JP2012211388A - 圧延銅合金箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】その片面に樹脂層を積層して銅張積層板を形成した場合に、面に垂直な方向に繰り返し曲げ応力が加わっても破断し難い圧延銅合金箔を提供する。
【解決手段】無酸素銅又はタフピッチ銅に対し、Ag,Sn,Ti及びZrの群から選ばれる1種以上を合計500質量ppm以下添加した組成からなる圧延銅合金箔であって、該圧延銅合金箔の片面に厚み12.5μmのポリイミド樹脂層を積層した銅張積層板を形成し、この銅張積層板の前記圧延銅合金箔に電気回路を形成した試験片を用意し、該試験片の一端側を緩く保持し、かつ該試験片の他端側を厚み方向に隙間を開けつつ保持し、負荷のかからない状態を中心として該厚み方向に変位量2.0mmで振幅させて繰返し曲げを行ったとき、前記電気回路が断線するまでの曲げ回数が10回以上となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気回路の屈曲部分に好適に用いられるフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)に使用される圧延銅合金箔に関するものである。
現在、携帯電話等の配線のうち、屈曲部分に使用されるFPCは、銅箔にポリイミドのワニスを塗布し、熱を加えて乾燥、硬化させ積層板とするキャスト法と呼ばれる方法や、予め接着力のある熱可塑性ポリイミドを塗布したポリイミドフィルムと銅箔とを重ねて加熱ロールなどを通して圧着するラミネート法と呼ばれる方法によって製造されている。これらの方法で得られたフレキシブル銅貼積層板は二層フレキシブル銅貼積層板と呼ばれている。このようなFPCは帯状に加工され、一端に端子部分を回路形成してコネクタ(FPCコネクタ)を取り付けて使用されることも多い。
又、エポキシ系などの接着剤で圧延銅合金箔とポリイミドフィルムを接着した三層フレキシブル銅貼積層板も知られている。
これらのFPC用銅箔として、再結晶焼鈍させ、屈曲性を与える200面のI/I0を40以上とした技術が知られている(特許文献1,2)。
特開2001-323354号公報(段落0014) 特開平11-286760
ところで、近年、電子部品の小型化が促進されており、NON-ZIFタイプと称される小型のFPCコネクタが用いられている。しかしながら、従来の銅貼積層板を用いたFPCに雄型FPCコネクタを取り付け、この雄型FPCコネクタを外部基板のメス型FPCコネクタに挿入しようとすると、コネクタが小さく、基板のスペースも狭いため、FPC側の雄型FPCコネクタを上下に動かしながら挿入することとなる。
その際、FPCと雄型FPCコネクタの境界部分近傍に上下方向(面に垂直な方向)に繰り返し曲げ応力が加わり、FPCの端子部分が破断するという問題がある。この曲げ応力は、単なる繰り返し曲げとは異なり、コネクタを取り付けたFPCに特有の応力であると考えられる。更に、銅張積層板の場合、銅箔表面に表面処理が施され、かつ、反対側の面には樹脂が接着されているため、従来の曲げ性評価方法である90度曲げや180度曲げ試験では、曲げ性の優劣を見極めにくくなってきている。
従って、本発明の目的は、面に垂直な方向に繰り返し曲げ応力が加わっても破断し難い圧延銅合金箔を提供することにある。
本発明者らは、所定の組成を有する圧延銅合金箔の片面に樹脂層を積層して銅張積層板を形成すると、圧延銅合金箔自身よりも曲げ性が向上し、面に垂直な方向に繰り返し曲げ応力が加わっても破断し難くなることを見出した。
すなわち、本発明の圧延銅合金箔は、無酸素銅又はタフピッチ銅に対し、Ag,Sn,Ti及びZrの群から選ばれる1種以上を合計500質量ppm以下添加した組成からなる圧延銅合金箔であって、該圧延銅合金箔の片面に厚み12.5μmのポリイミド樹脂層を積層した銅張積層板を形成し、この銅張積層板の前記圧延銅合金箔に電気回路を形成した試験片を用意し、該試験片の一端側を緩く保持し、かつ該試験片の他端側を厚み方向に隙間を開けつつ保持し、負荷のかからない状態を中心として該厚み方向に変位量2.0mmで振幅させて繰返し曲げを行ったとき、前記電気回路が断線するまでの曲げ回数が10回以上となる。
