JP6128640B2 - 傘歯車の歯切り加工方法および装置 - Google Patents

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本発明は、6軸の軸数機能を有する加工装置により曲がり歯傘歯車を歯切り加工するための傘歯車の歯切り加工技術に関する。
傘歯車は、噛み合い歯が回転中心線と交わる点を頂点とする円錐面をピッチ曲面とする歯車であり、大端部側から小端部側に向けて径が小径となるように傾斜している。傘歯車には、駆動側の傘歯車の回転中心線と従動側の傘歯車の回転中心線とが交差する軸交差型つまり標準型と、両方の回転中心線が交差することなくオフセットつまり食い違っているハイポイド型とがある。標準型の傘歯車およびハイポイド型の傘歯車のいずれにも、歯面が螺旋状の湾曲面となった傘歯車は、曲がり歯傘歯車つまりスパイラル傘歯車と言われる。
傘歯車の歯形には、刃先面と歯底面が平行となった等高歯と、歯先面と歯底面がピッチ曲面に対して傾斜した勾配歯とがある。傘歯車の歯切り加工方法としては、歯面の形状に対応した切刃面を有する工具により歯溝を加工する成形加工と、切刃面と歯車素材との間に歯車の噛み合いに相当する相対運動を与えて歯溝を加工する創成加工とがある。
傘歯車の切削加工は、傘歯車の素材であるワークを割出回転させるワークスピンドルと、歯切り工具を切削回転する工具シャフトとを有する加工装置が使用される。曲がり歯傘歯車は、歯面が大端部と小端部との間で湾曲しているので、曲がり歯傘を製造するには、ワークと工具とを3次元方向に複雑に相対移動させる必要がある。このため、曲がり歯傘歯車の製造には、専用の歯切り盤が使用されている。
曲がり歯傘歯車を加工するための専用の歯切り盤は、ワークスピンドルが設けられるワーク支持台と、工具シャフトが設けられる工具支持台とを、X軸,Y軸およびZ軸の直交3軸方向に相対移動させる直線往復動方向の3軸の直線運動機能と、ワークスピンドルの割出回転と工具シャフトの切削回転の2軸の回転運動機能とを有している。専用の歯切り盤は、さらに、ワークスピンドルをその回転中心線に対して直角方向の旋回中心線を中心に揺動運動させる機能と、工具シャフトをその回転中心線に対して直角方向の旋回中心線を中心に揺動運動させる機能とを有しており、2軸の旋回運動機能を有している。したがって、曲がり歯傘歯車を歯切り加工するには、通常、合計7軸の軸数機能を有する専用の歯切り盤を使用する必要がある。
特許文献1には、3軸の直線運動機能と2軸の回転運動機能に加え、ワークスピンドルの旋回運動機能と、工具シャフトを基準軸に対して転動させる転動運動機能とを有する曲がり歯傘歯車の加工装置が記載されている。
特開2004−181621号公報
通常の平歯車や軸部材を始めとして、種々の素材をワークとしてこれを加工するために使用される汎用の加工装置であるマシニングセンタは、ワーク支持台と工具支持台とを直交3軸方向に相対移動させる3軸の直線軸機能と、ワークスピンドルと工具シャフトとをそれぞれ回転させる2軸の回転軸機能とを有しているが、旋回軸機能は、ワークスピンドルと工具シャフトの一方のみを揺動運動させる1つの旋回軸機能のみしか有していない。このため、汎用のマシニングセンタでは、曲がり歯傘歯車を歯切り加工することはできなかった。
専用の歯切り盤に比して軸数機能が少ないマシニングセンタにより曲がり歯傘歯車を加工することができると、マニシングセンタにより通常の平歯車などのワークの加工に加えて、傘歯車をも加工することができ、マシニングセンタの用途を拡大させてその利用価値を向上させることができる。
本発明の目的は、汎用のマシニングセンタにより曲がり歯傘歯車の歯切りを可能とすることにある。
この傘歯車の歯切り加工方法は、ワークを割り出し回転するワークスピンドルと、工具を回転する工具シャフトと、X軸、Y軸、およびZ軸の直交3軸方向に前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを相対的に直線移動し、前記ワークスピンドルと前記工具シャフトの一方を旋回軸部材とし他方を非旋回軸部材として前記旋回軸部材を旋回移動する駆動機構とを有するマシニングセンタにより、ワークとしての曲がり歯傘歯車を切削加工する傘歯車の歯切り加工方法であって、前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを旋回型とした2軸旋回型の標準位置のもとでワークと工具との傘歯車対の交差点であってワークの中心線に位置する点をワーク制御点とし、工具の中心線と工具平面との交点を工具制御点として、前記ワーク制御点に対する前記工具制御点の加工位置を直交3軸方向に演算する加工位置演算工程と、前記加工位置のもとで前記非旋回軸部材の中心線の直線移動方向に対する傾き角を演算する非旋回軸傾き角演算工程と、前記旋回軸部材の旋回面に対する傾き角を演算する旋回軸傾き角演算工程と、前記非旋回軸部材の傾き角がゼロとなるように、前記非旋回軸部材の中心線を変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正して修正加工位置を演算する加工位置修正演算工程と、前記修正加工位置のもとで旋回中心線に直交する旋回面に対する前記旋回軸部材の中心線の傾き角がゼロとなるように、前記旋回軸部材の中心線を前記旋回面に平行な方向に変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する前記直交3軸方向の座標値と、前記旋回軸部材の中心線の旋回角度の座標値とを演算する座標値演算工程と、前記座標値に基づいて前記駆動機構を駆動する駆動工程と、を有し、前記X軸、前記Y軸、前記Z軸方向の3軸の直線運動機構と、前記旋回部材の旋回中心線回りの1軸の旋回運動機構とにより曲り歯傘歯車を加工する。
この傘歯車の歯切り加工装置は、ワークを割り出し回転するワークスピンドルと、工具を回転する工具シャフトと、X軸、Y軸、およびZ軸の直交3軸方向に前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを相対的に直線移動し、前記ワークスピンドルと前記工具シャフトの一方を旋回軸部材とし他方を非旋回軸部材として前記旋回軸部材を旋回移動する駆動機構とを有するマシニングセンタにより、ワークとしての曲がり歯傘歯車を切削加工する傘歯車の歯切り加工装置であって、前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを旋回型とした2軸旋回型の標準位置のもとでワークと工具との傘歯車対の交差点であってワークの中心線に位置する点をワーク制御点とし、工具の中心線と工具平面との交点を工具制御点として、前記ワーク制御点に対する前記工具制御点の加工位置を直交3軸方向に演算する加工位置演算部と、前記加工位置のもとで前記非旋回軸部材の中心線の直線移動方向に対する傾き角を演算する非旋回軸傾き角演算部と、前記旋回軸部材の旋回面に対する傾き角を演算する旋回軸傾き角演算部と、前記非旋回軸部材の傾き角がゼロとなるように、前記非旋回軸部材の中心線を変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正して修正加工位置を演算する加工位置修正演算部と、前記修正加工位置のもとで旋回中心線に直交する旋回面に対する前記旋回軸部材の中心線の傾き角がゼロとなるように、前記旋回軸部材の中心線を前記旋回面に平行な方向に変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する前記直交3軸方向の座標値と、前記旋回軸部材の中心線の旋回角度の座標値とを演算する座標値演算部と、前記座標値に基づいて前記駆動機構を駆動する駆動手段と、を有し、前記X軸、前記Y軸、前記Z軸方向の3軸の直線運動機構と、前記旋回部材の旋回中心線回りの1軸の旋回運動機構とにより曲り歯傘歯車を加工する。
