JP2015028197A - 粗化銅箔、銅張積層板及びプリント配線板 - Google Patents

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賢 堀口
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千鶴 後藤
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Abstract

【課題】高い周波数の電気信号が伝送された場合であっても、電気信号の伝送損失を低減するとともに、所定のピール強度を維持する。【解決手段】基材と、基材の少なくともいずれかの主面上に成長される下地めっき層及び粗化めっき層を有するめっき層と、を備え、最終の焼鈍処理後のめっき層成長面は、ピーク強度比(A)と、面外配向比(B)と、面内配向比(C)との積で表される立方体集合組織の総合配向率が80%以上である面であり、電気信号の周波数をfとしたとき、めっき層の厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下であり、めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、高周波の電気信号が伝送される粗化銅箔、銅張積層板及びプリント配線板に関する。
従来より、例えばコンピュータ等の電気・電子機器やモバイル機器等の通信機器には、配線部品としてフレキシブルプリント配線板等のプリント配線板が用いられている。プリント配線板は、例えば、銅箔と、銅箔上に設けられる樹脂層と、を備えて構成されている。このようなプリント配線板は、例えば、ラミネート法を用いて銅箔と樹脂層とを積層した後、加熱加圧して銅箔と樹脂層とを接着したり、銅箔上に樹脂を塗布して乾燥させることで製造されている。銅箔には、所定の幅と間隔とを備える電気信号の伝送路としての回路(配線パターン)が形成されている。このような配線パターンは、例えば銅箔にマスクパターンを形成した後エッチング処理を行うことで形成される。すなわち、プリント配線板において、銅箔は回路導電体として機能する。
近年、電気・電子機器や通信機器の大容量化、通信速度の高速化の要求がますます増大している。従って、電気・電子機器や通信機器では、大容量の情報を低損失かつ高速で伝送・処理することが要求されている。これに伴い、電気・電子機器や通信機器に搭載されるプリント配線板においても、銅箔を伝送する電気信号の高周波数化が要求されている。例えば、現在規格化されているS−ATA(Serial Advanced Technology Attachment) rev.3などの高速伝送規格では、通信速度(伝送速度)が6Gbps(基本周波数が3GHz)にもなる。このとき、パルス波をフーリエ級数展開した際に現れる高調波(高調波成分)として、例えば第3高調波まで考慮すると、プリント配線板(プリント配線板が備える銅箔)には、9GHz程度の周波数の電気信号が伝送されることになる。
しかしながら、銅箔を伝送する電気信号の周波数が高くなるほど(例えば電気信号の周波数が1GHz以上になると)、電気信号の損失(すなわち伝送損失)が増加するという問題がある。このため、高周波の電気信号が伝送されるプリント配線板には、伝送損失を低減することが要求されている。すなわち、プリント配線板には、より高い高周波特性を有することが要求されている。
一般的に、伝送損失は、例えば表皮効果による抵抗に起因する導体損失と、例えば樹脂層の誘電率や誘電正接に起因する誘電損失との合計である。このうち、導体損失は、プリント配線板が備える銅箔に直接関連する。すなわち、プリント配線板が備える銅箔に高周波の電気信号が伝送されると、高周波の電気信号は、表皮効果によって銅箔の表面側部分に集中して伝送されるようになる。例えば、銅箔に交流の電気信号が伝送されると、磁束変化により銅箔の中心部に逆起電力が生じる。このため、銅箔の中心部では、電気信号が伝送されにくくなる。すなわち、電気信号は、主に銅箔の表面側部分を伝送するようになる。
ここで、銅箔を伝送する電気信号の周波数と、表皮深さとの関係について示す。なお、表皮深さとは、銅箔に電気信号を伝送させた際、銅箔の最表面を流れる電流密度を1としたとき、電流密度が1/eになる深さを言う。例えば、電気信号の周波数が100MHzである場合、表皮深さは6.6μmであり、電気信号の周波数が1GHzである場合、表皮深さは2.1μmであり、電気信号の周波数が10GHzである場合、表皮深さは0.66μmであると算出される。このように、電気信号の周波数が高くなるほど、電気信号は銅箔の表面側部分しか伝送しないことが分かる。
すなわち、銅箔を伝送する電気信号の周波数が高くなるほど、銅箔の断面積のうち、電気信号が伝送する部分の面積(以下では、有効断面積とも言う。)が減少する。その結果、表皮抵抗と呼ばれる抵抗が増加し、導体損失が増加する。このように、高周波の電気信号が伝送される際に発生する導体損失は、表皮効果による銅箔の有効断面積の減少が原因である。しかしながら、減少した銅箔の有効断面積を大きくすることはできない。従って、銅箔の電気信号が伝送する部分において、電気信号の伝送損失を低減する必要がある。例えば、銅箔が、基材と、粗化めっき層や防錆めっき層を有するめっき層とを備えて構成されている場合、めっき層及び基材の導体損失をそれぞれ低減する必要がある。
また、導体損失の増減は、銅箔の表面粗さにも依存する。すなわち、プリント配線板が形成される際、樹脂層が形成される側の銅箔の表面の表面粗さが大きいほど、導体損失が増加する傾向を示す。これは、電気信号は銅箔の表面の凹凸に沿って伝送されるため、銅箔の表面粗さが大きくなると、電気信号の伝送距離が長くなることに起因する。
そこで、例えば、平均結晶粒径が少なくとも0.4mmとなるように結晶粒を巨大化した酸素含有量が10ppm以下の無酸素銅素材からなる、粗化面を持たない圧延銅箔が提案されている(例えば特許文献1参照)。このように、銅箔が亜酸化銅等の不純物を含まない無酸素銅素材から形成されることで、信号伝送特性を向上させることができる。従って、このような銅箔が用いられたプリント配線板は、高周波における優れた電気特性を有するようになる。この他、例えば、伝送損失(導体損失)を低減するため、表面粗さを非常に小さくした平滑度の高い種々の銅箔が提案されている。
しかしながら、電気・電子機器や通信機器では、小型化や薄型化、高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度実装化がさらに進んでいる。従って、プリント配線板が備える配線パターン、すなわち銅箔に形成される配線パターンのさらなる微細化が進んでいる。このため、プリント配線板に用いられる銅箔には、樹脂層とのより高い密着性(ピール強度)が求められている。このとき、プリント配線板に、例えば特許文献1に記載されているような粗化面を持たない平坦な表面を有する銅箔や、表面の平滑度が高い銅箔が用いられた場合、銅箔と樹脂層との接触面積が減ってしまう。このため、銅箔と樹脂層との密着性が低くなり、実用に供することが難しいことがあった。従って、電子部品の高密度実装に耐え得る密着性を確保するためには、粗化面を持つ銅箔、すなわち粗化処理を行った銅箔を用いる必要がある。
そこで、例えば、圧延銅箔の最終の焼鈍処理後の圧延面でのX線回折で求めた(200)面の積分強度(I(200))が、微粉末銅のX線回折で求めた(200)面の積分強度(I0(200))に対し、I(200)/I0(200)>40であり、該圧延面に電解めっきによる粗化処理を行った後の粗化処理面の算術平均粗さ(Ra)が0.02μm〜0.2μm、十点平均粗さ(Rz)が0.1μm〜1.5μmであって、プリント回路基板用素材である高周波回路用粗化処理圧延銅箔が提案されている(例えば特許文献2参照)。これにより、圧延面の立方体集合組織を発達させて、圧延面の結晶粒径を大きくできるため、粒界の数を減らすことができる。従って、結晶粒界における抵抗を低くでき、伝送損失の増加を抑制できる。そして、このような高周波回路用粗化処理圧延銅箔を用いてプリント配線板を形成することで、1GHz以上の高周波数下での使用が可能なプリント配線板を低コストで形成できる。
特公平03−35679号公報 特許第4704025号公報
しかしながら、例えば特許文献2に記載される高周波回路用粗化処理圧延銅箔の圧延面の結晶配向は一軸配向である。このため、このような高周波回路用粗化処理圧延銅箔を用いて形成されたプリント配線板では、近年のプリント配線板に要求される高周波特性を満足することが難しかった。すなわち、例えば、S−ATA rev.3等の高速伝送規格のような通信速度(伝送速度)が6Gbps(基本周波数が3GHz)である高周波の電気信号が伝送される場合においても、伝送損失を低減することが難しかった。
