JP2007131780A - 2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類、その製造方法、該ジ(2’−アルキル)アクリレート類を用いて得られるポリマー及び光学部品用ポリマー - Google Patents
2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類、その製造方法、該ジ(2’−アルキル)アクリレート類を用いて得られるポリマー及び光学部品用ポリマー Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、高い屈折率を有する新規な2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類、その製造方法、該ジ(2’−アルキル)アクリレート類を用いて得られるポリマー及び光学部品用ポリマーに関する。
眼鏡やカメラ等のレンズ、プリズム、光ファイバーなど従来ガラスで製造されていた光学素子をプラスチックに置き換えようとする要望が近年高まってきている。また、DVD用等の光ピックアップレンズや、撮影機能つき携帯端末など小型レンズの需要の高まりもあって、様々なレンズ用のプラスチックが提案されるようになってきた。これは、プラスチックが軽量で、耐衝撃性が高く、且つ成形が容易なことから精度の高い製品を大量に製造できるという、ガラスにはない特徴があるためである。さらには、LCD用のプリズムシート、導光板、拡散シートなどの部材、また発光ダイオード用の封止剤などの新しい光学用途も生まれてきていることから、より機能を高めた光学用プラスチック、およびその原料モノマーの開発への期待が高まっている。
これら用途では、各種レンズ用途に代表されるように高い屈折率を示す材料が求められるが、従来光学用途として知られている樹脂では、十分な屈折率は得られていない。例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどの光学用プラスチックの屈折率は1.49〜1.59とされており、ガラスの屈折率1.4〜1.9の範囲内で比較的低めである。このため、同じ焦点距離のレンズを製造しようとした場合、これらプラスチックでは、要求される屈折率によってはガラスより厚いレンズにしなければならず、軽量というプラスチックの一つの特徴が生かせない、という問題がある。
こういった背景から、屈折率の高い樹脂の研究が広く行われてきており、新しい樹脂が開発、提案されている。一般に高い屈折率の樹脂を得るためには、高い屈折率のモノマーが必要であるが、樹脂、あるいはモノマーの屈折率を高めるための一つの方法として、分子内にハロゲン原子を導入する方法が知られている。例えば、特許文献1では その構造中に2,2-ジフェニルプロパン部分構造を有する特定の化合物のフェニル部分に複数の
臭素原子を導入した構造の樹脂が提案されており、このものの屈折率は1.60であるとしている。
臭素原子を導入した構造の樹脂が提案されており、このものの屈折率は1.60であるとしている。
屈折率を高めるためのもう一つの方法としては、分子内に芳香族環ならびに硫黄原子を導入すると効果があることが知られており、例えば、特許文献2では、p−ジクロロキシリレンと2−メルカプトエタノールから得られるジオールをメタクリロイル化して得られる含硫黄化合物等が提案されているが、樹脂での屈折率は1.6に満たない。また、硫黄含
有アクリレート化合物の精製により製造ロット間の屈折率変動の少ない硫黄含有アクリレート化合物を製造する方法に関する特許文献3の場合、報告されている含硫黄化合物の屈折率は、モノマーで1.6094、光重合後の樹脂で、1.6361迄である。
特開昭59−193915号公報
特開昭62−195357号公報
特開2001−181258号公報
有アクリレート化合物の精製により製造ロット間の屈折率変動の少ない硫黄含有アクリレート化合物を製造する方法に関する特許文献3の場合、報告されている含硫黄化合物の屈折率は、モノマーで1.6094、光重合後の樹脂で、1.6361迄である。
一般に、屈折率の高いモノマーから得られるポリマーは、高い屈折率を持つことが知られており、従って、屈折率の高い重合性モノマーが求められている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の化合物は、いずれも依然として屈折率が比較的低く、軽量というプラスチックの特徴を生かしつつより高屈折率の材料を提供するためには、更なる屈折率の改善が望まれる。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の化合物は、いずれも依然として屈折率が比較的低く、軽量というプラスチックの特徴を生かしつつより高屈折率の材料を提供するためには、更なる屈折率の改善が望まれる。
本発明の目的は、高い屈折率を有し、樹脂製造に適した新規なモノマーを提供することにある。又、本発明の他の目的は、かかるモノマーの製造方法、かかるモノマーを用いて得られたポリマー、更には、光学部品用のポリマーを提供することにある。
本発明者等は、鋭意研究を積み重ねた結果、2,3−(ビス)チオール−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレートのチオール部分が、アリールチオ等の芳香族環と硫黄原子が直接結合した構造を有する化合物が上記問題を解決することを見出し、またこれら化合物を簡便に製造する方法を確立して本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一の要旨は、下記一般式(1)で表される新規な2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類、に存する。
即ち、本発明の第一の要旨は、下記一般式(1)で表される新規な2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類、に存する。
(式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表すか、又はR3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族環を有し、かつSと芳香族環が直接結合している2価の基を表す。)
他の要旨は、下記一般式(2)のジオールをアクリレート化又は2−アルキルアクリレート化することを特徴とする上記式(1)の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレン(2’−アルキル)アクリレート類の製造方法、に存する。
他の要旨は、下記一般式(2)のジオールをアクリレート化又は2−アルキルアクリレート化することを特徴とする上記式(1)の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレン(2’−アルキル)アクリレート類の製造方法、に存する。
(式(2)中、R3およびR4がそれぞれ独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表すか、又はR3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族環を有し、かつSと芳香族環が直接結合している2価の基を表す。)
更に、他の要旨は、上記式(1)のジ(2’−アルキル)アクリレート類に由来する構造単位を含むポリマー及び、光学部品用である上記ポリマー、に存する。
更に、他の要旨は、上記式(1)のジ(2’−アルキル)アクリレート類に由来する構造単位を含むポリマー及び、光学部品用である上記ポリマー、に存する。
本発明によれば、光学的、化学的に安定で、かつ高い屈折率を有する樹脂を製造するに適した、屈折率の高い原料モノマー及びその製造方法を提供することができる。本発明に係る化合物は、高い屈折率を有するので、これを用いて得られたポリマーも高い屈折率を有し、眼鏡やカメラ等のレンズ、プリズム、光ファイバー、DVD用の光ピックアップレンズ、撮影機能つき携帯端末など小型のレンズ、さらには、LCD用のプリズムシート、導光板、拡散シートなどの部材、また発光ダイオード用の封止剤などの光学部品用のポリマーとして有用である。又、本発明のポリマーは屈折率が高いため、これを用いて光学部材を製造する際、部材の薄型化が可能となり、よって光学部材の軽量化が可能となるとの効果を有する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。尚、以下、本明細書において、(2’−アルキル)アクリルは、アクリル又は2’−アルキルアクリルを意味する。
<2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類>
本発明の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類とは、下記式(1)で表されるような構造を有する。
<2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類>
