JP2001302619A - 芳香族基含有重合性チオエ−テル化合物、これを含む重合性組成物及び光学材料 - Google Patents

芳香族基含有重合性チオエ−テル化合物、これを含む重合性組成物及び光学材料

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JP2001302619A
JP2001302619A JP2000115414A JP2000115414A JP2001302619A JP 2001302619 A JP2001302619 A JP 2001302619A JP 2000115414 A JP2000115414 A JP 2000115414A JP 2000115414 A JP2000115414 A JP 2000115414A JP 2001302619 A JP2001302619 A JP 2001302619A
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Rikihiro Mori
力宏 森
Masao Yamaguchi
真男 山口
Tadashi Hara
忠司 原
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 その硬化体が高屈折率であり且つ耐光性に優
れた新規な芳香族基含有重合性チオエーテル化合物を提
供する。 【解決手段】 下記構造式で示されるような側鎖に芳香
族環を持つ重合性チオエーテル化合物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性樹脂、特に
眼鏡用プラスチックレンズ等の光学材料の製造原料に適
した重合性化合物、該化合物を含有する重合性組成物、
該組成物を重合して得られる硬化体、該硬化体からなる
光学材料に関する。詳しくは、その硬化体が特に高屈折
率であり、しかも耐光性に優れた重合性チオエーテル化
合物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズに比
べ軽量で割れにくく、また染色性が良好なため、近年、
メガネレンズやカメラレンズ等の光学素子系に広く普及
している。その代表的なプラスチックレンズは、ジエチ
レングリコ−ルビスアリルカ−ボネイト(CR−39)
の重合体であるが、この重合体の屈折率は約1.50と
低く、特に度数の強いマイナスレンズの場合、コバ厚が
厚くなりプラスチックの特徴である軽量性が損なわれて
しまう。そのため、より屈折率が高いプラスチックレン
ズが望まれている。屈折率を高めるためには、重合性化
合物中のフッ素ではないハロゲンの含有量や芳香環含有
量や、あるいは硫黄含有量を高めることが知られてい
る。例えば特開平1−128966号公報には、重合性
チオエーテル化合物が開示されているが、これらの重合
性チオエーテル化合物を重合硬化して得られた硬化体の
屈折率は1.58程度であり、さらなる屈折率の向上が
望まれる。
【0003】特開平2−258819号公報には、硫黄
と芳香環との直接結合を有するチオアクリレ−ト化合物
が開示されている。これらの硫黄と芳香環との直接結合
を有するチオアクリレ−ト化合物を重合硬化して得られ
た硬化体の屈折率は約1.59〜1.66と高くなって
いるものの、耐光性が悪いという問題がある。
【0004】そこで、屈折率及び耐光性の両物性を満足
する透明性硬化体並びにその原料となる重合性化合物の
開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
光学材料用重合性化合物の問題点を解決し、眼鏡用レン
ズ物性、耐光性に優れ、屈折率の高い硬化体、該硬化体
に好適な重合性化合物及び重合性組成物を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、芳香族基を
側鎖に持つ重合性チオエ−テル化合物を用いることによ
り、高屈折率でしかも耐光性が良好であるプラスチック
レンズに好適な硬化体が得られることを見いだし、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明は、前記一般式
(1)
【0007】
【化6】 {式中、Xは、下記式(2)〜(5)で示す構造から選
ばれる2価の基を示し
【0008】
【化7】
【0009】
【化8】
【0010】
【化9】
【0011】
【化10】
【0012】(式中、R10、R11、R12及びR1
3は、互いに独立に、フッ素原子を除くハロゲン原子ま
たは水素原子であり、R14は炭素数1〜3のアルキレ
ン基である)、n及びpは、互いに独立に1〜5の整数
であり、m及びqは、Xが式(3)または(5)の基で
ある時、1〜5の整数であり、Xが式(2)または
(4)の基である時、0〜5の整数であり、R1及びR
10は互いに独立に水素原子又はメチル基であり、R
2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、
互いに独立に水素原子又は置換基を有しても良い芳香族
基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8
及びR9は、全てが同時に水素原子になることはなく、
Xが式(3)または(5)の基でm及びqが1以上であ
る時、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及び
R9のうち少なくとも一つは、置換基を有しても良い芳
香族基であり、Xが式(2)または(4)の基でm及び
qが0である時、R4、R5、R6及びR7のうち少な
くとも一つは、置換基を有しても良い芳香族基であり、
m、n、p及びqがそれぞれ2以上の場合には、それぞ
れのR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR
9は異なる原子又は基であってもよい}で示される芳香
族基を側鎖に持つ重合性チオエ−テル化合物(以下、芳
香族基含有重合性チオエーテル化合物という)である。
他の本発明は、上記芳香族基含有重合性チオエーテル化
合物を、全重合性単量体の総重量を基準として、10〜
100重量%含有することを特徴とする重合性組成物で
ある。さらに他の本発明は、該重合性組成物を重合硬化
させた硬化体からなる光学材料である。
【0013】
【発明の実施形態】本発明の芳香族基含有重合性チオエ
ーテル化合物は、前記一般式(1)で表される。
【0014】一般式(1)中、Xは、前記一般式(2)
〜(5)で示す構造から選ばれる2価の基であるが、得
られる硬化体の屈折率の観点から前記一般式(2)もし
くは(4)の基が好ましく、さらには、合成の簡便性の
観点から前記一般式(2)の基がより好ましい。
【0015】前記一般式(1)中、n及びpは、互いに
独立に1〜5の整数であり、m及びqは、Xが前記式
(3)または(5)の基である時、1〜5の整数であ
り、Xが前記式(2)または(4)の基である時、0〜
