JP2019206071A - ワークの面取り加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率の良い歯付きワークの面取り加工装置を提供する。【解決手段】ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されるワークホルダ2を有するワークスピンドル1と、エンドミル6を保持するために回転軸の周りに回転可能に支持される工具ホルダ4を有し、装置の少なくとも1つの直線軸を通ってこのワークホルダ2に対して移動可能である工具スピンドル3と、この工具ホルダ4に保持されるエンドミル6が機械加工対象の縁部と係合する状態で、歯付きワーク5の面取り加工のためにワークスピンドル1を制御することによってワークホルダ2に保持されるワークを回転させる機械加工機能を有する制御器と、を備える歯付きワーク5の面取り加工装置。機械加工機能により、面取り加工中にワークの回転速度が変動することを特徴とする。【選択図】図1a

Description

本発明は、歯付きワークの面取り加工装置であって、ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されるワークホルダを有するワークスピンドルと、エンドミルを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持される工具ホルダを有し、装置の少なくとも1つの直線軸を通ってワークホルダに対して移動可能である工具スピンドルと、工具ホルダに保持されるエンドミルが機械加工対象の縁部と係合する状態で、歯付きワークの面取り加工のためにワークスピンドルを制御することによってワークホルダに保持されるワークを回転させる機械加工機能を有する制御器と、を備える装置に関する。
このような装置は、特許文献1から知られている。この場合に使用されるエンドミルは、円錐台状の工具ヘッドを有し、歯付きワークのそれぞれの縁部に上方又は下方から移動させて、この縁部を面取りフライス加工する。この目的のため、工具スピンドルは装置の少なくとも1つの動作軸上を移動させられることにより、工具ホルダに保持されたエンドミルを、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内する一方、ワークをワークの回転軸の周りに回転させる。面取り加工のための装置は、歯車装置を製造する工作機械のカウンタコラムに配置され、これにより、歯車装置も製造する同じ固定具内でワークが面取り加工できるようになる。しかしながら、特許文献1から知られている面取り加工装置は、容易に到達できる歯車の縁部に使用できるに過ぎない。面取り加工ができる速度はさらに制限され、エンドミルは高い摩耗に曝される。
特許文献2にも、同様に、エンドミルによりワークを面取りすることが記載されている。しかしながら、この場合には、6軸産業ロボットを用いて、工具スピンドルを移動させる。
また、面取り加工のための装置は、「Gratomat」という名称で知られており、そこでは、円筒形のジャケット面を有するエンドミルが使用される。このエンドミルは、予荷重下で歯縁部上に位置するので、ワークの回転動作の際に縁部の輪郭をたどることになる。工具スピンドルは、この目的のために回動可能に支持されており、バネにより縁部に向かって予荷重をかけられている。しかしながら、Gratomatプロセスでは、面取りサイズ及び面取りの形状が、歯元と歯先との間で大きく変動する。プロセスの速度はさらに遅く、エンドミルは高い摩耗に曝される。
独国実用新案第202012008601号明細書 独国特許出願公開第102009020771号明細書
従って、本発明の目的は、面取り加工のための改良装置を提供することである。
この目的は、本出願の独立請求項によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題を構成する。
第1の態様では、本発明は、歯付きワークの面取り加工装置であって、この装置は以下を含む。すなわち、ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されるワークホルダを有するワークスピンドルと、エンドミルを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持される工具ホルダを有し、装置の少なくとも1つの直線軸を通ってワークホルダに対して移動可能である工具スピンドルと、工具ホルダに保持されるエンドミルが機械加工対象の縁部と係合する状態で、歯付きワークの面取り加工のためにワークスピンドルを制御することによってワークホルダに保持されるワークを回転させる機械加工機能を有する制御器と、を含む。本発明によれば、機械加工機能は、面取り加工中にワークの回転速度を変化させるものとされる。
従来技術に従ってってワークの一定速度で作業を行ったが、本発明の第1の態様によれば、前述の速度は、エンドミルが縁部を機械加工する間に変動する。本発明者らは、縁部とエンドミルとの相対速度が大きく変動し、このことが、加工速度、加工結果、及びエンドミルの実用寿命に悪影響を及ぼすか、又は、縁部の輪郭に起因して輪郭を一定速度で加工することが全然できないかのいずれかであることを認識した。これらの問題は、速度又は回転速度の変化によって回避できる。
好ましくは、機械加工機能により、歯溝全体にわたって回転速度が変動すること、すなわち、歯溝の異なる領域は、ワークの異なる回転速度で機械加工されるものとされる。
歯溝は、好ましくは、2つの対向する歯すじと、これらの歯すじの間に配置された歯元と、隣接する歯先の対応する半分とによって形成される領域として理解される。他の歯車装置を回転させるように構成された歯車装置の噛合い領域は、歯すじとして理解される。インボリュート歯車装置では、歯すじは、歯車装置のインボリュート領域に対応する。
ワークの回転速度は、好ましくは、最大値の30%を超える分、さらに好ましくは、最大値の60%を超える分だけ、歯溝全体にわたって変化する。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、好ましくは、全ての歯溝に対して同じ回転速度プロファイルを用いる。従って、回転速度の変化は、機械加工対象の歯縁部の全歯溝について繰り返される。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能により、歯溝全体にわたって回転速度が変動し、時間単位ごとのエンドミルの切削量、及び/又は、縁部とエンドミルとの間の相対的な速度が、最大値の30%以下だけ(好ましくは、最大値の15%以下だけ)歯溝全体にわたって変化する。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能により、少なくとも1つの歯すじ上でワークの回転速度が変動する。すなわち、歯すじの異なる領域において異なる回転速度で作業を行う。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能により、歯溝全体にわたってワークの回転速度が変動し、左歯すじは、右歯すじとは異なる回転速度及び/又は回転加速度で機械加工される。平均、最小及び/又は最大回転速度と、平均、最小及び/又は最大回転加速度とのうち一方又は両方は、具体的には、一方の歯すじに対して、他方の歯すじに対してよりも大きくすることができる。
左右歯すじにおけるワークの回転速度は、好ましくは、大きな値の10%を超えた分だけ(さらに好ましくは、大きい値の30%を超えた分だけ)変化する。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能により、歯溝全体にわたって回転速度が変動し、左歯すじは、右歯すじに用いられる回転速度プロファイルと対称でない回転速度プロファイルで機械加工される。具体的には、これにより、はすば歯車機構の面取りに対する特別な要求が考慮される。しかしながら、左右歯すじに対して異なるこのような回転速度プロファイルは、ストレート歯車機構を用いる場合に使用してもよい。ギヤ歯自体は、左右歯すじ上で対称的又は非対称的に構成することができる。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能により、歯溝全体にわたって回転速度が変動し、歯元の領域では、少なくとも1つの歯すじ、好ましくは、両方の歯すじよりも高い回転加速度で作業が行われる。平均、最小及び/又は最大回転加速度は、少なくとも一方の歯すじ、好ましくは両方の歯すじにおいてよりも、歯元の領域において特に大きくすることができる。歯元の領域は、具体的には、歯元側の一方の歯すじの端部を面取り加工するときに使用される第1の回転速度から、歯元側のもう一方の歯すじの端部を面取り加工するときに使用される別の回転速度まで加速するために使用できる。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能により、歯溝全体にわたって回転速度が変動し、歯先の領域では、少なくとも1つの歯すじ、好ましくは、両方の歯すじにおいてよりも高いワークの回転速度及び/又は回転加速度で、及び/又は歯元の領域よりも高いワークの回転速度及び/又は回転加速度で作業が行われる。平均、最小及び/又は最大回転速度と、平均、最小及び/又は最大回転加速度とのうち一方又は両方は、歯先の領域において、少なくとも一方の歯すじ、好ましくは両方の歯すじにおいてよりも、及び/又は、歯元の領域よりも特に大きくすることができる。
本発明における回転加速度は、負の加速度であってもよく、上述の指示は、好ましくは、加速度のそれぞれの絶対値に関する。
本発明によれば、機械加工機能は、上述した変化の可能性の1つ又は複数を単独で又は組み合わせて実施する1つ又は複数の機械加工モードを含んでいてもよい。
本発明の多数の用途では、歯溝全体にわたって、ひいては歯縁部全体にわたって、ワークの回転方向が同じ状態で作業が行われる。さらに、多くの場合、回転速度は0まで低下することはない。
従って、本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、歯溝全体にわたって、ひいては歯縁部全体にわたって、ワークの回転方向が同じ状態で作業が行われ、及び/又は、回転速度が0まで低下することはない機械加工モードを含む。
一方、本発明のいくつかの用途では、機械加工機能により、歯溝を通って移動する際に、ワークの回転方向が変更される。本発明の発明者らは、この変更はいくつかの幾何学的形状の機械加工に必要であることを認識した。
従って、本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、歯溝を通って移動する際にワークの回転方向が変化する機械加工モードを含む。
機械加工機能は、さらに、歯溝を通って移動する際に回転速度が0に低下する機械加工モードを有してもよい。
可能な実施形態では、回転方向の変化の過程でこの機械加工モードを実行してもよい。
可能な実施形態では、回転速度は、ある一定期間にわたって0のままである。このことは、この後ワークピースの回転方向を変更しなくても、ワークが固定された状態で、エンドミルがワークへ相対的に移動できるという利点となり得る。
本発明によれば、機械加工機能は、上述した機械加工モードのうち1つ又は複数を含んでもよい。複数の機械加工モードが実現される場合、機械加工機能は、具体的にはユーザガイドの要素として選択機能を有することが好ましい。
本発明の可能な実施形態では、工具スピンドルは、ワークホルダに対して装置の少なくとも1つの動作軸上(具体的には、少なくとも1つの直線軸上、好ましくは複数の直線軸上)で移動可能である。