本発明は、上記課題を解決し、高い周波数の電気信号が伝送された場合であっても、電気信号の伝送損失が低減されるとともに、所定のピール強度を維持できる粗化銅箔、銅張積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様によれば、高周波の電気信号が伝送されるプリント配線板に用いられる粗化銅箔であって、銅箔又は銅合金箔からなる基材と、前記基材の少なくともいずれかの主面上に成長される下地めっき層及び前記下地めっき層上に成長される粗化めっき層を有するめっき層と、を備え、最終の焼鈍処理後の前記基材のめっき層成長面は、X線回折法によって、前記めっき層成長面に対するX線の入射角度をθとして2θ/θ法によって測定して得られた前記立方体集合組織のピーク強度比をAとし、ωスキャンによって測定して得られた前記立方体集合組織のロッキングカーブの半価幅と積分幅との比である面外配向比をBとし、φスキャンによって得られた極点図から算出した前記立方体集合組織の半価幅と積分幅との比である面内配向比をCとしたとき、AとBとCとの積で表される前記立方体集合組織の総合配向率が80%以上である面であり、前記電気信号の周波数をfとしたとき、前記めっき層の厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下であり、前記めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下である粗化銅箔が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上0.8μm以下である第1の態様の粗化銅箔が提供される。
本発明の第3の態様によれば、高周波の電気信号が伝送されるプリント配線板に用いられる粗化銅箔であって、銅箔又は銅合金箔からなる基材と、前記基材の少なくともいずれかの主面上に成長される下地めっき層及び前記下地めっき層上に成長される粗化めっき層を有するめっき層と、を備え、最終の焼鈍処理後の前記基材のめっき層成長面は、X線回折法によって、前記めっき層成長面に対するX線の入射角度をθとして2θ/θ法によって測定して得られた前記立方体集合組織のピーク強度比をAとし、ωスキャンによって測定して得られた前記立方体集合組織のロッキングカーブの半価幅と積分幅との比で定義される面外配向比をBとし、φスキャンによって得られた極点図から算出した前記立方体集合組織の半価幅と積分幅との比で定義される面内配向比をCとしたとき、AとBとCとの積で表される前記立方体集合組織の総合配向率が50%以上である面であり、前記電気信号の周波数をfとしたとき、前記めっき層の厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下であり、前記めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上0.8μm以下である粗化銅箔が提供される。
本発明の第4の態様によれば、前記下地めっき層は、有機硫黄化合物を含むめっき液を用いて形成されている第1ないし第3の態様のいずれかの粗化銅箔が提供される。
本発明の第5の態様によれば、第1ないし第4の態様のいずれかの粗化銅箔と、前記粗化銅箔のめっき層成長面と接するように設けられる樹脂層と、を備える銅張積層板が提供される。
本発明の第6の態様によれば、第5の態様の銅張積層板を用いて形成されたプリント配線板が提供される。
本発明にかかる粗化銅箔、銅張積層板及びプリント配線板によれば、高い周波数の電気信号が伝送された場合であっても、電気信号の伝送損失を低減できるとともに、所定のピール強度を維持できる。
本発明の一実施形態にかかる粗化銅箔の概略断面図である。 本発明の一実施形態にかかる粗化銅箔に伝送される電気信号の周波数と表皮深さとの関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施形態にかかる粗化銅箔に伝送される電気信号の表皮距離と電流密度比との関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施形態にかかる粗化銅箔に伝送される電気信号の周波数と表皮距離との関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施形態にかかる粗化銅箔の製造工程を示すフロー図である。 本発明の一実施例にかかる基材の総合配向率と伝送損失との関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施例にかかる粗化めっき層の表面粗さ(Rz)と伝送損失との関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施例にかかる粗化めっき層の表面粗さ(Rz)と伝送損失との関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施例にかかる電気信号の周波数と伝送損失との関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施例にかかる基材の総合配向率と下地めっき層の厚さとの関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施例にかかる実効比誘電率とめっき層の表面粗さ(Rz)との関係を示すグラフ図である。
(1)粗化銅箔の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる粗化銅箔の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる粗化銅箔1の概略断面図である。
(基材)
図1に示すように、粗化銅箔1は、銅箔又は銅合金箔からなる基材2を備えている。基材2としては、高屈曲性を有する圧延銅箔を用いるとよい。すなわち、基材2は、銅や銅合金等の鋳塊に圧延処理や焼鈍処理等を行うことで形成されているとよい。
基材2の後述するめっき層3が成長される面(以下では、単にめっき層成長面とも言う。)は、立方体集合組織が発達した結晶配向性が高く、例えば粗化銅箔1を用いてプリント配線板が形成されて、プリント配線板(すなわちプリント配線板が備える粗化銅箔1)に電気信号が伝送された際に、電気信号の伝送損失が低減されるような面である。すなわち、めっき層成長面は、最終の焼鈍処理後において、X線回折法によって、めっき層成長面に対するX線の入射角度をθとして2θ/θ法によって測定した立方体集合組織のピーク強度比をAとし、ωスキャンによって測定したロッキングカーブの立方体集合組織の半価幅と積分幅との比で定義される面外配向比をBとし、φスキャンによる極点図から算出した立方体集合組織の半価幅と積分幅との比で定義される面内配向比をCとしたとき、AとBとCとの積(A×B×C)で表される立方体集合組織の総合配向率が80%以上である。ここで、立方体集合組織が発達した面とは、(200)面の占有率が高い面を言う。なお、以下では、基材2の総合配向率というときは、最終の焼鈍処理後の基材2のめっき層成長面の立方体集合組織の総合配向率を意味することとする。また、総合配向率の算出方法については、後述する。
このように、めっき層成長面に立方体集合組織を発達させて、結晶配向性を揃えることで、めっき層成長面の結晶粒の粒径を大きくできる。これにより、めっき層成長面に形成される結晶の粒界の数を低減でき、異なる結晶粒子の接触界面での抵抗(粒界抵抗)を低減できる。従って、粗化銅箔1に、例えばS−ATA rev.3の高速伝送規格に適合するような高周波の電気信号が伝送された場合であっても、電気信号の導体損失を低減できる。例えば、高周波特性が高いとされる表面の平滑度が高い電解銅箔と同程度まで導体損失を低減できる。その結果、電気信号の伝送損失を低減でき、高周波特性を向上させることができる。
また、基材2の総合配向率が80%以上である場合、めっき層3の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下であるとよい。これにより、粗化銅箔1のめっき層3上に樹脂層が設けられてプリント配線板が形成された場合、粗化銅箔1と樹脂層との所定の接着強度(ピール強度)を維持できる。例えば、電子部品の高密度実装に耐え得るような粗化銅箔1と樹脂層との高い密着性を維持できる。その結果、粗化銅箔1に高周波の電気信号が伝送された場合であっても、導体損失を低減させつつ、所定のピール強度(例えば1N/mm以上)を維持できる。すなわち、基材2の総合配向率を80%以上とすることで、導体損失を低減させつつ、めっき層3の表面粗さ(Rz)を0.6μm以上1.2μm以下とすることで所定のピール強度を維持できる。
基材2である銅箔又は銅合金箔の形成材料としては、例えば無酸素銅や希薄銅合金、タフピッチ銅等を用いることができる。特に、基材2の形成材料として無酸素銅又は希薄銅合金が用いられると、焼鈍処理後の基材2の結晶粒径を大きくできるため、導体損失をより低減できる。
(めっき層)
基材2の少なくともいずれかの主面には、めっき層3が成長されて形成されている。めっき層3は、少なくとも下地めっき層4と粗化めっき層5とを備えて構成されている。
めっき層3の厚さは、粗化銅箔1を伝送する電気信号の周波数をf(GHz)としたとき、0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下である。例えば、粗化銅箔1に基本周波数が3GHzである電気信号が伝送される場合、基本周波数の3倍の高調波(第3高調波)(9GHz)まで考慮すると、めっき層3の厚さは0.4μm以上2μm以下であるとよい。めっき層3の厚さとは、下地めっき層4及び粗化めっき層5を含むめっき層3の合計厚さである。なお、めっき層3の厚さの上限値(6.3/(f)1/2μm)の算出方法については後述する。