5の整数である。得られる硬化体の耐熱性の観点から、
より好ましいn及びpはそれぞれ独立に1〜3の整数で
あり、Xが式(3)または(5)の基である時のより好
ましいm及びqは1〜3の整数であり、Xが式(2)ま
たは(4)の基である時のより好ましいm及びqは0〜
3の整数である。
【0016】前記一般式(1)において、R1とR10
は互いに独立に水素原子又はメチル基であり、R1とR
10は異なる基でもよいが、合成の容易さからいえば同
種の基である方がより好ましい。さらには、本発明にお
ける芳香族基含有重合性チオエーテル化合物の保存安定
性の観点から、メチル基であるのが好ましい。
【0017】また、R2、R3、R4、R5、R6、R
7、R8及びR9は、互いに独立に水素原子又は置換基
を有しても良い芳香族基である。該芳香族基としては、
フェニル基、トリル基、ナフチル基等の炭化水素系芳香
族基が挙げられるが、原料の入手し易さ等の観点からフ
ェニル基が好ましい。
【0018】さらに、該芳香族基に置換されてもよい置
換基としては、公知の基が何ら制限無く用いられるが、
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ
基、芳香族複素環基、フッ素を除くハロゲン原子等が好
ましい。
【0019】前記置換基としてのアルキル基としては、
公知の基が何ら制限無く用いられるが、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブ
チル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0020】前記アリール基としては、公知の基が何ら
制限無く用いられるが、フェニル基、トリル基、ナフチ
ル基等の炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
【0021】前記アラルキル基としては、公知の基が何
ら制限無く用いることができるが、ベンジル基、フェネ
チル基等の炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。
【0022】前記アルコキシ基としては、公知の基が何
ら制限無く用いられるが、メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブト
キシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0023】前記芳香族複素環基としては、公知の基が
何ら制限無く用いられるが、チエニル基、フリル基、ベ
ンゾチエニル基等の炭素数4〜10の芳香族複素環基が
好ましい。
【0024】前記置換基としてのフッ素を除くハロゲン
原子としては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、得ら
れる硬化体の屈折率や耐光性の観点から臭素が好まし
い。
【0025】これら置換基の置換数は、0又は1以上で
あるが、屈折率や合成もしくは入手し易さの観点から4
以下であるのが好ましい。また、置換基の数が2以上の
場合、それぞれ異なる置換基が置換しても良い。
【0026】前記一般式(1)中、R2、R3、R4、
R5、R6、R7、R8及びR9は、全てが同時に水素
原子になることはなく、Xが式(3)または(5)の基
でm及びqが1以上である時、R2、R3、R4、R
5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくとも一つ
は、置換基を有しても良い芳香族基であり、Xが式
(2)または(4)の基でm及びqが0である時、R
4、R5、R6及びR7のうち少なくとも一つは、置換
基を有しても良い芳香族基である。芳香族基含有重合性
チオエーテル化合物中に存在する側鎖の芳香環数は、分
子中に少なくとも1個あればよいが、特に当該化合物を
構成するエチレン鎖1個に対して1個の芳香環が存在す
る化合物が好ましい。
【0027】前記式(4)において、ジチアン環に結合
する−CH2−基の結合位置は、2,5−置換1,4−
ジチアン環となるような位置であっても、2,6−置換
1,4−ジチアン環となるような位置であっても良い。
【0028】前記式(5)中、R10、R11、R12
及びR13は、互いに独立に、フッ素原子を除くハロゲ
ン原子または水素原子であるが、屈折率や耐光性の観点
から、全てが臭素原子であるのが好ましい。また、同式
中のR14は炭素数1から3までのアルキレン基であ
り、該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン
基、プロピレン基を挙げることができる。
【0029】前記一般式(1)で示される本発明の芳香
族基含有重合性チオエーテル化合物のうち、原料の入手
し易さ及び合成の容易さ等の観点からさらに好ましい態
様を一般式で示せば、下記一般式(6)で表される芳香
族基含有重合性チオエーテル化合物を挙げることができ
る。
【0030】
【化11】 {式中、Xは下記式(2)または(4)で示される基で
あり
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】、R15、R16、R17、R18、R1
9、R20、R21及びR22は、互いに独立に水素原
子またはフェニル基であり、R15、R16、R17、
R18、R19、R20、R21及びR22は、同時に
水素原子になることはなく、少なくとも1つはフェニル
基であり、隣り合うR基、例えばR15とR16、R1
7とR18、R19とR20、R21とR22は同時に
フェニル基になることはなく、s及びtは、互いに独立
に1〜3の整数であり、r及びuは、Xが式(2)の基
である時、1〜3の整数であり、Xが式(4)の基であ
る時、0〜3の整数であり、r、s、t及びuがそれぞ
れ2以上の場合、それぞれのR15、R16、R17、
R18、R19、R20、R21及びR22は異なる水
素原子又はフェニル基であってもよく、R15、R1
6、R17、R18、R19、R20、R21及びR2
2は、互いに独立に水素原子又はフェニル基であり、R
15、R16、R17、R18、R19、R20、R2
1及びR22は、全てが同時に水素原子になることはな
く、Xが式(2)の基でr及びuが1以上である時、R
15、R16、R17、R18、R19、R20、R2
1及びR22のうち少なくとも一つは、フェニル基であ
り、Xが式(4)の基でr及びuが0である時、R1
7、R18、R19及びR20のうち少なくとも一つ
は、フェニル基である} 本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル化合物を具体
的に例示すれば、下記構造の化合物を挙げることができ
る。
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
【化25】
【0046】
【化26】
【0047】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物の合成法については公知の方法が制限なく適用で