本発明の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類とは、下記式(1)で表されるような構造を有する。
(上記式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表すか、又はR3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族環を有し、かつSと芳香族環が直接結合している2価の基を表す。)
R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表すが、原料の入手のし易さなどから、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であるのが好ましく、又、合成の点から同一であるのが好ましい。
R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表すが、原料の入手のし易さなどから、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であるのが好ましく、又、合成の点から同一であるのが好ましい。
R3およびR4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族基、又はR3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族環を有し、かつSと芳香族環が直接結合している2価の基を表す。R3およびR4がそれぞれ独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族基、又はR3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香環を有し、かつSと芳香族環が直接結合している2価の基であることの理由は、以下のように考えられる。屈折率に影響を及ぼす構造上の因子の1つは空間に存在する電子の偏りであるとされているが、芳香環はπ電子で覆われておりその部分の電子密度が高く、屈折率が高くなる傾向がある。従って、電子の偏りの有無という視点で見れば、R3およびR4部分は芳香族環を有していれば良く、それらは炭化水素のみで構成された芳香環でも、複素環でも良い。
1価の芳香族基としてはフェニル基やトリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基などの単核又は複数の芳香族環が縮合した芳香族炭化水素基、及びピリジル基、ピリミジン基、チオフェン基、ベンズイミダゾール基の単核又は複数の複素環基が縮合した芳香族複素環基挙げられる。
芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜14である。芳香族複素環基が有する複素原子としては、窒素原子、硫黄原子、等が挙げられる。又、1価の芳香族基の置換基の種類としては特に限定はなく任意の置換基を選択できるが、原料入手の容易性などから、水酸基、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、水酸基、アリール基、ベンジル基、アリールオキシ基等の芳香族環含有基、メトキシ基、エトシキ基などのアルコキシ基、などの置換基が好ましい。またこれらの置換基の数や置換位置についてはその制限はない。かかる置換基を有する1価の芳香族基としては、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ビフェニル基、ベンジルフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基等が挙げられる。上記置換基を有する芳香族基は置換基を有していても芳香族基であることについては変わりがないので、置換基を有さない置換基の場合と、同様に屈折率を高める効果を有する。
芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜14である。芳香族複素環基が有する複素原子としては、窒素原子、硫黄原子、等が挙げられる。又、1価の芳香族基の置換基の種類としては特に限定はなく任意の置換基を選択できるが、原料入手の容易性などから、水酸基、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、水酸基、アリール基、ベンジル基、アリールオキシ基等の芳香族環含有基、メトキシ基、エトシキ基などのアルコキシ基、などの置換基が好ましい。またこれらの置換基の数や置換位置についてはその制限はない。かかる置換基を有する1価の芳香族基としては、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ビフェニル基、ベンジルフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基等が挙げられる。上記置換基を有する芳香族基は置換基を有していても芳香族基であることについては変わりがないので、置換基を有さない置換基の場合と、同様に屈折率を高める効果を有する。
R3およびR4が連結して形成される−R3−R4−で表される、少なくとも1個の芳香族環を有し、かつSと芳香族環が直接結合している2価の基としては、少なくとも1個の芳香族環を有し、芳香族環が前記一般式(1)におけるSと直接結合する構造を有する2価の基であれば特に限定されない。
−R3−R4−で表される2価の基における芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、またそれらの単環でも縮合環でも良い。単環の芳香族炭化水素環(a)としてはフェニレン基が挙げられ、縮合芳香族炭化水素環(b)としては、ナフチレン基、アントラセニレン基などが挙げられる。単環の芳香族複素環基(c)としては、チオフェニレン基、ピリジレン基などが挙げられ、縮合芳香族複素環基(d)としては、ベンズイミダゾ−ルから誘導される2価の基などが挙げられる。
−R3−R4−で表される2価の基における芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、またそれらの単環でも縮合環でも良い。単環の芳香族炭化水素環(a)としてはフェニレン基が挙げられ、縮合芳香族炭化水素環(b)としては、ナフチレン基、アントラセニレン基などが挙げられる。単環の芳香族複素環基(c)としては、チオフェニレン基、ピリジレン基などが挙げられ、縮合芳香族複素環基(d)としては、ベンズイミダゾ−ルから誘導される2価の基などが挙げられる。
−R3−R4−で表される2価の基が複数の芳香族環を有する場合、上記(a)〜(d)の芳香族環が直接、もしくは連結基を介して結合していてもよい。その連結基としては、特に限定されないが、例えば、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)などの2価の原子、メチレン基(−CH2−)、イソプロピリデン基(−C(CH3)2−)などの2価のアルキル基、スルホン基(−SO2−)、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO
−)、さらにフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等の2価の芳香族炭化水素基;チオフェン基、ピリジル基などから誘導される2価の芳香族複素環基などが挙げられる。
−)、さらにフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等の2価の芳香族炭化水素基;チオフェン基、ピリジル基などから誘導される2価の芳香族複素環基などが挙げられる。
又、R3,R4が連結されて形成される−R3−R4―におけるSとの2つの連結は同一の芳香族環と結合していても、異なる芳香族環と結合していてもよい。
尚、R3およびR4が連結して形成される−R3−R4−で表される2価の基が、1個の芳香環を有する2価の基の場合で芳香族環がフェニレン基である場合の構造は下記となる。
尚、R3およびR4が連結して形成される−R3−R4−で表される2価の基が、1個の芳香環を有する2価の基の場合で芳香族環がフェニレン基である場合の構造は下記となる。
以上記述した中でも、式(1)中のR3およびR4がそれぞれ独立に芳香族炭化水素基であるか、又はR3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族炭化水素環を有し、かつSと芳香族炭化水素環が直接結合している2価の基であるのが好ましい。又、R3およびR4は、合成上の制約から同一の芳香族基であるか、又は、−R3−R4−で表される2価の基における2ヶのSとの結合が、同一の芳香族環に結合していているのが好ましい。特に、R3およびR4は原料となる、対応するチオールの入手の容易性などから、フェニル基及び/又はナフチル基、−R3−R4−がフェニレン基であることが好ましい。
本発明の化合物の具体的構造を以下に例示する。
(A)R3およびR4が1価の芳香族基である化合物の例:
一般式(1)におけるR1およびR2が水素原子又はメチルであり、R3およびR4が下記の1価の基である化合物。
