JP2024079613A - 活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキおよび印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属表面を有する基材との硬化後の密着性に優れる活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキと、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性に優れる印刷物を提供すること。【解決手段】少なくともカルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含む、活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ、それを用いた印刷物の製造方法、および、印刷物に関する。
金属表面を有する基材(金属箔基材)は、飲料や食品等の軟包装材として広く用いられており、今後も需要の拡大が見込まれる。特に、食品衛生やフードロス対策など、食品保存の観点において、金属箔基材の使用用途は注目されている。
金属原反への印刷に関しては、印刷版にインキを付着させる工程、付着したインキを金属原反に転写する工程、金属原反にオーバープリントワニスを塗布する工程、および印刷後の金属原反を加熱乾燥する工程を含む印刷物の製造方法であって、前記インキが顔料、多官能(メタ)アクリレート、および酸性基を有する樹脂を含む印刷物の製造方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。また、紙基材、フィルム基材または金属基材上に形成された塗布層と、ポリオレフィンフィルムとを貼り合わせ、活性エネルギー線照射により前記塗布層を硬化させて硬化層とし、前記ポリオレフィンフィルムを前記硬化層から剥離して得られる積層体の、硬化層を形成するための、活性エネルギー線硬化性ワニス組成物であって、前記組成物は、バインダー樹脂、重合性単量体、ワックスおよびリン酸化合物を含有する、活性エネルギー線硬化性ワニス組成物(例えば、特許文献2参照)が提案され、基材にはインキによる絵柄層を有していてもよいことが記載されている。
特開2019-25850号公報 特開2021-147494号公報
しかしながら、特許文献1~2に記載されるようなインキを金属箔基材に印刷すると、硬化インキ膜と金属箔基材との密着性が不十分である課題があった。そこで、本発明は、金属表面を有する基材との硬化後の密着性に優れる活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキと、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性に優れる印刷物を提供することを目的とする。
本発明は、主として以下の構成を有する。
(1)少なくともカルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含む、活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
(2)前記カルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/オリゴマーを10質量%以上60質量%以下含む、(1)に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
(3)前記インキの酸価が70mgKOH/g以上400mgKOH/g以下である、(1)または(2)に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
(4)前記カルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーが2-アクリロイルオキシエチルコハク酸を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
(5)前記2-アクリロイルオキシエチルコハク酸を10質量%以上60質量%以下含む、(4)に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
(6)金属表面を有する基材の上に、(1)~(5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを転写する転写工程、および、
転写された活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを電子線により硬化する硬化工程、を有する印刷物の製造方法。
(7)少なくとも金属表面を有する基材の上に硬化インキ膜を有する印刷物であって、硬化インキ膜がカルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物を含む印刷物。
(8)前記硬化インキ膜の弾性率が0.1GPa以上5.0GPa以下である、(7)に記載の印刷物。
(9)前記金属表面を有する基材の金属部分の厚みが5μm以上50μm以下である、(7)または(8)に記載の印刷物。
(10)前記金属表面を有する基材の厚みが10μm以上200μm以下である、(7)~(9)のいずれかに記載の印刷物。
本発明の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキは、金属表面を有する基材との硬化後の密着性に優れ、本発明の印刷物を得るために好ましく用いることができる。本発明の印刷物は、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性に優れる。
以下、本発明について具体的に説明する。以下、本発明の印刷物を第一の態様、本発明の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを第二の態様として説明する。なお、本発明において「以上」とは、そこに示す数値と同じか、または、それよりも大きいことを意味する。また、「以下」とは、そこに示す数値と同じか、または、それよりも小さいことを意味する。