これにより、粗化銅箔1に高周波の電気信号が伝送された場合であっても、導体損失を低減させつつ、所定のピール強度を維持できる。すなわち、粗化銅箔1に高周波数の電気信号が伝送された場合、めっき層3の厚さが6.3/(f)1/2μm以下であれば、高い結晶配向性(高い総合配向率)を有するめっき成長面を有する基材2にも電気信号が伝送される。従って、電気信号が伝送される基材2の有効断面積の減少を抑制できる。その結果、表皮抵抗を抑制できるため、導体損失を低減できる。これに対し、めっき層3の厚さが6.3/(f)1/2μmを超えると、粗化銅箔1に高周波の電気信号が伝送された際、表皮効果により、電気信号がめっき層3に集中して流れるようになる。従って、電気信号が伝送される基材2の有効断面積が減少してしまうため、導体損失が増加してしまう。また、めっき層3は、粗化めっき層5を備えるため、基材2と比べて、表皮効果による導体損失が大きい。また、例えば電解めっきにより形成されるめっき層3の結晶は、最終の焼鈍処理による再結晶がほどんどない上、結晶配向性が低いため、導体損失が大きい。このため、導体損失を低減させるという観点からは、めっき層3の厚さはできるだけ薄くする方がよい。しかしながら、めっき層3の厚さが0.4μm未満であると、粗化めっき層5の厚さも薄くなるため、めっき層3の表面粗さ(Rz)を所定値(例えば0.6μm)以上にできない。従って、所定のピール強度を維持できない場合がある。
(下地めっき層)
下地めっき層4は、基材2の少なくともいずれかの主面上に成長されて形成されている。下地めっき層4は、例えば硫酸銅(CuSO)を主成分とするめっき液を用いた電解めっきにより成長されて形成されているとよい。下地めっき層4の厚さは、例えば基本周波数が3GHzである電気信号が粗化銅箔1に伝送される場合、0.2μm以上1.8μm以下であるとよい。これにより、導体損失をより低減させつつ、所定のピール強度を維持できる。この場合において、下地めっき層4の厚さが0.2μm未満であると、下地めっき層4上に後述する粗化めっき層5を面内均一に成長させることができず、所定のピール強度を維持できない場合がある。また、めっき層3の厚さの上限値が6.3/(f)1/2μm(例えば基本周波数が3GHzである電気信号が粗化銅箔1に伝送される場合は、第3高調波まで考慮して2μm)であるため、下地めっき層4の厚さが1.8μmを超えると、粗化めっき層5の厚さを薄くする必要がある。従って、めっき層3の表面粗さ(Rz)を所定値(例えば0.6μm)以上にできず、所定のピール強度を維持できない場合がある。
(粗化めっき層)
粗化めっき層5は、下地めっき層4上に成長されて形成されている。粗化めっき層5は、例えば粗化めっき処理により成長されて形成されているとよい。すなわち、粗化めっき層5は、表面に微細な凹凸が形成されるように、下地めっき層4上に、多数の例えば小球状や樹脂状の金属(以下では金属粒とも言う。)を電着させて形成されているとよい。例えば、基本周波数が3GHzである電気信号が伝送される場合、第3高調波まで考慮すると、粗化めっき層5の厚さは0.2μm以上1.0μm以下であるとよい。これにより、導体損失をより低減させつつ、所定のピール強度を維持できる。なお、粗化めっき層5の厚さが0.2μm未満であると、下地めっき層4上に金属粒を均一に電着させることができないことがある。すなわち、下地めっき層4上に粗化めっき層5に金属粒が付着しない箇所が生じてしまう、所謂「めっき欠け」が発生してしまう。従って、所定のピール強度を維持できない場合がある。また、粗化めっき層5の厚さが1.0μmを超えると、粗化めっき層5の表面粗さ(Rz)が大きくなるため、めっき層3の表面粗さ(Rz)が大きくなる。従って、粗化銅箔1を伝送する電気信号の伝送距離が長くなるため、導体損失が増加してしまう。
めっき層3は、下地めっき層4及び粗化めっき層5の他、例えば粗化めっき層5を構成する金属粒の脱落を防止する金属粒脱落防止めっき層や、防錆めっき層等を備えていてもよい。金属粒脱落防止めっき層は、例えば電解銅めっきにより、粗化めっき層5上に成長されて形成されているとよい。金属粒脱落防止めっき層は、例えば下地めっき層4と同じ電解めっき液を用いて形成されているとよい。防錆めっき層は、例えばクロメート処理により、粗化めっき層5又は金属粒脱落防止めっき層上に成長されて形成されているとよい。
(総合配向率の算出方法)
以下では、X線回折法を用い、基材2のめっき層成長面、すなわち最終の焼鈍処理後の圧延面における立方体集合組織のピーク強度比(A)、立方体集合組織の面外配向比(B)及び立方体集合組織の面内配向比(C)を算出し、立方体集合組織の総合配向率を算出する方法について説明する。
X線回折(XRD)法を用い、基材2のめっき層成長面における立方体集合組織のピーク強度比(A)を算出する方法について説明する。立方体集合組織のピーク強度比(A)は、めっき層成長面に対するX線の入射角度をθとし、2θ/θ法を用いて算出した。X線回折法を用いた2θ/θ法とは、X線をめっき層成長面に対して水平方向からθの角度で入射させ、めっき層成長面から反射されるX線のうち、入射X線に対して2θの角度のX線を検出することで、θに対する回折ピークの強度変化を調べる方法である。2θ/θ法による回折ピークの強度によって、多結晶体であるめっき層成長面(圧延銅箔の圧延面)において、どの結晶面が優勢であるのかを評価できる。すなわち、めっき層成長面において、各結晶面の占有率を評価できる。従って、立方体集合組織のピーク強度比(A)を算出することで、めっき層成長面における立方体集合組織の占有率を評価できる。
すなわち、まず、めっき層成長面に対するX線の入射角度をθとし、2θ/θ法によって、めっき層成長面のX線回折強度曲線を得る。得られたX線回折強度曲線から、(200)面、(220)面、(111)面及び(311)面のピーク強度をそれぞれ測定する。そして、得られた各面のピーク強度から、立方体集合組織のピーク強度比(A)を算出する。なお、上述したように、立方体集合組織が発達した面とは、(200)面の占有率が高い面である。従って、めっき層成長面の各結晶面のピーク強度の合計に対する(200)面の強度の比率を算出することで、立方体集合組織のピーク強度比(A)を算出できる。すなわち、立方体集合組織のピーク強度比(A)は、下記に示す(式1)から算出される。
(式1)
A={200}/({200}+{220}+{111}+{311})
なお、(式1)中、{200}は(200)面のピーク強度を示し、{220}は(220)面のピーク強度を示し、{111}は(111)面のピーク強度を示し、{311}は(311)面のピーク強度を示す。
次に、X線回折法を用い、基材2のめっき層成長面における立方体集合組織の面外配向比(B)及び面内配向比(C)を算出する方法について説明する。
立方体集合組織の面外配向比(B)とは、ωスキャン(ロッキングカーブ測定)によって測定して得られた立方体集合組織のロッキングカーブ(以下では、単にロッキングカーブとも言う。)の半価幅FWHM(Full Width at Half Maximum)(B)と積分幅IW(Integral Width)(B)との比(FWHM(B)/IW(B))である。これにより、めっき層成長面の垂直方向における結晶配向性を評価できる。
なお、半価幅FWHM(B)とは、立方体集合組織のロッキングカーブにおいて、最大強度の半分(1/2)の強度におけるロッキングカーブの最短幅である。また、積分幅IW(B)は、ロッキングカーブとベースライン(底辺)とにより囲まれる領域の面積(以下ではピーク面積とも言う。)を、ロッキングカーブの最大高さで除した値である。すなわち、積分幅IW(B)の算出は以下のように行った。まず、ロッキングカーブにおいて、ピーク面積を算出した。次に、最大強度のロッキングカーブの高さを算出した。そして、ロッキングカーブの高さを一辺とする矩形にしたとき、この矩形の面積が算出したピーク面積と同じ値になるときの他方の辺の長さを算出し、これを積分幅IW(B)とした。
また、立方体集合組織の面内配向比(C)とは、φスキャンにより得た立方体集合組織の極点図(Pole Figure)から算出した半価幅FWHM(C)と積分幅IW(C)との比(FWHM(C)/IW(C))である。すなわち、面内配向比(C)は、φスキャンによる立方体集合組織の極点図から得た回折強度曲線(以下では、単に回折強度曲線とも言う。)から算出した半価幅FWHM(C)と積分幅IW(C)との比である。半価幅FWHM(C)とは、極点図から得た立方体集合組織の回折強度曲線において、最大強度の半分の強度における回折強度曲線の最短幅である。また、積分幅IW(C)は、回折強度曲線とベースラインとにより囲まれる領域の面積を、回折強度曲線の最大高さで除した値である。これにより、基材2のめっき層成長面の3次元的な結晶配向性(2軸配向性)を評価できる。すなわち、面内配向比(C)が高いほど、めっき層成長面の立方体集合組織は高い2軸配向性を有することとなる。
ここで、面外配向比(B)及び面内配向比(C)において、回折ピークの半価幅FWHMと、積分幅IWとの比をとる理由を説明する。結晶配向性が高いめっき層成長面に対してωスキャンやφスキャンを行うと、ロッキングカーブや、回折強度曲線は、尖度が小さく(丸みがかったピークを有し)、裾野部が短いガウス曲線(正規分布曲線)となりやすい。これに対し、結晶配向性が低いめっき層成長面に対してωスキャンやφスキャンを行うと、ロッキングカーブや回折強度曲線は、尖度が大きく(鋭いピークを有し)、裾野部が広いガウス曲線となりやすい。すなわち、めっき層成長面が結晶配向性が高い面であるほど、半価幅FWHMと積分幅IWとの差が小さくなり、めっき層成長面が結晶配向性が低い面であるほど、半価幅FWHMと積分幅IWとの差が大きくなる。例えば、めっき層成長面の結晶配向性が高い面であるほど、半価幅FWHMと積分幅IWとの比(FWHM/IW)は1に近づく。従って、半価幅FWHMと積分幅IWとの比をとることで、半価幅FWHMや積分幅IWを個々に比較する場合と比べて、めっき層成長面の結晶配向性をより明確に判定することができるようになる。
