JP2019189541A - (メタ)アクリル酸エステル化合物、それを含む重合性組成物、及び(メタ)アクリル系重合体 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステル化合物、それを含む重合性組成物、及び(メタ)アクリル系重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率を有する重合体を与え得る(メタ)アクリル酸エステル化合物、それを含む重合性組成物、及び(メタ)アクリル系重合体を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物である。【化14】(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)【選択図】なし

Description

本発明はテトラチアスピロ環を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、それを含む重合性組成物、及び(メタ)アクリル系重合体に関する。
プラスチック材料は軽量かつ靱性に富み、しかも染色や加工性にも優れることから、各種光学材料、例えば眼鏡レンズ、カメラレンズ、光学接着剤、プリズム、コーティング剤に広く用いられている。光学材料、中でもレンズに特に要求される性能は、物理的性質としては、低比重、高透明性及び低黄色度、高耐熱性、高強度等であり、光学性能としては高屈折率と高アッベ数である。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とし、高アッベ数はレンズの色収差を低減する。しかし、一般に屈折率が上昇するほどアッベ数は低くなるため、両者を同時に向上させる検討が実施されている。
これらの検討の中で最も代表的な方法は、硫黄を含有する樹脂、例えばスルフィド系樹脂を使用する方法である。スルフィド系樹脂は、エピスルフィド化合物を含む重合性組成物を重合させて得られ、高屈折率及び高アッベ数を両立しうる材料として近年盛んに検討されている。
好ましい高屈折率を達成し得る硫黄を含有する他の樹脂の単量体として、スピロ骨格を有する化合物が報告されている(特許文献1〜3等)。スピロ環化合物は高い屈折率及び優れた透明性を有することから、レンズの他、光学接着剤、プリズム、コーティング剤などの光学プラスチック材料の製造に有用であると注目されている。例えば、特許文献1は光学材料の単量体として用いることのできる、スピロ骨格及び(メタ)アクリロイル基を有する硫黄含有化合物を開示する。特許文献2は光学プラスチックの製造に適した屈折率を有するスピロテトラチオカルバミン酸塩及びスピロオキソチオカルバミン酸塩の単量体化合物を開示する。特許文献3は両末端にアリル基を有するテトラチアスピロ環化合物を開示する。
また、光学部品やデバイスの高機能化、小型化及び軽量化等のニーズに対応するために、光学特性(屈折率、アッベ数、耐熱性、高ガラス転移温度など)に加えて、成形性も求められている。例えば、ポリメタクリル酸メチルを代表とする(メタ)アクリル酸エステル系重合体などの熱可塑性樹脂は、ガラスと比較して成形性、加工性が良好で、軽量、安価という特徴などから、液晶ディスプレイや光ディスク、ピックアップレンズなどへの展開が検討され、一部実用化されている。しかし、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の屈折率は低く、高い屈折率を必要とする用途への展開は制限されていた。
特開2011−148719号公報 特開2006−511569号公報 国際公開第2017/183549号
高屈折率を有する重合体、特に、熱可塑性樹脂を与え得る(メタ)アクリル酸エステル系単量体化合物が求められている。
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明により上記課題を解決することができることを見出した。すなわち本発明は、例えば次の通りである。
[1] 下記式(1):
で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物。
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
[2] Rがメチル基であり、Rが水素原子である、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステル化合物。
[3] [1]又は[2]に記載の(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する、重合性組成物。
[4] 更に前記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物に該当しない(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンの少なくとも1種を含有する、[3]に記載の重合性組成物。
[5] メタクリル酸メチルを含有する、[4]に記載の重合性組成物。
[6] [3]〜[5]のいずれか一項に記載の重合性化合物を重合させて得られる(メタ)アクリル系重合体。
[7] [6]に記載の(メタ)アクリル系重合体を含有する樹脂。
[8] 熱可塑性樹脂である、[7]に記載の樹脂。
本発明によれば、高屈折率を有する重合体、特に、熱可塑性樹脂を与え得る(メタ)アクリル酸エステル系単量体化合物が提供される。
