JP2019206744A - 溶鋼の精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】精錬用粉体の凝集を抑えてさらに加速を促進した反応効率の高い溶鋼の精錬方法を提供する。【解決手段】雰囲気圧力Pe(Torr)が100Torr未満の減圧下にてキャリアガスとともに溶鋼表面に精錬用粉体を吹付ける処理において、スロート部の長さlt(m)がスロート部の直径Dt(m)の5倍以上である上吹きランスを用い、かつキャリアガス流量Q粉体供給速度Wpowderとの比(Wpowder/Q)が3.5以上11以下の条件を満たし、前記吹付ける前の精錬用粉体の平均粒径は30〜300μmとする。【選択図】図5

Description

本発明は、溶鋼の減圧精錬装置内の上吹きランスから噴射される精錬用粉体を大幅に加速させ、効率良く高級鋼を溶製する溶鋼の精錬方法に関する。
近年、鉄鋼製品に求められる性能レベルがますます高まっており、S,C等の溶鋼中不純物の徹底除去が求められている。例えばSに関して、10ppm以下の極低硫鋼を溶製するために、RH等の環流型真空脱ガス装置にて、溶鋼表面にキャリアガスとともにCaOを含有する脱硫剤粉体を吹付けて脱硫処理を施す手法がとられる場合がある。また、Cに関して、溶鋼表面にFe23粉体を吹付け、CによるFe23の還元を生じさせ脱炭反応を促進させる技術が知られている。
上記粉体上吹き処理における精錬効率を高位に安定化させるためには、上吹きする粉体の粒径を適切に制御する必要がある。例えば、粉体径が大きすぎると質量当たりの界面積が大きく低下し、溶鋼との反応効率が大きく低下する。その一方、粉体径が小さすぎると粉体の慣性力が小さくなり、溶鋼への侵入深さが低下して内部に巻込まれ難くなる。したがって、粉体の反応効率が極大となる適切な粉体径の範囲が存在すると考えられる。
そこで、特許文献1には、粒径が10〜200μmの脱硫脱窒剤粉体を、キャリアガスにより上吹きランスから溶鋼表面へ吹き付けることを特徴とする溶鋼の脱硫脱窒方法が記載されている。この方法では、粒径が小さすぎると粉体の飛散が顕著となり安定して溶鋼に供給できず、粒径が大きすぎると粉体全体の反応界面積が著しく小さくなり精錬効率が低下することを理由に、上記粒径の範囲が設定されている。
しかしながら、通常の粉体上吹きに用いられるラバールノズルを用いた場合、スロート部(径縮小部)において粉体が過度に凝集し、現状は本来の粉体径よりも非常に大きな状態で噴射されていると考えられる。しかも、単一粉体が複数個凝集して見かけの粉体径が大きくなった場合、粉体のキャリアガスによる加速抵抗が大きくなり、速度が不十分なまま粉体が噴射されてしまう。
一方、特許文献2には、CaOおよびCaF2を主成分とする組成からなり、75μm以下の粒度の原料粒子の体積配合率が70%以上である脱硫フラックスを溶鋼に吹込む脱硫精錬法が記載されている。この方法は、粒径を細かくすることでフラックスと溶鋼との接触面積を増加させ、フラックスの滓化性を向上させることを狙いとしている。
しかしながら、特許文献1の時と同様に、装入する粉体の粒径を調整したとしても、ノズル内部で粉体同士が凝集してしまい、本来の粉体径よりも非常に大きい状態で粉体が噴射されるため、意図した滓化性向上効果が得られない可能性がある。
特開平6−322431号公報 特開平8−269533号公報
上述したような従来の手法では、精錬用粉体の凝集防止あるいは加速が効率的になされず、かつ設備の操業条件によらず安定して高い精錬効率を発揮することは困難であった。
本発明は、前述の問題点を鑑み、精錬用粉体の凝集を抑えてさらに加速を促進した反応効率の高い溶鋼の精錬方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々のノズル形状、および粉体吹込み条件にて、まずノズルから噴射された粉体の速度を調査する試験を実施した。図1には、ラバールノズルの内部構造の例を示す。ラバールノズルを基本とし、かつラバールノズルにおいて最も圧力が高くなるスロート部の長さlt(m)を延長することで、粉体を大幅に加速できることを見出した。