そして、算出した立方体集合組織のピーク強度比(A)と、立方体集合組織の面外配向比(B)と、面内配向比(C)とにより、基材2の総合配向率を算出した。すなわち、下記の(式2)に示すように、ピーク強度比(A)と面外配向比(B)と面内配向比(C)とを乗じて、基材2の総合配向率を算出した。
(式2)
基材の総合配向率(%)=(A×B×C)×100
基材2の総合配向率は、めっき層成長面における立方体集合組織の占有率、及びその3次元的な結晶配向性(2軸配向性)を考慮しためっき層成長面の立方体集合組織の結晶配向性を評価する指標である。めっき層成長面は多結晶体であるので、基材2のめっき層成長面の立方体集合組織の総合配向率が100%に近づくほど、めっき層成長面で立方体集合組織の結晶配向性が高いことを意味する。
(めっき層の厚さの上限値の算出方法)
次に、めっき層3の厚さの上限値を算出する方法について説明する。まず、粗化銅箔1の最表面(表皮)から所定距離(深さ)δでの電流密度Jを求める。粗化銅箔1と樹脂層とが貼り合されてプリント配線板が形成された場合の樹脂層の樹脂方向における表皮での電場をE(V/m)としたとき、表皮からの距離(以下では表皮距離とも言う)δでの電流密度Jは、下記に示す(式3)で表される。
(式3)
J=σEexp(−δ/d)
ここで、σは導電率(1/Ωm)、dは表皮深さである。なお、表皮深さとは、表皮を流れる電流密度を1としたとき、電流密度が1/eになる表皮距離δである。
また、表皮(δ=0)での電流密度をJとすると、上記(式3)からJ=σEとなる。従って、上記の(式3)は、下記に示す(式4)でも表せる。
(式4)
J/J=exp(−δ/d)
以下では、J/Jを電流密度比と言う。すなわち、電流密度比とは、表皮での電流密度Jに対する表皮距離δにおける電流密度Jの比である。
(式4)に示すように、電流密度比は指数関数である。従って、表皮から表皮距離δまでの電流を積算した電流積算値もまた指数関数となる。例えば、全ての電流積算値に対する、表皮から電流密度比が5%まで低下する表皮距離δまでの電流積算値の比は、その表皮距離δにおける電流密度比と同じになる。
また、表皮深さdは、下記に示す(式5)で表される。
(式5)
d=(πσfμ)1/2
ここで、σは導電率(1/Ωm)、fは、粗化銅箔1を伝送する電気信号の周波数(Hz)、μは透磁率(H/m)である。
図2に、上記(式5)から算出した電気信号の周波数fと表皮深さdとの関係をグラフ図で示す。このとき、導電率σ=58.1×10(1/Ωm)とし、透磁率=4π×10−7(H/m)とした。すなわち、導電率として粗化銅箔1の形成材料である銅の導電率を用いた。また、銅は非磁性体であるので、透磁率として空気の透磁率を用いた。図2から、電気信号の周波数fが1GHzである場合、表皮深さdは2.1μmであることが分かる。また、図3に、上記(式4)及び(式5)から算出した表皮距離δと電流密度比との関係をグラフ図で示す。
また、上記の(式3)及び(式5)から、表皮距離δは、電気信号の周波数fと電流密度比とを用いて、下記に示す(式6)で表される。
(式6)
δ=−1/(πσfμ)1/2×ln(J/J
上記(式6)から、電流密度比が5%まで低下する表皮距離dは下記に示す(式7)で表される。このとき、導電率σ=58.1×10(1/Ωm)とし、透磁率=4π×10−7(H/m)とした。ここで、表皮距離δを、表皮深さdに対応する1/eではなく、電流密度比が5%まで低下する表皮からの距離としたのは、実際に粗化銅箔1を伝送する電気信号の深さを、表皮効果による導体損失低減の影響があると考えられる下限値5%で判断するためである。
(式7)
δ=6.3/(f)1/2(μm)
図4に、上記(式7)から算出した電気信号の周波数fと表皮距離δとの関係をグラフ図で示す。図4から、粗化銅箔1を伝送する電気信号の周波数が高くなるほど、電気信号は粗化銅箔1の表面側部分しか伝送しないことが分かる。例えば、最新の伝送規格の一つであるS−ATA rev.3では、伝送速度が6Gbps(基本周波数3GHz)となっている。このとき、粗化銅箔1に伝送される電気信号であるパルス波は、正弦波の重ね合わせで表され、基本周波数の3倍の高調波(第3高調波)、基本周波数の5倍の高調波(第5高調波)まででほぼ近似できる。従って、図4から、電流密度比(J/J)が5%であるとき、S−ATA rev.3の高速伝送規格において、例えば基本周波数(3GHz)の3倍である9GHzでの表皮距離δは2μmであることが分かる。すなわち、例えば基本周波数が3GHzである電気信号が伝送される場合、めっき層3の厚さの上限値が2μmであると、粗化銅箔1が備える基材2にも電気信号が伝送されるため、表皮効果による導体損失を低減できる。
上述したように、めっき層3の厚さが上記(式7)で算出される値以下であると、粗化銅箔1が備える基材2にも電気信号が伝送されるため、表皮効果による導体損失を低減できる。従って、めっき層3の厚さの上限値を、上記(式7)から算出される値とした。
(2)銅張積層板及びプリント配線板の構成
次に、上述の粗化銅箔1を用いて形成した銅張積層板及びプリント配線板について説明する。本実施形態にかかる銅張積層板は、上述の粗化銅箔1と、粗化銅箔1のめっき層成長面と接するように設けられた樹脂層と、を備えて構成されている。樹脂層としては、例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等を用いることができる。すなわち、銅張積層板は、例えば、粗化銅箔1のめっき層成長面上に樹脂層を積層した後、ラミネート加工を行うことで、樹脂層と粗化銅箔1とをクラッド接合することで形成できる。また、銅張積層板は、樹脂層の両面に粗化銅箔1が積層された両面銅張積層板であってもよい。そして、銅張積層板(粗化銅箔1が備える基材2)にエッチング処理を行い、電気信号の伝送路である所定の回路を形成することで、プリント配線板が形成される。このようなプリント配線板には、例えばハンダなどで電子部品が接続されて実装される。また、このようなプリント配線板は、例えば異方性導電フィルムを介して他のリジッド基板と導電接続されて実装される。
(3)粗化銅箔の製造方法
次に、本実施形態にかかる粗化銅箔1の製造方法の一実施形態について、主に図5を用いて説明する。図5は、本実施形態にかかる粗化銅箔1の製造工程を示すフロー図である。
(鋳造工程(S10))
本実施形態にかかる粗化銅箔1の製造方法では、例えば連続鋳造圧延方式を用いた。図5に示すように、まず、例えば坩堝式溶解炉、チャネル式溶解炉等の電気炉を用い、母材である銅(Cu)を溶解して銅の溶湯を製造する。なお、銅合金の鋳塊を鋳造する場合は、銅の溶湯中に所定量の所定元素を添加し、銅合金の溶湯を製造する。そして、この銅の溶湯又は銅合金の溶湯を鋳型に供給して、所定形状の鋳塊(ケーク)を鋳造する。
(熱間圧延工程(S20))
鋳造工程(S10)が終了した後、鋳造したケークを所定温度に加熱して熱間圧延処理を行い、所定厚さの熱延板を形成する。すなわち、所定温度に加熱した加熱炉中にケークを搬入する。そして、加熱炉中で所定時間ケークを保持してケークを加熱する。所定時間が経過したら、ケークを加熱炉から搬出する。その後、熱間圧延機を用いて、例えば室温でケークを所定厚さとなるように圧延し、熱延板を形成する。熱間圧延処理が終了した後は、なるべく速やかに熱延板を例えば室温程度まで冷却するとよい。
熱間圧延処理の処理温度、すなわち加熱炉の加熱温度は、銅合金の化学組成によって調整するとよい。例えば、銅合金中に添加した添加物を析出させた銅合金(析出型銅合金)では、熱間圧延処理の処理温度(特に熱間圧延処理の開始温度)は、銅合金中に添加している元素が固溶する温度であると良い。これにより、熱間圧延処理によって熱延板の表面に形成される酸化膜(酸化スケール)を低減できる。すなわち、熱間圧延処理の処理温度が高すぎると、熱延板の表面に形成される酸化スケールが増大する場合がある。
(面削工程(S30))
熱間圧延工程(S20)が終了した後、面削を行うことで、熱間圧延処理により熱延板の表面に形成された酸化膜(酸化スケール)を削り、酸化膜を除去する。
(冷間圧延工程・焼鈍工程(S40・S50))
面削工程(S30)が終了した後、熱延板に、所定の加工度の冷間圧延処理(冷間圧延工程(S40))と、所定温度で所定時間加熱する焼鈍処理(焼鈍工程(S50))とを所定回数繰り返して行い、所定厚さの生地と呼ばれる冷延板を形成する。
(仕上圧延工程(S60))
冷間圧延工程(S40)と焼鈍工程(S50)とを所定回数繰り返した後、冷延板に、所定の加工度で仕上圧延処理を行い、基材2としての所定厚さの銅箔又は銅合金箔を形成する。
(めっき層形成工程(S70))
仕上圧延工程(S60)が終了した後、銅箔又は銅合金箔の基材2の少なくともいずれかの主面上に、少なくとも下地めっき層4と粗化めっき層5とを有するめっき層3を形成する。めっき層3は、厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下となるように形成する。
[下地めっき層形成工程(S71)]