図1Aおよび図1Bはそれぞれ、合成例1で製造した化合物1のH NMRチャート及び13C NMRチャートを示す図である。 図2Aおよび図2Bはそれぞれ、実施例1で製造した化合物2のH NMRチャート及び13C NMRチャートを示す図である。 図3Aおよび図3Bはそれぞれ、実施例2で製造した重合体3のH NMRチャート及び13C NMRチャートを示す図である。 図4Aおよび図4Bはそれぞれ、実施例3で製造した重合体4aのH NMRチャート及び13C NMRチャートを示す図である。 図5Aおよび図5Bはそれぞれ、実施例4で製造した重合体4bのH NMRチャート及び13C NMRチャートを示す図である。 図6Aおよび図6Bはそれぞれ、実施例5で製造した重合体4cのH NMRチャート及び13C NMRチャートを示す図である。 図7Aおよび図7Bはそれぞれ、比較例1で製造した重合体5のH NMRチャート及び13C NMRチャートを示す図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
「アルキル」は、完全に飽和な直鎖、分岐、または環状の炭化水素鎖を指す。例えば、「炭素数1〜6のアルキル」は、最大6個の炭素原子を有するアルキルであり、例えば、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどが含まれる。
「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」から選択される少なくとも1種を意味する。
「(メタ)アクリロイルオキシ」は、「アクリロイルオキシ」及び「メタクリロイルオキシ」から選択される少なくとも1種を意味する。
本発明の一形態は、下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物(以下「(メタ)アクリル酸エステル(1)」とも称する)に関する。
(メタ)アクリル酸エステル(1)は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分にテトラチアスピロ環(テトラチアスピロ[4.4]ノナン)を有する。このような構造を有する(メタ)アクリル酸エステル(1)は高い屈折率および良好な成形性を備える重合体、特に、熱可塑性樹脂を与えることができる。
従来、例えば特開2011−148719号公報(特許文献1)には両端に(メタ)アクリロイル基を有するスピロ環含有化合物が開示されている。しかし特許文献1の化合物は二官能化合物である。特許文献1には(メタ)アクリロイル基を一方の末端にのみ有する単官能単量体化合物についての言及はない。また、特許文献1のスピロ環含有化合物は、両端にチオールを有する化合物とテトラメチルチオメタンを反応させてスピロ骨格を有する中間体を得た後、末端に(メタ)アクリロイル基を導入するという工程により製造されており、このような方法では本発明のような非対称の単官能単量体を製造することは困難である。
本発明は、(メタ)アクリロイル基を一方の末端にのみ有する単官能化合物であり、熱可塑性樹脂の原料として使用することができ、広範な用途に使用可能である。従来の二官能化合物から得られる重合体は熱可塑性樹脂ではない。
また、実施形態の(メタ)アクリル酸エステル(1)は色相に優れる重合体を得ることができる。ジチオカルボニル基やトリチオカルボニル基を有する硫黄原子含有重合体は着色が生じやすいという問題があるが、(メタ)アクリル酸エステル(1)は着色が低減され、または、ほとんど生じない。したがって、(メタ)アクリル酸エステル(1)およびその重合体((メタ)アクリル系重合体)は光学材料への応用に有用である。
さらに、実施形態の(メタ)アクリル酸エステル(1)は耐熱性に優れた重合体を与えることができ、光学材料をはじめとした様々な用途に利用することができる。
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基である。好ましくは得られる重合体の耐熱性の点からメチル基である。
式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。好ましくは得られる重合体の耐熱性及び屈折率の点から水素原子、メチル基、エチル基から選択され、より好ましくは水素原子である。
特に好ましくは、式(1)中、Rがメチル基であり、Rが水素原子である。
(メタ)アクリル酸エステル(1)の具体例としては、例えば下記に示すような、2−メタクリロイルオキシメチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン、2−メタクリロイルオキシメチル−7−メチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン、2−メタクリロイルオキシメチル−7−エチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン、2−アクリロイルオキシメチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン、2−アクリロイルオキシメチル−7−メチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン、2−アクリロイルオキシメチル−7−エチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナンが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル(1)の製造方法は特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸エステル(1)は、1,3−チオラン−2−チオン化合物(A)と(2−(メタ)アクリロイルオキシメチル)チイラン化合物(B)とを亜鉛化合物触媒(C)の存在下で反応させることにより得られる。
