JP2019186134A - 積層電解箔 - Google Patents
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Abstract
Description
また、携帯機器用途では上記したLiBが主役となってきているものの、車載用途や定置型電池としては安全性と長期信頼性の観点からニッケル水素二次電池も引き続き採用されて改良検討がなされている。
ここで、リチウムイオン二次電池およびニッケル水素電池をはじめとする電池の高容量化には集電体の薄型化が有効であるが、集電体を薄型化すると強度が低下してしまい、集電体の変形や破損の懸念が生じてしまうという課題もある。
また、例えば特許文献2では、負極集電体として用いられる銅箔に銅の残留応力が少ないニッケルめっきを施すことで、銅の硫化物の生成を抑えて且つ導電性に優れた負極集電体を提供するという技術が開示されている。
すなわち、近年の電池性能への要求は一段と高くなっており、集電体自体にも薄型化すればその分だけ活物質量を増加できることから、この集電体の薄型化に伴う製造時の破れや千切れなどを抑制できるだけの強度を有することが望まれている。
さらに、例えば負極の集電体については、炭素に代替し得るシリコンなど新たな活物質の特性に追従可能な高い強度を具備することが希求されてきている。
また、集電体以外の用途においても、例えば放熱材や電磁波シールド材の用途等においても、薄型化した高強度な電解箔が望まれている。
上記(1)において、(2)前記第2金属層、前記第1金属層、前記第2金属層、がこの順に積層された3層構造であることが好ましい。
あるいは、上記(1)において、(3)前記第1金属層、前記第2金属層、前記第1金属層、がこの順に積層された3層構造であることが好ましい。
上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、(4)前記第1金属層および前記第2金属層を合計した全層厚みに対する前記第2金属層の厚み比が、0.45以上であり0.9以下であることが好ましい。
上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、(5)前記第2金属層の硬度が3500N/mm2〜5500N/mm2であることが好ましい。
上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、(6)前記第1金属層上に積層された前記第2金属層におけるNiの(200)面の結晶配向指数が0.3以上であり、且つ、(200)面の結晶配向指数/(220)面の結晶配向指数の値が0.1〜5.0であることが好ましい。
上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、(7)前記Ni合金はFeを含むことが好ましい。
上記(1)〜(7)のいずれかにおいて、(8)前記全層厚みが4〜10μmであることが好ましい。
また、本実施形態における電池は、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の積層電解箔を具備することが好ましい。
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る積層電解箔を模式的に示した図である。なお本実施形態の積層電解箔は、電池負極の集電体に適用されるほか、電池正極の集電体にも適用され得る。
本実施形態において、第1金属層31はめっきにより形成される。具体的には、既知の硫酸銅めっき浴を用いて第1金属層31を形成することが可能である。その場合、光沢剤を添加しないCuめっき層(便宜的に「無光沢Cuめっき層」とも称する)であってもよいし、光沢剤(半光沢用の光沢剤も含む)などの添加剤を添加する光沢Cuめっき層であってもよい。
Ni合金としては、例えばNi−Fe合金、Ni−Co合金、Ni−W合金、Ni−P合金や、Siや炭素、Al粒子を含むNi分散めっき、などが挙げられる。
このうち、好ましい積層電解箔の強度を得るためには、Ni合金としてNi−Fe合金を使用することが好ましい。
この場合、Ni−Fe合金におけるFeの割合としては、5〜80重量%であることが好ましい。
この場合特に、積層電解箔全体の強度を向上させるためにはFeの割合は5〜70重量%であることがより好ましく、10〜60重量%であることがさらに好ましい。
