JP2002239676A - かさ状歯車鍛造用金型の製造方法 - Google Patents

かさ状歯車鍛造用金型の製造方法

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JP2002239676A JP2001041713A JP2001041713A JP2002239676A JP 2002239676 A JP2002239676 A JP 2002239676A JP 2001041713 A JP2001041713 A JP 2001041713A JP 2001041713 A JP2001041713 A JP 2001041713A JP 2002239676 A JP2002239676 A JP 2002239676A
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bevel gear
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JP2001041713A
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Yoshio Shiono
芳夫 塩野
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Yutaka Seimitsu Kogyo Ltd
Original Assignee
Yutaka Seimitsu Kogyo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 かさ状歯車を鍛造加工により作成する方法に
おいて、歯車の加工精度を向上させるとともに、金型の
加工工程を短縮する。 【解決手段】 かさ状歯車の3次元座標値に基づいて、
鍛造金型の型面形状を取得し(P1)、それに従って金
型素材20を小径のボールエンドミルにより直彫りする
(P2)。金型の型面を測定して(P3)誤差を修正
し、さらに、その鍛造金型により鍛造され(P7)、熱
処理された(P8)歯車の歯面形状を測定して(P9)
誤差を金型加工にフィードバックする(P10)。それ
により、高精度のかさ状歯車鍛造用金型を短期間に製作
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、かさ歯車,ハイポ
イドギヤ等かさ状歯車を鍛造するための金型の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、かさ状歯車は歯切り加工によって
製造されて来たが、近年、鍛造により高精度の歯車を製
造する技術が注目されるようになった。鍛造は生産性が
高く、また、切り屑が出ず、切削油も不要である等環境
問題に対して有利であるからである。鍛造には金型が必
要であり、現在この金型は、歯切り加工により製造した
銅製の電極を用いて、放電加工により製造されている。
一般に、荒加工電極と仕上加工電極とを製造し、それら
両電極を順次使用して、金型を製造することが行われて
いるのであるが、この方法により高精度のかさ状歯車を
製造することは困難である。
【0003】歯切り加工した電極から金型を得る場合、
種々の誤差が製品としてのかさ状歯車の寸法に集約され
る。例えば、電極加工時の歯切り加工誤差、金型製作時
の放電加工誤差、鍛造時の鍛造工程誤差、さらに鍛造品
の熱処理歪み等がかさ状歯車の寸法誤差の原因となるの
である。これらの誤差を総合的に打ち消すように、電極
の歯切り加工を行うことは困難である。例えば、総合誤
差の中に、無視し得ない程度の歯すじ方向のうねり成分
がある場合、これを電極の歯切り加工の工夫で解決する
ことはできない。
【0004】また、多くのまがりばかさ状歯車もしくは
ハイポイドギヤでは、凸面の歯面側と凹面の歯面側とで
圧力角やねじれ角が異なり、上記各種の誤差も両歯面間
で同じではない。さらに、乗用車用ハイポイドギヤの大
歯車などは一般的に両歯面を同時歯切りしているから、
片歯面ずつ独立し、なおかつ上記各種誤差を考慮に入れ
た歯切り加工をすることは非常に困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明は、以上の事情を背景とし、高精度のかさ状
歯車を鍛造し得る金型を製造することを可能にすること
を課題としてなされたものであり、本発明によって、下
記各態様のかさ状歯車鍛造用金型の製造方法が得られ
る。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号
を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記