まず、基材2の少なくともいずれかの主面(圧延面)上に、例えば電解めっきにより、所定厚さの下地めっき層4を成長させて形成する。下地めっき層4は、例えば硫酸銅(CuSO)等を主成分とするめっき液を用いて形成するとよい。
[粗化めっき層形成工程(S72)]
下地めっき層形成工程(S71)が終了したら、例えば粗化めっき処理により、下地めっき層4上に、粗化めっき層5を成長させて形成する。すなわち、粗化めっき層5は、下地めっき層4上に、表面に微細な凹凸を形成するように、多数の例えば小球状や樹脂状の金属(金属粒)を電着させて形成するとよい。
なお、粗化めっき層形成工程(S72)が終了した後、粗化めっき層5上に、例えば金属粒脱落防止めっき層を成長させて形成してもよい。このとき、金属粒脱落防止めっき層は、例えば下地めっき層4を形成した際に用いためっき液と同様のめっき液を用いることができる。また、粗化めっき層形成工程(S72)が終了した後、又は金属粒脱落防止めっき層を形成した後、クロメート処理を行い、粗化めっき層5上又は金属粒脱落防止めっき層上に防錆めっき層としてのクロメート皮膜を成長させて形成してもよい。
(最終の焼鈍工程(S80))
めっき層形成工程(S70)が終了したら、めっき層3を形成した基材2を所定温度に所定時間加熱する最終の焼鈍処理を行う。例えば、本実施形態に係る粗化銅箔1のめっき層3上にポリイミド等の樹脂等により形成される樹脂層を貼り合わせてプリント配線板を形成する場合、最終の焼鈍処理は、樹脂層を粗化銅箔1に貼り合わせる際の加熱により行うことができる。なお、最終の焼鈍処理は、上述の樹脂層を粗化銅箔1に貼り合わせる際の加熱とは別工程にて行ってもよい。これにより、本実施形態にかかる粗化銅箔1が製造されて、その製造工程を終了する。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、粗化銅箔1は、銅箔又は銅合金箔からなる基材2と、基材2の少なくともいずれかの主面上に成長されるめっき層3と、を備えて構成されている。めっき層3は、少なくとも下地めっき層4と粗化めっき層5とを備えて形成されている。基材2のめっき層3が成長される面(めっき層成長面)は、最終の焼鈍処理後において、立方体集合組織のピーク強度比(A)と、面外配向比(B)と、面内配向比(C)との積で表される基材2の総合配向率が80%以上である面である。また、めっき層3の厚さは、粗化銅箔1を伝送する電気信号の周波数をfとしたとき、0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下である。また、めっき層3の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下である。これにより、導体損失を低減することで伝送損失を低減でき、高周波特性を向上させるとともに、粗化銅箔1を用いてプリント配線板が形成された際に、所定のピール強度(例えば1N/mm以上)を維持できる。例えば、S−ATA rev.3等の高速伝送規格に適合するような高周波(基本周波数が3GHz)の電気信号が伝送された場合であっても、電気信号の導体損失を低減させつつ、所定のピール強度を維持できる。
(b)本実施形態によれば、電気信号の伝送損失を低減する立方体集合組織が発達した結晶性が高い面を有する粗化銅箔1を用いて銅張積層板及びプリント配線板を形成している。従って、銅張積層板及びプリント配線板の導体損失を低減して、高周波特性を向上させつつ、所定のピール強度を維持できる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、基材2の総合配向率が80%以上であり、めっき層3の厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下であり、めっき層3の表面粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、基材2の総合配向率が50%以上である場合、めっき層3の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上0.8μm以下であれば良い。このように、最終の焼鈍処理後のめっき層成長面の結晶配向性が低い場合であっても、基材2の総合配向率が50%以上であれば、めっき層3の表面粗さ(Rz)を所定範囲とすることで、導体損失を低減させつつ、所定のピール強度(例えば1N/mm以上)を維持できる。
また、上述の実施形態では、下地めっき層4を、例えば硫酸銅(CuSO)を主成分とするめっき液を用いて形成したが、これに限定されるものではない。例えば、基材2として圧延銅箔(圧延銅合金箔)が用いられる場合、下地めっき層4を例えばSPS等の有機硫黄化合物を含むめっき液を用いて形成してもよい。これにより、最終の焼鈍工程(S80)において、下地めっき層4は、基材2のめっき層成長面の結晶組織にしたがってオストワルド成長する。すなわち、最終の焼鈍処理を行うことで、下地めっき層4の結晶粒は、基材2のめっき層成長面の結晶組織と一体化するように結晶成長する。つまり、基材2のめっき層成長面の結晶組織は、下地めっき層4の結晶組織を取り込みつつ結晶成長する。従って、見かけ上、下地めっき層4と基材2との区別がなくなる。また、下地めっき層4は、基材2のめっき層成長面の結晶組織と同様の結晶粒径及び結晶配向となるように結晶粒が再結晶するため、下地めっき層4の結晶粒が大きくできる。すなわち、結晶粒の大きさが小さく導体損失が大きいめっき層3の厚さを薄くできる。その結果、下地めっき層4の導電損失が低減する。このため、例えばS−ATA rev.3等の高速伝送規格に適合するような高周波の電気信号が粗化銅箔1に伝送された場合であっても、表皮効果によって、粗化銅箔1内における電気信号が流れる有効断面積が減少することを抑制でき、表皮抵抗を低減できる。従って、導体損失をより低減できる。なお、基材2として、例えば結晶方位がランダムである電解銅箔が用いられた場合、下地めっき層4が有機硫黄化合物を含むめっき液を用いて形成されても、最終の焼鈍処理において、下地めっき層4はオストワルド成長しない。
また、上述の実施形態では、最終の焼鈍工程(S80)をめっき層形成工程(S70)の後に行ったが、これに限定されるものではない。例えば、最終の焼鈍工程(S80)をめっき層形成工程(S70)の前に行ってもよい。
(誘電損失について)
また、上述の実施形態では、基材2の総合配向率が80%以上であり、めっき層3の厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下であり、めっき層3の表面粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下である場合を例に説明した。このとき、めっき層3の表面粗さ(Rz)が0.6μm以上0.8μm以下であると、導体損失を低減できるとともに、誘電損失も低減できる。従って、高周波特性をより向上させることができる。
すなわち、上述したように、伝送損失は、導体損失と誘電損失との合計である。従って、導体損失を低減しつつ、さらに誘電損失を低減できると、高周波特性をより向上させることができる。誘電損失は、以下のように発生する。すなわち、例えば、粗化銅箔1と、粗化銅箔1が備えるめっき層3上に設けられる樹脂層と、を備えて構成され、粗化銅箔1に電気信号の伝送路としての回路が形成されているプリント配線板に電気信号が伝送されると、回路の周りの電界に変化が起こる。この電界が変化する周期(周波数)が樹脂層を形成する樹脂の分極の緩和時間に近づくと、電気変位に遅れが生ずる。このとき、樹脂内部に分子摩擦が生じて熱が発生し、この熱が誘電損失となる。誘電損失の増減は、プリント配線板が備える樹脂層の誘電率(比誘電率)や、誘電正接に依存する。そして、樹脂層の比誘電率や誘電正接は、樹脂層を構成する樹脂の種類によって決定される。例えば、樹脂層がポリイミドにより形成されている場合、一般的に樹脂層の比誘電率は3.3程度となる。しかしながら、粗化銅箔1に形成された回路が例えばマイクロストリップラインである場合、電気力線は、樹脂層であるポリイミドの外側の空気中を通過するため、空気の比誘電率(約1)の影響を受ける。従って、樹脂層の実効比誘電率は3.3よりも小さくなる。また、一般的に、導体損失は、プリント配線板に伝送される電気信号の周波数の0.5乗に比例して増加する。これに対し、誘電損失は、プリント配線板に伝送される電気信号の1乗に比例して増加する。従って、プリント配線板に伝送される電気信号が高周波になるほど、誘電損失が増加する。
従って、誘電損失を低減するため、樹脂層を形成する樹脂として、電界変化による分極を起こしにくい樹脂を用いることが考えられる。例えば、樹脂層を形成する樹脂として、極性が大きい置換基を減らした樹脂や、極性が大きい置換基を無くした樹脂を用いることが考えられる。しかしながら、極性の大きな置換基は、粗化銅箔1と樹脂層との化学的な密着性に大きく寄与している。従って、誘電損失を低減するために、極性が大きい置換基を減らした樹脂を用いて樹脂層が形成されると、銅箔と樹脂層との密着性(ピール強度)が極端に低下してしまう。すなわち、プリント配線板に形成された回路の引き剥がし強度が極端に低下してしまう。