一方でコストを重視する場合にはFeの割合は50〜80重量%であることが好ましい。
第2金属層32の厚み比が0.45未満である場合、積層電解箔の好ましい強度を得ることができなくなるため好ましくない。なお、より好ましい厚み比は0.5以上である。
一方で、第2金属層32の厚み比が0.9を超える場合、積層電解箔の強度は向上するものの、積層電解箔の全体としての導電性が乏しくなるため好ましくない。導電性の観点から、上記厚み比は、好ましくは0.85以下であり、さらに好ましくは0.8以下である。
本実施形態において、積層電解箔の引張強さは700MPa以上であることを特徴とする。積層電解箔の引張強さが700MPa未満であった場合、積層電解箔全体の厚さ(全層厚み)が15μm以下と薄い場合において電池製造時の箔のちぎれや破れなどが発生する可能性があり、ハンドリング性(取り扱い性)が低下するため好ましくない。本実施形態においては、積層電解箔全体の厚さ(全層厚み)が6μm未満であっても700MPa以上を達成できる。積層電解箔全体の厚さ(全層厚み)が6μm以上であれば、好ましくは800MPa以上の引張強さを得られる。
なお本実施形態において積層電解箔の引張強さは、JIS Z 2241に記載された「金属材料引張試験方法」に準じて行う試験方法により得られる値である。試験片は図3に示すように、15mm幅、標点間距離を50mmとし、把持部をセロテープで補強した上で、引張試験を行った。
本実施形態の積層電解箔においては、第2金属層の種類によって、好ましい配向結晶指数が異なる。以下に詳細に説明する。
なお、下記に記載するNiの結晶配向指数の比に関する物理的なメカニズムは、完全に解明されているものではない。例えば、結晶配向指数に加えて、結晶粒子径や残留応力等が、積層電解箔の性質に複合的に影響している可能性もある。しかしながら、それらの可能性にも鑑みて本発明者らが鋭意検討した結果、好適なパラメータを見出し上記のように規定することにより本発明に至ったものである。
上記より、本実施形態においては(220)面及び(200)面に着目して上記のように規定することとした。
その理由は以下のとおりである。すなわち、(200)面又は(220)面のいずれかの面の結晶配向指数が3.7を超えるような高い優先配向を示す場合は、厚み比を0.8以上とすることにより、十分な強度が得られるが、3.7以下であれば厚み比が0.8以上だけでなく0.8未満においても十分な強度が得られるため好ましい。詳細な理由は明らかではないが、上記のようないずれかの方向に高い優先配向となる場合は、めっき時の応力が比較的低いことが、強度が上がりにくくなる原因と考えられる。
また、第1金属層上に積層された第2金属層が特に無光沢Niである場合、特に、(200)面の結晶配向指数/(220)面の結晶配向指数の値が0.1〜5.0であることがより好ましく、0.3〜3.0であることがさらに好ましい。その理由としては上述したとおりである。
この理由としては以下のとおりである。すなわち、光沢Niの場合は、(111)面に優先配向しても、レべリング作用によるピンホール発生抑制により破断の起点が抑制されると考えられる。また、無光沢Niと比較して光沢Niは結晶粒が小さいことから、顕著な強度向上が担保されると考えられる。さらには、(111)面に結晶配向したNiの結晶が積層電解箔の厚み方向に対し層状に析出することにより、積層電解箔全体としての硬度が上昇し、引張強度が向上する。
このような理由により、第1金属層上に積層された第2金属層が特に光沢Niである場合、(111)面の結晶配向指数が上記の数値であることが好ましいものである。
ここでNiの各結晶面の標準回折ピーク強度値は、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards、PDFカード番号:00−004−0850)に記載の通りの値を用いることができ、回折角度(2θ)も準拠する。
なお、Ni−Fe合金の結晶配向指数はNiの標準回折ピークに準じて定義する。
本実施形態では、(hkl)面の結晶配向指数Ico(hkl)は、以下式に基づいて計算した。
ここで、X線回折により測定されたNi層又はNi合金層の各結晶面(hkl)の回折ピーク強度をI(hkl)とする。