また、ノズル前圧P0(Torr)は、スロート径Dt(m)とキャリアガス流量Q(Nm3/min)とから(3)式で表される。
0=0.089・Q/Dt 2 ・・・(3)
(3)式からもわかるように、ノズル前圧P0はスロート径Dtが小さいほど高くなる。したがって、仮にスロート部の長さltをある程度確保したとしても、スロート径Dtが大きすぎるとノズル前圧P0が小さくなり、粉体の加速不良が生じてしまう。このことから、スロート部の長さltとスロート部の直径(スロート径)Dtとの比に適正な範囲があることを見出した。
次に本発明者らは、粉体の噴射速度を変えた条件にて、脱硫を対象として溶鋼への粉体上吹き試験を実施し、粉体反応効率と粉体速度との関係を調査した。その結果、粉体速度がある臨界値を超えると粉体が溶鋼の表面を破り溶鋼内に侵入するようになり、粉体反応効率が飛躍的に向上することがわかった。スロート部における粉体の加速にはスロート内部の圧力の絶対値も併せて高めることが必要であることから、スロート部の長さltとスロート径Dtとの比に加えてノズル前圧P0をある臨界値以上に制御することで粉体が溶鋼内に侵入可能な速度まで加速され、粉体反応効率が飛躍的に向上することを見出した。
さらに本発明者らは、種々のノズル形状、および粉体吹込み条件にて減圧したアクリル容器内で粉体を噴射し、吹込みノズル近傍を高速度カメラで撮影し、画像解析により噴射された粉体の状態および見かけの粉体径を調査した。その結果、キャリアガスの単位流量当たりの粉体量がある一定値を超えると、粉体が著しく凝集して噴射されており、スロート部の長さltを延長することで粉体の凝集が緩和されることを見出した。これは、キャリアガスの単位流量当たりの粉体量が大きいほどスロート内部の粉体密度が増加して粉体が凝集しやすくなり、スロート部の長さltを延長するとスロート内部にて粉体が壁あるいは粉体同士と衝突し、凝集した粉体が破壊されるためである。
以上のように本発明は、精錬用粉体の噴射速度を大幅に加速させて溶鋼中への侵入を促進させ、精錬効率を飛躍的に向上させるためのランス形状、および粉体噴射条件を明確とすることでなされたものである。本発明は以下のとおりである。
(1)雰囲気圧力Pe(Torr)が100Torr未満の減圧下にてキャリアガスとともに溶鋼表面に精錬用粉体を吹付ける処理において、前記精錬用粉体を吹付ける上吹きランスの先端形状が円筒形のスロート部と円錐形の径拡大部とからなり、前記スロート部の直径Dt(m)と前記スロート部の長さlt(m)とが(1)式の関係を満たす上吹きランスを用い、かつ前記キャリアガスの供給条件が(2)式〜(3)式の条件を満たし、前記吹付ける前の精錬用粉体の平均粒径が30〜300μm、かつ前記キャリアガスと前記精錬用粉体の粉体供給速度との関係が(4)式の条件を満たすことを特徴とする、溶鋼の精錬方法。
t/Dt≧5.0 ・・・(1)
2500×(lt/Dt-0.27≧P0≧540×(lt/Dt-0.27・・・(2)
0=0.089・Q/Dt 2 ・・・(3)
3.5≦Wpowder/Q≦11 ・・・(4)
ここで、P0:ノズル前圧(Torr)、Q:キャリアガス流量(Nm3/min)、Wpowder:粉体供給速度(kg/min)である。
本発明によれば、精錬用粉体の凝集を抑えてさらに加速を促進し、精錬効率を飛躍的に向上させることが可能であり、工業的価値は非常に大きい。
本発明における上吹きランスのノズル形状を模式的に示した図である。 粉体反応効率指数と粉体噴射速度との関係を示した図である。 本発明が適用されるノズル前圧P0と比lt/Dtとの関係を示す図である。 比Wpowder/Qと規格化粉体径との関係を示す図である。 比Wpowder/Qと粉体反応効率指数との関係を示す図である。
(1.本発明における用語の定義)