本発明によれば、その片面に樹脂層を積層して銅張積層板を形成した場合に、面に垂直な方向に繰り返し曲げ応力が加わっても破断し難い圧延銅合金箔を得ることができる。
圧延銅合金箔表面の粗さと、せん断変形帯との関係を示す図である。 コネクタFPC用繰返し曲げ試験装置の構成を示す図である。 コネクタFPC用繰返し曲げ試験に用いる試験片の構造を示す断面図である。 コネクタFPC用繰返し曲げ試験を行う方法を示す図である。 180度の繰返し曲げ試験を行う方法を示す図である。
本発明の圧延銅合金箔の片面に樹脂層を積層して銅張積層板を形成すると、圧延銅合金箔自身よりも曲げ性が向上する。
<圧延銅合金箔>
本発明の圧延銅合金箔は、無酸素銅又はタフピッチ銅に対し、Ag,Sn,Ti及びZrの群から選ばれる1種以上を合計500質量ppm以下添加した組成からなる。これら元素を添加した圧延銅合金箔の片面に樹脂を背気相した銅張積層板は、圧延銅合金箔単体よりも破断伸びが向上する。又、圧延銅合金箔として、通常、片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施したものも用いることができる。無酸素銅はJIS-H3510に規格され、タフピッチ銅はJIS-H3250に規格されている。
圧延銅合金箔は、厚み5〜50μm、圧延平行方向の表面粗さRa≦0.1μm、350℃で0.5時間焼鈍後の加工硬化指数(n値)が0.3以上0.45以下であることが好ましい。ここで、n値は、降伏点以上の塑性域における真応力σと、対数ひずみεとに対し、σ=F×εで近似した時の指数nである。n値の測定法はJIS Z 2241に規格されているが、伸び2%から最大応力点までの値を用いる。そして、測定した伸び及び応力から求めた対数ひずみεと、真応力σとの両対数グラフを最小自乗法で近似し、グラフの傾きから加工硬化指数を求める。
圧延銅合金箔の半軟化温度が150℃以下であると、屈曲性が優れるので好ましい。
圧延銅合金箔は、常法に従って、インゴットを熱間圧延及び冷間圧延して製造することができるが、最終冷間圧延の総加工度を85%以上とし、かつ最終パスの加工度が26%以上で、かつ最終冷間圧延における最終3パスでの油膜当量を以下の条件として圧延すると、結晶粒径が均一に微細化し、焼鈍後の加工性が向上するので好ましい。具体的には、最終冷間圧延の最終3パスでの油膜当量として、最終パスの2つ前の油膜当量;25000以下、最終パスの1つ前の油膜当量;30000以下、最終パスの油膜当量; 35000以下とする。
<銅張積層板>
上記した圧延銅合金箔の片面に樹脂層を積層することで銅張積層板を形成することができる。又、銅張積層板を形成する際、通常は圧延銅合金箔の反対面にNi層を形成する。
<樹脂層>
樹脂層としては特に制限はなく、例えばポリイミドが挙げられるが、ラミネート法の場合は積層前にフィルム状であり、キャスト法の場合は積層前に液体の(未硬化の)ポリイミドであり、これを圧延銅合金箔に塗布して加熱すると硬化して樹脂層になる。
キャスト法は、圧延銅合金箔にポリイミドのワニスを塗布し、熱を加えて乾燥、硬化させ積層板とする。ラミネート法は、予め接着力のある熱可塑性ポリイミドを塗布したポリイミドフィルムと圧延銅合金箔とを重ねて加熱ロールなどを通して圧着する。接着剤を介して圧延銅合金箔と樹脂層とを積層してもよい。
樹脂層厚みは50μm以下が好ましい。
<Ni層>
Ni層は、例えばNiめっきにより形成することができ、圧延銅合金箔の片面の全面に限らず、その一部に形成してもよい。Niめっきは、ワット浴等の公知のNiめっき浴を用いて電気めっきすればよく、好ましくは、厚み2〜10μm、硬さHv150以上の無光沢又は光沢Niめっき層とし、Niめっき層の結晶方位のうち(200)面の配向割合が40%以上である。
特に、無光沢Ni層は光沢Ni層よりも軟らかく、片面に無光沢Ni層を形成した銅張積層板は、圧延銅合金箔単体よりも繰り返し曲げ回数が向上するので好ましい。これは、Niめっき層を形成することにより、圧延銅合金箔面への曲げ応力の集中が緩和されることと、Niめっきの膜厚分の曲げ半径が大きくなり応力が小さくなることによるものと考えられる。
