JP2019218454A - 活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物及びそれを用いた印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 印刷後の加工性に優れ、成型、レトルト処理後のマイクロクラックや白化の発生を抑制することができる活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を提供する。【解決手段】 顔料と、樹脂および/または活性エネルギー線硬化性オリゴマーと、活性エネルギー線硬化性モノマーと、酸触媒と、を含み、酸触媒がアルキルアリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物により解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物、これを用いた印刷物および印刷方法に関する。
飲料缶や食品缶などの金属缶の外面には、内容物の表示や装飾等が施されている。このような表示、装飾を行う方法の一つとして、金属板にオフセット方式で印刷層、オーバーコート層を形成した後、成型する方法が知られている。このような方法で製造される缶は、DR缶(Draw&Redraw缶)や2ピース缶などと称される。
このような用途に適したインキ組成物として、例えば特許文献1、2のような活性エネルギー線硬化型の金属印刷インキ組成物が知られている。活性エネルギー線硬化型の金属印刷インキ組成物は、熱硬化型の金属印刷インキ組成物に比べて印刷層の硬化速度が速く、生産性に優れる。
特開2001−002969 特開2003−012974
一方で、活性エネルギー線硬化型の金属印刷インキ組成物は熱硬化型の金属印刷インキ組成物に比べて印刷後の加工性に劣る。一例として、飲料缶や食品缶などを製造する過程では、殺菌、長期保存を目的としたレトルト処理等の熱処理工程を伴うが、活性エネルギー線硬化型の金属印刷インキ組成物を用いて印刷した場合には、成型後やレトルト処理後に缶外面の印刷層やオーバーコート層にマイクロクラックが発生して光沢が低下したり、白化が生じたりすることがある。
本発明はこのような課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであって、印刷後の加工性に優れ、成型、レトルト処理後のマイクロクラックや白化の発生を抑制することができる活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を提供することを目的の一つとする。また、加工性に優れ、レトルト処理後のマイクロクラックや白化の発生が生じにくい印刷物を得るための印刷方法および当該印刷方法により得られる印刷物を提供することを目的の一つとする。
本発明は、顔料と、樹脂および/または活性エネルギー線硬化性オリゴマーと、活性エネルギー線硬化性モノマーと、酸触媒と、を含み、酸触媒がアルキルアリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に関する。
また、本発明は、上記活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて印刷層を形成する工程と、印刷層上に、ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂とを含むオーバーコートワニス組成物を用いてオーバーコート層を形成する工程と、を備えることを特徴とする印刷方法に関する。
また、本発明は、上記印刷方法により製造された印刷物に関する。
また、本発明は、基材上に、上記活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて形成された印刷層を備えることを特徴とする印刷物に関する。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、印刷後の加工性に優れ、成型、レトルト処理後のマイクロクラックや白化の発生を抑制することができる。また本発明の印刷方法によれば、加工性に優れ、白化の発生が抑制された印刷物を提供することができる。本発明の印刷物によれば、加工性に優れ、白化が抑制されるため、生産性を向上させることができる。
<活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、顔料と、樹脂および/または活性エネルギー線硬化性オリゴマーと、活性エネルギー線硬化性モノマーと、酸触媒と、を含む。必要に応じて光重合開始剤や光増感剤、その他助剤を添加してもよい。
顔料としては、必要に応じて任意の無機及び有機顔料が使用でき特に制限はない。プロセスカラーのイエロー顔料としては、ジスアゾ、縮合アゾ等、マゼンタ顔料としては、アゾレーキ、キナクリドン、ジケトピロロピロール等、シアン顔料としては、フタロシアニン等、ブラック顔料としてはカーボンブラック等を例示できる。添加量は、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物中で、5質量%以上60質量%以下の範囲であればよい。
樹脂としては、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に用いられる任意の樹脂が使用でき、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、ロジンエステル樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂、シリコン変性アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリエステル樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等が例示でき、単独又は混合して使用することができる。
活性エネルギー線硬化性オリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、アルキッド(メタ)アクリレート等が例示でき、単独または混合して使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に用いられる樹脂としては、ポリエステルが好ましい。また、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に用いられる活性エネルギー線硬化性オリゴマーとしてはポリエステル(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。これにより、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて形成した印刷層に適度な柔軟性を付与することができ、加工性が向上する。さらに他の樹脂や活性エネルギー線硬化性オリゴマーを含んでいてもよい。
ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートを併用する場合、ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの総量に占めるポリエステルの割合は、硬化塗膜に求める物性等により適宜調整されるが、一例として50質量%以上であり、55質量%以上であり、95質量%以下であり、90質量%以下であり、70質量%以下である。
ポリエステルは、多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られる。このような多塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸等が例示され、これらの多価カルボン酸を単独又は混合して用いることができる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール2、2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が例示され、これらの多価アルコールを単独又は混合して用いることができる。
ポリエステルの合成時に、油、油脂、飽和有機酸、飽和アルコール等を加えてもよい。このような油類としては、アマニ油、キリ油、脱水ヒマシ油、大豆油、サフラワー油、ヌカ油、トール油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油等が挙げられる。脂肪酸としては、アマニ油脂肪酸、キリ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、ヌカ油脂肪酸、トール油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸等の油脂類が挙げられる。
飽和脂肪酸としては、ノナン酸、オクタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。飽和アルコールとしては、オクチルアルコール、デカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、グルコースエステル類、フェニルグリコール等が挙げられる。
中でも、多価カルボン酸として、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸から選ばれる少なくとも一種を用い、多価アルコールとしてプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ノナンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、トリメチロールプロパンから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるエステル樹脂を用いることが好ましい。これにより、本発明の活性エネルギー線硬化型金属インキ組成物を用いて形成した印刷層に適度な柔軟性を付与することができ、加工性が向上する。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られるポリエステルに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。ポリエステル(メタ)アクリレートの合成に用いられる多価カルボン酸、多価アルコールとしては、上述したポリエステルの合成に用いられるものと同様のものを用いることができる。本発明の活性エネルギー線硬化型金属印刷インキ組成物に用いられるポリエステル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を1〜3個導入したポリエステル(メタ)アクリレートが好ましい。これにより本発明の活性エネルギー線硬化型金属インキ組成物を用いて形成した印刷層に適度な硬化性を付与することができ、傷付き性が向上する。
樹脂、活性エネルギー線硬化性オリゴマーの添加量は任意であり、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に含まれる顔料の濃度や、インキ組成物の粘度に応じて、樹脂と活性エネルギー線硬化性オリゴマーの含有量の合計が、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の全量の5質量%以上80質量%以下となる範囲で調整される。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に用いられる活性エネルギー線硬化性モノマーは、ラジカル重合性を有する既存のアクリルモノマーを単独或いは複数を混合して使用でき、特に制限はない。t−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ネオペンチルベンゾエート(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、フェノール(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、これらのエチレンオキサイド変性物、プロピレンオキサイド変性物、カプロラクトン変性物等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性モノマーの添加量は任意である。活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に含まれる顔料の濃度や樹脂、活性エネルギー線硬化性オリゴマーの量に応じて、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物のT.V(JIS−K−5701−1に記載の方法で測定されたタック値)が10以上12以下となるよう調整される。
中でも、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に用いられる活性エネルギー線硬化性モノマーは、環状構造を備える(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、単官能の(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。環状構造としては単環であっても多環であってもよく、芳香環式であってもよいし脂環式であってもよい。複素環であってもよい。
