JP2019214859A - 床版架設機における吊具ユニット - Google Patents
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しかし、大型重機で架設工事する際、天井制限のあるトラス橋やトンネル内では、床版を架設場所まで搬送することは困難な場合がある。
また、床版の耐荷重力によっては、床版上に設置する大型重機の重量が制限を受ける場合もある。
そのため、昨今では大型重機を使用しなくても桁上の旧床版を容易に撤去でき、その後、新床版を容易に設置でき、さらに、どのような場所(例えば、トンネル内など)においても使用できる床版架設機が要望されており、このような要望を解決するために、例えば、特許文献1に記載の床版架設機が提案されている。
ところが、床版を吊上げる際、床版の重心位置がズレていると、床版が傾斜し、その状態で吊り上がってしまう。ひとたび傾斜してしまうと、たとえスイベル機構が設けられていたとしても、10トン以上を有する床版を人力で旋回することは極めて困難である。
また、傾斜によっては、床版架設機、または、道路等に干渉する虞もある。
また、床版を吊上げる際、重心位置の正確な把握は困難である。それゆえ、水平に吊上げるためには、吊上げ、または、吊下げを繰り返し行って傾かないようにする必要があり、時間と手間を要する。
さらに、繰り返し作業の際、予期せぬ方向に床版が傾斜し、それによって床版が移動する(ズレる)危険もある。
左右一対の主桁と、各主桁間に主桁と垂直に、且つ、前後方向に一列に配置される複数の横梁とを有する平面構造体と、この平面構造体を左右一対の複数組で支持するとともに、夫々の下端に移動固定機構を装着する脚体と、平面構造体の下方に、前後方向に移動可能に設けられた走行機構と、走行機構の左右方向に伸縮可能に設けられた横行機構と、横行機構の下方に懸架され、架設用部材を吊上げる吊具ユニットとを備え、吊具ユニットは、吊具上部と、吊具上部と所定の間隔を有して設けられた吊具下部と、吊具上部と吊具下部との各中央部に夫々跨って設けられた係合部材とを備え、係合部材は、頭部と、頭部より小径な胴部とを備え、頭部は、吊具上部の中央部に揺動可能に支持され、胴部は、下部に吊具下部を載置可能にする載置台が設けられ、吊具上部は、横行機構から懸架された紐状の連結部材が複数箇所に取り付けられており、吊具下部は、下部に床版が固定され、上部に吊上げ時の傾動による干渉においても旋回可能にする旋回環が固定されていることを特徴とする床版架設装置における吊具ユニットを提供することによって解決される。
なお、説明で方向を表す際、特に言及しない限り、床版架設機が床版を廃棄物運搬車に搬送する側を「前」、一方、その反対側を「後」とし、床版架設機の前後に延在する走行レールに沿って移動する方向を「前後方向」とする。また、走行レールに直交する方向を「左右方向」、「横行方向」、または「幅員方向」とする。また、吊具ユニットが床版を吊上げる方向、または、吊下げる方向を「上下方向」とする。
そして、このような旧床版の撤去において、一般的に、旧床版を処理場まで運搬するには、10トン車の廃棄物運搬車等によって行われる。
そのため、10トン車に搬送できるように、通常、旧床版の前後方向の長さを2mサイズに切断し、更に左右方向の長さを2分割にすることで10トン以下の重量にしている。
床版架設機3は、主に、主桁4と横梁5等からなる平面構造体6、脚体7、移動固定機構8、走行機構9、横行機構10、及び吊具ユニット11などで構成されている。
すなわち、左右一対の主桁4と各主桁4に連結された横梁5とによって、一体構造物となるように平面構造体6が構成されている。
また、図示していないが、各脚体7には道路形状などに対応して、床版架設機3を水平レベルに維持可能に脚体の上下方向の長さを調整する伸縮構造が夫々設けられている。
図4は、図2を前後方向に見たD部詳細拡大図であり、便宜上、走行機構9を説明する上で主桁4を省いた図としている。
図4に示すように、走行機構9は、主に、走行トロリー15、走行梁16などで構成されている。
図5及び図6に示すように、走行梁16は、鋼板組合せ構造からなり、断面凹状の形状をしている。そして、断面凹状の開口部を下にした状態で走行レール14と垂直に、且つ、前後方向に一列に配置されるように各走行トロリー15に取り付けられている。