きる。特に、芳香族基と硫黄を含んだジオ−ルを中間体
(以下、中間体ジオールという)として合成した後に、
(メタ)アクリル酸及びこれらの誘導体によって(メ
タ)アクリル化する方法(以下、エステル化という)が
好適に利用される。
【0048】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物の合成に使用する(メタ)アクリル酸及びこれら
の誘導体としては、中間体ジオールとエステル化反応を
起こす化合物であれば特に限定されない。このような化
合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル
酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)
アクリル酸エステル等が挙げられるが、中でも酸、酸塩
化物、エステルが好適に用いられる。
【0049】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物の合成に(メタ)アクリル酸と中間体ジオールと
の縮合反応を適用する場合、一般に酸触媒を用いて行わ
れる。ここで、好適に使用される酸触媒としては、塩
酸、硫酸等の鉱酸、芳香族スルホン酸等の有機酸あるい
は、三フッ化ホウ素エ−テラ−ト、四塩化チタン等のル
イス酸が挙げられる。本反応においては、水が副生する
が、その反応は平衡であるため、一般にディ−ンスタ−
ク水分離器等を用いたり、ソックスレ−抽出器に無水硫
酸ナトリウムあるいはモレキュラ−シ−ブス等の脱水剤
を入れて溶媒を還流させたり、反応系内にN,N‘−ジ
シクロヘキシルカルボジイミド、リン酸やホスホン酸の
無水物等の脱水剤を共存させるなどして系内から水を取
り除くことが好ましい。
【0050】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物の合成に(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と中間
体ジオールとの反応を適用する場合、一般には副生する
ハロゲン化水素を反応系から除去するため、反応系内に
ハロゲン化水素補足剤を共存させることが望ましい。該
ハロゲン化水素補足剤は特に限定されず公知のものを使
用することができる。一般に好適に使用されるハロゲン
化水素補足剤として、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリプロピルアミン等のトリアルキルアミン、ピ
リジン、ジメチルアミノピリジン、テトラメチル尿素、
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の塩基が挙げられ
る。また、エピクロロヒドリンなどのエポキシ化合物、
イオン交換樹脂等も好適に使用することができる。該ハ
ロゲン化水素補足剤の量はカルボン酸塩化物1モルに対
して1モル以上用いることが好ましい。
【0051】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物の合成に(メタ)アクリル酸のエステルと中間体
ジオールとのエステル交換反応(以下、単にエステル交
換反応という)を適用する場合には、該エステルに含ま
れるアルコキシカルボニル基(−COOR基)のRが炭
素数1〜5、さらに好適には炭素数1〜3のアルキル基
又はヒドロキシアルキル基であることが、エステル化反
応の効率の観点から好適で、具体的に例示すれば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピル、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。加えて、比較的
酸性度の高いアルコ−ルやフェノ−ルとのエステル、例
えば、2,2,2−トリハロゲノエチルエステル、ニト
ロフェニルエステル、ジニトロフェニルエステル、ピク
レ−ト等、いわゆる活性エステルとして知られている誘
導体や、互変異性体を持つアルコ−ルとのエステル、例
えば、ビニルエステル、イソプロペニルエステル等の誘
導体も好適に用いることができる。
【0052】本エステル交換反応においては、酸又は塩
基を触媒として用いるのが好ましく、触媒として好適に
使用される酸を例示すれば、塩酸、硫酸、p−トルエン
スルホン酸等が挙げられ、塩基としては、水酸化ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリ
ウム等の無機塩基やナトリウムメトキシド又はカリウム
−t−ブトキシド等のアルコキシド等が挙げられる。
【0053】本エステル交換反応は一般に平衡反応であ
るため、(メタ)アクリル酸のエステル由来のアルコ−
ルを蒸留又は共沸等の方法で反応系外に取り除くことが
好ましい。但し、いわゆる活性エステルとして知られて
いる誘導体や、互変異性体を持つアルコ−ルとエステル
との反応の場合、一般に平衡は目的とするエステル側に
片寄っており、生成するアルコールを除去する必要はな
い。
【0054】上記エステル化反応に際しては、一般に無
溶媒、又は有機溶剤を用いて行うのが好ましい。該溶媒
として好適に使用されるものを例示すれば、ベンゼン、
トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、石油エ−テ
ル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン等の脂
肪族又は芳香族炭化水素類あるいはハロゲン化炭化水素
類;ジエチルエ−テル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン等のエ−テル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N
−メチルピロリドン等の、N,N−ジアルキルアミド
類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシ
ド類が挙げられる。
【0055】また、上記エステル化反応においては、反
応生成物である芳香族基含有重合性チオエーテル化合物
のゲル化を防止するために、重合禁止剤を添加すること
が好ましい。該重合禁止剤としては公知の化合物が何ら
制限無く用いられるが、具体的には、ハイドロキノン、
p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェノール、p−t−ブチルカテコール等のフ
ェノール系重合禁止剤;フェノチアジン、塩化銅(I
I)、塩化鉄(III)等を挙げることができる。これらの
中でも重合禁止能力、生成物の着色、及び反応後に反応
生成物から除去することを勘案すると、p−メトキシフ
ェノールとp−t−ブチルカテコールが好ましい。ま
た、該重合禁止剤の使用量は禁止剤の種類、反応温度に
もよるが、一般的には原料である中間体ジオールの0.