Ni層厚みは2〜10μmが好ましい。
本発明の圧延銅合金箔から形成した銅張積層板は、面に垂直な方向に繰り返し曲げ応力が加わっても破断し難いという特徴がある。特に、この銅張積層板にコネクタを取り付けたFPCを製造したときに、繰り返し曲げ回数が向上する。
図1は、本発明の圧延銅合金箔から形成した銅張積層板に電気回路を形成した帯状のFPC(フレキシブル配線板)60に、雄コネクタ200を取り付けた構造を示す断面図である。FPC60は、圧延銅合金箔61の下面に接着剤(例えばエポキシ系熱硬化接着剤)62を介してベースフィルム(樹脂層)63を積層してなり、圧延銅合金箔61の上面全体にはNi層61aaが形成され、Ni層61aaのうち雄コネクタ200の端子部に対向する部分(FPC60の一端)には、この端子部と電気的に接続するためのAuめっき層61abが形成されている。ベースフィルム63としては、例えばポリイミドが用いられる。
雄コネクタ200を雌コネクタ(図示せず)に接続する際には、雄コネクタ200を持ち、FPC60(銅貼積層板)の面に垂直な方向(図1の上下方向の矢印A)に動かしながら挿入することとなる。そのため、FPC60と雄型コネクタ200の境界部分であるAuめっき層61ab(図1の矢印B)に繰り返し曲げ応力が加わり、この部分のFPCが破断し易くなる。
そこで、本発明の圧延銅合金箔から形成した銅張積層板を用いることで、コネクタを取り付ける用途においてもFPCの破断を防止することができる。
銅張積層板において、Ni層61aaの一部にAu層61abを形成し、圧延銅合金箔61に電気回路を形成した帯状の試験片を用意し、試験片のうちAu層61abが形成されていない一端を緩く保持しつつ、Au層61abが形成されている他端を厚み方向に隙間を開けつつ保持し、該他端を面方向に垂直な方向に変位量2.0mmで振幅させて繰返し曲げを行ったとき、電気回路が断線するまでの曲げ回数が10回以上であると、コネクタを取り付ける用途においてもFPCの破断を有効に防止できる。
この繰り返し曲げ試験(以下、「コネクタFPC用繰返し曲げ試験という」)は、従来の180度の曲げ試験等とは異なり、以下の図2〜図4のようにして行う。
図2は、コネクタFPC用繰返し曲げ試験装置100の構成を示す。コネクタFPC用繰返し曲げ試験装置100は、ロードセル11を取り付けて上下方向に変位する引張り試験機10と、フレキシブル配線板の試験片50の一端50a側を緩く保持するバイス(チャック)31、32と、試験片50の他端50b側を厚み方向に隙間を開けつつ保持する保持具20とを備えている。保持具20は、より詳しくはコ字状の本体23と、本体23のコ字の開口部を横にした時にコ字の開口縁の上下に互いに対向配置される1対の保持ブレード21、22と、本体23の上方に取り付けられてロードセル11を装着するロードセル装着部25とを備えている。
又、バイス31、32は試験片50の一端50aを上下から挟むように配置され、ネジ33によってバイス31、32の間隔を調整可能になっている。なお、保持ブレード21、22の幅は試験片50の幅以上になっている。
図3に示すように、試験片50は、FPC60に試験用の補強板等を貼付した構造をなしている。FPC60は、図1に示した構造であり、Ni層61aaとAu層61abとをまとめて、Ni下地Auめっき層61aと表示する。
そして、FPC60のベースフィルム63の右端部を除く下面には、粘着剤(例えばアクリル系熱硬化接着剤)51を介してポリイミド等からなる第1補強板52が接着されている。さらに、ポリイミド補強板52の右端の下面には、粘着剤(両面テープ)53を介してエポキシ樹脂等からなる第2補強板54が接着されている。一方、FPC60の圧延銅合金箔61の右端部の上面には、接着剤(例えばエポキシ系熱硬化接着剤)55を介してカバーフィルム56が接着されている。なお、FPC60の右側が試験片50の他端50b側に対応する。
ベースフィルム63及びカバーフィルム56としては、例えばポリイミドが用いられる。又、FPC60、粘着剤51、及びポリイミド補強板52の合計厚みtは、たとえば0.3mm程度である。
