JP2019512443A - シクロドデカ硫黄の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、シクロドデカ硫黄、同素体の同素環中の硫黄(S)原子数が12である環状硫黄同素体の製造方法に関する。この方法は、反応区間中で金属硫黄誘導体を酸化剤と反応させて、シクロドデカ硫黄含有反応混合物を生成させることを含む。

Description

関連出願への相互参照
本願は、2016年3月2日に出願された米国特許仮出願第62/302213号明細書(参照によりこの開示のすべてを本明細書中に取り込む)の優先権を主張する。
技術分野
本発明は、概して、環状硫黄同素体、詳細には、この同素体の同素環中の硫黄(S)原子数が12個であるシクロドデカ硫黄の製造方法に関する。
環状硫黄同素体および硫黄含有部分からのこれらの合成のための経路は文献に記載されてきた。例えば、本明細書中、S12とも呼ぶシクロドデカ硫黄は、116℃〜387℃で約0.39重量%〜0.49重量%の範囲の平衡温度に依存する濃度で熱平衡硫黄同素体混合物中に存在することが公知である(Steudel,R.;Strauss,R.;Koch,L.,“Quantitative HPLC Analysis and Thermodynamics of Sulfur Melts”,Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,24(1),1985,pp.59−60参照)。
Steudelらは、Sとしても公知のシクロオクタ硫黄が200℃の平衡温度まで加熱され、140℃に冷却されて液体窒素で反応停止するS12の合成方法について記載している。S12は、極低温二硫化炭素から複数回の抽出、再結晶、デカンテーション、およびろ過により、供給した硫黄に対し0.21%を僅かに超える全収率で、固体同素体混合物から回収される。精製S12の融点は146〜148℃と報告されており、精製S12の一般的に引用される融点である。(Steudel,R.;Mausle,H−J.,“Detection of Large−Ring Sulfur Molecules in Liquid Sulfur:Simple Preparation of S12,α−S18,S20 from S”,Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,18(2),1979,pp.152−53;および、Steudel,R.;Eckert,B.,“Solid Sulfur Allotropes”, Topics in Current Chemistry(2003)230,pp.1−79)
SchmidtおよびBlockは、硫黄が200℃で10分間加熱されて水で反応停止されるS12の合成方法について記載している。得られた固体は室温においてCSの質量比6:1で12時間撹拌された後、不溶性高分子硫黄をろ過し、母液を濃縮し、残溶液から−30℃で粗S12を再結晶化する。残りのSはCSでS12の固体から溶出され、S12の結晶は乾燥される。供給したSの0.1%の収率である乾燥したS12は、140〜142℃の融点を有し、ベンゼンから再結晶後、146〜148℃のより高い融点となる。(Schmidt,M.;Block,H.−D.,“Occurrence of Cyclododecasulfur Compound in Sulfur Melts”,Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,6(11),1967,pp.955−56)。
MausleおよびSteudelは、CSに溶解したジクロロジスルフィドがヨウ化カリウム水溶液と反応して不安定なジヨードジスルフィドおよび塩化カリウムを生成し、これらが偶数同素環S、S、S10、S12、S18、およびより大きい同素環、ならびにIの混合物に自然分解する環状硫黄同素環合成方法について記載している。典型的な収率は、Sが36%およびS12が約1〜2%である。(Mausle,H.J.;Steudel,R.,“Simple preparation of Cyclohexasulfur(S) from dichlorodisulfane (SCl) and ionic iodides”,Z. Anorg. Allg. Chem.463,1980,pp.27−31)。
12合成のさらに別のアプローチは、SchmidtおよびWilhelmにより記載されている(Schmidt,M.;Wilhelm,E.,“Cyclodocecasulfur,S12”,Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,5(11),1966,pp.964−65)。この方法は、副生成物HClの対応する生成を伴うポリスルファン類とのジクロロスルフィドのメタセシスを含む。
Cl+H → 2HCl+S12 (x+y=12)
SchmidtおよびWilhelmは、CS中のSClおよびCS中のHの混合物を、ジエチルエーテルおよびCSの混合物中に25時間かけて滴下して混合する。12時間後、粗S12結晶が定期的にろ過される。得られた粗S12は、40℃に保たれたCS中に再溶解され、粗S12−CS溶液の濃縮により再結晶化される。最終的に、供給した硫黄に基づいて15%〜20%の全S12収率で、ベンゼンから再結晶される。
環状硫黄同素体合成のさらに別の方法は、硫黄導入剤、ビス(π−シクロペンタジエニル)−チタン(IV)ペンタスルフィド、(チタノセンペンタスルフィド)または(CTi(S)と二塩化硫黄(SCl)とを反応させて、二塩化チタノセン、S、およびいくらかのS12を生成することを含む。この方法では、CS中(CTi(S)は、0℃においてCS中SClで処理される。SおよびS12を含有するろ液は、二塩化チタノセンの沈殿物からろ過され、蒸発させて橙黄色の沈殿物を得る。Sは低温CSで溶解され、残った固体は高温CS中に溶解される。S12は、最終のCS溶液から冷却および結晶化により回収される。全体的な硫黄収率は87%のSおよび11%のS12である(Schmidt,M.;Block,B.;Block,H.D.;Kopf,H.;Wilhelm,E.,“Cycloheptasulfur,S,and Cyclodecasulfur,S10−Two New Sulfur Rings”,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,7(8),1968,pp.632−33参照)。
環状硫黄同素体製造の従来方法は全て、低収率、複数の複雑な製造ステップ、高価、複雑、および入手しにくい出発物質および中間体ならびに最終生成物の時間のかかる単離および精製などの1つ以上の欠点に悩まされている。したがって、この分野における大部分の仕事は、学術的努力に限定されており、コスト効率が良く効率的大規模生産のための商業的に許容される方法は、これまでに報告されていない。したがって、商業的に実施するための工業的基準を満たす、環状硫黄同素体、詳細には、シクロドデカ硫黄の頑強で、高収率、安全、およびコスト効率の良い製造方法に対するニーズが引き続き存在する。
本発明は、環状硫黄同素体、詳細には、この同素体の同素環中の硫黄(S)原子数が12個であるシクロドデカ硫黄の製造方法に関する。この方法は、反応区間中で金属硫黄誘導体を酸化剤と反応させて、シクロドデカ硫黄を含むシクロドデカ硫黄含有反応混合物を生成させることを含む。この方法は、好ましくは、シクロドデカ硫黄含有反応混合物からシクロドデカ硫黄を単離することをさらに含む。本発明の方法は、同素環中に12個の硫黄原子を有する環状硫黄同素体として、本明細書中に記載のシクロドデカ硫黄の製造に特に有用であり、すなわち、これと共通の譲受人の出願中の米国特許出願第15/015165号明細書に開示およびクレームされた加硫処理物品の生成用途の加硫組成物に有用であり、この開示を参照により本明細書中に取り込む。
適用範囲のさらなる形態および領域は、本明細書中に提供する説明から明白になるだろう。明細および特定の実施例は例示するだけの目的を意図し、本発明の精神および範囲を限定することを意図しないことは理解されるべきである。
本明細書で使用する場合、次の用語または句は以下の通りに定義される:
「環状硫黄同素体」は、硫黄原子の同素環によって特徴付けられる硫黄化合物を意味する。
「シクロドデカ硫黄」は、本明細書においてS12とも呼ばれ、同素環中に12個の硫黄原子を有する環状硫黄同素体を意味する。
「金属硫黄誘導体」は、少なくとも2:1(S:M≧2.0)の金属原子に対する硫黄の比を有する二価の硫黄(S)原子と金属(M)原子とを含有する化合物を意味する。このような誘導体の明確な構造単位は以下のように表すことができる:
式中、金属原子(M)は二価または多価であり、硫黄原子(S)は二価でありn≧0の鎖を形成する。化合物は直鎖または分岐鎖であり、環状、多環状、オリゴマーまたは高分子であってよく、他の元素、配位子、金属原子と結合または配位したカチオンまたはアニオン(内圏または外圏)を含むことができるが、これに限定されない。
「メタラシクロスルファン」は、硫黄および金属原子、好ましくは、少なくとも2個の硫黄原子および1個以上の金属原子を有する硫黄および金属原子のみを含有する少なくとも1つの環状構造の特徴を有する金属硫黄誘導体を意味する。
「硫黄鋳型剤(単数)」または「硫黄鋳型剤(複数)」は、元素状硫黄と反応させた場合に金属硫黄誘導体を生成する化合物、または化合物と元素との組合せを意味する。
「酸化剤」は、(i)金属硫黄誘導体により還元され;(ii)金属硫黄誘導体中に含有される硫黄の遊離を促進し、(iii)この組成物から方法で生成されるシクロドデカ硫黄に硫黄を添加しない薬剤を意味する。
「擬ハロゲン」は、ハロゲンと類似した特性および反応性プロファイルを有する分子または官能基を意味する(例えば、Inorganic Chemistry by Duward Shriver, P.W. Atkins and Cooper Langford,W.H.Freeman & Co.,1990,pp407−408参照)。
本発明は、環状硫黄同素体、詳細には、この同素体の同素環中の硫黄(S)原子数が12個であるシクロドデカ硫黄の製造方法である。同様な方法を使用して高分子硫黄を生成してもよく、共通の譲受人のこれと同時に出願中の出願にクレームされている。
本発明の方法は、金属硫黄誘導体を酸化剤と反応させることを含む。好適な金属硫黄誘導体は、式:
(式中、
Lは、x>1の場合に同一であるか相違することができる、単座または多座の配位子種であり、
Xは、配位子種Lの合計数であり、かつ、0〜6(両端を含む)であり;
Mは、金属原子であり;
yは、金属原子の合計数でありかつ1〜4(両端を含む)であり;
Sは、硫黄原子であり;
zは、硫黄原子の数でありかつ1〜12(両端を含む)であり;
uは、金属硫黄誘導体の電荷を表しかつ−6〜+6(両端を含む)であることができ;
vは、オリゴマー構造またはポリマー構造における金属硫黄誘導体単位の数であり;
Iは、イオン性原子またはイオン性基でありかつカチオン性またはアニオン性であることができ;および、
wは、必要に応じて中性に電荷を提供する、カチオン性またはアニオン性原子または基の数である)
によって特徴付けられる。
配位子種は単座でもよく、多座でもよく、帯電していてもよく、中性でもよい。好適な配位子種はまた、シクロペンタジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル環;第一級、第二級、および第三級アルキルもしくはアリール直鎖もしくは環状アミンなどのアミンであり、エチレンジアミンおよびエチレントリアミンなどのジアミンもしくはトリアミンもしくは他のポリアミンおよびこれらの誘導体、ピペリジンおよび誘導体、ならびにピロリジンおよび誘導体;またはピリジンおよびピリジン誘導体もしくはイミダゾールおよびイミダゾール誘導体などの複素環式誘導体であることができる。好適なアミンとしては、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミンなどのテトラアルキルエチレンジアミン;ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)などのジエチレントリアミンおよび誘導体;ビピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、ピコリン類、ルチジン類、キヌクリジン類などのピリジンおよびピリジン誘導体;N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、N−プロピルイミダゾール、およびN−ブチルイミダゾールなどのイミダゾールおよびイミダゾール誘導体が挙げられるが、これに限定されない。
上記置換基Mのための好適な金属としては、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、マンガン、クロム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、カドミウム、水銀;およびロジウム、白金、パラジウム、金、銀、およびイリジウムなどの貴金属および希土類金属が挙げられる。好ましい金属は亜鉛である。
本発明の方法に特に好適な金属硫黄誘導体は、メタラシクロスルファンである。好ましいメタラシクロスルファンとしては、A、B、CおよびDとして以下に示すものが挙げられる。他の金属硫黄誘導体は、オリゴマー種またはポリマー種であり、下記Eに示したように直鎖であってよく、分岐点としての役割を果たす金属原子を有する下記Fに示すように分岐していてもよい。
金属硫黄誘導体は、帯電した配位子種を含有してもよい。例えば、シクロドデカ硫黄化合物の生成に好適な金属硫黄誘導体を下記に示す:
これは、2つのメタラシクロスルファン環内の亜鉛と結合した硫黄原子のみ、および金属硫黄誘導体の二価アニオン電荷を中和する2つのテトラフェニルホスホニウムイオン基を含有する。
配位子を含有する関連する金属硫黄誘導体を下記に示す:
この場合、亜鉛と配位したTMEDA配位子は、ヘキサスルフィド二価アニオンを置換し、したがって、金属硫黄誘導体はアニオンではなく、中性である。
本発明の方法に特に好ましい分類のメタラシクロスルファンは、Nドナー亜鉛錯体を含有するものである。さらにより特に、目的の環状硫黄同素体がシクロドデカ硫黄である場合、4〜6個の硫黄原子および亜鉛に配位するNドナー配位子を有するメタラシクロスルファンが好ましい。このような錯体は、本明細書においてシクロオクタ硫黄またはSとも呼ばれる元素状硫黄を、下記により詳細に記載するように、ドナーアミン、ジアミンもしくはポリアミン鋳型剤からなる、または含有する溶媒中で金属亜鉛と反応させることにより生成される。Nドナー亜鉛シクロスルファンの例としては、(TMEDA)Zn(S)、(DMAP)Zn(S)、(ピリジン)Zn(S)、(メチルイミダゾール)Zn(S)、(キヌクリジン)Zn(S)、(PMDETA)Zn(S)、および(ビピリジン)Zn(S)が挙げられる。亜鉛錯体、(TMEDA)Zn(S)は、本発明の方法において特に好ましいメタラシクロスルファンであり、シクロオクタ硫黄、テトラメチルエチレンジアミンおよび亜鉛の反応により生成することができる。本発明者らは、これらのメタラシクロスルファン生成反応が水の存在下で最良に行われ、例14のように、水の添加により、低グレードのTMEDAを用いてすら高収率かつ高純度で(TMEDA)Zn(S)錯体を一貫して生成することを見出した。