01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%
である。
【0056】上記エステル化反応における反応温度は広
い範囲から選択でき、一般的には−20℃〜120℃の
範囲であり、好ましくは20℃〜100℃の範囲から選
べばよい。また、反応時間は原料の種類によっても異な
るが、通常5分〜48時間の範囲であり、好ましくは1
〜24時間の範囲から選べばよい。さらには、反応中に
おいては攪拌を行うのが好ましい。
【0057】この様な製造方法で製造された本発明の芳
香族基含有重合性チオエーテル化合物は、必要に応じて
単離された後、使用に供される。このときの単離方法と
しては公知の方法を何ら制限無く用いることができる。
例えば、反応収率が高いため特に精製操作や脱色操作な
どを行わなくても良いときは、不溶分を濾過した後、反
応に使用した(メタ)アクリル酸またはこれらの誘導体
のうち、未反応の(メタ)アクリル酸またはこれらの誘
導体と溶媒を留去しただけでも構わない。また、反応収
率が低かったり、着色が問題となる場合には、蒸留、カ
ラムクロマトグラフィー等の公知の精製操作、及び活性
炭処理、シリカ処理などの吸着剤処理、或いは水、塩酸
水や水酸化ナトリウム水溶液での洗浄等がの公知の脱色
操作の中から適宜選択した操作を行えばよい。
【0058】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物の合成に用いる中間体ジオ−ルの合成法について
は、公知の方法が制限なく適用できる。具体的には、対
応するジチオ−ル(以下、対応ジチオールという)とエ
ポキシドとの反応、対応ジチオ−ルとハロゲン化物との
反応、対応ジチオ−ルとトシレ−ト等のアルコ−ル誘導
体との反応、対応ジチオ−ルのオレフィンへの付加、ス
ルフェニルクロリドのオレフィンへの付加、スルホンや
スルホキシドの還元等が好適に用いられる。
【0059】例えば、ジメルカプトジエチレンスルフィ
ドの様な対応ジチオ−ルとスチレンオキシドの様なエポ
キシドとの反応は、塩基存在下で行われる。該塩基とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基
やナトリウムメトキシド又はカリウム−t−ブトキシド
等のアルコキシド等が挙げられる。
【0060】上記対応ジチオ−ルとハロゲン化物との反
応に際しては、一般に無溶媒、水或いは有機溶剤を用い
て行うのが好ましい。該溶媒として好適に使用されるも
のを例示すれば、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン、ヘプタン、石油エ−テル、クロロホル
ム、塩化メチレン、塩化エチレン等の脂肪族又は芳香族
炭化水素類あるいはハロゲン化炭化水素類;ジエチルエ
−テル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ−テル
類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリ
ドン等の、N,N−ジアルキルアミド類;ジメチルスル
ホキシド、スルホラン等のスルホキシド類が挙げられ
る。
【0061】上記対応ジチオ−ルとハロゲン化物との反
応における反応温度は広い範囲から選択でき、一般的に
は−20℃〜120℃の範囲であり、好ましくは20℃
〜100℃の範囲から選べばよい。また、反応時間は原
料の種類によっても異なるが、通常5分〜48時間の範
囲であり、好ましくは10分〜12時間の範囲から選べ
ばよい。さらには、反応中においては攪拌を行うのが好
ましい。
【0062】また、対応ジチオ−ルの合成法について
は、公知の方法が制限なく適用できるが、ハロゲン化物
やトシレ−ト等のアルコ−ルの誘導体とチオ尿素や水硫
化ナトリウム等の硫黄化試薬との反応、アルコールと五
硫化二リン等の硫黄化試薬との反応、アルコ−ルやアル
コキシド、有機金属試薬のエピスルフィドへの付加反応
等が好適に用いられる。
【0063】例えば、2,5−ビス(クロロメチル)−
1,4−ジチアンの様なハロゲン化物とチオ尿素との反
応に際しては、一般に無溶媒又は有機溶剤を用いて行う
のが好ましい。該溶媒として好適に使用されるものを例
示すれば、メタノール、エタノール、イソプロパノール
等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘ
キサン、ヘプタン、石油エ−テル、クロロホルム、塩化
メチレン、塩化エチレン等の脂肪族又は芳香族炭化水素
類あるいはハロゲン化炭化水素類;ジエチルエ−テル、
ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ−テル類;N,
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等
の、N,N−ジアルキルアミド類;ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン等のスルホキシド類が挙げられる。
【0064】上記ハロゲン化物とチオ尿素との反応にお
ける反応温度は広い範囲から選択でき、一般的には−2
0℃〜120℃の範囲であり、好ましくは20℃〜10
0℃の範囲から選べばよい。また、反応時間は原料の種
類によっても異なるが、通常5分〜48時間の範囲であ
り、好ましくは10分〜12時間の範囲から選べばよ
い。さらには、反応中においては攪拌を行うのが好まし
い。
【0065】また、上記ハロゲン化物とチオ尿素との反
応において生成するイソチウロニウム塩は、塩基で分解
することにより、目的物であるジチオールにする。該塩
基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の無
機塩基やアンモニア水等が挙げられる。
【0066】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物は、重合硬化させることにより、高屈折率であり
しかも耐光性に優れた透明性の硬化体を与える。
【0067】本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物は、単独重合したときに得られる上記のような特
徴を生かして光学材料、とりわけプラスチックレンズ材
料の原料として好適に使用できる。本発明の芳香族基含
有重合性チオエーテル化合物を上記用途に使用する場合
には、屈折率、アッベ数、耐光性等の他の物性も考慮し
