JP2019183366A - 布帛およびその製造方法および繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃染性および軽量感およびドライ感に優れ、好ましくは通気性にも優れる布帛およびその製造方法、および該布帛を用いてなる繊維製品を提供する。【解決手段】芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなる芯鞘型複合糸を含む布帛であって、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、繊維表面上に微細孔が形成されている。【選択図】なし

Description

本発明は、濃染性および軽量感およびドライ感に優れ、好ましくは通気性にも優れる布帛およびその製造方法、および該布帛を用いてなる繊維製品に関する。
ポリエステル繊維の濃染性を有する織編物としては、含金属リン化合物およびアルカリ土類金属化合物を含むポリエステル繊維で織編物を織編成した後、該織編物にアルカリ減量加工を施すことにより、ポリエステル繊維の表面に微細孔を形成させたもの(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、互いに熱収縮率の異なるポリエステル繊維とで混繊糸を構成される、収縮差を利用した空隙構造を作ることで光の反射を抑制させた混繊糸を用いて織編成したもの(例えば、特許文献3、特許文献4参照)などが知られている。
しかしながら、これまで、濃染性に優れ、しかも染着差のない軽量感およびドライ感を十分兼ね備えたといえる布帛はこれまであまり提案されていない。
特開2006−37315号公報 特開2014−105397号公報 特開2014−105405号公報 特開2011−63646号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、濃染性および軽量感およびドライ感に優れ、好ましくは通気性にも優れる布帛およびその製造方法、および該布帛を用いてなる繊維製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、布帛を構成する糸条などを巧みに工夫することによって、濃染性および軽量感およびドライ感に優れた布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなる芯鞘型複合糸を含む布帛であって、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、繊維表面上に微細孔が形成されていることを特徴とする布帛」が提供される。
その際、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面に形成されている微細孔の長径が0.01〜1.5μmの範囲内であり、かつ前記鞘部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面に形成されている微細孔の長径が0.1〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。また、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、単繊維繊度が3dtex以下であることが好ましい。また、前記鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、単繊維繊度が1dtex以上であることが好ましい。また、前記複合糸が空気混繊されたものであることが好ましい。また、前記複合糸において、撚り係数10000〜30000の撚りが施されていることが好ましい。
撚り係数=撚数[T/m]×(繊度[dtex]×9/10)1/2
また、布帛が織物であり、かつ該織物のカバーファクターCFが1200〜3500の範囲内であることが好ましい。
ただし、カバーファクターCFは下記式により定義する。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、
DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
また、染色加工が施されてなることが好ましい。また、布帛の明度指数L値が13以下であることが好ましい。また、布帛の目付けが200g/m以下であることが好ましい。また、布帛の通気度が20cm/cm・s以上であることが好ましい。
また、本発明によれば、下記一般式で表される含金属リン化合物を含む芯部ポリエステルマルチフィラメントと、下記一般式で表される含金属リン化合物を含む鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなる複合糸を用いて布帛を得た後、水酸化ナトリウム水溶液中処理することにより、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、繊維表面上に微細孔を形成することを特徴とする布帛の製造方法が提供される。
Figure 2019183366
(式中、Arは未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基を表し、Rは水素原子又はOR基を表す。Rは未置換若しくは置換された1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基又は未置換若しくは置換された7〜20個の炭素原子を有するベンジル基を表す。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であって、mはMがアルカリ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金属の場合は1/2である。)
また、前記複合糸の収縮率が5〜15%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、婦人用ブラックフォーマル衣料、パーティドレス、紳士用スーツ、スラックス、およびスポーツ衣料からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、濃染性、軽量感、ドライ感、および通気性に優れる布帛およびその製造方法、および該布帛を用いてなる繊維製品が得られる。
本発明は、芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなる芯鞘型複合糸を含む布帛であって、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、繊維表面上に微細孔が形成されていることを特徴とする布帛である。