化合物(A)及び化合物(B)は市販品を使用してもよいが、従来公知の方法で合成して得てもよい。例えば、化合物(B)は後述する合成例1に記載の通り、(メタ)アクリル酸グリシジルとチオ尿素とを反応させることにより合成可能である(ChemistrySelect 2017, 2, 4465-4467)。化合物(A)は例えば塩基存在下で1,2-ジハロゲノエタン誘導体と二硫化炭素を反応させる方法(Synth. Commun., 1988, 18, 1531-1536)または塩基存在下でエピスルフィド誘導体と二硫化炭素を反応させる方法(Org. Biomol. Chem., 2016, 14, 7480-7489)により合成可能である。
亜鉛化合物触媒(C)としては、例えば下記式(C)で表される化合物が挙げられる。亜鉛化合物触媒(C)は一種を単独でまたは複数種を混合して使用することができる。
Zn(Y) (C)
式(C)中、Yは、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br、I)またはNTfからなる群から選択される。NTfはジ[ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]である。Yは目的物の選択率を向上させる点から好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくはヨウ素原子(I)である。特に、Yがヨウ素原子(I)である場合、触媒量を低減した場合であっても高い反応性と選択性が得られる。
亜鉛化合物触媒(C)の添加量は、化合物(A)及び(B)の構造、混合比、温度や濃度などの反応条件等によって変化しうる。亜鉛化合物触媒(C)は通常は化合物(A)の当量(1モル)に対して0.01〜1当量(モル)であり、好ましくは0.03〜0.2当量(モル)、より好ましくは0.05〜0.1当量(モル)で使用する。亜鉛化合物触媒(C)の添加量が1.0当量(モル)以下であれば選択性が向上し、0.01当量(モル)以上であれば目的物の収率の面から好ましい。
反応系における化合物(A)と化合物(B)との混合比率は反応が進行し得る限り特に制限されない。ただし、化合物(B)の添加量は、化合物(A)1モルに対して1.0〜1.5モルであることが好ましく、1.0〜1.2であることがより好ましい。1.5モル以下であれば過剰な化合物(B)由来の副生物(重合体)の増加を抑制でき、1.0モル以上であれば未反応の化合物(A)の増加によって精製が煩雑化するのを防止しうる。
化合物(A)と化合物(B)との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては化合物(A)と化合物(B)との反応が進行しうる限り特に制限されないが、好ましくは、選択性の向上の点から低極性溶媒(疎水性有機溶媒)が好ましく、ハロゲン系溶媒が好ましく、ジクロロメタン(CHCl)、ジクロロエタン(ClCHCHCl)、クロロホルム(CHCl)、クロロベンゼン(PhCl)、またはo−,m−,p−ジクロロベンゼン(CCl)からなる群から選択されるハロゲン系炭化水素がより好ましく、ジクロロメタンがさらに好ましい。これらは単独でも混合して用いてもよい。
反応温度は、反応が進行するのであれば特に制限はないが、通常は、−78℃〜80℃、好ましくは−20℃〜50℃、より好ましくは0℃〜25℃で実施する。50℃以下であれば副生物(重合体)の増加を抑制でき、−20℃以上であれば反応性が適切な高さとなる。
反応時間も特に制限されないが、例えば1〜24時間である。なお、反応時間は、反応物の混合(滴下)が完了した時点から反応終了までの時間を指す。
反応系における化合物(A)、化合物(B)、及び亜鉛化合物触媒(C)との混合の順序及び形態は特に限定されない。例えば、化合物(A)と亜鉛化合物触媒(C)との混合後、化合物(B)が添加される。これは反応の選択性の向上の点で有利である。より好ましくは化合物(A)及び亜鉛化合物触媒(C)を第1の有機溶媒に溶解させた後、得られた反応溶液に第2の有機溶媒に溶解させた化合物(B)を添加する。第1の有機溶媒と第2の有機溶媒とは同一であってもよいし異なっていてもよい。あるいは、化合物(A)と化合物(B)との混合後亜鉛化合物触媒(C)を添加してもよいし、化合物(B)と亜鉛化合物触媒(C)との混合後、化合物(A)を添加してもよい。反応は撹拌しながら行うことが好ましい。
反応後、目的とする(メタ)アクリル酸エステル(1)の単離、精製を行い、反応生成物中に含まれる副生成物を除去してもよい。単離、精製は常法により行うことができる。例えば、溶媒による抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、減圧蒸留または再結晶など公知の方法によって行うことができ、中でもシリカゲルカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーによる精製が好ましい。なお、反応生成物中に含まれうる目的とする(メタ)アクリル酸エステル(1)以外の副生物としては、エピスルフィド化合物の開環混合物で、その中でも特にエピスルフィド化合物の重合体が挙げられる。