特に、ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートを併用し、活性エネルギー線硬化性モノマーとして環状構造を備える単官能の(メタ)アクリレートを用いることで、加工時等における印刷層の傷つきや、成形時におけるマイクロクラックの発生が抑制され、硬化性と加工性のバランスを金属印刷に好適なものとすることができる。
このような環状構造を備えた単官能(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、フェノールエトキシアクリレート、ノニルフェノールエトキシアクリレート、アクリロイルモルホリン、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等が挙げられる。中でも、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、フェノールエトキシアクリレート、ノニルフェノールエトキシアクリレートを用いることが好ましい。
このような環状構造を備えた単官能の(メタ)アクリレートは、一例として活性エネルギー線硬化性モノマーの全量に対して3質量%以上用いることが好ましく、5質量%以上用いることがより好ましく、10質量%以上用いることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性モノマーの全量が環状構造を備えた単官能の(メタ)アクリレートであってもよい。環状構造を備えた単官能の(メタ)アクリレートの使用量は、樹脂に含まれる(メタ)アクリロイル基の量等によって適宜調整されうる。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、酸触媒としてアルキルアリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸塩およびアルキルリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。白化をより効果的に抑制することができるため、アルキルアリールスルホン酸またはアルキルアリールスルホン酸塩の少なくとも1種を含むことがより好ましい。酸触媒が備えるアルキル基としては、炭素数が1以上18以下の直鎖アルキル基が挙げられる。アリール基としては、ベンゼン、ナフタレンなどが挙げられる。
このようなアルキルアリールスルホン酸としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等が挙げられる。アルキルアリールスルホン酸塩としては、上述したようなアルキルアリールスルホン酸とナトリウム、カリウム、亜鉛、アンモニア、トリエタノールアミン等との塩が挙げられ、ナトリウム、亜鉛、アンモニアとの塩が好ましく用いられる。これらの中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、キシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
酸触媒の含有量は、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の全量に対して0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下であることがさらに好ましい。活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に対して酸触媒を0.1質量%以上添加することで、レトルト処理後の印刷物の白化を効果的に抑制することができる。酸触媒の添加量を増やしていくと印刷物の白化を抑制する効果やインキ塗膜の硬化性は向上していくが、添加量を増やしすぎると印刷時にインキが転移しにくくなるため、白化抑制効果と印刷適性とのバランスを考慮して2.0質量%以下とすることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、紫外線を使用して硬化する場合には光重合開始剤、光増感剤を添加する必要がある。光重合開始剤は、紫外線によりラジカルを発生する任意の物質が単独或いは複数を混合して使用でき特に制限はない。ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アセトフエノン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド、α−ジカルボニル、芳香族ケトン、チオキサントン、4,4ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4ジエチルアミノベンゾフェノン、αーアシロキシムエステル、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルフォリノブチロプロパノン等を例示できる。光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物中で、0.1質量%以上20質量%以下の範囲で加えればよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に使用される光増感剤は、紫外線硬化時の酸素障害を軽減する任意の物質が、単独或いは複数を混合して使用でき特に制限はない。(モノ、ジ、トリ)エタノールアミン、(モノ、ジ)メチル(モノ、ジ)エタノールアミン、(モノ、ジ、トリ)プロパノールアミン、(モノ、ジ)メチルアミノベンズアルデヒド、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸ブチル、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸エチル、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸エチル、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸ブチル、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸ジメチルアミノエチル、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、(モノ、ジ)メチルアミノ安息香酸エチルヘキシル等を例示できる。本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に使用される光増感剤は、単独或いは複数を混合して使用できる。光増感剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物中で、1質量%以上10質量%以下の範囲で加えればよい。
