JP2002030082A - 重合性チオ(メタ)アクリレート化合物 - Google Patents

重合性チオ(メタ)アクリレート化合物

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JP2002030082A
JP2002030082A JP2000218548A JP2000218548A JP2002030082A JP 2002030082 A JP2002030082 A JP 2002030082A JP 2000218548 A JP2000218548 A JP 2000218548A JP 2000218548 A JP2000218548 A JP 2000218548A JP 2002030082 A JP2002030082 A JP 2002030082A
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thio
acrylate
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Tadashi Hara
忠司 原
Rikihiro Mori
力宏 森
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屈折率およびアッベ数が高く、耐光性に優れ
た硬化体を与え、さらにそれ自体の保存安定性が優れた
重合性単量体を提供する。 【解決手段】 分子内にジチアン環、チオエーテル結
合、及びチオエステル結合を有する、例えば下記構造式 【化1】 で示されるような重合性不飽和結合を2個有するジチア
ン環含有チオ(メタ)アクリレート化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性樹脂、特に
眼鏡用プラスチックレンズ等の光学材料の製造原料に適
した重合性単量体に関する。詳しくは、特に高屈折率、
高アッベ数で、光学特性に優れ、さらに成型加工時に悪
臭の少ない透明性樹脂の製造に好適な重合性チオ(メ
タ)アクリレート化合物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、無機ガラスに代わる有機ガラスに
ついては種々研究されているが、欠点も多く、まだ十分
に満足しうる性状のものは得られていない。例えばメチ
ルメタクリレートやジエチレングリコールビス(アリル
カーボネート)を主成分とする重合性単量体を重合した
硬化体は、光学材料やレンズとして使用されているが、
その屈折率は約1.50と低い。
【0003】近年、屈折率を高めるため、硫黄原子を分
子構造中に導入することが種々検討されている。例えば
特開昭63−162671号公報や特開昭63−188
660号公報には、スルフィド構造を有するチオ(メ
タ)アクリレート系重合性単量体が開示されている。ま
た、特開平4−161411号公報にはジチアン環を有
するチオ(メタ)アクリレート系重合性単量体を重合硬
化させてなる重合体が開示されている。これらの重合性
単量体を重合硬化して得られた硬化体の屈折率は約1.
58〜1.63と従来の硬化体に比べ改良されているも
のの、十分とは言い難い。さらに成型加工時の臭気も甚
だしい。
【0004】さらに、特開平2−258819号公報に
は4,4‘−ジメルカプトジフェニルスルフィドのジチ
オメタクリレートが開示されている。この化合物を重合
硬化した硬化体は屈折率が1.68とかなり高く、成型
加工時の臭気も小さくなっているものの、アッベ数が非
常に低く、さらに極めて耐光性が悪いといった問題があ
った。
【0005】また、特開平8−12669号公報にはジ
チアン環を有する芳香族ビニル化合物が開示されてい
る。この化合物を重合硬化させてなる硬化体は、屈折率
は1.66と高いもののアッベ数は31と低く、アッベ
数の向上が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
光学材料用重合性単量体の問題点を解決し、硬化体の屈
折率及びアッベ数が高く、耐光性に優れ、さらに成型加
工時の臭気が少ない重合性単量体を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を行った結果、主鎖中にジチア
ン環を有する特定構造のチオ(メタ)アクリレート化合
物が前記の要求物件を満たす重合性単量体であることを
見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明は下記一般式(1)
【0009】
【化4】
【0010】〔式中、R1及びR2は、互いに独立に、炭
素数2〜4のアルキレン基または炭素数6〜12のアリ
ーレン基であり、R3は下記式
【0011】
【化5】
【0012】{式中、R6は炭素数2〜4のアルキレン
基、炭素数6〜12のアリーレン基、芳香族複素環基、
または下記式
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R7、R8,R9及びR10は、互い
に独立に、フッ素原子を除くハロゲン原子または水素原
子であり、R11は炭素数1〜3のアルキレン基または硫
黄原子である。)であり、qは0〜4の整数である。}
で示される基であり、R4及びR5は、互いに独立に水素
原子またはメチル基であり、pは0〜6の整数であり、
m及びnは互いに独立に0〜6の整数であり、但し上記
アルキレン基、アリーレン基および芳香族複素環基はい
ずれも置換基によってさらに置換されていてもよく、p
が0の時は、m及びnは1または2でないものとする〕