載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にする
ためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれら
の組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解
釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が
記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採
用しなければならないわけではない。一部の事項のみを
選択して採用することも可能なのである。
【0006】(1)理論的に計算されるかさ状歯車の歯
面形状に基づいて、かさ状歯車を鍛造するための金型の
型面形状を決定し、その型面形状を数値制御工作機械に
よって機械加工することを特徴とするかさ状歯車鍛造用
金型の製造方法(請求項1)。かさ状歯車の歯面形状は
3次元座標値の集合で表わすことができる。例えば、被
加工歯車素材の形状,使用する加工工具や工作機械の段
取り等に基づいて、加工工具と被加工歯車素材間の相対
運動から、例えば被加工歯車のピッチ円錐の頂点を原点
とする直交座標上の3次元座標値の集合として表すこと
ができるのである。そして、原則的には、この理論的に
計算されるかさ状歯車の歯面形状の凹凸を逆転させれ
ば、かさ状歯車を鍛造するための金型の型面形状が得ら
れる。その得られた型面形状と、加工工具の寸法、例え
ば、ボールエンドミルのボール部の半径とに基づいてボ
ール部の中心の軌跡を規定する座標値群が得られ、この
座標値群に基づいてボールエンドミルと被加工歯車素材
との相対運動を数値制御すれば、目的とする金型を加工
することができる。本発明は、すぐばかさ歯車,はすば
かさ歯車等を鍛造するための金型の製造にも適用可能で
あるが、従来の製造方法で加工精度を高め難いまがりば
かさ状歯車の製造に適用して特に効果的なものである。 (2)前記理論的に計算されるかさ状歯車の歯面形状に
基づいて取得する型面形状を、前記理論的な歯面形状の
凹凸を逆転させた理論型面形状に、金型の機械加工時に
生じる寸法誤差と金型の熱処理時に生じる寸法誤差と鍛
造時に生じる寸法誤差と鍛造品の熱処理時に生じる寸法
誤差との少なくとも一つに基づく修正を施した修正型面
形状とする(1) 項に記載のかさ状歯車鍛造用金型の製造
方法(請求項2)。金型の機械加工時や熱処理時に生じ
る寸法誤差、あるいはかさ状歯車の鍛造や鍛造品の熱処
理時に生じる寸法誤差は理論計算により取得されるもの
でも、従来の金型の製造時に集積されたデータに基づい
て取得されるものでも、後述のように、実際に金型を製
造し、その金型の型面を測定し、あるいは鍛造および熱
処理された試作歯車の歯面を測定することにより取得さ
れたものでもよい。数値制御工作機械により金型を機械
加工する場合には、加工工具と被加工歯車素材との相対
運動を制御するデータを修正することによって、金型の
機械加工時に生じる寸法誤差、金型の熱処理時に生じる
寸法誤差、および鍛造時に生じる寸法誤差との少なくと
も一つを容易に除去することができる。 (3)前記機械加工後の金型の型面の寸法誤差を検出す
る工程を含む(1) 項または(2) 項のいずれかに記載のか
さ状歯車鍛造用金型の製造方法。 (4)前記取得された型面の寸法誤差を減少させるため
の修正を前記金型の型面形状に施して修正型面形状を得
る(3) 項に記載のかさ状歯車鍛造用金型の製造方法。こ
のようにして取得した修正型面形状に従って新たに型面
を機械加工すれば、高精度の金型を得ることができる。
修正型面形状を得るために加工された金型は次項に記載
の方法によって修正加工を行って金型として使用しても
よく、廃棄してもよい。 (5)前記機械加工後の金型の型面の寸法誤差を減少さ
せるための修正加工を機械加工後の型面に行う工程を含
む(3) 項または(4) 項に記載のかさ状歯車鍛造用金型の
製造方法。(3) 項で取得された寸法誤差に基づいて当初
の型面形状の修正加工を行うことも、(4) 項で取得され
た修正型面形状に従って修正加工を行うこともできる。
当初の型面形状を、理論型面形状よりやや加工量が不足
する形状に決定しておけば、追加的な機械加工により適
正な型面形状の金型を得ることができる。当初の型面形
状を適正と考えられる型面形状にしておき、加工量が不
足した場合は追加的な機械加工を行い、加工量が過大で
あった場合には、溶接等により肉盛りを行った上で再び
機械加工を行うこともできる。 (6)前記機械加工後の金型により鍛造されたかさ状歯
車の歯面の寸法誤差を検出する工程を含む(1) 項ないし
(5) 項のいずれか一つに記載のかさ状歯車鍛造用金型の