以下に本発明について説明する。以下に説明する「RH真空脱ガス装置」とは、真空槽を有する溶鋼処理装置であり、「粉体反応効率指数」とは、上吹きした精錬用粉体(以下、粉体)が溶鋼と反応し、不純物の低減に寄与した効率を示す。また、「粉体上吹き処理」とは、RH真空脱ガス装置などの精錬容器の内部に設置された上吹きランスから、キャリアガスとともに粉体を吹き付けて溶鋼の精錬を行う処理である。さらに、「平均粒径」とは、上吹きに用いる粉体の単一粉体径の平均値を示し、「見かけの粉体径」とは、ノズル内部にて複数の単一粉体が凝集して形成された粒子群の円相当径を示す。また、「規格化粉体径」とは、見かけの粉体径を上吹き前の単一粉体径で無次元化した値、すなわち、見かけの粉体径を上吹き前の凝集していない状態での単一粉体径で割った値である。粉体、粉体と溶鋼との反応、不純物元素の具体的な例に基づく「粉体反応効率指数」の算出については後述する。
(2.本発明に係る粉体噴射条件)
[Pe:100Torr未満]
キャリアガスが形成するジェットはノズル前圧とノズル出口圧力との圧力勾配を駆動力とするため、ノズル出口圧力が低いほど超音速ジェットを形成し易い。また、真空槽内の雰囲気圧力Peが低いほど空気抵抗が小さくなるため、ノズルから噴射された粉体が溶鋼表面に到達するまでの速度の減衰が抑えられ、粉体の溶鋼への侵入効率が安定する。したがって、雰囲気圧力Peを100Torr以上としてしまうと、キャリアガスジェット流速の大幅な低下、空気抵抗の大幅な増加により粉体噴射後の速度の大幅な減衰を招くことから、雰囲気圧力Peを100Torr未満とする。
[lt/Dt≧5.0 ・・・(1)]
粉体速度がある臨界値を超えると粉体が溶鋼の表面を破り、浴内に侵入するようになり、反応効率が飛躍的に向上する。図2には、後述の方法にて調査した粉体反応効率指数とノズル出口での粉体噴射速度との関係を示す。この調査結果から、粉体噴射速度がおよそ60m/sを超えると脱硫効率が飛躍的に向上することを知見した。
図3には、ノズル前圧P0を変更した条件にてノズル出口での粉体噴射速度を実測し、比lt/Dtで整理した結果を示す。図3において、○印は粉体噴射速度が60m/sを超えたものを示し、×印は粉体噴射速度が60m/sを超えなかったものを示している。図3に示すように、比lt/Dt<5.0の範囲においては粉体加速効果が不十分であり、ノズル前圧を高位に制御したとしても粉体噴射速度を60m/s以上とすることができなかった。したがって、本発明の効果を十分に発揮するためには、比lt/Dtを5.0以上とする必要がある。
[2500×(lt/Dt-0.27≧P0≧540×(lt/Dt-0.27・・・(2)]
比lt/Dtが異なると粉体加速効果は大きく異なってくるため、臨界速度を超えるために必要なノズル前圧P0の値は比lt/Dtによって当然異なってくる。そこで、図3に示した結果から、比lt/Dtが5.0以上を満たしている条件にて粉体噴射速度が60m/sを超えるために必要なノズル前圧P0および比lt/Dtの条件を定式化し、(2)式を得た。また、ノズル前圧P0を増加させるためにキャリアガス流量Qを大幅に増加させてしまうと、ジェットが著しい不足膨張となり威力が大きく減衰し、加速効果が大幅に減少してしまうため、粉体を効率的に加速させるためのノズル前圧P0には上限がある。したがって、本発明の効果を得るためには、(1)式の条件に加え、比lt/Dtに応じてノズル前圧P0が(2)式の条件を満たすように制御する必要がある。
[精錬用粉体の平均粒径:30〜300μm]
粉体の平均粒径が小さすぎると、噴射された粉体が真空排気系に飛散ロスして歩留りが悪くなることに加え、粉体が持つ慣性力が極端に小さくなり粉体が殆ど溶鋼内に侵入しなくなるため、下限を30μmとした。一方、粉体の平均粒径が大きすぎると、同一の粉体質量で比べた時の溶鋼との被表面積が小さくなり、反応効率が大きく低下する懸念があることから、上限を300μmとした。
[3.5≦Wpowder/Q≦11・・・(4)]
図4に、上述した粉体観察実験で得たノズルから噴射されたノズル出口での粉体の見かけの粉体径を上吹き前の単一粉体径で無次元化した規格化粉体径と、粉体供給速度Wpowder(kg/min)とキャリアガス流量Qとの比Wpowder/Qとの関係を示す。また、図5には、後述の実施例の方法にて調査した粉体反応効率指数と比Wpowder/Qとの関係を示す。なお、図4及び図5に示す実験結果で用いた粒子は単一粉体径が150μmのポリエチレンとした。