で示される重合性チオ(メタ)アクリレート化合物であ
る。
【0015】他の発明は、上記重合性チオ(メタ)アク
リレート化合物を含んでなる重合性組成物の硬化体から
なることを特徴とする光学材料用硬化体である。好まし
くは、重合性チオ(メタ)アクリレート化合物10〜9
8重量%並びに該重合性チオ(メタ)アクリレート化合
物と共重合可能な重合性単量体90〜2重量%を含有し
てなる重合性組成物の硬化体からなる光学材料用硬化体
である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の重合性チオ(メタ)アク
リレート化合物は上記一般式(1)で表される。前記一
般式(1)において、R1およびR2は互いに独立に炭素
数2〜4のアルキレン基、または炭素数6〜12のアリ
ーレン基である。これらの基は置換基によりさらに置換
されていても良い。
【0017】上記炭素数2〜4のアルキレン基として
は、具体的にはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基
等を挙げることができる。この中でも、特に、得られる
硬化体の高屈折率化の観点から、エチレン基が好まし
い。また、上記炭素数6〜12のアリーレン基として
は、具体的にはフェニレン基、ナフチレン基等を挙げる
ことができる。
【0018】また、これらのアルキレン基やアリーレン
基を置換することができる置換基としては、公知の基が
何ら制限無く用いられるが、アルキル基、アリール基、
アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、芳香族
複素環基、フッ素を除くハロゲン原子等が好ましい。以
下、これら置換基について説明する。置換基としてのア
ルキル基としては、公知の基が何ら制限無く用いられる
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキ
ル基が好ましい。
【0019】置換基としてのアリール基としては、公知
の基が何ら制限無く用いられるが、フェニル基、トリル
基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が好ま
しい。
【0020】置換基としてのアラルキル基としては、公
知の基が何ら制限無く用いることができるが、ベンジル
基、フェネチル基等の炭素数7〜11のアラルキル基が
好ましい。置換基としてのアルコキシ基としては、公知
の基が何ら制限無く用いられるが、メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、
t−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が好ま
しい。
【0021】置換基としてのアルキルチオ基としては、
公知の基が何ら制限無く用いられるが、メチルチオ基、
エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、
ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等の炭素数1〜4のア
ルキルチオ基が好ましい。
【0022】置換基としての芳香族複素環基としては、
公知の基が何ら制限無く用いられるが、チエニル基、フ
リル基、ベンゾチエニル基等の炭素数4〜10の芳香族
複素環基が好ましい。
【0023】置換基としてのフッ素を除くハロゲン原子
としては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、得られる
硬化体の屈折率や耐光性の観点から臭素が好ましく、し
かもアリーレン基に置換した臭素がより好ましい。即
ち、R1およびR2としては、臭素置換のアリーレン基が
好ましい。
【0024】これら置換基の置換数は1又は2以上であ
るが、屈折率の観点から4以下であるのが好適である。
また、置換基の数が2以上の時は、それぞれ異なる置換
基であることができる。
【0025】前記一般式(1)中のR3は、下記式で表
される基である。
【0026】
【化7】
【0027】上記式において、(−R6−S−)のユニ
ット数を表すqは、0〜4の整数である。該qとして
は、得られる硬化体の耐熱性の観点から0〜2の整数が
好ましい。なお、qが0のときは単なる結合手を表す。
【0028】また、上記ユニット中のR6は、炭素数2
〜4のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、
芳香族複素環基、または下記式で示される基である。
【0029】
【化8】
【0030】但し、上記式中のR7、R8、R9、および
10は、互いに独立に、フッ素原子を除くハロゲン原子
または水素原子であるが、屈折率や耐光性の観点から、
全てが臭素原子であるのが好ましい。また、同式中のR
11は、炭素数1〜3のアルキレン基または硫黄原子であ
る。具体的な該アルキレン基としては、メチレン基、エ
チレン基、プロピレン基を挙げることができる。R11
ついては、得られる硬化体の屈折率の高さや原料の入手
しやすさの観点からは硫黄原子であるのが好ましく、耐
光性の観点からはアルキレン基であるのが好ましい。
【0031】前記R6としてのアルキレン基及びアリー
レン基はさらに置換基によって置換されていても良い。
該置換基としては、R1及びR2の説明で前記したものと
同じものを挙げることができるが、屈折率、アッベ数の
バランスの観点から、エチレン基、イソプロピレン基、
又はフェニレン基が好適であり、中でもエチレン基、又
はイソプロピレン基が特に好適である。