製造方法。鍛造されたかさ状歯車に熱処理を行った後で
歯面の寸法誤差を検出することが望ましい。 (7)前記取得された歯面の寸法誤差を減少させるため
の修正を前記金型の型面形状に施して修正型面形状を得
る(6) 項に記載のかさ状歯車鍛造用金型の製造方法。 (8)前記機械加工後の金型の型面に、前記歯面の寸法
誤差を減少させるための修正加工を行う(6) 項または
(7) 項に記載のかさ状歯車鍛造用金型の製造方法。(6)
項で取得された寸法誤差に基づいて修正加工を行うこと
も、(7) 項で取得された修正型面形状に従って修正加工
を行うこともできる。当初の型面形状の決定方法に関す
る(5) 項の説明は本項にも当てはまる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態である製造方
法を実施する数値制御フライス盤10を、図1に基づい
て説明する。フライス盤10は、図1に示すように、本
体12と、テーブル14と、工具主軸16とを含むもの
である。テーブル14は、本体12に対してX軸,Y
軸,Z軸方向にそれぞれ相対移動可能に設けられてい
る。テーブル14上にはさらに、テーブル14に対して
垂直軸線まわりに回転可能な回転台15が設けられてい
る。工具主軸16は、本体12のコラムに対して相対回
転可能かつ、Z軸方向に相対移動可能に設けられてい
る。本実施形態においては、工具主軸16にボールエン
ドミル18が取り付けられ、回転台15には被加工物と
しての金型素材20が保持される。
【0008】フライス盤10の作動は、制御装置30に
よって制御される。制御装置30は、図2に示すよう
に、入力部32,CPU34,ROM36,RAM3
8,出力部40などを含むコンピュータを主体とするも
のであり、入力部32には、被加工物20のX軸方向,
Y軸方向,Z軸方向の位置と垂直軸線まわりの位相とを
それぞれ検出するワークX方向位置センサ42,ワーク
Y方向位置センサ44,ワークZ方向位置センサ46,
ワーク位相センサ47およびボールエンドミル18のZ
軸方向の位置を検出する工具Z方向位置センサ48等が
接続されるとともに、入力装置50が接続されている。
入力装置50を介して加工の際の各条件などが入力され
る。また、出力部40には、被加工物20を保持するテ
ーブル14をX軸方向,Y軸方向,Z軸方向にそれぞれ
移動させると共に垂直軸線まわりに回転させるワークX
方向移動用モータ60,ワークY方向移動用モータ6
2,ワークZ方向移動用モータ64およびワーク回転用
モータ65がそれぞれ駆動回路70を介して接続される
とともに、工具主軸16をZ軸方向に移動させる工具Z
方向移動用モータ66と、工具主軸16を回転駆動する
工具主軸回転駆動モータ68とがそれぞれ駆動回路70
を介して接続されている。さらに、出力部40には、モ
ニタ72が接続されている。オペレータは、モニタ72
の表示画面を見ながら、金型素材20上の加工領域の形
状等を入力装置50を介して入力する。ROM36に
は、ボールエンドミルと被加工物とが相対移動させられ
るように各モータを制御するモータ制御プログラムなど
の種々のプログラムやテーブルなどが格納されている。
【0009】以上のように構成されるフライス盤10を
使用して、曲がりばかさ歯車の鍛造金型を製造する鍛造
金型製造作業について説明する。製造作業のうち、形成
すべき型面形状を取得する部分について詳細に説明し、
切削加工等従来からよく知られている工程については説
明を省略する。
【0010】まず概略的に説明する。まがりばかさ歯車
の理論歯面形状が計算により取得され、それを反転させ
ることによって、鍛造金型の理論型面形状が取得され
る。その理論型面形状が、予め予測される種々の誤差に
基づいて修正され、最終的に作成すべき最終目標型面形
状が暫定的に設定される。最終目標型面形状とは、その
形状に従って金型素材を切削加工し、熱処理などを施し
て作成された鍛造金型を用いて歯車素材を鍛造加工し、
熱処理を実施すれば、理想歯面形状を有する歯車を得る
ことができるはずである型面の形状である。その最終目
標型面形状は、現実に生じる加工誤差等に基づいて設定
されることが望ましいが、事前にそれらを知ることはで
きないので、まず、上記理論型面形状と予め予測される
誤差とに基づいて暫定的最終目標型面形状が設定され
る。予め予測される誤差は、理論計算により求められて
もよいが、本実施形態においては、過去に集積されたデ
ータに基づいて求められる。
【0011】本実施形態においては、金型素材を最終目
標型面より深く加工してしまうことを回避するために、
金型素材が荒加工された後で、複数回に分けて仕上げ切
削加工が行われる。具体的には、最初の仕上げ切削加工
が行われて機械加工時の寸法誤差が取得され、次の仕上
げ切削加工が行われた後、歯車が試作されて金型の熱処