比Wpowder/Qが3.5未満では粉体の凝集が生じず、これ以上値を低下させても凝集緩和効果が得られないことに加え、前述したノズル前圧P0の範囲では粉体の供給量が極端に少なくなってしまい、粉体反応効率指数が大きく低下してしまうことから、本指標の下限を3.5とした。一方、図4に示す結果から、比lt/Dtを過度に増加させても粉体凝集緩和効果は飽和することも確認された。このことから、スロートを延長した条件でも一定量の粉体の凝集は生じてしまう。図5に示すように、比Wpowder/Qが11を超えると、粉体が過度に凝集し、粉体の反応効率が低下してしまうため、本指標の上限を11とした。
(3.処理条件)
本発明において、転炉等の精錬炉から取鍋に出鋼された溶鋼は、脱酸、合金添加等の成分調整を終えた後、RH真空脱ガス装置等に代表される精錬容器において溶鋼の処理が実施される。上吹きランスを具備した精錬容器内にて前述の条件を満たす範囲でランス形状、操業条件を設定し、精錬用粉体をキャリアガスとともに上吹きする。ここで、粉体上吹きに用いる上吹きランスの断面形状は必ずしも真円形である必要はない。断面形状が真円以外の場合、スロート径Dtおよびノズル拡大部の出口径Deの値は、断面積から円相当径に換算した値を用いる。また、孔数についても特に限定しないが、孔数が多すぎると孔一つ当たりの前圧が低下して粉体の加速が困難となるため、単孔が望ましい。
一方で、粉体上吹きに用いるキャリアガスの種類は限定しないが、操業安定性、処理コストの観点から、希ガス元素が望ましく、特にArを使用することがより望ましい。また、キャリアガス流量Qが大きすぎると真空槽内の雰囲気圧力Peを高真空に維持することが困難となることに加え、キャリアガスジェットによる溶鋼飛散が活発となり設備負荷が大きく増加する。さらに、キャリアガス流量Qが大きすぎると、前述したように、ジェットが著しい不足膨張となって威力が大きく減衰し、粉体の加速効果が大幅に減少してしまう。このことから、キャリアガス流量Qは20Nm3/min未満とすることが望ましい。さらに、本発明は脱硫に限定せず粉体上吹き処理全般を対象としているため、精錬用粉体は除去する不純物に応じて種類を変更してもよい。
(5.効果の確認方法)
本発明の効果は、粉体反応効率指数にて評価することができる。まず、粉体上吹き処理前後にて溶鋼サンプルを採取し、化学分析に供することで溶鋼中の不純物濃度[%X]を得る。ここで、後述の実施例の脱硫処理ではXはS(硫黄)であるが、本発明は脱硫処理に限らず様々な不純物の除去に適用し得ることから、例えば脱炭処理ではXはC(炭素)、脱窒処理ではXはN(窒素)である。粉体反応効率は以下の(5)式の粉体反応効率指数で評価する。
粉体反応効率指数=ln([%X]上吹キ前/[%X]上吹キ後)/粉体原単位
・・・(5)
ここで、粉体原単位(kg/ton)は、粉体上吹き処理に使用した粉体総質量を溶鋼質量で除した値である。本発明において、粉体反応効率指数が0.150以上であったものを発明の効果が得られたと判断できる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
転炉吹錬を終えた溶鋼を取鍋に出鋼した後、取鍋をRH真空脱ガス装置まで搬送し、上吹きランスを具備した真空槽を取鍋内の溶鋼に挿入し、溶鋼を真空槽内に吸引して粉体の上吹き処理を開始した。実施例、比較例はすべて脱硫処理を対象とし、上吹きランスは単孔ラバールランス、上吹きする粉体はCaO、キャリアガスはAr、溶鋼量は250ton規模、溶鋼温度は1600〜1640℃とした。粉体の上吹き処理を行う際に、雰囲気圧力Pe、スロート径Dt、スロート部の長さlt、平均粒径、キャリアガス流量Q、および粉体供給速度Wpowderを操作因子として以下の表1のように変化させ、他の精錬条件は以下の通りとした。
粉体上吹き処理前のS濃度[%S]上吹キ前:0.0025〜0.0035質量%
粉体上吹き処理前の溶鋼の組成:
C濃度[%C]:0.05〜0.20質量%
Si濃度[%Si]:0.05〜0.30質量%
Mn濃度[%Mn]:0.50〜1.50質量%
Al濃度[%Al]:0.10〜0.20質量%
粉体上吹き処理時間:10min
ランス−湯面間距離:3.0m