【0032】また、前記R6としての芳香族複素環基と
しては、公知の基が何ら制限無く用いられるが、チエニ
ル基、フリル基、ベンゾチエニル基等の炭素数4〜10
の芳香族複素環基、又はこれらの基にR1及びR2の項で
記した置換基が1又は2以上置換した基が好ましい。
【0033】前記一般式(1)中のR4およびR5は、互
いに独立に水素原子またはメチル基であるが、化合物の
保存安定性の観点から、メチル基であるのが好ましい。
【0034】前記一般式(1)において、ジチアン環を
含む構造ユニットの繰り返し数を表すpは、0〜6の整
数であるが、得られる硬化体の耐熱性の観点から0〜3
の整数であるのが好ましい。なお、前記一般式(1)に
おいてジチアン環に結合する−CH2−基(pが0の場
合)及び−CH2−R3−CH2−基(pが0以外の場
合)の結合位置は、各ジチアン環が2,5−置換1,4
−ジチアン環となるような位置であっても、2,6−置
換1,4−ジチアン環となるような位置であってもよ
い。さらにpが1以上のときは、これらが任意に混合し
たような位置であってもよい。
【0035】また、前記一般式(1)において、ユニッ
ト(−R1−S−)及びユニット(−R2−S−)の繰り
返し数をそれぞれ表すmおよびnは、上記pの値によっ
て異なる。すなわち、pが0のときは、mとnは互いに
独立に3〜6の整数であり、pが0でないときは、mと
nは互いに独立に0〜6の整数である。得られる硬化体
の耐熱性の観点から、より好ましいm及びnは、pが0
の場合はそれぞれ独立に3または4であり、pが0でな
いときはそれぞれ独立に0〜4の整数である。
【0036】前記一般式(1)で示される本発明の重合
性チオ(メタ)アクリレート化合物のうち、原料の入手
しやすさ及び合成の容易さの観点から、下記一般式
(2)で表される重合性チオ(メタ)アクリレート化合
物を更に好ましいものとして挙げることができる。
【0037】
【化9】
【0038】(式中、R12およびR13は、互いに独立に
水素原子またはメチル基であり、rは0〜2の整数であ
り、sは0〜3の整数であり、tとuは互いに独立に0
〜4の整数であり、但しsが0のときは、tおよびuは
3または4である。) 本発明の重合性チオ(メタ)アクリレート化合物を具体
的に例示すれば、下記構造のものを挙げることができ
る。
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】本発明の重合性チオ(メタ)アクリレート
化合物は、例えば次のような手段によってその構造を同
定、確認することができる。
【0046】(ア) 赤外吸収スペクトル(IR)を測
定することにより、1600〜1650cm-1付近に末
端の不飽和炭化水素基に基づく吸収、1700〜175
0cm-1付近にチオエステル結合のカルボニル基に基づ
く強い吸収を観察することができる。
【0047】(イ) 1H−核磁気共鳴スペクトル(1
−NMR)を測定することにより、単量体中に存在する
水素原子の結合様式を知ることができる。
【0048】(ウ) 元素分析により、炭素、水素、硫
黄、その他の元素(窒素、ハロゲン)の各重量%を求
め、さらに認知された各元素の重量%の和を100から
減じることによって酸素の重量%を算出することがで
き、該単量体の組成式を決定することができる。
【0049】本発明の重合性チオ(メタ)アクリレート
化合物の製造方法は、特に限定されないが、一般的には
次に述べる方法で製造することができる。即ち、下記一
般式(3)
【0050】
【化16】
【0051】{式中、R3及びpは、前記一般式(1)
におけるものと同義である。}で示されるジチアン環を
有するジチオール化合物(以下ジチオール化合物とい
う)と(メタ)アクリル酸クロリドを塩基性化合物の存
在下で反応させる方法である。
【0052】なお、上記一般式(3)で示されるジチオ
ール化合物は、次に示す様な方法、即ち、2,5−ビス
(クロロメチル)−1,4−ジチアンと対応するチオー
ル化合物との反応、または2,5−ビス(メルカプトメ
チル)−1,4−ジチアンと対応するハロゲン化合物と
の反応で得ることが出来る。前記一般式(3)で示され
るジチオール化合物と(メタ)アクリル酸クロリドとを
反応させる反応条件は、特に限定されないが、一般的な
反応条件は次のとおりである。すなわち、該ジチオール
化合物と2当量以上の(メタ)アクリル酸クロリドを塩
基性化合物存在下で反応させる。これらの反応では、反
応の進行に伴いハロゲン化水素が生成するので、これを
捕捉する塩基性化合物の存在下で行うのが一般的であ
る。該塩基性化合物としては水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化
物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナト
リウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等のアルコー
ル類のアルカリ金属塩;トリエチルアミン、ピリジン、
キノリン等の有機塩基を挙げることができる。
【0053】上記反応で塩基性化合物を用いた場合、該
塩基性化合物の塩化水素塩が生成するため、一般的には
溶媒を用いることが好ましい。該溶媒として好適に使用
されるものを例示すれば、水;メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロ
ロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等