ワークスピンドルと工具シャフトとを直交3軸方向に相対移動させる3軸の直線軸機能と、ワークスピンドルと工具シャフトとをそれぞれ回転させる2軸の回転軸機能と、ワークスピンドルと工具シャフトの一方のみを揺動運動させる1つの旋回軸機能を有する汎用のマシニングセンタを用いて、曲がり歯傘歯車を歯切り加工することが可能となる。これにより、専用の歯切り盤に比して軸数機能が少ないマシニングセンタにより曲がり歯傘歯車を加工することができるので、低コストで傘歯車の加工が可能となるとともに、マニシングセンタの利用価値を向上させることができる。
(A)はピニオン歯車とリング歯車とが噛み合った等高歯の曲がり歯傘歯車の歯車対を示す断面図であり、(B)は(A)における1B−1B線断面図である。 勾配歯の曲がり歯傘歯車の歯車対を示す断面図である。 (A)は等高歯を歯切り加工する工具の前面を示す正面図であり、(B)は勾配歯を歯切り加工する工具の前面を示す正面図である。 (A)は等高歯を歯切り加工しているときの切刃チップの移動軌跡を示す概略図であり、(B)は勾配歯を歯切り加工しているときの切刃チップの移動軌跡を示す概略図である。 (A)は創成加工により歯溝を加工しているときにおけるワークと工具の位置関係を示す断面図であり、(B)は成形加工により歯溝を加工しているときにおけるワークと工具との位置関係を示す断面図である。 曲がり歯傘歯車を専用の歯切り盤により加工しているときにおけるワークと工具との位置関係を示す概略図であり、(A)はワークの中心線を含む面と工具の中心線を含む面におけるワークと工具との位置関係を示し、(B)はワークの中心線を含む面と工具の中心線に直角な面におけるワークと工具との位置関係を示す。 (A)は創成加工により歯溝の大端部を切削しているときにおけるワークと切刃チップとの相対位置を示す概略図であり、(B)は歯溝の小端部を切削加工している状態に変化したときにおけるワークと切刃チップとの相対位置を示す概略図である。 ワークスピンドル旋回型のマシニングセンタを示す斜視図である。 工具シャフト旋回型のマシニングセンタを示す斜視図である。 マシニングセンタの制御回路を示すブロック図である。 図8に示したマシニングセンタにより曲がり歯傘歯車を歯切り加工するときにおける加工用のパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 加工位置演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 加工位置修正演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 旋回面に対するワークの中心線の傾斜角を演算する旋回軸傾き角演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 座標値演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 座標値の補正値の演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 図9に示したマシニングセンタにより曲がり歯傘歯車を創成加工するときにおけるマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 加工位置演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 加工位置修正演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 座標値演算処理を行うときのマシニングセンタのパラメータを示す説明図であり、(A)はX−Z面を示し、(B)はX−Y面を示し、(C)はY−Z面を示す。 マシニングセンタにより曲がり歯傘歯車を歯切り加工するときにおける歯切り加工のアルゴリズムを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は曲がり歯傘歯車の歯車対の一例を示す断面図であり、ピニオンベベルギヤである傘歯車11aとこれに噛み合うリングベベルギヤである傘歯車11bとにより歯車対となる。傘歯車11aの回転中心線をOpとし、傘歯車11bの回転中心線をOrとすると、傘歯車11aのピッチ曲面Psは、回転中心線Opと交わる点P0を頂点とする円錐面となっている。同様に、傘歯車11bのピッチ曲面Psは、回転中心線Opと交わる点R0を頂点とする円錐面となっている。両方の回転中心線Op,Orは、図1(B)に示されるように、交差しておらず、食い違っており、両方の傘歯車11a,11bはハイポイド型となっている。傘歯車11aの回転中心線Opに対して直角方向の中心線をオフセット軸Ofsとし、これに対して直角方向であって回転中心線Opと平行な基準線をOp1とすると、オフセット量はFとなる。オフセット量Fをゼロとすると、両方の傘歯車11a,11bは回転中心線Op,Orが交差した軸交差型つまり標準型の傘歯車対となる。
それぞれの傘歯車11a,11bは、スパイラルベベルギヤつまり曲がり歯傘歯車であり、歯面12a,12bが湾曲面となっている。図1(B)に示されるように、歯面の傾斜角度はスパイラル角λとなっている。図1に示される傘歯車11a,11bは、歯先面と歯底面とが大端部から小端部にまで平行となった等高歯である。これに対し、歯先面と歯底面がピッチ曲面に対して傾斜した傘歯車は勾配歯となる。
図2は、それぞれ勾配歯を有する傘歯車11a、11bからなる傘歯車対を示す断面図である。図2に示した傘歯車11a,11bも曲がり歯傘歯車であり、ハイポイド型と軸交差型とがある。図1および図2に示した傘歯車対は、傘歯車11aとこれよりも傘歯車11bとにより構成されているが、傘歯車対としては、同一径のピニオンベベルギヤまたは同一径のリングベベルギヤ等のように種々の組み合わせがある。
それぞれの傘歯車対は、ハイポイド型においてはオフセット軸Ofsと回転中心線Opとの交点が歯車対として交差点Ocpとなり、交差点Pcpは噛み合い基準位置となる。オフセットゼロの場合には、交差点Ocpは両方の回転中心線Op,Orの交点となる。
図3(A)は等高歯の傘歯車を歯切り加工する工具21aを示す正面図であり、図3(B)は勾配歯の傘歯車を歯切り加工する工具21bを示す正面図である。それぞれの工具21a,21bは円盤形のカッターヘッド22を有し、その正面側には回転中心から半径Rの位置に環状に多数の切刃チップ23が取り付けられている。カッターヘッド22の背面側には工具シャフトが設けられており、カッターヘッド22は工具シャフトにより矢印で示す方向に回転駆動される。等高歯用の工具21aに取り付けられる切刃チップ23は、半径方向線に対して傾斜しており、傾斜角度は符号μで示されている。これに対し、勾配歯用の工具21bに取り付けられる切刃チップ23は半径方向を向いている。
図4(A)は工具21aにより等高歯の傘歯車を歯切り加工しているときの切刃チップの移動軌跡を示し、図4(B)は工具21bにより勾配歯の傘歯車を歯切り加工しているときの切刃チップの移動軌跡を示す。
それぞれの工具21a,21bに設けられた切刃チップ23は、図4に示されるように、湾曲した歯面の凹面つまり内面を切削する切刃チップ23aと、歯面の凸面つまり外面を切削する切刃チップ23bとを有しており、両方の切刃チップ23a,23bは円周方向に交互に配置されている。ピニオンベベルギヤである傘歯車11aとリングベベルギヤである傘歯車11bは、いずれも両方の切刃チップ23a,23bが円周方向に交互に配置された工具21a,21bにより加工されるので、図4においては、傘歯車の素材であるワークが符号11により示されている。