上記製造方法により得られる(メタ)アクリル酸エステルは、テトラスピロ環としての1,4,6,9−テトラチオスピロ[4.4]ノナンの7位がRで置換された化合物と8位がRで置換された化合物の異性体混合物となる場合がある。かかる異性体混合物は例えば蒸留、再結晶またはカラムクロマトグラフィーによって分離精製可能である。また、得られた異性体混合物をそのまま重合に用いて、目的とする高屈折率を有する(メタ)アクリル系重合体が得られる。
本発明の一形態は上記(メタ)アクリル酸エステル(1)を含有する重合性組成物に関する。組成物中に含まれる(メタ)アクリル酸エステル(1)は単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル(1)は一方の末端に(メタ)アクリロイル基を有しており、(メタ)アクリル酸エステル(1)を含む重合性組成物を重合することにより(メタ)アクリル系重合体(以下「(メタ)アクリル系重合体(1)」ともいう)が得られる。したがって、本発明のさらなる一形態は重合性組成物を重合させて得られる(メタ)アクリル系重合体を提供する。
得られる(メタ)アクリル系重合体(1)は、前記(メタ)アクリル酸エステル(1)由来の構成単位(1):
を含有する。
重合性組成物は前記(メタ)アクリル酸エステル(1)に加えて、(メタ)アクリル酸エステル(1)と共重合可能な化合物(他の重合性化合物)を含んでもよい。他の重合性化合物としては、特に制限されないが、例えば、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物に該当しない(メタ)アクリル酸エステル(以下「(メタ)アクリル酸エステル(2)」とも称する)及びスチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル(2)は特に制限されず、(メタ)アクリル酸エステル(1)以外のすべての(メタ)アクリル酸エステル化合物を包含する。(メタ)アクリル酸エステル(2)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
中でも、耐熱性、透明性、入手容易な点で、他の重合性化合物としてメタクリル酸メチルおよび/またはスチレンを含有することが好ましく、メタクリル酸メチルを含有することがより好ましい。他の重合性化合物は一種を単独でまたは複数種を混合して使用することができる。
一実施形態において、(メタ)アクリル系重合体(1)は、前記(メタ)アクリル酸エステル(1)由来の構成単位(1)、場合により、上記(メタ)アクリル酸エステル(2)由来の構成単位(2)および/またはスチレン由来の構成単位(3)を含有する。
一実施形態において、(メタ)アクリル系重合体(1)は、前記(メタ)アクリル酸エステル(1)由来の構成単位(1)および(メタ)アクリル酸メチル由来の構成単位(2a)を含有する。
重合性組成物における(メタ)アクリル酸エステル(1)の含有量は必要とされる屈性率に応じて自由に選択でき、特に制限されないが、重合性組成物の合計(100質量部)に対して、5質量部以上とすることが好ましく、高屈折率の重合体を得る観点からより好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上である。他の重合性化合物を含有する場合、他の重合性化合物は組成物の残部を構成し得る。
また、(メタ)アクリル系重合体(1)における前記(メタ)アクリル酸エステル(1)由来の構成単位(1)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(1)(100質量%)に対して、10〜100質量%が好ましく、高屈折率の重合体を得る観点から30〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(1)の組成の一例は、(メタ)アクリル系重合体(1)(100質量%)に対して、前記(メタ)アクリル酸エステル(1)由来の構成単位(1)が10〜100質量%(より好ましくは30〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%)であり、他の重合性化合物由来の構成単位(例えば(メタ)アクリル酸エステル(2)由来の構成単位(2)および/またはスチレン由来の構成単位(3))が0〜90質量%(より好ましくは0〜70質量%、さらに好ましくは0〜50質量%)である。
一実施形態において、(メタ)アクリル系重合体(1)は、(メタ)アクリル酸エステル(1)由来の構成単位(1)と(メタ)アクリル酸メチル由来の構成単位(2a)とを含有する共重合体である。(メタ)アクリル酸エステル(1)と(メタ)アクリル酸メチル由来の構成単位(2a)との質量比は好ましくは99/1〜1/99であり、より好ましくは90/10〜10/90である。
(メタ)アクリル系重合体(1)が前記(メタ)アクリル酸エステル(1)由来の構成単位(1)以外の構成単位を含む共重合体である場合、その構造はランダム、ブロックおよび交互共重合体のいずれでもよい。
(メタ)アクリル系重合体(1)を得るための重合方法は、特に限定されないが、例えば、熱、紫外線、放射線、電子線、ラジカル重合開始剤等を利用したラジカル重合、あるいは開始剤を利用したアニオン重合により、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の方法を使用することができる。