米国特許第6420581号明細書(参照によりこの開示のすべてを本明細書中に取り込む)は、本発明に従った使用に好適な亜鉛ヘキサスルフィドアミン錯体の製造方法に関する。これらの方法は、高温で亜鉛、硫黄およびモル過剰のアミンを反応させて亜鉛ヘキサスルフィドアミン錯体および過剰アミンを含む反応混合物を得ることを含む。亜鉛ヘキサスルフィドアミン錯体がほとんど可溶でない第一溶媒を添加して反応混合物のスラリーを得る。亜鉛ヘキサスルフィドアミン錯体はその後の分離工程で回収することができる。
本発明の方法の金属硫黄誘導体は、元素状硫黄を硫黄鋳型剤と反応させることにより生成させることができる。したがって、好ましい態様では、本発明の方法は、金属硫黄誘導体を酸化剤と反応させるステップ前に、元素状硫黄を硫黄鋳型剤と反応させて金属硫黄誘導体を生成させるステップを含む。
本発明の方法のこの態様で使用するための好適な硫黄鋳型剤としては、式:

(式中、
Lは、x>1の場合に同一であるか相違することができる、単座または多座の配位子種であり;
xは、配位子種Lの合計数でありかつ1〜6(両端を含む)であり;
Mは、金属原子であり;および
yは、金属原子の合計数でありかつ1〜4(両端を含む)である)
によって特徴付けられるものを含む。
配位子種は単座でもよく、多座でもよい。好適な配位子種は、シクロペンタジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル環;第一級、第二級、および第三級アルキルもしくはアリール直鎖もしくは環状アミンなどのアミンであることができ、エチレンジアミンおよびエチレントリアミンなどのジアミンもしくはトリアミンもしくは他のポリアミンおよびこれらの誘導体、ピペリジンおよび誘導体、ならびにピロリジンおよび誘導体;またはピリジンおよびピリジン誘導体もしくはイミダゾールおよびイミダゾール誘導体などの複素環式誘導体であることができる。
好適なアミンとしては、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミンなどのテトラアルキルエチレンジアミン;ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)などのジエチレン−トリアミンおよび誘導体;ビピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、ピコリン類、ルチジン類、キヌクリジン類などのピリジンおよびピリジン誘導体;N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、N−プロピルイミダゾール、およびN−ブチルイミダゾールなどのイミダゾールおよびイミダゾール誘導体が挙げられるが、これに限定されない。
上記置換基Mのための好適な金属としては、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、マンガン、クロム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、カドミウム、水銀;およびロジウム、白金、パラジウム、金、銀、およびイリジウムなどの貴金属および希土類金属が挙げられる。好ましい金属は亜鉛である。
本発明の方法では、上記金属硫黄誘導体を酸化剤と反応させる。適切な酸化剤は、金属硫黄誘導体により還元される任意の薬剤であり、金属硫黄誘導体に含有される硫黄の遊離を促進する。加えて、酸化剤は、この組成物から方法で生成されるシクロドデカ硫黄に硫黄を添加しない。
このような酸化剤の非限定的例としては、式:
X−X’
(式中、XおよびX’は、同一であるかまたは相違し、そしてハロゲンおよび擬ハロゲンからなる群から選択される)のものが挙げられる。好ましくは、XおよびX’は、両方塩素または臭素のいずれかであり、したがって、本発明の方法のための酸化剤は分子状臭素(Br)または分子状塩素(Cl)のいずれかである。XおよびX’は、シアン化物、チオシアン化物、硫酸化物、チオ硫酸化物、スルホン酸化物またはチオスルホン酸化物などの擬ハロゲン基であってもよい。擬ハロゲン基がシアン化物またはチオシアン化物である態様では、酸化剤X−X’は、それぞれ、ジシアノーゲンまたはジチオシアノーゲンであろう。擬ハロゲン基が硫酸化物、チオ硫酸化、スルホン酸化物またはチオスルホン酸化物である別の態様では、対応する過硫酸化物または過チオ硫酸化物は、本発明の方法で製造されるシクロドデカ硫黄に硫黄原子を転移しないことは理解されるだろう。
別の好適な酸化剤は分子状酸素(O)である。分子状酸素が酸化剤である場合、上記XおよびX’は、酸素原子である。酸化剤が分子状酸素である態様では、分子状酸素は、酸化剤が分子状酸素および触媒を含むことができるように、金属硫黄誘導体の硫黄から酸化体への電子移動速度を促進および/または加速する触媒を添加する必要があることがあるか、または必要でないことがある。このような触媒は金属類または金属錯体類である場合があり、このような錯体の例としてはFe(II)錯体が挙げられるが、マンガン、バナジウム、モリブデンおよび銅などの他の金属も一般的である。分子状酸素と組み合わせて、金属硫黄誘導体の所望の酸化を引き起こす物質はいずれも、本明細書に記載の触媒の範囲内である。
本発明の方法のための酸化剤が好適な化学化合物に関連して前述されているが、概して、電気化学的に生成した酸化体が酸化剤としての機能を果たすことができ、したがって、本発明の方法において有用な酸化剤であり得ることは、当業者により理解されるだろう。例えば、過酸化水素、アルキルおよびアシル過酸化物、ハロゲン原子基(radicals)、およびCe(IV)およびIr(V)などの高酸化状態金属中心酸化体などが挙げられる。金属硫黄誘導体のアノード酸化は、アノードにおいて触媒を含み、容易で選択的酸化を可能とすることができる。このような種は、本発明の方法のための酸化剤として分子状酸素と組み合わせて、または同時に使用してもよい。
さらに他の好適な酸化剤としては、SO部分が本発明の方法により製造されるシクロドデカ硫黄に組み込まれていないSOClおよびSOBrなどのハロゲン化スルフリルが挙げられる。
本発明の方法では、酸化剤の金属硫黄誘導体に対する化学量論は、金属硫黄誘導体の組成および構造に依存し得る。本発明の方法の1つの態様では、酸化剤の金属硫黄誘導体に対する化学量論比は、酸化剤(X−X’)の1当量が金属硫黄誘導体中の2つのM−S結合毎に存在するように選択される。シクロドデカ硫黄化合物の製造のため、金属硫黄誘導体が3個の硫黄原子毎に1つの金属−硫黄結合を有する場合、酸化剤(X−X’)の1当量は硫黄6当量と同等の金属硫黄誘導体の重量と組み合わせることができる。金属硫黄誘導体に対する酸化剤の好適な比の例としては:Br 1モルに対して(TMEDA)Zn(S) 1モル;Cl 1モルに対して(TMEDA)Zn(S) 1モル;Cl 1モルに対して(CTi(S) 1モル;Br 2モルに対して[PPh[Zn(S] 1モル;Cl 2モルに対して[PPh[Zn(S] 1モル;Br 1モルに対して(N−メチルイミダゾール)Zn(S) 1モル;Cl 1モルに対して(N−メチルイミダゾール)Zn(S) 1モル;Br 1モルに対して(PMDETA)Zn(S) 1モルが挙げられる。
本発明の方法の別の形態では、酸化剤(X−X’)の金属硫黄誘導体に対する化学量論は、最終シクロドデカ硫黄生成物の純度を増大するように選択され得る。したがって、好ましい態様では、酸化剤の金属硫黄誘導体に対する準化学量論的(すなわち、1当量未満の)比は、より低レベルのハロゲンを有するシクロドデカ硫黄混合物を合成するために選択される。この形態では酸化剤の金属硫黄誘導体に対する化学量論比は、酸化剤の1当量未満が金属硫黄誘導体中の2つのM−S結合毎に存在するように選択される。シクロドデカ硫黄化合物の製造のため、金属硫黄誘導体が3個の硫黄原子毎に1つの金属−硫黄結合を有する場合、酸化剤(X−X’)の準化学量論的は硫黄6当量と同等の金属硫黄誘導体の重量と組み合わせることができる。この形態では、酸化剤の金属硫黄誘導体に対する好適な比の例としては:Br 0.90〜0.99モルに対して(TMEDA)Zn(S) 1モル;Cl 0.90〜0.99モルに対して(TMEDA)Zn(S) 1モル;Cl 0.90〜0.99モルに対して(CTi(S) 1モル;Br 1.80〜1.99モルに対して[PPh[Zn(S] 1モル;Cl 1.80〜1.99モルに対して[PPh[Zn(S] 1モル;Br 0.90〜0.99モルに対して(N−メチルイミダゾール)Zn(S) 1モル;Cl 0.90〜0.99モルに対して(N−メチルイミダゾール)Zn(S) 1モル;Br 0.90〜0.99モルに対して(PMDETA)Zn(S) 1モルが挙げられる。
1つの態様では、本発明の方法は、シクロドデカ硫黄化合物の製造のための方法である。この態様では、好ましい金属硫黄誘導体は、テトラメチルエチレン−ジアミン/Zn(S)錯体である。テトラメチルエチレン−ジアミン/Zn(S)錯体は、最も好ましくは、元素状硫黄の存在下、テトラメチルエチレンジアミンと亜鉛との反応によりin situで生成される。したがって、この態様では、元素状硫黄の存在下、鋳型剤はin situで生成され、鋳型剤を元素状硫黄と反応させるためのステップにおいてこの鋳型剤と反応する。
本発明により、亜鉛−シクロヘキサスルファン(TMEDA)Zn(S)の1モルを、酸化剤Brの1モルと反応させて、シクロドデカ硫黄の理論上1/2モルを生成することにより、シクロドデカ硫黄化合物は予想外に高収率で生成された。初期反応供給物中に含有される硫黄原子に基づいて70%以上に迫るシクロドデカ硫黄の収率を達成し得る。このような収率は、先行技術に記載された方法により達成されるものより5倍より多い。別の形態では、酸化剤の金属硫黄誘導体に対する準化学量論的(すなわち、1当量未満の)比は、より低レベルのハロゲンを有するシクロドデカ硫黄混合物を合成するために選択され得る。
本発明の方法は、広範囲の温度、圧、および濃度範囲で行われてもよい。好適な反応温度は、−78℃〜100℃、または45℃〜100℃、より典型的には−10℃〜40℃である。シクロドデカ硫黄化合物の製造において(TMEDA)Zn(S)がメタラシクロスルファンとして選択され、Brが硫黄非含有酸化剤として選択される態様では、典型的な反応温度は、−78℃〜60℃、または30℃〜60℃、より好ましくは−10℃〜40℃である。[PPh[Zn(S]がメタラシクロスルファンとして選択され、BrあるいはClのいずれかが酸化剤として選択される態様では、典型的な反応温度は、−78℃〜60℃、または30℃〜60℃、より好ましくは−10℃〜40℃である。
反応ステップ中の金属硫黄誘導体は、反応を促進するのに望ましい物理形態であり得る。好適な形態としては、固体、適切な溶媒中のスラリー、または適切な溶媒中の溶液が挙げられる。したがって、本発明の方法の1つの態様では、方法は、反応ステップ前に溶媒中に金属硫黄誘導体のスラリーを生成することを含む。本発明の方法の別の態様では、方法は、反応ステップ前に溶媒中に金属硫黄誘導体の溶液を生成することを含む。スラリーまたは溶液形態を利用する場合、スラリーまたは溶液の典型的な金属硫黄誘導体濃度は、スラリーまたは溶液の総重量に基づいて、0.5〜30重量%、より典型的には2〜25重量%である。反応ステップにおけるスラリーまたは溶液形態に有用な好適な溶媒としては、1〜12個の炭素原子および1個のハロゲン原子から過ハロゲン化含有量までのハロゲン化溶媒が挙げられる。ハロゲン化溶媒の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化メチレン、ブロモホルム、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン類、ジクロロベンゼン類、ジブロモベンゼン類が挙げられる。他の好適な溶媒としては、5〜20個の炭素のアルカン、芳香族化合物、7〜20個の炭素のアルキル芳香族化合物が挙げられる。例としては、ペンタン類、ヘキサン類、シクロヘキサン、ヘプタン類、オクタン類、デカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、メシチレン、エチルベンゼンおよび同種のものである。溶媒の1つ以上の組合せをまた使用してもよい。
同様に、反応ステップにおける酸化剤は、反応を促進するのに望ましい物理形態であり得る。好ましくは、酸化剤は、好適な分散剤中の分散体の形態である。したがって、本発明の方法の1つの態様では、方法は、反応ステップ前に分散剤中の酸化剤の分散体を生成することを含む。典型的には、酸化剤は、分散体の総重量に基づいて0.5〜60重量%、より典型的には分散体の総重量に基づいて1〜25重量%の量で分散体中に存在する。分散剤の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化メチレン、ブロモホルム、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン類、ジクロロベンゼン類、およびジブロモベンゼン類が挙げられる。
本発明の方法では、金属硫黄誘導体を酸化剤と反応させるステップは、反応区間において典型的に開始し、および少なくとも部分的に行われる。反応区間は、概して、金属硫黄誘導体と酸化剤を反応させるステップが開始し、完了まで少なくとも部分的に進行する容積物(volume)またはスペースとして定義される。本発明の方法を、バッチ式もしくは半バッチ式操作または連続式操作、ならびに栓流反応器および撹拌槽型反応器構成を含む当技術分野で公知のいずれもの方法または反応器型式として行われ得る場合、反応区間は、例えば、能力見込み;利用可能な製造/プラント面積および資本;ならびにユーティリティなどの因子に応じて構成され得る。
反応ステップの反応が発熱性であるので、反応ステップは、好ましくは、反応区間から反応熱の排除を含む。金属硫黄誘導体および酸化剤の1つ以上が溶媒を使用する形態(金属硫黄誘導体のためのスラリーもしくは溶液、または酸化剤のための分散剤)である態様では、排熱ステップは、溶媒(単数)、溶媒(複数)または分散剤の沸騰をもたらす温度および圧においてステップを操作することを含んでもよい。あるいは、反応区間中に追加の溶媒または反応物の添加により、またはシェル式およびチューブ式または螺旋巻き熱交換器などの市販および周知の外部熱交換機器により反応区間から熱を移動することにより、排熱は行われることができる。