ワーク11に等高歯の歯面を切削加工するときには、工具21aが用いられ、ワーク11は連続割り出し回転される。連続割り出しによる歯切り加工は、ワーク11を連続的に割り出し回転させながら、切刃チップ23aにより凹面側の歯面を切削加工し、円周方向に隣り合った切刃チップ23bにより隣りの歯面を切削加工する。これに対し、ワーク11に勾配歯の歯面を切削加工するときには、工具21bが用いられ、ワーク11は単独割り出し回転される。単独割り出しによる歯切り加工は、ワーク11を1つの歯溝毎に割り出し回転させ、切刃チップ23aにより凹面を切削加工するとともにこれに対向する凸面を切刃チップ23bにより切削加工する。このように、両方の切刃チップ23a,23bにより凹面側の歯面と凸面側の歯面とからなる歯溝が同時に加工される。1つの歯溝が加工されると、ワーク11は隣の歯溝の位置に割り出し回転される。
図5(A)は創成加工により歯溝を加工しているときにおけるワークと工具との位置関係を示し、図5(B)は成形加工により歯溝を加工しているときにおけるワークと工具との位置関係を示す。創成加工による歯切り加工、および成形加工による歯切り加工は、等高歯と成形歯とのいずれも同様の工具で行うことができるので、図5(A),(B)においては、工具が符号21により示されている。
創成加工を行うには、図5(A)において矢印で示すように、ワーク11と工具21の切刃面との間に歯車の噛み合いに相当する相対運動を加えながら、歯面を加工する。これに対し、成形加工を行うには、工具21を歯面に沿うようにワーク11に対して相対移動させることにより、歯面を加工する。
図6は、曲がり歯傘歯車を専用の歯切り盤により加工しているときにおけるワークと工具との位置関係を示す概略図であり、(A)はワークの中心線を含む面と工具の中心線を含む面におけるワークと工具との位置関係を示し、(B)はワークの中心線を含む面と工具の中心線に直角な面におけるワークと工具との位置関係を示す。
図6においては、工具シャフトにより矢印Cで示す方向に回転駆動される工具21の回転中心軸つまり工具の中心線をO1とし、ワークスピンドルにより矢印Aで示す方向に割り出し回転されるワーク11の回転中心軸つまりワークの中心線をO2とする。ワーク11が図1および図2に示すように、ピニオンベベルギヤである傘歯車11aの素材である場合には、中心線O2は傘歯車11aの回転中心線Opである。一方、ワーク11がリングベベルギヤである傘歯車11bの素材である場合には、中心線O2は傘歯車11bの回転中心線Orである。それぞれのワーク11のピッチ曲面Psは,上述のように、ワークの中心線O2と交わる点P0,R0を頂点とする円錐面となっている。
図1および図2に示される曲がり歯傘歯車を歯切り加工する場合における設定値としては、図6に示されるように、以下のパラメータが設定される。
歯切り加工時における工具制御点をCPとすると、この工具制御点CPは、工具の中心線O1の位置に設定される。工具制御点CPは、ワーク11に等高歯を歯切り加工するときには、工具21の任意の高さの平面と中心線O1との交点に設定され、ワーク11に勾配歯を歯切り加工するときには、歯の先端の平面と中心線O1との交点に設定される。図6(B)に示すように、ワーク11の中心線O2に平行であって中心線O2に対してワークオフセット(Work Offset)Wの距離だけ離れた平行線Uと、クレードル軸(Cradle angle)Ocrとが交差する点MP(Machine Center)が仮想原点となっている。この仮想原点MPはワーク11を割り出し回転させながら、専用の歯切り盤により歯切り加工を行う場合の機械加工の基準点となる。
図6において、仮想原点MPを通るX軸方向線と中心線O2とのなす角度γは機械ルート角(M/c Root angle)であり、歯切り加工ときには、この機械ルート角γは、Y軸を中心に変化する。図1に示した傘歯車11a,11bの交差点Ocpをワーク制御点WPとすると、ワーク11の大径端面とワーク制御点WPとの間の距離Dは、装着距離(Mounting distance)と定義され、ワーク制御点WPと仮想原点MPとの間の距離Mdは、軸方向距離(M/c Center-to-Back)と定義される。また、クレードル軸Ocr上における仮想原点MPと工具制御点CPとの間の距離SLiは、スライディングベース(Sliding Base)であり、スライディングベースSLiは、歯の高さ寸法に対応する。
さらに、図6(B)において、X−Y平面上における仮想原点MPから工具制御点CPまでの距離Sは、ラジアル方向距離S(Radial Distance)と定義される。工具制御点CPとワーク制御点WPとを結ぶ線を符号Rで示すと、平行線Uにおける仮想原点MPと線Rとの間の距離は符号Hで示され、工具制御点CPと線Uとの間の距離は符号Vで示されている。
符号τはチルト角(Tilt angle)を示す。チルト角τは工具制御点CPを中心としてX軸回りに回転し、Z軸と中心線O1とのなす角度である。符号σはスイベル角(Swivel angle)を示す。スイベル角σは工具制御点を中心として、Z軸回りに回転する角度である。符号θは、クレードル角(Cradle angle)を示す。クレードル角θは、クレードル軸Ocrを中心とし、仮想原点MPと工具制御点CPとを結ぶ線とX軸方向の平行線Uとのなす角度である。符号iは回転比(Ratio of Roll)を示す。回転比iはクレードル角θに応じたワークの回転角度を示す。
合計7軸の軸数機能を有する専用の歯切り盤によりワーク11に曲がり歯傘歯車の歯面を加工する際には、工具21を回転駆動する工具シャフトと、ワーク11を割り出し回転させるワークスピンドルとを、それぞれの中心線O1,O2に対して直角方向の旋回中心線を中心に旋回移動させながら、図6に示したラジアル方向距離S等の設定値を満たすように、歯切り盤の駆動機構が駆動される。
歯切り盤によりワーク11に成形歯切りを行う場合には、チルト角τと、スイベル角σと、スライディングベースSLiと、回転比iとが、ゼロに設定され、さらに、クレードル角θは一定の固定値QMに設定される。創成歯切りを行うときには、それぞれの設定値は、ワーク11と工具21との相対位置に応じて設定される。
図7は、図5(A)に示すように、ワーク11に工具21により創成歯切りを行う場合におけるワーク11に対する工具21のクレードル角θを変化を示す概略図である。図7(A)は創成加工によりワーク11の歯溝の大端部を切削しているときにおけるワークと切刃チップとの相対位置を示し、図7(B)は創成加工によりワーク11の歯溝の小端部を切削加工している状態に変化したときにおけるワークと切刃チップとの相対位置を示す。
ワーク11を創成歯切りするときには、工具21は仮想原点MPを通るクレードル軸Ocrを中心に大端部を加工する状態から小端部を加工する状態に向けて、中心線O1を中心に回転駆動しながら、クレードル角θがθ0からθ1に揺動運動することになる。このときには、ワーク11は割り出し回転される。ただし、創成歯切りを行うときには、小端部側から大端部側に加工することもできる。これに対し、ワーク11を成形歯切りするときには、このクレードル角θは一定値である固定値QMに設定されて、工具21は中心線O1を中心に回転駆動されるとともにワーク11は割り出し回転される。