次に、標準Ni粉末を用いた場合の各結晶面(hkl)の標準回折ピーク強度値をIs(hkl)とする[添字のsはStandardを意味する]。
なお、本願においては各回折ピーク強度は、積分値ではなくピーク値を回折強度とする。
上記のI(hkl)及びIs(hkl)の値より、積層電解箔の結晶配向指数Ico(hkl)を、上記の式にて定義する(添字のcoはcrystal orientationを意味する)。
本実施形態においては、第2金属層におけるNi又はNi合金の硬度が、3500N/mm2〜5500N/mm2であることが好ましい。当該硬度は、例えば後述する公知の微小硬度計等の硬度計により測定することができる。また、JIS Z 2255またはISO14577に準じて測定されるマルテンス硬さを本実施形態における硬度とすることが可能である。
なお、第2金属層におけるNi又はNi合金の硬度が3500N/mm2未満の場合、積層電解箔全体として好ましい強度を得ることができないため好ましくない。一方で、第2金属層におけるNi又はNi合金の硬度が5500N/mm2を超える場合、15μm以下の薄い箔においては靱性が極端に低く、逆に破断しやすくなるおそれがある。また、このような硬度が高すぎるものはめっきでの形成が困難になる可能性があるため好ましくない。
本実施形態の積層電解箔は、活物質が付着する最表面における表面粗度Ra(算術平均粗さ)≧0.1μmとすることがさらに好ましい。すなわち、積層電解箔の最表層の表面粗度を上記のように制御することにより、集電体としたときの活物質との密着性を向上させることができ、結果的に電池の性能を向上させることができる。より好ましくは、表面粗度Ra(算術平均粗さ)≧0.3μmである。
本実施形態の積層電解箔の表面粗度Ra(算術平均粗さ)を上記のように制御する方法としては特に制限されないが、例えば、積層電解箔を製造した後に、公知の後めっきや、エッチングの工程を経ることにより、上記の表面粗度Ra(算術平均粗さ)とすることが可能となる。
次に本実施形態の積層電解箔A(集電体A)の製造方法について説明する。本実施形態の積層電解箔Aの製造方法については、例えば図2に示すようなステップで製造されることが好ましい。
なお、このNiめっき又はNi合金めっきは、光沢めっきであってもよいし、半光沢めっきであってもよいし、無光沢めっきであってもよい。
そして、ステップ4で形成された第2金属層上にさらに第1金属層を形成する(ステップ5)。
なお、上記ステップ5及びステップ8で形成する層は、「3層目の金属層」とも表現し得る。同様に、ステップ3及びステップ6で形成する層は、「1層目の金属層」とも表現でき、ステップ4及びステップ7で形成する層は、「2層目の金属層」とも表現できる。
上記ステップステップ3〜ステップ5又はステップ6〜ステップ8で形成した層を、まとめて「めっき層」とも称する。
[無光沢Cuめっき条件]
・浴組成:硫酸銅を主成分とする公知の硫酸銅浴(下記に一例を記載)
硫酸銅:150〜250g/L
硫酸:30〜60g/L
塩酸(35%として):0.1〜0.5ml/L
・温度:25〜70℃
・pH:1以下
・撹拌:空気撹拌もしくは噴流撹拌
・電流密度:1〜30A/dm2
・浴組成:公知のワット浴(下記に一例を記載)
硫酸ニッケル:200〜350g/L
塩化ニッケル:20〜50g/L
ホウ酸(又はクエン酸):20〜50g/L
・温度:25〜70℃(好ましくは30〜40℃)
・pH:3〜5
・撹拌:空気撹拌もしくは噴流撹拌
・電流密度:1〜40A/dm2(好ましくは8〜20A/dm2)
まず、浴温が25℃以上45℃以下の場合は、電流密度は5〜20A/dm2であることが好ましい。この場合、電流密度が20A/dm2を超えるとNiめっきの皮膜が形成されないという問題が生じる。一方で、電流密度が5A/dm2未満では、得られるNiの層に十分な強度が得られにくいという問題がある。その理由としては、(200)面および(220)面の結晶配向が低くなりやすいためと考えられる。
ここで、Ni層の強度が得られにくい理由としては、電流密度と温度の組み合わせによって異なるが、(200)面及び(220)面の結晶配向が低すぎたり、めっき時に結晶粒が粗大に成長しやすい条件となったりするためと考えられる。
光沢Niめっきとした場合には特に、めっき条件として、浴温30〜60℃、電流密度5〜40A/dm2であることが好ましい。その理由としては、上記の無光沢Niめっき浴の場合と同じである。