本発明の第一の態様は、少なくとも金属表面を有する基材の上に硬化インキ膜を有する印刷物であって、硬化インキ膜がカルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物を含む印刷物である。前述のとおり、金属表面を有する基材の上に硬化インキ膜を有する印刷物は、基材と硬化インキ膜との密着性が不十分である課題があった。本発明者らは、かかる課題について検討し、フィルム基材への印刷においては、活性エネルギー線の照射によりフィルム基材を構成する成分において生成するラジカルが硬化インキ膜との密着性に寄与するが、金属表面を有する基材への印刷においては、密着性に寄与するラジカルが生成しないことが、密着性の課題の要因であると考えた。そこで、本発明においては、硬化インキ膜がカルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物を含む、すなわち、硬化インキ膜中に、モノマーおよび/またはオリゴマー由来のカルボキシル基を有することにより、カルボキシル基と金属表面の水酸基との相互作用により、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性を向上させることができる。特に、バインダー樹脂由来のカルボキシル基を有する場合に比べて、モノマーおよび/またはオリゴマー由来のカルボキシル基を有することにより、その運動性によりカルボキシル基が金属表面に対する配向性が高いことから、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性を向上させることができる。
本発明の第一の態様における基材は、金属表面を有する。ここで、基材が金属表面を有するとは、基材の少なくとも片面が金属からなることを指し、例えば、金属箔からなる基材や、紙やフィルムなどの基材に金属層を積層した積層基材などが挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、錫、亜鉛、ステンレス、ニッケルなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。金属表面を有する基材(以下、「金属箔基材」と記載する場合がある)としては、例えば、アルミニウム箔、アルミ加工紙、アルミ蒸着フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、アルミニウム箔が好ましい。
金属箔基材の厚みは、10μm以上が好ましく、印刷物の加工性を向上させることができる。一方、金属箔基材の厚みは、200μm以下が好ましく、剛性を適度に抑えて皺の発生を抑制し、印刷物の後加工ロスを削減することができる。金属箔基材の厚みは、100μm以下がより好ましい。
金属箔基材のうち、金属部分の厚みは、5μm以上が好ましく、印刷物の加工性を向上させることができる。金属部分の厚みは、10μm以上がより好ましい。一方、金属部分の厚みは、50μm以下が好ましく、金属箔基材と硬化インキ膜との密着性をより向上させることができる。ここで、金属部分とは、金属箔基材が金属箔からなる場合は基材の厚みを指し、他の基材と金属層との積層体である場合は金属層の厚みを指す。
ここで、金属表面を有する基材の厚みは、膜厚計を用いて測定することができる。また、金属部分の厚みは、金属箔基材を断裁した断面を、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて拡大観察し、金属部分の厚み方向の距離を測定することよって求めることができる。いずれも、金属箔基材の横幅方向に対して均等間隔で選択した5点について測定した平均値とする。
本発明の第一の態様における硬化インキ膜は、金属箔基材上に転写されたインキの硬化物である。活性エネルギー線硬化型インキの硬化物が好ましく、この場合、活性エネルギー線硬化型インキは、カルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含有する。モノマーの分子量は、100以上が好ましい。一方、モノマーの重量平均分子量は、1,000未満が好ましく、600以下がより好ましい。オリゴマーの重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、また、10,000未満が好ましい。さらに、必要に応じて、カルボキシル基を有さず不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマー、バインダー樹脂、顔料、ワックス、重合禁止剤、界面活性剤などを含有してもよい。
カルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。すなわち、硬化インキ膜には、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの硬化物を含むことが好ましい。ここで、本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの総称を表し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称を表す。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、単官能(メタ)アクリレートが好ましく、硬化インキ膜の架橋密度を適度に抑えて剛性を適度に低くすることにより、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性をより向上させることができる。
カルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸カルボキシエチル、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸が好ましく、環状骨格を有さず、金属表面に対する配向性がより高いことから、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性をより向上させることができる。
カルボキシル基を有さず不飽和二重結合を有するモノマーとしては、(メタ)アクリレートが好ましい。単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートを、所望の物性に応じて2種以上含有してもよい。例えば、活性エネルギー線として電子線を用いる電子線硬化型インキの場合は、硬化性の観点から、反応性の高い多官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールのジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有さず不飽和二重結合を有するオリゴマーとしては、例えば、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アミン変性脂肪族アクリレート、アミン変性ポリエステルアクリレートなどのアミン変性アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
バインダー樹脂の重量平均分子量は、10,000以上が好ましく、15,000以上がより好ましい。一方、バインダー樹脂の重量平均分子量は、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましい。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、フタレート樹脂などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、合成の容易性、顔料の分散性等の観点から、スチレンアクリル樹脂が好ましい。
顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、レーキ顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。より具体的には、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アゾレッド、モノアゾレッド、モノアゾイエロー、ジスアゾレッド、ジスアゾイエロー、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンダ、イソインドリンイエロー等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化物被覆ガラス、ケイ酸塩鉱物(マイカ)、酸化物被覆雲母、酸化物被覆金属粒子、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
ワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィン、カルナバ、マイカ、高級脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、顔料分散性の観点から、マイカが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、p-メトキシフェノールなどのヒドロキノンのモノエーテル体、N-ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p-t-ブチルカテコール、N-フェニルナフチルアミン、2,6-ジ-t-ブチル-p-メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明の第一の態様において、硬化インキ膜の弾性率は、0.1GPa以上が好ましく、硬化インキ膜の耐溶剤性を向上させることができる。硬化インキ膜の弾性率は、0.2GPa以上がより好ましく、1.0GPa以上がより好ましく、3.0GPa以上がさらに好ましい。一方、硬化インキ膜の弾性率は、5.0GPa以下が好ましく、硬化インキ膜の耐溶剤性を向上させることができる。硬化インキ膜の弾性率は、4.5GPa以下がより好ましく、4.0GPa以下がさらに好ましい。ここで、硬化インキ膜の弾性率は、硬化インキ膜の硬度の指標であり、ナノインデンテーション法により測定することができる。より具体的には、1cm×1cm程度の硬化インキ膜について、ナノインデンター装置を用いて、押込み荷重0.1mN、押込み回数1回の条件で、無作為に選択した5箇所の弾性率を測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。
硬化インキ膜の弾性率を上記範囲にする手段としては、例えば、後述する本発明の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを用いる方法、特に、カルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量を後述する好ましい範囲にする方法などが挙げられる。
本発明の第二の態様は、少なくともカルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含む活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ(以下、「インキ」と記載する場合がある)である。前述のとおり、インキにカルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含むことにより、金属箔印刷に用いた場合に、カルボキシル基と金属表面の水酸基との相互作用により、活性エネルギー線により硬化した硬化インキ膜と金属箔基材との密着性を向上させることができる。さらに、必要に応じて、カルボキシル基を有さず不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマー、バインダー樹脂、顔料、ワックス、重合禁止剤、界面活性剤、アルコール類などを含有してもよい。ここで、本発明の第二の態様において、活性エネルギー線硬化型とは、紫外線、電子線、ガンマ線などの活性エネルギー線によって硬化することを指す。活性エネルギー線硬化型インキは、揮発成分を含まず、活性エネルギー線の照射により瞬時に硬化することから、VOC排出を抑制することができる。本発明の第二の態様におけるインキとしては、活性エネルギー線として電子線の照射により硬化する電子線硬化型インキが好ましい。
本発明の第二の態様におけるインキとしては、前述の第一の態様において硬化インキ膜を構成するための活性エネルギー線硬化型インキとして記載したものが好ましい。すなわち、カルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸がより好ましい。また、カルボキシル基を有さず不飽和二重結合を有するモノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、例えば、活性エネルギー線として電子線を用いる電子線硬化型インキの場合は、硬化性の観点から、反応性の高い多官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
インキ中におけるカルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、10質量%以上が好ましく、金属箔基材と硬化インキ膜との密着性をより向上させることができる。カルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。一方、カルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、60質量%以下が好ましく、金属箔基材と硬化インキ膜との密着性をより向上させることができる。また、硬化インキ膜の耐溶剤性と耐擦り傷性を向上させることができる。カルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。ここで、カルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量とは、これらのいずれかを含有する場合にはその含有量を指し、これらを両方含有する場合にはその合計含有量を指す。前述のとおり、カルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーは、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲にあることが好ましい。さらに、カルボキシル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーは、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸が好ましく、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸の含有量が上記範囲にあることが好ましい。2-アクリロイルオキシエチルコハク酸の含有量を上記範囲にすることにより、後述するインキの酸価を後述する好ましい範囲に容易に調整することができる。