図8はワークスピンドル旋回型のマシニングセンタ30aを示す斜視図であり、図9は工具シャフト旋回型のマシニングセンタ30bを示す斜視図である。傘歯車の歯切り加工装置として使用されるマシニングセンタ30a,30bにおいては、X軸を水平方向とし、Y軸を垂直方向とし、Z軸をX軸に対して直角な水平方向としており、X−Z面が水平面であり、X−Y面が垂直面であり、Y−Z面はX−Y面に直角な垂直面となる。
図8に示すマシニングセンタ30aは、ベッド31にX軸方向に直線往復動自在に装着されるワーク移動台32を有し、このワーク移動台32にはワーク旋回台33が旋回中心線O3を中心に矢印Bで示す方向に旋回移動自在に装着されている。ワーク11を把持して割り出し回転するワークスピンドル34がワーク旋回台33に設けられており、ワーク11はワークスピンドル34の中心線O2を中心に矢印Aで示す方向に割り出し回転される。旋回中心線O3はワークスピンドル34の中心線O2に対して直角となっている。ベッド31に設けられたコラム35には、工具移動台36がY軸方向とZ軸方向とにそれぞれ直線往復動自在に装着されており、工具移動台36には工具21が装着される工具シャフト37が設けられている。工具シャフト37は中心線O1を中心に矢印Cで示す方向に回転駆動される。
このように、図8に示すマシニングセンタ30aは、相互に直角関係となった水平方向のX軸方向およびZ軸方向と、上下方向のY軸方向との直交3軸方向の直線運動機能と、2軸の回転運動機能と、ワークスピンドル34が旋回中心線O3を中心として旋回運動する合計6軸の軸数機能を有している。したがって、このマシニングセンタ30aは、ワークスピンドル34と工具シャフト37のうちの一方の工具シャフト37が非旋回軸部材となり、他方のワークスピンドル34が旋回軸部材となったワーク旋回型である。ワークスピンドル34は、ワーク移動台32によりX軸方向に直線往復移動し、工具シャフト37は、工具移動台36によりY軸方向とZ軸方向とにそれぞれ直線往復動する。
これに対し、図9に示すマシニングセンタ30bは、ベッド41に設けられたワーク支持台42にはワークスピンドル34が設けられており、ワーク11はワークスピンドル34の中心線O2を中心に矢印Aで示す方向に割り出し回転される。ベッド41には、工具支持台43がX軸方向とZ軸方向とにそれぞれ直線往復動自在に装着されており、この工具支持台43にはY軸方向に移動自在に工具移動台44が装着されている。工具移動台44に旋回移動自在に装着された工具旋回台45には、工具シャフト37が装着されており、工具シャフト37は中心線O1を中心に矢印Cで示す方向に回転駆動されるとともに、旋回中心線O3を中心に矢印Bで示す方向に旋回駆動される。
図9に示すマシニングセンタ30bにおいては、ワーク支持台42がベッド41に固定されているので、ワークスピンドル34は工具移動台44がX軸方向とY軸方向とZ軸方向とに直線移動することにより、工具シャフト37に対して相対的に直線移動することになる。ワーク支持台42をX軸方向とY軸方向のいずれか一方または双方に移動させるようにすると、工具移動台44のその方向への移動機能は不要となる。
このように、図9に示すマシニングセンタ30bは、相互に直角関係となった水平方向のX軸方向およびZ軸方向と、上下方向のY軸方向との直交3軸方向の直線運動機能と、2軸の回転運動機能と、工具シャフト37が旋回中心線O3を中心として旋回運動する合計6軸の軸数機能を有している。したがって、このマシニングセンタ30bは、ワークスピンドル34と工具シャフト37のうちの一方のワークスピンドル34が非旋回軸部材となり、他方の工具シャフト37が旋回軸部材となった工具シャフト旋回型である。
図8および図9において、ワークスピンドル34と工具シャフト37を直交3軸方向に移動したり、旋回軸部材を旋回駆動したりするためのワーク移動台32等の部材は、駆動機構を構成している。
図10はそれぞれのマシニングセンタ30a,30bの駆動を制御する制御回路を示すブロック図である。
それぞれのマシニングセンタ30a,30bには、X軸駆動モータ51と、Y軸駆動モータ52と、Z軸駆動モータ53とが設けられており、これらの駆動モータ51〜53により直交3軸方向の直線運動機能が達成される。ワークスピンドル34はワーク回転モータ54により割り出し回転され、工具シャフト37は工具回転モータ55により回転駆動される。旋回軸部材は旋回モータ56により旋回駆動される。このように、モータ51〜56は、駆動機構を構成するワーク移動台32等の部材を駆動するための駆動手段を構成しており、マシニングセンタ30a,30bの合計6軸の軸数機能が駆動手段としてのモータ51〜56により達成される。
したがって、図8に示すマシニングセンタ30aにおいては、ワーク移動台32がX軸駆動モータ51によりX軸方向に駆動され、工具移動台36がY軸方向とZ軸方向とにそれぞれY軸駆動モータ52とZ軸駆動モータ53とにより駆動される。ワーク旋回台33は旋回モータ56により矢印Bで示す方向に旋回駆動される。一方、図9に示すマシニングセンタ30bにおいては、この工具支持台43がX軸駆動モータ51によりX軸方向に駆動され、Z軸駆動モータ53によりZ軸方向に駆動される。工具移動台44はY軸駆動モータ52によりY軸方向に駆動され、工具旋回台45は旋回モータ56により矢印Bで示す方向に旋回駆動される。
それぞれのモータ51〜56は、コントローラ57により回転が制御される。コントローラ57は、制御信号を演算するマイクロプロセッサと、演算式やマップテーブルないしマップデータ等が格納されるメモリとを有している。メモリには、加工すべき曲がり歯傘歯車のサイズや種類に応じた上述のパラメータについての設定値が格納されている。それぞれの設定値を入力したり、加工すべき曲がり歯傘歯車のサイズを入力したりするために、操作盤58がコントローラ57に接続されている。コントローラ57に設けられたマイクロプロセッサは、駆動手段としてのそれぞれのモータ51〜56の駆動を制御するための演算部59を有している。
図11〜図16は、図8に示したワーク旋回型のマシニングセンタ30aを用いてワーク11を創成歯切り加工して曲がり歯傘歯車を製造する手順を示す。
マシニングセンタ30aによりワーク11を工具21により歯切り加工するには、図8に示されるように、非旋回軸部材である工具シャフト37に工具21が装着され、ワーク11は旋回軸部材であるワークスピンドル34に装着される。
図11は、図8に示したマシニングセンタ30aにより曲がり歯傘歯車を歯切り加工するときにおける加工用のパラメータを示す説明図である。図11においては、ワークスピンドル34と工具シャフト37とがいずれも水平方向を向いてX−Z面に沿って配置された場合であって、ワークスピンドル34と工具シャフト37とを何れも旋回型としたときにおける工具の中心線O1とワークの中心線O2との位置関係が示されている。
このような中心線の位置関係を有するワーク11と工具21を、ワーク旋回型のマシニングセンタ30aの直交3面に展開すると、図11(A)に示すX−Z平面、図11(B)に示すX−Y平面、および図11(C)に示すY−Z平面に示されるようになる。なお、図11〜図16においては、図3に示されるように円盤形のカッターヘッド22に環状に取り付けられる多数の切刃チップ23のうち1つの切刃チップ23のみが示されており、切刃チップの歯先が一点鎖線で示されている。
図11に示されるように、傘歯車対における交差点Ocpをワーク制御点WPとすると、このワーク制御点WPはワークの中心線O2に位置する。一方、工具の中心線O1には工具制御点CPが設定される。工具制御点CPは、上述のように、ワーク11に等高歯を歯切り加工するときには、工具21の任意の高さの平面と中心線O1との交点に設定され、ワーク11に勾配歯を歯切り加工するときには、歯の先端の平面と中心線O1との交点に設定される。中心線O2に平行であって、中心線O2に対してワークオフセットWの距離だけ離れた平行線Uとクレードル軸Ocrとの交点により仮想原点MPが設定される。上述したラジアル方向距離S、チルト角τ、スイベル角σ、機械ルート角γ、交差点Ocpと仮想原点MPとの間の距離Md、スライディングベースSLi、およびクレードル角θは、図11に示されるように示される。