重合に必要な添加剤および溶媒等を必要に応じて重合性組成物に適宜添加することができる。例えば、重合性組成物は、溶媒、および、重合開始剤、乳化剤、分散剤、懸濁安定剤、界面活性剤、連鎖移動剤などの添加剤を含有してもよい。
ラジカル重合による溶液重合においては、例えば、有機溶媒として、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒等が使用できる。中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好ましい。(メタ)アクリル系重合体(1)は例えばトルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の低〜中極性溶媒への溶解性が低い傾向があるが、かかる高極性溶媒を用いることで均一系重合が進行し、収率および分子量が向上し得る。
ラジカル重合開始剤を用いる場合、重合開始剤としては、例えば、加熱によりラジカルを発生する化合物(熱分解型ラジカル重合開始剤)や光によりジカルを発生する化合物(光開始剤)、酸化剤と還元剤の組み合わせによりラジカルを発生するもの(レドックス開始剤)などが使用できる。熱分解型ラジカル重合開始剤の具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジt-アミルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−2(−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'-アゾビス( シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)などのアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤は単独でまたは複数種を混合して使用することができる。
重合開始剤の添加量は組成物の成分、混合比及び重合方法によって変化するため一概には決められないが、通常は重合性組成物の合計100質量%に対して、0.0001質量%〜10質量%である。
重合温度は、単量体組成、重合開始剤等の添加剤によって変わるが、40℃〜150℃が好ましく、50℃〜130℃がより好ましい。なお、重合は多段階で昇温して行ってもかまわない。
重合時間は、重合方法、単量体組成、重合開始剤等の添加剤によって変わるが、目的の温度で通常1時間〜100時間である。なお、目的の温度に昇温するまでの時間が前記重合時間にさらに加わる。
重合反応は、空気中、又は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、減圧下又は加圧下のいずれの雰囲気下でも行うことができる。
(メタ)アクリル系重合体(1)の数平均分子量(Mn)は、特に制限されるものではないが、機械的強度および成形性の点で、5,000〜1,000,000が好ましく、7,000〜500,000がより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(1)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
(メタ)アクリル系重合体(1)の屈折率は1.50以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。屈折率は後述する実施例に記載されるように屈折率計を用いて測定することができる。屈折率は、20〜25℃の温度で、589nm(D線)で測定した値である。
(メタ)アクリル系重合体(1)は、ガラス転移温度が80℃以上(より好ましくは100℃以上)であることが好ましい。このような(メタ)アクリル系重合体は、広範な用途に使用できる。
本発明のさらなる一形態は上記(メタ)アクリル系重合体(1)を含有する樹脂を提供する。本発明の(メタ)アクリル系重合体(1)は、上記の通り、高い屈折率を有し、しかも、優れた耐熱性および/または色相、ならびにアクリル系重合体が備える良好な成形性、加工性、軽量性、および低コスト性を有し得ることから、広範な用途に使用可能な樹脂を与えることができる。
実施形態の樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要に応じて他の重合体、各種添加剤等を含有してもよい。
他の重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリカプロラクトン、(メタ)アクリル系重合体(1)以外の他のアクリル系樹脂等が挙げられる。
添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、密着性改善剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が例示される。
実施形態の樹脂における上記(メタ)アクリル系重合体(1)の含有率は、通常、50質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。実施形態の樹脂は重合体として上記(メタ)アクリル系重合体(1)のみを含んでもよい。
樹脂の製造方法は特に限定されない。(メタ)アクリル系重合体(1)からなる樹脂であれば、(メタ)アクリル系重合体(1)をそのまま樹脂として使用すればよい。(メタ)アクリル系重合体(1)が上記他の重合体および/または添加剤を含む場合は、(メタ)アクリル系重合体(1)と、上記他の重合体および/または添加剤とを公知の混合方法で混合することにより製造できる。混合は、例えば、オムニミキサーなどの混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を混練して実施できる。混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、公知の混練機を使用できる。
