JPH0753170A - スプレッダ及びそのツイストロック装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ツイストロックピンの揺動範囲を広げながら
も揺動中心を保持できるスプレッダのツイストロック装
置を提供する、及び複数個のコンテナを一度に吊り下げ
ることができるスプレッダを提供する。 【構成】 トロリ２から巻上下自在に吊り下げられたス
プレッダ本体４に下方へ突出したツイストロックピン５
を備え、該ツイストロックピン５をコンテナ１上面のロ
ック孔１１に挿入した後回転させることによって固定す
るスプレッダ３のツイストロック装置において、上記ツ
イストロックピン５に下面が球面状に形成された球面フ
ランジ３２を設けると共に、スプレッダ本体４にこの球
面フランジ３２が載せられる球面軸受３１を設けて、ツ
イストロックピン５をスプレッダ本体４に揺動自在に吊
り下げ、且つ上記ツイストロックピン５の上面に球面フ
ランジ３２を球面軸受３１に押し付けるバネ材３７を設
けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンテナを吊り下げる
スプレッダ及びそのツイストロック装置に係り、特に、
ツイストロックピンを揺動自在としてコンテナ上面のロ
ック孔とのずれを許容するようにしたスプレッダ及びそ
のツイストロック装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、コンテナ１は、図７に示すよう
にトロリ２から巻上下自在に吊り下げられたスプレッダ
３に係合されて荷役される。スプレッダ３は、図９及び
図１０に示すように枠状のスプレッダ本体４と、そのス
プレッダ本体４の四隅に下方に突出して設けられたツイ
ストロックピン５とからなっている。ツイストロックピ
ン５は、吊り下げるべきコンテナ１の上面に設けられた
ロック孔（長孔）に挿入・固定されるものであり、図１
１及び図１２に示すようにリンク機構６によって連動し
て回転するようになっている。すなわち、図１３に示す
ように三角板状に形成されたツイストロックピン５の先
端の係合部７は、コンテナ１上面のロック孔１１に挿入
された後略90度回転することによってロック孔１１に引
っ掛かるようになっている。

【０００３】図１３に示すように、ツイストロックピン
５の上部にはフランジ８が設けられており、このフラン
ジ８がスプレッダ本体４に設けられた載台９に支持され
ている。つまり、ツイストロックピン５は、フランジ８
及び載台９を介してスプレッダ本体４に吊り下げられて
いる。上記フランジ８の下面および載台９の上面は共に
テーパ状に形成されており、ツイストロックピン５があ
る程度揺動するようになっている。また、載台９の下方
のツイストロックピン５にはカラー１０が被嵌されてお
り、ツイストロックピン５が下方から突き上げられたと
きの荷重をカラー１０で受けるようにしている。また、
このカラー１０は、その上縁部が載台９に当接すること
により、ツイストロックピン５の揺動範囲を規制してい
る。

【０００４】上記構成によれば、吊り下げるべきコンテ
ナ１の上方までトロリ２を移動させた後トロリ２からス
プレッダ３を下ろすと、スプレッダ３の四隅に下方に突
出して設けられたツイストロックピン５がコンテナ１の
上面に設けられたロック孔１１に挿入され、ロックピン
５を回転させることにより係合固定される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、吊り下げるべ
きコンテナ１の位置がスプレッダ３に対してずれている
と、コンテナ１のロック孔１１にスプレッダ３のツイス
トロックピン５が入らず、コンテナ１を吊り下げること
ができない。多少のずれであればツイストロックピン５
が所定の範囲で揺動することにより許容できるものの、
従来の揺動機構は、ツイストロックピン５の自重により
揺動中心を保持するものであるため、その構造上揺動範
囲を広げることができない。

【０００６】すなわち、この構造のまま揺動範囲を広げ
ると、ツイストロックピン５とロック孔１１との位置が
ずれたまま押し付けられた場合、ツイストロックピン５
がその最大範囲まで振れてフランジ８が載台９に引っ掛
かり、ツイストロックピン５の自重では揺動中心の位置
（垂直位置）に回復しない虞れがある。これでは、ツイ
ストロックピン５をロック孔１１に挿入することはでき
ない。そのため、コンテナ１に対するスプレッダ３の位
置をシビアに管理しなければならず、何等かの対策が望
まれていた。