本発明の第1の態様は、装置の第1の変形例において使用することができる。この変形例では、エンドミルは、予荷重下で歯縁部上に位置し、従って、具体的には装置の駆動装置によって制御されたワークスピンドルに対して工具スピンドルを移動させずに、ワークの回転運動の際に縁部の輪郭をたどる。工具スピンドルは、この目的のために、好ましくは、回動可能に支持されており、具体的にはGratomatプロセスから知られているように、バネにより縁部に向かって予荷重をかけられている。この場合、ワークの回転速度を変化させることによって実質的効果も得られる。1つ又は複数の直線軸は、歯車装置へのエンドミルの初期移動のために使用できる。
一方、第1態様の好ましい第2の変形例では、工具スピンドルは、装置の少なくとも1つの動作軸を通ってワークホルダに対して移動可能であり、ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工のための機械加工機能により、工具スピンドルは、ワークスピンドルに対して少なくとも1本の直線軸を通って移動し、工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、ワークがワークの回転軸の周りに回転させられる。工具スピンドルのこの制御された動作は、好ましくは、ワークの回転に同期して行われる。
制御コマンド及び/又は所定の輪郭は、具体的には、制御器のメモリに記憶され、これらに基づいて、装置の動作軸の対応する制御が行われる。具体的には、ワークスピンドルの制御と、少なくとも1つの動作軸(その動作軸によって工具スピンドルがワークスピンドルに対して移動でき、その結果エンドミルが所定の輪郭上を移動するような動作軸)の制御と、によって制御する。
ワークの回転動作に同期してエンドミルを制御下で案内することによって、Gratomatプロセスを用いるよりも実質的に速い切削速度が実現できる。
同様に、特許文献1から知られている手順(この文献では、エンドミルを制御下で案内することが既に提供されている)についてワークの速度を変化させることによって、より均一な切削速度、すなわち、全体として速い速度で作業できるようになる。
加えて、エンドミルへの負荷とエンドミルの摩耗は、ワークの速度の変化によって低減される。
本発明の可能な実施形態では、工具スピンドルは、ワークホルダの回転軸に垂直な方向に第1の直線軸Xを通って、及び/又は、ワークホルダの回転軸と平行に第2の直線軸Zを通って、ワークホルダに対して移動可能である。
第1の態様の第1の変形例によれば、これらの軸は、縁部へのエンドミルの初期の位置決めのために使用してもよいが、縁部の機械加工中には、もはや移動させることはできない。
しかしながら、好ましくは、機械加工機能により、工具スピンドルは、第1の直線軸X及び/又は第2の直線軸Zによって制御され、工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、ワークがワークの回転軸の周りに回転させられるものとする。
本発明の可能な実施形態では、第1の直線軸X及び第2の直線軸Zの動作を重ね合わせることによって、エンドミルが、歯溝の少なくとも一部領域にわたって輪郭に沿って制御下で案内されるように制御が行われる。
代替的に又は追加的に、第1の直線軸X及び第2の直線軸Zの両方の動作により、エンドミルが、歯溝を通過する際に制御下で案内されるように制御が行われてもよい。しかしながら、第1の直線軸X及び第2の直線軸Zの移動動作は、短い時間で行われる必要はない。
工具スピンドルとワークスピンドルとの相対移動は、縁部の面取り加工中に、これらの軸の一方又は両方を通ることのみによって行われる。しかしながら、代替的に、これらの軸の一方又は両方に加えて、装置のさらに他の動作軸を使用して、工具ホルダに保持されたエンドミルを、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って、具体的には、1つ又は複数の回動軸を中心として制御下で案内してもよい。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、第1の直線軸X及び/又は第2の直線軸Zによって工具スピンドルを制御し、工具ホルダに保持されたエンドミルのジャケット面の異なる軸方向領域が機械加工対象のワークの縁部と係合するように構成される。これにより、摩耗はエンドミルの長さ全体にわたって分配される。このことは、好ましくは、第2の直線軸Zによる移動動作によって実現される。
工具ホルダに保持されたエンドミルのジャケット面の異なる軸方向領域は、特に歯溝上の歯縁部の機械加工中に、特に機械加工対象のワークの縁部と係合してもよい。
代替的には、エンドミルのジャケット面の異なる軸方向領域は、ワークの異なる歯縁部を機械加工するために機械加工対象のワークの縁部と係合してもよいし、及び/又は、同じ歯縁部を機械加工するために同じエンドミルを用いて連続する工程で複数の同じワークを機械加工する際に機械加工対象のワークの縁部と係合してもよい。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、少なくとも歯溝の一部領域上で第1の直線軸Xではなく第2の直線軸Zのみを通って工具ホルダを機械加工対象の縁部の輪郭に沿って制御下で案内するように、及び/又は、第2の直線軸Zではなく第1の直線軸Xのみを通って工具ホルダを機械加工対象の縁部の輪郭に沿って制御下で案内するように構成される。第1の直線軸Xを通る移動動作には、干渉輪郭が縁部に非常に近くに配置された状態で機械加工することが依然として可能であるという利点がある。第2の直線軸Zを通る移動動作には、摩耗をエンドミルの長さ全体にわたって分配することができるという利点がある。
縁部の面取り加工中に、少なくとも歯溝の一部領域上で、第1の直線軸Xのみ又は第2の直線軸Zのみを通って工具スピンドルとワークスピンドルとの相対移動が行われる。すなわち、機械加工ヘッドの他の軸を通る移動は行われない。しかしながら、代替的に、これらの軸の一方又は両方に加えて、装置のさらに他の動作軸を使用して、工具ホルダに保持されたエンドミルを、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って、具体的には、1つ又は複数の回動軸を中心として制御下で案内してもよい。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、20°未満、好ましくは10°未満の円錐角を有する円筒形ジャケット面又は円錐形ジャケット面を有するエンドミルを使用するために構成される。
可能な実施形態では、エンドミルは、丸みを帯びたヘッドを有してもよい。任意で、エンドミルは、歯元を機械加工するために用いてもよい。しかしながら、均一な摩耗のために、好ましくは、円錐形又は円筒形ジャケット面のみにより作業が行われる。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、工具ホルダに保持されたエンドミルが工具ホルダから歯溝を通って機械加工対象の歯車装置の縁部まで延在するように工具ホルダを配向した状態で作用するものとする。これにより、邪魔な輪郭が存在する場合でも縁部を機械加工できる。
本発明の上述の実施形態は、ワークホルダの速度の変化とは関係なく、効果的でもあり、本発明の主題である。
従って、第2の独立態様によれば、本発明は、歯付きワークの面取り加工装置を含み、以下を備える。すなわち、ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されるワークホルダを有するワークスピンドルと、エンドミルを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持される工具ホルダを有し、ワークホルダの回転軸に垂直な方向に第1の直線軸Xを通って移動可能であり、及び/又は、ワークホルダに対して、ワークホルダの回転軸と平行に第2の直線軸Zを通って移動可能である工具スピンドルと、ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工のために第1の直線軸X及び/又は第2の直線軸Zを通ってワークスピンドルに対して工具スピンドルを移動させることにより、工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、ワークがワークの回転軸の周りに回転させられるようになる機械加工機能を有する制御器と、を備える。
第1の変形例によれば、第2の態様は、機械加工機能が第1の直線軸X及び/又は第2の直線軸Zによって工具スピンドルを制御し、工具ホルダに保持されたエンドミルのジャケット面の別々の軸方向領域が機械加工対象のワークの縁部と係合するようにすることを特徴とする。これにより、摩耗はエンドミルの軸方向長さ全体にわたって分配される。このことは、好ましくは、第2の直線軸Zによる移動動作によって実現される。
工具ホルダに保持されたエンドミルのジャケット面の異なる軸方向領域は、特に歯溝上の歯縁部の機械加工中に、特に機械加工対象のワークの縁部と係合してもよい。
代替的に又は追加的に、エンドミルのジャケット面の異なる軸方向領域は、ワークの異なる歯縁部を機械加工するために機械加工対象のワークの縁部と係合してもよいし、及び/又は、同じ歯縁部を機械加工するために同じエンドミルを用いて連続する工程で複数の同じワークを機械加工する際に機械加工対象のワークの縁部と係合してもよい。
機械加工機能は、好ましくは、第2の態様の第1の変形例では、ワークホルダに対する工具スピンドルの位置が、工具ホルダに保持されたエンドミルのジャケット面の異なる軸方向領域ごとに、機械加工対象のワークの縁部と係合するために、第2の直線軸Zを通って変更されるように構成されている。
具体的には歯溝上の歯縁部の機械加工中と、ワークの異なる歯縁部の機械加工時と、連続する工程で複数の同じワークの同じ歯縁部を機械加工するときとのうち少なくとも1つの場合に、第2の直線軸Zを通って位置が変更されてもよい。
第1の変形例と組み合わせることが好ましい第2の態様の可能な別の変形例では、機械加工機能は、少なくとも歯溝の一部領域上で、第1の直線軸Xではなく第2の直線軸Zのみを通って工具ホルダを機械加工対象の縁部の輪郭に沿って制御下で案内するように構成される。
縁部の面取り加工中に、少なくとも歯溝の一部領域上で、第2の直線軸Zのみを通って工具スピンドルとワークスピンドルとの相対移動が行われてもよい。すなわち、機械加工ヘッドの他の軸を通る移動は行われない。しかしながら、代替的に、第2の直線軸Zに加えて、装置のさらに他の動作軸を使用して、工具ホルダに保持されたエンドミルを、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って、具体的には、1つ又は複数の回動軸を中心として制御下で案内してもよい。
第2の態様の第2の変形例によれば、機械加工機能は、20°未満、好ましくは10°未満の円錐角を有する円筒形ジャケット面又は円錐形ジャケット面を有するエンドミルを使用するために構成される。これにより、干渉輪郭が原因で到達することが困難な縁部が機械加工可能となり、及び/又は、エンドミルの軸方向長さにわたって摩耗を分配可能である。
可能な実施形態では、エンドミルは、丸みを帯びたヘッドを有してもよい。任意で、エンドミルは、歯元を機械加工するために用いてもよい。しかしながら、均一な摩耗のために、好ましくは、円錐形又は円筒形ジャケット面のみにより作業が行われる。
第2の態様の第3の変形例によれば、機械加工機能は、工具ホルダに保持されたエンドミルが工具ホルダから歯溝を通って機械加工を行う歯車の縁部まで延在するように工具ホルダを配向した状態で作業するように構成される。具体的には、ここでは機械加工機能の機械加工モードとすることができる。これにより、干渉輪郭が原因で到達することが困難な縁部の機械加工が可能となる。加工機能は、好ましくは、工具ホルダに保持されたエンドミルの先端のみが、エンドミルにより加工された歯車の縁部を有するワークの端面よりも上方に突出するように構成されている。
第2の態様の個々の変形例は、それぞれ、個別に且つ互いに独立して使用することができ、互いに独立した本発明の主題である。しかしながら、変形例のうち少なくとも2つが互いに組み合わされることが好ましく、3つの変形例が組み合わされることがさらに好ましく、全ての変形例が組み合わされることがさらに好ましい。
