JP2010265441A - 4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物、その製造法及びそれらを重合してなる重合物 - Google Patents

4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物、その製造法及びそれらを重合してなる重合物 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率を有する芳香族多環化合物であり、紫外域の吸収や蛍光の問題が無く透明性にすぐれ、高圧水銀ランプなどを用いた工業的に有利なUV硬化装置で重合可能な化合物及びその化合物を含む重合性組成物を提供。
【解決手段】4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物及び当該化合物と光ラジカル重合開始剤を含有する重合性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物、その製造法及び4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を重合してなる重合物に関する。
近年、光学分野においてガラス代替材料としてプラスチックが盛んに用いられている。たとえば、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等がよく知られている。これらプラスチック材料は、軽量性、安全性、意匠性を有している反面、屈折率の面では無機ガラスより低く、分厚くなりやすいという欠点がある。そこで、近年、高屈折率を有するプラスチック材料に対する要望が高くなってきている。特に、高屈折率プラスチック材料の光学用物品への進出は著しく、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、光ディスク、ホログラム、光ファイバー、光道波路等への検討が盛んに行われている。
プラスチックの屈折率とその原料となるモノマーの屈折率とは正の相関関係にあり、高屈折率のプラスチックを得るためには高分子を構成するモノマー部分が高屈折率を有するものであることが必要である。
モノマーとしての有機化合物の屈折率を高くする方法としては、分子構造中にハロゲン原子(フッ素を除く)や硫黄原子さらには芳香環を導入することが有用であることは既に良く知られている。たとえば、ハロゲン原子の有する高い固有屈折率を利用し、ビフェニル環にハロゲン原子を導入した高屈折率重合体が報告されている(特許文献1)。しかし、ハロゲン化によって、耐光性が著しく劣化し、また、高比重であるという欠点があった。又ハロゲン以外に高い固有屈折率を有する硫黄原子を有する単量体組成物も報告されている(特許文献2)。しかし、これらは高い屈折率、優れた耐衝撃性を有するものの、得られたポリマーの耐光性が著しく劣り、硫黄特有の不快臭が問題となる欠点があった。また、これらを用いたプラスチックが廃棄物として処理されるとき、有害なガスや化合物を生じることが懸念される。
一方、芳香環の導入に関してはこれまで、ベンゼン環、ビフェニル環を有する高屈折率材料が知られており、これらは、軽く透明性にすぐれ、バランスの良い高屈折率材料となる(特許文献3等)。しかし、ベンゼン環を用いた場合、モノマーの屈折率として1.54を超えるものを得ることは困難であった。また、ビフェニル環を用いた場合は、ベンゼン環のモノマーに比べ、吸収が長波長側にシフトし、光硬化の場合には開始剤とUV吸収が重なるため、光開始効率が低下するという問題点があった。また、さらに高い屈折率を得るため、アントラセン環、フルオレン環を有するモノマーの開発も検討されている(特許文献4,8,9)。また、アントラセン環やフルオレン環等をエステル交換によりポリマーに導入する試みもなされている(特許文献5)。
しかしながら、アントラセン環やフルオレン環の導入により比較的高い屈折率をもつポリマーが得られるが、フルオレン環を導入した場合は、紫外領域に吸収があり、光照射により着色しやすくなり、耐光性に問題が出てくる。またアントラセン環を導入した場合はアントラセン環が蛍光を発するため、光学材料分野での適用は困難である等の問題がある。
透明性という観点からは、アクリル系の高屈折率樹脂が眼鏡用レンズ、眼内レンズや液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター保護膜などとして検討されている(特許文献6,7,8,9)。しかし、屈折率が十分でなかったり、フルオレン系のアクリレートのように粘度が高すぎて扱い難いという欠点がある。
一方、ナフタレン環を導入することにより高い屈折率が期待できることから、骨格にナフタレン化合物を含むアクリレート合物についても、近年、そのモノアクリレート体、ジアクレート体について報告がなされている(特許文献10,11)。しかしながら、これらのナフタレン化合物を含むアクリレートは350nm近辺にUV吸収を持ち、光硬化させる場合にUVランプとして最も一般的な高圧水銀ランプを用いた場合、高圧水銀ランプの366nm付近の光がナフタレン化合物に吸収される、いわゆる内部フィルタリング効果のため、光硬化が遅くなると言う欠点がある。そのため、従来は、400nm付近の波長を含む紫外LEDランプなどにより、イルガキュア819やダロキュアTPO(イルガキュア、ダロキュアはチバスペシャリティケミカルズ社の登録商標)等のホスフィンオキサイド系の光ラジカル重合開始剤を用い光硬化させている(特許文献11)。
しかしながら、LEDランプなどは、まだまだ一般的ではなく、また大型の装置を作成し難いという欠点を有し、ホスフィンオキサイド系の光ラジカル重合開始剤は、環境に良くないリン化合物を含有しており高価であるという欠点を有する。
特開平05−170702号公報 特開2002−20433号公報 特開2003−064296号公報 特開2004−083855号公報 特開2006−312709号公報 特開2003−144538号公報 特開2003−049037号公報 特開平06−220131号公報 特開平06−211936号公報 特開2001−276587号公報 特開2008−81682号公報
よって、高屈折率を有する芳香族多環化合物であり、ビフェニル基、アントラセン基やフルオレン基にみられるような紫外域の吸収や蛍光の問題が無く、粘度が低く取扱やすく、透明性にすぐれ、かつ、一般的で最も広く用いられている高圧水銀ランプなどの光源で重合可能であり、光ラジカル重合開始剤も特殊な開始剤を用いなくとも重合可能である、ナフタレン骨格を有するアクリレート化合物の開発が望まれている。
本発明者は、ナフタレン化合物の構造と光硬化性に関して鋭意検討した結果、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物が低粘度で取扱やすく、高圧水銀ランプにより容易に重合すること、さらに、得られた重合物が高い屈折率を有していることを見出し、本発明を完成させた。
第1発明では、一般式(1)で示される4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を提供する。
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Zはアルキル基又はアリール基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基のいずれかを示す。)
第2発明では、4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物をアシル化することよりなる上記の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の製造方法を提供する。
第3発明は4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物を(メタ)アクリル化することよりなる第1発明に記載の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の製造方法を提供する。
第4発明では、上記の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物及び重合開始剤を含有する重合性組成物を提供する。
第5発明では、上記の重合性組成物を重合してなる重合物を提供する。
第6発明では、上記の重合物を含有する高屈折材料を提供する。
本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルまたはメタクリロイルを、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリル表す。
本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、新規な化合物であり、かつ、最も一般的な紫外光源である高圧水銀ランプにより容易に重合する。また、重合により得られた重合物は高い屈折率を示す、工業的に有用な化合物である。
図1は、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレートの添加による9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシフェニル]フルオレンの溶融粘度低減効果実験の結果である。(実施例25)
本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は一般式(1)に記載の構造を有する化合物であって、一般式(1)に於いて、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zはアルキル基、アリール基を示し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基のいずれかを示す。
一般式(1)中、Zで表されるアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの基は、置換基を有していてもよい。
一般式(1)中、X及びYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子,臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基,n−ブトキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
一般式(1)に示す4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物としては、例えば次のものが挙げられる。
すなわち、4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフチルアクリレート、4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフチルメタクリレート、4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフチルアクリレート、4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にアルキル基が置換した化合物としては、2−メチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等、5−メチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−メチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、6−メチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−メチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、6−メチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−メチル−4−ブタノイルオキシナフチルアクリレート、6−メチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−メチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、6−メチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、2−エチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等、5−エチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−エチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、6−エチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−エチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、6−エチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−エチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、6−エチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、6−エチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、6−エチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、2,3−ジメチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,3−ジメチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,3−ジメチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,3−ジメチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、1−(2,3−ジメチル−4−ブタノイルオキシナフチル)アクリレート、1−(2,3−ジメチル−4−ブタノイルオキシナフチル)メタクリレート、2,3−ジメチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,3−ジメチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等である。
さらには、2,6−ジメチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,6−ジメチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,6−ジメチル−4−プロパノイルオキシナフチルアクリレート、2,6−ジメチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,6−ジメチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,6−ジメチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,6−ジメチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,6−ジメチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等である。
さらには、2,7−ジメチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,7−ジメチル−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,7−ジメチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,7−ジメチル−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,7−ジメチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,7−ジメチル−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,7−ジメチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,7−ジメチル−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等である。