のハロゲン系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化
水素系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応
に用いる前記一般式(3)で示されるジチオール化合物
や塩基性化合物の種類によって適宜選択してゆけばよ
い。
【0054】前記反応における温度は原料や溶媒の種類
によって異なるが、一般的には−20〜100℃であ
り、好ましくは−10〜60℃である。反応時間も原料
の種類によって異なるが、通常10分から48時間、好
ましくは1時間から24時間の範囲である。また、反応
中においては攪拌を行うことが好ましい。
【0055】上記反応において、反応生成物のゲル化を
防止するため、重合禁止剤を添加することが望ましい。
該重合禁止剤としては公知の化合物が何ら制限無く用い
られるが、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシ
フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール、p−t−ブチルカテコール等のフェノール系重
合禁止剤;フェノチアジン、塩化銅(II)、塩化鉄(II
I)等を挙げることができる。これらの中でも重合禁止
能力、生成物の着色、及び反応後に反応生成物から除去
することを勘案すると、p−メトキシフェノールとp−
t−ブチルカテコールが好ましい。また、該重合禁止剤
の使用量は禁止剤の種類、反応温度にもよるが、一般的
には原料であるジチオール化合物の0.01〜10重量
%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0056】この様な製造方法で製造された前記一般式
(1)で示される本発明の重合性チオ(メタ)アクリレ
ート化合物は、必要に応じて単離された後、使用に供さ
れる。このときの単離方法としては公知の方法を何ら制
限無く用いることができる。例えば、反応収率が高いた
め特に精製操作や脱色操作などを行わなくても良いとき
は、生成した塩化水素と塩基性化合物の塩を濾過や水洗
等の方法で除去した後、溶媒を留去しただけでも構わな
い。また、反応収率が低い場合や、着色が問題となる場
合には、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の公知の精
製操作、及び活性炭処理、シリカ処理などの吸着剤処
理、或いは水、塩酸水や水酸化ナトリウム水溶液での洗
浄等の公知の脱色操作から適宜選択した操作を行えばよ
い。
【0057】本発明の重合性チオ(メタ)アクリレート
化合物は重合性単量体として重合硬化させることによ
り、高屈折率、高アッベ数で耐光性に優れ、成型加工時
に臭気が少ない硬化体を与える。
【0058】本発明の重合性チオ(メタ)アクリレート
化合物は、単独重合したときに得られる上記のような特
徴を生かして光学材料、とりわけレンズ材料の原料とし
て好適に使用できる。本発明の重合性チオ(メタ)アク
リレート化合物をこの様な用途に使用する場合には、屈
折率、アッベ数、耐光性等の他の物性も考慮して、本発
明の重合性チオ(メタ)アクリレート化合物と共重合可
能な他の不飽和単量体(以下、コモノマーともいう。)
とを併用し、共重合するのが好適である。
【0059】該コモノマーは、本発明の重合性チオ(メ
タ)アクリレート化合物と共重合可能な重合性単量体で
あれば特に限定されず、目的とする用途に応じて必要な
物性を与えるものを適宜選択して使用すればよい。光学
材料として使用する場合に好適なコモノマーを具体的に
例示すれば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、2,2−
ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−
(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパ
ン等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;メチルチオ
(メタ)アクリレート、フェニルチオ(メタ)アクリレ
ート、ベンジルチオ(メタ)アクリレート、エタンジチ
オールジチオ(メタ)アクリレート、ベンゼンジチオー
ルジチオ(メタ)アクリレート、キシリレンジチオール
ジチオ(メタ)アクリレート等のチオ(メタ)アクリル
酸エステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレ
フタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリ
ル、エポキシコハク酸ジアリル、ジアリルマレート、ア
リルシンナメート、アリルイソシアヌレート、クロレン
ド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカー
ボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル
化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、クロロスチレ
ン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタ
レン、イソプロペニルナフタレン、α−メチルスチレ
ン、α−メチルスチレンダイマー等の芳香族ビニル化合
物;(メタ)アクリレート基を2つ以上有するウレタン
(メタ)アクリレートまたはエポキシ(メタ)アクリレ