本発明の第1の態様及び第2の態様は、さらに互いに組み合わせてもよい。
本発明の可能な実施形態では、工具スピンドルは、歯溝を通過する際に回動することはない。しかしながら、工具スピンドルが、その周りを回動可能な回動軸を有する場合、この回動軸は、ワークに対してエンドミルを最初に位置合わせするために使用できる。
本発明の可能な実施形態では、工具スピンドルは、第1の回動軸A又はA2の周りに回動可能である。
上述の態様とは関係なく本発明の主題である本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、歯溝を通過する際に工具スピンドルを第1の回動軸A及び/又はA2を中心として回動させ、歯すじに垂直に交差する平面で測定される歯すじ上における面取り角の変動を抑制する。
従って、特許文献1とは異なり、機械加工中の回動は、歯溝上に異なる面取り角度を生成するためではなく、装置の直線軸のみを通って移動動作する際に生じる面取り角度の変動を抑制するために行われる。
第1の回動軸Aは、好ましくは、ワークホルダの回転軸と垂直に、及び/又は、第1の直線軸Xと平行に延在する。
代替的に又は追加的に、第1の回動軸A2は、第1の直線軸Xと垂直な平面に延在してもよい。
第3の独立態様によれば、本発明は、歯付きワークの面取り加工装置を含み、以下を備える。すなわち、ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されるワークホルダを有するワークスピンドルと、エンドミルを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持される工具ホルダを有し、ワークホルダの回転軸に垂直な方向に第1の直線軸Xを通って移動可能であり、及び、ワークホルダに対して、ワークホルダの回転軸と平行に第2の直線軸Zを通って移動可能である工具スピンドルと、ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工のために第1の直線軸X及び/又は第2の直線軸Zを通ってワークスピンドルに対して工具スピンドルを移動させることにより、工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、ワークがワークの回転軸の周りに回転させられるようになる機械加工機能を有する制御器と、を備える。第3の態様の特徴は、工具スピンドルが、第1の直線軸Xに垂直な平面に延在する第3の直線軸Y又はVを通って移動可能であることである。
第3の直線軸により、特にはすば歯車機構について、面取り加工が容易となり、及び/又はより均一な面取り加工が可能になる。
第3の直線軸は、具体的には、歯車装置の縁部を機械加工するためのエンドミルを、歯車装置に対してゼロの位置に位置決めするために用いられてもよい。この位置では、エンドミルは歯溝の中央に配置される。この場合、エンドミルと機械加工対象の縁部との接触点は、ワークホルダの回転軸を通って第1の直線軸Xと平行に延在する平面に対して横方向に変位させられる。
この後、本発明の可能な実施形態では、第3の直線軸Y又はVの移動動作なしに、縁部の輪郭上を移動するようにエンドミルを移動してもよい。しかしながら、代替的に、縁部の輪郭上を移動するように縁部を面取り加工する間に、第3の直線軸Y又はVを使用してもよい。
第3の直線軸Y又はVを通って面取り加工を行う工具スピンドルを、工具ホルダの回転軸がワークホルダの回転軸と交差しないように、好ましくは、ワークホルダの回転軸に対して曲げられた状態で延在するように配置することが好ましい。
本発明の第3の態様は、他の態様とは関係なく本発明の主題である。本発明の可能な実施形態では、この第3の態様は、本発明の第1の態様及び/又は第2の態様と組み合わせてもよい。
前述の態様の各々をさらに発展させる好ましい実施形態は、以下により詳細に説明される。
本発明の可能な実施形態では、機械加工機能は、歯すじよりも歯元の領域において、面取り部が創成されないか、又は、より小さい面取り部が創成されるように構成される。具体的には、この構成は、ギヤ製造機の動作軸(エンドミルはこの軸を通って縁部の輪郭に沿って制御下で移動する)の相応的な制御により行われる。
この手順によって、次の状況を考慮することができる。すなわち、歯元の領域は典型的にはるかに小さい半径を有するが、その歯元の領域において、より大きい面取り部を創成するために、対応する小さい半径を有するエンドミルを用いなくてはならない状況を考慮できる。
一方、歯元の面取り部を省くことにより、又は、この領域により小さな面取り部を設けることにより、歯元の縁部の機械加工の際にエンドミルを歯すじと衝突させることなく、歯元の直径よりも大きい直径を有するエンドミルを用いることができる。
本発明の可能な実施形態では、工具スピンドルは、工具スピンドルの回転軸に垂直に配向される第2の回動軸A2を中心として回動可能であり、第1の直線軸Xに垂直な平面に延在する。第2の回動軸A2は、第1の回動軸Aに加えて、又は、第1の回動軸Aの代わりに設けられてもよい。
第2の回動軸A2により、面取り角度を設定すること、及び/又は、歯車装置の上縁部及び下縁部を機械加工することが可能になる。
本発明の可能な実施形態では、工具スピンドルは、ワークの下縁部を機械加工するための第1の機械加工位置から上縁部を機械加工するための第2の機械加工位置へ第2の回動軸A2を中心として回動可能である。
本発明の可能な実施形態では、第2の回動軸A2により、工具ホルダの回転軸は、第1の回動軸Aが延在する平面において回動可能となる。
第2の回動軸A2は、調整軸であってもよい。機械加工位置は、この場合、例えば、隣接部(具体的には、調整可能な隣接部)によって規定できる。
代替の実施形態では、第2の回動軸A2はNC軸である。この場合、面取り加工中の上述の機能(機械加工対象の縁部に沿ってエンドミルを制御下で移動させるための機能)を超越して第2の回動軸A2を使用できる。具体的には、このプロセスでは、面取り角度に影響を与えるために第2の回動軸A2を使用できる。
本発明の可能な実施形態では、少なくとも1つの動作軸と、第1の直線軸と、第2の直線軸Zと、第3の直線軸Y又はVと、第1の回動軸Aとのうち少なくとも1つは、NC軸である。
本装置は、本発明の可能な実施形態では、噛合いセンサを備える。これにより、歯車装置の歯溝及び/又は歯先の位置が決定され、これからエンドミルと歯車との間の正しい連携が行われる。このセンサは、具体的には、非接触式に作動する噛合いセンサ(例えば、誘導センサ)であってもよい。
本発明の可能な実施形態では、噛合いセンサは、少なくとも1つの動作軸を通って移動可能な機械加工ヘッドに配置され、工具スピンドルを支持する。従って、少なくとも1つの動作軸は、噛合いセンサ及びエンドミルの両方を歯車装置に対して位置決めするために用いてもよい。
本発明の可能な実施形態では、工具スピンドルは、第2の回動軸A2を中心として機械加工ヘッドに回動可能に配置される。機械加工ヘッドは噛合いセンサを支持しているため、工具スピンドルが機械加工機能により中立位置に回動可能になる一方で、歯車装置は、噛合いセンサにより測定が行われるようになる。
可能な実施形態では、機械加工機能は、面取り部が第2の縁部の部分領域にのみに創成されるように構成される。これにより、面取り部を創成するのに十分な材料がない縁部の領域は特に、面取り加工から除外され得る。
従って、エンドミルは、歯元がシャフトの半径に実質的に対応するために歯縁部がこの領域に存在しないようなシャフトの歯車装置に用いてもよい。エンドミルは、ワークを回転させながら、歯縁部に沿ってNC制御下で案内されるので、ここでは、例えば歯元を除外しながら、歯先及び歯すじのみを面取りすることができる。
可能な実施形態では、制御器は、所望の面取り形状のパラメータを入力する機能、及び/又は、面取りされる歯車装置の溝の輪郭の1つ又は複数のパラメータから面取り形状を決定する機能を有する。
面取り形状のこのパラメータは、具体的には、面取り幅、面取り深さ、面取り角度、及び対称性のうち少なくとも1つであってもよい。
歯車装置の溝の輪郭の1つ又は複数のパラメータは、具体的には、歯車装置が創成されるギヤ切削プロセスを設定する機能により入力することができる1つ又は複数のパラメータであってもよい。これにより、歯車装置及び/又は面取り部のCADモデルは必要とされない。
可能な実施形態では、面取り形状は、面取り形状の入力パラメータ及び溝の輪郭の1つ又は複数のパラメータを用いて決定される。
可能な実施形態では、制御器は、所望の面取り形状が指定できる入力機能を有し、制御器は、所望の面取り形状に基づいて実現可能な面取り形状を求める算出機能をさらに有する。この算出機能は、具体的には、補償量計算を行ってもよい。補償量計算では、所望の面取り形状から実現可能な面取り部の距離を測定する距離関数を最小化するように面取りプロセスのパラメータを決定する。
可能な実施形態では、面取り幅、面取り深さ、及び面取り角度のうち少なくとも1つが歯溝にわたって変化する所望の面取り形状を指定できる。
可能な実施形態では、制御器は、所望の面取り形状及び実現可能な面取り形状をイメージ図として表すことにより、2つの面取り形状を視覚的に比較できるようにする表示機能、及び/又は、所望の面取り形状と実現可能な面取り形状との間の偏差を表す表示機能を有する。
可能な実施形態では、機械加工機能は、ワーク(好ましくは複数の同一ワーク)の歯車装置の1つ又は複数の縁部の自動面取り加工を実施する。
装置の制御器は、好ましくは、本発明に係る装置が、その動作及び/又は使用に関して上述された工程を自動的に実行し、及び/又は、以下に記載される方法を自動的に実行するようにプログラムされる。
具体的には、制御器は、マイクロプロセッサと、装置を制御するための制御プログラムが記憶されているメモリと、を含む。このプログラムはマイクロプロセッサによって実行される。
本発明は、まず、上でより詳細に説明したような装置を保護するものである。この装置は、工具ホルダにエンドミルを保持し、上述した用途を実行するのに適している。具体的には、この装置は、縁部を面取り加工するためのこのような工具を使用できるようにする制御器を備える。
しかしながら、本発明は、同様に、工具ホルダにエンドミルが保持される上述のような装置を含む。
第1の実施形態では、装置は独立した面取り装置であってもよい。
他方、第2の実施形態では、本発明に係る装置は、ギヤ製造マシニングセンタに一体化された面取り装置である。
本発明はさらに、上述したような装置を備えたギヤ製造マシニングセンタと、歯切盤と、ワーク交換器とに関する。好ましくは、ギヤ製造機は、面取り切削バリ取り機、スカイビング機、又はギヤホブ盤である。好ましくは、ギヤ製造マシニングセンタにおいて、ギヤ製造加工及びワークの面取りは、並行して効率よく行われる。具体的には、ギヤ製造機によって製造されたワークの歯車は、次のワークがギヤ製造機によりギヤを形成されている間に面取りされるように、ワーク交換器により本発明に係る装置まで移動させられる。荒削り加工工程と仕上げ加工工程との間でワークの面取りを行うことも考えられる。この目的のために、ギヤ製造機から本発明に係る装置までワークを移動して再度戻すことが好ましい。
ワーク交換器はリング自動制御装置であることが好ましく、本発明に係る面取り装置及びギヤ製造機が、リング自動制御装置の異なる角度位置に配置されることがさらに好ましい。
好ましくは、ギヤ製造機及び本発明に係る装置は、別々のワークホルダを含む。この場合、ワーク交換器は、ギヤ製造機のギヤ製造加工後、ギヤ製造機のワークホルダから本発明に係る面取り装置のワークホルダにワークを交換する。
しかしながら、別の実施形態では、ギヤ製造マシニングセンタは、ギヤ製造加工及び面取り加工のためにワークが保持される複数のワークホルダを含んでもよい。この場合、ワークホルダは、好ましくは、ギヤ製造機から本発明に係る装置まで、及び/又は、その逆方向に移動させられる。
