以上、好ましくは22%以上、好ましくは24%以上である。
前記熱処理されたブリケットの見かけ密度は、2.0〜3.0であり、好ましくは2.2〜2.8である。
前記熱処理されたブリケットは、経年変化に対する優れた抵抗性を有する。そのため、例えば、5〜15g/m3の絶対湿度である多湿の雰囲気下にさらした場合、前記熱処理されたブリケットの力学的性質(STI)の劣化は、生石灰CaOが加水分解され、消石灰Ca(OH)2となる反応に続き、4%を超えて重量が増加するとき、好ましくは4.5%を超えて重量が増加するとき、より好ましくは5%を超えて重量が増加するときのみ起こる。
〔実施例1.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
並行流再生炉内で軟焼石灰の塊から、粉砕された生石灰微粒子を作製した。粉砕は、2mmのふるい、および2mmより大きい粒子径のための再循環ループを備えるハンマーミル中で行われる。粉砕されたこれらの生石灰微粒子は、粒子径が90μm未満である粒子を29%(d30<90μm)、90μmより大きい粒子を71%、500μmより大きい粒子を37%、1mmより大きい粒子を21%、および2〜3mmの粒子を1%含んでいる。水反応性試験におけるt60の値は、0.9分間である。BET比表面積(190℃で2時間以上、真空脱ガス処理した後、窒素吸着圧力計により測定し、ISO規格9277:2010Eに記載のマルチポイントBET法によって算出する)は、1.7m2/gである。粉砕されたこれらの生石灰微粒子は、CaOを95.7重量%、MgOを0.8重量%含む。
磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕し、125μmの篩を通過させることによって酸化鉄微粒子を得る。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が8μm、d50が52μm、およびd90が126μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を66.4%含む。
350rpm(すなわち、2.6m/s)で回転する、旋回半径7cmの標準撹拌翼を備える、容量が10dm3のゲーリックGCM450粉末混合器を使用する。前記粉末混合器を、下記の物質からなる混合物を生成するために、連続運転モードで使用する:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
粉末の全体流速は300kg/hであり、滞留時間は3.5秒間である。
得られた混合物は、非常に均質である。非常に均質であるとは、最終混合物から取り出した試料10g中それぞれの鉄の含有量は、いずれも、これらの平均値のプラスマイナス5%であることを意味する。
棒状石鹸(1つのフープあたり67個のポケットが4列配置されている、または1つのフープあたり268個のポケットがある)の形状である、理論上の体積が7.2cm3であるブリケットを製造するために、直径604mmおよび幅145mmのフープを備えた接線プレスを使用する。前記接線プレスの最大線圧力は120kN/cmである。
10トンの前記混合物を、前記接線プレスに供給し、120kN/cmの線圧力(または、半分の角度において算出される表面圧力が455MPa)で、12rpmの速さ(すなわち、38cm/sの線速度)で圧密化を行う。
約8.5トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は21.4g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.8mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積(ISO規格15901-1:2005Eの第1部に従って、水銀圧入細孔分析法により測定され、30000psiaで測定される骨格密度と0.51psiaで測定される見かけ密度との差を、骨格密度で割ることによって求められる)は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、1分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.6%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた、画像分析によって決定する。その結果を表1に示す。酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、54%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を54%含んでいる。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量を、リートベルト分析によって行う。全ての鉄の52%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、48%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例2.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕し、150μmの篩を通過させることによって得る。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が9μm、d50が37μmおよびd90が102μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を67.1%含む。
実施例1の方法によって作製される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。約8.6トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は20.3g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.6mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、0.9分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.5%である。
ブリケット中の組成物における、酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、63%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の61%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、39%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