・浴組成:公知のスルファミン酸ニッケルめっき浴(下記に一例を記載)
スルファミン酸ニッケル:150〜300g/L
塩化ニッケル:1〜10g/L
ホウ酸:5〜40g/L
・温度:25~70℃
・pH:3~5
・撹拌:空気撹拌もしくは噴流撹拌
・電流密度:5~30A/dm2
また、上記した公知の光沢剤などをめっき浴に添加して光沢Niめっき又は半光沢Niめっきとしてもよい。また、ピット防止剤を適量添加してもよい。
・浴組成
硫酸ニッケル:150〜250g/L
塩化第一鉄:5〜100g/L
塩化ニッケル:20〜50g/L
ホウ酸:20〜50g/L
クエン酸ナトリウム(またはクエン酸三ナトリウム)1〜15g/L
サッカリン:1〜10g/L
・温度:25〜70℃
・pH:2〜4
・撹拌:空気撹拌もしくは噴流撹拌
・電流密度:5〜40A/dm2
pHが2未満の場合は、めっきの析出効率が下がるため好ましくない。一方でpHが4を超えると得られる層にスラッジを巻き込む可能性があるため好ましくない。
また、電流密度に関しては、5A/dm2未満の場合には生産効率が低下するおそれがあり、40A/dm2を超えた場合には、めっきやけが生じるおそれがあるため好ましくない。
また、ピット防止剤を適量添加してもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明について、より具体的に説明する。
<実施例1>
支持体上に、順次、1層目の金属層として無光沢Cuめっき(第1金属層31)、2層目の金属層として無光沢Niめっき(第2金属層32)、3層目の金属層として無光沢Cuめっき(第1金属層31)、を形成した。
次いで前処理したTi材を以下に示す無光沢Cuめっき浴に含浸し、電解箔として厚さ2μmの第1金属層31(無光沢Cuめっき層)をTi材上に形成した。
・浴組成:硫酸銅200g/Lを主成分とする硫酸銅めっき浴
硫酸銅:200g/L
硫酸:45g/L
塩酸:0.3ml/L
・温度:50℃
・pH:1以下
・撹拌:空気撹拌
・電流密度:20A/dm2
・浴組成:ワット浴
硫酸ニッケル:250g/L
塩化ニッケル:45g/L
ホウ酸:30g/L
ピット防止剤:1ml/L
・温度:30℃
・pH:4.5
・撹拌:空気撹拌
・電流密度:10A/dm2
次いで、上記のように形成しためっき層を充分に乾燥させた後に、Ti材からこのめっき層を剥離して積層金属箔(集電体)を得た。
得られた積層金属箔において、引張試験機(ORIENTEC製 万能材料試験機 テンシロンRTC−1350A)を用いた引張試験により、機械的強度(引張強さ)を測定した。引張強さは、JIS Z 2241の引張試験方法に準じて測定した。試験片は図3に示すように、15mm幅、標点間距離を50mmとし、把持部をセロテープで補強した上で、引張試験を行った。測定条件は、室温で、引張速度1mm/minの条件で行った。得られた引張強さの値が700MPa以上の場合を○、700MPa未満の場合を×とした。結果を表1に示す。
得られた積層金属箔において、第2金属層32(無光沢Niめっき)の結晶配向指数をX線回折分析により得た。X線回折は、リガク製自動X線回折装置(RINT2500/PC)を使用した。測定条件としては、X線:Cu−40kV−200mA、発散スリット:1/2deg、散乱スリット:1/2deg、受光スリット:0.45mmの条件にて測定を行った。測定範囲を40°≦2θ≦100°とした。無光沢Niめっき層の断面の(111)面、(200)面、(220)面、(311)面の各ピーク強度(cps)を測定し、前述の式により結晶配向指数を求めた。
得られた積層金属箔において、第2金属層32(無光沢Niめっき)の硬度は以下のように測定した。すなわち、超微小押し込み硬さ試験機度計(株式会社エリオニクス製、型番:ENT−1100a)により、三角錐圧子を用いて、JISZ2255に準じて、荷重:1mNの条件でマルテンス硬さを測定した。なお、サンプルを樹脂埋めして断面を出して、最終#1500までエメリー紙で研磨した後、ダイヤモンドペーストでバフ研磨することにより鏡面とし、積層金属箔の断面における第2金属層部分の硬度を測定した。
得られた積層電解箔について、導電率を以下のように測定した。まず、積層電解箔を幅10mm、長さ100mmの短冊状にカットし、サンプルとした。その後、日置電機(株)製のミリオームテスター(型番:HIOKI 3540 AC mΩ HiTESTER)を用いて、クリップ型リードにより、長尺方向の抵抗値を2点間距離(L)=0.05mにて測定した。