上記の構成に加えて、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物はポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコール共重合体及び脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の有機化合物を含むことが好ましい。
脂肪酸エステルは、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物である。任意の3価以上の多価アルコールと脂肪酸が使用でき制限は無いが、多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を例示でき単独又は複数を混合して使用できる。更にインキの転移性を考慮すると、多価アルコールとして、ソルビトールを加熱脱水したソルビタンが好適である。脂肪酸としては、アマニ油脂肪酸、キリ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、ヌカ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が例示でき単独或いは混合して使用できる。添加量は、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物中で、2質量%以上20質量%以下の範囲が好ましい。2質量%未満では加工性の向上が得られにくくなり、20質量%を超えると、紫外線による硬化性が低下し易く、重ね刷り性が低下する傾向にある。より好ましくは、5質量%15質量%以下、更に好ましくは、7質量%以上12質量%以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、無溶剤で使用することもできるし、必要に応じて適当な溶媒を使用する事も可能である。溶媒としては、上記各成分と反応しないものであれば特に限定されるものではなく、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。溶媒の具体例としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル化合物;ダイアセトンアルコール等のアセトンアルコール;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン化合物;ジブチルエーテル等のエーテル化合物;並びにN−メチルピロリドン等が挙げられる。
このような溶媒を使用することにより、基材への塗工性を改善することができる。一方で、省資源、省エネルギーおよび大気汚染抑制といった効果を重視する場合には無溶剤で使用することが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を、後述する平版オフセット印刷方式、特に湿し水を併用する平版オフセット印刷方式で印刷する場合には、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の印刷適性を良好なものとするため、含水率がインキ全量の1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることが好ましく、実質的に水を含まないことが好ましい。同様の理由でアルコール化合物やアルキレングリコールモノエーテル化合物といった親水性溶媒の含有量もインキ全量の1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることが好ましく0.01質量%以下であることが好ましく、実質的にこれらの化合物を含まないことが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を、後述する平版オフセット印刷方式で印刷する場合には、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の印刷適性を良好なものとするため、ケトン化合物等の揮発性が高い化合物の含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることが好ましく、実質的にこのような化合物を含まないことが好ましい。
なお本明細書において無溶剤とは、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に上述したような溶媒を意図的に添加していないことをいい、インキに用いる各成分を合成する際に用いた溶剤が残留しているような態様は無溶剤に含まれる。同様に、水やアルコール化合物を含まないとは、活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物に意図的にこれらを添加していないことをいい、インキに用いる各成分を合成する際に用いたこれらの化合物が残留していたり、吸湿性のある成分に起因してインキが水を含有しているような態様は活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物がこれらの化合物を含まない態様に含まれる。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物には、前記の顔料、樹脂、光重合開始剤、光増感剤、活性エネルギー線硬化性モノマー類の他、必要に応じて、助剤を併用する事が出来る。助剤としては、顔料分散剤、ドライヤー、ワックスあるいは体質顔料等の充填剤、補助樹脂、補助溶剤等が挙げられる。
<オーバーコートワニス組成物>
DR缶の製造においては、印刷層の表面保護や外観向上のためにオーバーコートワニス組成物を用いて上塗りを施すことが一般的である。このようなオーバーコートワニス組成物としては、加熱又は活性エネルギー線によって硬化する通常の金属印刷塗装に用いられる任意の水性型、溶剤型、エネルギー線硬化型のオーバーコートワニス組成物が例示できる。
中でも、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂とを含む溶剤型のオーバーコートワニス組成物と組み合わせて用いることが好ましい。これにより、後述する印刷物を加工性が優れるとともに、白化が抑制されたものとすることができる。
オーバーコートワニス組成物に用いるポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応により合成して得られ、直鎖型、分岐型のいずれであってもよく、直鎖型と分岐型とを併用して用いてもよい。