〔実施例3.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、赤鉄鉱(Fe2O3)型の鉄鉱石を粉砕し、150μmの篩を通過させることによって得る。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が0.5μm、d50が12.3μmおよびd90が35.7μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を64.6%含む。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。8.3トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.1g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.7m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、0.9分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、3.7%である。
ブリケット中の組成物における、酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、88%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の84%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、16%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例4.生石灰および酸化鉄の熱処理されたブリケット〕
実施例1におけるブリケット1トンを、容器中で100mmの厚さのブリケットの層になるように配置し、1100℃で20分間熱処理する。このとき温度は、1分間あたり50℃で増減する。
得られたブリケットの平均体積は8.2cm3、平均重量は19g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは36mm、幅は26mm、厚さは15.5mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.2m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、27%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、1.6%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分析分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた画像分析によって決定する。
その結果を表1に示す。
酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、43%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を43%含んでいる。
これらの熱処理されたブリケットのうち30個において、粒度分布80μm未満である粉末が作製される。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の54%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、46%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを174.2g加えることで測定される。ブリケット174.2gは、「未反応の」生石灰150gに相当する(すなわち、カルシウムフェライトの形態でない)。t60の値は、4.7分間である。
〔実施例5.生石灰および酸化鉄の熱処理されたブリケット〕
実施例3におけるブリケット1トンを、容器中で100mmの厚さのブリケットの層になるように配置し、1100℃で20分間熱処理する。このとき温度は、1分間あたり50℃で増減する。
得られたブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.0g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、0.9m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、27%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、1.4%である。
酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、84%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を84%含んでいる。
これらの熱処理されたブリケットのうち30個において、粒度分布80μm未満である粉末が作製される。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の91%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、9%がFe2O3の形態のままである。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを179.4g加えることで測定される。ブリケット179.4gは、「未反応の」生石灰150gに相当する(すなわち、カルシウムフェライトの形態でない)。t60の値は、3.8分間である。
〔実施例6.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。分類されなかった材料を、予熱器を備える回転炉の外部において、3mmの篩にかけた後、選別された生石灰粒子を回収した。選別された生石灰微粒子は、粒子径が90μm未満の粒子を26%、90μmより大きい粒子を74%、500μmより大きい粒子を60%、1mmより大きい粒子を47%、および2〜3mmの粒子を18%含んでいる。水反応試験におけるt60の値は、4分間である。BET比表面積は、1.2m2/gである。選別されたこれらの生石灰微粒子は、CaOを97.1重量%、MgOを0.7重量%含む。酸化鉄粒子は、実施例3と同じである。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 44.75重量%