さらには、ナフタレン環にハロゲン原子が置換した化合物としては、2−クロロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−クロロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−クロロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−クロロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−クロロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−クロロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−クロロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−クロロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等、2−ブロモ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−ブロモ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−ブロモ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−ブロモ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−ブロモ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−ブロモ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−ブロモ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−ブロモ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フルオロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フルオロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フルオロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フルオロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フルオロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フルオロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フルオロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フルオロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、5−クロロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−クロロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−クロロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−クロロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−クロロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−クロロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−クロロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−クロロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−ブロモ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−ブロモ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−ブロモ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−ブロモ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−ブロモ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−ブロモ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−ブロモ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−ブロモ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フルオロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フルオロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フルオロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フルオロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フルオロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フルオロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フルオロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フルオロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、2,3−ジクロロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,3−ジクロロ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,3−ジクロロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,3−ジクロロ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,3−ジクロロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,3−ジクロロ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,3−ジクロロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2,3−ジクロロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にアルコキシが置換した化合物としては、2−メトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メトキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メトキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メトキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メトキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エトキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エトキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エトキシ4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エトキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エトキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エトキシ4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にアリールオキシが置換した化合物としては、2−フェノキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェノキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フェノキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェノキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フェノキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェノキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フェノキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェノキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等、5−フェノキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェノキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フェノキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェノキシ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フェノキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェノキシ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フェノキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェノキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にアルキルチオ基が置換した化合物としては、2−メチルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メチルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メチルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−メチルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等、5−メチルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メチルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メチルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−メチルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−メチルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にアリールチオ基が置換した化合物としては、2−フェニルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェニルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フェニルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェニルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フェニルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェニルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フェニルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェニルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等、5−フェニルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェニルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フェニルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェニルチオ−4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フェニルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェニルチオ−4−ブタノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−フェニルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート、5−フェニルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
これらの化合物のうち、4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート、4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート及び4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレートが合成容易でありかつ得られる生成物の屈折率が高いことから特に好ましい。
[製造方法]
次に、これら化合物の合成について詳述する。本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、下図にしめすように二つのルートで得ることができる。一つは、まず1,4−ナフタレンジオール化合物をモノ(メタ)アクリル化し、ついで、アシル化するルートAであり、二つ目は一つ目と順序が反対の方法であって、まず、1,4−ナフタレンジオール化合物をモノアシル化し、ついで(メタ)アクリル化するルートBである。
<ルートA>
まず、ルートAについて述べる。ルートAにおいて、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、下記一般式(2)に示された4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物をアシル化することより得ることができる。また、当該4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、1,4−ナフタレンジオール化合物をモノ(メタ)アクリル化することにより得ることができる。
すなわち下記反応式に示すように、1,4−ナフタレンジオール化合物をモノ(メタ)アクリル化して4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物となす第一反応と、得られた4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物をアシル化する第二反応より、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を合成することができる。