実施形態の樹脂は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、ブロー成形、押出成形、積層成形、カレンダー成形等により成形体とすることができる。また、溶解可能な溶剤に溶解させ、流延法やスピンコート法によって成形することも可能である。
樹脂や成形体に対して、必要に応じてハードコート、反射防止、等の表面処理を行ってもよい。
樹脂の用途は限定されず、例えば、光学材料(部材)、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等の他、塗料や接着剤の材料等の各種用途に有用である。中でも、上記(メタ)アクリル系重合体(1)は従来の(メタ)アクリル酸エステル系重合体等に比べて高い屈折率を有していることから、例えば、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像分野;光ディスク用ピックアップレンズなどのレンズ分野;光ディスク用の光記録分野;液晶用導光板、偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルムなどの情報機器分野;光ファイバ、光スイッチ、光コネクターなどの光通信分野;自動車ヘッドライト、テールランプレンズ、インナーレンズなどの車両分野;内視境用レンズ、医療用品などの医療機器分野;道路透光板、採光窓やカーポート、照明用レンズや照明カバーなどの建築・建材分野;家電製品のハウジング;玩具;サングラス;文房具;などに好適に使用することができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
本明細書において、「室温」、「常温」または「rt」は通常約10℃から約35℃を示す。%は特記しない限り重量パーセントを示す。
合成例、実施例および比較例で得た化合物および重合体の各物性の測定は、以下に示す要領に従って求めたものである。
<評価>
1. 化合物および重合体の構造解析
400MHz核磁気共鳴分光装置(JEOL社製 ECS−400SS)を用いたH及び13C NMR分析によって構造を同定した。
2. 重合体の分子量測定
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー社製 HLC−8220)を用いて、重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を決定した。
重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、GPCを用いて測定を行い、重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を決定した。各重合体のMw、Mn、及びMw/Mnは、標準ポリスチレンによる検量線を基に算出した。
装置:東ソー社製 HLC−8220
カラム:東ソー社製 TSKgel 3本 (Super AW4000, Super AW3000, Super AW2500)およびTSKガードカラム(Super AW-H)を直列接続
移動相溶媒:0.01M LiBr含有DMF
流速:0.5mL/分
温度:40℃
サンプル濃度:0.07%
サンプル注入量:50μL
検出器:RI
3. 屈折率の評価
重合体をNMPに溶解して種々の重量パーセント濃度の溶液を調製し、屈折率計(ATAGO社製 NAR−1T SOLID)を用いて屈折率を測定した。屈折率は21℃,589nmで測定した値である。重量パーセント濃度と屈折率値とが直線関係になったため、その直線の方程式から重合体の屈折率を間接的に求めた。
この方法により間接的に求めた後述する比較例1の重合体5(PMMA)の屈折率は1.489(21℃,589nm)であった。この値は一般的なポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)と同じ値を示したことから、この方法で算出した実施例2〜5の重合体3,4a〜cの屈折率の値も妥当であると考えられる。
4. 5%及び10%重量減少温度の測定
重合体の重量減少温度は、示差熱熱重量同時測定(TG−DTA)装置(日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA6200)を用いて測定した。具体的には、サンプルを窒素雰囲気下で常温より10℃/分で昇温し、重量が初期重量に比べて5%及び10%減少した温度を求め、それぞれ「5%重量減少温度」及び「10%重量減少温度」とした。「5%重量減少温度」及び「10%重量減少温度」が大きいほど耐熱性が高いことを示す。
5. ガラス転移温度の測定
重合体のガラス転移温度は、示差熱走査熱量分析(DSC)装置(日立ハイテクサイエンス社製DSC6200)を用いて測定した。具体的には、サンプルを窒素雰囲気下で常温より10℃/分で昇温し、ベースラインが下がる場所の変曲点での接線の交点をガラス転移温度とした。
<合成例1>
2−(メタクリロイルオキシメチル)チイラン(化合物1)の合成
以下に示す通り、ChemistrySelect 2017, 2, 4465-4467に記載の方法で合成した。