【０００７】特に、図７に示すように１個のスプレッダ
３で２個のコンテナ１を吊り下げる場合には、図８に示
すようにコンテナ１相互間のロック孔１１が一直線上に
位置しているか否かがポイントとなるが、通常、ツイス
トロックピン５の揺動範囲ではカバーできない程ロック
孔１１の位置がずれていることが多い。そのため、１個
のスプレッダ３でのコンテナ１の２個吊りは、実際上困
難となっていた。

【０００８】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、ツイストロックピンの揺動範囲を広げながらも
揺動中心を保持できるスプレッダのツイストロック装置
を提供すること、及び複数個のコンテナを一度に吊り下
げることができるスプレッダを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第一の発明は、トロリから巻上下自在に吊り下げられ
たスプレッダ本体に下方へ突出したツイストロックピン
を備え、該ツイストロックピンをコンテナ上面のロック
孔に挿入した後回転させることによって固定するスプレ
ッダのツイストロック装置において、上記ツイストロッ
クピンに下面が球面状に形成された球面フランジを設け
ると共に、スプレッダ本体にこの球面フランジが載せら
れる球面軸受を設けて、ツイストロックピンをスプレッ
ダ本体に揺動自在に吊り下げ、且つ上記ツイストロック
ピンの上面に球面フランジを球面軸受に押し付けるバネ
材を設けたことを特徴としている。

【００１０】第二の発明は、２個以上のコンテナを吊り
下げるスプレッダ本体に、請求項１記載のツイストロッ
ク装置を設けて構成されている。

【００１１】

【作用】第一の発明によれば、ツイストロックピンは、
球面フランジ及び球面軸受によりその揺動範囲が広がる
と共に、バネ材に押し付けられて揺動中心が保持され
る。よって、コンテナのロック孔に対するスプレッダの
ツイストロックピンの位置のずれの許容量が大きくな
る。

【００１２】第二の発明によれば、２個以上のコンテナ
を吊り下げるスプレッダ本体に、上述のツイストロック
装置を設けたので、吊り下げるべき２個以上のコンテナ
のロック孔の位置が一直線上からずれていても複数個の
コンテナを一度に吊り下げることができる。

【００１３】

【実施例】以下に本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【００１４】図５〜図７は、本実施例に係るスプレッダ
及びそのツイストロック装置を備えたコンテナクレーン
の概略図である。図示するように甲板の左右に船の長手
方向に沿ってレール１２が敷設されており、このレール
１２の上に門型のクレーン架台１３が走行自在に設けら
れている。クレーン架台１３の上部には、船幅方向に２
本のガーダ１４が平行に設けられており、これらガーダ
１４の端部には、接岸時に陸側に進展される延長ガーダ
１５が、折れ曲がり自在に設けられている。このガーダ
１４には、トロリ２が移動自在に掛け渡されており、ト
ロリ２の下方には、ロープ１６及び滑車１７を介してス
プレッダ３が巻上下自在に吊り下げられている。

【００１５】スプレッダ３は、図９及び図１０に示すよ
うに、長方形の枠状のスプレッダ本体４と、スプレッダ
本体４の下面に設けられたツイストロックピン５とから
主に構成されている。スプレッダ本体４は、コンテナ１
を２個直列に吊り下げる大きさに形成されており、コン
テナ１の大きさに合わせてテレスコピック機構１８によ
り自在に伸縮するようになっている。スプレッダ本体４
の上面には、トロリ２からのロープ１６が巻き掛けられ
る滑車１９が設けられており、スプレッダ本体４の四隅
には、コンテナ１をスプレッダ本体４に係合させるとき
の案内となるガイドフリッパ２０が設けられている。ガ
イドフリッパ２０は、シリンダ２１によって上方へ跳ね
揚げ自在となっている。