(A)R3およびR4が1価の芳香族基である化合物の例:
一般式(1)におけるR1およびR2が水素原子又はメチルであり、R3およびR4が下記の1価の基である化合物。
(但し、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、Buはブチル基を表わす)
(B)R3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族炭化水素環を有し、かつSと芳香族炭化水素環が直接結合している2価の基である化合物の例:
一般式(1)におけるR1およびR2が水素原子又はメチルであり、−R3−R4−が下記の2価の基である化合物。
(B)R3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族炭化水素環を有し、かつSと芳香族炭化水素環が直接結合している2価の基である化合物の例:
一般式(1)におけるR1およびR2が水素原子又はメチルであり、−R3−R4−が下記の2価の基である化合物。
<2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類の製造方法>
本発明の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類は、例えば、市販されている2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンや、1,4−ナフトキノンを原料に製造することができる。以下、一例として2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを原料として製造する方法に関して説明する。
本発明の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類は、例えば、市販されている2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンや、1,4−ナフトキノンを原料に製造することができる。以下、一例として2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを原料として製造する方法に関して説明する。
2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを原料として合成する1つの方法としてビスアリールチオエーテル誘導体を合成する場合の合成ルートを以下に示す。
<化合物(3)から化合物(4)の合成>
まず、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン(化合物(3))をR3―SH及び/又
はR4―SHで、或いはHS―R3−R4―SHで示されるチオール化合物でチオエーテ
ル化する。ここで、R3及びR4は、前記式(1)におけると同義を表す。
R3−SH及び/又はR4−SHとしては、前記一般式(1)で示される所望の本発明化合物におけるR3及びR4に対応するチオール化合物を選択すれば良い。1価のチオール化合物としては、例えば、フェニルチオール、ナフチルチオール、メルカプトピリジン、メルカプトピリミジン、メルカプトフェノール、メルカプトチオフェン等が挙げられ、中でもアリールチオールが好ましく、特にフェニルチオール又はナフチルチオールが好ましい。HS―R3−R4―SHで示される2価のチオール化合物としては、1,2−フェニルジチオール、ナフチルジチオール、ジメルカプトチオフェン等が挙げられる。
まず、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン(化合物(3))をR3―SH及び/又
はR4―SHで、或いはHS―R3−R4―SHで示されるチオール化合物でチオエーテ
ル化する。ここで、R3及びR4は、前記式(1)におけると同義を表す。
R3−SH及び/又はR4−SHとしては、前記一般式(1)で示される所望の本発明化合物におけるR3及びR4に対応するチオール化合物を選択すれば良い。1価のチオール化合物としては、例えば、フェニルチオール、ナフチルチオール、メルカプトピリジン、メルカプトピリミジン、メルカプトフェノール、メルカプトチオフェン等が挙げられ、中でもアリールチオールが好ましく、特にフェニルチオール又はナフチルチオールが好ましい。HS―R3−R4―SHで示される2価のチオール化合物としては、1,2−フェニルジチオール、ナフチルジチオール、ジメルカプトチオフェン等が挙げられる。
以下、アリールチオールでビスアリールチオエーテル化する場合を例に説明するが、これ以外の場合もビスアリールチオエーテル化に準じて合成できる。
1価のチオールを用いる場合の使用量は、原料の2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンに対して1.5モル等量以上、好ましくは2.0モル等量以上、さらに好ましくは2.1モル等量以上である。ただしあまり過剰に使用しすぎると反応後の分離精製の負荷が大きくなるので3.0モル等量以下、好ましくは2.5モル等量以下、さらに好ましくは2.2モル等量以下である。2価のチオールを用いる場合の使用量は、1価のチオールを用いる場合のほぼ半分である。
(ビス)アリールチオエーテル化反応は、無溶媒で行うことも、溶媒を使用して行うことも共に可能である。溶媒を使用する場合は、特に使用する溶媒に制限はないが、使用可能な溶媒の例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、ガンマブチロラクトンなどのエステル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は、単独で用いても必要に応じて複数を混合して用いてもかまわない。中でも実用的な反応性速度が得られるので、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒が好適に用いられる。さらには、アルコール系溶媒を用いると生成物が溶媒に不溶となって沈殿してくるので分離精製が行いやすく特に好ましい。
1価のチオールを用いる場合の使用量は、原料の2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンに対して1.5モル等量以上、好ましくは2.0モル等量以上、さらに好ましくは2.1モル等量以上である。ただしあまり過剰に使用しすぎると反応後の分離精製の負荷が大きくなるので3.0モル等量以下、好ましくは2.5モル等量以下、さらに好ましくは2.2モル等量以下である。2価のチオールを用いる場合の使用量は、1価のチオールを用いる場合のほぼ半分である。
(ビス)アリールチオエーテル化反応は、無溶媒で行うことも、溶媒を使用して行うことも共に可能である。溶媒を使用する場合は、特に使用する溶媒に制限はないが、使用可能な溶媒の例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、ガンマブチロラクトンなどのエステル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は、単独で用いても必要に応じて複数を混合して用いてもかまわない。中でも実用的な反応性速度が得られるので、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒が好適に用いられる。さらには、アルコール系溶媒を用いると生成物が溶媒に不溶となって沈殿してくるので分離精製が行いやすく特に好ましい。
溶媒を使用する場合、その量は、原料である2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンの濃度が、通常10g/L以上、好ましくは50g/L以上となる量であり、上限は特に制限はないが、通常500g/L以下、好ましくは300g/L以下となる量である。
各反応試剤の反応器への導入の方法は特に制限はない。2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これにアリールチオールを添加する方法、逆にアリールチオールを初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これに2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを添加する方法、あるいは、両試剤を同時に反応器に導入する方法など任意の方法を選択できる。
各反応試剤の反応器への導入の方法は特に制限はない。2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これにアリールチオールを添加する方法、逆にアリールチオールを初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これに2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを添加する方法、あるいは、両試剤を同時に反応器に導入する方法など任意の方法を選択できる。