前記選別された生石灰微粒子 45重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記ブリケットは、実施例1の方法によって前記混合物から製造される。8.6トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.6cm3、平均重量は20.3g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.4m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、1.6分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.4%である。
ブリケット形態中の組成物における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、86%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の83%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、17%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例7.生石灰および酸化鉄のブリケット〕
選別された生石灰微粒子は、実施例6と同じである。酸化鉄微粒子は、実施例3と同じである。
実施例1の方法により製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記選別された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記ブリケットは、実施例1の方法によって前記混合物から製造される。8.1トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.0g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.6mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.3m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、3.7分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、11.6%である。
ブリケット形態中の組成物における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、87%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の81%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、19%がFe2O3の形態のままである。
〔実施例8.ドロマイト生石灰および酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰微粒子は、実施例1と同じである。並行流再生炉内で製造した焼ドロマイト石灰の塊から、粉砕された焼ドロマイト微粒子を作製した。粉砕を、ハンマーミルで行った。これらの粉砕された焼ドロマイト微粒子は、90μmより大きい粒子を91%、500μmより大きい粒子を44%、1mmより大きい粒子を31%、2mmより大きい粒子を17%、および3mm〜5mmの粒子を8%含んでいる。水反応性試験におけるt70の値は、3.1分間である。BET比表面積は、2.8m2/gである。これらの粉砕された焼ドロマイト微粒子は、CaOを58.5重量%、MgOを38.4重量%含む。酸化鉄は、実施例3と同じである。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 64.75重量%
前記粉砕された焼ドロマイト微粒子 25重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記ブリケットは、実施例1の方法によって前記混合物から製造される。8.3トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は19.9g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.5mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、2.1m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、25%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、5.3%である。
ブリケット形態中の組成物における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、86%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の84%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、16%がFe2O3の形態のままである。
〔比較例1.生石灰および低い活性を示す酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕することによって得る。前記酸化鉄微粒子は、250μmの篩を通過するが、125μmの篩を通過しない。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が140μm、d50が227μmおよびd90が318μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を約67%含む。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。8.2トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.5cm3、平均重量は20.5g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.8mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、1.0分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.9%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分析分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた画像分析によって決定する。その結果を表1に示す。ブリケット中の組成物中における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、24%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の16%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、84%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