反応物(金属硫黄誘導体および酸化剤)を反応区間に同時または順次投入するバッチ式操作として、本発明の方法を行ってもよい。反応物の逐次添加を利用する1つの態様では、本発明の方法の反応ステップは、反応区間に酸化剤を先ず添加してから、反応区間に金属硫黄誘導体を添加することを含んでもよい。逐次添加のため、金属硫黄誘導体は、スラリーまたは溶液の形態であり、酸化剤は分散体の形態であってよい。反応物の同時添加を利用する別の態様では、本発明の方法の反応ステップは、反応区間に酸化剤および金属硫黄誘導体の同時添加を含んでもよい。
あるいは、本発明の方法は、反応物(金属硫黄誘導体および酸化剤)を、静的ミキサー、または単純乱流栓流チューブ式反応器中への衝突噴流などの混合を増強するように、分離連続式流れとして投入する栓流連続方式で行われてもよい。
本発明の反応ステップは、通常、30秒〜3時間、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは2分〜1時間の時間にわたる。シクロドデカ硫黄の製造において、(TMEDA)Zn(S)が金属硫黄誘導体として利用され、Brが酸化剤として利用される場合、本発明の反応ステップは、通常、1分〜1時間、または5分〜20分の時間にわたる。[PPh[Zn(S]が金属硫黄誘導体として利用され、ClまたはBrが酸化剤として利用される場合、本発明の反応ステップは、通常、1分〜1時間、または1分〜10分の時間にわたる。
本発明の方法における反応ステップは、S12含有反応混合物を生成する。反応混合物は、通常、所望の生成物として環状硫黄同素体、ならびに本明細書で概して「不純物」と呼び、これらの少なくとも一部は様々な溶媒に不溶性であり得る溶媒、分散剤、反応副生成物、および未反応反応物の1つ以上を含有する。副生成物および不純物の例としては、シクロオクタ硫黄ならびにシクロヘキサ硫黄、シクロヘプタ硫黄、およびより高環状硫黄誘導体などの硫黄の同素体;非晶性または結晶性いずれかの高分子硫黄;未反応酸化剤;金属硫黄誘導体およびその部分的に反応した誘導体またはそのオリゴマー;TMEDAなどの配位子;金属硫黄誘導体合成からの亜鉛などの金属;酸化体−硫黄誘導体、例えば、X−S−X(式中、XはClまたはBr、nは1以上)の構造;ZnBr、ZnCl、(TMEDA)ZnBr、および(TMEDA)ZnClなどの金属含有化合物;ならびに反応または単離ステップで使用する溶媒が挙げられる。
したがって、本発明の方法は、S12含有反応混合物からS12を単離する方法をさらに含んでもよい。シクロドデカ硫黄含有混合物からシクロドデカ硫黄を単離するための好適な技術、方法、および処理ステップは、例えば、酸化剤、金属硫黄誘導体の選択、未反応反応物の量、相当する反応効率、収率、ならびに不純物および副生成物の程度および種類ならびに同種のものに広く依存して異なり得る。したがって、S12のための単離方法は次のステップの1つ以上を含み得る:溶解、加熱、乾燥、酸処理、溶媒洗浄、結晶化、および沈降。単離方法は同じ種類のステップの1つより多くを含んでもよいことが理解される。例えば、単離方法は、溶媒洗浄、次いで溶解、結晶化、異なる溶媒洗浄ステップ、および乾燥を含んでもよい。
溶解ステップは、S12含有混合物をS12用溶媒で処理して溶解溶液を生成し、次いで不溶性不純物から溶解溶液を分離することを含んでもよい。溶解ステップで所望のシクロドデカ硫黄から分離され得る不純物の例としては、高分子硫黄およびS12、金属硫黄誘導体、金属、および金属含有化合物と比較して溶媒に低可溶性を示す他の環状硫黄同素体が挙げられる。不溶性不純物からの溶解溶液の分離は、ろ過、遠心分離、または沈降などの当技術分野で公知の分離技術を利用することができる。通常、不溶性不純物からの溶解溶液の分離は、溶解したシクロドデカ硫黄が分離操作中に溶解したままであることを確かにするように先行溶解ステップの温度またはこの温度より高い温度で行われる。
溶解ステップで使用される溶媒は、アルカン、ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物、および二硫化炭素(CS)からなる群から好ましく選択される。なお、本発明の方法に従って得られたシクロドデカ硫黄は、部分的に温度に依存し、シクロオクタ硫黄および高分子硫黄の溶解性と著しく異なる様々な溶媒での溶解性を示す。例えば、温度に依存して、シクロオクタ硫黄はシクロドデカ硫黄より30〜200倍溶解性があり、シクロドデカ硫黄はp−キシレン、クロロベンゼン、およびCSにおいて高分子硫黄より少なくとも1桁大きい溶解性がある(例21参照)。
好ましい溶解性溶媒は、CS、C以上のアルカン、1〜12個の炭素原子および1個のハロゲン原子から過ハロゲン化含有量までのハロゲン化炭化水素からなる群から選択されたものを含む。ハロゲン化溶媒の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化メチレン、ブロモホルム、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン類、ジクロロベンゼン類、o−、m−、p−ジブロモベンゼンが挙げられる。アルカンおよび芳香族溶解性溶媒の例としては、o−、m−、p−キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、o−、m−、p−ジイソプロピルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン類、ヘキサンおよび異性体、ヘプタンおよび異性体、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ならびにデカンが挙げられる。
なお、シクロドデカ硫黄は、多くの溶媒で比較的低溶解性を示すので、溶解ステップは、通常、20℃超から約140℃までの高温で行われ、溶媒の使用を最小限にする。溶解性は、溶媒の固有性でかなり変わるので、好ましい温度は選択した溶媒に依存する。例えば、溶解ステップ用溶媒としてCSを使用する場合、好ましい温度範囲は、30〜90℃、または40〜85℃である。溶解ステップ用溶媒としてアルカン、ハロゲン化炭化水素または芳香族化合物を使用する場合、好ましい温度範囲は、75〜140℃、または90〜125℃である。溶解性溶媒の溶解される環状硫黄同素体に対する重量比は、典型的には、約500/1〜50/1、より典型的には300/1〜100/1である。
なお、最も熱力学的に安定な形態の硫黄はシクロオクタ硫黄である。環状硫黄同素体(S12を含む)および高分子硫黄は、未開示の時間高温に加熱した際にシクロオクタ硫黄と平衡になることが知られている。例えば、141℃において、液体硫黄の平衡組成物は、0.5重量%未満の他の個々のC10〜C23環状硫黄同素体(0.48重量%S12を含む)および高分子硫黄と、約93重量%シクロオクタ硫黄である(Steudel,R.;Strauss,R.;Koch,L.,“Quantitative HPLC Analysis and Thermodynamics of Sulfur Melts”,Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,24(1),1985,pp.59−60参照)。驚くべきことに、この熱力学的不安定性を使用して特定の環状硫黄誘導体を加熱ステップで単離することができることを本発明者らは発見した。したがって、本発明の方法に従って得られたシクロドデカ硫黄の熱分解は、高分子硫黄の熱分解と著しく異なる。例えば、p−キシレン中、115℃、2時間、高分子硫黄およびシクロドデカ硫黄の混合物の加熱時、100%の高分子硫黄はシクロオクタ硫黄に分解され、一方、3%未満のシクロドデカ硫黄はシクロオクタ硫黄に転化した(例22および23参照)。
本発明の加熱精製ステップでは、S12含有反応混合物は、溶媒の存在下加熱されて分解し、S12含有反応混合物中に存在する高分子硫黄を含む望ましくない不純物の少なくとも一部をこの溶媒中に溶解し、加熱溶液および溶解しないS12を得る。好ましくは、S12は加熱温度においてかなり不溶性であるが、シクロオクタ硫黄、望ましくない環状硫黄同素体の分解生成物および高分子は加熱温度において可溶である。
この加熱ステップは、溶解しないS12から加熱溶液を分離する方法を含んでもよい。S12からの加熱溶液の分離は、ろ過、遠心分離、または沈降などの当技術分野で公知の分離技術を利用することができる。通常、S12からの加熱溶液の分離は、加熱溶液中の不純物が分離操作中に溶解したままであることを確かにするように先行する加熱ステップの温度またはこの温度より高い温度で行われる。本発明に従った追加の結晶化ステップにより、S12が加熱溶液から回収されることができることは理解される。
不純物分解を達成する加熱ステップに必要な時間は、例えば、選択した溶媒および温度に依存する。通常、この処理は、10分〜4時間、または15分〜90分で効率的に達成され得る。
この加熱ステップで使用する溶媒は、アルカン、ハロゲン化炭化水素、および芳香族化合物からなる群から好ましく選択される。好ましい加熱溶媒は、C以上のアルカン、1〜12個の炭素原子および1個のハロゲン原子から過ハロゲン化含有量までのハロゲン化炭化水素からなる群から選択される。ハロゲン化溶媒の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化メチレン、ブロモホルム、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン類、ジクロロベンゼン類、o−、m−、p−ジブロモベンゼンが挙げられる。アルカンおよび芳香族溶解性溶媒の例は、o−、m−、p−キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、o−、m−、p−ジイソプロピルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン類、ヘキサンおよび異性体、ヘプタンおよび異性体、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ならびにデカンである。
加熱ステップは、通常、約70℃〜約145℃、または80℃〜130℃で操作される。加熱ステップで使用される圧は、選択された温度において、通常、約1バール(bara:絶対圧)〜20バール(bara:絶対圧)の圧で大部分は液体のままであるように調整される。したがって、圧は、好ましくは、選択された温度において溶媒の蒸気圧を超える。より好ましい圧は、1バール(bara:絶対圧)〜10バール(bara:絶対圧)である。
12含有混合物は、金属硫黄誘導体の調製の残金属、ならびにその金属硫黄誘導体自体などの金属含有化合物、および金属硫黄誘導体と酸化剤との反応の副生成物を含有することがある。この金属含有物は、酸処理ステップにより除去されることができる。本発明の酸処理ステップでは、S12含有反応混合物は、酸が例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸などの1つ以上の鉱酸である酸含有溶液と接触される。酸は、通常、希釈した水性の形態であり、より典型的には0.1〜15重量%、または1〜8重量%の水溶液である。
酸処理ステップは、通常、約0℃〜約80℃、または約10℃〜約50℃で操作される。酸処理ステップに必要な時間は、10分〜4時間、または15分〜120分で効率的に達成され得る。
硫黄同素体はまったく疎水性であり、このような物質の粒子は酸処理ステップなどの水性環境では凝集する傾向にある。分散を改善し、酸溶液との反応性を増強するため、少量の分散剤は接触ステップで添加され、好ましくは水性酸流れと共に添加され得る。酸処理ステップに好適な分散剤の例としては、アセトン、メタノール、アセトニトリル、エチレングリコールなどの水混和性有機物質である。分散剤の典型的な濃度は、0.1〜15重量%、より典型的には0.2〜10重量%である。一旦、酸処理を完遂されたならば、酸処理した環状硫黄同素体は好ましくは中性の水で洗浄されて、残留酸含有物を除去する。
12化合物の溶媒洗浄は使用されて洗浄溶媒に高溶解性である不純物を除去、別の溶媒に置き換え、または洗浄溶媒により低い溶解性での比較的少量の不純物を除去することができる。洗浄ステップは、S12含有反応混合物を洗浄溶媒と接触させた後、デカンテーション、沈降、ろ過、または遠心分離などの公知の技術を用いて洗浄混合物からS12を分離することにより達成される。洗浄処理は、通常、S12を完全に溶解しないが、むしろ洗浄溶媒に可溶な不純物を除去する。好ましい洗浄溶媒は、CS、アルカン、ハロゲン化炭化水素、C〜Cケトン類、C〜Cアルコール類、C〜Cエーテル類、および芳香族溶媒からなる群から選択されるものを含む。例としては、o−、m−、p−キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、o−、m−、p−ジイソプロピルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン類、ヘキサンおよび異性体、ヘプタンおよび異性体、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−、m−、p−ジクロロベンゼン、塩化メチレン、o−、m−、p−ジブロモベンゼン−メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケトンである。S12含有混合物に対する洗浄溶媒の重量比は、典型的には約0.1/1〜3/1、より典型的には0.25/1〜2/1である。
結晶化ステップの間、存在する溶媒量および使用する温度は、溶解したシクロオクタ硫黄および他の望ましくない不純物が溶解したままであるがS12は大部分結晶化するように選択され得る。溶媒としてCSを使用する場合、結晶化ステップは、好ましくは、溶解溶液を−30〜25℃、より好ましくは−10〜10℃の温度まで冷却することを含む。溶解用溶媒としてアルカン、ハロゲン化炭化水素または芳香族化合物を使用する場合、結晶化ステップは、好ましくは、0〜80℃、より好ましくは10〜60℃の温度まで溶解溶液を冷却することを含む。
12結晶の粒度分布は、適切な温度、濃度、および冷却速度を選択することにより所望の範囲に制御されることができる。迅速な冷却およびほぼ飽和に近い濃度は、より多くの核生成およびより小さくより狭い粒度分布をもたらす傾向にある。種結晶を含んでも含まなくてもゆっくりした冷却は、より大きな粒子およびより広い結晶サイズの分布をもたらす傾向にある。
一旦、S12が、例えば、本発明の溶解または熱処理ステップにより溶媒に溶解されたならば、S12は、溶媒からの結晶化により高純度で単離されることができる。溶解したS12を結晶化してS12結晶を生成するステップおよび結晶化母液は、冷却結晶化、蒸発結晶化、貧溶媒結晶化、またはその組合せなどの当技術分野で公知の手段により達成されることができる。種結晶も添加され、粒度成長を促進し、必要に応じて過剰な核生成を減少することができる。冷却結晶化は、結晶化ステップを行う特に好ましい手段である。