反応は通常加熱下で行われ、反応温度は通常、20℃以上、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。上限は、装置上の制約もあるので通常200℃、好ましくは150℃、さらに好ましくは100℃である。
反応時間は、通常は、下限が1分であり、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上である。上限は、通常20時間であり、好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。
反応時間は、通常は、下限が1分であり、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上である。上限は、通常20時間であり、好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。
反応後は、反応溶媒を必要に応じて除き、通常の水洗を行うと粗体を得る事ができる。
粗体の精製は、行ってもいいし、そのまま次の工程に使用してもよい。
精製を行う場合は、再結晶、カラム精製、昇華精製、蒸留など有機化学的に実施可能な方法であれば任意の方法を採用することができる。
再結晶を行う場合の溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は必要に応じて複数を混合して使用してもかまわない。中でも、生成物である2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノン(化合物(4))の溶解性の高いエステル系溶媒と、溶解性の低いアルコール系溶媒を組み合わせて用いると、精製効率、回収率が高まるので好ましい。
粗体の精製は、行ってもいいし、そのまま次の工程に使用してもよい。
精製を行う場合は、再結晶、カラム精製、昇華精製、蒸留など有機化学的に実施可能な方法であれば任意の方法を採用することができる。
再結晶を行う場合の溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は必要に応じて複数を混合して使用してもかまわない。中でも、生成物である2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノン(化合物(4))の溶解性の高いエステル系溶媒と、溶解性の低いアルコール系溶媒を組み合わせて用いると、精製効率、回収率が高まるので好ましい。
<化合物(3)から化合物(2)の合成>
次に、上記の様にして得られた2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノン(化合物(3))を還元してジオール化する。還元反応を行う場合に採用される反応としては、還元試剤を用いる方法および電気還元で行う方法が挙げられる。このうち還元試剤を用いる方法の例としては、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属を用いる方法、亜鉛、アルミニウム、鉄などの(遷移)金属と必要に応じて酸を用いる方法、さらにはハイドロサルファイト(Na2S2O4)を用いる方法などを採用することができる。中でも遷移金属を用いる方法は安全性が高く反応の効率も高いので好ましい。例えば遷移金属と酸を用いて還元を行う方法は以下のようにして行うことができる。
次に、上記の様にして得られた2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノン(化合物(3))を還元してジオール化する。還元反応を行う場合に採用される反応としては、還元試剤を用いる方法および電気還元で行う方法が挙げられる。このうち還元試剤を用いる方法の例としては、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属を用いる方法、亜鉛、アルミニウム、鉄などの(遷移)金属と必要に応じて酸を用いる方法、さらにはハイドロサルファイト(Na2S2O4)を用いる方法などを採用することができる。中でも遷移金属を用いる方法は安全性が高く反応の効率も高いので好ましい。例えば遷移金属と酸を用いて還元を行う方法は以下のようにして行うことができる。
還元剤である遷移金属の使用量は2価の金属を使用する場合理論的には原料の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノンと等量あればよいので下限は、通常、1.0モル等量であり、好ましくはやや過剰に用い1.2モル等量以上、さらに好ましくは1.5モル等量以上である。ただし、あまり過剰に用いると後処理時に残存した遷移金属の処理負荷が大きくなるので上限は、5モル等量であり、好ましくは3モル等量以下、さらに好ましくは2モル等量以下である。なお、3価の金属を用いる場合はこの3分の2倍量、1価の金属を用いる場合は2倍量となる。
遷移金属を使用する場合は、酸と組み合わせる。使用できる酸の種類は、ぎ酸や酢酸、プロピオン酸、こはく酸、安息香酸などのカルボン酸類、メタンスルホン酸などのスルホン酸類、塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸等が使用できる。中でも、ぎ酸や、酢酸が酸強度が適当なのと後処理が容易なため好適に用いられる。
これら酸の使用量は、通常使用する金属に対して過剰に用いられる。下限は、通常、5モル等量であり、好ましくは10モル等量以上、更に好ましくは20モル等量以上である。一方上限は、通常、150モル等量、好ましくは100モル等量以下、更に好ましくは80モル等量以下が採用される。
これら酸の使用量は、通常使用する金属に対して過剰に用いられる。下限は、通常、5モル等量であり、好ましくは10モル等量以上、更に好ましくは20モル等量以上である。一方上限は、通常、150モル等量、好ましくは100モル等量以下、更に好ましくは80モル等量以下が採用される。
還元反応は、無溶媒で行うことも、溶媒を使用して行うことも共に可能である。溶媒を使用する場合は、特に使用する溶媒に制限はないが、使用可能な溶媒の例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、ガンマブチロラクトンなどのエステル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は、単独で用いても必要に応じて複数を混合して用いてもかまわない。中でもカルボン酸類を溶解し易いと言う点で、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒が好適に用いられる。特に、エーテル系溶媒、エステル系が特に好ましい。
溶媒を使用する場合、その量は、原料である2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノンの濃度が、通常、下限が10g/Lであり、好ましくは50g/L以上となる量であり、上限は特に制限はないが、通常500g/Lであり、好ましくは300g/L以下となる量である。
各反応試剤の反応器への導入の方法は特に制限はない。2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノンと酸を初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これに金属を添加する方法、逆に金属と2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノンを初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これに酸を添加する方法など任意の方法を選択できる。
各反応試剤の反応器への導入の方法は特に制限はない。2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノンと酸を初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これに金属を添加する方法、逆に金属と2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフトキノンを初めに反応器に入れておき、必要に応じて溶媒を添加、これに酸を添加する方法など任意の方法を選択できる。
反応温度は、通常、下限が0℃であり、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上である。上限は、通常100℃であり、好ましくは70℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。
反応時間は、通常は、下限が10分であり、好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上である。上限は、通常50時間であり、好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
反応時間は、通常は、下限が10分であり、好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上である。上限は、通常50時間であり、好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