測定条件は以下の通りとした。
χ=L/(A×R)
χ:導電率(S/m)
L:抵抗値測定の2点間距離(m)
A:サンプルの断面積(m2)
R:2点間の抵抗値(Ω)
得られたχの数値により、下記の判断基準で評価した。
χ=1.0×107以上:○
χ=1.0×107未満:×
なお、参考値として、本測定方法における50μmの圧延銅箔の導電率はχ=5.0×107S/mであった。
1層目の金属層(無光沢Cuめっき層、第1金属層31)及び3層目の金属層(無光沢Cuめっき層、第1金属層31)を光沢Cuめっき層とした以外は、実施例1と同様に行った。
各めっき層の厚みを表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
各めっき層の厚みを表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
Ti材上に順に、第2金属層32として3μmの無光沢Niめっき層、第1金属層31として4μmの無光沢Cuめっき層、第2金属層32として3μmの無光沢Niめっき層、を形成した。それ以外は実施例1と同様に行った。
第2金属層32としてNi−Fe合金めっき層を形成した以外は実施例1と同様に行った。なお、Ni−Fe合金めっきの条件を以下に示す。
[Ni−Fe合金めっき条件]
・浴組成:ワット浴
硫酸ニッケル:200g/L
塩化第一鉄:50g/L
塩化ニッケル:45g/L
ホウ酸:20g/L
クエン酸三ナトリウム:5g/L
サッカリン:5g/L
ピット防止剤:1ml/L
・温度:60℃
・pH:2.8
・撹拌:空気撹拌
・電流密度:30A/dm2
なお、Ni−Fe合金めっき中のFe割合は、50wt%であった。このFe割合を求めるためのNi量およびFe量の測定は、実施例6のNi−Fe合金層を溶解させてICP発光分析測定(測定装置:島津製作所社製、誘導結合プラズマ発光分光分析装置 ICPE−9000)により行った。
第1金属層31を光沢Cuめっきとした以外は、実施例6と同様に行った。光沢Cuめっき条件は実施例2と同様とした。なお、Ni−Fe合金めっき中のFe割合は、50wt%であった。結果を表1に示す。
各めっき層の厚みを表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
第2金属層32(無光沢Niめっき層)の厚みを4μmとした以外は、実施例8と同様に行った。結果を表1に示す。
第2金属層32を光沢Niめっき層とした以外は、実施例1と同様に行った。光沢Niめっきの条件を以下に示す。また結果を表1に示す。
[光沢Niめっき条件]
・浴組成:ワット浴
硫酸ニッケル:300g/L
塩化ニッケル:10g/L
ホウ酸:20g/L
光沢剤:13mL/L
・温度:40℃
・pH:4.5
・撹拌:空気撹拌
・電流密度:15A/dm2
第2金属層32を光沢Niめっき層とした以外は、実施例2と同様に行った。光沢Niめっきの条件は実施例10と同様とした。また結果を表1に示す。
第2金属層32である無光沢Niめっき層のめっき条件において、浴温を60℃、電流密度を3A/dm2とした以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。
第2金属層32である無光沢Niめっき層を、以下に条件を示すスルファミン酸浴により形成した以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。
[無光沢Niめっき(スルファミン酸浴)条件]
・浴組成:スルファミン酸浴
スルファミン酸ニッケル:300g/L
塩化ニッケル:10g/L
ホウ酸:20g/L
ピット防止剤:1ml/L
・温度:50℃
・pH:4.5
・撹拌:空気撹拌
・電流密度:20A/dm2
各めっき層の厚みを表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
第2金属層32(無光沢Niめっき層)のめっき条件において、電流密度を30A/dm2とした以外は、実施例1と同様に行った。
第2金属層32(無光沢Niめっき層)のめっき条件において、電流密度を3A/dm2とした以外は、実施例1と同様に行った。