その際、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面に形成されている微細孔の長径が0.01〜1.5μmの範囲内であり、かつ前記鞘部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面に形成されている微細孔の長径が0.1〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
前記ポリエステルマルチフィラメントの繊維形態としては、フィラメント、ステープルのいずれでもよいが、ソフト性の点でマルチフィラメント(長繊維)が好ましい。総繊度33〜330dtex、単繊維繊度1〜5dtexの範囲が適当である。特に、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、単繊維繊度が3dtex以下であることが好ましい。また、前記鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、単繊維繊度が1dtex以上であることが好ましい。
さらに、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平など公知の断面形状が選択でき、中空部を有するものであってもよい。
また、ポリエステルの種類としてはポリエチレンテレフタレートまたはポリトリメチレンテレフタレートが好ましい。
以下、ポリエステルマルチフィラメントがポリエチレンテレフタレート繊維である場合を例にして製造方法を説明する。
本発明のポリエステルにおいて使用されるジカルボン酸は、テレフタル酸が主に用いられるが、物性を失わない範囲で目的に応じて他の成分が共重合されていても良い。テレフタル酸以外の成分としては、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などを挙げることができるが、得られるポリエステル組成物の基本品質を維持するためには、該ジカルボン酸成分の80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上はテレフタル酸であることが好ましい。使用されるジオール成分としては、エチレングリコールが主に用いられるが、物性を失わない範囲で目的に応じて他の成分が共重合されていても良い。エチレングリコール以外の成分としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチレングリコール)、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジメチロールプロピオン酸、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等を挙げることができる。得られるポリエステル組成物の基本品質を維持するためには、該ジオール成分の80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上がエチレングリコールであることが好ましい。
なお、ポリエステルは、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸モノカリウム塩などの多価カルボン酸、グリセリン、ペンタエリトリトール、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどの多価ヒドロキシ化合物を、本発明の目的を達成する範囲内であれば、該酸成分の1モル%以内で共重合してもよい。
かかるポリエステル繊維を製造するために、下記一般式(I)で表される含金属リン化合物からなる微粒子を含むポリエステルを重合し、これを溶融紡糸して原糸を得、複合糸、製織工程の後に、塩基性化合物水溶液などによるポリエステル繊維を減量する工程を経て、繊維軸方向に配列した微細孔を繊維表面及びその近傍に多数形成させることができ、染色した際により優れた色の深みと鮮明性を呈するようになる。
Figure 2019183366
式中、Arは未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基を表し、Rは水素原子又はOR基を表す。Rは未置換若しくは置換された1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基又は未置換若しくは置換された7〜20個の炭素原子を有するベンジル基を表す。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であって、mはMがアルカリ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金属の場合は1/2である。
上記含金属リン化合物を含有するポリエステルの製造方法について詳細に説明する。
テレフタル酸を主とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主とするジオール成分からエステル化反応を行い、オリゴマーを生成する直接重合法に適用される。ここで、オリゴマーとはジカルボン酸成分、ジオール成分がそれぞれテレフタル酸、エチレングリコールの場合にはビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの他、一分子内にエチレンテレフタレートの繰り返し単位を2以上含み、いまだポリエチレンテレフタレートと呼べるほど固有粘度・分子量・重合度が上がっておらず、末端がカルボキシル基またはヒドロキシエチル基である化合物を表す。そのようなオリゴマーが生成するまでエステル化反応を行う。エステル化反応の反応率は生成する水の量を測定することによって検知することができる。
本発明に用いられるポリエステル組成物は、下記一般式(II)で表されるリン化合物と、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を、あらかじめ反応させることなく、個別にポリエステル組成物製造段階に添加し、ポリエステル組成物の合成反応中にアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物とリン化合物が反応することで形成される下記一般式(I)で表される含金属リン化合物微粒子を含有することが好ましい。これを反応槽内部で反応することによって形成される微粒子であることから、以下「内部析出粒子」と称することがある。
Figure 2019183366