反応後は、反応溶媒を留去し、生じた沈殿を濾過して目的のジオールを得る。
このものの精製は、行ってもいいし、そのまま次の工程に使用してもよい。
精製を行う場合は、再結晶、カラム精製、昇華精製、蒸留など有機化学的に実施可能な方法であれば任意の方法を採用することができる。
再結晶を行う場合の溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は必要に応じて複数を混合して使用してもかまわない。中でも、生成物であるジオールの溶解性の高いエーテル系溶媒と、溶解性の低いアルコール系溶媒を組み合わせて用いると、精製効率、回収率が高まるので好ましい。
このものの精製は、行ってもいいし、そのまま次の工程に使用してもよい。
精製を行う場合は、再結晶、カラム精製、昇華精製、蒸留など有機化学的に実施可能な方法であれば任意の方法を採用することができる。
再結晶を行う場合の溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は必要に応じて複数を混合して使用してもかまわない。中でも、生成物であるジオールの溶解性の高いエーテル系溶媒と、溶解性の低いアルコール系溶媒を組み合わせて用いると、精製効率、回収率が高まるので好ましい。
<化合物(2)から本発明化合物(1)の合成>
最後に、上記の様にして得られた2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオール(化合物(2))を、(2’−アルキル)アクリレート化又は2−アルキルアクリレート化して本発明の2,3−ビスアリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類(化合物(1))とする。本明細書において、アクリレート化又は2−アルキルアクリレート化とは、化合物(2)のヒドロキシ基部分をアクリロイルオキシ基又は2−アルキルアクリロイルオキシ基とする反応を意味し、以下、アクリレート化及び2−アルキルアクリレート化を総称して、(2’−アルキル)アクリレート化と略する。尚、2−アルキルアクリレート化の場合、以下における(2’−アルキル)アクリル酸に代えて、所望の2−アルキルアクリル酸を使用すればよい。
最後に、上記の様にして得られた2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオール(化合物(2))を、(2’−アルキル)アクリレート化又は2−アルキルアクリレート化して本発明の2,3−ビスアリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類(化合物(1))とする。本明細書において、アクリレート化又は2−アルキルアクリレート化とは、化合物(2)のヒドロキシ基部分をアクリロイルオキシ基又は2−アルキルアクリロイルオキシ基とする反応を意味し、以下、アクリレート化及び2−アルキルアクリレート化を総称して、(2’−アルキル)アクリレート化と略する。尚、2−アルキルアクリレート化の場合、以下における(2’−アルキル)アクリル酸に代えて、所望の2−アルキルアクリル酸を使用すればよい。
(2’−アルキル)アクリレート化反応は、(2’−アルキル)アクリル酸と上記の様にして得られた2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオール(化合物(2))とを直接脱水エステル化する方法、ジシクロヘキシルジカルボジイミド(通常DCCと略される)やジエチルアゾジカルボキシレート/トリフェニルホスフィンの組み合わせ等の脱水剤を用い脱水エステル化する方法、テトラアルコキシチタンや、ナトリウムメトキシドなどを触媒として(2’−アルキル)アクリル酸の低級アルコールエステルとエステル交換反応させる方法、(2’−アルキル)アクリル酸クロリドや、酸無水物など活性化された(2’−アルキル)アクリル酸化合物を用いる方法、などにより製造できる。例えば、(2’−アルキル)アクリル酸クロリドを用いる場合は以下の様にして行うことができる。
(2’−アルキル)アクリル酸クロリドの使用量は、原料2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールのモル数に対して、下限が通常1.9モル等量、好ましくは2.0モル等量以上、さらに好ましくは2.2モル等量以上であり、上限が通常10モル等量、好ましくは5モル等量以下、さらに好ましくは3モル等量以下である。
(2’−アルキル)アクリル酸クロリドによる(2’−アルキル)アクリロイル化反応は、通常塩基性物質の存在下に行う。本発明において使用可能な塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、塩基性のイオン交換樹脂、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機3級アミン、ピリジン、ピコリン等の芳香族アミン等が挙げられる。
(2’−アルキル)アクリル酸クロリドによる(2’−アルキル)アクリロイル化反応は、通常塩基性物質の存在下に行う。本発明において使用可能な塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、塩基性のイオン交換樹脂、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機3級アミン、ピリジン、ピコリン等の芳香族アミン等が挙げられる。
これら塩基性物質の使用量は、(2’−アルキル)アクリル酸クロリドに対して、下限が通常0.8モル等量であり、好ましくは1.0モル等量以上、さらに好ましくは1.1モル等量以上、上限は通常10モル等量であり、好ましくは5モル等量以下、さらに好ましくは2モル等量以下用いられる。
(2’−アルキル)アクリル酸クロリド、塩基性物質および原料の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールの添加の方法は、塩基性物質と反応前に直接長時間接触することを避ければ、その添加の方法に特に制限はない。例えば、2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールと(メタ)アクリル酸クロリドを同時に反応器に仕込み塩基性物質を後から添加しても良いし、あるいはあらかじめ反応器に仕込んだ塩基性物質と2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールの混合物、あるいはその混合溶液に(2’−アルキル)アクリル酸クロリドを滴下して反応を行ってもよい。
(2’−アルキル)アクリル酸クロリド、塩基性物質および原料の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールの添加の方法は、塩基性物質と反応前に直接長時間接触することを避ければ、その添加の方法に特に制限はない。例えば、2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールと(メタ)アクリル酸クロリドを同時に反応器に仕込み塩基性物質を後から添加しても良いし、あるいはあらかじめ反応器に仕込んだ塩基性物質と2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールの混合物、あるいはその混合溶液に(2’−アルキル)アクリル酸クロリドを滴下して反応を行ってもよい。
反応は、無溶媒で行うことも、溶媒を使用して行うことも共に可能である。溶媒を使用する場合は、特に使用可能な溶媒に制限はないが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、ガンマブチロラクトンなどのエステル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのア
ミド系溶媒、アセトニトリルやプロピオニトリルなどのアルキルニトリル系溶媒などが好適に用いられる。これら溶媒は単独で用いてもかまわないし、任意の複数の溶媒を混合して使用してもかまわない。
ミド系溶媒、アセトニトリルやプロピオニトリルなどのアルキルニトリル系溶媒などが好適に用いられる。これら溶媒は単独で用いてもかまわないし、任意の複数の溶媒を混合して使用してもかまわない。
塩基性物質として無機塩基を使用する場合には、溶媒として非プロトン性の極性溶媒を用いるのが好ましい。中でも水と混和する非プロトン性の極性溶媒が好ましい。これは、使用する無機塩基の溶解性を高め実用的な反応速度を得るためである。水と混和する非プロトン性の極性溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、アセトニトリル等の有機ニトリル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のようなスルホキシド系溶媒等があげられる。
溶媒を使用する場合、その量は、原料である2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオール(化合物(2))の濃度が、下限が通常10g/L、好ましくは50g/L以上となる量であり、上限は特に制限はないが、通常500g/L、好ましくは300g/L以下となる量である。