20mLナスフラスコ中のメタクリル酸グリシジル(1.42g,10mmol)に2,3−ブタンジオール(2mL)を加えて撹拌を開始し、そこへチオ尿素(1.52g,20mmol)を加えて油浴25℃で2時間攪拌した。この反応液をヘキサン/酢酸エチル(ヘキサン:酢酸エチル=4:1,10mL)で希釈し、純水(2mL)で洗浄した。水相をヘキサン/酢酸エチル(ヘキサン:酢酸エチル=4:1,10mL×2回)で抽出し、合わせた有機相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。エバポレーターで溶媒留去後に残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、無色透明液体の標記化合物1を収率92%(1.46g)で得た。得られた化合物1の構造をH及び13C NMR分析にて同定した。H及び13C NMRデータを図1に示す。
<実施例1>
2−メタクリロイルオキシメチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン(化合物2)の合成
200mLナスフラスコ中の1,3−ジチオラン−2−チオン(681mg,5mmol)に乾燥ジクロロメタン(50mL)を加え溶解し、そこへヨウ化亜鉛(80mg,0.25mmol)を加えた後、氷浴で0℃に冷却して攪拌した。この反応液に、乾燥ジクロロメタン(50mL)に溶解した化合物1(791mg,5mmol)を2時間かけて滴下し、氷浴を外して室温で昇温した後に油浴25℃で12時間攪拌した。次に反応混合物をエバポレーターで溶媒留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製後、25℃で12時間真空乾燥して白色固体の化合物2を収率85%(1.25g)で得た。得られた化合物2の構造はH及び13C NMR分析にて同定した。H及び13C NMRデータを図2に示す。
<実施例2>
ポリ(2−メタクリロイルオキシメチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン)(重合体3)の合成
10mLアンプル管中の化合物2(294mg,1mmol)に乾燥N−メチル−2−ピロリドン(NMP;2mL)を加え溶解し、そこへ2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN;4.9mg,0.03mmol)を加えた後に凍結脱気(×3回)を行い封管し、油浴60℃で24時間攪拌した。反応液を空冷後にメタノール(50mL)で再沈殿し、析出物を吸引ろ過後にメタノール(10mL×5回)で洗浄し、60℃で24時間真空乾燥して白色固体の重合体3を収率97%(285mg)で得た。得られた重合体3の構造はH及び13C NMR分析にて同定した。
<実施例3>
ポリ(2−メタクリロイルオキシメチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン−co−メタクリル酸メチル)(重合体4a)の合成(化合物2/MMA=3/1,モル比)
10mLアンプル管中の化合物2(221mg,0.75mmol)にメタクリル酸メチル(MMA;25mg,0.25mmol)及び乾燥NMP(2mL)を加え溶解し、そこへAIBN(4.9mg,0.03mmol)を加えた後に凍結脱気(×3回)を行い封管し、油浴60℃で24時間攪拌した。反応液を空冷後にメタノール(50mL)で再沈殿し、析出物を吸引ろ過後にメタノール(10mL×5回)で洗浄し、60℃で24時間真空乾燥して白色固体の重合体4aを収率87%(215mg)で得た。得られた重合体4aの構造はH及び13C NMR分析にて同定し、この共重合体4aのユニット組成比はモノマー仕込み比と同じ(化合物2/MMA=3/1)であった。H及び13C NMRデータを図4に示す。
<実施例4>
ポリ(2−メタクリロイルオキシメチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン−co−メタクリル酸メチル)(重合体4b)の合成(化合物2/MMA=1/1,モル比)
10mLアンプル管中の化合物2(294mg,1mmol)にMMA(100mg,1mmol)及び乾燥NMP(2mL)を加え溶解し、そこへAIBN(9.9mg,0.06mmol)を加えた後に凍結脱気(×3回)を行い封管し、油浴60℃で24時間攪拌した。反応液を空冷後にメタノール(50mL)で再沈殿し、析出物を吸引ろ過後にメタノール(10mL×5回)で洗浄し、60℃で24時間真空乾燥して白色固体の重合体4bを収率92%(363mg)で得た。得られた重合体4bの構造はH及び13C NMR分析にて同定し、この共重合体4bのユニット組成比はモノマー仕込み比と同じ(化合物2/MMA=1/1)であった。H及び13C NMRデータを図5に示す。
<実施例5>
ポリ(2−メタクリロイルオキシメチル−1,4,6,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン−co−メタクリル酸メチル)(重合体4c)の合成(化合物2/MMA=1/3,モル比)