本発明の第二の態様において、インキの酸価は、100mgKOH/g以上が好ましく、カルボキシル基と金属表面の水酸基との相互作用をより高め、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性をより向上させることができる。インキの酸価は、150mgKOH/g以上がより好ましく、200mgKOH/g以上がさらに好ましい。一方、インキの酸価は、320mgKOH/g以下が好ましく、金属表面を有する基材と硬化インキ膜との密着性をより向上させることができる。インキの酸価は、260mgKOH/g以下がさらに好ましい。
ここで、インキの酸価は、JIS K 0070:1992の試験方法第3.1項に準じた中和滴定法により測定することができる。
アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールなどが挙げられる。インキが水ありオフセット印刷などの湿し水を用いる印刷用である場合には、湿し水中に含まれるアルコール類を含有してもよい。
本発明のインキは、藍、紅、黄などの有彩色インキ、黒インキ、白インキ、透明インキなどの各色に用いることができる。
次に、第一の態様の印刷物の製造方法について説明する。本発明における印刷物の製造方法は、
金属箔基材の上に、活性エネルギー線硬化型インキを転写する転写工程、および、
転写された活性エネルギー線硬化型インキを活性エネルギー線により硬化する硬化工程、
を有する。
転写工程において、活性エネルギー線硬化型インキとしては、例えば、UVオフセットインキ、EBオフセットインキ、UVフレキソインキ、EBフレキソインキ、UVインクジェットインキなどが挙げられる。転写工程における印刷方式と、後述する硬化工程において用いる活性エネルギー線に応じて、所望の活性エネルギー線硬化型インキを選択することができる。本発明においては、第二の態様におけるインキが好ましい。
活性エネルギー線硬化型インキを金属箔基材上へ転写する方法としては、例えば、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
硬化工程において、活性エネルギー線源としては、例えば、紫外線(特にLED-UV)、電子線、ガンマ線などが挙げられる。これらの中でも、電子線やガンマ線などの放射線が好ましい。放射線を照射すると、活性エネルギー線硬化型インキ中においてラジカルが生成され、活性エネルギー線硬化型インキ中においてラジカル重合が進み、硬化インキ膜となる。活性エネルギー線硬化型インキ/金属箔基材においてラジカル重合が進行することにより、活性エネルギー線硬化型インキ/金属箔に共有結合が形成され、硬化インキ膜と金属箔基材との密着性をより向上させることができる。
放射線の中でも、電子線が好ましい。特に、透過性が低く、対象物の表層に集中的にエネルギーを与えられ、利用時の特別な資格が不要で取り扱いが容易なことから、低加速電圧による電子線が好ましい。電子線は、加速電圧により透過深度が決まるため、加速電圧は、インキ膜を十分な線量が透過する、50kV~150kVが好ましい。照射線量は、10kGy以上100kGy以下が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。各実施例および比較例に用いた原料を以下に示す。
<インキ原料>
樹脂1:メタクリル酸メチル/アクリル酸/2-エチルへキシルアクリレート/スチレン共重合体(共重合比:20/20/5/55(質量比))。重量平均分子量27,000、酸価190mgKOH/g。
樹脂2:メタクリル酸メチル/アクリル酸/2-エチルへキシルアクリレート/スチレン共重合体(共重合比:19/22/5/54(質量比))。重量平均分子量25,000、酸価200mgKOH/g。
単官能(メタ)アクリレート1:2-アクリロイルオキシエチルコハク酸 NKエステルA-SA(新中村化学(株)製)。カルボキシル基あり。
単官能(メタ)アクリレート2:ラウリルアクリレート。カルボキシル基なし。
単官能(メタ)アクリレート3:2-アクリロイロキシエチル-フタル酸 HOA-MPL(N)(共栄社化学(株)製)。カルボキシル基あり。
多官能(メタ)アクリレート1:ペンタエリスリトール(EO)テトラアクリレート “DOUBLEMER”(登録商標)PET5EO4A(DOUBLE BOND CHEICAL社製)。カルボキシル基なし。
多官能(メタ)アクリレート2:トリメチロールプロパン(EO)トリアクリレート “MIRAMER”(登録商標)M3190(MIWON社製)。カルボキシル基なし。
多官能(メタ)アクリレート3:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート “MIRAMER”(登録商標)M500(MIWON社製)。
多官能アクリルオリゴマー:“アクトフロー”(登録商標)CB-3098(綜研化学(株)製)。カルボキシル基あり。
重合禁止剤:p-メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製)
顔料:“SYMULER”(登録商標)BRILLIANT CARMIN 6B 393(DIC(株)製)
ワックス:MICA POWDER A-11((株)ヤマグチマイカ製)。
<金属箔基材>
厚み12μmのアルミニウム箔 ニッパクホイル(三菱アルミニウム(株)製)。
各実施例および比較例における評価方法を以下に示す。
<弾性率>
各実施例および比較例において得られた印刷物から1cm×1cm程度のサンプルを採取し、ナノインデンターSA2(MTS社)装置の台座に固定し、無作為に選択した5箇所について、押し込み荷重0.1mN、押込み回数1回の条件で弾性率を測定し、その平均値を算出した。
<密着性>
各実施例および比較例において得られた印刷物から無作為に選択した30mm×18mmのサンプルを採取し、ニチバン(株)製“セロテープ”(登録商標)No.405(幅18mm)を硬化インキ膜に付着させた後、剥離角度90°で剥離した。剥離後の硬化インキ膜表面を、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて観察し、色のコントラストにより剥離部分の面積を求めた。下記基準により密着性を評価した。
1:剥離が認められない
2:剥離が約5面積%未満の範囲で認められる