反応は、通常の攪拌装置を備えた反応器により行うのが好ましい。
反応は、通常の攪拌装置を備えた反応器により行うのが好ましい。
採用される反応温度は、下限が通常−50℃、好ましくは−20℃以上、上限が通常70℃、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下の範囲で実施される。
反応時間は、任意に選択されるが、反応時間試剤の滴下時間を含めては、下限が通常10分、好ましくは30分以上、上限は特に限定はされないが通常20時間以下、好ましくは10時間以下である。
反応時間は、任意に選択されるが、反応時間試剤の滴下時間を含めては、下限が通常10分、好ましくは30分以上、上限は特に限定はされないが通常20時間以下、好ましくは10時間以下である。
なお、(2’−アルキル)アクリル酸クロリドによる(2’−アルキル)アクリロイル化反応を行う場合、使用する(2’−アルキル)アクリル酸ハライドとして高純度のものを使用することで、目的物の純度を高めることができる。
(2’−アルキル)アクリル酸ハライドは、Chimia,(スイス),1985年,
39巻,p.19−20に記載があるように経時的に2量化して純度が低下する、という特徴を有している。これら2量体の存在量がより少ない試剤を用いる方が、目的物の純度を高めることができる。具体的には、(2’−アルキル)アクリル酸ハライドの純度が通常、80モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特にさらに好ましくは95モル%以上のものを使用する。
(2’−アルキル)アクリル酸クロリドの純度を高める方法としては、特に制限はないが、酸ハライドと2量体の沸点差を利用して蒸留するのが簡便で好ましい。蒸留の方式としては、単蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留など制限なく採用できる。
(2’−アルキル)アクリル酸ハライドは、Chimia,(スイス),1985年,
39巻,p.19−20に記載があるように経時的に2量化して純度が低下する、という特徴を有している。これら2量体の存在量がより少ない試剤を用いる方が、目的物の純度を高めることができる。具体的には、(2’−アルキル)アクリル酸ハライドの純度が通常、80モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特にさらに好ましくは95モル%以上のものを使用する。
(2’−アルキル)アクリル酸クロリドの純度を高める方法としては、特に制限はないが、酸ハライドと2量体の沸点差を利用して蒸留するのが簡便で好ましい。蒸留の方式としては、単蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留など制限なく採用できる。
尚、(2’−アルキル)アクリル酸クロリドは、重合性に富み、また目的のジ(2’−アルキル)アクリレートも重合しやすい化合物である。従って、反応時や保存時に重合が進行しないように重合禁止剤を必要に応じて使用してもよい。重合禁止剤の例としては、p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、2,5−ジフェニルパラベンゾキノンなどのヒドロキノン類、テトラメチルピペリジニル−N−オキシラジカルなどのN−オキシラジカル類、フェノチアジン、ジフェニルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、分子状酸素、硫黄、塩化銅(II)、などを挙げることができる。
重合禁止剤の使用量は、原料の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオール(化合物(2))に対して、下限が、通常10ppm、好ましくは50ppm以上であり、上限が、通常10000ppm、好ましくは1000ppm以下である。
(2’−アルキル)アクリロイル化反応後は、反応混合物を水中にあけて有機溶媒を用いて目的物を抽出する。この際使用可能な溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、などのエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、などのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒等が用いられる。得られた目的物の溶液は、洗浄を行った後、濃縮すると粗体の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類となる。
(2’−アルキル)アクリロイル化反応後は、反応混合物を水中にあけて有機溶媒を用いて目的物を抽出する。この際使用可能な溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、などのエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、などのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒等が用いられる。得られた目的物の溶液は、洗浄を行った後、濃縮すると粗体の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類となる。
このものの精製は、再結晶、カラム精製、昇華精製、蒸留など有機化学的に実施可能な方法であれば任意の方法を採用することができる。なお蒸留を行う場合は、重合の危険を避ける目的で薄膜蒸留を採用することも可能である。
一方、再結晶を行う場合の溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は必要に応じて複数を混合して使用してもかまわない。中でも、生成物であるジオールの溶解性の高いエステル系溶媒と、溶解性の低いアルコール系溶媒を組み合わせて用いると、精製効率、回収率が高まるので好ましい。
一方、再結晶を行う場合の溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒等をあげることができる。これら溶媒は必要に応じて複数を混合して使用してもかまわない。中でも、生成物であるジオールの溶解性の高いエステル系溶媒と、溶解性の低いアルコール系溶媒を組み合わせて用いると、精製効率、回収率が高まるので好ましい。
<保存方法>
2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類の保存は、重合を避ける意味で上記にあげた重合禁止剤を添加して保存してもよい。また、冷蔵庫にて保管すれば長期間の保存に耐える。
<本発明化合物の用途>
本発明の化合物は、光学的、化学的に安定で、かつ高い屈折率を有する樹脂を製造するための原料モノマーとして利用することができる。具体的には、眼鏡やカメラ等のレンズ、プリズム、光ファイバー、DVD用の光ピックアップレンズ、撮影機能つき携帯端末など小型のレンズ、さらには、LCD用のプリズムシート、導光板、拡散シートなどの部材、また発光ダイオード用の封止剤などに利用可能なポリマーを製造するための原料となる。
2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類の保存は、重合を避ける意味で上記にあげた重合禁止剤を添加して保存してもよい。また、冷蔵庫にて保管すれば長期間の保存に耐える。
<本発明化合物の用途>
本発明の化合物は、光学的、化学的に安定で、かつ高い屈折率を有する樹脂を製造するための原料モノマーとして利用することができる。具体的には、眼鏡やカメラ等のレンズ、プリズム、光ファイバー、DVD用の光ピックアップレンズ、撮影機能つき携帯端末など小型のレンズ、さらには、LCD用のプリズムシート、導光板、拡散シートなどの部材、また発光ダイオード用の封止剤などに利用可能なポリマーを製造するための原料となる。
<ポリマー及びその製造>
本発明のポリマーは、前記式(1)で示される2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類化合物(以下、本発明化合物と略することがある)を単独、又はこれと重合可能なモノマーを重合して得られるものである。従って、前記式(1)で示される2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類に由来する構造単位を含むものである。
本発明のポリマーは、前記式(1)で示される2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類化合物(以下、本発明化合物と略することがある)を単独、又はこれと重合可能なモノマーを重合して得られるものである。従って、前記式(1)で示される2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類に由来する構造単位を含むものである。