第一反応においては、1,4−ナフタレンジオール化合物がモノ(メタ)アクリル化され、対応する4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物が得られる。
第一反応に用いられる1,4−ナフタレンジオール化合物としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。すなわち、1,4−ナフタレンジオール、2−メチル−1,4−ナフタレンジオール、2−エチル−1,4−ナフタレンジオール、2−クロロ−1,4−ナフタレンジオール、2−フルオロ−1,4−ナフタレンジオール、2−ブロモ−1,4−ナフタレンジオール、2−メトキシ−1,4−ナフタレンジオール、2−エトキシ−1,4−ナフタレンジオール、2−フェノキシ−1,4−ナフタレンジオール、2−メチルチオ−1,4−ナフタレンジオール、2−フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオール等である。
さらには、5−メチル−1,4−ナフタレンジオール、5−エチル−1,4−ナフタレンジオール、5−クロロ−1,4−ナフタレンジオール、5−フルオロ−1,4−ナフタレンジオール、5−ブロモ−1,4−ナフタレンジオール、5−メトキシ−1,4−ナフタレンジオール、5−エトキシ−1,4−ナフタレンジオール、5−フェノキシ−1,4−ナフタレンジオール、5−メチルチオ−1,4−ナフタレンジオール、5−フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオール、6−メチル−1,4−ナフタレンジオール、6−エチル−1,4−ナフタレンジオール、6−クロロ−1,4−ナフタレンジオール、6−フルオロ−1,4−ナフタレンジオール、5−ブロモ−1,4−ナフタレンジオール、6−メトキシ−1,4−ナフタレンジオール、6−エトキシ−1,4−ナフタレンジオール、6−フェノキシ−1,4−ナフタレンジオール、5−メチルチオ−1,4−ナフタレンジオール、6−フェニルチオ−1,4−ナフタレンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ナフタレンジオール、2,3−ジクロロ−1,4−ナフタレンジオール、2,6−ジメチル−1,4−ナフタレンジオール、2,7−ジメチル−1,4−ナフタレンジオール等である。
第一反応における4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の製造方法は、1,4−ナフタレンジオール化合物と(メタ)アクリル酸ハライドとを無機塩基の存在下で反応させることからなる。アクリル酸ハライドとしてはアクリル酸クロライドが特に好ましく、メタクリル酸ハライドとしてはメタクリル酸クロライドが特に好ましい。原料としてアクリル酸ハライドを使用すれば、4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート化合物が得られる。一方、原料としてメタクリル酸ハライドを使用すれば、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート化合物が得られる。
1,4−ナフタレンジオール化合物と(メタ)アクリル酸ハライドとの使用比率は、1,4−ナフタレンジオール化合物に対する(メタ)アクリル酸ハライドのモル比で、通常0.5以上、中でも0.8以上、また、通常2未満、中でも1.5以下の範囲とすることが好ましい。(メタ)アクリル酸ハライドの比率が低過ぎると、未反応の1,4−ナフタレンジオール化合物量が多くなり、原料回収等の処理が必要となる場合がある。一方、(メタ)アクリル酸ハライドの比率が高過ぎると、1,4−ナフタレンジオール化合物の両方の水酸基が(メタ)アクリル化されたジエステルの副生量が増加する傾向がある。
使用する無機塩基としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)等が挙げられる。中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
無機塩基の使用比率は、1,4−ナフタレンジオール化合物に対する無機塩基の当量比で、通常1.0当量以上、中でも1.2当量以上、また、通常3.0当量以下、中でも2.0当量以下の範囲とすることが好ましい。無機塩基の比率が低過ぎると、酸ハライドの滴下中に水層のpHが酸性になり、選択率が著しく低下する場合がある。一方、無機塩基の比率が高過ぎると、酸ハライドの分解が増える場合がある。
1,4−ナフタレンジオール化合物と(メタ)アクリル酸ハライドとの反応は、通常は反応溶媒の存在下で行なう。反応溶媒の種類は特に制限されないが、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なうことが好ましい。
水相及び有機相からなる二相系で反応を行なう場合、通常は反応溶媒として、水と、有機相を形成する一又は二以上の有機溶媒とを併用する。有機相を形成する有機溶媒の種類は特に制限されないが、比較的低い極性を示し、水に対して混和性を示さない有機溶媒を用いることが好ましい。このような有機溶媒の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して用いてもよい。中でも、トルエン、キシレン、ヘプタンが好ましく、トルエンを単独で、或いはヘプタンと混合して用いることが特に好ましい。
水相と有機相との比率は、特に制限されるものではないが、水相及び有機相の合計量に対する水相の容積比率が、通常50%以上、95%以下範囲であることが好ましい。水相の割合が少な過ぎても多過ぎても、4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の選択性が低下する傾向がある。水相及び有機相の合計量に対する1,4−ナフタレンジオール化合物の濃度は、通常0.005g/ml以上、中でも0.03g/ml以上、また、通常0.5g/ml以下、中でも0.3g/ml以下の範囲とすることが好ましい。1,4−ナフタレンジオール化合物の濃度が少な過ぎると、生産効率が低下する場合がある。一方、1,4−ナフタレンジオール化合物の濃度が多過ぎると、選択率が低下する場合がある。また析出固体によるスラリー溶液の攪拌が困難になる場合がある。
反応温度の制御および選択率向上の観点から、(メタ)アクリル酸ハライドを滴下する方法が好ましい。特に、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なう場合には、1,4−ナフタレンジオール化合物を水相及び有機相の二相系溶媒に溶解させ、容器中で攪拌等の手法により混合しながら、(メタ)アクリル酸ハライドを滴下して反応させることが好ましい。
反応系の温度は反応系を冷却しながら反応を行なうことが好ましい。具体的には、反応系の温度を通常10℃以下、中でも5℃以下で、水層が凝固しない温度以上とすることが好ましい。反応時の温度が高過ぎると、選択率が低下する傾向があり、また、反応生成物である4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の加水分解が生じる場合がある。
反応時間は、通常30分以上、中でも60分以上、また、通常5時間以下、中でも2時間以下の範囲が好ましい。上述の反応時間の経過後は、できるだけ早く反応をクエンチ(停止)することが好ましい。
反応のクエンチは、例えば、反応系(水相)に希塩酸(1〜3N程度)、希硫酸(1〜3N程度)等の酸を加えて酸性にすることにより行なう。反応終了後、必要に応じて、粗精製、再結晶精製等の後処理を行なってもよい。
反応生成物の粗精製は、例えば、以下の手順により行なうことができる。例えば、反応系に酢酸エチル等の抽出溶媒を加えて混合し、二層分離を行なう。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)等の乾燥剤を加えて乾燥した上で、溶媒を留去することにより、粗精製物を得ることができる。粗精製物の再結晶精製は、例えば、粗精製物を再結晶用の溶媒に加えて加熱溶解させた後、放冷して再結晶させることにより行なう。再結晶用の溶媒としては、例えば、トルエン、トルエンと酢酸エチルとの混合溶媒、トルエンとエタノールとの混合溶媒等を使用することが出来る。
次に、第二反応においては、塩基存在下、または塩基非存在下、4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物がアシル化され、対応する4−(アシルオキシ)−1−ナフチル)(メタ)アクリレート化合物が得られる。使用されるアシル化剤としては、塩化アセチル、臭化アセチル、塩化プロパノイル、塩化ブタノイル等のカルボン酸ハライド類、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の無水カルボン酸類、さらには塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、塩化−1−ナフトイル、塩化−2−ナフトイル等のカルボン酸ハライド類、安息香酸無水物等の無水カルボン酸類等が挙げられる。
第二反応の原料としては、第一反応で得られた4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物が用いられる。その一部を列記すると例えば、4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、さらには、ナフタレン環にアルキル基が置換した2−メチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にハロゲン原子が置換した2−クロロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−クロロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−クロロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、5−クロロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にアルコキシ基が置換した2−メトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、5−エトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、5−エトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートさらには、ナフタレン環にアリールオキシ基が置換した、2−フェノキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェノキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にアルキルチオ基が置換した2−メチルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−メチルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−エチルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−エチルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートさらには、ナフタレン環にアリールチオ基が置換した2−フェニルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、2−フェニルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート等が挙げられる。
4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物に対するアシル化剤の添加量は、アシル化剤がカルボン酸ハライドの場合は、1モル倍から2モル倍が好ましく、より好ましくは1.1モル倍から1.3モル倍である。1モル倍未満の場合は未反応の4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物が残留し、また、2モル倍を超える場合は、アシル化剤が多量に反応物に残るため、生成物が結晶化し難くなり、いずれも好ましくない。一方、アシル化剤がカルボン酸無水物の場合は、やはり1モル倍以上添加することが好ましいが、2モル倍を超えて添加しても反応に悪影響はなく、液状の場合は、反応溶媒を兼ねて大過剰添加してもよい。
第二反応で使用される塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン等が挙げられる。塩基の使用量は通常、原料の4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物に対して、等モルから3モル倍量添加する。
第二反応は、一般的に溶媒中で行われる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。アシル化剤を溶媒として用いることができる場合もある。溶媒中の4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の濃度としては、通常0.2モル濃度以上が好ましい。
溶媒が芳香族系溶媒の場合は、第二反応の原料である4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の溶媒に対する溶解度が低くスラリー状態となる場合があるが、反応が進行するにともない、可溶化してくるのが一般である。
反応温度は0℃から80℃、好ましくは0℃から20℃である。反応温度が低すぎると反応に時間がかかり、また80℃を超えると不純物濃度が増え、いずれの場合も好ましくない。
反応時間は15分から3時間程度である。反応終了後、アシル化剤がカルボン酸ハライドの場合は、水またはメタノールを加えて未反応のアシル化剤を加水分解した後、濾液に水を添加して析出した 塩酸塩を濾過して除去するとともに生成物を晶析させ、析出した結晶を濾過して白色あるいは黄白色粉末を得る。また、溶媒にアセトンなどの水溶性ケトンを用いた場合は、反応終了後水を加えて未反応のアシル化剤を加水分解した後、さらに水を添加して析出した 塩酸塩を溶かし均一溶液とする。その後当該均一溶液から、徐々に生成物が析出してくるので析出した結晶を濾別することにより白色あるいは黄白色粉末を得ることができる。そして得られた結晶をさらに、例えば、塩化メチレン/メタノールから再結晶し、白色あるいは白黄色の結晶を得ることが出来る。
<ルートB>
上記に4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を得るためのルートAについて述べてきたが、次に、ルートBについて述べる。ルートBにおいて、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、下記一般式(3)に示された4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物を(メタ)アクリル化することより得ることができる。当該4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物は、1,4−ナフタレンジオール化合物をモノアシル化することにより得ることができる。
一般式(3)に於いて、Zはアルキル基、アリール基を示し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基のいずれかを示す。
一般式(3)中、Zで表されるアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの基は、置換基を有していてもよい。
一般式(3)中、X及びYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子,臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基,n−ブトキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