次に、図4を参照し、試験片50を用いた曲げ性評価方法について説明する。まず、試験片50の一端50a側をバイス(チャック)31、32で掴んで保持する。このとき、バイス31、32の締付け力が強くなり過ぎると、雄コネクタを手で雌コネクタに挿入する際に上下に繰り返し動かしながら挿入した時に、雌コネクタが雄コネクタを緩く締め付けている状態が再現できず、さらにNi下地Auめっき層61aが凹み、試験片50の他端50b側を振幅させたときに当該凹部が割れの起点になってしまい、正確な評価ができなくなる。そこで、測定においてはバイス31、32の締付け力を適度に緩くすることで再現され、例えば、バイス31、32の締付け力(締め付けトルク)を、2〜6cN・mとすると好ましい。
一方、試験片50の他端50b側においては、第2補強板54より中央側で、かつカバーフィルム56が形成されている位置(図3の位置H参照)で、保持ブレード21、22により他端50bを上下から保持する。このとき、保持ブレード21、22と他端50b表面との間にそれぞれ隙間Gを設けるようにする。
保持ブレード21に加えて保持ブレード22を設けることで上下に繰返し曲げ(振幅)することができ、これにより、雄コネクタを手で雌コネクタに挿入する際に上下に繰り返し動かす動きを再現することができる。これに対して、通常の繰返し曲げ試験機では保持ブレード21のみが設けられ、負荷の掛からない水平状態から下への振幅のみとなり、コネクタ挿入時の上下に繰り返し動かす動きは再現されない。
また、このように、隙間Gを設けることで、他端50b側を上下に繰返し曲げ(振幅)する際、他端50bに張力がかかり難くなり、作業員の手で行われるコネクタの挿入作業時曲げを再現することができる。隙間Gは例えば0.5mm程度とすることができる。
なお、保持ブレード21、22の先端の厚みは薄くなっていてナイフエッジを形成し、試験片50の幅方向に線接触するようになっている。
又、試験片50の一端50a側は雄コネクタが取り付けられる側であり、他端50b側はコネクタの挿入作業時に作業員が手で持つ部分に対応する。又、第2補強板54は、繰返し曲げの際の振幅を増大させてコネクタの挿入作業時曲げをさらに再現するものであるが、省略してもよい。
なお、試験片50の一端50a側を固定端とし、当該固定端と、試験片50の他端側50bの保持部分(保持ブレード21、22の先端と試験片50との接触部)との曲げ長Lが5mm以上であれば、他端50b側を上下に繰返し曲げすることができ、曲げ性の評価が行える。
又、本体23への保持ブレード21、22の取付け位置を変更可能にすれば、異なる厚みや幅を有する試験片50を試験することができる。さらに、保持ブレード21、22を交換可能としても、同様に異なる厚みや幅を有する試験片50を試験することができる。
このようにして試験片50をバイス31、32及び保持ブレード21、22に保持した後、引張り試験機10に取り付けられたロードセル11を上下方向に変位させることで、試験片50の他端50b側を上下に繰返し曲げする。このとき、ロードセル11に掛かる応力を一定にすると共に、ロードセル11の上下方向の変位速度及び変位量を所定の値に制御するとよい。例えば、ロードセル11の上下方向の変位速度を5mm/分程度とし、変位量(振幅)を2.0mmとすることができ、この場合、1つの上又は下への変位が30秒程度かかることになる。
又、試験片50を構成するFPC60の圧延銅合金箔61に所定の配線部(電気回路)を形成しておき、繰返し曲げ(振幅)試験中に該配線部の導通(電気抵抗)を測定すれば、試験片50の断線(破断)をリアルタイムで検知することができ、このときの断線時のロードセル11の変位量を見積もることで、曲げ性を定量的に評価することができる。
<圧延銅合金箔>
無酸素銅又はタフピッチ銅に対し、表1に示す組成の成分を加え、溶解鋳造で厚み200mm程度の直方体のインゴットを製造した。このインゴットを熱間圧延で10mm前後まで加工し、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し、さらに最終冷間圧延し、厚み18μmの圧延銅合金箔を得た。圧延銅合金箔の片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施し、積層に供した。