したがって、各走行梁16は、前後一体に構成された各走行トロリー15に夫々取り付けられていることより、各走行梁16と各走行トロリー15は一体となって前後方向に移動可能となっている。
横行機構10は、主に、上ローラ17、下ローラ18、横行梁19、及び横行レール20などで構成されている。
また、各横行梁19同士は左右一対の連結材21によって、一体にフレーム状を形成している。そして、この横行梁19は、後述の横行駆動機構22によって、左右方向に伸縮駆動が可能となっている。
また、各横行レール20同士は左右一対の接続材32によって、一体にフレーム状を形成している。
以下、横行駆動機構22について、図4〜図6を用いて説明する。
横行駆動機構22は、主に、前軸受23、後軸受24、シャフト25、チェーンスプロケット26、第1ローラチェーン27、モータ28、駆動スプロケット29、従動スプロケット30、及び第2ローラチェーン31などで構成されている。
この各シャフト25の一方の前側となる走行梁16の前側側面には、シャフト25が回転可能に支持されるように前軸受23が夫々嵌合されて取り付けられている。
また、走行梁16内の各シャフトの前後方向中央部には、チェーンスプロケット26がシャフト25と回転一体に夫々取り付けられている。
吊具ユニット11は、横行機構10の下方に懸架され、床版の吊上げ、または、吊下げを行うものである。また、上下方向に分割され、その各々が相対的に旋回可能な構造となっている。
図8は吊具ユニットの平面図、図9は図8の吊具ユニットのC−C矢視図、図10は横行機構の一部と図8の吊具ユニットの側面図を夫々示している。
これによって、床版の吊上げ時に床版の重心位置が多少ズレていても、吊上げが可能となる。また、道路が幅員方向に対して傾斜していても吊上げが可能となる。
具体的には、上側円錐ころ軸受44は、頭部38aの上方に嵌合され、一方、下側円錐ころ軸受45は、胴部38bの上方、且つ、頭部38aの下端面に当接するように嵌合されている。
載置台39は、ブロック状に形成されており、その上部は凸状球面41に形成されている。一方、それに対応する吊具下部37の載置面は、凹状球面42に形成されている。
このような、旋回環40は、一般的に大きな重量を有しつつも安定した旋回動作が求められる重機、土木機械、精密機械、設備機械などに採用されている。
吊具ユニット11の回動規制構造は、吊具上部36に設けられた吊具上部側回動規制構造と吊具下部37に設けられた吊具下部側回動規制構造とからなっている。
一方、吊具下部側回動規制構造は、ブラケット47の貫通孔47aより大径な貫通孔48aを有する被ブラケット48からなり、吊具上部36が回転中心p回りに90度毎回転する際のブラケット47の貫通孔47aの位置に被ブラケット48の貫通孔48aの位置が対応するように4ヶ所設けられている。
以下、重心位置のズレた旧床版を水平に吊上げ、搬送する動作の一例を説明する。
撤去する床版2の重心位置gがズレている状態で吊上げると図11(a)で示すように、正面視する(前後方向の前方向に見る)と右肩上がり状態となる。このとき、床版2を固定している吊具下部37も同じ傾きとなっている。
このような状態では、床版2を安全に搬送することができないため、床版2を略水平に保持する必要がある。
このとき、吊具上部36は、上側円錐ころ軸受44と下側円錐ころ軸受45によって、回転中心o回りに回転することで、正面視左肩上がり状態となっている(図11(b)状態)。
その後、横行機構11や横行トロリー34を駆動させることで、左右一対の脚体7の両脚体7内の位置まで、左右方向に吊具ユニット11を移動(横行移動)させる。
したがって、吊具ユニット11の回動規制構造の吊具上部36と吊具下部37の動きの規制を解除して、90度旋回させる必要がある。
90度旋回させたあと、再度、吊具ユニット11の回動規制構造を用いて、吊具上部36と吊具下部37との動きを規制して、前後方向の前側に移動(走行移動)することで床版2の搬送が行われる。
また、重心位置のズレによる床版の傾きを簡単に水平に修正でき、搬送が安全で容易となる。また、傾斜による傾き分の高さを考慮する必要がなく機高を低くできる。