一般式(3)に示す4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物としては、例えば次のものが挙げられる。4−アセチルオキシ−1−ナフトール、4−プロパノイルオキシ−1−ナフトール、4−n−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、4−i−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトール、4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール、4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール等が挙げられる。
さらには、ナフタレン環にハロゲン原子が置換した2−クロロ−4−アセチルオキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−プロパノイルオキシ1−ナフトール、2−クロロ−4−n−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−i−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール、2−クロロ−4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトールが挙げられる。
またさらには、ナフタレン環にアルコキシ基が置換した2−メトキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフトール、2−メトキシ−4−プロパノイルオキシ1−ナフトール、2−メトキシ−4−n−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−メトキシ−4−i−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−メトキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトール、2−メトキシ−4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール、2−メトキシ−4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトールが挙げられる。
またさらには、ナフタレン環にアリールオキシ基が置換した2−フェノキシ−4−アセチルオキシ−1−ナフトール、2−フェノキシ−4−プロパノイルオキシ1−ナフトール、2−フェノキシ−4−n−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−フェノキシ−4−i−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−フェノキシ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトール、2−フェノキシ−4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール、2−フェノキシ−4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール等が挙げられる。
またさらには、ナフタレン環にアルキルチオ基が置換した2−メチルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフトール、2−メチルチオ−4−プロパノイルオキシ1−ナフトール、2−メチルチオ−4−n−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−メチルチオ−4−i−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−メチルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトール、2−メチルチオ−4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール、2−メチルチオ−4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール等が挙げられる。
またさらには、ナフタレン環にアリールチオ基が置換した2−フェニルチオ−4−アセチルオキシ−1−ナフトール、2−フェニルチオ−4−プロパノイルオキシ1−ナフトール、2−フェニルチオ−4−n−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−フェニルチオ−4−i−ブタノイルオキシ−1−ナフトール、2−フェニルチオ−4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトール、2−フェニルチオ−4−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール、2−フェニルチオ−4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1−ナフトール等が挙げられる。
ルートBにおいては、下記反応式に示すように、1,4−ナフタレンジオール化合物をモノアシル化して4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物となす第三反応と、得られた4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物を(メタ)アクリル化する第四反応より、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を合成することができる。
第三反応においては、1,4−ナフタレンジオール化合物がモノアシル化され、対応する4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物が得られる。
第三反応に用いられる1,4−ナフタレンジオール化合物は、第一反応において用いられた化合物と同様の化合物が用いられる。
第三反応における4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物の製造方法は、1,4−ナフタレンジオール化合物とカルボン酸ハライドとを無機塩基の存在下で反応させることからなる。使用されるアシル化剤としては、塩化アセチル、臭化アセチル、塩化プロパノイル、塩化ブタノイル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、塩化−1−ナフトイル、塩化−2−ナフトイル等のカルボン酸ハライド類が挙げられる。
1,4−ナフタレンジオール化合物とカルボン酸ハライドとの使用比率は、1,4−ナフタレンジオール化合物に対するカルボン酸ハライドのモル比で、通常0.5以上、中でも0.8以上、また、通常2未満、中でも1.5以下の範囲とすることが好ましい。カルボン酸ハライドの比率が低過ぎると、未反応の1,4−ナフタレンジオール化合物量が多くなり、原料回収等の処理が必要となる場合がある。一方、カルボン酸ハライドの比率が高過ぎると、1,4−ナフタレンジオール化合物の両方の水酸基がアシル化されたジエステルの副生量が増加する傾向がある。
使用する無機塩基としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)等が挙げられる。中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
無機塩基の使用比率は、1,4−ナフタレンジオール化合物に対する無機塩基の当量比で、通常1.0当量以上、中でも1.2当量以上、また、通常3.0当量以下、中でも2.0当量以下の範囲とすることが好ましい。無機塩基の比率が低過ぎると、酸ハライドの滴下中に水層のpHが酸性になり、選択率が著しく低下する場合がある。一方、無機塩基の比率が高過ぎると、酸ハライドの分解が増える場合がある。
1,4−ナフタレンジオール化合物とカルボン酸ハライドとの反応は、通常は反応溶媒の存在下で行なう。反応溶媒の種類は特に制限されないが、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なうことが好ましい。
水相及び有機相からなる二相系で反応を行なう場合、通常は反応溶媒として、水と、有機相を形成する一又は二以上の有機溶媒とを併用する。有機相を形成する有機溶媒の種類は特に制限されないが、比較的低い極性を示し、水に対して混和性を示さない有機溶媒を用いることが好ましい。このような有機溶媒の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して用いてもよい。中でも、トルエン、キシレン、ヘプタンが好ましく、トルエンを単独で、或いはヘプタンと混合して用いることが特に好ましい。
水相と有機相との比率は、特に制限されるものではないが、水相及び有機相の合計量に対する水相の容積比率が、通常50%以上、95%以下範囲であることが好ましい。水相の割合が少な過ぎても多過ぎても、4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物の選択性が低下する傾向がある。水相及び有機相の合計量に対する1,4−ナフタレンジオール化合物の濃度は、通常0.005g/ml以上、中でも0.03g/ml以上、また、通常0.5g/ml以下、中でも0.3g/ml以下の範囲とすることが好ましい。1,4−ナフタレンジオール化合物の濃度が少な過ぎると、生産効率が低下する場合がある。一方、1,4−ナフタレンジオール化合物の濃度が多過ぎると、選択率が低下する場合がある。また析出固体によるスラリー溶液の攪拌が困難になる場合がある。
反応温度の制御および選択率向上の観点から、カルボン酸を滴下する方法が好ましい。特に、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なう場合には、1,4−ナフタレンジオール化合物を水相及び有機相の二相系溶媒に溶解させ、容器中で攪拌等の手法により混合しながら、(メタ)アクリル酸ハライドを滴下して反応させることが好ましい。
反応系の温度は反応系を冷却しながら反応を行なうことが好ましい。具体的には、反応系の温度を通常10℃以下、中でも5℃以下で、水層が凝固しない温度以上とすることが好ましい。反応時の温度が高過ぎると、選択率が低下する傾向があり、また、反応生成物である4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物の加水分解が生じる場合がある。
反応時間は、通常30分以上、中でも60分以上、また、通常5時間以下、中でも2時間以下の範囲が好ましい。上述の反応時間の経過後は、できるだけ早く反応をクエンチ(停止)することが好ましい。
反応のクエンチは、例えば、反応系(水相)に希塩酸(1〜3N程度)、希硫酸(1〜3N程度)等の酸を加えて酸性にすることにより行なう。反応終了後、必要に応じて、粗精製、再結晶精製等の後処理を行なってもよい。
反応生成物の粗精製は、例えば、以下の手順により行なうことができる。例えば、反応系に酢酸エチル等の抽出溶媒を加えて混合し、二層分離を行なう。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)等の乾燥剤を加えて乾燥した上で、溶媒を留去することにより、粗精製物を得ることができる。粗精製物の再結晶精製は、例えば、粗精製物を再結晶用の溶媒に加えて加熱溶解させた後、放冷して再結晶させることにより行なう。再結晶用の溶媒としては、例えば、トルエン、トルエンと酢酸エチルとの混合溶媒、トルエンとエタノールとの混合溶媒等を使用することが出来る。
次に、第四反応においては、塩基存在下、または塩基非存在下、4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物が(メタ)アクリル化され、対応する4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物が得られる。使用される(メタ)アクリル化剤としてはアクリル酸ハライド、メタクリル酸ハライドが用いられる。具体的な化合物としてはアクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸ブロマイドが挙げられる。
4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物に対する(メタ)アクリル化剤の添加量は、1モル倍から2モル倍が好ましく、より好ましくは1.1モル倍から1.3モル倍である。1モル倍より低いと未反応の4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物が残留し、また、2モル倍を超える場合は、(メタ)アクリル化剤が多量に反応物に残るため、生成物が結晶化し難くなり、いずれも好ましくない。
第四反応で使用される塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン等が挙げられる。塩基の使用量は通常、原料の4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物に対して、等モルから3モル倍量添加する。
第四反応は、一般的に溶媒中で行われる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。アルカノイル化剤又はアリールカルボニル化剤を溶媒として用いることができる場合もある。溶媒中の4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物の濃度としては、通常0.2モル濃度以上が好ましい。
溶媒が芳香族系溶媒の場合は、第四反応の原料である4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物の溶媒に対する溶解度が低くスラリー状態となる場合があるが、反応が進行するにともない、可溶化してくるのが一般である。
反応温度は0℃から80℃、好ましくは0℃から20℃である。反応温度が低すぎると反応に時間がかかり、また80℃を超えると不純物濃度が増え、いずれの場合も好ましくない。
反応時間は15分から3時間程度である。反応終了後、水またはメタノールを加えて未反応の(メタ)アクリル化剤を加水分解した後、濾液に水を添加して析出した 塩酸塩を濾過して除去するとともに生成物を晶析させ、析出した結晶を濾過して白色あるいは黄白色粉末を得る。また、溶媒にアセトンなどの水溶性ケトンを用いた場合は、反応終了後水を加えて未反応の(メタ)アクリル化剤を加水分解した後、さらに水を添加して析出した 塩酸塩を溶かし均一溶液とする。その後当該均一溶液から、徐々に生成物が析出してくるので析出した結晶を濾別することにより白色あるいは黄白色粉末を得ることができる。そして得られた結晶をさらに、例えば、塩化メチレン/メタノールから再結晶し、白色あるいは白黄色の結晶を得ることが出来る。
得られた化合物の同定は、H−NMRスペクトル、IRスペクトルを用いて行い、相当する4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物であることを確認した。
[重合性組成物]
かくして得られた4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、ラジカル重合により、重合物とすることができる。本発明の化合物のラジカル重合を促進するためには、ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。そして、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物とラジカル重合開始剤を混合することによりラジカル重合性組成物とすることができる。
このようなラジカル重合開始剤には、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤とがある。紫外線や可視光線等の活性エネルギー線による光ラジカル重合は、硬化が速く、効率よく透明性の高い重合物を得ることができるので、特に本発明の化合物を光学用途に用いる場合は、光ラジカル重合によることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−イソプロピルチオキサントン、2−t−ブチルアントラキノン等が挙げられる。実際の工業製品としてはチバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア651、イルガキュア184、ダロキュア1173、イルガキュア907、イルガキュア369、ダロキュアTPO、イルガキュア819が挙げられる(イルガキュア、ダロキュアはチバスペシャリティケミカルズ社の登録商標)。