理時に生じる誤差および鍛造時や鍛造品の熱処理時に生
じる寸法誤差が取得される。それら取得されたデータに
基づいて、前述の暫定的最終目標型面が修正されて最終
目標型面が設定され、仕上げ切削加工が実施される。本
実施形態においては、1つの金型素材を用いて種々の誤
差の測定が行われるとともに、その金型素材について最
終目標型面形状に従って仕上げ切削加工が実施され、鍛
造金型が作成される。
【0012】以下に、図3および図4に示すフローチャ
ートに基づいて詳細に説明する。作業者などにより加工
開始が指示されると、プロセスP1(以下単にP1と称
する。他のプロセスについても同じ)において、最初の
仕上げ切削加工により成形されるべき当面目標型面が設
定される。この当面目標型面は、図4にフローチャート
で示すプログラムが図示しないメインコンピュータにお
いて実行されることにより設定される。
【0013】当面目標型面設定プログラムについて説明
する。まず、ステップS1(以下単にS1と称する。他
のステップについても同じ)において、鍛造により加工
しようとするまがりばかさ歯車の理論歯面形状の3次元
座標値と各座標における歯面に対する法線方向単位ベク
トルとが算出される。歯切り加工によって得られるまが
りばかさ歯車の理論歯面形状の3次元座標値は、歯切り
加工される前の被加工物としての歯車素材の形状,使用
する加工工具や歯切り装置の段取り,および歯切り法な
どに基づく加工工具と歯車素材との相対運動から計算に
より取得することができる。なお、歯切り装置は、例え
ば、カム装置と割り出し機構を用いる等機械的な制御に
よる工作機械とすることもできるし、数値制御工作機械
とすることもできる。たとえば、図6(a) に示すよう
に、今回製造されるべきまがりばかさ歯車のピッチ円錐
頂点を原点とする直交座標系上における点P(X,Y,
Z)として取得するとともに、点Pにおける歯面に対す
る法線方向単位ベクトルN(Nx,Ny,Nz)として
取得することができる。図5に、上述の方法により求め
られた点群によって描かれるまがりばかさ歯車の一枚の
歯を示す。なお、面取りや、逃がしを形成する場合に
は、それらを含む形状を上記理論歯面形状として取得す
ることが望ましい。
【0014】次に、S2において、理論歯面形状に基づ
いて鍛造金型の理論型面形状の3次元座標値と、各座標
における型面に対する法線方向単位ベクトルとが算出さ
れる。ここで、鍛造金型の理論型面形状は、加工すべき
歯車の理論歯面と丁度嵌り合う転写の関係となるので
(図6(b) 参照)、歯車の理論歯面上の点Pに対応する
鍛造金型の理論型面上の点P´および、その点P´にお
ける法線方向単位ベクトルN´は、(1)式および
(2)式に示すように表される。点P´は点Pと一致
し、法線方向単位ベクトルN´は、法線方向単位ベクト
ルNを反転させた値となるのである。 P´=P・・・(1) N´=−N・・・(2)
【0015】さらに、S3において、過去に集積された
データに基づいて鍛造工程誤差や金型および鍛造品の熱
処理歪みなどの影響を小さくするためにP´およびN´
が修正されて、実際に形成されるべき最終目標型面が暫
定的に設定される。なお、鍛造工程誤差や金型および鍛
造品の熱処理歪みには、たとえば、歯面の圧力角やねじ
れ角に基づいて変化するものがあり、それら圧力角やね
じれ角は一つの歯みぞについて回転方向前方の歯面と回
転方向後方の歯面とで異なるが、本実施形態においては
それぞれについて修正することができる。
【0016】本実施形態においては、上述のように、最
終目標型面が段階的に形成されるのであるが、まず、機
械加工時に生じる寸法誤差が測定される。S4において
暫定的最終目標型面に基づいて、最初の仕上げ切削加工
により成形されるべき当面目標型面が設定される。この
当面目標型面は、暫定的最終目標型面に2回の仕上げ加
工のための取りしろ分の修正が加えられた形状である。
【0017】以上の計算に基づいて当面目標型面が設定
されれば、次に、P2において、当面目標型面を形成す
るように、加工工具としてのボールエンドミル18の軌
跡を制御するための鍛造金型加工用NCプログラム(以
下、加工用プログラムと称する)が作成され、その加工
用プログラムに従って金型素材20が仕上げ切削加工さ
れて中間製品たる中間金型が得られる。
【0018】次に、P3において、中間金型の型面の実
際の形状である実型面形状が測定される。具体的には、
中間金型内に図示しないタッチセンサが進入させられて
実型面形状が測定される。P4において、メインコンピ
ュータにおいて実型面形状に基づいて新しい当面目標型
面が設定される。具体的には、実型面形状と先に設定さ
れた当面目標型面とが比較されて、両者の寸法誤差が取
得され、その寸法誤差と暫定的最終目標型面とに基づい