このとき、粗化銅箔1が備えるめっき層3の表面粗さ(Rz)が、0.6μm以上0.8μm以下であると、所定のピール強度を維持しつつ、導体損失を低減できるとともに、誘電損失を低減できる。従って、高周波特性をより向上させつつ、所定のピール強度を維持できる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、40ppmの錫(Sn)を含み、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる無酸素銅(希薄銅合金)を用いた。そして、坩堝式溶解炉を用い、窒素雰囲気下にて無酸素銅を溶解して溶湯を作製した。その後、溶湯を鋳型に供給し、所定形状のケークを鋳造した。次に、ケークを所定温度に加熱して熱間圧延処理を行い、所定厚さの熱延板を作製した。そして、熱延板に、所定の加工度の冷間圧延処理と、焼鈍処理とを所定回数繰り返して行い、所定厚さの冷延板を作製した。そして、銅条に、仕上圧延処理を行い、厚さが10.5μm及び10μmの銅箔を作製し、これを基材とした。仕上げ圧延処理は、後述する最終の焼鈍処理を行った後に、基材のめっき層成長面の立方体集合組織の総合配向率(基材の総合配向率)が80%となるように行った。また、基材の圧延面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μmであった。
次に、基材に、電解脱脂処理と酸洗処理とを行い、基材の表面を清浄化した。すなわち、まず、水酸化ナトリウム30g/Lと、炭酸ナトリウム40g/Lとを含み、液温を40℃とした水溶液を作製した。そして、この水溶液中にて、電流密度を5A/dmとし、処理時間を30秒として、基材に電解脱脂処理を行った。電解脱脂処理が終了した後、基材を水洗した。その後、硫酸150g/Lを含み、液温を25℃とした水溶液を作製した。そして、この水溶液中にて、基材を10秒間水溶液に浸漬し、酸洗処理を行った。
そして、基材のいずれかの主面(圧延面)であるめっき層成長面上に、めっき層を成長させて形成した。すなわち、めっき層として、基材のめっき層成長面の側から順に、下地めっき層と、粗化めっき層と、金属粒脱落防止めっき層と、ニッケル(Ni)めっき層と、亜鉛(Zn)めっき層と、防錆めっき層と、シランカップリング層とをそれぞれ成長させて形成した、粗化銅箔を作製した。
すなわち、まず、電解脱脂処理と酸洗処理とを行った基材を水洗した。そして、基材のいずれかの主面であるめっき層成長面上に、下地めっき層を成長させて形成した。すなわち、硫酸銅五水和物100g/Lと、硫酸60g/Lとを含み、液温を35℃としためっき液(以下では、このめっき液を基本下地めっき液とも言う。)を作製した。そして、この基本下地めっき液中にて、電流密度を8A/dmとし、処理時間を20秒として、電解めっき処理を行い、基材のめっき層成長面上に厚さが0.6μmの下地めっき層を形成した。以下では、下地めっき層を形成する電解めっき処理を下地めっき処理とも言う。
次に、少なくとも下地めっき層の表面を水洗した後、下地めっき層上に、粗化めっき層を成長させて形成した。すなわち、硫酸銅五水和物50g/Lと、硫酸80g/Lと、硫酸鉄七水和物50g/Lとを含み、液温を30℃とした粗化めっき液を作製した。そして、この粗化めっき液中にて、電流密度を40A/dm〜60A/dmの範囲内で所定の値とし、処理時間を0.5秒〜4秒の範囲内で所定の時間として、粗化めっき処理を行い、下地めっき層上に厚さが0.6μmの粗化めっき層を形成した。
次に、少なくとも粗化めっき層の表面を水洗した後、粗化めっき層上に、金属粒脱落防止めっき層を成長させて形成した。金属粒脱落防止めっき層は、上述の下地めっき層と同様のめっき液(基本下地めっき液)を用いた電解めっき処理により形成した。そして、このめっき液中にて、電流密度を8A/dmとし、処理時間を所定時間として、電解めっき処理を行い、基材のめっき成長面上に所定厚さの金属粒脱落防止めっき層を形成した。
次に、少なくとも金属粒脱落防止めっき層の表面を水洗した後、金属粒脱落防止めっき層上に、ニッケルめっき層を成長させて形成した。すなわち、硫酸ニッケル六水和物300g/Lと、塩化ニッケル45g/Lと、硼酸40g/Lとを含み、液温を50℃としためっき液を作製した。そして、このめっき液中にて、電流密度を2.5A/dmとし、処理時間を5秒として、めっき処理を行い、金属粒脱落防止めっき層上に厚さが25nmのニッケルめっき層を形成した。
次に、少なくともニッケルめっき層の表面を水洗した後、ニッケルめっき層上に、亜鉛めっき層を成長させて形成した。すなわち、硫酸亜鉛七水和物90g/Lと、硫酸ナトリウム70g/Lとを含み、液温を30℃としためっき液を作製した。そして、このめっき液中にて、電流密度を1.8A/dmとし、処理時間を4秒として、めっき処理を行い、ニッケルめっき層上に厚さが7nmの亜鉛めっき層を形成した。
次に、少なくとも亜鉛めっき層の表面を水洗した後、亜鉛めっき層上に、3価クロム化成処理を行って、防錆めっき層として4nmのクロメート皮膜を形成した。
そして、少なくともクロメート皮膜の表面を水洗した後、クロメート皮膜上に、シランカップリング処理層を成長させて形成した。すなわち、3―アミノプロピルトリメトキシシランの濃度が5%であるシランカップリング液中にて、液温を25℃として、5秒間浸漬した後、直ちに200℃の温度で乾燥して、所定厚さのシランカップリング処理層を形成した。
また、基材の他方の主面、すなわち少なくとも下地めっき層と粗化めっき層とを備えるめっき層を成長させて形成した面とは反対側の面には、ニッケルめっき層と、亜鉛めっき層と、防錆めっき層としてのクロメート皮膜とをそれぞれ基材の側から順に成長させて形成した。なお、ニッケルめっき層、亜鉛めっき層、及び防錆めっき層はそれぞれ、上述のめっき層を構成するニッケルめっき層、亜鉛めっき層、及び防錆めっき層と同様のめっき処理条件で成長させて形成した。なお、以下では、単に「めっき層」というときは、上述の少なくとも下地めっき層と粗化めっき層とを含むめっき層を意味するものとする。
上述のようにして作製した粗化銅箔のめっき層(粗化処理面)の表面粗さ(Rz)を、JIS−B0601に従って、接触粗さ計を用いて測定した。その結果は、1.2μmであった。
次に、上述のようにして作製した粗化銅箔を用いて両面銅張積層板を作製した。すなわち、まず、粗化銅箔のめっき層の表面がポリイミドフィルムと接触するように、ポリイミドフィルムの両面に粗化銅箔を積層した。そして、ラミネート加工を行うことで、ポリイミドフィルムと粗化銅箔とをクラッド接合して両面銅張積層板を作製した。なお、ポリイミドフィルムとして、宇部日東化成株式会社製のユーピレックスを使用した。
そして、ラミネート加工を行う際の加熱により、粗化銅箔に最終の焼鈍処理を行った。これにより、粗化銅箔の基材のめっき層成長面(すなわち粗化銅箔のめっき層が成長された面)は、立方体集合組織の総合配向率が80%である面となった。
そして、両面銅張積層板の一方の面の粗化銅箔(粗化銅箔が備える基材)に、スルーホールの穿設、スルーホールめっき処理を順次行った後、エッチング処理を行い、電気信号の伝送路である回路として100mmのマイクロストリップラインの配線パターンを形成してプリント配線板を形成した。このとき、プリント配線板の特性インピーダンスが50±5Ωとなるように、マイクロストリップラインの線幅を決定した。このプリント配線板を実施例1の試料とした。
(実施例2)
実施例2では、基材の総合配向率が90%になるように仕上圧延処理を行った。この他は、上述の実施例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを実施例2の試料とした。
(実施例3)
実施例3では、基材の総合配向率が90%になるように仕上圧延処理を行った。また、下地めっき層の厚さが0.2μmとなるように下地めっき処理を行い、粗化めっき層の厚さが1.0μmとなるように、電流密度を低くして(例えば40A/dmにして)粗化めっき処理を行った。この他は、上述の実施例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを実施例3の試料とした。
(実施例4)
実施例4では、所定量の銀(Ag)と所定量の硼素(B)とを含み、残部が銅及び不可避的不純物からなる無酸素銅を用い、基材としての圧延銅箔を作製した。また、基材の総合配向率が95%になるように仕上圧延処理を行った。この他は、上述の実施例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを実施例4の試料とした。
(実施例5)
実施例5では、下地めっき層を、上述の基本下地めっき液に、添加剤として有機硫黄化合物(SPS)(粉末試薬)を40mg/Lと、ポリプロピレングリコール(液体試薬)を4ml/Lと、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトを0.3g/Lと、塩酸を0.15ml/Lとを添加し、液温を35℃としためっき液(以下では、このめっき液を添加剤入り下地めっき液とも言う。)を用いて形成した。この他は、上述の実施例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを実施例5の試料とした。
(実施例6)
実施例6では、基材の総合配向率が90%になるように仕上圧延処理を行った。また、粗化めっき層の厚さが0.2μmとなるように粗化めっき処理を行った。また、めっき層の表面粗さ(Rz)が0.8μmとなるようにめっき層を形成した。この他は、上述の実施例5と同様にしてプリント配線板を作製した。これを実施例6の試料とした。
(実施例7〜8)
実施例7〜8では、めっき層の表面粗さ(Rz)がそれぞれ0.7μm、0.6μmとなるようにめっき層を形成した。この他は、上述の実施例6と同様にしてプリント配線板をそれぞれ作製した。これらをそれぞれ、実施例7及び実施例8の試料とした。