12の単離のための冷却結晶化の好ましい方法は、高温S12を満載した溶解溶液の流れを、密封型混合領域内で高速でS12に乏しい冷却溶媒の流れ(溶解溶液と同じ溶媒もしくは異なる溶媒、または溶媒の混合物のいずれかを含む)と接触させる冷却衝突噴流結晶化である。混合領域の小容積および高乱流は、所望の平衡混合温度への迅速な冷却、高核生成速度、および均一な粒度分布、加硫用途のための結晶S12の重要な特徴をもたらす。
1つの形態では、結晶化ステップにより製造された結晶S12の粒度分布は、120ミクロン未満のDv(90)および5ミクロン超のDv(10)と共に、10〜80ミクロンのDv(50)を有し;より好ましくは、80ミクロン未満のDv(90)および10ミクロン超のDv(10)と共に、20〜60ミクロンのDv(50)を有する。
衝突噴流結晶化に使用される高温S12を満載した溶解溶液の流れに対するS12に乏しい冷却溶媒の流れの重量比は、低温および高温流の入口温度および所望の平衡混合温度に依存して変わり得るが、典型的には約10/1〜0.5/1、より典型的には5/1〜2/1である。
衝突噴流結晶化のための冷たいまたは熱い溶媒としてアルカン、ハロゲン化炭化水素または芳香族化合物を使用する場合、好ましい低温溶媒温度は、40℃〜−30℃、または30℃〜−10℃であり;好ましい高温溶媒温度は、75〜140℃、または90〜125℃であり;好ましい平衡混合温度は、5℃〜60℃、または10℃〜45℃である。衝突噴流結晶化のための冷たいまたは熱い溶媒としてCSを使用する場合、好ましい低温溶媒温度は、15℃〜−30℃、または10℃〜−15℃であり;好ましい高温溶媒温度は、35〜75℃、または40〜65℃であり;好ましい平衡混合温度は、−5℃〜25℃、または0℃〜20℃である。
衝突噴流晶出装置は、好ましくは、低温および高温流の線速度が0.5〜20m/秒、または1〜10m/秒であるように設計され、高温流、低温流、および混合流中、乱流を維持する。
驚くべきことに、S12含有混合物およびS12それ自体において不純物の密度差を使用してS12の精製を行うことができることが見出された。特に、S12は、金属粒子、例えば、亜鉛粒子から分離され得る。したがって、沈降ステップでは、S12含有混合物は、接触され沈降溶媒と混合され、沈降溶媒内で粒子を懸濁させて、懸濁スラリー混合物をもたらす。それから、この懸濁スラリー混合物は、種々の粒子を沈降した粒子層と懸濁した粒子混合物とに分離させる外部加速場に曝される。この外部加速場は、事実上、重力、遠心、磁気、または静電であり得る。
例えば、粗S12含有混合物がBr酸化体および(TMEDA)Zn(S)金属硫黄誘導体から製造される本発明の態様では、S12含有混合物は、沈降溶媒としてクロロベンゼンを用いた沈降ステップに曝され、懸濁スラリー混合物を生成することができる。懸濁スラリー混合物の撹拌は中止され、懸濁スラリー混合物は単純な重力沈降に曝され、S12および大きな亜鉛粒子を含む沈降粒子層、および大部分より小さい亜鉛粒子および沈降溶媒を含む懸濁粒子混合物をもたらす。選択された粒子層からこの懸濁粒子混合物をデカンテーションすることにより、沈降粒子層の亜鉛含有量を低減させ、S12含有量を増大させる。
沈降ステップは、バッチ式でも連続式でも操作されてよく、分離を高めるために1回以上繰り返してもよい。沈降ステップの好ましい温度は、0〜80℃、より好ましくは20〜45℃である。
沈降溶媒は、液体化合物、溶解したシクロオクタ硫黄、または粗S12含有混合物からの他の可溶性不純物を含むことがある。好ましくは、沈降溶媒は、沈降ステップ温度において、1g/cc(1g/cm)超かつ約1.8g/cc(1.8g/cm)未満の密度を有する。沈降溶媒の成分として使用するための有用な液体化合物の例は、CSおよび1〜12個の炭素原子および1個のハロゲン原子から過ハロゲン化含有量までのハロゲン化炭化水素である。ハロゲン化溶媒の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化メチレン、ブロモホルム、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン類、ジクロロベンゼン類、o−、m−、p−ジブロモベンゼンが挙げられる。沈降溶媒中に溶解したシクロオクタ硫黄の存在は、沈降溶媒の密度を増加させ、特に、より小さい金属粒子を懸濁する場合に好ましい。溶解したシクロオクタ硫黄の好ましい量は、使用される液体化合物および沈降温度に依存するが、通常、約1重量%〜約20重量%である。
溶解、熱処理、酸処理、溶媒洗浄、結晶化、および沈降などの単離方法の他のステップ生成物が、溶媒で湿ったシクロドデカ硫黄結晶をもたらす場合、単離方法は、任意選択的に、この溶媒で湿ったシクロドデカ硫黄結晶を乾燥して乾燥した硫黄同素体結晶を生成するステップを含んでもよい。溶媒で湿ったシクロドデカ硫黄結晶の乾燥は、不活性ガススイープ、加熱、真空下に置く、またはその組合せなどの当技術分野で公知の手段により達成することができる。典型的には、乾燥ステップは、2バール(bara:絶対圧)未満の圧、典型的には、大気圧または約0.05バール(bara:絶対圧)までの圧で、環状硫黄同素体の融点より低い温度、より典型的には、約40℃〜約110℃において達成される。
本発明の方法のために好ましい単離方法は、(i)S12含有混合物をS12用溶媒で処理することにより、S12含有反応混合物からS12を溶解して溶解溶液を生成し、次いでこの溶解溶液から不溶性不純物を分離すること;(ii)溶解溶液からS12を結晶化させて結晶化母液中のS12結晶を生成し、次いでこの結晶化母液からS12結晶を分離すること;および(iii)結晶化ステップから母液−湿潤S12結晶を乾燥させて、精製S12固体生成物を製造することを含む。
第二の好ましい態様では、単離方法は、(i)溶媒の存在下でS12含有反応混合物を加熱して、S12含有反応混合物中に存在する不純物の少なくとも一部を加熱溶媒中で分解かつ溶解して、加熱溶液から大部分のS12を含む残りの固体を分離することを含む。この態様におけるさらなるステップは、好ましくは、(ii)ステップ(i)で分離した固体を酸と接触させること;(iii)ステップ(ii)の固体含有生成物からの酸を水洗浄溶媒で洗浄すること;(iv)ステップ(iii)の水洗浄した固体含有生成物を低沸点溶媒で洗浄すること;および(v)洗浄した固体を乾燥させて精製S12固体生成物を製造することのうち1つ以上を含む。
第三の好ましい態様では、単離方法は、(i)溶媒の存在下でS12含有反応混合物を加熱して、S12含有反応混合物中に存在する不純物の少なくとも一部を加熱溶媒中で分解かつ溶解して、加熱溶液から大部分のS12を含む残りの固体を分離することを含む。この態様におけるさらなるステップは、好ましくは、(ii)ステップ(i)で分離した固体を溶解溶媒と接触させて溶解溶液および不溶性不純物を生成すること;(iii)ステップ(ii)のこの溶解溶液からのS12を結晶化させてS12結晶および結晶化母液を製造すること;および(iv)溶媒で湿った結晶化固体を乾燥させて精製S12固体生成物を製造することのうち1つ以上を含む。
第四の好ましい態様では、単離方法は、(i)溶媒の存在下でS12含有反応混合物を加熱して、S12含有反応混合物中に存在する不純物の少なくとも一部を加熱溶媒中で分解かつ溶解して、加熱溶液から大部分のS12を含む残りの固体を分離することを含む。この態様におけるさらなるステップは、好ましくは、(ii)ステップ(i)で分離した固体を沈降溶媒と接触させて懸濁スラリー混合物および沈降粒子層を得ること;(iii)ステップ(ii)から分離した沈降粒子層の固体を溶解溶媒と接触させて溶解溶液および不溶性不純物を得ること;(iv)ステップ(iii)の溶解溶液からのS12を結晶化させてS12結晶および結晶化母液を製造すること;および(v)溶媒で湿った結晶化固体を乾燥させて精製S12固体生成物を製造することのうち1つ以上を含む。
本発明の多くの形態および利点を特異性および詳細で具体的に示すために提供するが、以下の実施例は決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。本発明の精神から離れない変化形、改変および適応は、当業者によりただちに認識されるだろう。
分析方法
示差走査熱分析(DSC)−環状硫黄同素体化合物の融点範囲を測定するための示差走査熱分析(DSC)は、融解ピーク温度(Tm1)および発熱ピーク温度(Tex1)を決定する第一加熱走査を含む。使用する装置は、冷蔵冷却システムを備えたTAのQ2000 DSC(RCS)であった。使用する手順は下記のように本明細書に記載される。装置は製造者の「使用者の取扱説明書」に従って;アダマンタン、インジウムおよび鉛の融点の開始点を、それぞれ、−65.54℃、156.60℃、および327.47℃に、インジウムの融解熱を6.8cal/gに設定することにより較正した。それから、約3.0mgの較正検体を、50cc/分の流速でヘリウムの存在下20℃/分の速度でスキャンした。硫黄含有検体について、同様な方法を使用した。TAの2つのアルミニウム密封蓋と共にTzeroアルミニウムパンおよび蓋を秤で風袋の重さを量った。約3.0mgの硫黄含有検体をTzeroパン中に重量を量り入れ、風袋の重さを量った蓋で覆い、1対の「黒」ダイを備えたTAのサンプルクリンパを用いて圧着した。「黒」ダイスタンドからの圧着した検体は、2つの風袋の重さを量った密封蓋が検体パンの先端に置いて先端「青」ダイで圧着される「青」ダイスタンドへ移動された。2つの密封蓋と共に空の圧着したTzeroアルミニウムパンおよび蓋は、参照として同様に準備された。検体および参照パンは、室温でDSCトレイおよびセル内に入れられた。DSCは冷蔵冷却システムを用いて−5℃まで冷却された後、検体は、ヘリウムの存在下、20℃/分の速度で−5℃から200℃まで加熱された。「融点開始」は、発熱融解現象の開始における温度と定義された。Tm1は解析オプション「Signal Maximum」を用いて融解曲線上で起こる低融解ピーク温度をいい、TAのソフトウェア Universal V4.7Aを用いてデータ解析は行われた。Tex1は、解析オプション「Signal Maximum」を用いて、Tm1後直ぐに起こる発熱ピーク温度をいう。
UniQuant(UQ)−サンプルは、X線蛍光およびUniQuantソフトウェアパッケージを用いて分析された。UniQuant(UQ)は、サンプルのスタンダードレスXRF分析を提供するX線蛍光(XRF)分析ツールである。それから、サンプルは周期表の第3周期から始まる72元素まで(すなわち、Naからより高いZまで)について半定量的に分析されることができる。データは、較正標準品およびサンプル間のマトリックス差ならびに吸収およびエンハンスメント効果;すなわち、元素間効果について数学的に補正される。結果の質に影響し得るいくつかの因子は、サンプルの粒度(影効果をもたらす)、鉱物学的効果(サンプルの不均質性が理由)、不十分なサンプルサイズ、およびサンプルマトリックスの認識不足を含む。サンプルが両方で測定可能である場合では、XRF UQ分析およびICP−OES(すなわち、定量)分析は、概して、±10%以内で一致する。サンプルは、UQにより、Zn、Br、Cl、およびS含有量について分析された。
ICP−約100ミリグラムのサンプルは前清浄化した石英サンプルチューブに重量を量り入れられた。それから、3mLの濃硝酸を各チューブ(微量金属分析用、Fisher Chemical)に添加した。Ultrawave Single Reaction Chamber Digestion SyStemを用いて、サンプルはマイクロ波温浸された。内部標準元素としてスカンジウム(最終希釈後1ppmレベル)の添加後、温浸したサンプルは25mLの体積まで希釈され、約10%HNOの最終酸濃度を得た(添加した硝酸および温浸中の硝酸の予測消費量に基づいて)。1ppmのスカンジウム内部標準は各サンプルに添加された。Perkin Elmer Optima 2100 ICP−OES装置(Perkin Elmer Inc.、米国マサチューセッツ州ウォルサム)は、マトリックスマッチング1ppm補正標準品およびブランクを用いて較正された。それから、方法ブランクを含む各サンプルは、Zn、S、Br、およびCl含有量について分析された。
X線回折(XRD)−PANalytical Empyrean X−Ray Diffractometer(XRD)(PANalytical Incorporatedから入手可能)を用いて粉末サンプルの測定を行った。XRDは、45kVおよび40mAで運転される銅陽極X線源を利用した。システムは、Bragg Brentanoθ/2θ反射ジオメトリーで測定できるように構成された。回折測定は、5〜80°の2θ角で集められた。結晶硫黄同素体の粉末回折パターンは、購入したデータベース(International Centre for Diffraction Data ICDD、米国ペンシルベニア州ニュータウンスクエアまたは同等品)からのパターンまたは公知の参照標準品のパターンとの比較により同定された。結晶硫黄同素体の定量は、外部較正または参照強度比(RIR)方法の使用により行われた。
ラマン分光法−785nm励起レーザーおよび5倍拡大顕微鏡対物レンズを備えたReniShaw inVia confocalラマン顕微鏡およびWiRE 4.1ソフトウェアを用いて、サンプルのラマンスペクトルは測定された。
NMR−サンプル約0.0200gはバイアル中に重量を量り入れる。内部標準、1,4−ジメトキシベンゼン約0.0200gは同じバイアル中に重量を量り入れる。約1mLのピリジン−d5、また材料が可溶である他の重水素化溶媒を加える。この材料のH NMRを測定し、δ3.68におけるピークを積分する(6プロトン)。δ2.45およびδ2.25における2つのピークを積分する(16プロトン)。次式を用いて純度%を算出する。
純度%=100[mg IS/MW IS)×(∫サンプル/∫IS)×(6/16)×(MWサンプル/mgサンプル)]
IS=内部標準
MW=分子量
∫=H NMRの積分値
粒度分布−シクロドデカ硫黄材料の粒度分布は、最大4mW He−Ne、632.8nm赤色光源;公称10mW LED、470nm青色光源;逆フーリエ(収束ビーム)レンズ配置、300mmの有効焦点距離を備える光学系;対数領域アレイ配置の検出器、0.015〜144°の角範囲、および自動配列を装備した、0.1〜1000μmの粒度範囲を測定可能なMalvern Mastersizer 3000装置を用いて、レーザー光散乱技術により測定された。分散剤(イソプロパノール)は装置に添加され、少量のシクロドデカ硫黄サンプルはイソプロパノールに添加されてレーザーオブスキュレーション5%付近を達成した。サンプルは30秒〜60秒間混合され、1.93の屈折率を用いたMie散乱モデルに基づいた粒度分布を用いて光散乱分析に供された。方法は、以下のように定義された次の分布用語を用いて体積平均粒子径を報告する。
D[4,3」は、以下のように定義された「体積加重平均」、または「平均」径である:
式中、fiは、diの径を有する粒子のフラクションである。
Dv(10)−個体群の10%がこのサイズ未満である。