て、試作歯車を鍛造するための型面の形状が、新しい当
面目標型面形状として設定される。新しい当面目標型面
形状は、暫定的最終目標型面形状に1回の仕上げ加工の
取りしろ分の修正を加えた形状とされる。次に、P5に
進んで、当面目標型面を形成するように加工用プログラ
ムが作成され、その加工用プログラムに従って中間金型
が仕上げ切削加工される。なお、P4を実行する代わり
に、上記実型面形状と直接新しい当面目標型面とを比較
して、それらの差に基づいて加工用プログラムが作成さ
れるようにしてもよい。
【0019】次に、P6において中間金型に熱処理など
が施され、P7においてそれを用いて試作品としての試
作歯車が鍛造される。P8において、鍛造された試作歯
車に熱処理が施され、次にP9において、試作歯車の歯
面形状が測定される。前述の実型面形状の測定と同様
に、タッチセンサを有する測定装置により実歯面形状が
測定される。P10およびP11において、歯面形状の
実測値に基づいて中間金型の型面がさらに仕上げ切削加
工される。具体的には、試作歯車の歯面形状は、前述の
理論歯面形状と1回の仕上加工の取りしろとから予測可
能であるので、実歯面形状と予測された予測歯面形状と
が比較され、それらの寸法誤差が取得される。その寸法
誤差と暫定的最終目標型面とに基づいて最終目標型面が
設定されるとともに加工用プログラムが作成され、中間
金型が加工用プログラムに従って加工される。以上で1
回の金型作成作業が終了する。
【0020】次に、作成された鍛造金型を使用して歯車
が鍛造され、熱処理が実施された後、その歯車の実歯面
形状が測定される。歯車の実歯面形状の測定値の理論歯
面形状に対する寸法誤差が十分に小さい場合には、その
金型が鍛造金型として利用される。それに対して寸法誤
差が大きい場合には、さらに加工が行なわれる。ここ
で、実歯面形状が理論歯面形状より大きい場合には、鍛
造金型が最終目標型面より深く加工されてしまったこと
になるので、その金型は廃棄され別の金型素材を用いて
最初から加工が行なわれる。実歯面形状が理論歯面形状
より小さい場合には、鍛造金型の型面の加工が不足して
いるので、その形状に基づいて追加加工が行なわれる。
上記誤差が十分に小さくなるまで、追加加工と歯車の鍛
造と実歯面形状の測定とが繰り返し行なわれる。
【0021】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、二つの当面目標型面,暫定的最終目標型
面および最終目標型面がそれぞれ「修正型面形状」に相
当する。
【0022】本実施形態における金型加工方法によれ
ば、予め予測される変形に基づいて鍛造金型を製造する
ことにより、高精度の歯車を鍛造することが可能とな
る。さらに、面取りや、逃がしを有する歯車を鍛造加工
により製造することが可能となる。
【0023】本実施形態においては、荒加工された金型
素材に対して、複数回の仕上げ切削加工が行われて最終
目標型面が形成されるので、最終目標型面より深く加工
されてしまうことを回避することが容易となり、金型素
材を無駄にせずに済む。さらに、複数回の仕上げ加工工
程に伴って加工データが取得され、修正しつつ作業が行
われるので、精度のよい鍛造金型を得る事ができる。な
お、中間金型に熱処理を行った後で、さらに加工する場
合には研削加工を行っても良く、その場合には半径の小
さいボールエンドミルに近い形状の砥石を用いることが
望ましい。
【0024】以上説明した実施形態においては、過去に
集積されたデータに基づいて暫定的に最終目標型面形状
を設定することと、中間金型の実型面形状の測定値に基
づいて中間目標型面形状の修正を行うこととと、試作歯
車の実歯面形状を測定して最終目標型面形状の修正を行
うこととが組み合わせて実行されることにより、精度の
良いまがりばかさ歯車鍛造用金型が得られる。しかし、
それらのうちいずれかが省略されてもよい。具体的に
は、実型面形状の測定を省略して、最初の仕上げ切削加
工が行なわれた中間金型を用いて試作歯車が鍛造され、
それの寸法誤差に基づいて最終目標型面が設定されるよ
うにしてもよいし、試作歯車の鍛造を省略して、実型面
形状が測定され、その寸法誤差に基づいて最終目標型面
形状が設定されるようにしてもよい。
【0025】また、鍛造金型を複数製作する場合には、
最終的に取得された金型の型面形状(より具体的には、
工具の軌跡)に基づいて切削,研削等の機械加工が行わ
れるようにすれば、精度のよい複数の鍛造金型を能率よ
く製作することができる。
【0026】本実施形態においては、最終目標型面より
深く削られた部分が生じた場合には、その金型が放棄さ
れて新しい金型素材が加工されるようになっていたが、
最終目標型面より深く削ってしまった場合であっても、