【００１６】ツイストロックピン５は、スプレッダ本体
４の四隅に４か所および中央部に４か所計８か所に設け
られており、図１１及び図１２に示すリンク機構６によ
り同時に回転するようになっている。すなわち、各ツイ
ストロックピン５の上部には径方向外方に延出されたブ
ラケット２２が設けられており、スプレッダ本体４の短
辺方向のブラケット２２同志が連動ロッド２３で連結さ
れている。連動ロッド２３は、スプレッダ本体４の短辺
方向の中央部に設けられたシリンダ２４によって、その
長手方向に前後するようになっている。つまり、シリン
ダ２４が伸縮すると、その下方に設けられた回転軸２５
が回転し、それに伴って連動ロッド２３が前後するよう
になっている。

【００１７】上記ツイストロックピン５の詳細を図１〜
図４に示す。図示するように、スプレッダ本体４には、
ツイストロックピン５を支持するための支持フレーム２
６が設けられている。支持フレーム２６は、垂直方向に
形成された四角筒体からなっており、その上部に上板２
７が設けられ、中央部に中板２８が設けられ、下部に下
板２９が設けられている。上記中板２８には、ツイスト
ロックピン５が挿通される孔３０が穿たれている。孔３
０の直径は、ツイストロックピン５の外径よりも大き
い。この孔３０には、上面が球面に形成された環状の球
面軸受３１が設けられている。

【００１８】他方、ツイストロックピン５の上部には、
下面が球面状に形成された球面フランジ３２が、キー３
３によって回転止めされて被嵌されている。球面フラン
ジ３２は、ツイストロックピン５に螺合されたナット３
４によって固定されており、上記球面軸受３１に載せら
れている。この構成によれば、ツイストロックピン５
は、球面フランジ３２及び球面軸受３１を介してスプレ
ッダ本体４に吊り下げ支持され、スプレッダ本体４に対
して自在に揺動することになる。

【００１９】上記球面フランジ３２には、径方向外方に
延出されたブラケット３５が設けられており、このブラ
ケット３５にロッド３６が枢着されている。このロッド
３６は、図１１及び図１２に示す連動ロッド２３に接続
されており、シリンダ２４の伸縮により前後に移動する
ようになっている。この構成によれば、ロッド３６が前
後に移動すると、ブラケット３５が回動してツイストロ
ックピン５が回転することになる。このとき、球面フラ
ンジ３２と球面軸受３１との間が摺接する。

【００２０】球面フランジ３２を固定するナット３４の
上面には、球面フランジ３２を球面軸受３１に押し付け
るバネ材３７が設けられている。バネ材３７は、ナット
３４の上面に設けられた下バネ受３８とスプレッダ本体
４の上板２７に設けられた上バネ受３９との間に介設さ
れている。この構成によれば、ツイストロックピン５
は、バネ材３７によって下方に押し付けられ、その揺動
中心が保持される。

【００２１】上記上バネ受３９と下バネ受３８との間に
は、それらの間のクリアランスを保つ突起部４０が設け
られている、この突起部４０は、ツイストロックピン５
の上端面に削り出し成形されており、ツイストロックピ
ン５が下方から突上荷重を受けたときにその荷重を受け
止め、上記クリアランスを保つものである。

【００２２】上記ツイストロックピン５の下部は、スプ
レッダ本体４の下板２９に形成された孔４１から下方に
突き出ており、その下端部に三角板状に形成された係合
部７が設けられている。この係合部７は、コンテナ１の
上面に設けられたロック孔１１（長孔）に挿入され、ツ
イストロックピン５の回転によりロック孔１１に係合す
るものである。つまり、コンテナ１の上面には、図８に
示すように四隅にロック孔１１が形成されており、これ
らロック孔１１にツイストロックピン５の係合部７が挿
入されるようになっている。

【００２３】以上の構成からなる本実施例の作用につい
て述べる。

【００２４】コンテナ１をスプレッダ３に吊り下げると
きには、まずクレーン架台１３を船の長手方向に移動さ
せると共にトロリ２を船幅方向に移動させ、スプレッダ
３を吊り下げるべき２個のコンテナ１の上方に位置させ
る。そして、スプレッダ３をトロリ２から下ろしスプレ
ッダ３の下面に突出しているツイストロックピン５をコ
ンテナ１の上面に設けられたロック孔１１に挿入する。