ート等が挙げられる。これらの単量体は1種または2種
以上を混合して使用できる。
【0060】共重合する場合の共重合組成も目的に応じ
て適宜決定すればよいが、全重合性単量体の総重量を基
準として、本発明の重合性チオ(メタ)アクリレート化
合物が10〜98重量%、特に20〜95重量%(残部
がコモノマー量となる。)の範囲で使用するのが好まし
い。
【0061】本発明の重合性チオ(メタ)アクリレート
化合物、或いはこれとコモノマーの混合物を重合硬化さ
せて硬化体を得る重合方法は特に限定的でなく、公知の
重合方法を採用することができる。また、重合に際して
は、離型剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定
剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、
染料、顔料、香料、フォトクロミック化合物等の各種安
定剤、添加剤を必要に応じて混合して使用することがで
きる。
【0062】重合開始手段は、種々の過酸化物やアゾ化
合物などのラジカル重合開始剤の使用、または紫外線、
α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって
行うことができる。
【0063】重合方法も特に限定されないが、レンズ等
の光学材料としての用途を考える場合には、注型重合を
行うのが好適である。以下、代表的な注型重合方法につ
いて更に詳しく説明する。
【0064】該方法では、エラストマーガスケットまた
はスペーサーで保持されているモールド間に、ラジカル
重合開始剤を添加した本発明の重合性組成物を注入し、
空気炉中で加熱して重合硬化させた後、取り出すことに
よって行われる。
【0065】ラジカル重合開始剤としては、特に限定さ
れず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示
すると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾ
イルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジ
アシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジカーボネ
ート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチル
オキシカーボネート等のパーカーボネート類;2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ化合
物等が挙げられる。
【0066】該ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条
件や開始剤の種類、前記本発明の重合性組成物の種類や
組成によって異なり、一概に限定できないが、一般に
は、全重合性単量体100重量部に対して0.01〜1
0重量部の範囲で用いるのが好適である。
【0067】重合条件のうち、特に温度は得られる樹脂
の性状に影響を与える。この温度条件は、開始剤の種類
と量や単量体の種類に影響を受けるので、一概には限定
できないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっ
くりと温度を上げていき、重合終了時に高温下に硬化さ
せるいわゆるテーパ型の2段重合を行うのが好適であ
る。
【0068】重合時間も温度と同様に各種の要因によっ
て異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を
決定するのが好適であるが、一般に2〜40時間で重合
が完了するように条件を選ぶのが好ましい。
【0069】また紫外線を用いた公知の光重合によって
も同様に注型重合が実施できる。この際には、光重合開
始剤としてベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アエトフ
ェノン4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシ
アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、
1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサ
ントン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、全単量
体100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲で
用いるのが一般的である。
【0070】上記のような方法で得られた本発明の硬化
体は、その用途に応じて以下のような処理を施すことも
できる。即ち、分散染料などの染料を用いる染色、シラ
ンカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモ
ン、アルミニウム等の酸化物のゾルを主成分とするハー
ドコート剤や、有機高分子体を主成分とするハードコー
ト剤によるハードコーティング処理や、SiO2、Ti
2、ZrO2等の金属酸化物からなる薄膜の蒸着や有機
高分子体の薄膜の塗布等による反射防止処理、帯電防止
処理等の加工及び2次処理を施すことも可能である。
【0071】
【実施例】以下、本発明を説明するために、実施例を挙
げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0072】実施例1 下記ジチオール化合物(イ)