ワーク交換器は、複数のワークを、外部搬送路又は他の加工ステーションから1つ又は複数のワークホルダに装填したり、これらのワークをワークホルダから取り外したりするために使用されることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、本発明に係る装置はまた、別体の独立した機械として設計することもできる。好ましくは、この装置は、搬送路及び/又は自動制御装置からギヤ加工されたワークを受け取り、これらのワークを面取り加工する。その後、これに応じて機械加工されたワークは、好ましくは、搬送路及び/又は自動制御装置に再度転送される。
本発明は、上述したような装置により歯付きワークの縁部を面取り加工するためのプロセスをさらに含む。
ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工のための方法の一部として、工具スピンドルは、好ましくは、ワークスピンドルに対して少なくとも1本の直線軸を通って移動させられ、工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象のワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、ワークがワークの回転軸の周りに回転させられる。
面取り加工は、好ましくは、上により詳細に説明されるように行われる。
本発明に係る方法及び本発明に係る装置は、外歯車装置の縁部を機械加工するためと、内歯車装置の縁部を機械加工するためとの両方に使用できる。
最も簡単な場合、ワークは、歯車装置を1つだけ有する歯車であってもよい。このようなワークは、一般に認められるように、面取り切断法を用いて面取りしてもよい。しかしながら、特に歯車装置に適合された高価な工具がここでは必要とされる。一方、本発明により、実質的に任意の所望形状の柔軟な面取り加工を可能とする。
本発明に係る方法及び本発明に係る装置は、インボリュート歯車装置の縁部を機械加工するためと、非インボリュート歯車装置の縁部を機械加工するためとの両方に使用できる。
本発明に係る方法及び本発明に係る装置は、好ましくは、多重歯車又は他の干渉輪郭を有するワークを面取り加工するために使用される。
本発明に係る方法及び本発明に係る装置は、具体的には、干渉輪郭(具体的には、多重歯車の縁部)に隣接する少なくとも1つの縁部を機械加工するために使用してもよい。
本発明の可能な実施形態では、面取り部のサイズは、歯溝上で残りの後続プロセスを考慮しながら変動してもよい。
例えば、歯溝上の面取りサイズ(具体的には、歯たけ)を別々に設計することにより、仕上げ加工されたワークにおける面取りサイズが、後続プロセス(このプロセスでは、歯すじの残存する蓄積が面取り加工時に除去される)の後では、どこでも同じになるようにできる。歯溝(具体的には、歯すじ)上の除去部分は、後続のプロセス(このプロセスは、異なるサイズの面取り部の創成によって考慮に入れられる)では、具体的には異なるサイズであってもよい。この後続のプロセスは、例えば、具体的には研削による高硬度精密加工であってもよい。
本発明の可能な実施形態では、第1の機械加工工程において、面取り部が創成され、第1の面取り部が測定され、第2の機械加工工程で考慮される修正値が第1の面取り部から求められる。
第1の可能な適用例では、第1の機械加工工程は第1のワークで実行され、第2の機械加工工程は第2のワークで実行される。この面取り部は、具体的には、大量生産の一部としてのプロセスの実行時に完全な深さまで生成及び測定することができ、後に続くワークの機械加工を修正できる。
第2の可能な適用例では、第1の機械加工工程及び第2の機械加工工程は、同じワークで実行される。このとき、第1の面取り部はまだ所望の深さではなく、第2の機械加工工程において完全な深さまで面取りされる。このような手順は、高価なワーク、例えば、より大きなワーク又は非常に小さいバッチサイズの場合に、特に重要である。
装置の制御器は、測定値を入力できる入力機能、及び/又は、測定値を制御器に転送できる入力機能を有する。制御器の算出機能は、補正値を決定する。
図1aは、本発明に係るギヤ製造機の一実施形態を示す図である。 図1bは、本発明に係るギヤ製造機の一実施形態を示す図である。 図2は、歯溝内に移動させられて面取り部を創成する工具(ここでは、円錐ギヤホブ21)を示す図であり、ギヤホブは、面取りが始まる高さまでの歯溝を表す線22に接触する。 図3は、工具(ここでは円錐ギヤホブ)の平面部分と、面取りが始まる高さでの横断面とを複数の楕円として示す図である。太線で示された線33は歯形線である。太線の楕円31は、ギヤホブが歯形線と接触しないが交差する複数のギヤホブ位置である。これらの衝突は、図示された例では、右側の歯すじ上の歯元の近くに生じる。つまり、歯すじ及び歯元の両方が、エンドミルによって損傷される。これらの位置を回避する必要がある。これらの衝突はいずれも歯元で生じる。このことを認識できるのは、いかなる衝突も発生させない楕円32が歯すじに多数あるからである。 図4は、計算された運動学(パラメータ)が、フライス加工進捗度σと照らし合わせて、工具の回転角度φのパラメータセットに適用されることを示す図であり、ここで表示されるデータは、線形ではない。これにより、回転角度は、簡単に指定できないが運動学的計算から得られることが分かり、図6に示す運動学とは対照的に、ワークは逆回転することはない。 図4aは、図4に示す運動学(図4では、その運動学の回転角度φをフライス加工進捗度σと照らし合わせている)と同じ運動学について、回転速度φ’をフライス加工進捗度σと照らし合わせて示す図である。 図5は、ギヤホブ高さzは、ワークの回転角度φと照らし合わせて、図4に示す運動学(図4では、その運動学の回転角度φが示されている)と同じ運動学に適用されることを示す図である。 図6は、ワークの回転角度φは、フライス加工進捗度σと照らし合わせて、図4及び図5に示す運動学とは異なるパラメータセットに適用されることを示す図であり、ここでは、ワークが加工中に逆回転しなくてはならないことが明確に認識できる。 図6aは、図6に示す運動学(図6では、その運動学の回転角度φをフライス加工進捗度σと照らし合わせている)と同じ運動学について、回転速度φ’をフライス加工進捗度σと照らし合わせて示す図である。 図7は、ギヤホブ高さzは、ワークの回転角度φと照らし合わせて、図6に示す運動学(図6では、その運動学の回転角度φが示されている)と同じ運動学に適用されることを示す図であり、ワークの逆回転の効果は、明確に認識できることを示す。 図8は、横断面における2つの歯形線を示す図である。上側の曲線81は、面取りが始まる高さでの歯形線を表し、下側の曲線82は、歯車の前面での面取り部の歯形線を表す図であり、この歯車は、この例では、はすば歯車であるので、上側の歯形線は、面取り部の対称性を評価できるように回転させられ、算出された面取り部の対称性は、明確に認識できる。 図9は、ギヤホブの半径が歯元半径より大きいので、完全な歯元丸みを面取りする場合に衝突が生じる(図3参照)ことを示す図である。従って、運動学は相応に適合されなければならない。この適合の結果、面取り部に正確に到達しないことになる。この作用は、中間線93によって示される。これにより、左右の歯すじ上の面取り部の対称性について何も変化が生じない。 図10は、別の面取り部は、パラメータの別の選択によって規定されることを示す図である。面取り部は、図8に示す面取り部と同じ仕様ではあるが、修正されたパラメータにより非対称となる。図8と同様に、図10は、比較ができるように、既に回転している歯形線(ここでは101及び102)を示す。 図11は、面取りの開始位置は、ここで提示される方法のための滑らかなジョルダン曲線によって示し得ることを示す図である。この曲線は、横断面に配置することができるが、必ずしもそうである必要はない。このような曲線111がここでは再現される。この場合、歯すじは面取りされるべきであるが、歯元には目立つ面取りは必要とされない。歯溝は、格子112によって示される。 図12は、上の列には、Gratomat(登録商標)を用いてバリ取りできる複数の歯車機構が認識できることを示す図である。対照的に、下の列には、ピッチ円から前方に向かって面取りされるか又は段差が付けられた2つの歯車機構が認識できる。これらの歯車機構は、Gratomat(登録商標)を用いてバリ取りすることができない。これら全ての歯車機構のバリ取り又は面取り加工は、ここに提示された方法では問題とならない。 図13は、外歯車装置を測定するために装置の機械加工ヘッドに配置された噛合いセンサの使用を示す図である。 図14は、内歯車装置を測定するために機械加工ヘッドに配置された噛合いセンサの使用を示す図である。 図15は、ワークが多重歯車を有する歯車装置の下方の内側に配置された縁部の面取り加工を示す図である。 ワークが多重歯車を有する歯車装置の上方の内側に配置された縁部の面取り加工を示す図である。 ワークが多重歯車を有する内歯車装置の内側に配置された縁部の面取り加工を示す図であり、この目的のため、エンドミルは、機械加工ヘッドによりテーブルセンタ上を移動させられる。 図17に示すワークの内歯車装置の外縁部の面取り加工を示す。 図17及び図18に示すワークの内歯車装置の他の内側縁部の機械加工を示す。この目的のため、ワークは、上側ワークホルダにより把持されて持ち上げられる。そうすることにより、内歯車装置に下方から到達できるようになる。 図17〜図19に示すワークの内歯車装置の他の外側縁部の面取り加工を示す。
以下、本発明を実施形態及び図面を参照してより詳細に説明する。
本発明には、エンドミルを用いて歯車をバリ取り又は面取りする方法が記載される。歯車装置は、具体的には、円筒形及び円錐形の両方(べべル歯車装置)に構成できるストレート平歯車又ははすば平歯車の歯であってもよい。
歯車の歯は、対称的であっても非対称的であってもよい。すなわち、左右歯すじの歯形角は、異なっている必要はないが、異なっていてもよい。歯車の歯の歯形は、所望の通りに、具体的にはインボリュートとして選択できる。
歯車の歯は、外歯車装置として構成できるが、内歯車装置としても構成できる。
エンドミルは、円筒形又は円錐形であってもよい。
以下に説明する方法は、Gratomat(登録商標)の根底となる方法とは異なり、Gratomat(登録商標)では、ギヤホブはバネ力によって歯に押し付けられる一方、ここに提示された方法では、正確な動作運動学(パラメータ)が計算され、機械によって実行される。これにより、予め定義された面取りを創成できる。動作運動学は、好ましくは、機械の複数のNC軸によって実行される。
ここで提案される方法におけるテーブル回転速度は、Gratomat(登録商標)(図4及び図6参照)の方法とは対照的に、概して一定ではないが、むしろ歯溝全体にわたって変化する。
ギヤホブの回転方向は、Gratomat(登録商標)の方法とは対照的に、所望の通りに選択できる。
本発明の根底にある考えは、以下に、より詳細に見ることができる。
上記の関係を数学的に公式化するために、次の定義づけをする。
以下の用語が変換のために使用される。
(φ) x軸周りの角度φの回転であり、y及びzに類似。
(ν) x方向へのパスvによる並進運動であり、y及びzに類似。
H(A1,...,A) N座標のA1〜Aまでの合計により同次行列で表記可能な一般変換。
本明細書中、「座標」という用語は一般的な座標を指し、必ずしも独立的座標を指すとは限らない。
静止系(system of rest)における歯車装置の回転軸は常にz軸と一致する。
上記関係を表す公式によって、ワークピースと工具との相対的位置を説明する運動学的連鎖を定義することがさらに重要である。
以下では、工具に関係のある値には、指数Tが付与され、ワークに関係のある値には指数Wが付与される。
運動学的連鎖
工具とワークとの間の相対的位置は、以下の運動学的連鎖Kによって表される。
KR = RZW)・TZ(zT)・Ty(yT)・TX(d)・Ry(γ)・RX(ω−π/2)・RZT)
φT:工具の回転角度
ω:歯車装置に対するギヤホブの噛合い角