直鎖型ポリエステル樹脂の合成に使用できる二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の芳香族二塩基酸類、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸類、(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸等の脂肪族二塩基酸類などが挙げられる。
二価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、キシレングリコール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、水添ビスフェノールA等の脂肪族二価アルコール、バーサチック酸グリシジルエステル、εカプロラクトン等の二価アルコール相当化合物等が挙げられる。
分岐型ポリエステル樹脂の合成に使用できる二塩基酸としては、直鎖型ポリエステル樹脂の合成に用いられるのと同様のものを用いることができる。その他の多塩基酸としては、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等が挙げられる。
二価アルコールとしては、直鎖型ポリエステル樹脂の合成に用いられるのと同様のものを用いることができる。その他の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
合成に用いる多塩基酸、多価アルコールの種類や量は、生成樹脂の分岐度、分子量、塗膜にしたときの硬度、可撓性等を勘案して適宜選択、調整すればよい。
直鎖型ポリエステル樹脂の数平均分子量は1,000以上10,000以下であることが好ましい。分岐型エステルの数平均分子量は1,000以上3,000以下であることが好ましい。これにより、オーバーコートワニス組成物に充分な塗膜性能(硬度、加工性、耐レトルト性)を与えるとともに、アミノ樹脂との相溶性の低下、粘度の上昇を抑制することができる。
オーバーコートワニス組成物に用いるアミノ樹脂は、尿素−ホルムアルデヒド−低級アルコール付加縮合物、メラミン−ホルムアルデヒド−低級アルコール付加縮合物、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−低級アルコール付加縮合物、アルキルエーテル化メラミン樹脂、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、アルキルエーテル化メラミン−ベンゾグアナミン共縮合樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
溶剤は、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂を希釈可能なものであれば制限なく使用できる。一例としてトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、セロソルブアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類の各種溶剤が挙げられる。
オーバーコートワニス組成物には、これらの成分との相溶性を損なわない範囲で他の樹脂成分、例えば下地金属との密着性向上を目的としてエポキシ樹脂などを加えてもよい。硬化触媒、レベリング剤、滑剤等の各種添加剤を加えることもできる。
オーバーコートワニス組成物の調整は、上述したようなポリエステル樹脂、アミノ樹脂、溶剤、各種添加剤を攪拌、混合することによって行うことができる。オーバーコートワニス組成物中におけるポリエステル樹脂の含有量は10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。アミノ樹脂の含有量は5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。さらにポリエステル樹脂とアミノ樹脂との混合比は、固形分比で2:1〜1:1であることが好ましい。これにより、塗膜の硬度や加工性を適切な範囲とすることができる。
<印刷方法、印刷物>
本発明の印刷物は、基材上に本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて印刷し、これを硬化して印刷層を形成した後、上述したようなオーバーコートワニス組成物を塗装し、硬化して得られる。
基材としては、通常金属印刷に用いられる金属素材が利用でき、特に制限はない。ブリキ板、LTS(ライトリーティンコーテッドスチール)、ティンフリースチール、アルミ板等が使用できる。基材には、密着性や加工性を考慮してサイズ塗料やホワイトコーティング塗料が塗装されていてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の印刷方式としては、通常金属印刷に用いられる平版オフセット印刷と同程度の寸法、見当精度がある印刷精度が得られる印刷方法であれば問題無く、特に制限はないが、インキの粘度を考慮すると、樹脂凸版オフセット印刷又は水無し平版オフセット印刷が好適である。更に湿し水を併用する平版オフセット印刷が最適である。被印刷物である金属板の送り方式は、板の片側に力を加え搬送するプッシャー方式ではなく、板の両側を支持し搬送するグリップツーグリップ方式が、板のブランケット離れ、板の巻き上がりを防止する意味で好ましい。インキ膜厚は任意であるが、例えば0.3μm以上6μm以下の範囲で行えばよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の印刷に用いられる版は、特に制限はないが、アルミ板上に親水部分と親油部分を併せ持つ通常PS版と呼ばれる版が好適であり、中でも活性エネルギー線硬化型印刷インキに対する耐性を有するPS版が好ましい。