図8に示すように、ワーク旋回型のマシニングセンタ30aにおいては、工具シャフト37はZ軸方向のみのベクトルをもっている。そこで、工具の中心線O1をマシニングセンタ30aの中心線O1であるZ軸方向に展開するために、まず、図11における2軸旋回型の標準位置のもとで加工位置演算処理を行って、ワーク制御点WPを基準としてこれに対する工具制御点CPの相対位置をX,Y,Zの直交3軸方向について演算する。これにより、それぞれの相対位置成分Xw、Yw、Zwが求められる。この加工位置演算処理は、図12に示すように、次の(式a)により求められる。
(式a)
Xw=S・cosθ−Md・cosγ
Yw=S・sinθ−W
Zw=−SLi−Md・sinγ
工具制御点CPを基準として、X軸回りにチルト角τ、Z軸回りにスイベル角σの傾きが与えられるので、X−Z面上の工具の中心線O1は、Z軸方向に対して、図12に示すように角度βが生じることになる。
そこで、非旋回軸部材である工具の中心線O1のX−Z面におけるZ軸方向の傾き角βを演算する。この傾き角βは、図12に示すように、次の(式b)により求められる。
(式b)
tanβ=−tanτ・sin(σ−θ)
さらに、工具シャフトの中心線O1のY−Z面におけるZ軸方向の傾き角αを演算する。この傾き角αは、図12に示すように、次の(式c)により求められる。
(式c)
tanα=−tanτ・cos(σ−θ)・cosβ
このように、(式b)(式c)による非旋回軸傾き角演算処理により求められた傾き角βと傾き角αとに基づいて、加工位置修正演算処理が行われる。この加工位置修正演算処理は、非旋回軸部材である工具の中心線O1のZ軸方向つまり工具の直線移動方向に対する傾き角βがゼロとなるように、中心線O1を非旋回軸部材の軸方向であるZ軸方向に対する傾き角βをゼロに変換したときにおける工具制御点CPのワーク制御点WPに対する相対位置を直交3軸方向について修正するための処理である。
加工位置修正演算処理を行うことにより、傾き角βがゼロとなって中心線O1がZ軸と平行となるように、X−Z面上の傾き角βについてワーク制御点WPを中心に、Y軸回りに修正を加えるための修正式は、図13に示すように、次の(式d)により求められる。
(式d)
Xwa=Xw・cosβ−Zw・sinβ
Zwa=Zw・sinβ+Zw・cosβ
図13は(式d)により求められたワーク制御点WPに対する工具制御点CPの修正加工位置のX軸方向成分Xwaと、Z軸方向成分Zwaとを示す。
次いで、傾き角αがゼロとなって中心線O1がZ軸と平行となるように、Y−Z面上の傾き角αについてもワーク制御点WPを中心に、X軸回りに修正を加える。この修正は、図14に示されるように、(式d)の演算結果に基づいて、次の(式e)により求められる。
(式e)
Ywa=Yw・cosα−sinα・Zwa
図14は、(式e)により求められたワーク制御点WPに対する工具制御点CPの位置と、修正加工位置であるY軸方向成分Ywaを示す。
上述した加工位置演算処理と、非旋回軸傾き角演算処理と、加工位置修正演算処理とを経て、非旋回軸部材である工具スピンドルの中心線O1がマシニングセンタ30aのZ軸方向となるように、ワーク制御点WPに対する工具制御点CPの位置を変換すると、図14に示すように、X−Y面上において、旋回軸部材であるワークの中心線O2はX−Z面つまりマシニングセンタ30aの旋回中心線O3に直交する旋回面に対して傾きηが生じる。
このワークの中心線O2のX−Y面におけるX軸に対する傾き角ηは、旋回中心線O3に直交する直交面、つまり旋回面に対して傾斜した角度であり、図14に示すように、次の(式f)に基づいて、旋回軸傾き角演算処理により求められる。
(式f)
tanη=−tan(γ+β)・sinα
(式f)により演算された中心線O2に対するX−Y面上における傾き角ηに基づいて、ワーク制御点WPを中心に中心線O2が旋回面であるX−Z面に平行な方向となるように、つまり中心線O2が旋回中心線O3に直交する面に沿う方向となるように、Z軸回りに修正が加えられる。図15は(式f)に基づいて、旋回軸部材の傾き角ηがゼロとなるように、加工位置修正演算処理が行われた状態を示しており、このときには、図15(B)に示したX−Y面では中心線O2がX軸方向となる。
このように、非旋回軸部材である工具シャフト37の中心線O1をZ軸方向に変換し、旋回軸部材であるワークスピンドル34の中心線O2をX−Z面に沿う方向に変換した状態のもとで、ワーク制御点WPを基準点として、工具制御点CPの機械座標軸の座標値を座標値演算処理により求める。機械座標軸の座標値は、図15に示すように、次の(式g)の座標値演算式により求められる。
(式g)
X軸値=Xwa・cosη+Ywa・sinη
Y軸値=−Xwa・sinη+Ywa・cosη
Z軸値=Yw・cosα+cosα・Zwa
B軸値=90−η・cosα・cosη
B軸値は、図15に示されるように、X−Z面における中心線O2のX軸に対する旋回角度である。
図8に示したように、X,Y,Z軸方向の3軸の直線運動機能と、旋回中心線O3回りの1軸の旋回運動機能とを有するマシニングセンタ30aにより、曲がり歯傘歯車を創成加工するには、図15に示すように、工具の回転中心軸である中心線O1と、ワークの割り出し回転中心軸である中心線O2とがX−Z面内に含まれた状態に設定することができる。したがって、工具を回転駆動しワークを割り出し回転させながら、3軸方向に工具とワークを相対的に直線運動させ、ワーク旋回台33を旋回中心線O3の回りに旋回運動させることにより、汎用のマシニングセンタ30aにより、曲がり歯傘歯車を歯切り加工することができる。
ワーク11に対して歯切り加工するには、大端部側から小端部側、または小端部側から大端部側に切刃チップにより歯切りが行われる。ワーク11に歯溝を創成加工するときには、クレードル角θが一定間隔で進む毎に、上述した加工位置演算処理から座標値演算処理が繰り返される。一方、ワーク11に歯溝を成形加工するときには、クレードル角θは固定値QMに設定され、求めたX軸値、Y軸値、Z軸値およびB軸値は固定値となる。したがって、成形歯切りは、予め、切刃チップがワーク11と接触しない位置にZ軸を位置決めし、Z軸を一定値変化せて規定の位置まで送ることにより、徐々に歯溝が切削加工される。
(式g)で示した機械座標軸の座標値は、ワーク制御点WPと工具制御点CPとの間の値である。上述したX軸値とZ軸値を、旋回中心線O3の中心点から求めるには、図16に示されるように、以下の(式h)により求められるX軸補正値と、Z軸補正値とが適用され、これを指令値として図10に示した種々のモータが駆動される。
(式h)
X軸補正値=X軸値・D・sinB軸値
Z軸補正値=D・cosB軸値−Z軸値
図17〜図20は、図9に示した工具旋回型のマシニングセンタ30bを用いてワーク11を創成歯切り加工して曲がり歯傘歯車を製造する手順を示す。
マシニングセンタ30bによりワーク11を工具21により歯切り加工するには、図9に示されるように、旋回軸部材である工具シャフト37に工具21が装着され、ワーク11は非旋回軸部材であるワークスピンドル34に装着される。