〔比較例2.生石灰および活性の低い酸化鉄のブリケット〕
粉砕された生石灰は、実施例1と同じである。酸化鉄微粒子は、磁鉄鉱(Fe3O4)型の鉄鉱石を粉砕することによって得る。前記酸化鉄微粒子は、500μmの篩を通過するが、250μmの篩を通過しない。前記酸化鉄微粒子は、コールターレーザー粒度分布計において、d10が282μm、d50が417μmおよびd90が663μmであることを特徴とする。これらの酸化鉄微粒子は、鉄を約67%含む。
実施例1の方法によって製造される混合物は、下記の物質からなる:
前記粉砕された生石灰微粒子 89.75重量%
前記酸化鉄微粒子 10重量%
粉末状ステアリン酸カルシウム 0.25重量%。
前記混合物から、実施例1の方法によってブリケットを製造する。8.5トンのブリケットを得る。これらのブリケットの平均体積は8.4cm3、平均重量は20.3g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの長さは約36mm、幅は約26mm、厚さは約15.7mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、1.6m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、26%である。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを166.7g加えることで測定される。ブリケット166.7gは、生石灰150gに相当する。t60の値は、0.9分間である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、4.8%である。
ブリケット中の組成物における鉄ベースの粒子の粒度分析分布を、走査型電子顕微鏡およびX線回折を組み合わせた画像分析によって決定する。その結果を表1に示す。ブリケット中の組成物中における酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、10%である。
また、前記ブリケットは、前記ブリケットのうち3つにおいて、1100℃で10分間熱処理(熱の供給/排出)が行われ、熱処理後に粒度分布80μm未満である粉末が生成されることを特徴とする。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の11%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、89%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
〔比較例3.生石灰および活性の低い酸化鉄の、熱処理されたブリケット〕
比較例2におけるブリケット1トンを、容器内で100mmの厚さのブリケットの層になるように配置し、1200℃で2時間熱処理する。このとき温度は、1分間あたり50℃で増減する。
得られたブリケットの平均体積は7.2cm3、平均重量は20.1g、平均密度は2.4である。これらのブリケットの厚さは約15.4mmである。これらのブリケットのBET比表面積は、0.4m2/gであり、水銀法による全細孔容積は、23%である。
10kgのブリケットを、2mの高さから連続して4回落下させて、シャッターテストを行う。連続して4回落下させ、最終的に生成された10mm未満の微粒子の重量を測定した。得られたシャッターテスト指数は、1.5%である。
酸化鉄粒子の表面における酸化鉄の体積比は、9%である。よって、前記酸化鉄粉末は、活性酸化鉄を9%含んでいる。
これらの熱処理されたブリケットのうち30個において、粒度分布80μm未満である粉末が生成される。粒度分布80μm未満である粉末は、X線回折によって同定され、位相定量をリートベルト分析によって行う。全ての鉄の16%がカルシウムフェライト(CaFe2O4またはCa2Fe2O5)の形態であり、84%がFe2O3またはFe3O4の形態のままである。
前記ブリケットの水反応性は、20℃の600mLの水に、前もって粉砕して0〜1mmの大きさの微粒子とした前記ブリケットを169.0g加えることで測定される。ブリケット169.0gは、「未反応の」生石灰150gに相当する(すなわち、カルシウムフェライトの形態でない)。t60の値は、13分間である。
〔実施例9〜16〕
0〜2mmの大きさの粒子を含む、粉砕された生石灰を用いて、本発明に係る生ブリケットを製造する。前記粉砕した生石灰は、異なる粒度分布を有し、赤鉄鉱型の酸化鉄をFe2O3当量で10〜60重量%含む。これらの実施例において使用する酸化鉄は、d10が0.5μm、d50が12.3μmおよびd90が35.7μmであることを特徴とする。各実施例において、0〜2mmの大きさである粉砕された生石灰の粒子は、90μm未満の粒子を30%以上有する。また、それぞれの生ブリケットは、潤滑剤としてステアリン酸カルシウムを0.25重量%含む。
同一の組成の生ブリケットを、1100℃または1200℃で20分間熱処理して、生石灰および鉄ベースの化合物の含有量が異なる、熱処理されたブリケットを得た。ブリケットの組成および行った熱処理を表2に示す。これらの生ブリケットおよび熱処理されたブリケットにおいて、数回のテストを行った。これらのテストについて、図1〜4を用いて以下に説明する。
図1は以下を示すグラフである:
生ブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、BET比表面積の変化;
生ブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、気孔率の変化;
1100℃で20分間熱処理されたブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、BET比表面積の変化;および
1100℃で20分間熱処理されたブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、気孔率の変化。
図1からわかるように、これらの気孔率および比表面積の変化は、生ブリケットおよび熱処理されたブリケットの鉄ベースの化合物の含有量に伴い、線形にわずかに減少している。熱処理されたブリケットは、生ブリケットよりも小さい比表面積を有する。一方、熱処理されたブリケットは、鉄ベースの化合物の含有量が同一の生ブリケットよりも高い気孔率を有する。
図2は、以下を示すグラフである:
生ブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、シャッターテスト指数の変化;および、