本発明の化合物又はこれと他のモノマーとの重合は、一般に知られた方法で実施することができ、特にその方法は制限されない。例えば、ラジカル開始剤の存在下に重合させる方法や、光重合開始剤の存在下に光重合させる方法、アニオン重合させる方法などが採用可能である。
本発明化合物と重合可能なモノマーとしては、(2’−アルキル)アクリル酸メチル、(2’−アルキル)アクリル酸フェニル、(2’−アルキル)アクリル酸クロロフェニル、(2’−アルキル)アクリル酸ベンジル等の(2’−アルキル)アクリル化合物;スチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル等のビニル化合物、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート、アリルフェニルシラン等のアリル化合物等公知のラジカル重合性モノマーである。
本発明化合物と重合可能なモノマーとしては、(2’−アルキル)アクリル酸メチル、(2’−アルキル)アクリル酸フェニル、(2’−アルキル)アクリル酸クロロフェニル、(2’−アルキル)アクリル酸ベンジル等の(2’−アルキル)アクリル化合物;スチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル等のビニル化合物、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート、アリルフェニルシラン等のアリル化合物等公知のラジカル重合性モノマーである。
光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アントラセン、α−クロロメチルナフタレン等の芳香族化合物、ジフェニルスルフィド、チオカーバメイト等のイオウ化合物を使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物を使用することができる。必要により、光重合開始剤とラジカル重合開始剤を併用しても良い。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物を使用することができる。必要により、光重合開始剤とラジカル重合開始剤を併用しても良い。
ラジカル重合開始剤や、光重合開始剤の使用量は、公知の重合反応に準じて選択すれば良い。
例えば、光重合開始剤は、前記式(1)の本発明化合物100重量部に対して、通常、0.001〜20重量部、好ましくは0.01から5重量部使用するのが適当である。
本発明のポリマー中の前記(1)の化合物に由来する構造単位の含有割合は、所望のポリマーの屈折率に応じて選択されるが、通常、0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。少なすぎると、屈折率が高いとの本発明化合物の特性が、これを用いて得られたポリマーの物性に十分に反映されず、ポリマーの屈折率が不十分となる傾向となる。
例えば、光重合開始剤は、前記式(1)の本発明化合物100重量部に対して、通常、0.001〜20重量部、好ましくは0.01から5重量部使用するのが適当である。
本発明のポリマー中の前記(1)の化合物に由来する構造単位の含有割合は、所望のポリマーの屈折率に応じて選択されるが、通常、0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。少なすぎると、屈折率が高いとの本発明化合物の特性が、これを用いて得られたポリマーの物性に十分に反映されず、ポリマーの屈折率が不十分となる傾向となる。
本発明のポリマーの重量平均分子量は通常1000から1,000,000程度である。又、本発明のポリマーの屈折率は、原料として使用する本発明の化合物の使用割合に依存するが、本発明のモノマーである2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類の屈折率との関係から、通常、1.55程度以上、好ましくは1.59以上である。
かくして得られるポリマーは前記の如き光学部品用のポリマーとして有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下には本発明の化合物の一例として2,3−ビスフェニルチオ−1,4−ナフタレンジオールジメタクリレートの製造方法を説明する。
(製造例1)2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフトキノンの合成
窒素導入管およびコンデンサー付反応容器中に、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン6.8g(30mmol)と溶媒としてエタノール25mLを入れてしばらく攪拌し、黄色の
スラリー状とした。このスラリーに室温下、チオフェノール7.1g(65mmol;2.2eq.)をエタノール15mLに溶解した溶液を10分で滴下した。この間、黄色だったスラリーが
、一旦赤色の溶液になった後、再び濃赤色のスラリーに変化するのが観察された。この後、エタノールを10mL追加して内温を80℃に過熱した。 このままこの温度を保ってさらに2時間反応を継続した。 反応液を氷冷し、赤橙色の沈殿物をろ過した。得られた固体を酢酸エチル200mLに溶解し、水50mLで2回、飽和重そう水50mLで1回、脱塩水50mLで2回洗浄し、最後の水層のpHが中性であることを確認した。酢酸エチル溶液を、ロータリーエバポレーターで濃縮し、メタノールを添加して再結晶を行った。第1晶、第2晶あわせて10.6g(95%収率)の目的物である2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフトキノンを青紫色の針状晶として得た。
(製造例1)2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフトキノンの合成
窒素導入管およびコンデンサー付反応容器中に、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン6.8g(30mmol)と溶媒としてエタノール25mLを入れてしばらく攪拌し、黄色の
スラリー状とした。このスラリーに室温下、チオフェノール7.1g(65mmol;2.2eq.)をエタノール15mLに溶解した溶液を10分で滴下した。この間、黄色だったスラリーが
、一旦赤色の溶液になった後、再び濃赤色のスラリーに変化するのが観察された。この後、エタノールを10mL追加して内温を80℃に過熱した。 このままこの温度を保ってさらに2時間反応を継続した。 反応液を氷冷し、赤橙色の沈殿物をろ過した。得られた固体を酢酸エチル200mLに溶解し、水50mLで2回、飽和重そう水50mLで1回、脱塩水50mLで2回洗浄し、最後の水層のpHが中性であることを確認した。酢酸エチル溶液を、ロータリーエバポレーターで濃縮し、メタノールを添加して再結晶を行った。第1晶、第2晶あわせて10.6g(95%収率)の目的物である2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフトキノンを青紫色の針状晶として得た。
(製造例2)2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオールの合成
窒素導入菅付反応容器中に、2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフトキノン7.5g(20mmol)と溶媒としてテトラヒドロフラン60mLと酢酸40mL(700mmol;35eq.)を入れてしばらく攪拌し、黄色の溶液とした。この溶液に室温下、亜鉛粉末2.4g(38mmol;1.8eq.)を添加した。このまま室温下、6時間反応を行った。このとき、反応の進行に伴い黄色の着色が消えて系内が灰色に変化するのが観察され反応の終点を確認することができる。得られた灰色のスラリーをロータリーエバポレーターで濃縮し、テトラヒドロフランを留去した。得られたスラリーをろ過し、ろ別された固体をメタノールで洗浄した。固体は、再びテトラヒドロフラン100mLに溶解し、不溶部分をセライトを用いてろ過した。得られたろ液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し薄い橙色の粉末7.5g(収率100%)を得た。このものは1H-NMRおよびマススペクトルから目的物である2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオールであることを確認した。
窒素導入菅付反応容器中に、2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフトキノン7.5g(20mmol)と溶媒としてテトラヒドロフラン60mLと酢酸40mL(700mmol;35eq.)を入れてしばらく攪拌し、黄色の溶液とした。この溶液に室温下、亜鉛粉末2.4g(38mmol;1.8eq.)を添加した。このまま室温下、6時間反応を行った。このとき、反応の進行に伴い黄色の着色が消えて系内が灰色に変化するのが観察され反応の終点を確認することができる。得られた灰色のスラリーをロータリーエバポレーターで濃縮し、テトラヒドロフランを留去した。得られたスラリーをろ過し、ろ別された固体をメタノールで洗浄した。固体は、再びテトラヒドロフラン100mLに溶解し、不溶部分をセライトを用いてろ過した。得られたろ液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し薄い橙色の粉末7.5g(収率100%)を得た。このものは1H-NMRおよびマススペクトルから目的物である2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオールであることを確認した。