て、当該芳香族基含有重合性チオエーテル化合物と共重
合可能な他の重合性単量体(以下、コモノマーともい
う)を併用して、共重合することも可能である。尚、本
発明において重合性組成物とは、重合性化合物として、
芳香族基含有重合性チオエーテル化合物とコモノマーと
の混合物からなる場合のみならず、芳香族基含有重合性
チオエーテル化合物単独の場合もいう。
【0068】該コモノマーは、本発明の芳香族基含有重
合性チオエーテル化合物と共重合可能な重合性単量体で
あれば特に限定されず、目的とする用途に応じて必要な
物性を与えるものを適宜選択して使用すればよい。光学
材料として使用する場合に好適なコモノマーを具体的に
例示すれば、ジアクリレ−ト化合物又はジメタクリレ−
ト化合物として、ジエチレングリコ−ルジメタクリレ−
ト、トリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、テトラ
エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ブタンジオ−ル
ジメタクリレ−ト、ヘキサメチレンジメタクリレ−ト、
ビスフェノ−ルAジメタクリレ−ト、2,2−ビス(4
−メタクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイル
オキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシトリエト
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリ
ロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン:エポ
キシ基を有するアクリレ−ト化合物又はメタクリレ−ト
化合物として、グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメ
タクリレ−ト、β−メチルグリシジルアクリレ−ト、β
−メチルグリシジルメタクリレ−ト及びビスフェノ−ル
A−モノグリシジルエ−テルメタクリレ−ト:ビニルベ
ンジル化合物として、ビス−4−ビニルベンジルエ−テ
ル、ビス−4−ビニルベンジルスルフィド、1,2−
(p−ビニルベンジルオキシエチル)スルフィド:不飽
和カルボン酸化合物として、アクリル酸、メタクリル
酸、無水マレイン酸、フマル酸:アクリル酸及びメタク
リル酸エステル化合物として、アクリル酸メチル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸
フェニル、トリブロモフェニルメタクリレ−ト、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレ−ト、トリフロロメチルメタ
クリレ−ト、:フマル酸エステル化合物として、フマル
酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニ
ル:芳香族ビニル化合物として、スチレン、クロロスチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、イソプ
ロペニルナフタレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼ
ン等を挙げることができる。これらの重合性単量体は1
種又は2種以上を混合してもよい。
【0069】重合性組成物がコモノマーとの混合物の場
合の組成は、光学材料の目的、用途に応じて適宜決定す
ればよく、通常全重合性単量体の総重量を基準として、
本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル化合物が10
〜100重量%、特に20〜95重量%(残部がコモノ
マー量となる)の範囲で使用するのが好ましい。
【0070】本発明の重合性組成物、即ち芳香族基含有
重合性チオエーテル化合物、或いは芳香族基含有重合性
チオエーテル化合物とコモノマーからなる混合物を重合
硬化させて硬化体を得る重合方法は特に限定的でなく、
公知のラジカル重合方法を採用することができる。この
場合の重合開始手段は、種々の過酸化物やアゾ化合物な
どのラジカル重合開始剤の使用、または種々の光重合開
始剤存在下、紫外線、α線、β線、γ線等の照射、ある
いは両者の併用によって行うことができる。従って、本
発明の重合性組成物中には、これら重合開始剤を適宜含
有させることが出来る。
【0071】ラジカル重合開始剤としては、特に限定さ
れず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示
すると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾ
イルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジ
アシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジカーボネ
ート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチル
オキシカーボネート等のパーカーボネート類;2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ化合
物等が挙げられる。
【0072】該ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条
件や開始剤の種類、前記本発明の重合性組成物の種類や
組成によって異なり、一概に限定できないが、一般に
は、全重合性単量体100重量部に対して0.01〜1
0重量部の範囲で用いるのが好適である。
【0073】また、該ラジカル重合開始剤は、単独又は
2種以上を混合して使用してもかまわない。
【0074】重合条件のうち、特に温度は得られる硬化
体の性状に影響を与える。この温度条件は、該ラジカル
重合開始剤の種類と量や重合性組成物の組成に影響を受
けるので、一概には限定できないが、一般的に比較的低
温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合
終了時に高温下に硬化させるいわゆるテーパ型の2段重
合を行うのが好適である。
【0075】重合時間も温度と同様に各種の要因によっ
て異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を
決定するのが好適であるが、一般に2〜40時間で重合