<Niめっき>
圧延銅合金箔のうち化学処理を行わなかった面に、ワット浴(めっき浴組成:塩化ニッケル45g/L、硫酸ニッケル240g/L、硼酸30g/L)で光沢Niめっきを施して厚み6μmのNi層を形成した。めっき条件は、浴温度40〜60℃、電流密度1〜5A/dm2とし、めっき浴にサッカリン系添加剤(商品名YNi−RH1)を加えてめっきを行った。
<樹脂層>
圧延銅合金箔の化学処理を行った面にエポキシ系接着剤を10μm塗布した後、厚み12.5μmのポリイミド樹脂を貼付して銅貼積層板を作製した。
<圧延銅合金箔の半軟化温度>
圧延銅合金箔を種々の温度で30分間の焼鈍を行なった後の引張り強さを測定した。そして,焼鈍後の引張り強さが,圧延上がりの引張り強さと300℃で30分間焼鈍し完全に軟化させた後の引張り強さとの中間の値になるときの焼鈍温度を求めた。
なお、引張強さ(TS)は、引張試験機により、JIS−Z2241に従い、圧延方向と平行な方向における0.2%耐力をそれぞれ測定した。
<圧延銅合金箔のRa(中心線平均粗さ)>
圧延銅合金箔のRa(中心線平均粗さ)は、JIS B0601に従って測定した。
<圧延銅合金箔の加工硬化指数(n値)>
n値は、降伏点以上の塑性域における真応力σと、対数ひずみεとに対し、σ=F×εで近似した時の指数nであり、n値の測定はJIS Z 2241に規格されている方法に従った。又、n値は、材料が降伏した後の均一伸びと応力とを用いて求める必要があるため、伸び2%から最大応力点までの値を用いた。そして、測定した伸び及び応力から求めた対数ひずみεと、真応力σとの両対数グラフを最小自乗法で近似し、グラフの傾きからn値を求めた。
なお、n値の測定の際、表1に示すように、引張試験前にそれぞれ350℃で0.5時間、200℃で0.5時間の熱処理を圧延銅合金箔に施した。
<圧延銅合金箔のI(220)/I(200)>
室温で、圧延銅合金箔の220面及び200面のX線回折強度比を測定した。半値幅は、JIS K0131に基づいて得られ、X線回折強度のピーク高さの半分の値におけるピーク幅である。
<Ni層のビッカース硬さ(Hv)>
JIS Z 2244に従い、測定した。
<破断伸び>
引張試験機により、JIS−Z2241に従い、圧延方向と平行な方向に引っ張り、試験片が破断したときの標点間の長さLと、試験前の標点距離L0との差を%で求めて破断伸びとした。
<180度の繰返し曲げ試験>
180度密着曲げは以下の手順で行った。まず、試料を幅3.2mm、長さ30mmで試験片の長さ方向が圧延方向と平行になるように切り出して試験片とし、樹脂層面を内側にしてループ状にし、ハンドプレスで潰して180度密着曲げを行った。そして、曲げ部の断面の圧延銅合金箔部分の破断の有無を光学顕微鏡で観察した。破断がなければ、密着曲げ後の試料を開き、ハンドプレスを用いて平らに伸ばした後に、同じ場所でもう一度折り返してハンドプレスで潰した。このようにして、圧延銅合金箔が破断(テスターを使用して試験片両端の導通がなくなった時を破断とした)するまでの曲げ回数を求めた。
<コネクタFPC用繰返し曲げ試験>
各銅張積層板試料に電気回路を形成し、幅3.2mm 、長さ30mmで試験片の長さ方向が圧延方向と平行になるように切り出し、図3に示す試験片(FPC)とした。この試験片に対し、図2、図4のコネクタFPC用繰返し曲げ試験装置を用いて曲げ試験を行った。
試験条件は、隙間Gを0.5mmとし、ロードセル11の上下方向の変位速度を5mm/分とし、変位量(振幅)を2.0mmとした。
得られた結果を表1、2に示す。
Figure 2012211388
Figure 2012211388
表1、表2から明らかなように、無酸素銅又はタフピッチ銅に対し、Ag,Sn,Ti及びZrの群から選ばれる1種以上を合計500質量ppm以下添加した実施例1〜10の場合、銅合金箔の破断伸びが6%以上であり、かつ曲げ変位2.0mmのコネクタFPC用繰返し曲げ試験による破断までの回数が10回以上であった。又、従来の180度の繰返し曲げ試験による破断までの回数が5回以上であった。