本発明の光ラジカル重合性組成物において、上記のナフタレン化合物、すなわち4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を単独で用いて、重合物とすることもできるが、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物以外の通常のラジカル重合性モノマーを加えて共重合性の光ラジカル重合性組成物として共重合させることも出来る。
共重合させるラジカル重合性モノマーとして、例えば、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレートさらには、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p−トリルアクリレート、p−トリルメタクリレート、m−トリルアクリレート、m−トリルメタクリレート、o−トリルアクリレート、o−トリルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、ビフェニル−4−イル−アクリレート、ビフェニル−4−イル−メタクリレート、4−フェノキシフェニルアクリレート、4−フェノキシフェニルメタクリレート、2−フェノキシフェニルアクリレート、2−フェノキシフェニルメタクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチルアクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
これらのラジカル重合性モノマーと本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物とを共重合することにより、当該4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性モノマー単独での重合に比べ、得られる重合物の屈折率向上のほか、耐溶剤性、硬度、あるいは酸素非透過性などを高めることができる。なお、当該ラジカル重合性化合物に本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を添加した組成物は、比較的低粘度で扱いやすく、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物が実用上もすぐれた化合物であるといえる。
また、2−(ビフェニル−4−イルオキシ)エチルアクリレート、2−(ビフェニル−4−イルオキシ)エチルメタクリレート等のビフェニル系アクリレート、9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのグリシジルエーテルのアクリル酸付加物等のフルオレン系アクリレート等の屈折率の高いラジカル重合性モノマーと共重合させることもできる。
これらのラジカル重合性モノマーは一般的に融液状態で高粘度の化合物であるが、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を添加することにより、得られる重合性組成物の融液状態の粘度を下げることができることから塗膜操作が容易になる。そして、得られる重合物の屈折率を低下させることないことから、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は実用上有効な化合物であるといえる。
これらのラジカル重合性モノマーに対する4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の添加比率は、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の溶解度にもよるが、通常、重合性組成物合計の10重量%以上添加することが好ましい。屈折率上昇の効果を得るには、50重量%以上がさらに好ましい。
光ラジカル重合開始剤の添加濃度は、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物および必要に応じて併用されるラジカル重合性化合物の合計重量に対して0.1〜5重量%の範囲から選ばれ、好ましくは0.5〜2重量%である。0.1重量%より少ないと重合速度が遅く、5重量%より多いと重合物の物性が悪化するので好ましくない。
また、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は熱ラジカル重合開始剤を用いて重合物となす事も出来る。
熱ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ系化合物等のどちらでも使用可能である。有機過酸化物としては、例えばt− ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t− ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,6−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート類等のパーオキシ エステル類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ) −3,3,6− トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、 ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド 類等を挙げることができる。またアゾ系化合物の開始剤 としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビ (シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾニトリル類を挙げることができる。
本発明の重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、希釈剤、着色剤、有機又は無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤等の各種樹脂添加剤を配合してもよい。
[重合方法]
当該光ラジカル重合性組成物の重合はフィルム状で行うことも出来るし、塊状に硬化させることも可能である。フィルム状に重合させる場合は、液状の当該重合性組成物をたとえばポリエステルフィルムなどの基材に、たとえばバーコーターなどを用いて膜厚5〜300ミクロンになるように塗布する。本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、薄膜だけでなく厚膜においても容易に重合させることができる。
このようにして調製した塗布膜に活性エネルギー線を照射することにより重合させることができる。用いられる光源としては、使用する光ラジカル重合開始剤によって異なるが、250〜500nmの波長の活性エネルギー線が用いられる。したがって、上記の波長の活性エネルギー線を照射できる光源として、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、UV−LED、青色LED、白色LED等の光源が使用可能である。また、太陽光線を使用することもできる。特に、本発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物は、UV硬化装置として最も広く用いられている光源である高圧水銀ランプ(波長366nm)をもちいて重合させることができることから、工業的に非常に有用な化合物である。
光ラジカル重合の判定は、タック・フリーテスト(指触テスト)に基づいて行った。すなわち、光照射によりフィルム表面の光ラジカル重合性組成物のタック(べたつき)が取れるまでの時間を硬化時間とした。
このようにして得られた、4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を重合させて得られるフィルム、シートもしくは塊状物は、高い屈折率を示し、またその構造から、紫外線吸収性、高い耐熱性、高硬度、高光沢性等が期待できる工業的に有用なものである。
下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。特記しない限り、すべての部および百分率は重量基準である。
生成物の確認は下記の機器による測定により行った。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)屈折率:アッベ屈折率計:エルマー社製、形式ER−7MW−H
(3)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(4)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
(5)マススペクトル:島津製作所社製、質量分析計、型式GCMS−QP5000
(6)ガスクロマトグラフ:島津製作所製 GC−1700、カラム:CBP1−W25−500
(実施例1)<4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートの合成>
反応容器に、水30.0ml、トルエン4.0ml、水酸化ナトリウム800mg(20.0mmol)、及び1,4−ナフタレンジオール2.0g(12.5mmol)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品のアクリル酸クロライド1.4g(15.0mmol)を、注射器を用いて、反応容器内の混合物に60分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。この際、アクリル酸クロライドの滴下前と、アクリル酸クロライドを30%滴下した時点の2回に分けて、4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートの種結晶を反応液に加えた。酸クロライドを約40%滴下した時点で、相当量の析出物が認められた。滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に15分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料である1,4−ナフタレンジオール5.5%、4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート70.2%、1,4−ジメタクリロイルオキシナフタレン23.6%であった。また、これらの値から求めた4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートの選択率は74.3%であった。この粗精製物にトルエン6.0mlを加え、加熱攪拌下に溶解させた。次いで放冷し、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、灰白色結晶1.2gを得た。この結晶をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度97.0%の4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートであることが確認された。
このものの物理化学的性質を以下に示す。
(1)融点: 108.5−109.4℃
(2)屈折率 n=1.628
(3)IR(KBr,cm−1):1712,1624,1580,1475、1400、1380,1352,1292,1260,1175,1155,1054,963,810,793.759
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ=5.98(bs,1H),6.10(bd,1H)、6.47(d,1H),6.48(dd,1H),6.73(bd,1H),6.97(d,1H),7.40(bdd,1H),7.49(bdd,1H),7.74(bd、1H),8.05(bd,1H).
(5)マススペクトル(EI):214(M+)
(実施例2)<4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートの合成>
反応容器に、水75.0ml、トルエン15.0ml、水酸化ナトリウム1.2g、及び1,4−ナフタレンジオール5.0gを仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品を再蒸留したメタクリル酸クロライド3.5g(33.0mmol)を、滴下漏斗を用いて、反応容器内の混合物に85分間かけて滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。滴下の途中から、多量の結晶の析出が認められた。滴下終了後、反応容器の内温を5℃以下に保ちながら、更に30分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、黒色固体状の粗精製物7.4gを得た。
この粗精製物についてGCによる分析を行なったところ、その組成は、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート87.8%、1,4−ジメタクリロイルオキシナフタレン6.7%であった。
この粗精製物にトルエン23.0mlを加え、90〜100℃の油浴上で攪拌しながら加熱し、溶解させた。次いで放冷し、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、灰白色の結晶6.0gを得た。この結晶をGCにより分析したところ、純度93.4%の4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートであることが確認された。
得られた結晶を、トルエンを用いて同様の手順により再結晶化させたところ、灰白色の結晶5.3gを得た。この結晶をGCにより分析したところ、純度97.5%の4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートであることが確認された。なお、本実施例を通じての4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートの収率(原料の1,4−ナフタレンジオールからの収率)は74.0%であった。
このものの物理化学的性質を以下に示す。
(1)融点: 151.0−151.7℃
(2)屈折率 n=1.615
(3)IR(KBr,cm−1):1705,1636,1588,1392,13559,1330、1268,1210,1172,1140,1062,960,810,763
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ=2.16(bs,3H),5.86(bs,1H),5.95(bs,1H),6.46(d,1H),6.53(bs,1H),6.95(d,1H),7.43(bdd,1H),7.49(bdd,1H),7.74(bd,1H),8.04(bd,1H).
(5)マススペクトル(EI):228(M+)
(実施例3)<4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレートの合成>
温度計、攪拌機付きの300mlの三口ナスフラスコ中、実施例1と同様にして得た4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート8.56g(40ミリモル)を無水酢酸60gに溶解し、氷水で冷やしながらピリジン3.16g(40ミリモル)を加えた。反応温度を5℃に保ち2時間攪拌後、反応液を氷水250ml中に投入することにより次第に結晶が析出した。析出した結晶を濾別洗浄して、4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレートの白い結晶を8.06g(32.0ミリモル)得た。原料の4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートに対する収率は80モル%であった。
(1)融点: 106−107℃
(2)屈折率 n=1.591
(3)IR(KBr,cm−1):1760,1740,1416,1396,1372,1260,1208,1170,1155,1262,1062,802,766.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=2.47(s,3H),6.12(d,J=8Hz,1H),6.47(dd,J=17Hz,J=8Hz,1H),6.73(d,J=17Hz,1H),7.24−7.30(m,2H),7.50−7.60(m,2H),7.84−7.94(m,2H).