Dv(50)−体積「メディアン径」。分布の50%がこの値より上であり、分布の50%がこれ未満である。
Dv(90)−分布の90%がこのサイズ未満である。
液体クロマトグラフィー−液体クロマトグラフィー(LC)法は、SおよびS12を含む元素状硫黄種を分離する。硫黄種は、公知のサンプルから決定された保持時間により同定された。Sの量は、未知サンプルのSのピーク面積をトルエン中で製造された公知の濃度のS標準溶液のものと比較することにより決定された。次の操作パラメーターをLC分析全てに適用する。
HPLC装置:クォータナリポンプおよびダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1200
カラム:Agilent、粒子:Eclipse Plus C18、粒度:3.5μm
プレカラムフィルター:Upchurch 0.5μmステンレススチールフリット、パーツ番号:A316
ガードカラム:C18カートリッジを備えたPhenomenex 「security guard」 HPLCガードカートリッジシステム、パーツ番号:KJ0−4282
オートサンプラーバイアル:VWRからの、カタログ番号500779
流速:0.8mL/分
実行時間:40分
溶媒:HPLCグレードメタノールアイソクラチック
カラム温度:6℃
検出波長:254nm、バンド幅16nm
注入体積:5μL
(TMEDA)Zn(S)からのシクロドデカ硫黄化合物の調製
例1.金属硫黄誘導体(TMEDA)Zn(S)の調製
テトラメチル−エチレンジアミン(TMEDA)(408グラム)およびメタノール(72グラム)は、機械式式撹拌機(容器の壁近くに達する)、熱電対、Nバブラー、水冷式冷却器、および電気式加熱マントルを装備した3L三口ガラス製フラスコに添加された。窒素でこのシステムはパージされ、混合物の温度は35℃に調節された。粉砕したてのシクロオクタ硫黄(粉末)は、425〜450rpmで撹拌しながら、5分かけて添加された。粉砕したてのシクロオクタ硫黄が溶解し、その上に、金属亜鉛粉末(粒度<10ミクロン、純度>98%)40グラムは425〜450rpmで撹拌しながら、5分かけて添加されるように、温度を45℃まで上昇させられた。それから、灰緑色がかった黄色反応器の内容物は、86℃までゆっくりと加熱され、4時間、または黄色になるまで撹拌された。一旦、黄色になったならば、混合物は、撹拌しながら、さらに2時間温度を保持された。反応時間終了時、フラスコは室温に冷却され、撹拌機を停止し、真空排気により自由液体を除去した。メタノール(600ml)はフラスコに添加されてスラリーを生成し、1時間撹拌された。それから、得られたスラリーは真空ブフナーフィルター(1ミクロン紙)でろ過され、各200mlのメタノールで2回洗浄された。固体はフィルターから除去されて、50℃、0.1MPaに設定された真空乾燥器内で一夜乾燥された。収率はほぼ定量的で、233グラムの金属硫黄誘導体(TMEDA)Zn(S)錯体は、NMRによる測定として純度97%で回収された。混合条件を注意深く制御することによる複数回の実施において同様な収率が均一に得られた。
シクロドデカ硫黄化合物(S12)の調製
塩化メチレン(750mL)は、機械式撹拌機、熱電対、Nバブラーおよび栓を装備した2L四口ガラス製フラスコに添加された。酸化剤として臭素(16.7g、104.5mmol、1.0当量)は、50mL CHClを含む瓶に重量を量り入れられ、この混合物はフラスコに添加された。溶液は4℃まで冷却された。例1の亜鉛錯体(TMEDA)Zn(S)(純度97.5%)(40g、104.3mmol、1.0当量)は、全部一度に添加され、50mL CHClで洗浄された。直ぐに発熱して11℃になった。溶液は15分間撹拌され、ろ過され、低温CHClで洗浄されて、吸引乾燥された。固体は、THF(250mL)中にスラリー化されて、ろ過され、吸引乾燥された。得られた固体は、低温CS(150mL)中にスラリー化されて、ろ過され、吸引乾燥されて、10.2gの淡黄色固体(亜鉛錯体中の硫黄に基づいて収率50.8%)を得た。UQ元素分析法を用いた評価は、この材料が、硫黄96.6%(ラマン分光法により、シクロドデカ硫黄化合物(S12)+高分子硫黄)、亜鉛2.67%および臭素0.7%であることを示した。
シクロドデカ硫黄化合物は、機械式撹拌機、微細なガラスフリットフィルタープレート、熱電対、Nバブラー、ドライアイストラップおよび底弁を装備した上側2Lジャケット付き三口ガラス製フラスコ;および、機械式撹拌機、水冷式冷却器および1Lガラスレシーバーポット、熱電対、Nバブラー、ドライアイストラップおよび底弁を装備した下側2Lジャケット付き三口ガラス製フラスコを備える2容器システムでさらに単離された。精製手順を開始するため、二硫化炭素(1200グラム)は、上記反応ステップからのシクロドデカ硫黄化合物(10.2g)と一緒に上側容器に添加された。フラスコの内容物は、撹拌しながら40〜42℃まで加熱された。30分間の混合物の撹拌後、容器の底弁は開かれ、フリットガラスフィルターを通って下側フラスコ中に自由液体は引き込まれた。最初の固体の約半分はフィルター上に残った。第二容器中の溶液は、20分以下の時間をかけて−6℃まで冷却された。冷却段階の間、微細な淡黄色結晶のシクロドデカ硫黄化合物が生成した。溶液は、−6℃の最終温度で約15分間撹拌されて、容器の底弁は開かれ、S12−CSのスラリーは2ミクロンろ紙を装着したブフナー漏斗上に滴下された。淡黄色結晶のシクロドデカ硫黄化合物は、吸引乾燥され、ろ紙からかき落とされた。最終ろ過からの母液は、補給CSと共に上側容器(残固体物を含む)に戻され、1200グラムの液体を得た。上側容器は撹拌され、再度、40〜42℃まで加熱されて、ろ過−冷却手順は繰り返されて、精製シクロドデカ硫黄化合物(S12)結晶の第二収穫物を回収した。最終加熱−溶解ステップ後、約0.26グラムの緑色がかった黄色固体物が上側フリットフィルター上に残った。合わせた湿ったS12結晶は、30℃で約0.01MPaにおいて一夜真空乾燥器内に入れて、残CSを除去して9.3グラムの乾燥した精製シクロドデカ硫黄化合物を得た。UQ元素方法による評価は、この材料が、少なくとも99.9%硫黄(ラマンにより全てS12)、ならびに100ppm未満の亜鉛および臭素であることを示した。最初に、DSC(20℃/分の加熱速度)により、それから、熱抵抗融点測定装置を用いて融点が決定され、それぞれ、162℃および157℃であった。S12に対する硫黄の全体的収率は46%であった。
例2〜5では、シクロドデカ硫黄化合物は、金属硫黄誘導体として(TMEDA)Zn(S)、酸化剤として臭素ならびに様々な分散剤および溶媒の単一バッチを利用する本発明の方法を用いて製造された。
例2.金属硫黄誘導体用溶媒および酸化剤用分散剤としての塩化メチレン
撹拌棒、窒素パージおよび冷水式冷却器を装備した2L丸底フラスコに、塩化メチレン900mLが添加された。フラスコは氷浴で冷却された。塩化メチレン約25mLは、別のガラス瓶に添加され、臭素18.29gは同じ瓶に重量を量り入れられ、この混合物は丸底フラスコに添加され、塩化メチレン25mLで洗い落とされた。それから、(TMEDA)Zn(S)錯体45.17グラム(NMRにより純度94%、例1の方法に従って調製)はフラスコに添加され、塩化メチレン50mLで洗い落とされた。反応物は15分間撹拌されてから、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。それから、固体物は第二丸底フラスコに移され、THF400mLでスラリー化された。このスラリーは30分間撹拌されてから、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。それから、得られた固体物は、さらに別の丸底フラスコに移され、氷浴で冷却された。氷冷したCSの150mLは第三の丸底フラスコに添加され、30分間撹拌された。それから、混合物はブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。ろ紙上の得られた固体物は真空乾燥され、11.42gの淡黄色結晶材料(亜鉛錯体中の硫黄に基づいて収率50.0%)を得た。UQ元素分析法を用いた評価は、この材料が、硫黄93.25%(ラマン分光法により、微量のシクロオクタ硫黄および高分子硫黄を含むシクロドデカ硫黄化合物(S12)中で高濃縮)、亜鉛6.37%および臭素0.38%であることを示した。
例3.金属硫黄誘導体用溶媒および酸化剤用分散剤としてのクロロベンゼン
撹拌棒、窒素パージおよび冷水式冷却器を装備した1L丸底フラスコに、クロロベンゼン400mLが添加された。フラスコは氷浴で冷却された。クロロベンゼン約25mLは、別のガラス瓶に添加され、臭素8.06グラムは同じ瓶に重量を量り入れられた。これは丸底フラスコに添加され、クロロベンゼン25mLで洗い落とされた。(TMEDA)Zn(S)錯体20グラム(NMRにより純度94%、例1と同じバッチから)はフラスコに添加され、クロロベンゼン50mLで洗い落とされた。反応物は15分間撹拌されてから、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。それから、固体物は第二丸底フラスコに移され、THF200mLでスラリー化された。このスラリーは30分間撹拌されてから、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。それから、得られた固体物は、さらに別の丸底フラスコに移され、氷浴で冷却された。氷冷したCSの75mLは第三の丸底フラスコに添加され、30分間撹拌された。それから、混合物はブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。ろ紙上の得られた固体物は真空乾燥され、7.29gの淡黄色結晶材料(亜鉛錯体中の硫黄に基づいて収率72%)を得た。UQ元素分析法を用いた評価は、この材料が、硫黄95.58%(ラマン分光法により、微量のシクロオクタ硫黄および高分子硫黄を含むシクロドデカ硫黄化合物(S12)中で高濃縮)、亜鉛4.34%および臭素0.08%であることを示した。
例4.金属硫黄誘導体用溶媒および酸化剤用分散剤としてのp−キシレン
撹拌棒、窒素パージおよび冷水式冷却器を装備した1L丸底フラスコに、p−キシレン450mLが添加された。フラスコは氷浴で冷却された。それから、(TMEDA)Zn(S)錯体20グラム(NMRにより純度94%、例1と同じバッチから)。臭素8.06グラムは、小さいバイアル中に重量を量り入れられ、追加の漏斗に移された。臭素は、15分かけて丸底フラスコにゆっくりと添加された。臭素の添加後、反応物はさらに15分間撹拌されてから、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。それから、固体物は第二丸底フラスコに移され、THF200mLでスラリー化された。このスラリーは30分間撹拌されてから、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。それから、得られた固体物は、さらに別の丸底フラスコに移され、氷浴で冷却された。氷冷したCSの75mLは第三の丸底フラスコに添加され、30分間撹拌された。それから、混合物はブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。ろ紙上の得られた固体物は真空乾燥され、6.85gの淡黄色結晶材料(亜鉛錯体中の硫黄に基づいて収率64.4%)を得た。UQ元素分析法を用いた評価は、この材料が、硫黄92.37%(ラマン分光法により、微量のシクロオクタ硫黄および高分子硫黄を含むシクロドデカ硫黄化合物(S12)中で高濃縮)、亜鉛6.85%および臭素0.78%であることを示した。
例5.15℃の反応区間温度における金属硫黄誘導体用溶媒および酸化剤用分散剤としての塩化メチレン
塩化メチレン4リットルは、撹拌しながら、機械式撹拌機、漏斗、水冷式冷却器、窒素バブラー、および冷却浴を装着した12リットルジャケット付き円筒型フラスコに添加された。臭素100グラムは漏斗により添加され、塩化メチレン約100mLで洗い落とされた。フラスコの内容物は15℃まで冷却された。それから、(TMEDA)Zn(S)錯体233.93グラム(NMRにより純度99%、例1と同様に調製)は反応器に漏斗により添加され、塩化メチレン約100mLで洗い落とされた。反応器内容物は15分間撹拌され、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。THF約3Lがフラスコに添加され、30分間撹拌された。THFで洗浄された固体物は、ブフナー漏斗および1ミクロンろ紙を用いてろ過された。得られたTHF湿潤固体物は、CSの100mLを用いてブフナー漏斗上でさらに洗浄された。ろ紙上の得られた固体物は真空乾燥され、72.5グラムの淡黄色結晶材料(亜鉛錯体中の硫黄に基づいて収率62%)を得た。UQ元素分析法を用いた評価は、この材料が、硫黄97.9%(ラマン分光法により、微量のシクロオクタ硫黄および高分子硫黄を含むシクロドデカ硫黄化合物(S12)中で高濃縮)、亜鉛1.72%および臭素0.37%であることを示した。
(N−メチルイミダゾール)Zn(S)からシクロドデカ硫黄の調製
例6.(N−メチルイミダゾール)Zn(S)の調製
亜鉛(7.06g、108mmol、1.0当量)および硫黄(20.86g、650mmol、6.02当量)は、N下、乾燥N−メチルイミダゾール(155mL)中16時間撹拌された。暗赤色溶液は室温まで冷却され、エチルエーテル200mLで希釈され、0℃で6時間保持された。得られた固体物はろ過により集められ、N−メチルイミダゾールおよびエチルエーテルから再結晶化されて18.5gの明黄色固体物(収率40.3%)を得た。ICPは、硫黄48.2%、亜鉛16.5%、残余35.3%は有機物(計算値:硫黄45.3%、亜鉛15.4%、有機物38.7%)であることを示した。定量NMRは、この材料が純度97%であることを示した。
シクロドデカ硫黄の調製
臭素(6.03g、240mmol、1.0当量)は、丸底フラスコ中のジクロロメタン300mLに添加された。混合物は1℃まで冷却された。(N−メチルイミダゾール)Zn(S)は全て一度に添加され、ジクロロメタン60mLで洗浄された。7℃までの発熱が観察された。撹拌10分後に橙色が消え、この時点で温度は再び下がり始めた。固体物はろ過により集められた。材料はTHF中にスラリー化され、ろ過により集められ、CS中にスラリー化された。固体物はろ過により集められ、真空乾燥されて2.25gの淡黄色粉末物(収率31%)を得た。ラマンは、この材料が、一部シクロオクタ硫黄を含む大部分がシクロドデカ硫黄化合物であることを示した。ICPは、この材料が硫黄88.9%、亜鉛7.7%および臭素4.4%であることを示した。
例7.[PPh[Zn(S]の調製