が完了するように条件を選ぶのが好ましい。また、活性
エネルギ−線を照射して重合を開始させる場合には、光
重合開始剤を添加することもできる。その成分の具体例
としては、1−フェニル2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のアセト
フェノン系光重合開始剤;1,2−ジフェニルエタンジ
オン、メチルフェニルグリオキシレ−ト等のα−ジカル
ボニル系光重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾ
イルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−
ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペン
チルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベ
ンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフ
ィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオ
キシド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等の
フォスフィンオキシド系光重合開始剤等が挙げられる。
【0076】該光重合開始剤の添加量は、重合条件や該
光重合開始剤の種類、重合性組成物の組成によって異な
り、一概には限定できないが、一般的には、重合体の内
部均一性や硬化度の観点から、重合性組成物100重量
部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.0
2〜1重量部の範囲が好適である。
【0077】また、該光重合開始剤は、単独又は2種以
上を一緒に使用してもかまわない。さらには、上記該ラ
ジカル重合開始剤と該光重合開始剤とをそれぞれ1種類
以上混合して使用して、二つの重合方法を併用してもか
まわない。
【0078】本発明の重合組成物には、最終的に得られ
る硬化体の用途、物性等に応じて、離型剤、紫外線吸収
剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防
止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、フォ
トクロミック化合物等の各種安定剤や添加剤を配合する
ことができる。
【0079】重合方法も特に限定されないが、レンズ等
の光学材料としての用途を考える場合には、注型重合を
行うのが好適である。例えば、エラストマーガスケット
またはスペーサーで保持されているモールド間に、ラジ
カル重合開始剤を添加した本発明の重合性組成物を注入
し、空気炉中で加熱して重合硬化させた後、取り出すこ
とによって行われる。
【0080】本発明の硬化体は、芳香族基含有重合性チ
オエ−テル化合物を単独で重合させて得られる重合体、
あるいは芳香族基含有重合性チオエ−テル化合物とコモ
ノマーとを共重合させて得られる共重合体である。
【0081】この硬化体は高い透明性を有し、光学材
料、とりわけプラスチックレンズとして有用であり、そ
の用途に応じて以下のような表面処理を施すこともでき
る。即ち、分散染料などを用いる染色、シランカップリ
ング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニ
ウム、スズ、タングステン等のゾル成分を主成分とする
ハ−ドコ−ト剤や、有機高分子体を主成分とするハード
コート剤によるハードコーティング処理や、SiO2、
TiO2、ZrO2等の金属酸化物からなる薄膜の蒸着
や有機高分子の薄膜の塗布等による反射防止処理、帯電
防止処理等の加工及び2次処理を施すことも可能であ
る。
【0082】
【実施例】以下、本発明を説明するために、実施例を挙
げて説明するが、本発明はこれらの実施例に制限される
ものではない。なお、化合物の同定にはプロトン核磁気
共鳴スペクトル、質量分析スペクトル、元素分析を用い
た。
【0083】実施例1 1000ml3つ口フラスコにメタノ−ル500ml、
ジメルカプトジエチレンスルフィド112g(0.79
mol)、炭酸カリウム120g(0.868mol)
を加え攪拌した。この溶液を還流しながら、スチレンオ
キシド204g(1.7mol)をメタノ−ルに溶解し
たものを滴下した。次いで、この溶液を4時間還流し続
けた後、室温まで冷却した。その後、溶液をろ過してメ
タノールを減圧留去し、残渣をクロロホルムに溶解し
た。このクロロホルム溶液を水、食塩水で洗浄し、クロ
ロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫
酸マグネシウムをろ過してクロロホルムを減圧留去して
中間体ジオールを283g(0.72mol)得た。こ
の中間体ジオールは、下記化合物(イ)−(ハ)の混合
物であり、これを、シリカゲルを用いてカラム分離し
た。
【0084】
【化27】
【0085】
【化28】
【0086】
【化29】
【0087】上記化合物(イ)46g(0.12mo
l)をエーテルに溶解し、トリエチルアミン30.3g
(0.3mol)を加え、冷却しながらメタクリル酸ク
ロリド31.1g(0.3mol)を滴下した。滴下終
了後、3時間還流し、その後室温まで放冷した。生成し
たトリエチルアミン塩酸塩をろ過し、エーテル層を希塩
酸、希水酸化ナトリウム水溶液、食塩水の順に洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウ
ムをろ過し、エーテルを減圧留去して下記化合物(ニ)
44.5g(0.084mol)を得た。収率は、70
%であった。ここで用いている収率は、原料である化合
物(イ)を基準とした時の値である。
【0088】
【化30】 また、上記化合物(ニ)は、以下の方法でも製造した。
【0089】実施例2 2000ml4つ口フラスコにクロロホルム500m
l、スチレンオキシド300g(2.5mol)を加え
攪拌した。この反応溶液を、0℃に保ちながら、濃塩酸
410gを滴下した。その後、0℃に保ちながら、3時
間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液で有機相を中
和し、次いで水、食塩水で洗浄した。その後、乾燥さ
せ、溶媒を留去し、減圧蒸留することにより下記化合物