図17は、図9に示したマシニングセンタ30bにより曲がり歯傘歯車を歯切り加工するときにおける加工用のパラメータを示す説明図である。図17においては、ワークスピンドル34が垂直方向を向き、工具シャフト37が水平方向を向いてY−Z面に沿って配置された場合であって、ワークスピンドル34と工具シャフト37とを何れも旋回型としたときにおける工具の中心線O1とワークの中心線O2との位置関係が示されている。
このような中心線の位置関係を有するワーク11と工具21を、工具旋回型のマシニングセンタ30bの直交3面に展開すると、図17(A)に示すX−Z平面、図17(B)に示すX−Y平面、および図17(C)に示すY−Z平面に示されるようになる。なお、図17〜図20においても、多数の切刃チップ23のうち1つの切刃チップ23のみが示されており、切刃チップの歯先が一点鎖線で示されている。
図17に示されるように、傘歯車対における交差点Ocpをワーク制御点WPとすると、このワーク制御点WPはワークの中心線O2に位置する。一方、工具の中心線O1には工具制御点CPが設定される。中心線O2に平行であって、中心線O2に対してワークオフセットWの距離だけ離れた平行線Uとクレードル軸Ocrとの交点により仮想原点MPが設定される。上述したラジアル方向距離S、チルト角τ、スイベル角σ、機械ルート角γ、交差点Ocpと仮想原点MPとの間の距離Md、スライディングベースSLi、およびクレードル角θは、図17に示されるように示される。
図9に示すように、工具旋回型のマシニングセンタ30bにおいては、ワークスピンドル34はY軸方向のみのベクトルをもっている。そこで、ワークの中心線O2をマシニングセンタ30bの中心線O2であるY軸方向に展開するために、まず、図17における2軸旋回型の標準位置のもとで加工位置演算処理を行って、ワーク制御点WPを基準としてこれに対する工具制御点CPの相対位置をX,Y,Zの直交3軸方向について演算する。これにより、それぞれの相対位置成分Xw、Yw、Zwが求められる。この加工位置演算処理は、図18に示すように、次の(式a)により求められる。このときには、ワークの中心線O2は、Y−Z面上のY軸に対して角度γ傾斜しており、非旋回軸部材である中心線O2の傾き角γが演算される。(式a)
Xw=S・sinθ+W
Yw=−S・cosθ+Md・cosγ
Zw=SLi+Md・sinγ
工具制御点CPを基準として、X軸回りにチルト角τ、Z軸回りにスイベル角σの傾きが与えられるので、工具の中心線O1は、Y−Z面上のZ軸に対して角度βが生じ、X−Z面のZ軸に対して角度αが生じることになる。
そこで、非旋回軸部材である中心線O2がY−Z面上のY軸に対して角度γ傾斜した状態のもとで、予め、旋回軸部材である工具の中心線O1の−Z面におけるZ軸方向の傾き角βを演算する。図18に示すように、この傾き角βは次の(式b)により求められ、傾き角αは次の(式c)により求められる。
(式b)
tanβ=tanτ・sin(σ−θ)
(式c)
tanα=tanτ・cos(σ−θ)
中心線O2の傾き角γに基づいて、加工位置修正演算処理が行われる。この加工位置修正演算処理は、非旋回軸部材であるワークスピンドル34の中心線O2のY軸に対する傾き角γがゼロとなるように、中心線O2を非旋回軸部材の軸方向であり、工具に対して相対的な直線移動方向であるY軸方向に対して平行に変換したときにおける工具制御点CPのワーク制御点WPに対する相対位置を直交3軸方向について修正するための処理である。ワークスピンドル34はY軸方向には直線移動しないが、工具37がY軸方向に直線移動することにより、中心軸O2は相対的な直線移動方向となっている。
傾き角γがゼロとなって中心線O2がY軸と平行となるように、Y−Z面上の傾き角γについてワーク制御点WPを中心にX軸回りに修正を加えるための修正式は、図19に示すように、次の(式d)により求められる。
(式d)
Xwa=Xw
Ywa=Yw・cosγ−Zw・sinγ
Zwa=Yw・sinγ+Zw・cosγ
図19は(式d)により求められたワーク制御点WPに対する工具制御点CPの位置と、修正後のX軸方向成分Xwaと、Y軸方向成分Ywaと、Z軸方向成分Zwaとを示す。
上述した加工位置演算処理と、非旋回軸傾き角演算処理と、加工位置修正演算処理とを経て、非旋回軸であるワークスピンドルの中心線O2がY軸方向となるように、ワーク制御点WPに対する工具制御点CPの位置を変換すると、図19に示すように、旋回軸である工具の中心線O1は、X−Z面上においてZ軸に対して傾きαaが生じ、Y−Z面においてZ軸に対して傾きβaを生じる。
これらの傾き角αaと傾き角βaは、上述した(式b)を補正することにより、図19に示すように、次の(式e)(式f)に基づいて、旋回軸傾き角演算処理により求められる。
(式e)
tanαa=cosβ・tanα/cosβa
(式f)
βa=β−γ
(式f)により演算された中心線O1のX−Z面上における傾き角αaに基づいて、ワーク制御点WPを中心に中心線O1がY−Z面に沿う方向となるように、つまり中心線O1が旋回中心線O3に直交する旋回面に平行な方向となるように、Y軸回りに修正が加えられる。図20は(式f)に基づいて、旋回軸の傾き角αaがゼロとなるように、旋回軸の加工位置修正演算処理が行われた状態を示しており、このときには、図20(A)に示したX−Z面では中心線O1がZ軸方向となる。
このように、非旋回軸部材であるワークの中心線O2をX軸方向に変換し、旋回軸部材である工具の中心線O2をY−Z面内に沿う方向に変換した状態のもとで、ワーク制御点WPを基準点として、工具制御点CPの機械座標軸の座標値を座標値換算処理により求める。機械座標軸の座標値は、図20に示すように、次の(式g)の座標値演算式により求められる。
(式g)
X軸値=Xwa・cosα+Zwa・sinα
Y軸値=Ywa
Z軸値=−Xwa・sinα+Zwa・cosα
B軸値=tan−1(tanβa・cosαa)
A軸値=L+αa ただし、L=i・θ
B軸値は、図20に示されるように、Y−Z面における中心線O1のZ軸に対する旋回角度である。また、A軸は、図20に示されるように、X軸とY軸に直交し、Y軸に平行であって、Y軸回りに回転する軸であり、中心線O2を中心として回転する軸であり、A軸値はこの旋回角度を示す。
図9に示したように、X,Y,Z軸方向の3軸の直線運動機能と、旋回中心線O3回りの1軸の旋回運動機能とを有するマシニングセンタ30bにより、曲がり歯傘歯車を創成加工するには、図20に示すように、工具21の回転中心軸である中心線O1と、ワーク11の割り出し回転中心軸である中心線O2とがY−Z面内に含まれた状態に設定することができる。したがって、工具を回転駆動しワークを割り出し回転させながら、3軸方向に工具とワークを相対的に直線運動させ、工具旋回台45を旋回中心線O3の回りに旋回運動させることにより、汎用のマシニングセンタ30bにより、曲がり歯傘歯車を歯切り加工することができる。
ワーク11に対して歯切り加工するには、大端部側から小端部側または小端部から大端部に切刃チップにより歯切りが行われる。ワーク11に歯溝を創成加工するときには、マシニングセンタ30aの場合と同様に、クレードル角θが一定間隔で進む毎に、上述した加工位置演算処理から座標値演算処理が繰り返される。一方、ワーク11に歯溝を成形加工するときには、クレードル角θは固定値QMに設定され、求めたX軸値、Y軸値、Z軸値およびB軸値は固定値となる。したがって、成形歯切りは、予め、切刃チップがワーク11と接触しない位置にZ軸を位置決めし、Z軸を一定値変化させて規定の位置まで送ることにより、徐々に歯溝が切削加工される。
(式g)で示した機械座標軸の座標値は、ワーク制御点WPと工具制御点CPとの間の値である。上述したX軸値とZ軸値を、旋回中心線O3の中心点から求めるには、図16に示した場合と同様に、X軸補正値と、Y軸補正値と、Z軸補正値とが適用され、これを指令値として図10に示した種々のモータが駆動される。