1100℃で20分間熱処理されたブリケットにおける、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量に対する、シャッターテスト指数の変化。
図2からわかるように、Fe2O3当量で表される鉄ベースの化合物の含有量が40%未満である生ブリケットにおいて、シャッターテスト指数は20%未満である。一方、熱処理されたブリケット全てにおいて、シャッターテスト指数は10%未満、または6%未満である。
図3は、Fe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、カルシウムフェライトに変化した鉄ベースの化合物(酸化鉄)の量の変化、およびモノカルシウムフェライトおよびジカルシウムフェライトに変化した酸化鉄の量を示すグラフである。厚さ100mmのブリケットの固定層を、トンネル炉中において、1100℃で20分間熱処理した。
図3からわかるように、Fe2O3当量で表される酸化鉄の含有量が40%を超えると、カルシウムフェライトへの変化量は減少し始める。酸化鉄の量が40%のとき、モノカルシウムフェライトの割合(%)は最大となる。ジカルシウムフェライトの形成の割合(%)は、酸化鉄の含有量に伴い減少した。
図4は、熱処理前の生ブリケット中のFe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、熱処理されたブリケット中のFe2O3当量で表されるカルシウムフェライトの含有量の変化を示している。
図4からわかるように、熱処理されたブリケット中のカルシウムフェライトの含有量は、生ブリケット中の酸化鉄の含有量に伴い増加する。しかし、生ブリケット中の酸化鉄の含有量が40〜45%のとき、カルシウムフェライトの含有量は、50%と最大となる。そして、生ブリケット中の酸化鉄の含有量が60%のとき、カルシウムフェライトの含有量は、約40%に減少する。
しかしながら、酸化鉄のカルシウムフェライトへの変化量を90%よりも多くし、熱処理されたブリケット中のカルシウムフェライトの含有量を50%より多く、さらには70%より多くをすることは可能である。これは、例えば、熱処理の温度を1200℃に上げること、または90μm未満の生石灰の粒子の割合を増加させるために生石灰の粉砕を最適化すること、または上述の2つの手段を組み合わせることによって可能である。いくつかの実施例を行い、測定結果を表2に示す。
表2においてわかるように、70%より多くの、好ましくは80%より多くの、より好ましくは90%より多くの酸化鉄をカルシウムフェライトへ変化させ、かつカルシウムフェライトのうち少なくとも40重量%がモノカルシウムフェライトの形態とするために、酸化鉄の割合、熱処理の温度、生石灰の粒度分布の様々なパラメータを最適化することは可能である。
実施例11において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約40重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を60重量%含む生ブリケットを1200℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の98%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して55.3重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。
実施例13において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を25重量%、およびd97が90μmである生石灰を25重量%含む生ブリケットを1100℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の90%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して69.9重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。
実施例14において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が90μmである生石灰を50重量%含む生ブリケットを1100℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の96%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して47.2重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。
実施例15において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を25重量%含む生ブリケットを1200℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の99%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して43.9重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。熱処理温度を1100℃へ下げることによって、モノカルシウムフェライトの収量は増加し得る。
実施例16において、0.25重量%のステアリン酸カルシウムを除いた生ブリケットの総重量に対して、赤鉄鉱を約50重量%、およびd97が2mm、d30が90μmである生石灰を50重量%含む生ブリケットを1100℃で20分間熱処理する。その後、酸化鉄の61%がカルシウムフェライトへ変化し、カルシウムフェライトの全体量に対して82.6重量%がモノカルシウムフェライトである熱処理されたブリケットを得る。d97が90μmである生石灰の重量を増やすことによって、モノカルシウムフェライトの収量は増加し得る。
モノカルシウムフェライトは、ジカルシウムフェライトよりも低い融点を有するため、モノカルシウムフェライトの量が40重量%より多いことは金属精製プロセスにおいて有用であり得る。これにより、スラグ内のブリケットの溶解が促進され得る。
また、70%より多く、好ましくは80%より多く、より好ましくは90%より多くの酸化鉄がカルシウムフェライトへ変化し、かつ、カルシウムフェライトのうち40重量%以上がジカルシウムフェライトの形態とするために、酸化鉄の割合、熱処理の温度、生石灰の粒度分布の様々なパラメータを最適化することが可能である。しかし、実施例14のように、1100℃で20分間において、カルシウムフェライトの全体量に対して52.8%のジカルシウムフェライトを得ることができる一方、その他の実施例のほとんどにおいて、ブリケットを1200℃で20分間熱処理する場合に、カルシウムフェライトの全体量に対して、少なくとも40%のジカルシウムフェライトが形成され易いことを示している。