湿し水を併用するPS版を用いて印刷する場合は、湿し水装置を併用する。湿し水装置は、連続吸水式、間接吸水式の何れもが使用可能である。湿し水には、イソプロピルアルコール及び/又は、その代替品を任意の割合で添加できるが、好ましくは、1質量%以上20質量%以下の範囲で添加することが好ましい。またH液等の印刷助剤も添加可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の印刷に用いられるローラーは、金属、樹脂、ゴム系の何れのローラーも使用可能であるが、活性エネルギー線硬化型印刷インキに耐性を有するローラーの使用が望ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の印刷に用いられるブランケットは、通常印刷に用いられるブランケットが使用可能である。活性エネルギー線硬化型印刷インキに耐性を有するブランケットの使用が望ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を硬化させる手段は、加熱により達成することも可能であるが、活性エネルギー線照射で行うことが作業性の面で好適である。活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波等をいうが、ラジカル活性種を発生させ得るならばいかなるエネルギー主でも良く、可視光線、赤外線、レーザー光線でもよい。本発明では簡便のため紫外線照射により硬化させることが好ましい。
紫外線照射を行う紫外線ランプは、通常金属印刷で用いられる任意の紫外線ランプが使用可能である。有電極及び/又は無電極の高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、オゾンレス高圧水銀ランプ、オゾンレスメタルハライドランプ、ガリウムランプ、発光ダイオード等が例示できる。紫外線を照射する条件も通常金属印刷で活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を硬化させる条件で十分であり、特に指定は無い。60W/cm〜500W/cmの紫外線強度が得られる紫外線ランプを1〜10本、印刷面までの距離5〜30cmで印刷速度10〜300枚/分の範囲で行えばよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を複数回重ね刷りすることに加えて、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物上に、通常の活性エネルギー線硬化型インキ、酸化重合型インキ、加熱硬化型インキの少なくとも一種を印刷することも可能である。あるいは、通常の活性エネルギー線硬化型インキ、酸化重合型インキ、加熱硬化型インキの少なくとも一種を印刷後に、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を重ね刷りすることも可能であり、いずれの印刷方法であってもレトルト処理後の白化を抑制することができる。印刷後の塗装も従来通り行うことが出来、何ら制限はない。
塗装されるオーバーコートワニス組成物は、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物層上に直接、又は、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物層上に重ね刷りされた通常の活性エネルギー線硬化型インキ、酸化重合型インキ、加熱硬化型インキの少なくとも一種による印刷層を介して塗装された後、150〜250℃で5秒〜15分間加熱乾燥または活性エネルギー線照射される。これにより、外観、硬度、加工性、耐レトルト性に優れる塗膜を形成することができる。
オーバーコートワニス組成物の塗装方法は、アロニックスロールや二軸ロール等のロール式、チャンバー式、グラビア式、フレキソ式など通常のコーター方式で行うことができる。オーバーコートワニス組成物の塗膜の膜厚は任意であるが、例えば、3〜10μmの範囲で行えばよい。
このようにして得られた印刷物は、成型等の加工性に優れ、マイクロクラックの発生やレトルト処理後の白化が抑制されたものとすることができる。
以下、本発明の理解を容易にするため、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、各例中の部及び%は特に断りのない限り質量基準によるものである。
1.活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の調整
1.1.1.樹脂
(ポリエステル)
水添ロジン16部、水添ビスフェノールA26部、カージュラーE14部、ペンタエリスリトール4部、イソフタル酸6部、ドデセニル無水コハク酸33部を220℃で常法にてエステル化し、酸価11、樹脂カラー5のオイルフリーポリエステルを得た。
同樹脂80部に対し、アロニックスM−220(東亞合成製トリプロピレングリコールジアクリレート):20部を加えて液状樹脂(ポリエステル樹脂溶液とする)としたものをインキ組成物の調整に用いた。
1.1.2.活性エネルギー線硬化性オリゴマー
(ポリエステルアクリレート)
ポリエステルアクリレートは、EBECRYL851(ダイセル・オルネクス社製、重量平均分子量500、平均アクリロイル基数が2.5官能のポリエステルアクリレート)を用いた。
1.2.活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の調整
(実施例1)
ファーストゲンブルーTGR−L(DIC株式会社製の顔料):25部、ルシリンTPO(BASF社製光重合開始剤):4部、カヤキュアーEPA(日本化薬製光増感剤):0.5部、ハイドロキノン:0.5部、ノニオンLP−20R(日油製ソルビタン脂肪酸エステル):8部、ネイキュア5225(キングインダストリーズ社製ドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩、有効成分25%):0.5部、ポリエステル樹脂溶液:32.5部(ポリエステル26部)、ポリエステルアクリレート:18部を3本ロールミルで練肉攪拌しながらライトアクリレートBA−104(共栄社製ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル)を加え、T.V10となるように調整して実施例1のインキ組成物を得た。なお、T.VはINKOGRAPH TYPE II(豊栄精工株式会社製)を用い、JIS−K−5701−1に記載の方法で測定した。
(実施例2−4)
組成を表1のようにした以外は実施例1と同様にして、実施例2−4の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を得た。
(比較例1−3)
組成を表1のようにした以外は実施例1と同様にして、比較例1−3の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を得た。
なお、表1におけるポリエステルの含有量は、用いたポリエステル樹脂溶液の量からアロニックスM−220を除いたものである。
NC5225は、ネイキュア5225である。
BA−104は、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルである。