各めっき層の厚みを表1に示すものに変更し、無光沢Niめっき(スルファミン酸浴)の条件として、浴温は60℃、電流密度は5A/dm2とした以外は、実施例13と同様に行った。
1層目の金属層及び3層目の金属層(第1金属層31)を光沢Cuめっき層とした以外は、比較例4と同様に行った。光沢Cuめっき条件は、実施例2と同様とした。
Ti材上に、電解箔として厚さ10μmの無光沢Cuめっき層を形成した。無光沢Cuめっき条件としては、実施例1と同様とした。結果を表1に示す。なお、硬度は無光沢Cuめっき層の硬度とする。
比較のため、厚さ10μmの圧延銅箔を準備した。圧延の条件としては公知の条件とした。結果を表1に示す。なお、硬度、結晶配向指数、引張強さの各値は圧延銅箔を測定した値とする。
Ti材上に、電解箔として厚さ10μmの無光沢Niめっき層を形成した。無光沢Niめっき条件としては、浴温を60℃とした以外は実施例1と同様とした。結果を表1に示す。
Ti材上に、電解箔として厚さ10μmの無光沢スルファミン酸Niめっき層を形成した。無光沢スルファミン酸Niめっき条件としては、電流密度を10A/dm2とした以外は比較例4と同様とした。結果を表1に示す。
第2金属層32をスルファミン酸による光沢Niめっき層とした以外は、実施例13と同様に行った。光沢Niめっき(スルファミン酸浴)の条件は、光沢剤を10mL/L添加した以外は実施例13と同様とした。結果を表1に示す。
すなわち、引張強さは理論的には厚さの影響を受けない値である。しかしながら実際上は、層の厚さを薄くした場合には、引張強さは理論値よりも低下することが本発明者らにより見出された。この理由としては、ピンホール等の影響を受けやすくなること等が考えられる。
一方で本発明においては、上記した構成とすることにより、各層の結晶配向及び硬度を好ましい値に調整することができ、その結果、薄くても優れた引張強さを達成することができたものである。
また、上記した実施形態と実施例における積層電解箔は主として電池用集電体に用いられるものとして説明したが、本発明は積層金属箔として集電体に限られず、例えば、放熱材や電磁波シールド材など他の用途にも適用が可能である。
さらには、Cu層をNi層で挟んだ場合には、Cu層の腐食を抑制可能であり、例えば硫化物系の全固体電池にも適用可能である。
32 第2金属層
A 積層電解箔
Claims (9)
- Cuから成る第1金属層と、Ni又はNi合金からなる第2金属層とが積層された積層電解箔であって、
前記積層電解箔における、全層厚みが3〜15μmであり、引張強さが700MPa以上であることを特徴とする、積層電解箔。 - 前記第2金属層、前記第1金属層、前記第2金属層、がこの順に積層された3層構造である請求項1に記載の積層電解箔。
- 前記第1金属層、前記第2金属層、前記第1金属層、がこの順に積層された3層構造である請求項1に記載の積層電解箔。
- 前記第1金属層および前記第2金属層を合計した前記全層厚みに対する前記第2金属層の厚み比が、0.45以上であり0.9以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層電解箔。
- 前記第2金属層の硬度が3500N/mm2〜5500N/mm2である請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層電解箔。
- 前記第1金属層上に積層された前記第2金属層におけるNiの(200)面の結晶配向指数が0.3以上であり、且つ、(200)面の結晶配向指数/(220)面の結晶配向指数の値が0.1〜5.0である請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層電解箔。
- 前記Ni合金はFeを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層電解箔。
- 前記全層厚みが4〜10μmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層電解箔。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層電解箔を具備する電池。
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