γ:ギヤホブの回転軸と歯車装置の回転軸(z軸)との軸交差角
yT:歯車装置の中心からのギヤホブの並進運動量
d:歯車装置の中心からのギヤホブの距離
zT:ワークの回転軸に沿ったギヤホブの並進運動量
φW:ワークの回転角度
計算は、ワークの基準系で行われる。
この運動学的連鎖は、本明細書中に記載の発明を数学的に説明するのに最初に役立つものである。使用される座標は、本発明が使用される機械の物理的な軸と適合しなくてもよい。特殊な機械が、変換式H(A1,...,ANS)(ただし、N≧1)に従ってって工具とワークとの相対的位置を可能にする移動装置を有する場合、上記の運動学的連鎖からの座標の各組につき、座標A1,...,ANSが存在するときには、本発明をこの機械に使用できる。この場合、以下の式が成り立つ。

H(A1,..., ANS) = KR

座標A1,...,ANSの計算は、座標変換によって行われ得る。
図1a及び図1bは、本明細書中に記載の移動装置を有するギヤ製造機の作業領域の実施形態を示しており、この移動装置は、運動学的連鎖の定義において使用される座標軸と一致する座標軸を有している。
以下にさらに詳細に説明される装置の動作軸と座標との間には以下の関係が存在する。すなわち、各軸の移動動作量の分だけ、対応する座標が変化する。
工具ホルダの回転軸B3 φT:工具の回転角度
第2の回動軸A2 ω:歯車装置に対するギヤホブの噛合い角
第1の回動軸A γ:ギヤホブの回転軸と歯車装置の回転軸(z軸)との間の軸交差角
第3の直線軸Y又はV yT:歯車装置の中心からのギヤホブの並進運動量
第1の直線軸X d:歯車装置の中心からのギヤホブの距離
第2の直線軸Z zT:ワークの回転軸に沿ったギヤホブの並進運動量
ワークホルダの回転軸C2 φW:ワークの回転角度
工具(ここでは、エンドミル)は、歯溝(図2参照)内に送られ、一般的には、パラメータω、γ、yT、d、zT、及びφWによって示される1つ又は複数の軸を通って移動する。
工具の回転軸は、機械加工中にワークの回転軸に対して傾斜している(一般的には曲がっている)。
一般的な移動装置は、複数の動作ができるので、面取り部の曲線(例えば、面取り部の開始位置及び終了位置)は、一般に、一般的な滑らかなジョルダン曲線として指定できる。曲線は、一般的には、横断面内にある必要はない(面取り部の可能な定義された開始位置に関しては図11を参照)。
平坦な端面がないワークも、ここに提示された方法を使用できる。可能なワークは、図12で観察できる。上の列に示された端面の形状は、Gratomat(登録商標)プロセス及び本明細書に示される方法の両方によって面取りできる。対照的に、下の列には、例として、ピッチ円から面取りされるか又は段が付けられる歯すじが示される。Gratomat(登録商標)の方法は、これらのワークを機械加工できないが、本明細書に示される方法は、このワークを面取りできる。従って、この目的のために、ジョルダン曲線が選択される。
この例では、同じ高さの面取り部が歯すじ幅全体にわたって形成されるように面取りの開始位置を選択することが想定できる。このような曲線は、非平坦な端面の、規定量分の下方への変位として選択できる。しかしながら、図11に示されるような方法で曲線を予め定義することも可能である。さらに、面取り部の幅を、以下のような幅になるように選択してもよい。すなわち、面取り加工後に、まず、歯溝全体にわたって変化するが、追従プロセスにおける除去を考慮して、仕上げ加工されたワークにおける歯溝全体にわたって同じ高さの面取り部が形成されるように構成される幅になるようにしてもよい。
一般的な場合には、ギヤホブが両方の曲線に接線方向に接触させなければならないという条件によって生成される関係を解かなくてはならない。つまり、上述のパラメータ(ω、γ、yT、d、zT)のうちの3つを指定できる。
これらの関係は、点の一様性についての3つの等式及び接線接触についての等式として設定される。この結果として、4つの自由変数が、これらの4つの等式を含む方程式系を解くために必要となる。第1の接触点について言えば、これらの自由変数は、ギヤホブの表面をパラメータ化する2つの変数、工具の回転角度φW、及び別のパラメータ(例えば、ギヤホブ高さzT)である。これらの関係は、例えば、曲線上の離散数の点について定式化され、解を出すことができる。従って、求められたパラメータは、面取り部上の点の位置の関数として得られる。
ここで、別のジョルダン曲線が存在する場合、4つの別の等式が、条件として、既出の方程式系に追加される。つまり、8つの等式の方程式系を解かなくてはならない。この場合、(接触点当たりの)ギヤホブ表面のパラメータ化の2つの変数(すなわち、合計4つ)と、第2の曲線のパラメータ化と、ワークの回転角度φWと、2つの別のパラメータ(例えば、ギヤホブ高さzT及び軸交差角γ)とは、この目的のために利用可能である。
ここで、面取り部は、非常に自由に指定できる。面取り角度は、具体的には、歯溝の輪郭に沿って指定できる。ギヤホブは、面取り形状が機械加工運動学によって創成されるので、汎用的に使用できる。面取り形状は、実質的に、ギヤホブの直径のみが原因で制限される。これは、ギヤホブの直径として、歯車装置と比較して大きすぎる直径が選択されたとき、具体的には歯元において、回避する必要がある衝突が生じるからである。
滑らかなジョルダン曲線は、一般的な場合のうちの特別な場合として指定でき、パラメータω、γ、yT及び変位zT又は距離dのいずれかを選択することによって面取り部を暗示的に定義できる。この曲線は、同様に正面にある必要はない。可能な例は、図11に見ることができる。
この場合、工具が1つの曲線に接線方向に接触するという条件によって生成される関係のみが解決される。
面取り部は、パラメータを適切に選択することによって、対称的面取り部(図8参照)又は非対称的面取り部(図10参照)として選択できる。
このようにして暗示的に定義された面取り部は、予め求められた運動学(パラメータ)及び工具から、除去シミュレーションにより決定できる。機械加工されていない形状から材料を除去するこの除去シミュレーションでは、ギヤホブの形状と、機械加工プロセスにおいて移動させられる歯車装置に対するギヤホブの軌道とを考慮しながら、歯車装置、ひいては面取り部の端面の輪郭を決定する。このような除去シミュレーションは、種々の切削プロセスについて知られている。
本発明は、好ましい変形例において、装置の制御器が所望の面取り形状のパラメータを入力する機能を有することを実現する。面取り形状のこのパラメータは、例えば、面取り幅、面取り深さ、面取り角度、及び対称性のうち少なくとも1つであってもよい。
制御器は、好ましくは、面取りされる歯車装置の歯溝の輪郭の1つ又は複数のパラメータから面取り形状を決定する機能を有する。インボリュート歯車装置の特別な場合、これらのパラメータは、とりわけ、1つ又は複数の歯形角、ねじれ角、歯厚、歯元形状、及び、必要に応じて、頂部の面取りの形状である。前述のパラメータは、具体的には、歯車装置を製造するギヤ製造プロセスの開始から制御器に既に存在する1つ又は複数のパラメータ、又は、ギヤ製造プロセスを設定する機能により入力できる1つ又は複数のパラメータであってもよい。
面取り形状は、好ましくは、面取り形状の入力パラメータ及び歯溝の輪郭の1つ又は複数のパラメータを用いて決定される。
本発明のこの変形例は、歯車を定義するために、制御器に既に入力されたパラメータに加えて、少数のパラメータのみを入力する必要があることを特徴とし、これにより、作業準備は単純化される。外部コンピュータシステムへの接続及び外部コンピュータシステムからのデータ伝送もまた必要ではない。
本発明の拡張された形態では、面取り幅、面取り深さ、及び面取り角度のうち少なくとも1つを歯車装置の歯形を用いて直接変更でき、制御器は、好ましくは、対応する入力機能を実現する。従って、例えば、制御器は、歯車装置の歯先の領域における面取り角度が歯車の歯元の領域における面取り角度よりも大きいことを入力可能であり得る。
面取りの定義の最も一般的な形態は、例えば2D又は3Dデータフォーマットにより、制御器にデジタル転送されることを実現する。
制御器は、面取り部に最も近似する運動学(パラメータ)を決定できるか、又は、少なくとも理論的には、これらの定義から面取り部を正確に形成することもできる。近似の程度は、使用される本発明の変形例に依存する。
2つのジョルダン曲線が計算のために考慮される変形例が選択される場合、非常に良好な近似が実現される。1つのジョルダン曲線のみが指定される変形例(例えば、パラメータω、γ、yTが選択され、且つ、変位zT又は距離dのいずれかが求められる変形例)が選択される場合、一般的に、面取り部に近似できるに過ぎない。この場合、本発明は、可能な限り面取り部に近似するようにパラメータω、γ、yTを決定する制御器を提供する。この決定は、好ましくは、所望の面取り部からの実現可能な面取り部の距離を測定する距離関数を最小化にするようにパラメータを決定する補正量計算により行われる。ここで、簡単な距離関数は、実現された輪郭82の離散数の点の、所望の曲線までの距離平方和である。
パラメータは、実質的に、面取り形状に対して以下の効果を有する。すなわち、ωは歯の輪郭に沿った面取り角度を増減させ、γ及びyTは、一方の歯すじ上の面取り角度を増加させ、他方の歯すじ上の面取り角度を減少させ、歯先から歯元までの面取り角度を変化させ、φWは、一方の歯すじ上の面取り角度を増加させ、他方の歯すじ上の面取り角度を減少させる。しかしながら、これら全ての効果は、補正量計算によって自動的に考慮される。
制御器は、好ましくは、所望の面取り形状及び理論的に実現可能な面取り形状をイメージ図として表すことにより、2つの面取り形状を視覚的に比較できるようにする表示機能、及び/又は、所望の面取り形状と理論的に実現可能な面取り形状との間の偏差を表す表示機能を有する。
ω、γ及びdが指定される特別な場合では、理想的なyTを求めることが可能であり、この求められた値は固定的に設定することができ、ギヤホブ高さzTのみを変動させて、結果として得られる面取り部が対称となるようにする(図8を参照)。理想のyTが選択されない場合、結果として生じる面取り部は非対称となる(図10参照)。
所定のパラメータに対して理想的なyTを求めるために、想定される異なるyT値を用いて複数のシミュレーションを実行でき、所望の特性(例えば、対称性)に関して、シミュレートされた面取り部を自動的に評価できる。これにより、適切なパラメータが自動的に得られることにより、所望の面取り部を創成する。
既に紹介された特別な場合が、1つの曲線(ここでは、面取りが始まる歯形線)だけが存在すると考えられる場合、及び、ワークの回転軸の方向へのギヤホブの変位量のみが計算される場合(すなわち、噛合い角ωと、軸交差角γと、2つの変位量d及びyTとが指定される場合)、ワークの回転角度φWとギヤホブ高さzTとの間の連結を表す運動学(パラメータ)が得られる。これらの運動学は、異なるパラメータについて図5及び図7に示されている。
工具は、好ましくは、切り取られた体積が常にほぼ同じ大きさとなるように移動されるべきである。これにより、ギヤホブの過負荷が防止され、実用寿命を延ばすことが促進される。
このため、ギヤホブは、歯形線をパラメータ化する曲線に沿って一定の送り量で移動させられる。ここでは、移動曲線として生成される距離を、フライス加工進捗度σと呼ぶ。
計算された運動学からの回転角度がフライス加工進捗度と照らし合わせて適用される場合、フライス加工進捗度とワークの回転角度との間に直線関係がない(図4及び図6を参照)ので、角度の明示的な計算が必要であることが認識できる。機械加工中に、ワークの均一な回転速度を使用できない。ワークは、運動学の要件を満たすために、機械加工中に逆回転しなければならない可能性さえある(図6参照)。
図4a及び図6aから分かるように、回転速度及び回転加速度は歯先の領域で最も高い。2つの歯すじは、さらに、異なる回転速度で機械加工される。歯元の領域では、回転速度が歯すじごとに相応的に変動し、これにより、これらの歯すじに対してよりも大きな回転加速度が生成される。回転速度は、同様に、歯すじの一方又は両方の範囲内で変動し得る。