(実施例4)<4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレートの合成>
温度計、攪拌機付きの300mlの三口ナスフラスコ中、合成例1と同様にして得た4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート8.56g(40ミリモル)を無水プロピオン酸40gに溶解し、氷水で冷やしながらピリジン7.9g(100ミリモル)を加えた。反応温度を5℃に保ち2時間攪拌後、反応液を氷水400mlに投入し、生成するオイル状物質を塩化メチレンで抽出して水洗後、n−へキサンを加えて濃縮して4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレートの白色結晶を5.0g(18.5ミリモル)得た。原料の4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートに対する収率は46モル%であった。
(1)融点: 44−45℃
(2)屈折率 n=1.577
(3)IR(KBr,cm−1): 1760,1750,1604,1462,1390,1242,1213,1132,1080,1060,980,892,800,760.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.37(t,J=7Hz,3H),2.76(q,J=7Hz,2H),6.13(d,J=8Hz,1H),6.49(dd、J=17Hz,J=8Hz,1H),6.75(d,J=17Hz,1H),7.23−7.33(m,2H),7.49−7.60(m,2H),7.82−7.94(m,2H).
(実施例5)<4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレートの合成>
温度計、攪拌機付きの300mlの三口フラスコ中、4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート8.56g(40ミリモル)をアセトン80mlに溶解し、氷水で冷やしながら塩化ベンゾイル5.6g(40ミリモル)を加えた。次に、トリエチルアミン4.04g(40ミリモル)のアセトン10ml溶液を調製し、三口フラスコを氷水で冷却しながら、該溶液をゆっくり加えた。直ちに白色沈殿が生じるので、さらに1時間攪拌した。その後、定法により後処理し、4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレートの白い結晶を9.2g(28.9ミリモル)得た。原料の4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートに対する収率は72モル%であった。
(1)融点: 65−66℃
(2)屈折率: n=1.621
(3)IR(KBr,cm−1): 1750,1738,1600,1464,1450,1390,1260,1220,1140,1082,892,800,760,704.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=6.13(d,J=8Hz,1H),6.51(dd、J=17Hz,J=8Hz,1H),6.76(d,J=17Hz,1H),7.33−7.43(m,2H),7.50−7.64(m,4H),7.64−7.73(m,1H),7.90−8.00(m,1H),8.34(d,J=6Hz,2H).
(実施例6)<4−アセチルオキシ−1−ナフトールの合成>
反応容器に、水30.0ml、トルエン10.0ml、水酸化ナトリウム800mg(20.0mmol)、及び1,4−ナフタレンジオール2.0g(12.5mmol)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品のアセチルクロライド1.2g(15.0mmol)を、注射器を用いて、反応容器内の混合物に40分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に15分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、得られた有機相を高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、その組成は、残存原料である1,4−ナフタレンジオール17.6%、4−アセチルオキシ−1−ナフトール66.9%、1,4−ジアセチルオキシナフタレン20.9%であった。粗体をトルエンで再結晶することで灰白色の結晶、1.37gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−アセチルオキシ−1−ナフトールは86.6%であった。
この化合物の融点、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:134.0−135.5℃
(2)屈折率: n=1.622
(3)IR(KBr,cm−1): 1745,1588,1480,1393,1375,1358、1230,1068,1010、905,828,776,760.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=2.45(s,3H),6.20(s,1H),6.45(d,1H),6.92(d,1H),7.40−7.56(m,2H),7.71−7.78(m,1H),8.02−8.11(m,1H).
(実施例7)<4−プロパノイルオキシ−1−ナフトールの合成>
反応容器に、水30.0ml、トルエン10.0ml、水酸化ナトリウム650mg(16.2mmol)、及び1,4−ナフタレンジオール2.0g(12.5mmol)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品のプロピオニルクロライド1.25g(13.1mmol)を、注射器を用いて、反応容器内の混合物に60分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に15分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、得られた有機相を高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、その組成は、4−プロパノイルオキシ−1−ナフトール69.0%、ナフタレン−1,4−ジプロパノエート19.6%であった。粗体をトルエンで再結晶することで淡黄色の結晶、1.22gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−アセチルオキシ−1−ナフトールは97.0%、であった。
この化合物の融点、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:115.0−116.0℃
(2)屈折率: n=1.611
(3)IR(KBr,cm−1): 1734,1602、1588,1390,1357,1268、1175,1158,1010、1084、1062、816,764,755.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.38(t,3H),2.78(q,2H),6.50(d,1H),6.94(d,1H),7.39−7.53(m,2H),7.70−7.77(m、1H),8.02−8.10(m,1H).
(実施例8)<4−(n−ブタノイルオキシ)−1−ナフトールの合成>
反応容器に、水30.0ml、トルエン10.0ml、水酸化ナトリウム800mg(20.0mmol)、及び1,4−ナフタレンジオール2.0g(12.5mmol)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品のブチロイルクロライド1.6g(14.5mmol)を、注射器を用いて、反応容器内の混合物に40分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に30分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、得られた有機相を高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、その組成は、4−ブタノイルオキシ−1−ナフトール68.6%、ナフタレン−1,4−ジブチレート18.0%であった。粗体をトルエンで再結晶することで淡褐色の結晶、1.07gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−ブタノイルオキシ−1−ナフトールは76.2%であった。この結晶にクロロホルムを加えて抽出。不溶物を濾過で除いた後、クロロホルムを留去すると淡褐色結晶、0.80gが得られた。このものの4−ブタノイルオキシ−1−ナフトール純度は93.0%であった。
この化合物の融点、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:157.2−158.5℃
(2)屈折率: n=1.584
(3)IR(KBr,cm−1): 1740,1586、1477,1390,1350、1262,1168,1148、824,768,752.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.12(t,3H),1.83−1.97(m,2H),2.73(t,2H),5.92(brs,1H),6.46(d,1H),6.91(d,1H),7.40−7.53(m,2H),7.72(d,1H),8.04(d,1H).
(実施例9)<4−(i−ブタノイルオキシ)−1−ナフトールの合成>
反応容器に、水20.0ml、トルエン20.0ml、水酸化ナトリウム580mg(14.4mmol)、及び1,4−ナフタレンジオール2.0g(12.5mmol)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品イソブチリルクロライド1.4g(13.1mmol)を、注射器を用いて、反応容器内の混合物に55分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に20分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。通常の後処理によって得た有機相を高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、その組成は、残存原料である1,4−ナフタレンジオール7.6%、4−(i−ブタノイルオキシ)−1−ナフトール74.1%、ナフタレン−1,4−ジイソブチレート14.0%であった。粗体をトルエンーノルマルヘキサン混合溶媒で再結晶することで灰白色の結晶、1.27gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(i−ブタノイルオキシ)−1−ナフトールは93.7%であった。
この化合物の融点、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:159.5−162.4℃
(2)IR(KBr,cm−1): 1736,1644、1600、1482,1393,1342、1268,1154,1060、824,763,743.
(3)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.46(d,6H),2.94−3.08(m,1H),5.91(brs,1H),6.48(t,1H),6.87−6.96(m,1H),7.39−7.56(m,2H),7.70−7.78(m,1H),8.01−8.08(m,1H).
(実施例10)<4−(i−ペンタノイルオキシ)−1−ナフトールの合成>
酸クロライドとして、イソブチリルクロライドの代わりに市販のイソバレリルクロライドを用いた以外は、実施例9と同様に行い、黒褐色の粗体、2.4gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、その組成は、残存原料である1,4−ナフタレンジオール6.0%、4−(i−ペンタノイルオキシ)−1−ナフトール78.1%、ナフタレン−1,4−ジイソペンタノエート11.5%であった。粗体にヘキサンを加えると褐色の結晶、1.5gが得られた。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(i−ペンタノイルオキシ)−1−ナフトールは90.8%であった。この結晶を更にトルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶することで、純度97.0%の4−(i−ペンタノイルオキシ)−1−ナフトールが得られた。
この化合物の融点、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:56.3−57.8℃
(3)屈折率: n=1.574
(3)IR(KBr,cm−1): 1732,1588、1480,1390,1357、1300,1265,1084、836,775,757.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.13(d,6H),2.30−2.44(m,1H),2.62(d,2H),6.00(brs,1H),6.52(d,1H),6.94(d,1H),7.40−7.56(m,2H),7.77(d,1H),8.07(d,1H).