マシニングセンタ30a,30bは、曲がり歯傘歯車を創成加工でも成形加工でも歯切りを行うことができる。成形加工を行うときには、上述したチルト角τ、スイベル角σ、スライディングベースSLi、ワークオフセットWおよび回転比iは、それぞれゼロに設定され、クレードル角θは固定値であるQMに設定されて、上述した演算処理が行われる。成形加工のときには、図6に示したパラメータとしては、V,H,Mdおよびγの要素で表すことができる。また、スライディングベースSLiについては、パラメータMdとHで置き換えることができる。さらに、ワークオフセットWに関係するパラメータはVになる。なお、成形加工は、工具形状をワーク11に転写するような加工であり、工具形状を修正することも可能である。
上述したそれぞれの演算処理は、図10に示したコントローラ57の演算部59により演算される。つまり、演算部59は、加工位置演算部、加工位置修正演算部、座標値演算部等の上述した各式を演算する機能を有している。
図21はマシニングセンタ30a,30bにより曲がり歯傘歯車を歯切り加工するときにおける歯切り加工のアルゴリズムを示すフローチャートである。
加工すべき傘歯車の種類やサイズ等に応じたパラメータのデータは、コントローラ57のメモリに予め格納されている。ワーク11に対する歯切り加工を行うときには、ステップS1で歯車データの読み込みが実行され、ステップS2において傘歯車の種類や歯切り加工方法に応じた初期設定が実行される。
ステップS3においては、予め入力された歯切り加工方法が創成加工であるか、成形加工であるかが判定される。成形加工であると判定されたときには、ステップS4で成形加工が設定され、創成加工であると判定されたときには、ステップS5で創成加工が設定される。設定された加工方法に基づいてステップS6において、加工が開始され座標の演算が行われる。
ステップS7では、等高歯の傘歯車を歯切り加工するためにワークを連続割り出し回転するか、勾配歯の傘歯車を歯切り加工するためにワークを単独割り出しするか否かが判定される。等高歯を歯切り加工するときには、ステップS8において、ワークスピンドル34は、図4(A)に示すように、連続割り出しが設定される。これに対し、勾配歯を歯切り加工するときには、ステップS9において、ワークスピンドル34は、図4(B)に示すように、単独割り出しが設定される。
歯切り加工を行うときには、駆動手段を構成するモータが駆動されて、工具21はワーク11に向けて加工開始位置に駆動され、ワーク11に接近移動される(ステップS10,S11)。ステップS12により成形加工による歯切り加工を行うと判定されたときには、ステップS13〜ステップS15が実行される。これらのステップにおいては、加工位置演算工程、非旋回軸傾き角演算工程、加工位置修正演算工程、旋回軸傾き角演算工程、座標値演算工程、座標値補正演算工程、および駆動工程等が、Z軸値を一定値変化させる毎に、全ループが終了するまで繰り返して実行される。
ステップS16において、創成加工を行わないと判定されたときには、加工終了サイクルが実行される。ステップS12において創成加工を行うと判定されたとき、およびステップS16において創成加工を行うと判定されたときには、ステップS18〜S20が実行される。これらのステップにおいては、クレードル角θが一定角度進む毎に、全ループが終了するままで繰り返して実行される。歯切り加工が終了すると、ステップS21において工具21はワーク11から退避する。
このようにして、専用の歯切り盤を用いることなく、1軸の旋回運動機能のみを有する汎用のマシニングセンタ30a,30bを用いて、傘歯車の加工が可能となる。マシニングセンタが具備している自動工具交換装置(ATC)を用いて、工具の自動交換、自動計測を行うことができ、長時間の無人運転も可能となる。さらに、マシニングセンタにフライス盤、旋盤を組み合わせることにより、ブランク加工から歯切り加工までを連続的に行うことができる。歯切り加工を行わないときには、マシニングセンタにより他の機械加工を行うことができ、マシニングセンタの稼働効率を高めることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。マシニングセンタとしては、ワークスピンドル34と工具シャフト37とが相対的に直交3軸方向に相対的に移動自在であり、ワークスピンドル34が割り出し回転機能を有し、工具シャフト37が工具回転機能を有し、ワークスピンドル34と工具シャフト37の一方を旋回軸部材としてこれを旋回移動させる機能を備えていれば、図8および図9に示されるタイプに限られることはない。
11 ワーク
11a,11b 傘歯車
21 工具
22 カッターヘッド
23 切刃チップ
30a,30b マシニングセンタ
31 ベッド
32 ワーク移動台
33 ワーク旋回台
34 ワークスピンドル
35 コラム
36 工具移動台
37 工具シャフト
41 ベッド
42 ワーク支持台
43 工具支持台
44 工具移動台
45 工具旋回台
51〜56 モータ
57 コントローラ
58 操作盤
59 演算部
CP 工具制御点
WP ワーク制御点
O1 工具シャフトの中心線
O2 ワークスピンドルの中心線
O3 旋回中心線

Claims (8)

  1. ワークを割り出し回転するワークスピンドルと、工具を回転する工具シャフトと、X軸、Y軸、およびZ軸の直交3軸方向に前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを相対的に直線移動し、前記ワークスピンドルと前記工具シャフトの一方を旋回軸部材とし他方を非旋回軸部材として前記旋回軸部材を旋回移動する駆動機構とを有するマシニングセンタにより、ワークとしての曲がり歯傘歯車を切削加工する傘歯車の歯切り加工方法であって、
    前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを旋回型とした2軸旋回型の標準位置のもとでワークと工具との傘歯車対の交差点であってワークの中心線に位置する点をワーク制御点とし、工具の中心線と工具平面との交点を工具制御点として、前記ワーク制御点に対する前記工具制御点の加工位置を直交3軸方向に演算する加工位置演算工程と、
    前記加工位置のもとで前記非旋回軸部材の中心線の直線移動方向に対する傾き角を演算する非旋回軸傾き角演算工程と、
    前記旋回軸部材の旋回面に対する傾き角を演算する旋回軸傾き角演算工程と、
    前記非旋回軸部材の傾き角がゼロとなるように、前記非旋回軸部材の中心線を変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正して修正加工位置を演算する加工位置修正演算工程と、
    前記修正加工位置のもとで旋回中心線に直交する旋回面に対する前記旋回軸部材の中心線の傾き角がゼロとなるように、前記旋回軸部材の中心線を前記旋回面に平行な方向に変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する前記直交3軸方向の座標値と、前記旋回軸部材の中心線の旋回角度の座標値とを演算する座標値演算工程と、
    前記座標値に基づいて前記駆動機構を駆動する駆動工程と、を有し、
    前記X軸、前記Y軸、前記Z軸方向の3軸の直線運動機構と、前記旋回部材の旋回中心線回りの1軸の旋回運動機構とにより曲り歯傘歯車を加工する傘歯車の歯切り加工方法。
  2. 請求項1記載の傘歯車の歯切り加工方法において、Z軸方向の値を一定値変化させる毎に、前記加工位置演算工程と、前記傾き角演算工程と、前記加工位置修正演算工程と、前記座標値演算工程とを繰り返して前記駆動機構を駆動するようにした、傘歯車の歯切り加工方法。