10mLアンプル管中の化合物2(147mg,0.5mmol)にMMA(150mg,1.5mmol)及び乾燥NMP(2mL)を加え溶解し、そこへAIBN(9.9mg,0.06mmol)を加えた後に凍結脱気(×3回)を行い封管し、油浴60℃で24時間攪拌した。反応液を空冷後にメタノール(50mL)で再沈殿し、析出物を吸引ろ過後にメタノール(10mL×5回)で洗浄し、60℃で24時間真空乾燥して白色固体の4cを収率92%(273mg)で得た。得られた重合体4cの構造はH及び13C NMR分析にて同定し、この共重合体4cのユニット組成比はモノマー仕込み比と同じ(化合物2/MMA=1/3)であった。H及び13C NMRデータを図6に示す。
<比較例1>
ポリ(メタクリル酸メチル)(重合体5;PMMA)の合成
10mLアンプル管中のMMA(200mg,2mmol)に乾燥NMP(2mL)を加え溶解し、そこへAIBN(9.9mg,0.06mmol)を加えた後に凍結脱気(×3回)を行い封管し、油浴60℃で24時間攪拌した。反応液を空冷後にメタノール(100mL)で再沈殿し、析出物を吸引ろ過後にメタノール(10mL×5回)で洗浄し、60℃で24時間真空乾燥して白色固体の重合体5を収率63%(125mg)で得た。得られた重合体5の構造はH及び13C NMR分析にて同定した。H及び13C NMRデータを図7に示す。
得られた重合体についての評価結果を表1および表2に示す。なお、重合反応のモノマー転化率および得られた重合体のユニット組成比(モル比)はH NMRスペクトルから算出した。
MMAは通常はトルエンやテトラヒドロフランのような低〜中極性溶媒中で重合するが、比較例1では実施例との比較の為、高極性溶媒であるNMPを用いて重合した。そのため、メタノールで再沈殿した際に低分子量部分が析出せずに回収できず、99%の転化率に対して収率は63%の低い値となり、得られた重合体5の数平均分子量(Mn)も大きく、かつ、分子量分布(Mw/Mn)も狭い値であった。
上記表2から、本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物(化合物2)を重合して製造した(メタ)アクリル系重合体(重合体3,4a〜c)が高屈折率を有することが確認される。重合体の屈折率はテトラチアスピロ構造を有する化合物2の含有比率が増加するにつれて増加し、化合物2のホモポリマー(重合体3)はPMMA(重合体5)と比較して屈折率が0.138増加した。化合物2と他の重合性化合物(MMA)との配合比率を調節することで、所望の屈折率を持つ重合体を製造できることが示唆される。
(メタ)アクリル系重合体(重合体3,4a〜c)の5%および10%重量減少温度は、PMMA(重合体5)と比較すると若干低下したが、光学材料をはじめとして様々な用途に利用するための十分な耐熱性を備えることが確認される。
(メタ)アクリル系重合体(重合体3,4a〜c)は、PMMA(重合体5)と比較してガラス転移温度は同等の値を示した。通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、エステル部分のアルキル鎖の炭素数が増加するにつれてガラス転移温度が低下することが知られているが(例えば、(メタ)アクリル酸エチルエステルのTgは約65℃であり、(メタ)アクリル酸ブチルエステルのTgは約20℃である)、本発明の(メタ)アクリル系重合体(重合体3,4a〜c)では、PMMA(重合体5)と比較してアルコキシル基の炭素数((メタ)アクリル酸エステル化合物のエステル部分に含まれる炭素数)が増加しているにも関わらず、ガラス転移温度は同等の値であり、優れた耐熱性を備えることが確認される。これは比較的剛直な構造であるテトラチアスピロ環に起因するものと推察される。
(メタ)アクリル系重合体(重合体3,4a〜c)および(メタ)アクリル系重合体(重合体3,4a〜c)はいずれも着色がほとんどない白色固体として得られた。このような本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物および(メタ)アクリル系重合体は光学材料への応用に有用である。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、高い屈折率を有する重合体を与える単量体として有用である。

Claims (8)

  1. 下記式(1):
    で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物。
    (式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
  2. がメチル基であり、Rが水素原子である、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステル化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する、重合性組成物。
  4. 更に式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物に該当しない(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンの少なくとも1種を含有する、請求項3に記載の重合性組成物。
  5. メタクリル酸メチルを含有する、請求項4に記載の重合性組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の重合性組成物を重合させて得られる、(メタ)アクリル系重合体。
  7. 請求項6に記載の(メタ)アクリル系重合体を含有する樹脂。
  8. 熱可塑性樹脂である、請求項7に記載の樹脂。
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