図4、図4a、図6、及び図6aにおける略字は、以下の通りである。
A=歯先
D=歯元
1.Fl=第1の歯すじ
2.Fl=第2の歯すじ
一般的な場合のうちの別の特別な場合は、第1の特別な場合におけるように、滑らかなジョルダン曲線が面取り部(例えば、面取り部の開始位置)について指定されることであるが、このとき、パラメータzT、ω、γ及びyTは、固定的に設定され、面取り部を生成するためにdをどのように変動させなければならないかについての運動学のみを計算する。このプロセスの利点は、z方向に僅かな空間しか許容しない点で面取りを施すことができることである。また、このプロセスは、好ましくは、これらの問題のある関係の場合に使用されるべきである。なぜなら、第1の特別な場合とは対照的に、ギヤホブが1つの領域にのみ装着されるからである。
2つの前述の特別な場合の組合せは、別の特別な場合である。zもdも固定されていない。この目的のために、前述の特別な場合も同様に、滑らかなジョルダン曲線が面取り部(例えば、面取り部の開始位置)について指定され、パラメータω、γ及びyは固定的に設定されるが、ここでは方程式系を解くために、4つの変数の代わりに5つの変数を使用する必要がある。つまり、劣決定方程式系を解かなくてはならない。従って、追加の条件(これは、ギヤホブ上の接触点の正確な位置であり得る)を示すこと、又は、ここではギヤホブの負荷をギヤホブ全体にわたって分配できる状態で、補正量計算を実行することは、ここでは必要ない。これにより、ギヤホブのより大きな領域が使用されるので、ギヤホブの実用寿命が延びる。
追加の条件は、補正量計算と一緒に導入してもよい。これにより、非線形最適化問題が生じる。
これらの追加の条件は、特定のギヤホブの高さを超えてはいけないこと、又は、他の歯車装置との衝突又は鍔との衝突があってはいけないという技術的性質の要求であり得る。従って、変位dは、例えば、ギヤホブが固定的に規定された距離だけ歯底円半径よりも突出するように求められる。しかしながら、ギヤホブの高さは、鍔によって制限されなければならない可能性もある。このために変位zを選択でき、臨界領域(critical region)では鍔との衝突が生じないが、可能であれば、非臨界領域(non-critical region)ではギヤホブ長さ全体にわたって摩耗が分散されるようにする。このため、臨界領域では、とりわけdは変動させられるが、この後、臨界領域でdは一定に保たれ、zは変動させられる。
この方法は、ギヤ歯の高さが高い歯車機構に関して特に重要である。これらの装置には、十分に大きいエンドミルが利用できないので、ギヤホブの高さzのみを変動させる第1の特別な場合を適用できない。送り出し量dのみを変動させる第2の特別な場合では、工具が非常に不均一に摩耗する。このため、dを変動させて歯車装置全体を面取りできるようにする場合、及び、zを同様に変動させて工具全体にわたって摩耗を均一に分配するようにする場合の両方である2つの特別な場合の組合せが選択される。
別の特別な場合は、内歯車機構の面取りである。特別な場合には、テーブルセンタ上で作業することが必要である。この作業は、一端で歯車装置に直接到達できない場合に必要となり得る。
次に、ギヤホブは、既に説明された場合(特別な場合及び一般的な場合の両方)に応じて、歯車の内部で移動させられる。
この方法の概念は、図16〜図20に見ることができる。
ギヤホブ直径が歯車装置の歯底円半径よりも大きい場合、機械加工時に衝突が当然生じる。これは、図3のように視覚化することができる。
面取り部が始まる歯形線の高さにある横断面平面を有する円錐形又は円筒形のギヤホブの断面は、楕円として示されている。
左右の歯すじにおける楕円は、歯形線とのそれぞれの接触点を1つだけ共有するが、太字で描かれた楕円は、歯形線との複数の交点を共有する。つまり、ギヤホブを歯形線に沿って移動させると、工具は面取りを施すだけでなく、歯すじ又は歯元(図3に描かれた楕円)に損傷を与える。
このことは、ギヤホブは衝突を生じる位置まで移動しないようにするために、修正されなければならない。これにより、面取りは変更され、歯形線とのまさに1つの接触点を共有する楕円の包絡線表面として得られる図9の中間線が実現される。
任意で、これらの衝突は、歯元の丸めの直径よりも小さい直径を有するボールカッターを使用することによっても防止できる。
本明細書中で説明した方法に従ってってワークに面取り部を創成する場合には、面取り部を修正する可能性がある。正確な機械形状が知られていなかったり、歯車装置が手動でセンタリングされたりする場合に、修正が必要となる。
可能な修正は、軸方向における面取り部の所望の変位である。つまり、所望の修正がy値に関連する。この値から必要な変化を計算するために、理想的なy値の計算と同様に、異なるパラメータを用いて複数のシミュレーションを実行することもできる。パラメータyは、所望の面取り部が創成されるように、この変化によって求められてもよい。
この原理は、残りのパラメータω、γ及びdに対しても使用できる。従って、面取り形状(具体的には、面取り部の対称性、面取り部の軸方向位置、面取り角度、及び面取り角度の経過)への影響は、これら全てのパラメータについて、溝全体にわたって求められてもよい。影響が知られている場合、パラメータは、所望の面取り形状を実現するように求められてもよい。
所望の深さ又は高さをまだ有していない第1の面取り部は、具体的に、最初に大きな構成部品でフライス加工することができ、次に、この第1の面取り部を測定できる。これにより、上述した方法に従ってって計算できる必要な修正が分かる。次に、面取り部の残りの部分がフライス加工されるとき、すなわち、面取り部がその全深さ又は高さまでフライス加工されるとき、これらの補正は考慮され得る。従って、不良品を回避することができる。
本明細書中に説明する修正は、例えば、エンドミルの幾何学的形状が計算において想定されるものと正確には一致しない場合に必要とされ得る。これは、例えば、エンドミルの不正確な測定及び/又は摩耗によって引き起こされ得る。
本明細書中に説明する修正は、例えば、歯車装置のエンドミルの相対的位置が計算で想定されるものと正確には一致しない場合にも、代替的又は追加的に必要とされ得る。これは、例えば、装置の不正確な測定と、装置の補正されていない熱成長又は補正が不十分な熱成長と、歯車装置におけるエンドミルの不正確な噛合いとのうち少なくとも1つが原因であり得る。
必要な修正は、例えば制御器を介して入力されるか、機械にデジタル伝送されるか、又は、実現された面取り部の測定及びそれに続く目標と実際との比較から求められてもよい。この測定は、装置及び外部測定機械の両方で行うことができる。この機械における測定は、測定値が制御器に直接伝達されるときに、プロセスの設定及び補正の決定を完全に自動的に行うことができるという利点を提供する。
面取り加工中に利用可能な全ての軸を移動させるわけではない本発明の変形例は、全ての軸を移動させる変形例に比べて、全ての軸がNC軸として構成されることが必要なわけではないか、又は、全ての軸が少なくとも面取り加工中に移動させるのに適切であることが必要なわけではないという利点を有する。これにより、装置を安価に構成することができる。
本発明は、図1a及び図1bの実施形態及び図13〜20に示す機械加工状況を参照して、以下に再び示される。前述された全ての態様は、以下の説明と組み合わせることができ、その逆もまた同様である。
図1a及び図1bは、歯付きワーク5の面取り加工のための本発明に係る装置の可能な実施形態を示す。この装置は、ワーク5を保持するために回転軸C2の周りに回転可能に支持されたワークホルダ2を有するワークスピンドル1を備える。さらに、この装置は、エンドミル6を保持するために回転軸B3を中心として回転可能に支持された工具ホルダ4を有する工具スピンドル3を備える。
ワークスピンドル1は、機械コラム又は機械フレーム8に接続される機械ベッド7に配置される。機械コラム又は機械フレーム8には、工具スピンドル3を支持する機械加工ヘッド9が配置される。機械加工ヘッド9、及び/又は、機械加工ヘッド9に配置された工具スピンドル3は、ワークスピンドル1に対して複数の機械軸上で移動可能である。
軸の構成は、実施形態では以下のように選択される。
機械加工ヘッドは、ワークホルダ2の回転軸C2と直交する方向に第1の直線軸Xを通って移動可能である。これにより、エンドミルをワークスピンドルの回転軸に直交する平面内でワークまで移動させることができる。
機械加工ヘッドは、さらに、ワークホルダ2の回転軸C2と平行な方向に第2の直線軸Zを通って移動可能である。これにより、エンドミルをワーク5に対して、軸方向に移動させることができる。
本実施形態では、第1の直線軸Xと平行に延び、機械加工ヘッド9を回動させる第1の回動軸Aがさらに設けられている。
第1の直線軸X及び第2の直線軸Zに垂直な方向に機械加工ヘッドを移動させることができる第3の直線軸Yがさらに設けられる。このような第3の直線軸Yに代えて、機械加工ヘッドと第1の回動軸Aとの間に配置されることにより、第1の回動軸Aを通って回動可能な第3の直線軸Vを用いてもよい。第3の直線軸Y又はVにより、ワークホルダの回転軸C2を通ってX軸と平行に延在する平面に対するエンドミル6の移動、ひいてはワーク5の中心に対する横方向移動が可能になる。
工具スピンドル3を機械加工ヘッド9に旋回可能に配置するための第2の回動軸A2がさらに設けられている。第2の回動軸A2は、第1の回動軸Aに垂直に延在し、好ましくは、第1の回動軸Aと交差する。ワークの歯車に対するエンドミル6の噛合い角は、第2の回動軸A2によって設定できる。
第2の回動軸A2により、ワークホルダの回転軸C2に対するエンドミル6の角度、ひいては機械加工のための面取り角度を設定できる。また、第2の回動軸A2により、図15に示すような、下縁部の機械加工のための第1の回動位置から、図16に示すような、上縁部の機械加工のための第2の回動位置にエンドミルを回動できる。エンドミルは、好ましくは、図13及び図14に示すような、ワークから離れる方向に回動された中立位置に回動することもできる。
ワークホルダ2の回転軸D1、第1の直線軸X、及び第2の直線軸Zは、それぞれNC軸である。第3の直線軸Y又はV及び第1の回動軸Aは、同様に、NC軸である。
対照的に、工具ホルダ4の回転軸B3は、エンドミル6の非同期駆動のみに作用するので、NC軸として構成されなくてもよい。
第2の回動軸A2は、第1の実施形態において、調整軸として構成してもよい。この場合、回動軸A2の位置は、例えば手動で又は隣接部を介して規定できる。
別の実施形態では、第2の回動軸A2も、NC軸として構成されてもよい。これにより、一方では、異なる縁部を機械加工するための上述した位置へ自由に移動でき、面取り加工におけるギヤホブの噛合い角を自由に設定でき、また任意で、歯溝により噛合い角を変更できる。
さらに、機械加工ヘッド9には、噛合センサ10及び11が配置されている。噛合センサ10は、外歯車機構の測定を行い、噛合センサ11は、内歯車機構の測定を行う。機械加工ヘッドは、典型的には、これらの2つのセンサのうちの1つのみを有する。好ましくは、噛合センサとして、非接触センサ(具体的には、誘導センサ)が使用される。
図13には、噛合センサ10によってワーク5が外歯車機構と噛み合う状態が示されている。工具スピンドル3は、この目的のために第2の回動軸A2を中心として中立位置に回動させられる。噛合センサ10は、歯車装置まで移動させられ、ワークは、回転軸C2を中心として回転される。噛合センサは、回転運動の際に歯又は歯溝の位置を検出する。次に、以降の面取り加工において歯又は歯溝の位置を検出することによって、歯溝に対して正確な位置にエンドミルを位置決めできる。
図14は、内歯車装置を有するワーク5’の測定を示す。噛合センサは、この目的のために、内歯車機構の中に延在するセンサアーム12を有する。本実施形態では、2つのセンサアーム12及び12’が設けられる。これらのセンサアームは、反対方向に配向されることにより、上下両方向からの内歯車機構の測定ができるようになる。