また、旋回環を設けることで、床版の重心位置がズレて吊上げることで吊具下部が傾いたとしても、人力で回転させることができる。
さらに、道路(床版)が傾斜していても、チェーンブロックの調整により吊具ユニットを道路の傾斜(道路勾配)にあわせて傾けることができ、それによって吊具ユニットと床版の固定が簡易的にできる。
また、床版設置の際も道路勾配にあわせて床版を傾けることができるため、設置が容易となる。
また、吊具ユニットはチェーンブロックによって懸架されているが、これに限らずホイストや強固なロープなどであっても構わない。
また、旋回環の替わりにボールベアリング等の軸受を環状に並べても良い。
3 床版架設機
4 主桁
5 横梁
6 平面構造体
7 脚体
8 移動固定機構
9 走行機構
10 横行機構
11 吊具ユニット
14 走行レール
15 走行トロリー
16 走行梁
19 横行梁
20 横行レール
22 横行駆動機構
34 横行トロリー
35 チェーンブロック
36 吊具上部
37 吊具下部
38 係合部材
38a 頭部
38b 胴部
39 載置台
40 旋回環
40a 内輪
40b 外輪
41 凸部球面
42 凹部球面
43 アーム部
43a 軸受
44 上側円錐ころ軸受
45 下側円錐ころ軸受
46 連結部材揺動部
47 ブラケット(吊具上部側回動規制構造の一例)
48 被ブラケット(吊具下部側回動規制構造の一例)
47a、48a 貫通孔
49 段付規制ピン
o 回転中心
g 重心位置
Claims (5)
- 左右一対の主桁と、
各主桁間に主桁と垂直に、且つ、前後方向に一列に配置される複数の横梁と、
を有する平面構造体と、
該平面構造体を左右一対の複数組で支持するとともに、夫々の下端に移動固定機構を装着する、脚体と、
前記平面構造体の下方に、前後方向に移動可能に設けられた走行機構と、
前記走行機構の左右方向に伸縮可能に設けられた横行機構と、
前記横行機構の下方に懸架され、架設用部材を吊上げる吊具ユニットと、
を備え、
前記吊具ユニットは、吊具上部と、
前記吊具上部と所定の間隔を有して設けられた吊具下部と、
前記吊具上部と前記吊具下部との各中央部に夫々跨って設けられた係合部材と、
を備え、
前記係合部材は、頭部と、前記頭部より小径な胴部と、を備え、
前記頭部は、前記吊具上部の中央部に揺動可能に支持され、
前記胴部は、下部に前記吊具下部を載置可能にする載置台が設けられ、
前記吊具上部は、前記横行機構から懸架された紐状の連結部材が複数箇所に取り付けられており、
前記吊具下部は、下部に床版が固定され、上部に吊上げ時の傾動による干渉においても旋回可能にする旋回環が固定されていることを特徴とする床版架設装置における吊具ユニット。
- 前記載置台の上部は、凸状球面に形成され、且つ、それに対応する前記吊具下部の載置面は、凹状球面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床版架設装置における吊具ユニット。
- 前記吊具上部は、該吊具上部の両端面に夫々固定されたアーム部と、該各アーム部の略両端に、両端近傍を揺動可能に軸支された連結部材揺動部とを備え、前記連結部材揺動部は一方に前記連結部材が固定され、他方に揺動可能にアーム部に軸支されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の床版架設装置における吊具ユニット。
- 前記連結部材は、横行トロリーを介して前記横行機構に吊持されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の床版架設装置における吊具ユニット。
- 前記吊具上部は、吊具上部側回動規制構造を有し、
前記吊具下部は、前記吊具上部側回動規制構造と協働して、前後方向または左右方向への移動時に、前記吊具上部に対して当該吊具下部の回動を規制する吊具下部側回動規制構造を有していることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の床版架設装置における吊具ユニット。
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