(ホ)を得た。
【0090】
【化31】
【0091】次に、1000mlの四つ口フラスコにベ
ンゼン200ml、上記化合物(ホ)120g(0.7
67mol)を加え攪拌した。次いで、この溶液を80
℃に加熱しながら、無水酢酸102.9g(1mol)
を滴下した後、80℃のまま2時間攪拌した。その後、
反応溶液を室温になるまで放冷した後、水、食塩水で洗
浄し、乾燥させ、溶媒を留去することにより下記化合物
(ヘ)を得た。
【0092】
【化32】
【0093】さらに、1000mlの四つ口フラスコに
N,N′−ジメチルホルムアミド250ml、ジメルカ
プトジエチレンスルフィド38.8g(0.252mo
l)、さらに水素化ナトリウム12.1g(0.504
mol)を加えて1時間室温で攪拌した。ここに上記化
合物(ヘ)100g(0.504mol)のN,N′−
ジメチルホルムアミド溶液を滴下した後、80℃で攪拌
を5時間継続した。その後、室温まで放冷し、エーテル
500mlを加え、希塩酸、水、食塩水で洗浄し、エー
テルを減圧留去して下記化合物(ト)を110.5g
(0.21mol)得た。
【0094】
【化33】
【0095】次いで、エタノール中水酸化カリウムを用
いて、上記化合物(ト)のアセチル基を加水分解し、前
記化合物(イ)を78.8g(0.2mol)得た。そ
の後、500mlの三つ口フラスコにディーンスターク
脱水装置を取り付け、前記化合物(イ)75g(0.1
9mol)、炭酸セシウム1.5g、メタクリル酸メチ
ル95.1g(0.95mol)、p−メトキシフェノ
ール1.5g、n−ヘキサン300mlを仕込み、94
℃に加熱して、反応により生成してくるメタノールをn
−ヘキサンと共沸除去しながら21時間反応させた。次
いで、n−ヘキサンを減圧留去してクロロホルムを加
え、水、希塩酸、食塩水で洗浄し、クロロホルム層を無
水硫酸マグネシウムで乾燥した後、無水硫酸マグネシウ
ムをろ過し、クロロホルムを減圧留去して前記化合物
(ニ)の粗生成物81.2g(0.153mol)を得
た。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによ
って生成することにより前記化合物(ニ)68.5g
(0.13mol)を単離した。収率は、51.6%で
あった。ここで用いている収率は、原料であるジメルカ
プトジエチレンスルフィドを基準としたときの値であ
る。
【0096】この化合物(ニ)の元素分析は、C63.
31%、H6.49%、O12.00%、S18.20
%であって、C283443に対応する計算値であるC
63.40%、H6.42%、O12.07%、S1
8.11%に極めてよく一致した。
【0097】また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測
定したところ、図1に示すように、δ8.0〜7.0p
pm付近にフェニル基のプロトンに基づく10Hのピー
ク、δ6.7〜5.5ppm付近に末端の不飽和炭化水
素基のプロトンに基づく4Hのピーク、δ4.6〜4.
0ppm付近に酸素に隣接するメチレン炭素に結合する
プロトンに基づく4Hのピーク、δ3.2〜2.4pp
m付近に硫黄に隣接するメチレン炭素に結合するプロト
ンに基づく10Hのピーク、δ2.1〜1.2ppm付
近にメタクリル基に含まれるメチル基のプロトンに基づ
く6Hのピークを示した。
【0098】また、質量分析スペクトルを測定したとこ
ろ、化合物(ニ)の親ピークと思われる分子量530の
ピークを観測した。
【0099】上記の結果から、単離生成物は下記構造式
で示される化合物(ニ)であることを確認した。
【0100】
【化34】
【0101】尚、当該化合物(ニ)の各種分析値は、実
施例1で得られた化合物(ニ)のそれらと良く一致して
いた。
【0102】実施例3〜20 原料については、エステル化以前の中間体ジオールにつ
いて、代表的な一例を示した。実施例1並びに2と同様
の反応を行い、表1〜7に示す芳香族基含有重合性チオ
エーテル化合物を合成した。また、対応する芳香族基含
有重合性チオエーテル化合物の原料である中間体ジオー
ルとそのエステル化試薬を表1〜7に示した。得られた
生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用
いて構造解析した結果、表1〜7に示す構造式で示され
る芳香族基含有重合性チオエーテル化合物であることを
確認した。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
【表7】
【0110】また、表8〜11にこれらの化合物の元素
分析値ならびに、1H−NMRスペクトルのピーク並び
に質量分析スペクトルで確認された親ピークと思われる
ピーク値を示した。
【0111】
【表8】
【0112】
【表9】
【0113】
【表10】
【0114】
【表11】
【0115】実施例21〜41 前記実施例1〜20で製造した本発明の芳香族基含有重
合性チオエーテル化合物を用い、必要に応じて下記B成
分及びC成分として示すコモノマーを添加して表12及
び13に示すモノマー組成の重合性組成物を調製し、得
られた重合性組成物を重合硬化させて硬化体を得た。得
られた硬化体の光学的物性を後記試験法により測定し
た。その結果をあわせて表12,13に示す。
【0116】重合は、次のようにして行った。すなわ
ち、重合性組成物100重量部に対し、ラジカル重合開
始剤として、t−ブチルパーオキシネオデカネート0.
5重量部及び1,1,3,3−テトラメチルブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサネート0.4重量部を添加し
てよく混合した。この混合液をガラス板とエチレン−酢
酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型
の中に注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用
い、33℃から90℃まで17時間かけて徐々に昇温
し、90℃で5時間保持した。重合終了後、鋳型を空気
炉から取り出し、放冷後、硬化体を鋳型のガラスから取
り外した。
【0117】また、以下の重合方法によっても同種の硬
化体が得られることを確認した。すなわち、上記重合性
組成物100重量部に対し、光開始剤としてイルガキュ
ア1700(チバガイギー製)を0.035重量部、熱
重合開始剤としてパ−ブチルIB(日本油脂製)を0.