【0073】
【化17】
【0074】57.2g(0.10mol)とメタクリ
ル酸クロリド25.1g(0.24mol)とをピリジ
ン19.0g(0.24mol)存在下、クロロホルム
300ml中0℃で3時間攪拌した後、20℃で一夜攪
拌した。反応後、ピリジンの塩化水素塩を濾別し、反応
液を1規定塩酸、5%水酸化ナトリウム水溶液、20%
塩化ナトリウム水溶液でそれぞれ洗浄した後、溶媒を留
去した。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィ
ーにて精製し、白色固体状の生成物29.7gを得た。
【0075】この化合物の元素分析は、C44.19
%、H6.20%、O4.57%、S45.04%であ
って、C2644210に対応する計算値であるC4
4.03%、H6.25%、O4.51%、S45.2
1%に極めてよく一致した。
【0076】また、赤外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、1710cm-1付近にエステル結合のカルボニル基
に由来する強いピーク、1635cm-1付近には末端の
不飽和炭化水素基に由来するピークが観測された。
【0077】さらに、プロトン核磁気共鳴スペクトルを
測定したところ、図1に示すように、δ5.0〜7.0
ppm付近に末端の不飽和炭化水素基のプロトンに基づ
く4Hのピーク、δ2.5〜4.0ppm付近に硫黄に
隣接するメチレン炭素に結合するプロトンもしくは、ジ
チアン環のプロトンに基づく34Hのピーク、δ1.5
〜2.5ppm付近にメタクリル基に含まれるメチル基
のプロトンに基づく6Hのピークを示した。
【0078】上記の結果から、単離生成物は下記構造式
(ヘ)で示される化合物であることを確認した。ジチオ
ール化合物(イ)を基準とした時の収率は42%であっ
た。
【0079】
【化18】
【0080】実施例2〜11 一方の原料として表1〜表3に示したジチオール化合物
を用いて実施例1と同様の反応を行い、対応するジチア
ン環を有する重合性チオ(メタ)アクリレート化合物を
合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な
構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1〜表3
に示す構造式で示される化合物であることを確認した。
また、表4〜表5にこれらの化合物の元素分析値ならび
に、赤外吸収スペクトル及び1H−NMRスペクトルの
特徴的なピークを示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】実施例12〜27 前記実施例1〜11で製造した本発明の重合性チオ(メ
タ)アクリレート化合物を用い、必要に応じて下記B成
分及びC成分として示すコモノマーを添加して表6に示
すモノマー組成の硬化性組成物を調製し、得られた硬化
性組成物を重合硬化させて硬化体を得た。
【0087】重合は、次のようにして行った。すなわ
ち、上記硬化性組成物100重量部に対し、ラジカル重
合開始剤として、t−ブチルパーオキシネオデカネート
0.5重量部及び1,1,3,3−テトラメチルブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサネート0.4重量部を添
加してよく混合した。重合性チオ(メタ)アクリレート
化合物が固体の場合は液状になるまで加熱するか、或い
は適当なコモノマーを添加して液状にした。この混合液
をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガ
スケットで構成された鋳型の中に注入し、注型重合を行
った。重合は空気炉を用い、33℃から90℃まで17
時間かけて徐々に昇温し、90℃で5時間保持した。重
合終了後、鋳型を空気炉から取り出し、放冷後、硬化体
を鋳型のガラスから取り外した。なお、表6における各
略号は、次の化合物を意味する。 〔A成分〕各々対応する番号の実施例で製造した本発明
の重合性チオ(メタ)アクリレート化合物。
【0088】〔B成分〕 GMA:グリシジルメタクリレート 3G:トリエチレングリコールジメタクリレート 4G:テトラエチレングリコールジメタクリレート。
【0089】〔C成分〕 BPEM:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシ・
ポリエトキシフェニル)プロパン(エチレンオキシド鎖
の平均値が2.6のもの) BzMA:ベンジルメタクリレート St:スチレン MS:α―メチルスチレン。
【0090】
【表6】
【0091】上記のようにして得られた各硬化体につい
て、下記の試験方法によって諸物性を測定した。その結
果をあわせて表6に示す。
【0092】〔屈折率及びアッベ数〕アタゴ(株)製ア
ッベ屈折率計を用いて、20℃における屈折率及びアッ
ベ数を測定した。接触液にはブロモナフタレンまたはヨ
ウ化メチレンを使用した。屈折率及びアッベ数は共に高
い方が好ましい。
【0093】〔耐光性〕スガ試験機(株)製ロングライ
フキセノンフェードメーター中に試料を設置し、100
時間キセノン光を露光した後、スガ試験機(株)製色差
計(SM−4型)で試料のYI(Yellowness Index)を
測定し、初期のYIに対する増加分ΔYIで示した。Δ
YIが小さいほど耐候性が良いと言える。
【0094】〔臭気〕ダイヤモンドカッターでの切断
時、もしくは玉擦り機での研磨時における臭気を以下の