その鍛造金型に溶接などにより肉盛りをして再び機械加
工を実施して鍛造金型を製作してもよい。
【0027】上記実施形態においては、1つの金型素材
に複数回の加工を施すことにより鍛造金型が製作される
ようにされていたが、二つの金型素材を使用して1つの
鍛造金型を製作してもよい。この態様は、具体的な作業
や型面の設定については、上記実施形態と共通している
ので、作業の流れについて簡略化して説明する。作業中
に利用される型面のうち共通するものは同じ名称を利用
して説明を省略する。
【0028】本実施形態においては、過去のデータなど
に基づいて暫定的最終目標型面が設定され、それに従っ
て金型素材に切削加工が施され、鍛造金型が製作されて
試作歯車が鍛造される。始めから暫定的最終目標型面に
従って仕上げ切削加工が行われ、暫定的な鍛造金型が製
作される。その暫定的鍛造金型を用いて試作歯車が鍛造
され、熱処理が実施される。その試作歯車の実歯面形状
が測定されて理論歯面形状と比較される。両者の寸法誤
差が十分に小さい場合は、暫定的鍛造金型が鍛造金型と
して用いられることとなり、加工が終了する。
【0029】それに対して、寸法誤差の大きさが許容値
を超えている場合には、暫定的鍛造金型は廃棄され、寸
法誤差を修正して最終目標型面が設定され、別の金型素
材を加工して鍛造金型が製作される。新しく製作された
鍛造金型においても歯車を試作して、試作歯車の実歯面
形状と理論歯面形状とが比較され、両者の寸法誤差が十
分に小さくなったことが確認される。一方、試験的鍛造
において製作された歯車の形状が理論歯面形状より小さ
いならば、上記実施形態と同様にして追加加工が実施さ
れる。
【0030】本実施形態においては、1つ目の金型素材
を用いて鍛造金型を試作し、それによって鍛造された試
作歯車の形状に基づいて、2つ目の金型素材が加工され
る。このように、直接暫定的最終目標型面に従って加工
が行われるようにすれば、前記実施形態に比較して能率
よく鍛造金型を製作することができる。
【0031】以上、まがりばかさ歯車を鍛造加工するた
めの鍛造金型の製造方法について説明したが、すぐばか
さ小歯車およびすぐばかさ大歯車や、ハイポイドギヤ等
についても同様に、鍛造金型を製造することができる。
【0032】本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明
したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明
が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の
項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づ
いて種々の変更、改良を施した形態で実施することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である鍛造金型製造方法を
実現するためのフライス盤を概念的に示す図である。
【図2】上記フライス盤を制御する制御装置を示すブロ
ック図である。
【図3】本実施形態における金型素材加工作業を説明す
るためのフローチャートである。
【図4】上記金型素材加工作業のうち最初の当面目標型
面設定プログラムを示すフローチャートである。
【図5】上記当面目標型面設定プログラムにおいて求め
られる理論歯面形状を説明するための斜視図である。
【図6】上記当面目標型面設定プログラムにおいて求め
られる理論型面形状を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
10:フライス盤 18:ボールエンドミル
20:金型素材 30:制御装置 34:CP
U 36:ROM 38:RAM

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 理論的に計算されるかさ状歯車の歯面形
    状に基づいて、かさ状歯車を鍛造するための金型の型面
    形状を決定し、その型面形状を数値制御工作機械によっ
    て機械加工することを特徴とするかさ状歯車鍛造用金型
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記演算による型面形状を、前記歯面形
    状の凹凸を逆転させた型面形状に、金型の機械加工時に
    生じる寸法誤差と金型の熱処理時に生じる寸法誤差と鍛
    造時に生じる寸法誤差と鍛造品の熱処理時に生じる寸法
    誤差との少なくとも一つに基づく修正を施した修正型面
    形状とする請求項1に記載のかさ状歯車鍛造用金型の製
    造方法。
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