(実施例9)
実施例9では、タフピッチ銅(TPC)を用い、基材としての圧延銅合金箔を作製した。また、基材の総合配向率が50%になるように仕上圧延処理を行った。この他は、上述の実施例6と同様にしてプリント配線板を作製した。これを実施例9の試料とした。
(実施例10〜11)
実施例10〜11では、めっき層の表面粗さ(Rz)がそれぞれ0.7μm、0.6μmとなるようにめっき層を形成した。この他は、上述の実施例9と同様にしてプリント配線板をそれぞれ作製した。これらをそれぞれ、実施例10及び実施例11の試料とした。
(比較例1)
比較例1では、タフピッチ銅(TPC)を用い、基材としての圧延銅合金箔を作製した。また、基材の総合配向率が50%になるように仕上圧延処理を行った。この他は、上述の実施例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを比較例1の試料とした。
(比較例2)
比較例2では、粗化めっき層の厚さが1.2μmとなるように粗化めっき処理を行った。また、めっき層の表面粗さ(Rz)が2.3μmとなるようにめっき層を形成した。この他は、上述の比較例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを比較例2の試料とした。
(比較例3)
比較例3では、基材の総合配向率が90%になるように仕上圧延処理を行った。また、粗化めっき層の厚さが1.2μmとなるように粗化めっき処理を行った。また、めっき層の表面粗さ(Rz)が2.3μmとなるようにめっき層を形成した。この他は、上述の実施例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを比較例3の試料とした。
(比較例4)
比較例4では、基材として、厚さが10μm又は10.5μmの電解銅箔を用いた。電解銅箔のめっき層成長面の立方体集合組織の総合配向率は5%であった。そして、下地めっき層の厚さが10.6μmとなり、粗化めっき層の厚さが0.6μmとなるように、下地めっき処理及び粗化めっき処理をそれぞれ行った。また、めっき層の厚さが12μmとなり、粗化銅箔のめっき層の表面粗さ(Rz)が1.2μmとなるように、めっき層を形成した。この他は、上述の実施例1と同様にしてプリント配線板を作製した。これを比較例4の試料とした。
(比較例5)
比較例5では、基材として、厚さが10μm又は10.5μmの電解銅箔を用いた。電解銅箔のめっき層成長面の立方体集合組織の総合配向率は5%であった。そして、基材のいずかの主面であるめっき層成長面上に、厚さが12μmの下地めっき層を成長させて形成した。また、めっき層の表面粗さ(Rz)が0.6μmとなるようにめっき層を形成した。なお、比較例5では、粗化めっき層を形成せず、無粗化箔を作製した。この他は、上述の比較例4と同様にしてプリント配線板を作製した。これを比較例5の試料とした。
上述の実施例1〜11及び比較例1〜5の作製条件を、表1にまとめて示す。表1中、基材の総合配向率とは、最終の焼鈍処理後の基材のめっき層成長面の立方体集合組織の総合配向率である。また、下地めっき液の欄の「基本」とは、下地めっき層を基本下地めっき液を用いて形成したことを表し、「添加剤入り」とは、下地めっき層を添加剤入り下地めっき液を用いて形成したことを表す。
(評価)
実施例1〜11及び比較例1〜5の各試料について、伝送損失を測定して高周波特性を評価した。なお、各試料の伝送損失の測定は、Agilent社製のネットワークアナライザN5230Aを使用し、所定のキャリブレーションを実施してから、プローブ接点で測定した。そして、基材の総合配向率、めっき層の厚さ、めっき層の表面粗さ(Rz)、下地めっき層の形成に用いられるめっき液、及び誘電損失について評価した。
[総合配向率の評価]
図6に、実施例1,2,4及び比較例1,4の各試料が備える基材の総合配向率と伝送損失との関係をグラフ図で示す。実施例1,2,4及び比較例1の各試料は、めっき層の厚さ(めっき層の合計厚さ)が1.5μmであり、めっき層の表面粗さ(Rz)が1.2μmである。すなわち、実施例1,2,4及び比較例1の各試料はそれぞれ、基材の総合配向率だけが異なっている。また、比較例4の試料は、基材として、総合配向率が5%である電解銅箔を用いている。また、比較例5は、一般的に高周波特性に優れるとされる平滑度の高い無粗化の電解銅箔を基材として用いている。このため、図6では、実施例1,2,4及び比較例1,4の各試料の伝送損失は、比較例5の伝送損失に対する比率(伝送損失比)で示した。すなわち、伝送損失は、比較例5の試料の伝送損失を100%としたときの相対割合で表した。従って、伝送損失比が100%を超える場合は、比較例5の試料よりも伝送損失が大きいことを示す。図6から、実施例1の試料は、比較例5の試料と同程度まで伝送損失を低減できることを確認した。また、実施例2及び実施例4の試料は、比較例5の試料よりも伝送損失を低減できることを確認した。これに対し、比較例1及び比較例4の試料は、比較例5の試料よりも伝送損失が増加することを確認した。すなわち、図6から、基材の総合配向率が80%以上であれば、比較例5の試料と同程度以上の高周波特性を得ることができることを確認した。例えば9GHzの高周波の電気信号が伝送された場合であっても、比較例5の試料と同程度の伝送損失を維持できることを確認した。
[めっき層の厚さの評価]
実施例1〜11及び比較例1〜5の各試料について、ピール強度を測定した。その結果を、表1に示す。
<下地めっき層の厚さの評価>
下地めっき層の厚さとピール強度及び高周波特性との関係についての評価を行った。表1から、例えば、下地めっき層の厚さが0.6μmである実施例2の試料と、下地めっき層の厚さが0.2μmである実施例3の試料とを比較すると、実施例3の試料のピール強度は、実施例2の試料のピール強度と比べて、若干低くなることを確認した。しかしながら、実施例3の試料は、実用上十分なピール強度(例えば1N/mm以上)を有することを確認した。すなわち、下地めっき層の厚さが0.2μm以上であれば、下地めっき層上に粗化めっき層を均一に形成することができ、所定のピール強度を維持できることを確認した。また、実施例2の試料と実施例3の試料とは、伝送損失は同程度であることを確認した。これに対し、例えば、厚さが0.1μmである下地めっき層上に、粗化めっき層を形成し、表面粗さ(Rz)が1.2μmであるめっき層を形成した粗化銅箔を用いて作製したプリント配線板のピール強度は、0.6N/mmであった。これらから、下地めっき層の厚さが0.2μm以上であると、高周波特性を向上させつつ、所定のピール強度を維持できることを確認した。
<粗化めっき層の厚さの評価>
次に、粗化めっき層の厚さとピール強度及び高周波特性との関係についての評価を行った。表1の実施例6〜9から、粗化めっき層の厚さが0.2μm以上であれば、下地めっき層上に粗化めっき層を均一に形成することができ、所定のピール強度(例えば1N/mm以上)を維持できることを確認した。また、実施例6〜9の各試料は、比較例5の試料と同程度以下まで伝送損失を低減できることを確認した。これに対し、例えば、厚さが0.1μmの粗化めっき層を形成した場合、下地めっき層上に金属粒を均一に電着させることができず、所謂めっき欠けが発生してしまい、所定のピール強度を維持できないことを確認した。
また、実施例3から、粗化めっき層の厚さが1.0μmであれば、めっき層の表面粗さ(Rz)を1.2μmにでき、伝送損失を低減しつつ、所定のピール強度を維持できることを確認した。これに対し、粗化めっき層の厚さをより厚くするため、実施例3の試料の作製時よりも、粗化めっき処理の電流密度を低くすると、下地めっき層上に、均一に金属粒を電着させることができず、粗化めっき処理を行うことができないことを確認した。また、比較例2から、粗化めっき処理の電流密度を低くすることなく、粗化めっき層の厚さを厚くすると、めっき層の表面粗さ(Rz)が大きくなるため、電気信号の伝送距離が長くなってしまい、伝送損失が増加することを確認した。
以上の結果から、粗化めっき層の厚さが0.2μm以上1.0μm以下であると、伝送損失を低減して高周波特性を向上させつつ、所定のピール強度を維持できることを確認した。
<めっき層の厚さの評価>
以上の結果から、めっき層の厚さの下限値は0.4μmとなることを確認した。また、めっき層の上限値は、上述したように電気信号の周波数によって決まる。すなわち、プリント配線板の導体として粗化銅箔を用いる場合、めっき層の上限値は6.3/(f)1/2μmとなる。例えば、電気信号の基本周波数が3GHzである場合、第3高調波まで考慮すると、図4からめっき層の上限値は2μmであると良い。また、上述したように粗化めっき層の厚さの下限値は0.2μmであるため、基本周波数が3GHzである場合、下地めっき層の厚さの上限値は1.8μmとなる。
[表面粗さの評価]
次に、実施例1〜11及び比較例1〜5の各試料のめっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)と高周波特性との関係についての評価を行った。図7に、実施例2,6,8及び比較例3の各試料のめっき層の表面粗さ(Rz)と伝送損失との関係をグラフ図で示す。なお、図7では、実施例2,6,8及び比較例3の各試料の伝送損失は、比較例5の伝送損失に対する比率(伝送損失比)で示している。