図15及び図16には、本発明に係る装置によって図1a、図1b及び図13に既に示された外歯車機構を有するワーク5の面取り加工が示されている。ワーク5は、複数の歯車機構13,14及び15を有する。中間歯14の面取り加工は特に問題が多い。なぜなら、2つの外歯車機構13及び15により、面取り加工において考慮されなければならない干渉輪郭が形成されるからである。
従って、エンドミル6は、工具ホルダ4から歯溝を通って機械加工対象の歯の各々の縁部との接触点まで延びるように配置される。従って、エンドミル6の先端のみが、機械加工対象の歯の各端面よりも突出している。従って、それぞれの前縁に極めて接近して配置された干渉縁部を有する内歯車機構14のような歯を面取り加工できる。
図15には、ワーク5の中間歯車機構の下縁部の面取り加工が示される。この目的のために、エンドミル6を有する工具スピンドルは、第2の回動軸A2を中心として下側機械加工位置に回動させられた。面取りの角度は、第2の回動軸A2により設定される工具スピンドル3の回動位置により設定される。
中間歯車機構14の下縁部の隣にはごく僅かなスペースしか存在しないので、第1の直線軸Xのみ、又は、ほぼ第1の直線軸Xのみを用いて、下縁部を機械加工し、エンドミルを歯縁部に沿って制御下で移動させる。一方、第2の直線軸Zを通る移動動作を完全に又はかなり大部分省くことができる。この場合、歯縁部全体は、エンドミル6の前部領域により面取り加工できるので、エンドミルの先端は、中間歯車機構14の対応する下部前縁の上方にのみ見えるだけである。しかしながら、この方法は、エンドミルの全長が歯車製造機械加工のために使用されないという欠点を伴い、それにより、摩耗はエンドミルの前部領域に集中する。
図16には、中間歯車機構14の上縁部の面取り加工が示される。この目的のために、エンドミル6を有する工具スピンドルは、第2の回動軸A2を中心として、エンドミル6が上縁部に位置する上側機械加工位置に回動させられた。ここでは、面取り角度は、第2の回動軸A2を中心として設定してもよい。
上縁部よりも上に、より多くの空間が利用できるので、エンドミル6は、独占的に又は主に、歯縁部に沿って第2の直線軸Zを通って移動させられる。これにより、エンドミルのジャケット面の異なる軸方向領域を用いて面取り加工を行い、摩耗がエンドミル全体にわたって均一に分配できるという利点がある。X軸を通る移動動作は、完全に省略してもよいし、第1の直線軸X及び第2の直線軸Zの両方を使用して移動動作を生成してもよい。
本発明の可能な実施形態では、主に第1の直線軸Xを用いて歯元を機械加工し、主に第2の直線軸Zを用いて歯すじを機械加工する。ここでは、ワークのシャフトが近接しているために、さらに干渉輪郭が歯元の領域内にあることが考慮される。一方、歯すじの機械加工では、シャフトからの距離は大きく、主に第2の直線軸Zを用いて作業を行うことができる。
図17〜図20には、内歯車装置を有するワークの面取り加工が示される。ワーク5’は、ここでも複数の歯車機構16及び17を有する。鍔18は、上側の内歯車機構16と下側の内歯車機構17との間に設けられている。上側歯車16及び下側歯車17のそれぞれの内側に配置された縁部の面取り加工は、接近のしにくさ及び干渉輪郭が原因で特に問題が多い。
図17には、上側の内歯車機構の下縁部の面取り加工が示される。工具スピンドル4を有する機械加工ヘッド9は、第1の直線軸Xを通って、この目的のために歯車装置の上方位置まで移動させられた。従って、エンドミル6は、上方から歯車装置の中へ斜めに延在し、内歯車機構16の下縁部にある。
ギヤ製造機械加工では、工具スピンドル4を有するエンドミルは、第2の回動軸A2を中心として移動させられた下側機械加工位置に配置される。第2の直線軸Zを用いて、エンドミルを軸方向に内歯車機構に移動させる。
干渉輪郭が狭いため、好ましくは、面取り加工中に、優先的に又は排他的に、エンドミルを縁部の輪郭に沿って第1の直線軸Xを通って移動動作させる。
図18には、上歯車機構16の上縁部の面取り加工が示される。この場合、エンドミル6は、工具ホルダ4から歯車の端面を通って歯車装置へ延在することにより、エンドミルの先端が歯車装置内に配置される。ここでは干渉輪郭を考慮する必要はないので、エンドミル6は、面取り加工中に歯縁部の輪郭に沿って専ら又は主に第2の直線軸Zを通って移動させられ得る。
図19及び図20には、内側に歯が付いたワーク5’の下歯車17の面取り加工が示される。少なくとも下歯車17の上縁部は歯車装置の上側から機械加工できないので、対応する第2のワークホルダ2’を有する第2のワークスピンドル1’が設けられている。
2つのワークスピンドルは、同軸的に配置され、第1のワークホルダ2内に保持されたワークが第2のワークホルダ2’の把持顎によって把持され得るように、軸方向に互いに向かって移動可能である。第1のワークホルダ2は、その結果、ワークを解放し、これにより、ワークは、第2のワークホルダ2’内に保持される。第2のワークホルダ2’は、工具スピンドル3を有する機械加工ヘッド9がワーク5’の下を移動できるように配置されるか、又は、配置され得る。
2つのワークホルダの少なくとも1つは、ワーク5’を第1のワークホルダ2から第2のワークホルダ2’へ移動させるために、回転軸D1の方向に軸に沿って移動可能である。
エンドミル6は、次に、図19の歯車装置の中心の上方を第1の直線軸Xを通って移動させられ、下歯車17の上縁部及びひいては内側縁部を機械加工した。この場合、エンドミルは、工具ホルダ4から歯車装置を通って機械加工対象の縁部まで延在する。ギヤ製造機械加工は、図17に示された状態と同様に行われる。
下歯車17の下側歯縁部、つまり外側歯縁部は、図20において面取り加工されている。ここでの加工は、図18の面取り加工と同様に行われる。
第1のワークスピンドルから第2のワークスピンドルへのワークの移動プロセスがどのように行われるかに依存するが、エンドミルを噛み合わせるための歯車装置の噛合いの反復を省くことができるか、又は、第2のワークホルダ2’に保持されるワークの噛合いが反復される必要がある。噛合センサ11の上側アームは、この目的のために、下側アームについて図14に示されるのと同じように用い、ここでは噛合センサは、下側から歯車装置に嵌入するだけである。
機械加工プロセスの前述した詳細とは関係なく、本発明の第1の態様によれば、回転軸C2の周りのワーク5の回転速度は、面取り加工中に変化する。ワークは、具体的には、歯溝全体にわたって異なる速度で回転する。
好ましくは、少なくとも歯元及び/又は歯先の面取り加工よりも遅い速度で歯すじを面取り加工する際に作業が実施される。単位時間当たりの切削量は、これにより影響を受け、好ましくは、できるだけ一定にすることができる。
ワークの回転速度をこのように変動させることは、ギヤ製造機のNC軸により縁部の輪郭に沿ってエンドミルを案内することとは無関係に、さらに利点があり、従って、例えば、従来技術から知られているGratomatプロセスに対応する方法、すなわち、エンドミルが付勢された状態で歯縁部に位置する方法において使用することもできる。しかしながら、特定の利点により、歯縁部に沿って機械のNC軸によりエンドミルを制御下で案内させるとともに回転速度を変動させる。なぜなら、機械加工速度を実質的に高くできるからである。
本発明によれば、第3の直線軸Y又はVは、さらに、具体的には、はすば歯車機構の機械加工のためにも用いられ、歯溝に対してエンドミル6を位置決めする。この目的のために、機械加工ヘッド9は、Y軸又はV軸を通って、ワークの歯車機構の中心から外へ移動させられる。工具スピンドルの回転軸B3は、これにより、もはやワークスピンドルの回転軸C2と交差することはない。機械加工ヘッドは、さらに、少なくともY軸を用いる場合、A軸がワークスピンドルの回転軸D1と交差しないが、この回転軸からある距離を置いて延在するように配置される。これとは対照的に、V軸を使用する場合、工具スピンドル3の回転軸B3は、好ましくは、もはや第1の回動軸Aと交差することはない。
歯車装置に対してエンドミル6を位置決めするために第3の直線軸Y又はVを用いることにより、具体的には、はすば歯車機構が、面取り加工中のより少ない移動動作で、左右の歯すじに対称的な面取りを実現できる。第3の直線軸Y又はVは、第1の実施形態では、面取り加工のための固定位置にエンドミルを位置決めするためだけに使用できる。一方、第2の実施形態では、第3の直線軸沿いの位置は、面取り加工中に、具体的には、歯溝全体にわたって変更させることもできる。
第1の回動軸A及び第2の回動軸A2は、同様に、歯縁部に対するエンドミルの1回の位置決めのためにのみ用いてもよいし、又は、歯縁部に沿ってエンドミルを制御下で案内するためにギヤ製造機械加工の際に用いてもよい。任意で、2つの回動軸のうちの1つ、又は、両方の回動軸もなくてもよい。
本発明によれば、エンドミルとしては、円筒形又は円錐形のジャケット面又は包絡面を有するエンドミルを使用する。円錐角は、好ましくは20°未満、具体的には、10°未満である。円錐は、エンドミルのより小さな直径の部分により歯溝を機械加工することができる一方で、残りの領域ではより大きい直径の部分によりエンドミルの安定性を高めることができるという利点がある。
従って、歯元の領域は、好ましくは、円錐形エンドミルを使用する場合には、エンドミルの前方領域を用いて機械加工されるが、一方、歯すじは、エンドミルにおいてさらに後方に配置される領域を用いて機械加工される。
記載された全ての手順は、好ましくは、装置の制御器の1つ又は複数の機械加工機能によって実現される。また、これらの手順は、1つのワークを面取り加工するために、及び、好ましくは複数の同一ワークを機械加工するために、自動化された方法でこの装置によって使用される。

Claims (15)

  1. 歯付きワークの面取り加工装置であって、
    前記ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されたワークホルダを有するワークスピンドルと、
    エンドミルを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持された工具ホルダを有し、前記ワークホルダに対して前記面取り加工装置の少なくとも1つの直線軸を通って移動可能である工具スピンドルと、
    前記工具ホルダに保持されるエンドミルが機械加工対象の縁部と係合する状態で、歯付きワークの面取り加工のために前記ワークスピンドルを制御することによって前記ワークホルダに保持される前記ワークを回転させる機械加工機能を有する制御器と、を備え、
    前記機械加工機能により、前記面取り加工中に前記ワークの回転速度が変動する
    ことを特徴とする歯付きワークの面取り加工装置。
  2. 請求項1に記載の装置において、
    前記機械加工機能により、歯溝全体にわたって前記回転速度が変動することと、
    前記機械加工機能は、好ましくは、全ての歯溝に対して同じ回転速度プロファイルを用いることと、
    前記機械加工機能により、好ましくは、歯溝全体にわたって回転速度が変動し、時間単位ごとの前記エンドミルの切削量、及び/又は、前記縁部と前記エンドミルとの間の相対的な速度が、最大値の30%以下だけ前記歯溝全体にわたって変化することと、
    前記機械加工機能により、歯溝全体にわたって前記ワークの前記回転速度が変動し、左歯すじは、右歯すじとは異なる回転速度及び/又は回転加速度で機械加工され、及び/又は、右歯すじに用いられる回転速度プロファイルと対称ではない前記ワークの回転速度プロファイルで機械加工されることと、
    前記機械加工機能により、歯溝全体にわたって前記回転速度が変動し、歯元の領域では、少なくとも1つの歯すじ、好ましくは、両方の歯すじよりも高い回転加速度で作業が行われることとのうち、少なくとも1つに該当する、
    ことを特徴とする装置。
  3. 請求項2に記載の装置において、
    前記機械加工機能により、歯溝を通って移動する際に、前記ワークの回転方向が変更される、