酸化鉄のカルシウムフェライトへの変化量を最大にするために、生ブリケットを1200℃で熱処理することは有用であり得る。
図5は、実施例9〜16におけるブリケットの断面図の画像を表す。実施例9〜16における熱処理されたブリケット断面を作製し、その断面を樹脂で封入した後、断面を研磨することによって、これらの熱処理されたブリケットの構成を、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型分析とを組み合わせて分析した。これらの分析によって、ブリケットの断面における、各成分の分布図を作成することができる。画像分析ソフトウェアを用いて、得られた各成分の分布図を重ね合せて、各成分のサイズ分布および相対的被覆率を測定することができる。
以上のことから、実施例9〜16に係るブリケットにおいて、カルシウムフェライトが、生石灰の粒子(不連続層)が分散しているマトリクス(または、連続層)を形成することが示された。カルシウムフェライトマトリクスは、カルシウム−マグネシウム化合物の粒子を少なくとも20重量%含み、好ましくは生石灰の形態であり、d90が200μm未満、好ましくは150μm未満、より好ましくは100μm未満であって、d50が50未満である酸化鉄を少なくとも20重量%含む生ブリケットを、900〜1200℃、好ましくは1050〜1200℃で20分間熱処理した後に、得ることができる。マトリクス中に分散している石灰の粒子の二次元サイズを、カルシウムフェライトマトリクス中の生石灰のそれぞれの粒子の最小および最大の寸法の平均を求めるプログラムによって算出する。粒子を、粒子の二次元方向の大きさが63μm未満であり、測定装置の検出可能下限値より大きい第1グループ、および粒子の二次元方向の大きさが63μmより大きい第2グループに分類する。以下の表3は、実施例9〜16に係るブリケットにおける、それぞれのブリケットの断面中のカルシウムフェライトマトリクスの相対的被覆率、63μm未満の生石灰の粒子の相対的被覆率、および63μmより大きい生石灰粒子の相対的被覆率を示す。
組成物のうちカルシウムフェライトを60重量%より多く含有する熱処理されたブリケットにおいて、63μmより大きい生石灰の粒子の表面被覆率の割合(%)は、25%より小さい。
〔実施例17〕
ブリケットの重量に対して、d97が150μmであり、d50が40μmである磁鉄鉱Fe3O4の形態の酸化鉄を38.85重量%、d97が2mm未満であり、d30が90μm未満である生石灰を60.9重量%、およびステアリン酸カルシウムを0.25重量%用いて生ブリケットを作製した。3層のブリケットからなる固定層を、1100℃で20分間熱処理し、熱処理されたブリケットを得た。熱処理されたブリケット中のモノカルシウムフェライトに変化した鉄の重量%は8%であり、ジカルシウムフェライトに変化した鉄の重量%は82%である。
〔実施例18〕
ブリケットの重量に対して、d10が0.5μmであり、d50が12.3μmであり、d90が35.7μmであることを特徴とする赤鉄鉱Fe2O3の形態である酸化鉄を39.9重量%、d97が2mm未満であり、d30が90μm未満である生石灰を59.85重量%、およびステアリン酸カルシウムを0.25重量%用いて、生ブリケットを作製した。得られたブリケットを、実施例17と同様の条件で熱処理し、熱処理されたブリケットを得た。このとき、熱処理されたブリケット中のモノカルシウムフェライトに変化した鉄の割合(%)は65重量%であり、ジカルシウムフェライトに変化した鉄の割合(%)は24重量%である。
〔実施例19〜35.表4中のテスト1〜17のそれぞれに対応するCO2を含む調製雰囲気下における前処理〕
以下の実施例において、Pharmatron Multitest 50を用いて、ブリケットに対して圧縮強度試験を行った。Pharmatron Multitest 50のプレートの1つは、突起部を有する。突起部があることにより、ブリケットを破裂させるために必要な力が、突起部がない場合で行われる圧縮強度試験に比べて少ない。
実施例1において使用される生石灰と同様の生石灰を59.85重量%、実施例11と同様のFe2O3を39.9%、およびステアリン酸カルシウムを0.25%含む生ブリケット10個を、この圧縮強度試験によって測定した。平均値は、33kg重である。
表4に示すようにパラメータを変更し、毎度、11リットル電気マッフル炉に新しい生ブリケットを10個充填して、数回の前処理テストを行った。これらの前処理は全て、毎分10リットルのN2、H2OおよびCO2からなる混合ガスフロー下において、20〜450℃で行われた。温度上昇率は、2〜10℃/分である。
ガス中のH2Oの体積濃度は、3.9〜20.1%である。ガス中のCO2の体積濃度は、0.9〜9.1%である。
各テストにおける前処理の最後に、ブリケット10個を圧縮強度試験によって特性を示した。加えて、前処理されたブリケット10個全てを分析し、水和反応に伴い増加する重量dm(H2O)/mおよび炭化反応に伴い増加する重量dm(CO2)/mを測定した。これら全ての結果を表4に示す。
表4からわかるように、調製雰囲気を構成するガス中のCO2が2体積%より多い場合、前処理によってブリケットが圧密化される。反対に、CO2が2体積%未満である場合、ブリケットは、凝集力が低下する。
〔比較例4〕
複数の試料の生ブリケットにおいて、落下指数を圧縮力と比較した。そして、落下指数と圧縮力の相関関係を明らかにした。試験された生ブリケットは、ブリケットの総重量に対して、0〜60重量%の異なる含有量の酸化鉄、および0.125重量%〜0.5重量%の範囲の異なる含有量の潤滑剤を含む、0〜3mmの粒子径を有する生石灰を含んでいた。また、相関関係を明らかにするのに十分大きい母数となるよう、ブリケット化プロセスのパラメータを変更した。
圧縮力が144kg(317.5ポンドに対応する)より大きい場合、ブリケットの落下指数は10%未満である必要がある。
もちろん、本発明は、上述の実施例によって、何ら制限されることはなく、請求項の範囲内において、種々の変更を加えてよい。
図1は、本発明に係るブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、BET比表面積および石油圧入気孔率のグラフである。
図2は、本発明に係る熱処理されたブリケットおよび生ブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、シャッターテスト指数(STI)のグラフである。
図3は、本発明に係る熱処理されたブリケット中のFe2O3当量の含有量に対する、カルシウムフェライトに変化したFe2O3の割合(%)のグラフである。
図4は、熱処理前の生ブリケット中のFe2O3当量で表される酸化鉄の含有量に対する、熱処理されたブリケット中のFe2O3当量で表されるカルシウムフェライトの含有量の変化を表すグラフである。
図5は、実施例9〜16におけるブリケットの断面の画像を示す。