このように曲げ性が向上する理由は、実施例1〜10の圧延銅合金箔が銅貼積層板に加工される際の樹脂ラミネート加工時に、加熱ロールにより圧延銅合金箔が適度に軟化したためと考えられる。
一方、最終冷間圧延における最終3パスでの油膜当量のうち、最終パスの2つ前の油膜当量が25000を超えるか、最終パスの1つ前の油膜当量が30000を超えるか、最終パスの油膜当量が35000を超えた比較例1,3,4の場合、圧延銅合金箔の圧延平行方向の表面粗さRaが0.1μmを超え、曲げ変位2.0mmのコネクタFPC用繰返し曲げ試験による破断までの回数が10回未満となり、曲げ加工性が劣化した。
圧延銅合金箔の最終冷間圧延時の総加工度を85%未満とした比較例2、5、6、7の場合、350℃で0.5時間焼鈍後の加工硬化指数が0.3未満となり、曲げ変位2.0mmのコネクタFPC用繰返し曲げ試験による破断までの回数が10回未満となり、曲げ加工性が劣化した。
圧延銅合金箔中のSn添加量が500質量ppmを超えた比較例8の場合、圧延銅合金箔の半軟化温度が150℃を超え、350℃で0.5時間焼鈍後の加工硬化指数が0.3未満となり、曲げ変位2.0mmのコネクタFPC用繰返し曲げ試験による破断までの回数が10回未満となり、曲げ加工性が劣化した。
60 FPC(銅貼積層板)
61 圧延銅合金箔
63 樹脂層
61aa Ni層
61ab Au層
200 雄コネクタ
本発明者らは、所定の組成を有する圧延銅合金箔の片面に樹脂層を積層して銅張積層板を形成すると、圧延銅合金箔自身よりも曲げ性が向上し、面に垂直な方向に繰り返し曲げ応力が加わっても破断し難くなることを見出した。
すなわち、本発明の圧延銅合金箔は、無酸素銅又はタフピッチ銅に対し、Ag,Sn,Ti及びZrの群から選ばれる1種以上を合計500質量ppm以下添加した組成からなる厚み5〜50μmの圧延銅合金箔であって、該圧延銅合金箔の片面に化学処理を行ってエポキシ系接着剤を10μm塗布した後、厚み12.5μmのポリイミド樹脂層からなるベースフィルムを積層し、該圧延銅合金箔の反対面に厚み6μmのNi層を形成した銅張積層板を形成し、この銅張積層板の前記圧延銅合金箔に電気回路を形成し幅3.2mm、長さ30mmで長さ方向が圧延方向と平行になるように切り出した試験片を用意し、前記試験片の長手方向に沿って前記ベースフィルムの他端部を除く下面には、アクリル系熱硬化接着剤からなる粘着剤を介してポリイミドからなる第1補強板が接着され、前記試験片の前記他端部側にて前記Ni層が形成されずに前記圧延銅合金箔が表出した上面には、エポキシ系熱硬化接着剤を介してポリイミドからなるカバーフィルムが接着され、前記試験片、前記粘着剤、及び前記第1補強板の合計厚みtは、0.3mmであり、該試験片の長手方向に沿って一端側をバイスにてその締付け力(締め付けトルク)を、2〜6cN・mとして緩く保持し、かつ該試験片の前記他端側の前記カバーフィルムが形成されている位置を厚み方向に隙間を開けつつ保持し、前記試験片の前記一端側と前記他端側の保持部分との曲げ長を5mm以上とし、負荷のかからない状態を中心として該厚み方向に変位量2.0mmで上下方向の変位速度を5mm/分として振幅させて繰返し曲げを行ったとき、前記電気回路が断線するまでの曲げ回数が10回以上となる。

Claims (1)

  1. 無酸素銅又はタフピッチ銅に対し、Ag,Sn,Ti及びZrの群から選ばれる1種以上を合計500質量ppm以下添加した組成からなる圧延銅合金箔であって、
    該圧延銅合金箔の片面に厚み12.5μmのポリイミド樹脂層を積層した銅張積層板を形成し、この銅張積層板の前記圧延銅合金箔に電気回路を形成した試験片を用意し、該試験片の一端側を緩く保持し、かつ該試験片の他端側を厚み方向に隙間を開けつつ保持し、負荷のかからない状態を中心として該厚み方向に変位量2.0mmで振幅させて繰返し曲げを行ったとき、前記電気回路が断線するまでの曲げ回数が10回以上となる圧延銅合金箔。
JP2012034762A 2011-03-24 2012-02-21 圧延銅合金箔 Active JP5189683B2 (ja)

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