マススペクトルの結果は下記の通りであり、マススペクトル及び1H-NMR(400MHz、CDCl3)のそれぞれのチャートを図1及び2に示す。
マススペクトル(DEI-MS);
376(M+)、265(M+−109(SPh)−2(2*H))、189(M+−109(SPh)−77(Ph)−1(H))
マススペクトル(DEI-MS);
376(M+)、265(M+−109(SPh)−2(2*H))、189(M+−109(SPh)−77(Ph)−1(H))
(実施例1)2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオールジメタクリレートの合成
窒素導入菅付反応容器中に、2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオール5.7g(15mmol)と溶媒としてテトラヒドロフラン40mLとトリエチルアミン3.8g(38mmol;2.5eq.)を入れて氷冷下しばらく攪拌した。内温は3℃のオレンジ色の溶液となった。この溶液に、内温5℃以下に保ちながら、メタクリル酸クロリド3.6g(34mmol;2.3eq.)のテトラヒドロフラン3mLの溶液を25分かけて滴下した。さらに内温を5℃以下に保ちながら1時間、その後温度を室温にもどして2時間反応させた。反応液を重そう0.8gを添加した脱塩水40mL中にあけて、酢酸エチル(60mL,40mL)で抽出した。得られた酢酸エチル溶液は、脱塩水30mLで1回、飽和重そう水30mLに脱塩水30mLを加えた溶液で1回、さらに脱塩水50mLで2回洗浄した。この溶液をろ過した後にろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、目的物の粗体を赤茶色の油状物として9.3gを得た。この油状物に酢酸エチル20mL、メタノール20mLを加えて40℃に加温して不溶物をろ別し、得られたろ液にさらにメタノールを20mL添加して結晶を析出させた。 減圧乾燥後、肌色の結晶が4.6g得られた(収率;59%)。
窒素導入菅付反応容器中に、2,3−(ビス)フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオール5.7g(15mmol)と溶媒としてテトラヒドロフラン40mLとトリエチルアミン3.8g(38mmol;2.5eq.)を入れて氷冷下しばらく攪拌した。内温は3℃のオレンジ色の溶液となった。この溶液に、内温5℃以下に保ちながら、メタクリル酸クロリド3.6g(34mmol;2.3eq.)のテトラヒドロフラン3mLの溶液を25分かけて滴下した。さらに内温を5℃以下に保ちながら1時間、その後温度を室温にもどして2時間反応させた。反応液を重そう0.8gを添加した脱塩水40mL中にあけて、酢酸エチル(60mL,40mL)で抽出した。得られた酢酸エチル溶液は、脱塩水30mLで1回、飽和重そう水30mLに脱塩水30mLを加えた溶液で1回、さらに脱塩水50mLで2回洗浄した。この溶液をろ過した後にろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、目的物の粗体を赤茶色の油状物として9.3gを得た。この油状物に酢酸エチル20mL、メタノール20mLを加えて40℃に加温して不溶物をろ別し、得られたろ液にさらにメタノールを20mL添加して結晶を析出させた。 減圧乾燥後、肌色の結晶が4.6g得られた(収率;59%)。
得られた肌色の結晶2.0gをさらに酢酸エチル10mL、メタノール5mLの混合溶媒から再結晶し、乾燥して白色の粉末1.6g(収率;79%)を得た。このサンプルについて、融点
、屈折率、マススペクトル、1H-NMR(400MHz,CDCl3)および13C-NMR(CDCl3)を測定したところ下記の結果が得られた。マススペクトル、1H-NMR及び13C-NMRのチャートを、それぞれ
図3、4及び図5に示す。
融点;138℃
屈折率nRD(アッベ屈折率計を用い、溶液法で25℃で測定);
1.661(1−ブロモ−ナフタレン)
1.663(メタジブロモベンゼン)
マススペクトル(DEI-MS);
512(M+)、443(M+−69(C4H5O))、403(M+−109(SPh))、
334(M+−178(SPh+C4H5O))、265(M+−247(SPh+C4H5O+C4H5O)、
69(C4H5O)
、屈折率、マススペクトル、1H-NMR(400MHz,CDCl3)および13C-NMR(CDCl3)を測定したところ下記の結果が得られた。マススペクトル、1H-NMR及び13C-NMRのチャートを、それぞれ
図3、4及び図5に示す。
融点;138℃
屈折率nRD(アッベ屈折率計を用い、溶液法で25℃で測定);
1.661(1−ブロモ−ナフタレン)
1.663(メタジブロモベンゼン)
マススペクトル(DEI-MS);
512(M+)、443(M+−69(C4H5O))、403(M+−109(SPh))、
334(M+−178(SPh+C4H5O))、265(M+−247(SPh+C4H5O+C4H5O)、
69(C4H5O)
本発明の化合物は高い屈折率を有するので、これを用いて得られたポリマーは高い屈折率を有することとなる。従って、かかるポリマーは、眼鏡やカメラ等のレンズ、プリズム、光ファイバー、DVD用の光ピックアップレンズ、撮影機能つき携帯端末など小型のレンズ、さらには、LCD用のプリズムシート、導光板、拡散シートなどの部材、また発光ダイオード用の封止剤など、光学部品用のポリマーとして、有用であり、光学部品の軽量化も可能となる。
Claims (7)
- R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であることを特徴とする請求項1に記載の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類。
- R3およびR4がそれぞれ独立に芳香族炭化水素基であるか、又はR3とR4が連結して形成される−R3−R4−が、少なくとも1個の芳香族炭化水素環を有し、かつSと芳香族炭化水素環が直接結合している2価の基を表すことを特徴とする請求項1又は2記載の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類。
- R3およびR4がそれぞれ独立にフェニル基又はナフチル基であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレン
ジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載のジ(2’−アルキル)アクリレート類に由来する構造単位を含むポリマー。
- 光学部品用である請求項6に記載のポリマー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005327792A JP2007131780A (ja) | 2005-11-11 | 2005-11-11 | 2,3−(ビス)アリールチオ−1,4−ナフタレンジオールジ(2’−アルキル)アクリレート類、その製造方法、該ジ(2’−アルキル)アクリレート類を用いて得られるポリマー及び光学部品用ポリマー |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010265441A (ja) * | 2009-04-16 | 2010-11-25 | Kawasaki Kasei Chem Ltd | 4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物、その製造法及びそれらを重合してなる重合物 |
JP2011256119A (ja) * | 2010-06-07 | 2011-12-22 | Kawasaki Kasei Chem Ltd | 4,4’−ジアルコキシ−2,2’−ビナフタレン−1,1’−ジ(メタ)アクリレート化合物及びその製造法。 |
JP2015078130A (ja) * | 2013-10-14 | 2015-04-23 | 川崎化成工業株式会社 | カルボン酸ハライド用重合禁止剤 |
WO2024162126A1 (ja) * | 2023-01-31 | 2024-08-08 | 富士フイルム株式会社 | 硬化性組成物、硬化物、光学材料、回折光学素子及び化合物 |
-
2005
- 2005-11-11 JP JP2005327792A patent/JP2007131780A/ja active Pending
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