(実施例11)<4−(n−ペンタノイルオキシ)−1−ナフトールの合成>
酸クロライドとして、イソブチリルクロライドの代わりに市販のバレリルクロライドを用いた以外は、実施例9と同様に行い、黒褐色の粗体、2.7gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、その組成は、残存原料である1,4−ナフタレンジオール2.9%、4−(n−ペンタノイルオキシ)−1−ナフトール83.6%、ナフタレン−1,4−ジペンタノエート9.2%であった。粗体をトルエンーノルマルヘキサン混合溶媒で再結晶することで灰白色の結晶、1.9gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(n−ペンタノイルオキシ)−1−ナフトールは92.6%であった。
この化合物の融点、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:92.1−93.3℃
(2)屈折率: n=1.596
(3)IR(KBr,cm−1): 1743,1643、1600、1594,1387,1355、1262,1170,1157、1064、825,764,744.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.01(t,3H),1.42−1.58(m,2H),1.76−1.92(m,2H),2.67−2.80(m,2H),6.08(s,1H),6.43(d,1H),6.91(d,1H),7.37−7.53(m,2H),7.71(d,1H),8.04(d,1H),
(実施例12)<4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトールの合成>
酸クロライドとして、イソブチリルクロライドの代わりに市販のベンゾイルクロライドを用いた以外は、実施例9と同様に行い、 紫色の粗体、3.1gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、その組成は、残存原料である1,4−ナフタレンジオール0.2%、4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトール63.5%、ナフタレン−1,4−ジベンゾエート30.3%であった。粗体をトルエンを用いて再結晶することで微黄色の結晶、1.6gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−ベンゾイルオキシ−1−ナフトールは94.8%であった。
この化合物の融点、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す
(1)融点:153.6−154.9℃
(2)屈折率: n=1.669
(3)IR(KBr,cm−1): 1718,1605、1590,1395,1357、1264,1097、758,712.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=6.07(brs,1H),6.55(d,1H),7.07(d,1H),7.41−7.62(m,4H),7.63−7.74(m,1H),7.78−7.85(m,1H),8.02−8.13(m,1H),8.27−8.35(m,2H).
(実施例13)<4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの合成>
反応容器に、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン6.6g(65.7mmol)、及び実施例2と同様にして合成した4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート5.0g(21.9mmol)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品アセチルクロライド2.75g(21.9mmol)を、アセトニトリル20mlに溶かした液を、反応容器内の混合物に40分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、室温にもどし、更に30分間攪拌を続けた。その後、水及び酢酸エチルを加え二層分離して有機層を得た。この有機層を飽和重曹水次いで水で洗浄後、溶媒を留去し、褐色液体の粗体、4.6gを得た。機相を高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート86.7%であった。粗体をトルエン−ノルマルヘキサン混合溶媒で再結晶することで淡褐色の結晶、3.0gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの純度は97.9%であった。所望により、この結晶を活性炭で処理することにより白色の結晶を得ることができる。
この化合物の融点、屈折率、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:103−104℃
(2)屈折率: n=1.584
(3)IR(KBr,cm−1):1770,1735,1640、1605、1396、1378,1320,1205,1128,955,900,770.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=2.13(s,3H),2.46(s,3H),5.85(s,1H),6.49(s,1H),7.21−7.31(m,2H),7.48−7.58(m,2H),7.82−7.91(m,2H).
(実施例14)<4−(i−ブタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレートの合成>
反応容器に、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン5.3g(52.4mmol)、及び実施例9と同様にして合成した4−(i−ブタノイルオキシ)−1−ナフトール4.0g(17.5mmol)を仕込んだ。ついで窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品アクリロイルクロライド2.8g(31.4mmol)を、アセトニトリリル10mlに溶かした液を、反応容器内の混合物に55分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、室温にもどし、更に20分間攪拌を続けた。その後、水及び酢酸エチルを加え二層分離して有機層を得た。この有機層を飽和重曹水次いで水で洗浄後、溶媒を留去し、赤褐色液体の粗体、4.8gを得た。機相を高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(i−ブタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレート87.4%であった。粗体をトルエンーノルマルヘキサン混合溶媒で再結晶することで淡黄色の結晶、2.1gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(i−ブタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレートの純度は89.2%であった。所望により、この結晶を活性炭で処理することにより白色の結晶を得ることができる。
この化合物の融点、屈折率、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:55−56℃
(2)屈折率: n=1.5640
(3)IR(KBr,cm−1):1758,1750,1638、1607、1470、1470、1410,1392,1228,1144,1130,988,756.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.43(d,6H),2.94−3.06(m,1H),6.08(d,1H),6.47(dd,1H),6.72(d,1H),7.20−7.31(m,2H),7.48−7.56(m,2H),7.81−7.92(m,2H).
(実施例15)<4−(n−ペンタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレートの合成>
反応容器に、アセトニトリル40ml、トリエチルアミン5.7g(56.0mmol)、及び実施例1と同様にして合成した4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート4.0g(18.7mmol)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品バレリルクロライド4.1g(33.1mmol)をアセトニトリリル10mlに溶かした液を、反応容器内の混合物に52分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、室温にもどし、更に30分間攪拌を続けた。その後、水及び酢酸エチルを加え二層分離して有機層を得た。この有機層を飽和重曹水次いで水で洗浄後、溶媒を留去し、褐色液体の粗体、5.4gを得た。有機相を高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(n−ペンタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレート94.6%であった。粗体3.7gをクーゲル・ロア蒸留装置を用いて減圧蒸留。5−6mmHg減圧下、235−245℃で淡黄色液体、2.0gが留出した。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(n−ペンタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレートの純度は96.9%であった。なお、このものは保存中に結晶化した。
この化合物の融点、屈折率、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:27−28℃
(2)屈折率: n=1.560
(3)IR(KBr,cm−1):1758,1638,1606、1470,1410,1395、1210,1140,1105,990,898,760.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.03(t,3H),1.42−1.60(m,2H),1.80−1.92(m,2H),2.92(t,2H),6.10(d,1H),6.47(dd,1H),6.72(d,1H),7.20−7.32(m,2H),7.48−7.58(m,2H),7.82−7.92(m,2H).
(実施例16)<4−(i−ペンタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレートの合成>
酸クロライドとして、バレリルクロライドの代わりに市販のイソバレリルクロライドを用いた以外は、実施例15と同様に行い、粗体として淡褐色個体、4.7gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(i−ペンタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレート96.8%であった。粗体をトルエンに溶かし、活性炭処理後、トルエンーノルマルヘキサン混合溶媒で再結晶することで白色の結晶、1.5gを得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−(i−ペンタノイルオキシ)−1−ナフチルアクリレートの純度は98.3%であった。
この化合物の融点、屈折率、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:69−70℃
(2)屈折率: n=1.564
(3)IR(KBr,cm−1):1760,1746,1640、1608、1470、1410、1397,1302,1256,1222,1170,1150,1060,995,915、773.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.4(d,6H),2.27−2.43(m,1H),2.61(d,2H),6.10(d,1H),6.49(dd,1H),6.72(d,1H),7.22−7.32(m,2H),7.49−7.59(m,2H),7.83−7.93(m,2H),
(実施例17)<4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの合成>
酸クロライドとして、アセチルクロライドの代わりに市販のプロパノイルクロライドを用いた以外は、実施例13と同様に行い、粗体として濃褐色色液体を得た。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレート96.8%であった。粗体5.0gをクーゲル・ロア蒸留装置を用いて減圧蒸留。4mmHg減圧下、210−225℃で淡黄色液体、2.4gが留出した。高速液体クロマトグラフィー(LC)で分析したところ、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの純度は97.5%であった。所望により、トルエンから再結晶できる。
この化合物の融点、屈折率、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点:35−36℃
(2)屈折率: n=1.571
(3)IR(KBr,cm−1):1760,1735,1637、1596、1460,1383、1312,1258,1216,1114,883,800,752.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=1.38(t,3H),2.17(s,3H),2.78(q,2H),5.84(s,1H),6.50(s,1H),7.22−7.30(m,2H),7.48−7.59(m,2H),7.82−7.92(m,2H).
(実施例18)<4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの合成>
温度計、攪拌機付きの300mlの三口フラスコ中、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート4.56g(20ミリモル)をアセトン40mlに溶解し、氷水で冷やしながら塩化ベンゾイル 2.8g(20ミリモル)を加えた。次に、トリエチルアミン 4.04g(40ミリモル)のアセトン10ml溶液を調製し、三口フラスコを氷水で冷却しながら、該溶液をゆっくり加えた。直ちに白色沈殿が生じるので、さらに1時間攪拌した。その後、定法により後処理し、4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの白い結晶を3.6g(11ミリモル)得た。原料の4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートに対する収率は55モル%であった。
この化合物の融点、屈折率、IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを下に示す。
(1)融点: 70−71℃
(2)屈折率: n=1.616
(3)IR(KBr,cm−1): 2970,1740,1720,1640,1600,1452,1390,1320,1256,1220,1120,1082,1068,1020,946,892,758,711.