硫化ナトリウム九水和物(6.4g、26.7mmol、1.0当量)および水160mLは窒素下丸底フラスコに添加され、充分にパージされた。粉砕した硫黄(2.33g、72.7mmol、2.72当量)は添加され、混合物は50℃まで30分間加熱された(スラリー)。塩化テトラフェニルホスホニウムおよび水270mLは、窒素下別の丸底フラスコに添加され、充分にパージされ、50℃まで30分間加熱された(ほとんど全て溶液)。塩化テトラフェニルホスホニウム溶液は第一フラスコに添加された。明橙色結晶が直ぐに観察された。新たな混合物は50℃で2時間撹拌された。固体物はろ過により集められ、水でよく洗浄された。結晶は、水400mL中に再スラリー化され、2時間撹拌された。固体物は、ろ過により再度捕集され、吸引乾燥されて13.13gの[PPh[S](硫黄に基づいて収率100%)を得た。
アセトニトリル(100mL)は窒素下丸底フラスコに添加され、充分にパージされた。[PPh[S](10g、11.5mmol、1.0当量)および(TMEDA)Zn(S)(4.3g、11.5mmol、1.0当量−NMRにより純度99%)は添加され、アセトニトリル50mLで洗浄された。リン化合物が添加された場合、溶液は暗青色になり、(TMEDA)Zn(S)が添加された場合、明黄色になった。混合物は室温で6時間撹拌された。エーテル(400mL)が添加された。得られた固体物はろ過により集められ、エーテルで洗浄され、吸引乾燥されて12.06gの明黄色固体物を得た。(収率93%)。ICPは、硫黄18.2%およびリン6.62%(計算値:硫黄22%およびリン7.1%)を示した。
シクロドデカ硫黄の合成
ジクロロメタン(100mL)は丸底フラスコに添加された。ジクロロメタン50mL中の臭素(2.83g、17.7mmol、2.0当量)が添加された。[PPh[Zn(S](10g、8.86mmol、1.0当量)は全て一度に添加された。20℃から29℃まで発熱があった。臭素色は直ぐに消えた。混合物はろ過され、ろ紙に強力に接着して除去できない固体物を除去した。黄色固体物はろ液から結晶化した。ろ液はロータリーエバポレーターで濃縮され、得られた固体物はメタノール中で一夜撹拌され、不純物を除去した。残った固体物はろ過により集められ、メタノールで洗浄され吸引乾燥されて2.34gの材料([PPh[Zn(S]に基づいて収率69%)を得た。UQは、この材料が硫黄99.9%、亜鉛0.02%および臭素0.05%であることを示した。ラマンは、シクロドデカ硫黄化合物のみであることを示した。
例8.シクロドデカ硫黄材料の融点の比較
本発明の精製シクロドデカ硫黄のいくつかのバッチは、例1および2により例示された手順に従って調製された。各最終精製材料はラマン、Uniquat(登録商標)またはICPにより分析され、融点開始温度は上記のようにDSCを用いて測定された。結果は、Steudel,R.;Eckert,B.,“Solid Sulfur Allotropes”,Topics in Current Chemistry(2003)中の10℃/分、5℃/分、および2.5℃/分のDSC加熱速度で測定された報告されたデータから外挿された「対照」シクロドデカ硫黄の融点と共に、下表8に記載されている。
上記のように、本発明のシクロドデカ硫黄は、従来技術のシクロドデカ硫黄化合物より実質的にかつ予想外に高い融点開始を示す。本発明の融点の観察された変動は、ラマンにより検出されたようにサンプル中の不純物の程度が原因と予想された。
例9.粗シクロドデカ硫黄の精製
粗シクロドデカ硫黄は、(TMEDA)Zn(S)錯体および臭素から例1のように調製され、ICPにより亜鉛1.9重量%および臭素0.5重量%を含有し、ラマンによりシクロオクタ硫黄および高分子硫黄を含有することが見出された。融点開始温度は、上記のようにDSCを用いて132℃と測定された。この粗シクロドデカ硫黄2グラムは、p−キシレン8グラムに添加され、混合しながら1時間115℃まで加熱された。それから、残った固体物は容器の底に沈降させて、液体は115℃の温度を維持しながらデカンテーションして除いた。固体物は50℃まで冷却され、アセトン15グラムで再スラリー化され、沈降させて、それから、液体はデカンテーションして除いた。アセトンスラリーステップはさらに2回繰り返されp−キシレンの除去を確かにした。塩酸水溶液の希釈溶液は、37重量%塩酸水溶液の0.22グラムを脱塩水14.78グラムと混合することにより調製された。アセトン再スラリーステップからの固体材料は、塩酸希釈水溶液と混合され、40℃で1時間保持された。全混合物の約10%に相当するアセトン数滴は、凝集を防ぎ、硫黄材料が溶液中に分散するのに役立つように固体−塩酸混合物に添加された。容器は通気させて、発生したガスを放出させた。ガス発生が止まった後、固体物は沈降させて、液体はデカンテーションして除いた。残った固体物はアセトン15グラムでスラリー化され、沈降させて液体を除いた。アセトン洗浄ステップはさらに2回繰り返された。最終デカンテーション後、追加のアセトンはろ紙を取り付けたブフナー漏斗で真空ろ過により除去された。ブフナー漏斗からの固体物は、各回二硫化炭素15グラムを用いて再スラリー化、沈降、デカンテーションを2回行われた。最終デカンテーション後、追加の二硫化炭素はろ紙を取り付けたブフナー漏斗で真空ろ過により除去された。精製シクロドデカ硫黄材料は真空下40℃で乾燥された。乾燥後、精製シクロドデカ硫黄1.55gの全ては元の粗シクロドデカ硫黄の78%の収率で回収された。XRDでは、シクロオクタ硫黄が検出されなかった(検出限界1%)が、ラマンでは、シクロオクタ硫黄も高分子硫黄も検出されなかった。ICP分析から算出すると、精製シクロドデカ硫黄の亜鉛および臭素レベルは、元の粗シクロドデカ硫黄のレベルと比較して97%および94%まで減少した。融点開始温度は、DSC(ランプ速度20℃/分)により158.7℃と見出された。
例10.加熱およびp−キシレンからの結晶化による粗シクロドデカ硫黄の精製
粗シクロドデカ硫黄は、(TMEDA)Zn(S)錯体および臭素から例1のように調製され、ICPにより亜鉛1.9重量%および臭素0.5重量%を含有し、ラマンによりシクロオクタ硫黄および高分子硫黄を含有することが見出された。融点開始温度は、上記のようにDSCを用いて132℃と測定された。この粗シクロドデカ硫黄7.53グラムは、容器の底に1ミクロンガラスフリットプレートおよび機械式撹拌機を装着した1.5リットルジャケット付きガラス製容器に添加された。p−キシレン1504.45グラムはこのフリットガラス製容器に添加され、粗シクロドデカ硫黄およびp−キシレンの混合物は撹拌しながら30分間115℃まで加熱された。容器の内容物は、真空により、フリットフィルターを通って、機械式撹拌機を装着した第二の1.0リットルジャケット付きガラス製容器中に引き入れられた。1.0リットル容器の内容物は、撹拌しながら、18℃まで冷却された。溶液が冷却されるにつれて、淡黄色結晶の大きな収穫物が生成されているのが見られた。1時間保持後、スラリーは1ミクロンフィルターで覆ったフリットフィルター上に流された。黄色結晶は、真空濾過により液体から取り出され、2.97グラムの重量であると見出された。上記熱処理および再結晶化手順は、UniQuant分析より純度99.9%超のシクロドデカ硫黄結晶を製造することが見出された。ろ過ステップからの固体物は、3つの画分に分けられ、各部分は二硫化炭素、アセトン、またはp−キシレンのいずれか20グラムで洗浄された。3種の洗浄されたサンプルは、0.017MPa(絶対圧)で設定された真空乾燥器内で室温において一夜乾燥され、融点はDSCにより決定された。各乾燥サンプルの顕微鏡写真を撮り、晶癖およびおおよその粒度範囲を決定した。結果は表10に示す。
例11.加熱およびクロロベンゼンからの結晶化による粗シクロドデカ硫黄の精製
粗シクロドデカ硫黄は、(TMEDA)Zn(S)錯体および臭素から例1のように調製され、ICPにより亜鉛1.9重量%および臭素0.5重量%を含有し、ラマンによりシクロオクタ硫黄および高分子硫黄を含有することが見出された。融点開始温度は、上記のようにDSCを用いて132℃と測定された。この粗シクロドデカ硫黄7.47グラムは、容器の底に1ミクロンガラスフリットプレートおよび機械式撹拌機を装着した1.5リットルジャケット付きガラス製容器に添加された。クロロベンゼン1499.7グラムはこのフリットガラス製容器に添加され、粗シクロドデカ硫黄およびクロロベンゼンの混合物は撹拌しながら30分間115℃まで加熱された。容器の内容物は、真空により、フリットフィルターを通って、機械式撹拌機を装着した第二の1.0リットルジャケット付きガラス製容器中に引き入れられた。1.0リットル容器の内容物は、撹拌しながら、18℃まで冷却された。溶液が冷却されるにつれて、淡黄色結晶の大きな収穫物が生成されているのが見られた。1時間保持後、スラリーは1ミクロンフィルターで覆ったフリットフィルター上に流された。黄色結晶は、真空濾過により液体から取り出され、3.75グラムの重量であると見出された。上記熱処理および再結晶化手順は、UniQuant分析より純度99.9%超のシクロドデカ硫黄結晶を製造することが見出された。ろ過ステップからの固体物は、3つの画分に分けられ、各部分は二硫化炭素、アセトン、またはクロロベンゼンのいずれか20グラムで洗浄された。3種の洗浄されたサンプルは、0.017MPa(絶対圧)で設定された真空乾燥器内で室温において一夜乾燥され、融点はDSCにより決定された。各乾燥サンプルの顕微鏡写真を撮り、晶癖およびおおよその粒度範囲を決定した。結果は表11に示した。
例12.加熱、亜鉛の沈降、および結晶化によるシクロドデカ硫黄の精製
クロロベンゼン4リットルは、ピッチ翼機械式撹拌機、窒素パージ、水冷式冷却器、および容器ジャケットを流れる温度制御油の循環用加熱浴を装着した6リットルジャケット付きガラス製処理槽に添加された。循環油浴は、処理槽を115℃の内部温度になるように調節された。下記例17で製造された粗S12の500グラムは約300rpmで撹拌しながら処理槽に添加された。粗S12は、Uniquant元素分析により、Zn 1.3重量%、Br 0.82重量%、および残余Sを含んだ。得られたスラリーは、30分間撹拌しながら115℃で維持された。それから、処理槽は撹拌しながら、室温(約20℃)まで冷却された。
一旦、室温になれば、撹拌は停止されて、大きく密度のより高い硫黄および亜鉛粒子が処理槽底部に迅速に沈降した。より小さい、密度のより低い、より浮力のある灰緑色亜鉛粒子がゆっくりと沈降し、大部分は懸濁したままであった。懸濁亜鉛粒子を含む灰緑色上澄みは、真空吸引により処理槽から除去された。主要な硫黄ケーキが大部分乱されないことを確かにするように注意した。処理槽から除去された液体は、5ミクロンろ紙を通過させて、灰色固体物が堆積した。得られたろ液は透明黄色であった。黄色ろ液は、硫黄ケーキを含む6リットル処理槽に戻された。室温において、沈降した固体物が再懸濁するように撹拌を開始した。撹拌を再び停止し、沈降させて、硫黄ケーキおよび懸濁粒子を含むより明るい灰緑色上澄みとなった。この撹拌/沈降/ろ過サイクルは、得られた上澄みがもはや緑がかってなくて、透明黄色になるまで4回繰り返された。フィルター上に集められた亜鉛を豊富に含む固体物は、真空下、50℃で一夜乾燥された。これらの乾燥された固体物は、23.8グラムの重量であると見出された。
沈降時、上澄み中にもはや懸濁したまま残っている軽い亜鉛粒子がない場合、沈降した硫黄を豊富に含む固体物を再懸濁するために撹拌を開始した。懸濁された硫黄を豊富に含む固体物は、真空により処理槽から引き抜かれ、5ミクロンろ紙を通って、明黄色および灰色固体物が堆積した。これらの固体物は処理槽に戻され、精製クロロベンゼン4リットルは添加された。室温において、沈降した固体物が再懸濁するように撹拌を開始した。撹拌を停止し、沈降させて、黄色硫黄粒子の上側層を含む重い粒子の密度の高い灰色亜鉛層、および硫黄粒子が懸濁した薄黄色上澄みを得た。懸濁硫黄粒子を含む薄黄色上澄みは、真空吸引により処理槽から除去された。亜鉛層が大部分乱されないままであることを確かにするように注意した。処理槽から除去された液体は、5ミクロンろ紙を通過させて、黄色硫黄固体物が堆積した。得られたろ液は処理層に戻された。撹拌を開始してケーキを再スラリー化し、それから停止して、最も重い亜鉛粒子を沈降させて、硫黄の上側層を含む第一亜鉛層を得た。再び、懸濁硫黄粒子は真空により除去され、ろ過されて、ろ液は処理層に戻された。この撹拌/沈降/ろ過サイクルは5回繰り返され、主に亜鉛層のみが残るまで硫黄粒子の全てを徐々に除去した。それから、この最終の亜鉛層は処理容器から除去され、14.23グラムの重量であることが見出された。フィルター上に集められた硫黄固体物は、真空下、50℃で一夜乾燥された。これらの乾燥固体物は、350.69グラムの重量であることが見出された(供給した元の粗S12の70%回収)。ICP法による元素分析は、Zn0.61重量%、Br0.12重量%、および残余が硫黄であることを示した。ラマンは、シクロドデカ硫黄の存在のみ示した。融点は、20℃/分の加熱速度でDSCにより156.4℃であると決定された。
上記沈殿ステップにより製造されたシクロドデカ硫黄生成物は、結晶化によりさらに処理された。このシクロドデカ硫黄12グラムは、容器の底に1ミクロンガラスフリットプレートおよび機械式撹拌機を装着した1.5リットルジャケット付きガラス製容器に添加された。クロロベンゼン1200グラムはこのフリットガラス製容器に添加され、粗シクロドデカ硫黄およびクロロベンゼンの混合物は撹拌しながら30分間115℃まで加熱された。容器の内容物は、真空により、フリットフィルターを通って、機械式撹拌機を装着した第二の1.0リットルジャケット付きガラス製容器中に引き入れられた。1.0リットル容器の内容物は、撹拌しながら、18℃まで冷却された。溶液が冷却されるにつれて、淡黄色結晶の大きな収穫物が生成されているのが見られた。30分間保持後、スラリーは1ミクロンろ紙で覆ったフリットフィルター上に流された。ろ液は、1.5リットル容器に戻され、再加熱されて追加のS12を溶解し、次いで、上澄みを1リットル容器に流し出し、冷やして結晶を生成させてろ過した。この処理は、もはやS12がクロロベンゼンに溶解されなくなるまで繰り返された。合わせた明黄色結晶の収穫物は真空ろ過により液体から取り出され、アセトン200グラムで洗浄された。洗浄されたサンプルは、0.017MPa(絶対圧)で設定された真空乾燥器内で室温において一夜乾燥された。乾燥結晶化固体物(10.0グラム)の融点は、DSCにより159.5℃と決定された。サンプルは、Uniquantにより、硫黄99.85重量%、Zn0.112重量%、およびBr0.0014重量%であると見出された。
例13.加熱およびクロロベンゼンからの結晶化による粗シクロドデカ硫黄の精製