3:剥離が約5面積%以上約10面積%未満の範囲で認められる
4:剥離が約10面積%以上約50面積%未満の範囲で認められる
5:剥離が約50面積%以上の範囲で認められる。
<耐溶剤性>
各実施例および比較例において得られた印刷物から無作為に選択した30mm×45mmの範囲について、エタノールを約1.0g含ませた3cm角のガーゼ約0.2gを用いて、硬化インキ膜を指で10往復擦った後、硬化インキ膜表面を、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて観察し、色のコントラストにより溶解部分の面積を求めた。下記基準により耐溶剤性を評価した。
1:溶解が認められない
2:溶解が約5面積%未満の範囲で認められる
3:溶解が約5面積%以上約10面積%未満の範囲で認められる
4:溶解が約10面積%以上約50面積%未満の範囲で認められる
5:溶解が約50面積%以上の範囲で認められる。
<耐擦り傷性>
各実施例および比較例において得られた印刷物から無作為に選択した30mm×45mmの範囲について、スチールウール約2gを用いて、硬化インキ膜を指で10往復擦った後、硬化インキ膜表面を、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて観察し、色のコントラストにより擦り傷の面積を求めた。下記基準により耐擦り傷性を評価した。
1:擦り傷が認められない
2:擦り傷が約5面積%未満の範囲で認められる
3:擦り傷が約5面積%以上約10面積%未満の範囲で認められる
4:擦り傷が約10面積%以上約50面積%未満の範囲で認められる
5:擦り傷が約50面積%以上の範囲で認められる。
<酸価>
各実施例および比較例において得られたインキ1.0gをビーカーに秤量し、エタノール50mlを加え、スターラー撹拌し、インキが完全に混合されたことを目視にて確認し、試料とした。得られた試料について、pHメーター“LAQUAact”(登録商標)D-72((株)堀場製作所製)およびpH電極9615S-10D((株)堀場製作所製)を用いて、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で中和滴定し、次式により酸価を算出した。
A=[B×f×5.611/S]
A:酸価(mgKOH/g)
B:滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f:0.1mol/水酸化カリウムエタノール溶液のファクター(濃度補正係数)
S:試料の質量(g)。
[実施例1]
<活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキの作製>
樹脂1、単官能(メタ)アクリレート1、多官能(メタ)アクリレート1~2、重合禁止剤、顔料およびワックスを表1に示す組成比となるように秤量し、三本ロールミル“EXAKT”(登録商標)M-80S(EXAKT社製)を用いて、装置のローラーギャップ目盛りを1、ロール回転速度の目盛りを500rpmに設定し、5回混練し、活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを得た。
<印刷>
RIテスターPI-600(テスター産業(株)製)EPDMゴムローラーに、前記方法により得られた活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを0.08g載せ、回転速度500rpmの条件で金属ローラーと120秒間混練した後、金属箔基材に転写した。そして、電子線照射により活性エネルギー線硬化型インキを硬化させ、5cm×20cmのベタ画像を有する印刷物を得た。
得られた印刷物について、前述の方法により評価した結果を表1に示す。
[実施例2~12、比較例1~3]
<活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキの作製>において、インキの組成を表1~2に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを作製し、得られたインキを用いたこと以外は実施例1と同様に<印刷>を行い、印刷物を得た。
得られた印刷物について、前述の方法により評価した結果を表1~2に示す。
Figure 2024079613000001
Figure 2024079613000002

Claims (10)

  1. 少なくともカルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含む、活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
  2. 前記カルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/オリゴマーを10質量%以上60質量%以下含む、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
  3. 前記インキの酸価が70mgKOH/g以上400mgKOH/g以下である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
  4. 前記カルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーが2-アクリロイルオキシエチルコハク酸を含む、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
  5. 前記2-アクリロイルオキシエチルコハク酸を10質量%以上60質量%以下含む、請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキ。
  6. 金属表面を有する基材の上に、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型金属箔印刷用インキを転写する転写工程、および、
    転写された活性エネルギー線硬化型金属箔印刷インキを電子線により硬化する硬化工程、
    を有する、印刷物の製造方法。
  7. 少なくとも金属表面を有する基材の上に硬化インキ膜を有する印刷物であって、硬化インキ膜がカルボキシル基および不飽和二重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物を含む、印刷物。
  8. 前記硬化インキ膜の弾性率が0.1GPa以上5.0GPa以下である、請求項7に記載の印刷物。
  9. 前記金属表面を有する基材の金属部分の厚みが5μm以上50μm以下である、請求項7または8に記載の印刷物。
  10. 前記金属表面を有する基材の厚みが10μm以上200μm以下である、請求項7または8に記載の印刷物。
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