【００２５】このとき、図８に示すように、吊り下げる
べき２個のコンテナ１のロック孔１１が一直線上からず
れていても、ツイストロックピン５は、球面フランジ３
２及び球面軸受３１によりその揺動範囲が広がっている
と共に、バネ材３７に押し付けられて揺動中心が保持さ
れているので、ロック孔１１に対するツイストロックピ
ン５の位置のずれの許容量が大きくなり、ツイストロッ
クピン５が揺動して的確にロック孔１１に挿入される。

【００２６】すなわち、ツイストロックピン５がバネ材
３７に押し付けられてその揺動中心が保持されているの
で、ツイストロックピン５の自重で揺動中心を保持して
いた従来技術に比べてツイストロックピン５の揺動範囲
を広げることができる。また、バネ材３７によりツイス
トロックピン５の揺動中心が保持されているので、ロッ
ク孔１１とツイストロックピン５との位置がずれた状態
で相互に押し付けられたときでも、ツイストロックピン
５が傾いた状態のままになることはなく、速やかに揺動
中心に復帰してロック孔１１に挿入される。従来のツイ
ストロックピン５の自重で揺動中心を保持するタイプで
は、ロック孔１１とツイストロックピン５との位置がず
れた状態で相互に押し付けられると、ツイストロックピ
ン５がロック孔１１の近傍のコンテナ１上面に押し付け
られ、傾いたままとなってロック孔１１に挿入されな
い。

【００２７】よって、本実施例によれば吊り下げるべき
２個のコンテナ１のロック孔１１の位置が一直線上から
ずれていても２個のコンテナ１を一度に吊り下げること
ができる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば次の
如き優れた効果を発揮できる。

【００２９】(1) ツイストロックピンの揺動範囲を広げ
られるので、ロック孔に対するツイストロックピンの位
置のずれの許容量を大きくできる。

【００３０】(2) よって、吊り下げるべき２個以上のコ
ンテナのロック孔の位置が一直線上からずれていても複
数個のコンテナを一度に吊り下げることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すスプレッダのツイスト
ロック装置の平面図であり、図２のI-I 線断面図であ
る。

【図２】上記ツイストロック装置の側面図である。

【図３】上記ツイストロック装置の側断面図であり、図
２のIII-III 線断面図である。

【図４】上記ツイストロック装置の下面図であり、図２
のIV-IV 線断面図である。

【図５】上記スプレッダを備えた門型コンテナクレーン
の正面図である。

【図６】上記門型コンテナクレーンの平面図である。

【図７】上記門型コンテナクレーンの側面図である。

【図８】２個のコンテナの平面図である。

【図９】上記門型コンテナクレーンに備えられたスプレ
ッダの平面図である。

【図１０】上記スプレッダの正面図である。

【図１１】上記スプレッダのツイストロック装置の平面
図である。

【図１２】上記ツイストロック装置の側面図である。

【図１３】従来例を示すツイストロック装置の側面図で
ある。

【符号の説明】

１ コンテナ ２ トロリ ３ スプレッダ ４ スプレッダ本体 ５ ツイストロックピン １１ ロック孔 ３１ 球面軸受 ３２ 球面フランジ ３７ バネ材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トロリから巻上下自在に吊り下げられた
   スプレッダ本体に下方へ突出したツイストロックピンを
   備え、該ツイストロックピンをコンテナ上面のロック孔
   に挿入した後回転させることによって固定するスプレッ
   ダのツイストロック装置において、上記ツイストロック
   ピンに下面が球面状に形成された球面フランジを設ける
   と共に、スプレッダ本体にこの球面フランジが載せられ
   る球面軸受を設けて、ツイストロックピンをスプレッダ
   本体に揺動自在に吊り下げ、且つ上記ツイストロックピ
   ンの上面に球面フランジを球面軸受に押し付けるバネ材
   を設けたことを特徴とするスプレッダのツイストロック
   装置。
2. 【請求項２】 ２個以上のコンテナを吊り下げるスプレ
   ッダ本体に、請求項１記載のツイストロック装置を設け
   たことを特徴とするスプレッダ。