例17からの粗シクロドデカ硫黄(500グラム)は、容器の底に1ミクロンガラスフリットプレートおよび機械式撹拌機を装着した6リットルジャケット付きフリットガラス製容器に添加された。クロロベンゼン4400グラムはこのフリットガラス製容器に添加され、粗シクロドデカ硫黄およびクロロベンゼンの混合物は撹拌しながら30分間115℃まで加熱された。容器の内容物は、真空により、フリットフィルターを通って、機械式撹拌機を装着した第二の下側6.0リットルジャケット付きガラス製容器中に引き入れられた。下側6.0リットル容器の内容物は、撹拌しながら、18℃まで冷却された。溶液が冷却されるにつれて、淡黄色結晶の大きな収穫物が生成されているのが見られた。1時間保持後、スラリーは1ミクロンフィルターで覆ったフリットフィルター上に流された。ろ液は、上側容器に戻され、115℃まで再加熱されてより多くのS12を溶解し、下側容器に落とされ、18℃まで冷却されてさらなる結晶を製造した。下側容器の冷却の際、もはや結晶が生成するのが見られなくなるまで、この処理は20回繰り返された。フリットフィルター上の黄色結晶は、真空ろ過により液体から取り出された。ろ過ステップからの固体物はアセトンで洗浄された。洗浄されたサンプルは、0.017MPa(絶対圧)で設定された真空乾燥器内で室温において一夜乾燥された。乾燥サンプルは、350.69グラムの重量であり、融点はDSCにより162.1℃であると見出された。サンプルは、Uniquantにより硫黄99.9重量%超であり、XRD分析によりシクロドデカ硫黄99%超であることが見出された。
例14.水添加ありなしでの(TMEDA)Zn(S)の合成
テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(2042グラム、85重量%、純度99%、試薬プラスグレード)およびメタノール(360グラム、15重量%)は、機械式撹拌機(容器壁すれすれまで達する)、熱電対、Nバブラー、および水冷式冷却器を装備した6L四口ジャケット付きガラス製反応器に添加された。システムは窒素でパージされ、混合物温度は22℃に調節された。新たに粉砕したシクロオクタ硫黄粉末(673グラム、純度約90%)は、425〜450rpmの撹拌速度を維持しながら、数分かけて添加された。この懸濁液に、金属亜鉛(207グラム、3.1モル、粒度<10μm、純度≧98%)は、同じ撹拌速度を維持しながら、5分かけて添加された。この反応混合物を86℃で2時間加熱後、褐色溶液はいくらかの緑色がかった沈殿物をもたらした。これは、反応物が所望の(TMEDA)Zn(S)錯体を上手く生成しなかったことを示した。この点で、水78gは、反応物に添加され、得られた混合物は86℃までさらに2時間加熱され、(TMEDA)Zn(S)の黄色沈殿物が生成した。反応時間終了時、フラスコは室温に冷却され、撹拌機を停止し、真空排気により自由液体を除去した。メタノール(2000ml)はフラスコに添加されてスラリーを生成し、1時間撹拌された。それから、得られたスラリーは真空ブフナーフィルター(1ミクロン紙)でろ過され、各600mlのメタノールで2回洗浄された。固体はフィルターから除去されて、50℃、0.1MPaに設定された真空乾燥器内で一夜乾燥された。相当する収率はほぼ定量的で、1087グラムの金属硫黄誘導体(TMEDA)Zn(S)錯体は、NMR分光法による測定として純度97.5%で回収された。同じ反応条件下、複数回の実施において同様な収率および純度が一様に達成された。水の添加は、低グレードのTMEDAを用いてでさえ、高収率および純度で(TMEDA)Zn(S)錯体を一貫して製造した。
例15.(TMEDA)Zn(S)の大規模合成
次の手順および装置を用いて、(TMEDA)Zn(S)の11バッチを製造した。バッチ1についての詳細は下記に示し、他の10バッチについての具体的な違いは表15を参照する。テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(10590.0グラム、純度99%、試薬プラスグレード)、メタノール(1869グラム)、および脱塩水(248グラム、13.77モル)は、22リットルの窒素パージした、機械式ピッチ翼撹拌機、蒸気ジャケット、Nパージ、および2.54cm×30cm 316Lステンレス鋼ウォータージャケット冷却装置を装備した316Lステンレス鋼反応器に添加された。蒸気は反応器ジャケットに添加され、内部温度を25℃に調節し、撹拌は250rpmに設定された。新たに粉砕したシクロオクタ硫黄粉末(2387グラム、74.59モル、純度99%超シクロオクタ硫黄フレークを粉砕して得られた)は、250rpmで撹拌しながら10分かけて添加された。撹拌は350rpmに増強され、金属亜鉛(734グラム、11.23モル、粒度<10μm、純度≧98%)は、350rpmで撹拌しながら10分かけて添加された。撹拌は375rpmに増強され、それから、得られた混合物は86℃までゆっくり加熱された。蒸気性材料(大部分メタノール)は約75℃で反応器から沸騰し始め、ステンレス鋼冷却装置で濃縮して絶えず反応器に戻された。反応器温度は87.8℃に維持され、内容物は375rpmで3時間撹拌された。反応時間終了時、反応器は室温に冷却され、撹拌機は100rpmに設定され、反応器内容物は反応器の底弁を通してポリエチレンカーボイに排出された。追加の4リットルの新鮮なメタノールは反応器に添加され、撹拌は150rpmに増強され、それから、反応器内容物は同じカーボイに排出された。5ミクロンポリプロピレン布を備えた36cm×36cm金属性ヌッチェ、真空レシーバーフラスコ、および真空システムは準備され、反応ステップから粗(TMEDA)Zn(S)を受けた。反応流出スラリーは撹拌され、ヌッチェ布面上に注がれ、真空下(0.025〜0.06MPa)、ろ過により液体から排出された。ヌッチェ上の固体物はメタノール約40リットルで洗浄され、残TMEDAおよび未反応硫黄を除去した。洗浄した固体物はヌッチェ布から除去され、大きな金属製トレイ上に拡げられ、55℃および0.025〜0.06MPaに設定された真空乾燥器内で24時間乾燥された。乾燥した金属硫黄誘導体(TMEDA)Zn(S)錯体の重量は、3837.6グラムであると決定され、NMR分光法による測定として純度97.4%で回収された。亜鉛金属に対するモル収率は89.2%であった。バッチ1〜4および6〜11について平均純度は95.4%であった。
例16.臭素および(TMEDA)Zn(S)錯体からのシクロドデカ硫黄の大規模調製
2つのピッチ翼タービンインペラ、ジャケットのグリコール冷却液、窒素パージシステム、固形物投入漏斗、およびポンプ圧送追加ラインを装着したジャケット付きガラス内張1893リットルスチール反応器が使用され、臭素および例15で製造された(TMEDA)Zn(S)から粗シクロドデカ硫黄を製造した。クロロベンゼン(純度>99重量%、355.3キログラム)は反応器に投入され、100rpmで撹拌され、約−4.6℃まで一夜冷却された。例15で調製した(TMEDA)Zn(S)の乾燥したバッチ#1(3776.3グラム)、#2(3308.0グラム)、#3(4297グラム)、および#4の一部(1900グラム)は、撹拌しながら、固形物投入漏斗を通して添加された。追加の6キログラムのクロロベンゼンは、残った固体物を洗浄するために、固形物投入漏斗を通して反応器に注がれた。撹拌は150rpmに増強され、前以て調製されたクロロベンゼン/臭素溶液(60kgクロロベンゼン、5497.6グラム臭素、室温まで冷却)は、1時間かけて、追加ラインにより反応器にポンプ送液された。添加ステップの間、反応器ジャケットへのグリコール冷却流は維持され、反応器温度は約4.5℃まで上昇し、臭素の(TMEDA)Zn(S)錯体との反応を示した。反応内容物は撹拌され、30分間冷却され、この間、反応器内部温度は2.0℃まで落ちた。反応器の底弁は開かれ、内容物は生成した粗シクロドデカ硫黄固体物のろ過のためステンレス鋼バスケット遠心分離機(5ミクロンポリプロピレンろ布を装着)に重量送りされた。それから、1893リットル反応器はアセトン420リットルを投入され、残固体物を再スラリー化した。それから、アセトンスラリーは遠心分離機に重力送りされ、粗シクロドデカ硫黄結晶の固体ケーキを通過した。遠心分離ケーキはアセトン105リットルでさらに洗浄され、さらに3時間遠心分離されて残りの液体を除去した。ケーキは除去され、ろ布から回収され、65.7%の含水率を含み14.75kgの重量であると見出された。湿った固体物はステンレス鋼パンに入れられ、50℃および0.067MPa(絶対圧)の真空乾燥器内で17時間乾燥された。このように製造された乾燥粗シクロドデカ硫黄の最終重量は、0.33重量%の含水率を含む5.05kgであった。
例17.臭素および(TMEDA)Zn(S)錯体からのシクロドデカ硫黄の大規模調製
2つのピッチ翼タービンインペラ、ジャケットのグリコール冷却液、窒素パージシステム、固形物投入漏斗、およびポンプ圧送追加ラインを装着したジャケット付きガラス内張1893リットルスチール反応器が使用され、臭素および例15で製造された(TMEDA)Zn(S)から粗シクロドデカ硫黄を製造した。クロロベンゼン(純度>99重量%、711.5キログラム)は反応器に投入され、100rpmで撹拌され、約−4.4℃まで一夜冷却された。例15で調製した(TMEDA)Zn(S)(25.2kg)の乾燥したバッチ#6〜#11は、撹拌しながら、固形物投入漏斗を通して添加された。追加の6キログラムのクロロベンゼンは、残った固体物を洗浄するために、固形物投入漏斗を通して反応器に注がれた。撹拌は150rpmに増強され、前以て調製されたクロロベンゼン/臭素溶液(120kgクロロベンゼン、10.2キログラムの臭素、室温まで冷却)は、1時間かけて、追加ラインにより反応器にポンプ送液された。添加工程の間、反応器ジャケットへのグリコール冷却流は維持され、反応器温度は約3.0℃まで上昇し、臭素の(TMEDA)Zn(S)錯体との反応を示した。反応内容物は撹拌され、20分間冷却され、この間、反応器内部温度は2.0℃まで落ちた。反応器の底弁は開かれ、内容物は生成した粗シクロドデカ硫黄固体物のろ過のためステンレス鋼バスケット遠心分離機(5ミクロンポリプロピレンろ布を装着)に重量送りされた。それから、1893リットル反応器はアセトン840リットルを投入され、残固体物を再スラリー化した。それから、アセトンスラリーは遠心分離機に重力送りされ、粗シクロドデカ硫黄結晶の固体ケーキを通過した。遠心分離ケーキはアセトン212リットルでさらに洗浄され、さらに5時間遠心分離されて残りの液体を除去した。ケーキは除去され、ろ布から回収され、27.6%の含水率を含み12.9kgの重量であると見出された。湿った固体物はステンレス鋼パンに入れられ、50℃および0.067MPa(絶対圧)の真空乾燥器内で24時間乾燥された。このように製造された乾燥粗シクロドデカ硫黄の最終重量は、0.30重量%の含水率を含む9.35kgであった。
例18.水添加ありでの(TMEDA)Zn(S)の調製
テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(2042グラム、85重量%、純度99%、試薬プラスグレード)、メタノール(360グラム、15重量%)、および水(78グラム)は、2つの機械式ピッチ翼撹拌機(容器壁すれすれまで達する)、熱電対、Nバブラー、および水冷式冷却器を装備した6L四口ジャケット付きガラス製反応器に添加された。システムは窒素でパージされ、混合物温度は22℃に調節された。新たに粉砕したシクロオクタ硫黄粉末(673グラム、純度99%超)は、425〜450rpmの撹拌速度を維持しながら、5分かけて添加された。この懸濁液に、金属亜鉛(207グラム、3.1モル、粒度<10μm、純度≧98%)は、同じ撹拌速度を維持しながら、5分かけて添加された。それから、緑色がかった黄色混合物は、86℃までゆっくり加熱され、2時間、または黄色沈殿物が見られるまで撹拌された。一旦、色が黄色になったならば、混合物はさらに1時間撹拌しながら加熱された。反応時間終了時、フラスコは室温に冷却され、撹拌機を停止し、真空排気により自由液体を除去した。メタノール(2000ml)はフラスコに添加されてスラリーを生成し、1時間撹拌された。それから、得られたスラリーは真空ブフナーフィルター(1ミクロン紙)でろ過され、各600mlのメタノールで2回洗浄された。固体はフィルターから除去されて、50℃、0.1MPaに設定された真空乾燥器内で一夜乾燥された。亜鉛金属に対する相当するモル収率は90.1%であり、金属硫黄誘導体(TMEDA)Zn(S)錯体1087グラムはNMR分光法による測定として純度98%で回収された。同じ反応条件下、複数回の実施において同様な収率および純度が一様に達成された。
例19.酸化剤として塩素(Cl)を用いたシクロドデカ硫黄化合物(S12)の調製
クロロベンゼン(25mL)は、撹拌子、熱電対、Nバブラーおよび栓を装備した100mL三口ガラス製フラスコに添加された。このフラスコに、亜鉛錯体、(TMEDA)Zn(S)(2.12g、5.53mmol、純度97.5%)は添加され、得られたスラリーは氷水浴を用いて0℃まで冷却された。次に、塩素の化学量論量(1Mクロロベンゼン溶液、5.5mL、5.53mmol、1.0当量)はフラスコに導入され、得られた混合物は15分間撹拌され、ろ過され、クロロベンゼンで洗浄されて吸引乾燥された。固体は、THF(200mL)中にスラリー化されて、ろ過され、吸引乾燥された。得られた固体は、低温CS(50mL)中にスラリー化されて、ろ過され、吸引乾燥されて、0.65gの淡黄色固体(亜鉛錯体中の硫黄に基づいて収率61.3%)を得た。X線回折(XRD)法およびラマン分光法を用いた評価は、混合物がシクロドデカ硫黄、シクロオクタ硫黄、および高分子硫黄種を含有することを示した。
例20.酸化剤として臭素(Br)の準化学量論的を用いたハロゲン化物のないシクロドデカ硫黄化合物(S12)の調製
クロロベンゼン(300mL)は、マグネチック撹拌子、滴下漏斗、Nバブラーおよび栓を装備した1L四口ガラス製フラスコに添加された。このフラスコに、亜鉛錯体、(TMEDA)Zn(S)(30.07g、75.98mmol、純度94.5%)は添加され、得られたスラリーは氷水浴を用いて0℃まで冷却された。酸化剤として臭素(3.85mL、74.46mmol、0.98当量)は、クロロベンゼン50mLを含む滴下漏斗に投入し、この溶液は約15分かけてフラスコに滴下された。溶液は15分間撹拌され、ろ過され、クロロベンゼンで洗浄され、残亜鉛錯体を除去し、吸引乾燥された。固体は、THF(500mL)中にスラリー化されて、ろ過され、吸引乾燥された。得られた固体は、低温CS(200mL)中にスラリー化されて、ろ過され、吸引乾燥されて、10.4gの淡黄色固体(亜鉛錯体中の硫黄に基づいて収率71.1%)を得た。UQ元素分析法を用いた評価は、材料が、硫黄99.9%(ラマン分光法により、シクロドデカ硫黄化合物(S12)+高分子硫黄)、および亜鉛148百万分率(ppm)を有することを示した。UQ元素分析による臭素含有不純物は検出されなかった。
例21.二硫化炭素、クロロベンゼン、およびパラキシレン中のシクロオクタ硫黄、シクロドデカ硫黄、および結晶性高分子硫黄の溶解性