ような基準で評価した。 (○):臭気がほとんどないもの。 (△):臭気はあるが、さほど気にならないもの。 (×):臭気がひどいもの。気分を害するもの。 〔外観〕目視により判定した。
【0095】比較例1〜3 A成分として、本発明の重合性チオ(メタ)アクリレー
ト化合物に替えて下記の化合物(ト)、(チ)及び
(リ)
【0096】
【化19】
【0097】
【化20】
【0098】
【化21】
【0099】を用い、表6に示したモノマー組成の硬化
性組成物を調製し、実施例12と同様にして硬化体を得
た。得られた硬化体について実施例12と同様にして物
性を測定した。その結果を併せて表6に示した。
【0100】実施例12と比較例1を比較すると、本発
明の実施例が高屈折率で、さらに臭気も小さいことが分
かる。また、コモノマーとしてBzMAを20重量部含
む実施例16と比較例2,3とを比較すると、実施例の
屈折率は比較例に及ばないものの、実施例のアッベ数が
非常に高いことが分かる。さらに、実施例16と比較例
3を比較すると、明らかに実施例の耐光性の良いことが
分かる。また、実施例17や18と比較例2、3とを比
較すると、屈折率はほぼ同程度で、実施例のアッベ数の
高いことが分かる。以上の通り、本発明の重合性チオ
(メタ)アクリレート化合物を眼鏡レンズに用いる場
合、物性のバランスが重要であり、本発明の実施例で示
した化合物はバランスに優れていることから、眼鏡レン
ズ等に好適に使用できることが分かる。
【0101】
【発明の効果】本発明のジチアン環を主鎖中に含有する
重合性チオ(メタ)アクリレート化合物は、高屈折率、
高アッベ数であり、耐光性に優れた硬化体を与える単量
体として有用である。また、該重合性単量体から得られ
た硬化体は研磨成型時に悪臭が少ない。
【0102】このため、本発明の重合性チオ(メタ)ア
クリレート化合物を単独重合またはコモノマーと共重合
して得た硬化体は、光学材料として有用であり、例えば
眼鏡レンズ、光学機器レンズ等の光学レンズとして最適
であり、またプリズム、光ディスク基盤、光ファイバー
等の用途に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の生成物である化合物(ヘ)のプロ
トン核磁気共鳴スペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C023 PA07 4J027 AH03 BA04 BA05 BA07 BA08 BA19 BA20 BA22 CB03 CB09 CB10 CC04 CC05 CD04 4J100 AB00Q AB02Q AB03Q AB08Q AB09Q AB16Q AG64Q AG69Q AG70Q AG71Q AG77Q AL03Q AL08Q AL09Q AL10Q AL62Q AL66P BA02Q BA51P BA53Q BB03Q BC43Q BC45Q BC83P CA01 CA04 FA03 JA32 JA33

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 〔式中、R1及びR2は、互いに独立に、炭素数2〜4の
    アルキレン基または炭素数6〜12のアリーレン基であ
    り、R3は下記式 【化2】 {式中、R6は炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数6
    〜12のアリーレン基、芳香族複素環基、または下記式 【化3】 (式中、R7、R8,R9及びR10は、互いに独立に、フ
    ッ素原子を除くハロゲン原子または水素原子であり、R
    11は炭素数1〜3のアルキレン基または硫黄原子であ
    る。)であり、qは0〜4の整数である。}で示される
    基であり、R4及びR5は、互いに独立に水素原子または
    メチル基であり、pは0〜6の整数であり、m及びnは
    互いに独立に0〜6の整数であり、但し上記アルキレン
    基、アリーレン基および芳香族複素環基はいずれも置換
    基によってさらに置換されていてもよく、pが0の時
    は、m及びnは1または2でないものとする〕で示され
    る重合性チオ(メタ)アクリレート化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の重合性チオ(メタ)アク
    リレート化合物を含んでなる重合性組成物の硬化体から
    なることを特徴とする光学材料用硬化体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007049658A1 (ja) * 2005-10-28 2007-05-03 Ube Industries, Ltd. ジチアンジチオール誘導体及びその製法
JP2009196941A (ja) * 2008-02-22 2009-09-03 Kuraray Co Ltd 新規な(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ハロエステル誘導体および高分子化合物
US8349536B2 (en) 2008-05-29 2013-01-08 Fujitsu Limited Dithiane derivative, polymer, resist composition, and method for manufacturing semiconductor device using such resist composition

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