5重量部それぞれ添加し、十分混合した後、減圧下で脱
気した。この液を、ガラス板とエチレン−酢酸ビニル共
重合体とからなるガスケットで構成された鋳型の中に注
入し、1.5kwメタルハライドランプの15cmの距離
から紫外線を両面から2分間照射した。その後、110
℃で1時間加熱した。硬化後、重合体を鋳型から取り外
した。
【0118】なお、表12及び13における各略号は、
次の化合物を意味する。 〔A成分〕各々対応する番号の実施例で製造した本発明
の芳香族基含有重合性チオエーテル化合物。 〔B成分〕 GMA:グリシジルメタクリレート 3G:トリエチレングリコールジメタクリレート 4G:テトラエチレングリコールジメタクリレート。 〔C成分〕 BPEM:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシ・
ポリエトキシフェニル)プロパン(エチレンオキシド鎖
の平均値が2.6のもの) BzMA:ベンジルメタクリレート St:スチレン MS:α―メチルスチレン。
【0119】
【表12】
【0120】
【表13】
【0121】〔屈折率及びアッベ数〕アタゴ(株)製ア
ッベ屈折率計を用いて、20℃における屈折率及びアッ
ベ数を測定した。接触液にはブロモナフタレンまたはヨ
ウ化メチレンを使用した。屈折率及びアッベ数は、共に
高い方がより好ましい。 〔耐光性〕スガ試験機(株)製ロングライフキセノンフ
ェードメーター中に試料を設置し、100時間キセノン
光を露光した後、スガ試験機(株)製色差計(SM−4
型)で試料のYIを測定し、初期のYIに対する増加分
ΔYIで評価した。ΔYIが小さいほど耐光性が良いと
言える。
【0122】(○):ΔYIが1−5程度のもの。
【0123】(△):ΔYIが6−10程度のもの。
【0124】(×):ΔYIが11以上のもの。 〔外観〕目視により判定した。
【0125】比較例1、2 A成分として本発明の芳香族基含有重合性チオエーテル
化合物に替えて下記の化合物(チ)及び(リ)を用い、
表13に示したモノマー組成の重合性組成物を調製し、
実施例21と同様にして硬化体を得た。得られた硬化体
について実施例21と同様にして光学的物性を測定し
た。その結果を表13に示した。
【0126】
【化35】
【0127】
【化36】
【0128】実施例21と比較例1を比較すると、屈折
率において実施例21の方が高いことが明らかである。
また、実施例21と比較例2を比較すると、実施例21
の方が屈折率とアッベ数とのバランスが良いことが分か
る。さらに、実施例21−41と比較例2を比較する
と、実施例21−41の方が、耐光性が良いことが分か
る。
【0129】
【発明の効果】本発明の有する芳香族基含有重合性チオ
エーテル化合物は、高屈折率であり、しかも耐光性に優
れた硬化体を与える重合性単量体として有用である。
【0130】このため、本発明の芳香族基含有重合性チ
オエーテル化合物を単独重合またはコモノマーと共重合
して得た硬化体は、光学材料として有用であり、例えば
眼鏡レンズ、光学機器等の光学レンズとして最適であ
り、また、プリズム、光ディスク基盤、光ファイバーの
用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び2の生成物である化合物(ニ)の
プロトン核磁気共鳴スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02C 7/02 G02C 7/02 Fターム(参考) 4C023 PA07 4H006 AA01 AB92 TA04 TB35 TB75 4J027 AC03 AC06 AE02 AH03 AJ02 AJ08 BA01 BA02 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA11 BA17 BA18 BA19 CB02 CB03 CB10 CC02 CC05 CC08 CD04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 {式中、Xは、下記式(2)〜(5)で示す構造から選
    ばれる2価の基を示し、 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 (式中、R10、R11、R12及びR13は、互いに
    独立に、フッ素原子を除くハロゲン原子または水素原子
    であり、R14は炭素数1〜3のアルキレン基である)
    n及びpは、互いに独立に1〜5の整数であり、m及び
    qは、Xが式(3)または(5)の基である時、1〜5
    の整数であり、Xが式(2)または(4)の基である
    時、0〜5の整数であり、R1及びR10は互いに独立
    に水素原子又はメチル基であり、R2、R3、R4、R
    5、R6、R7、R8及びR9は、互いに独立に水素原
    子又は置換基を有しても良い芳香族基であり、R2、R
    3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、全てが
    同時に水素原子になることはなく、Xが式(3)または
    (5)の基でm及びqが1以上である時、R2、R3、
    R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくと
    も一つは、置換基を有しても良い芳香族基であり、Xが
    式(2)または(4)の基でm及びqが0である時、R
    4、R5、R6及びR7のうち少なくとも一つは、置換
    基を有しても良い芳香族基であり、m、n、p及びqが
    それぞれ2以上の場合には、それぞれのR2、R3、R
    4、R5、R6、R7、R8及びR9は異なる原子又は
    基であってもよい}で示される芳香族基含有重合性チオ
    エ−テル化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の芳香族基含有重合性チオ
    エーテル化合物を、全重合性単量体の総重量を基準とし
    て、10〜100重量%含有することを特徴とする重合
    性組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の重合性組成物を重合硬化
    させた硬化体からなることを特徴とする光学材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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