実施例2、実施例6、実施例8及び比較例3の各試料はそれぞれ、基材の総合配向率が90%であるが、めっき層の表面粗さ(Rz)が異なっている。図7から、めっき層の表面粗さ(Rz)が小さくなるにつれて、伝送損失が低減することを確認した。例えば、実施例2の試料では、伝送損失を比較例5の試料と同程度まで低減させつつ、比較例5の試料よりもピール強度が高くなることを確認した。
これに対し、比較例3から、基材の総合配向率が80%以上である場合、めっき層の表面粗さ(Rz)が1.2μmを超えると、比較例5の試料と比べ、電気信号の伝送距離が長くなってしまい、伝送損失が増加することを確認した。また、めっき層の表面粗さ(Rz)が0.6μm未満である場合、所定のピール強度(例えば1N/mm以上)を維持できないことを確認した。
以上の結果から、基材の総合配向率が80%以上である場合、めっき層の表面粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下であると、伝送損失を低減しつつ、所定のピール強度(例えば1N/mm以上)を維持できることを確認した。
また、図8に、実施例9〜11及び比較例1の各試料のめっき層の表面粗さ(Rz)と伝送損失との関係をグラフ図で示す。なお、図8では、実施例9〜11及び比較例1の各試料の伝送損失は、比較例5の伝送損失に対する比率(伝送損失比)で示している。実施例9〜11及び比較例1の各試料はそれぞれ、基材の総合配向率が50%であるが、粗化銅箔のめっき層の表面粗さ(Rz)が異なっている。図8から、基材の総合配向率が50%である場合、めっき層の表面粗さ(Rz)が0.6μm以上0.8μm以下であれば、伝送損失を比較例5の試料と同程度以下に低減させつつ、比較例5の試料よりもピール強度が高くなることを確認した。
[下地めっき層の形成に用いられるめっき液の評価]
次に、添加剤入り下地めっき液を用いて形成した下地めっき層についての評価を行った。図9に、実施例1,5,7,10及び比較例5の各試料に伝送される電気信号の周波数と伝送損失との関係をグラフ図で示す。図9から、伝送される電気信号の周波数が9GHz以上である場合、実施例5、実施例7及び実施例10の試料、すなわち下地めっき層を添加剤入り下地めっき液を用いて形成した試料であると、伝送損失をより低減できることを確認した。
これは、下地めっき層を添加剤入り下地めっき液を用いて形成することで、最終の焼鈍処理を行う際、下地めっき層の結晶が、基材の圧延面(めっき層成長面)の結晶組織にしたがって、基材のめっき層成長面の結晶組織と一体化するようにオストワルド成長するためである。これにより、見かけ上、下地めっき層と基材との区別がなくなるとともに、下地めっき層の結晶粒が大きくなる。従って、結晶粒が小さく導体損失が大きいめっき層の厚さを薄くでき、その結果、下地めっき層での導電損失が低減できる。
また、電気信号の通信速度が6Gbpsより高速である(電気信号の基本周波数が3GHzより高い)場合、例えば第3高調波まで考慮した電気信号の周波数が20GHzである場合、電気信号が基材にも伝送されるようにするためには、図4から、めっき層の厚さを1.4μm未満にする必要がことが分かる。このとき、下地めっき層を添加剤入りめっき液を用いて形成されていると、ラミネート加工により最終の焼鈍処理が行われる際、下地めっき層がオストワルド成長する。従って、下地めっき層は、基材である圧延銅箔と同様の結晶粒径及び結晶配向となり、見かけ上、下地めっき層は基材と一体化する。その結果、結晶粒が小さく導体損失が大きいめっき層の厚さを考慮する際に、下地めっき層の厚さを考慮する必要がなくなる。すなわち、電気信号の通信速度が6Gbpsより高速である(電気信号の基本周波数が3GHzより高い)場合、めっき層の厚さから下地めっき層の厚さを引いた厚さが1.4μmとなるようにすれば良いことを確認した。
次に、添加剤入り下地めっき液を用いて形成した下地めっき層の厚さと基材の総合配向率との関係についての評価を行った。図10に、実施例6及び実施例9の試料の添加剤入り下地めっき液を用いて形成した下地めっき層の厚さと基材の総合配向率との関係をグラフ図で示す。基材の総合配向率の評価は、X線回折法により行った。図10から、下地めっき層の厚さが2μm以下であれば、最終の焼鈍処理による加熱により基材のめっき層成長面の結晶組織が結晶成長する際、下地めっき層はオストワルド成長し、基材のめっき層成長面と下地めっき層の結晶組織が一体化することを確認した。従って、オストワルド成長した下地めっき層の結晶領域では、結晶粒が大きくなるため、オストワルド成長していないランダムな結晶方位を有し結晶粒が小さいめっき層に比べて、導体損失が非常に小さくなることを確認した。なお、添加剤入り下地めっき液を用いて形成した場合であっても、均一な粗化めっき層を形成するため、下地めっき層の厚さの下限値は、0.2μmであると良いことを確認した。
[誘電損失について]
図11に、実効比誘電率とめっき層の表面粗さ(Rz)との関係をグラフ図で示す。図11は、周波数が20GHzである電気信号を伝送した場合の、実効比誘電率とめっき層の表面粗さ(Rz)との関係を示すグラフ図である。図11から、めっき層の表面粗さ(Rz)が0.8μm以下であると、実効比誘電率が低くなり、誘電損失を低減できることを確認した。例えば電気信号の周波数が9GHz以上の高周波領域では、実施例6〜実施例11の試料のように、めっき層の表面粗さ(Rz)を0.6μm以上0.8μm以下とすることで、導体損失を低減させつつ、さらに各試料が備える樹脂層側の誘電損失を低減できることを確認した。なお、実効比誘電率(εeff)は、下記に示す(式8)で定義できる。なお、下記の(式8)において、比透磁率は1とした。
ここで、θは電圧と電流との位相差であり、cはキャパシタンスであり、fは周波数であり、Lはインダクタンスである。
1 粗化銅箔
2 基材
3 めっき層
4 下地めっき層
5 粗化めっき層

Claims (6)

  1. 高周波の電気信号が伝送されるプリント配線板に用いられる粗化銅箔であって、
    銅箔又は銅合金箔からなる基材と、
    前記基材の少なくともいずれかの主面上に成長される下地めっき層及び前記下地めっき層上に成長される粗化めっき層を有するめっき層と、を備え、
    最終の焼鈍処理後の前記基材のめっき層成長面は、X線回折法によって、前記めっき層成長面に対するX線の入射角度をθとして2θ/θ法によって測定して得られた前記立方体集合組織のピーク強度比をAとし、ωスキャンによって測定して得られた前記立方体集合組織のロッキングカーブの半価幅と積分幅との比である面外配向比をBとし、φスキャンによって得られた極点図から算出した前記立方体集合組織の半価幅と積分幅との比である面内配向比をCとしたとき、AとBとCとの積で表される前記立方体集合組織の総合配向率が80%以上である面であり、
    前記電気信号の周波数をfとしたとき、前記めっき層の厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下であり、
    前記めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上1.2μm以下である
    ことを特徴とする粗化銅箔。
  2. 前記めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上0.8μm以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の粗化銅箔。
  3. 高周波の電気信号が伝送されるプリント配線板に用いられる粗化銅箔であって、
    銅箔又は銅合金箔からなる基材と、
    前記基材の少なくともいずれかの主面上に成長される下地めっき層及び前記下地めっき層上に成長される粗化めっき層を有するめっき層と、を備え、
    最終の焼鈍処理後の前記基材のめっき層成長面は、X線回折法によって、前記めっき層成長面に対するX線の入射角度をθとして2θ/θ法によって測定して得られた前記立方体集合組織のピーク強度比をAとし、ωスキャンによって測定して得られた前記立方体集合組織のロッキングカーブの半価幅と積分幅との比で定義される面外配向比をBとし、φスキャンによって得られた極点図から算出した前記立方体集合組織の半価幅と積分幅との比で定義される面内配向比をCとしたとき、AとBとCとの積で表される前記立方体集合組織の総合配向率が50%以上である面であり、
    前記電気信号の周波数をfとしたとき、前記めっき層の厚さが0.4μm以上6.3/(f)1/2μm以下であり、
    前記めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.6μm以上0.8μm以下である
    ことを特徴とする粗化銅箔。
  4. 前記下地めっき層は、有機硫黄化合物を含むめっき液を用いて形成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粗化銅箔。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の粗化銅箔と、
    前記粗化銅箔のめっき層成長面と接するように設けられる樹脂層と、を備える
    ことを特徴とする銅張積層板。
  6. 請求項5に記載の銅張積層板を用いて形成された
    ことを特徴とするプリント配線板。
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