M−101は、アロニックスM−101(東亞合成製フェノールEO変性アクリレート)である。
M−220の含有量は、ポリエステル樹脂溶液由来のものを含む。
Figure 2019218454
2.オーバーコートワニス組成物の調整
直鎖状ポリエステル溶液(数平均分子量10000、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価18mgKOH/g、不揮発分50%):30部、分岐状ポリエステル溶液(数平均分子量:1000、酸価4.6mgKOH/g、水酸基価127mgKOH/g、不揮発分50%):30部、スーパーベッカミンL−704−60(DIC株式会社製ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、不揮発分60%):16.7部、スーパーベッカミン14−570C(DIC株式会社製ブチルエーテル化メラミン樹脂、不揮発分60%):16.7部に、p−トルエンスルホン酸(有効成分25%のブタノール溶液):0.5部を添加した後、溶剤(エクソンモービル社製ソルベッソ#100:ブチルセロソルブ=1:1)6.1部で希釈してオーバーコートワニス組成物を調整した。
3.印刷物の作成
3.1.下地板の作成
ティンフリースチール板(板厚0.18mm)に、6DF237−38Hホワイトコーティング(DICグラフィックス株式会社製)を塗膜量130mg/100cmで常法により塗装し、180℃で10分間焼付けして下地板とした。
3.2.印刷
RIテスター(株式会社IHI機械システム製)を用い、上記の下地上に約3μmの膜厚となるよう、調整した活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて印刷した。印刷に引き続き、紫外線照射装置CS−40L1(株式会社GSユアサ製)を用いて120W/cmのメタルハライドランプ1本、照射距離15cm、コンベアー速度80m/分の条件で紫外線を照射した。
3.3.塗装
紫外線照射後、調整したオーバーコートワニス組成物を全面に塗布量70mg/100cmで塗装し、190℃で5分間焼き付けた。
3.4.加工
得られた印刷物を、常法のプレス作業によりφ80mm、高さ50mmの円筒状に打ち抜き加工品を得た。
得られた加工品を、130℃、30℃で高圧加熱殺菌(レトルト)処理した。
4.評価
以下の項目について評価を行い、結果を表2にまとめた。
4.1.硬化性
3.2.で得られた印刷物の表面を指で触って湿感の程度を判断した。ベトツキ感が強いものを×、中程度のものを△、少ないものを○として3段階で評価した。
4.1.耐白化性
高圧加熱殺菌処理後の加工品天面の表面を観察し、白化の度合いを観察した。白化面積が多いものを×、中程度のものを△、少ないものを○として3段階で評価した。
4.2.加工性
高圧加熱殺菌処理前後の加工品側面の光沢変化を観察した。光沢の低下が大きいものを×、中程度のものを△、少ないものを○として3段階で評価した。
Figure 2019218454
表2から明らかなように、本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物は、加工性、硬化性に優れるとともに、白化の発生が抑制されていた。
本発明の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、高加工性、耐レトルト性が要求されるDR缶の製造に特に好適に用いることができるがこれに限定されない。成型加工品の表面塗装用途に広く適用可能である。

Claims (12)

  1. 顔料と、
    樹脂および/または活性エネルギー線硬化性オリゴマーと、
    酸触媒と、を含み、
    前記酸触媒がアルキルアリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  2. 前記酸触媒の添加量が、前記活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の0.1質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  3. 前記酸触媒が、アルキルアリールスルホン酸またはアルキルアリールスルホン酸塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  4. 前記酸触媒が、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、キシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  5. 前記活性エネルギー線硬化性モノマーが、環状構造を備える単官能の(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  6. 前記環状構造を備える単官能の(メタ)アクリレートの含有量が、活性エネルギー線硬化性モノマーの全量に対して3質量%以上であることを特徴とする請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  7. 前記樹脂と、前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーとを含み、前記樹脂がポリエステルを含み、前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーがポリエステル(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  8. T.Vが10以上12以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物。
  9. 基材上に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて印刷層を形成する工程と、
    前記印刷層上に、ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂とを含むオーバーコートワニス組成物を用いてオーバーコート層を形成する工程と、を備えることを特徴とする印刷方法。
  10. 前記基材が金属であることを特徴とする請求項9に記載の印刷方法。
  11. 請求項9または10に記載の印刷方法を用いて印刷されたことを特徴とする印刷物。
  12. 基材上に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を用いて形成された印刷層を備えることを特徴とする印刷物。
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