粉体上吹き処理の前後に溶鋼サンプルを採取し、溶鋼サンプルの一部を化学分析に供することで処理前後のS濃度[%S]を得て、前述の(5)式にて粉体反応効率指数を算出した。各条件における脱硫における粉体反応効率指数の値を表2に併せて示す。なお、上述した効果の確認方法に則り、脱硫における粉体反応効率指数が0.150以上で発明の効果が得られたものを○、発明の効果が得られなかったものを×と評価した。
実施例のCh.No.1〜8は、前述の(1)式〜(4)式の条件を全て満たしていたため、発明の効果が特に顕著に得られた。
一方、比較例のCh.No.9〜16は、必須の条件を一部満たしていなかったため、発明の効果が得られなかったものである。Ch.No.9は、雰囲気圧力が100Torr以上であったため、キャリアガスジェットの動圧、流速が大きく減衰したことに加え、雰囲気の空気抵抗が大きくノズル出口噴射後の粉体速度が大きく減速して低下してしまい、発明の効果が得られなかったと考えられる。したがって、粉体の上吹き処理中の雰囲気圧力は必ず100Torr未満とする必要があることが確認できた。
Ch.No.10は、吹付け前の粉体の平均粒径が30μmを下回っていたため、ノズルでの加速不足で粉体が溶鋼内部に侵入せず、脱硫効率が低位であった。一方Ch.No.11は、吹付け前の粉体の平均粒径が300μmを超えていたため、同一の粉体質量で比べた時の溶鋼との接触面積が小さくなり、粉体との反応効率が低下した。したがって、本発明における精錬用粉体の吹付け前の平均粒径は30〜300μmの範囲内である必要があることが確認できた。
Ch.No.12は、比lt/Dtが5.0を下回っていたため、粉体の加速距離が不十分であり、ノズル出口での噴射速度が60m/sを超えることができず、脱硫における粉体反応効率指数が低位であった。したがって、本発明において比lt/Dtは必ず5.0以上である必要があることが確認できた。
Ch.No.13は、(3)式で算出されるノズル前圧P0が(2)式における下限値を下回っていたため、ノズルでの粉体の加速が十分になされず加速不足で噴射されたため、脱硫における粉体反応効率指数が低位であった。一方、Ch.No.14はノズル前圧P0が(2)式における上限値を上回っていたため、ジェットが大きく減衰したことで粉体の加速不良が生じ、粉体反応効率指数が低位であった。したがって、(3)式で算出されるノズル前圧P0は、必ず(2)式の範囲を満たす必要があることが確認できた。
Ch.No.15は、比Wpowder/Qが(4)式における下限値を下回っていたため、粉体の供給が不十分となって脱硫における粉体反応効率指数が低位であった。一方、Ch.No.16は比Wpowder/Qが(4)式における上限値を超えていたため、粉体が過度に凝集して同一の粉体質量で比べた時の溶鋼との反応界面積が著しく低下し、脱硫における粉体反応効率指数が低位であった。したがって、比Wpowder/Qは必ず(4)式の範囲内である必要があることが確認できた。

Claims (1)

  1. 雰囲気圧力Pe(Torr)が100Torr未満の減圧下にてキャリアガスとともに溶鋼表面に精錬用粉体を吹付ける処理において、前記精錬用粉体を吹付ける上吹きランスの先端形状が円筒形のスロート部と円錐形の径拡大部とからなり、前記スロート部の直径Dt(m)と前記スロート部の長さlt(m)とが(1)式の関係を満たす上吹きランスを用い、かつ前記キャリアガスの供給条件が(2)式〜(3)式の条件を満たし、前記吹付ける前の精錬用粉体の平均粒径が30〜300μm、かつ前記キャリアガスと前記精錬用粉体の粉体供給速度との関係が(4)式の条件を満たすことを特徴とする、溶鋼の精錬方法。
    t/Dt≧5.0 ・・・(1)
    2500×(lt/Dt-0.27≧P0≧540×(lt/Dt-0.27・・・(2)
    0=0.089・Q/Dt 2 ・・・(3)
    3.5≦Wpowder/Q≦11 ・・・(4)
    ここで、P0:ノズル前圧(Torr)、Q:キャリアガス流量(Nm3/min)、Wpowder:粉体供給速度(kg/min)である。
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