[上記式(II)中、Arは未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基を表し、Rは水素原子又はOR基を表す。Rは未置換若しくは置換された1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基又は未置換若しくは置換された7〜20個の炭素原子を有するベンジル基を表す。]
Figure 2019183366
[上記式(I)中、Arは未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基を表し、Rは水素原子又はOR基を表す。Rは未置換若しくは置換された1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基又は未置換若しくは置換された7〜20個の炭素原子を有するベンジル基を表す。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であって、mはMがアルカリ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金属の場合は1/2である。]
で示される官能基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ジメチルフェニル基等を挙げることができる。更にこれらの炭化水素基中の1または2以上の水素原子がカルボキシル基、エステル基、ハロゲン基、アルキルオキシ基等に置換されていても良い。
Arで示される官能基としてはフェニル基、モノ−(ジ−又はトリ−)ハロゲン化フェニル基、メトキシフェニル基、モノ−(ジ−又はトリ−)カルボキシフェニル基、1−(2−)ナフチル基、モノ−(ジ−又はトリ−)ハロゲン化−1−(2−)ナフチル基、1−(2−、又は、9−)アントラニル基、4−(2−、又は、3−)ビフェニル基を挙げることができる。
このような一般式(I)の化合物としては、例えばフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ノルマルプロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸が例示されるが、中でもフェニルホスホン酸がもっとも好ましく用いられる。上記のリン化合物は溶媒に溶解させた状態で使用されることが望ましい。このときの溶媒としては、公知の溶媒から適切なものを選択することができるが、対象のポリエステルの原料として使用するグリコールを使用することが最も好ましい。すなわち本発明においては上記の説明から明らかなようにエチレングリコールを用いることである。
上記リン化合物のポリエステル中への添加時期は、前述のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加前若しくは添加後のどちらでも良い。リン化合物はアルカリ金属化合物及び/アルカリ土類金属化合物と反応して、ポリエステルに不溶の粒子を形成するが、どちらを先に添加しても同様の粒子が形成される。但し、リン化合物をエステル化反応の初期に添加すると、エステル化反応を阻害する可能性があるため、望ましくはエステル化反応の後半、若しくはエステル化反応終了後、重縮合反応開始の前半(30分以内)で添加することが望ましい。
上記式(I)中にMとして記載されるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素は、Li,Na,Mg,Ca,Sr,Baが好ましく、特にCa,Sr,Baが好ましく用いられる。そのなかでもCaが最も好ましく用いられる。また、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物としては、上記リン化合物と反応して含金属リン化合物を形成するものであれば特に限定されない。具体的には、有機カルボン酸との塩が好ましく、なかでも酢酸塩は反応により副生する酢酸を容易に除去できるので、特に好ましく用いられる。前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物は1種のみに単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物は、溶媒に溶解させた状態で使用されることが望ましい。このときの溶媒としては、公知の溶媒から適切なものを選択することができるが、対象のポリエステルの原料として使用するグリコールを使用することが最も好ましい。すなわち本発明においては上記の説明から明らかなようにエチレングリコールを用いることである。
アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物は、ジカルボン酸成分に対して、アルカリ金属原子及び/又はアルカリ土類金属原子が金属原子換算で0.1〜2.0モル%の範囲で含有するように添加する必要がある。添加量が0.1モル%未満では、後述するリン化合物とアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物から形成される粒子量が減少するため、得られるポリエステル組成物を溶融紡糸し、次いでアルカリ減量することで得られるポリエステル繊維の表面凹凸構造の形成が不十分となり、十分な鮮明性を発現できない。一方、2.0モル%を越えると、これらのリン化合物とアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物から形成される粒子が粗大な粒子を形成するため、得られるポリエステルを溶融紡糸し、次いでアルカリ減量することで得られるポリエステル繊維の表面凹凸構造の形成が不十分となるうえ、溶融紡糸工程での製糸性を著しく悪化させるため好ましくない。これらのアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加量は、金属元素換算として0.2〜1.8モル%の範囲が好ましく、0.5〜1.5モル%の範囲が更に好ましい。
上記のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物のポリエステル組成物の
製造工程中への添加時期は、エステル化反応工程、重縮合反応工程の中の任意の段階を選
択することができるが、エステル化反応及び重縮合反応へ及ぼす影響から、エステル化反
応中、若しくはエステル化反応終了後、重縮合反応開始の前半(30分以内)で添加する
ことが望ましい。