(4)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=2.17(s,3H),5.88(s,1H),6.53(s,1H),7.30−7.41(m,2H),7.49−7.62(m,4H),7.70−7.79(m,1H),7.90−8.01(m,1H),8.33(d,J=6Hz,2H).
(実施例19)<4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの共重合>
実施例3と同様にして合成した4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート70部、トリメチロールプロパントリアクリレート30部に対し、光ラジカル重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)0.5部を混合し、120℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた光ラジカル重合性組成物の融液をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上に膜厚が0.2mmになるように塗布し、その後、窒素雰囲気下、120℃に保温した状態で、表面に高圧水銀ランプ(波長366nmにおける照射強度が1mW/cm)を3分間照射し光ラジカル重合物を得た。
重合物の屈折率を測定したところ(測定機器:エルマーER−7MW−H)n=1.591であった。一般にこの種の化合物は重合することにより、元のモノマーより屈折率が高くなることが予想されるが、もともとの、重合性組成物の屈折率はn=1.555であり、屈折率の値は0.036向上しており、この点においても重合したことが確認された。
(実施例20)<4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの共重合>
実施例5と同様にして合成した4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート70部、トリメチロールプロパントリアクリレート30部に対し、開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)0.5部を混合し、85℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた光ラジカル重合性組成物の融液をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上に膜厚が0.2mmになるように塗布し、その後、窒素雰囲気下、80℃に保温した状態で、表面に高圧水銀ランプ(波長366nmにおける照射強度が1mW/cm)を3分間照射し光ラジカル重合物を得た。
重合物の屈折率を測定したところ(測定機器:エルマーER−7MW−H)n=1.602であった。もともとの、重合性組成物の屈折率はn=1.576であり、屈折率の値は0.026向上しており、重合したことが分かる。
(実施例21)<4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの共重合>
実施例13と同様にして合成した4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレート46部、トリメチロールプロパントリアクリレート54部に対し、光ラジカル重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)0.5部を混合し、120℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた光ラジカル重合性組成物の融液をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上に膜厚が0.2mmになるように塗布し、その後、窒素雰囲気下、120℃に保温した状態で、表面に高圧水銀ランプ(波長366nmにおける照射強度が1mW/cm)を3分間照射し光ラジカル重合物を得た。
重合物の屈折率を測定したところ(測定機器:エルマーER−7MW−H)n=1.556であった。一般にこの種の化合物は重合することにより、元のモノマーより屈折率が高くなることが予想されるが、もともとの、重合性組成物の屈折率はn=1.517であり、屈折率の値は0.04向上しており、この点においても重合したことが確認された。
(比較例1)<4−メトキシ−1−ナフチルアクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートの光共重合の試み>
4−メトキシ−1−ナフチルアクリレート(特開昭62−192340号公報の実施例3に記載の化合物)70部、トリメチロールプロパントリアクリレート30部に対し2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)0.5部を混合し、70℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた光ラジカル重合性組成物の融液をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上に膜厚が0.3mmになるように塗布し、その後、窒素雰囲気下、70℃に保温した状態で、表面に高圧水銀ランプ(波長366nmにおける照射強度が1mW/cm)を10分間照射した後も全く硬化しなかった。
以上の結果より、本願発明の4−(アシルオキシ)ナフチル−1−(メタ)アクリレート化合物が高圧水銀ランプでも重合可能な工業的に有利な化合物であることがいえる。また、トリメチロールプロパントリアクリレートの単独重合物の屈折率(n)が1.538であることから、本願発明の4−(アシルオキシ)ナフチル−1−(メタ)アクリレート化合物を共重合させることにより、重合物の屈折率を高めることができることが分かる。
(実施例22)<4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレートと9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンとの共重合のための9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンの合成>
温度計、攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン1.0g(2.3ミリモル)、トルエン10ml、アクリル酸メチル3.9g(46ミリモル)、TEMPO10mg、チタニウムテトライソプロポキシド0.1g(0.2ミリモル)を仕込み、オイルバスで105℃に加熱下アクリル酸メチルを抜き出しながら9時間攪拌した。その後,定法により後処理し、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンの薄桃色オイルを0.9g(1.6ミリモル)得た。原料の9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンに対する収率は60モル%であった。
(実施例23)<4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレートと9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンとの共重合>
実施例3と同様にして合成した4−アセチルオキシ−1−ナフチルアクリレート70部と上記記載の方法で合成した9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30部を混合し、この混合物に対して光ラジカル重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)0.5部を添加し、120℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた光ラジカル重合性組成物の融液の粘度は低く、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上に膜厚が0.2mmになるように容易に塗布することが可能であった。塗布後、窒素雰囲気下、120℃に保温した状態で、表面に高圧水銀ランプ(波長366nmにおける照射強度が1mW/cm)を3分間照射し光ラジカル重合物を得た。
重合物の屈折率を測定したところ(測定機器:エルマーER−7MW−H)n=1.618であった。もともとの、重合性組成物の屈折率はn=1.598であり、屈折率の値は0.020向上しており、重合したことが分かる。
(実施例24)<4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレートと9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンとの共重合>
実施例5と同様にして合成した4−ベンゾイルオキシ−1−ナフチルアクリレート70部、実施例21と同様にして合成した9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30部に対し、光ラジカル重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)0.5部を混合し、85℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた光ラジカル重合性組成物の融液の粘度は低く、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上に膜厚が0.2mmになるように容易に塗布することが可能であった。塗布後、窒素雰囲気下、80℃に保温した状態で、表面に高圧水銀ランプ(波長366nmにおける照射強度が1mW/cm)を3分間照射し光ラジカル重合物を得た。
重合物の屈折率を測定したところ(測定機器:エルマーER−7MW−H)n=1.638であった。もともとの、重合性組成物の屈折率はn=1.619であり、屈折率の値は0.019向上しており、重合したことが分かる。
(比較例2)<4−メトキシ−1−ナフチルアクリレートと9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンの光共重合の試み>
4−メトキシ−1−ナフチルアクリレート(特開昭62−192340公報の実施例3に記載の化合物)70部、実施例20と同様にして合成した9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30部に対し2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)0.5部を混合し、90℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた光ラジカル重合性組成物の融液をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上に膜厚が0.3mmになるように塗布し、その後、窒素雰囲気下、70℃に保温した状態で、表面に高圧水銀ランプ(波長366nmにおける照射強度が1mW/cm)を15分間照射した後も全く硬化しなかった。
(実施例25)4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレートの添加による9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシフェニル]フルオレンの溶融粘度低減効果実験
実施例4と同様にして合成した4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート100部と実施例22と同様にして合成した9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン100部を混合し、ホットプレート上で60℃に加熱して均一な融液とした。この融液を10gとり、CBC社製 粘度計 Viscometer Model VM−10Aを用い、融液の温度を上げながら、その粘度を測定した。同様に、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレート単独での粘度及び9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン単独での粘度を測定した。その結果を図1に示す。図中では、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレートはAc−HN(プロピオニル)と略す。また、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンはフルオレン型アクリレートと略す。
この結果から、4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレートは、融液状態において粘度が非常に低いことが分かる。また、高粘度の9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンに対して一対一で本発明の4−プロパノイルオキシ−1−ナフチルアクリレートを添加することにより、当該混合物の融液粘度が9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンの粘度に対して大幅に低下することが分かった。
以上の結果より、本願発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物が高圧水銀ランプでも重合可能な工業的に有利な化合物であることがいえる。また、高屈折率であるが高粘度の9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンの様な化合物に本願発明の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物を混合することにより、融液の粘度を下げ、塗布を容易にすることができ、かつ屈折率の高い重合物得ることができる。






Claims (6)

  1. 一般式(1)で示される4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物。

    (一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zはアルキル基又はアリール基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基のいずれかを示す。)
  2. 4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物をアシル化することよりなる請求項1記載の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
  3. 4−(アシルオキシ)−1−ナフトール化合物を(メタ)アクリル化することよりなる請求項1記載の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
  4. 請求項1に記載の4−(アシルオキシ)−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物及び重合開始剤を含有する重合性組成物。
  5. 請求項4に記載の重合性組成物を重合してなる重合物。
  6. 請求項5に記載の重合物を含有する高屈折材料。













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