    ことを特徴とする装置。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工のための機械加工機能により、前記工具スピンドルは、前記ワークスピンドルに対して少なくとも1本の直線軸を通って移動し、前記工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象の前記ワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、前記ワークが前記ワークの回転軸の周りを回転させられる、
    ことを特徴とする装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記工具スピンドルは、前記ワークホルダの前記回転軸に垂直な方向に第1の直線軸Xを通って移動可能であり、及び/又は、前記ワークホルダの前記回転軸と平行に第2の直線軸Zを通って移動可能であることと、
    前記機械加工機能は、好ましくは、前記第1の直線軸X及び/又は前記第2の直線軸Zによって前記工具スピンドルを制御し、前記工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象の前記ワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、前記ワークが前記ワークの回転軸の周りに回転させられることと、
    前記エンドミルは、好ましくは、前記第1の直線軸Xと前記第2の直線軸Zとの動作の重畳により、歯溝の少なくとも一部領域上で前記輪郭に沿って制御下で案内されることと、
    前記エンドミルは、好ましくは、前記第1の直線軸X及び前記第2の直線軸Z両方の動作により、歯溝を通過する際に、前記輪郭に沿って制御下で案内されることとのうち、少なくとも1つに該当する、
    ことを特徴とする装置。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記工具スピンドルは、前記ワークホルダの前記回転軸に垂直な方向に第1の直線軸Xを通って移動可能であり、且つ、前記ワークホルダの前記回転軸と平行に第2の直線軸Zを通って移動可能であることと、
    前記機械加工機能は、前記第1の直線軸X及び/又は前記第2の直線軸Zによって前記工具スピンドルを制御し、前記工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象の前記ワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内されることと、
    前記機械加工機能は、前記第1の直線軸X及び/又は前記第2の直線軸Zによって前記工具スピンドルを制御し、前記工具ホルダに保持されたエンドミルのジャケット面の別々の軸方向領域が、機械加工対象の前記ワークの縁部と係合するようにすることと、
    前記工具ホルダは、前記第2の直線軸Zのみを通って、又は、前記第1の直線軸Xのみを通って、それぞれ他の直線軸を通すことなく、歯溝の少なくとも一部領域上で機械加工対象の前記縁部の輪郭に沿って制御下で案内されることとのうち、少なくとも1つに該当する、
    ことを特徴とする装置。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記機械加工機能は、20°未満、好ましくは10°未満の円錐角で円筒形ジャケット面又は円錐形ジャケット面を有するエンドミルを使用するために構成され、及び/又は、前記機械加工機能は、前記工具ホルダに保持された前記エンドミルが前記工具ホルダから歯溝を通って機械加工対象の歯車装置の縁部まで延在するように前記工具ホルダを配向した状態で作用する、
    ことを特徴とする装置。
  8. 具体的には、請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の歯付きワークの面取り加工装置であって、
    前記ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されたワークホルダを有するワークスピンドルと、
    エンドミルを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持された工具ホルダを有し、前記ワークホルダの前記回転軸に垂直な方向に第1の直線軸Xを通って、及び/又は、前記ワークホルダの前記回転軸と平行に第2の直線軸Zを通って、前記ワークホルダに対して移動可能である工具スピンドルと、
    前記ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工のために前記第1の直線軸X及び/又は前記第2の直線軸Zを通って前記ワークスピンドルに対して前記工具スピンドルを移動させることにより、前記工具ホルダに保持された前記エンドミルが、機械加工対象の前記ワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、前記ワークが前記ワークの回転軸の周りに回転させられるようになる機械加工機能を有する制御器と、を備え、
    前記機械加工機能は、前記第1の直線軸X及び/又は前記第2の直線軸Zによって前記工具スピンドルを制御し、前記工具ホルダに保持された前記エンドミルのジャケット面の別々の軸方向領域が、機械加工対象の前記ワークの縁部と係合するようにすることと、
    前記機械加工機能は、20°未満、好ましくは10°未満の円錐角で円筒形ジャケット面又は円錐形ジャケット面を有するエンドミルを使用するために構成されることと、
    前記機械加工機能は、前記工具ホルダに保持された前記エンドミルが前記工具ホルダから歯溝を通って機械加工対象の歯車装置の縁部まで延在するように前記工具ホルダを配向した状態で作用することとのうち、少なくとも1つに該当する、
    ことを特徴とする装置。
  9. 請求項1〜8のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記工具スピンドルは、歯溝を通過する際に回動せず、及び/又は、前記工具スピンドルは、第1の回動軸A及び/又はA2の周りに回動可能であることと、
    前記機械加工機能は、好ましくは、前記歯溝を通過する際に前記第1の回動軸A及び/又はA2の周りに前記工具スピンドルを回動させることにより、前記歯溝上で歯すじに垂直に交差する平面で測定される面取り角の変動を抑制することと、
    前記第1の回動軸Aは、好ましくは、前記ワークホルダの回転軸に垂直及び/又は第1の直線軸Xと平行に延在することとのうち、少なくとも1つに該当する、
    ことを特徴とする装置。
  10. 具体的には、請求項1〜9のうちいずれか1つに記載の歯付きワークの面取り加工装置であって、
    前記ワークを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持されたワークホルダを有するワークスピンドルと、
    エンドミルを保持するために回転軸の周りに回転可能に支持された工具ホルダを有し、前記ワークホルダの前記回転軸に垂直な方向に第1の直線軸Xを通って、且つ、前記ワークホルダの前記回転軸と平行に第2の直線軸Zを通って、前記ワークホルダに対して移動可能である工具スピンドルと、
    前記ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工のために前記第1の直線軸X及び/又は前記第2の直線軸Zを通ってワークスピンドルに対して前記工具スピンドルを移動させることにより、前記工具ホルダに保持された前記エンドミルが、機械加工対象の前記ワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、前記ワークが前記ワークの回転軸の周りに回転させられるようになる機械加工機能を有する制御器と、を備え、
    前記工具スピンドルは、前記第1の直線軸Xに垂直な平面に延在する第3の直線軸Y又はVを通って移動可能であり、前記工具スピンドルは、好ましくは、前記第3の直線軸Y又はVを通って面取り加工のために配置され、前記工具ホルダの回転軸は、前記ワークホルダの回転軸と交差せず、好ましくは、前記ワークホルダの回転軸に対して曲げられた状態で延在する、
    ことを特徴とする装置。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記工具スピンドルは、前記工具スピンドルの回転軸に垂直に配向される第2の回動軸A2を中心として回動可能であり、第1の直線軸Xに垂直な平面に延在することと、
    前記第2の回動軸A2は、好ましくは、調整軸又はNC軸であることと、
    前記工具スピンドルは、前記ワークの下縁部を機械加工するための第1の機械加工位置から上縁部を機械加工するための第2の機械加工位置に前記第2の回動軸A2を中心として回動可能であることと、
    前記第2の回動軸A2により、第1の回動軸Aが延在する平面で前記工具ホルダの回転軸が回動可能になることとのうち、少なくとも1つが該当する、
    ことを特徴とする装置。
  12. 請求項1〜11のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記制御器は、所望の面取り形状のパラメータを入力する機能、及び/又は、面取りされる歯車装置の溝の輪郭の1つ又は複数のパラメータから面取り形状を決定する機能を有し、
    前記歯車装置の溝の輪郭の前記1つ又は複数のパラメータは、前記歯車装置が創成する歯車装置プロセスを調整する機能により入力し得る1つ又は複数のパラメータであり、
    前記面取り形状は、好ましくは、前記面取り形状の入力パラメータ及び前記溝の輪郭の前記1つ又は複数のパラメータを基準にして決定される、
    ことを特徴とする装置。
  13. 請求項1〜12のうちいずれか1つに記載の装置において、
    前記制御器は、前記所望の面取り形状、具体的には、面取り幅と、面取り深さと、面取り角度とのうち少なくとも1つが歯溝全体にわたって変動する所望の面取り形状が指定できる入力機能を有し、
    前記制御器は、前記所望の面取り形状に基づいて実現可能な面取り形状を求める算出機能をさらに有し、
    前記制御器は、好ましくは、前記所望の面取り形状及び前記実現可能な面取り形状をイメージ図として表すことにより、2つの面取り形状を視覚的に比較できるようにする表示機能、及び/又は、前記所望の面取り形状と前記実現可能な面取り形状との間の偏差を表す表示機能を有する、
    ことを特徴とする装置。
  14. 請求項1〜13のうちいずれか1つに記載の装置により歯付きワークの縁部を面取り加工するための方法であって、
    前記工具スピンドルは、好ましくは、前記ワークスピンドルに対して前記少なくとも1つの直線軸を通って移動させられることによって、前記ワークホルダに保持された歯付きワークの面取り加工を行い、前記工具ホルダに保持されたエンドミルが、機械加工対象の前記ワークの縁部の輪郭に沿って制御下で案内される一方、前記ワークが前記ワークの回転軸の周りに回転させられる、
    ことを特徴とする方法。
  15. 請求項14に記載の方法において、
    第1の機械加工工程において、面取り部が創成され、又は
    第1の面取り部が測定され、第2の機械加工工程で考慮される複数の修正値が前記第1の面取り部から求められ、又は
    好ましくは、前記第1の機械加工工程は第1のワークで実行され、前記第2の機械加工工程は第2のワークで実行されるか、又は、前記第1の機械加工工程及び前記第2の機械加工工程は同じワークで実行されるかのいずれかであり、又は
    前記第1の面取り部は、依然として所望の深さを有さず、前記第2の機械加工工程において完全な深さまでフライス加工される、
    ことを特徴とする方法。
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