p−キシレン50グラムは、循環加熱浴、水冷式冷却器、マグネチック撹拌子および撹拌プレート、ならびに窒素パージを装着した3つの同じ100ミリリットルジャケット付きガラス製容器にそれぞれ添加された。全ての容器は、所望の温度まで加熱され、シクロオクタ硫黄、シクロドデカ硫黄(例2のように調製)、およびオイル分を除去した市販結晶性高分子硫黄(Crystex(商標))は充分な量で各ガラス製容器に添加され、混合物の溶解および平衡後未溶解固体物を残存させた。平衡期間は通常2〜8時間続き、この間、容器の内容物は所望の温度で維持され、継続的に撹拌された。平衡時、上澄み液は加熱されたフリットガラス製ピペット(溶液と同じ温度まで加熱された)により容器から取り出された。上澄みはUniquantにより分析され、容器温度における硫黄種の溶解性を示す硫黄含有量を決定した。同様な実験は、3つの溶質の各々に対して二硫化炭素、クロロベンゼンについて行われた。各溶媒中の溶質の溶解性(重量%)は、表21にまとめている。
例22.p−キシレン中の結晶性高分子硫黄の熱分解
この実験の目的は、高分子硫黄がp−キシレン中シクロオクタ硫黄に熱分解する速度を決定するためであった。高分子がシクロオクタ硫黄に分解する場合を除いて、高分子硫黄はp−キシレンに本質的に不溶である。したがって、p−キシレン中の硫黄含有量は、シクロオクタ硫黄に分解した高分子硫黄の量の尺度である。この実験では、p−キシレン50.32グラムは、循環加熱浴、水冷式冷却器、マグネチック撹拌子および撹拌プレート、ならびに窒素パージを装着した100ミリリットルジャケット付きガラス製容器に添加された。p−キシレンは115℃まで加熱され、オイル分を除去した市販結晶性高分子硫黄(Crystex(商標))2.03グラムは撹拌しながら添加された。定期的に上澄み液のサンプルは、加熱されたフリットガラス製ピペット(溶液と同じ温度まで加熱された)により容器から取り出された。これらの上澄みサンプルはUniquantにより分析され、硫黄含有量を決定した。硫黄含有量を使用して未溶解のままでシクロオクタ硫黄に分解していない高分子硫黄の量を算出した。115℃で60分および75分後、それぞれ、約85%および本質的に100%の高分子硫黄はシクロオクタ硫黄に転化されていた。
例23.p−キシレン中のシクロドデカ硫黄の熱分解
高分子硫黄の分解の測定のため例22で使用された装置および手順が使用され、パラキシレン中でのシクロドデカ硫黄の分解を測定した。精製シクロドデカ硫黄(例2と同様な手順により製造)2グラムは、循環加熱浴、水冷式冷却器、マグネチック撹拌子および撹拌プレート、ならびに窒素パージを装着した100ミリリットルジャケット付きガラス製容器中のp−キシレン50.0グラム中で加熱、撹拌された。115℃で60分、75分、および120分後、p−キシレン溶媒中の硫黄含有量は、Uniquantにより、115℃におけるp−キシレン中のシクロドデカ硫黄の溶解性と同様に、いずれの場合も約0.4重量%であると見出された。p−キシレンの冷却、ろ過、および回収した固体物を室温および0.067MPa(絶対圧)の真空乾燥器内で一夜乾燥し、固体物のシクロドデカ硫黄の投入した重量の97%超が回収された。この材料は、DSCにより161℃の融点を有し、高純度のシクロドデカ硫黄生成物であることを示した。
例24.Oによる(TMEDA)ZnSの酸化
室温で4時間、エチレンジアミン(4.0mmol)の存在下、水(30mL)中の(TMEDA)ZnS6(1.0mmol)懸濁液にOガスはバブリングされ、明黄色懸濁液を得た。懸濁液はろ過され、HO、アセトン、およびジクロロメタンで洗浄され、それから、風乾されて、シクロヘキサ硫黄、シクロオクタ硫黄、およびシクロドデカ硫黄を含むシクロドデカ硫黄含有反応混合物を、50%硫黄収率で得た。
例25.Hによる(TMEDA)ZnSの酸化
室温で4時間、エチレンジアミン(4.0mmol)の存在下、水(30mL)中の(TMEDA)ZnS(1.0mmol)懸濁液にH(34重量%水溶液)は30分かけて滴下され、明黄色懸濁液を得た。懸濁液はろ過され、HO、アセトン、およびジクロロメタンで洗浄され、それから、風乾されて、シクロヘキサ硫黄、シクロオクタ硫黄、およびシクロドデカ硫黄を含むシクロドデカ硫黄含有反応混合物を、70%硫黄収率で得た。
例26.SOClによる(TMEDA)ZnSの酸化
−78℃においてジクロロメタン(40mL)中の(TMEDA)ZnS(3.0mmol)の懸濁液に、SOCl(6.0mmol)は60分かけて滴下された。得られた溶液は、−78℃でさらに1時間撹拌された。0℃に温めると、明黄色懸濁液が生成した。懸濁液は、HOの15ml中1M HCL溶液5mlで反応停止された。反応停止した溶液はろ過され、HO、アセトン、およびジクロロメタンで洗浄され、それから、風乾されて、シクロドデカ硫黄を含むシクロドデカ硫黄含有反応混合物を、40%硫黄収率で得た。
例27.クロロベンゼンからの結晶化による粗シクロドデカ硫黄の精製
例17からの粗シクロドデカ硫黄は加熱処理され、例12と同様に亜鉛沈降に供された。この部分的に精製した材料は、連続的に溶解およびクロロベンゼン溶媒からの冷却結晶化ステップに供されて精製S12生成物を製造した。連続的溶解−結晶化装置は、反時計回りの流れの順で次のものを備えていた:ステンレス鋼スクリーンにより覆われ、かつ、容器の底の穿孔されたテフロンプレート上に支えられた5ミクロンろ紙、機械式撹拌機、水冷式冷却器、上側溶媒入口ポート、および底フロー弁を装着した15リットルジャケット付きガラス製溶解槽(蒸気加熱);遠心分離ポンプ(最大23リットル/分の最大流速);螺旋巻きガラス焼き付け繊維エレメントを装着したカートリッジフィルター(0.75ミクロン、面積0.046m);5cmステンレス鋼シェル(冷却液側−冷却水クーラント)中の20メートルのコイル状1.25cm公称直径ステンレス鋼チュービング(プロセス側)を備えるチューブ型熱交換器中のシェル;5ミクロン0.1m面積ポリプロピレン織布フィルターを装着したバグフィルターおよびハウジング;4リットルステンレス鋼母液槽;遠心分離ポンプ(最大23リットル/分の最大流速);5cmステンレス鋼シェル(加熱液側−蒸気加熱)中の20メートルのコイル状1.25cm公称直径ステンレス鋼チュービング(処理側)を備えるチューブ型熱交換器中のシェル;溶解槽に戻る高熱交換器からの出口。溶解槽、カートリッジフィルター、高熱交換器を冷熱交換機の処理入口まで連結する全てのチュービングは電気加熱テープを装着され、所望の溶解温度を維持した。冷熱交換機、母液槽を高熱交換器の入口まで連結する全てのチュービングは、気泡断熱材を装着され、所望の溶解温度を維持した。処理液および入口冷却水流の両方は槽の先端(それぞれ、チューブ内およびシェル側)で冷熱交換機に入り、並流を得た。
溶解槽は、15リットルのクロロベンゼンで満たされ、溶媒循環は5.4リットル/分で開始された。高熱交換器および溶解槽への蒸気流および凍結防止帯は、実験全体にわたって冷熱交換機への処理液入口において106.5℃の平均温度を維持するように調節された。冷却水流は、実験全体にわたって冷熱交換機の処理側出口温度を平均24.7℃に維持するように調節された。一旦、上記平衡温度が処理液ループ内で達したならば、50グラムの供給材料(上記の部分的に精製したS12)は溶解槽に添加され、黄緑色スラリー混合物を生成した。5分以内で、明黄色結晶はバグフィルター内に集まるのが見られる。さらに5〜10分後、溶解槽は透明になり、S12の除去を示し、暗灰緑色固体物がろ紙上に見られる。供給材料のさらに51グラムの投入は溶解槽に添加され、溶解槽は再び透明になるまで処理は繰り返した。供給材料のさらに50グラムの投入が添加され、302.34グラムの総投入量に対して処理された。流れは停止されて、明黄色結晶はバグフィルターから取り出された。バグフィルターからの溶媒で湿ったS12固体物はアセトンで洗浄されてクロロベンゼンを除去し、0.017MPa(絶対圧)に設定された真空乾燥器内で室温において一夜乾燥された。乾燥S12結晶生成物(243グラム)の融点はDSCにより162.1℃と決定され、Uniquantにより硫黄99.9重量%超の純度であり、PSD分析により41ミクロンのDv(50)であった。
例28.クロロベンゼンからの衝突噴流冷却結晶化による粗シクロドデカ硫黄の精製
粗シクロドデカ硫黄は、例13のように熱処理ステップにより精製され、衝突噴流冷却結晶化ステップでさらに処理されて目的に応じた粒度のシクロドデカ硫黄結晶を製造した。衝突噴流装置は、2つの撹拌された高温および低温ガラス製ジャケット付き4リットル容器、ポンプ送液用ギアポンプ、ステンレス鋼衝突噴流T字管(寸法:2mm内径冷低温流体入口、2mm内径高温流体入口、5mm出口チュービング)、フリットガラスプレート上の1ミクロンろ紙、およびガラス製ろ液回収槽を備えた。
第一実験では、4.5グラムの熱処理S12は、110℃の高温容器内のクロロベンゼン1650グラム中に溶解された。低温容器はクロロベンゼンで満たされ、−20℃に冷却された。一旦、S12が溶解したならば、180ml/分の高温流体および360ml/分の低温流体の速度で衝突噴流T字管に流れが開始された。小さい明黄色結晶が観察され、衝突噴流出口の流れで直ぐに生成し、1ミクロン紙上でろ過され、母液はろ液槽に集められた。衝突噴流の出口混合物流は23℃の温度を有することが見出された。ろ紙からの溶媒で湿ったS12固体物はアセトンで洗浄されてクロロベンゼンを除去し、0.017MPa(絶対圧)に設定された真空乾燥器内で室温において一夜乾燥された。乾燥結晶(4.1グラム)は粒度分布用に提出された。低温流量を540ml/分に変更した以外は同条件で第二実験は完了した。出口温度は12.5℃であり、4.2グラムの乾燥結晶の回収であった。結果は、両方の実験について表28に示す。
本発明の様々な態様の前述の記載は例示および説明を目的として提示されている。これは全てを網羅している訳ではなく、開示される正確な態様に本発明を限定するものでもない。上記教示を踏まえて、多数の改変または変化形が可能である。考察された態様は、本発明の原理およびその実際的な用途の最良の具体例を提供し、それにより当業者が本発明を様々な態様で、かつ、企図される特定の使用に適するように様々な修正を行って利用できるように選択され説明された。全てのこのような改変および変化形は、それらが公平で合法的、かつ、公正に権利を得る広さに従って解釈される場合、添付の請求の範囲により決定される本発明の範囲内である。

Claims (18)

  1. 反応区間中で金属硫黄誘導体を酸化剤と反応させて、シクロドデカ硫黄を含むシクロドデカ硫黄含有反応混合物を生成させることを含む、シクロドデカ硫黄の製造方法。
  2. 前記金属硫黄誘導体は、式:
    (式中、
    Lは、x>1の場合に同一であるか相違することができる、単座または多座の配位子種であり、
    Xは、配位子種の合計数でありかつ0〜6(両端を含む)であり、
    Mは、金属原子であり、
    yは、金属原子の合計数でありかつ1〜4(両端を含む)であり、
    Sは、硫黄原子であり、
    zは、硫黄原子の数でありかつ1〜12(両端を含む)であり、
    uは、前記金属硫黄誘導体の電荷を表しかつ−6〜+6(両端を含む)であることができ、
    vは、オリゴマー構造またはポリマー構造における金属硫黄誘導体単位の数であり、
    Iは、イオン性原子またはイオン性基でありかつカチオン性またはアニオン性であることができ、および、
    wは、必要に応じて中性に電荷を提供する、カチオン性またはアニオン性原子または基の数である。)によって特徴付けられている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸化剤は、式:X−X’
    (式中、XおよびX’は、同一であるかまたは相違し、そしてハロゲンおよび擬ハロゲンからなる群から選択される。)によって特徴付けられている、請求項1に記載の方法。
  4. 前記酸化剤は、SOClおよびSOBrの1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記酸化剤は、O、H、アルキル過酸化物、およびアシル過酸化物の1種または2種以上を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記酸化剤の前記金属硫黄誘導体に対する化学量論比は、前記金属硫黄誘導体において2つのM−S結合ごとに存在する前記酸化剤の1当量未満である、請求項1に記載の方法。
  7. XおよびX’は、塩素および臭素のうちの1種以上である、請求項3に記載の方法。
  8. 前記金属硫黄誘導体を前記酸化剤と反応させるステップの前に、元素状硫黄を硫黄鋳型剤と反応させて前記金属硫黄誘導体を生成させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記元素状硫黄を硫黄鋳型剤と反応させて前記金属硫黄誘導体を生成させることは、水の存在下で行われる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記シクロドデカ硫黄含有反応混合物から前記シクロドデカ硫黄を単離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記シクロドデカ硫黄含有反応混合物から前記シクロドデカ硫黄を単離するステップは、溶解、熱処理、乾燥、酸処理、溶媒洗浄、結晶化、および沈降から選択される1種または2種以上のステップを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記シクロドデカ硫黄を単離するステップは、前記シクロドデカ硫黄を前記シクロドデカ硫黄のための溶媒で処理して溶解溶液を生成させることを含む、請求項10に記載の方法。
  13. 金属および金属含有化合物の沈降によって、前記シクロドデカ硫黄から前記金属および前記金属含有化合物を除くことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  14. 溶媒の存在下でシクロドデカ硫黄含有混合物を加熱することによってシクロドデカ硫黄を単離して、分解させかつ存在する溶媒不純物中に溶解させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  15. シクロドデカ硫黄含有混合物を酸で処理して存在するなんらかの金属または金属含有化合物を除去することによって、シクロドデカ硫黄を単離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記溶解溶液からシクロドデカ硫黄を結晶化することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  17. シクロドデカ硫黄の製造方法であって、
    (i)シクロオクタ硫黄、テトラメチルエチレンジアミンおよび亜鉛を反応させて、テトラメチルエチレンジアミン/Zn(S)錯体を生成させることと、
    (ii)前記錯体を酸化剤と反応させることと、
    を含む、方法。
  18. 前記シクロオクタ硫黄、前記テトラメチルエチレンジアミン、および前記亜鉛を反応させてテトラメチルエチレン−ジアミン/Zn(S)錯体を生成させるステップは、水の存在下で行われる、請求項17に記載の方法。
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