  3. 請求項1または2記載の傘歯車の歯切り加工方法において、X軸方向に移動自在のワーク移動台に旋回移動自在に設けられたワーク旋回台に前記ワークスピンドルを装着して前記ワークスピンドルを旋回軸部材とし、前記工具シャフトをY軸方向とZ軸方向に移動自在の工具移動台に装着して前記工具シャフトを非旋回軸部材とし、
    前記非旋回軸傾き角演算工程においては、前記工具シャフトの中心線のX−Z面におけるZ軸方向に対する傾き角(β)と、前記工具シャフトの中心線のY−Z面におけるZ軸方向に対する傾き角(α)とを演算し、
    前記旋回軸傾き角演算工程においては、前記ワークスピンドルのX−Y面におけるX軸方向に対する傾き角(η)を演算し、
    前記加工位置修正演算工程においては、前記工具シャフトの中心線のZ軸方向のそれぞれの前記傾き角がゼロとなるように、前記工具シャフトの中心線をZ軸方向に変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正し、
    前記座標値演算工程においては、前記修正加工位置を演算した状態のもとで、前記ワークスピンドルの中心線を、旋回中心線に直交する旋回面としてのX−面に平行な方向に変換して前記旋回角度の座標値を演算するようにした、傘歯車の歯切り加工方法。
  4. 請求項1または2記載の傘歯車の歯切り加工方法において、Y軸およびZ軸方向に移動自在の工具移動台に旋回移動自在に設けられた工具旋回台に前記工具シャフトを装着して前記工具シャフトを旋回軸部材とし、前記ワークスピンドルをワーク支持台にY軸方向に装着して前記ワークスピンドルを非旋回軸部材とし、
    前記非旋回軸傾き角演算工程においては、前記ワークスピンドルの中心線のY−Z面におけるY軸に対する傾き角(γ)を演算し、
    前記旋回軸傾き角演算工程においては、前記工具シャフトの中心線のX−Z面におけるZ軸方向の傾き角(αa)を演算し、
    前記加工位置修正演算工程においては、前記ワークスピンドルの中心線の相対的な直線移動方向に対する傾き角(γ)がゼロとなるように、前記ワークスピンドルの中心線を変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正し、
    前記座標値演算工程においては、前記修正加工位置を演算した状態のもとで、前記工具シャフトの中心線を、旋回中心線に直交する旋回面としての−Z面に平行な方向に変換して前記旋回角度の座標値を演算するようにした、傘歯車の歯切り加工方法。
  5. ワークを割り出し回転するワークスピンドルと、工具を回転する工具シャフトと、X軸、Y軸、およびZ軸の直交3軸方向に前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを相対的に直線移動し、前記ワークスピンドルと前記工具シャフトの一方を旋回軸部材とし他方を非旋回軸部材として前記旋回軸部材を旋回移動する駆動機構とを有するマシニングセンタにより、ワークとしての曲がり歯傘歯車を切削加工する傘歯車の歯切り加工装置であって、
    前記ワークスピンドルと前記工具シャフトとを旋回型とした2軸旋回型の標準位置のもとでワークと工具との傘歯車対の交差点であってワークの中心線に位置する点をワーク制御点とし、工具の中心線と工具平面との交点を工具制御点として、前記ワーク制御点に対する前記工具制御点の加工位置を直交3軸方向に演算する加工位置演算部と、
    前記加工位置のもとで前記非旋回軸部材の中心線の直線移動方向に対する傾き角を演算する非旋回軸傾き角演算部と、
    前記旋回軸部材の旋回面に対する傾き角を演算する旋回軸傾き角演算部と、
    前記非旋回軸部材の傾き角がゼロとなるように、前記非旋回軸部材の中心線を変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正して修正加工位置を演算する加工位置修正演算部と、
    前記修正加工位置のもとで旋回中心線に直交する旋回面に対する前記旋回軸部材の中心線の傾き角がゼロとなるように、前記旋回軸部材の中心線を前記旋回面に平行な方向に変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する前記直交3軸方向の座標値と、前記旋回軸部材の中心線の旋回角度の座標値とを演算する座標値演算部と、
    前記座標値に基づいて前記駆動機構を駆動する駆動手段と、を有し、
    前記X軸、前記Y軸、前記Z軸方向の3軸の直線運動機構と、前記旋回部材の旋回中心線回りの1軸の旋回運動機構とにより曲り歯傘歯車を加工する傘歯車の歯切り加工装置。
  6. 請求項5記載の傘歯車の歯切り加工装置において、Z軸方向の値を一定値変化させる毎に、前記加工位置演算と、前記傾き角演算と、前記加工位置修正演算と、前記座標値演算とを繰り返して前記駆動機構を駆動するようにした、傘歯車の歯切り加工装置。
  7. 請求項5または6記載の傘歯車の歯切り加工装置において、X軸方向に移動自在のワーク移動台に旋回移動自在に設けられたワーク旋回台に前記ワークスピンドルを装着して前記ワークスピンドルを旋回軸部材とし、前記工具シャフトをY軸方向とZ軸方向に移動自在の工具移動台に装着して前記工具シャフトを非旋回軸部材とし、
    前記非旋回軸傾き角演算部においては、前記工具シャフトの中心線のX−Z面におけるZ軸方向に対する傾き角(β)と、前記工具シャフトの中心線のY−Z面におけるZ軸方向に対する傾き角(α)とを演算し、
    前記旋回軸傾き角演算部においては、前記ワークスピンドルのX−Y面におけるX軸方向に対する傾き角(η)を演算し、
    前記加工位置修正演算部においては、前記工具シャフトの中心線のZ軸方向のそれぞれの前記傾き角がゼロ(β、α)となるように、前記工具シャフトの中心線をZ軸方向に変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正し、
    前記座標値演算部においては、前記修正加工位置を演算した状態のもとで、前記ワークスピンドルの中心線を、旋回中心線に直交する旋回面としてのX−Z面に平行な方向に変換して前記旋回角度の座標値を演算するようにした、傘歯車の歯切り加工装置。
  8. 請求項5または6記載の傘歯車の歯切り加工装置において、Y軸およびZ軸方向に移動自在の工具移動台に旋回移動自在に設けられた工具旋回台に前記工具シャフトを装着して前記工具シャフトを旋回軸部材とし、前記ワークスピンドルをワーク支持台にY軸方向に装着して前記ワークスピンドルを非旋回軸部材とし、
    前記非旋回軸傾き角演算工程においては、前記ワークスピンドルの中心線のY−Z面におけるY軸に対する傾き角(γ)を演算し、
    前記旋回軸傾き角演算工程においては、前記工具シャフトの中心線のX−Z面におけるZ軸方向の傾き角(αa)を演算し、
    前記加工位置修正演算部においては、前記ワークスピンドルの中心線の相対的な直線移動方向に対する傾き角がゼロとなるように、前記ワークスピンドルの中心線を変換したときにおける前記工具制御点の前記ワーク制御点に対する相対位置を前記直交3軸方向について修正し、
    前記座標値演算部においては、前記修正加工位置を演算した状態のもとで、前記工具シャフトの中心線を、旋回中心線に直交する旋回面としての−Z面に平行な方向に変換して前記旋回角度の座標値を演算するようにした、傘歯車の歯切り加工装置。
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