しかしながらポリエステルに添加する前に、あらかじめリン化合物とアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物とを反応させたものをポリエステルに添加する方法では、あらかじめ調整されるリン化合物とアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物とから形成される粒子の大きさが大きくなる。そのため、それをポリエステル中に添加して得られるポリエステルを溶融紡糸し、次いでアルカリ減量することで得られるポリエステル繊維の表面凹凸構造が、所望の微細化した凹凸構造を形成することができず、目的の鮮明性を発現するポリエステル繊維を得ることができない。従って本願のポリエステル組成物の製造方法においては、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物とリン化合物を、オリゴマーを生成する工程及び/又は重縮合反応を行う工程に添加する前に反応させる事なく、個別にポリエステルの製造工程に添加する方法を好ましく採用することができる。但し必要に応じて、双方の化合物の単なる混合物として添加することが本発明に用いられるポリエステルに製造方法としては肝要である。
リン化合物とアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加量は、下記式(1)で示す比率で添加する必要がある。
0.5≦P/M≦2.0 ・・・(1)
上記数式(1)のP/Mが0.5未満では、リン化合物とアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物から形成される粒子量が減少するため、得られるポリエステルを溶融紡糸し、次いでアルカリ減量することで得られるポリエステル繊維の表面凹凸構造の形成が不十分となり、十分な鮮明性を発現できないうえ、ポリエステル中のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物量が過剰となり、過剰な金属原子成分がポリエステルの熱分解を促進し、熱安定性を著しく損なうため好ましくない。一方、P/Mが2.0を越えると、逆にリン化合物が過剰となり、過剰なリン化合物がポリエステルの重合反応を阻害するため好ましくない。P/Mは好ましくは0.8〜1.8、更に好ましくは0.9〜1.5の範囲である。
ポリエステル組成物には、ポリエステルの製造時に通常用いられるアンチモン、ゲルマニウム、チタンなどの化合物の金属化合触媒、着色防止剤としてのリン化合物、その他として酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤又は艶消し剤などを、本発明の目的を奏する範囲内で含有していても良い。
次に、ポリエステル組成物を得るための好ましい製造方法の一例を詳細に説明する。すなわち、ポリエステルを作成した後に上記リン化合物やアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物をブレンド等の方法で混合してポリエステル組成物を得るのではなく、ポリエステルを製造する途中の段階で、本発明に係るリン化合物並びにアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を添加してポリエステルの重合反応を行いポリエステル組成物を製造する方法である。この手法により内部析出粒子を生成させることができる。さらに本発明方法におけるポリエステル製造反応条件には格別の制限はないが、重縮合反応は一般に230〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下(0.1Pa〜0.1MPa)において、或はこれらの条件を組み合わせて、15〜300分間重縮合することが好ましい。
次に、複合糸の製造方法について詳述する。
複合糸には、前記ポリエチレンテレフタレート繊維の、通常に紡糸、延伸された延伸糸と、加熱下で自己伸長性を有する未延伸糸(中間配向糸)が混繊されていることが好ましい。この未延伸糸は、前記のポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸し、2000〜4300m/分の速度で未延伸糸として一旦巻き取った後、180〜200℃に加熱されたヒーターを用いて、弛緩状態(オーバーフィード1.5〜10%)で熱処理することにより得られる。
このように、複合糸を形成する前記ポリエチレンテレフタレート繊維のうち、一方を延伸糸、もう一方を未延伸糸とすることにより、アルカリ減量により芯鞘ともに微細孔を形成することができ、最終的に得られる染色された布帛において、濃染性に優れ、しかも染着差のない、ドライタッチ、軽量感を兼ね備えた布帛を提供すことができる。なお、複合糸には、複合糸全体の30重量%以下であれば、他の繊維が含まれていてもさしつかえない。
複合糸を製造する方法は特に限定されず、芯部繊維の周りに前記ポリエチレンテレフタレート繊維を巻き付けるカバリング方法、空気交絡ノズルを用いた空気混繊方法、さらには複合仮撚加工などが例示される。なかでも、空気混繊方法が好ましい。かかる空気混繊方法を用いることにより、ふくらみ感が出てソフト性が向上する。その際、前記ポリエチレンテレフタレート繊維の延伸糸と未延伸糸とを同速度で供給して混繊加工してもよいし、前記ポリエチレンテレフタレート繊維の未延伸糸をオーバーフィードさせながら混繊加工してもよい。かかる混繊糸は染色加工の後、熱処理を施しても糸は収縮しないため、軽量性が得られる。
次に、複合糸を用いて布帛を構成する際、複合糸は無撚であってもよいが、複合糸に撚りを施すことにより、光反射を抑えて濃染性がさらに向上し好ましい。
その際、下記式により定義する撚り係数としては10000〜30000の範囲内であることが好ましい。
撚り係数=撚数[T/m]×(繊度[dtex]×9/10)1/2
本発明の布帛において、織編物の組織は限定されず通常の方法で製編織されたものでよい。例えば、織組織としては、平織、斜文織、サテン織物等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。また、編物としては、2枚筬または3枚筬を用いた、ハーフ組織、ハーフベース組織、サテン組織などが好適に例示される。
なかでも、優れた濃染性および吸水性を得る上で、織編密度としては高密度のほうが好ましい。例えば、布帛が織物の場合、織物のカバーファクターCFが1200〜3000の範囲内であると、優れた濃染性が得られ好ましい。
ただし、カバーファクターCFは下記式により定義する。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
かかる布帛にアルカリ減量加工を施すことにより、布帛に含まれるポリエチレンテレフタレート繊維の繊維表面に微細孔が形成される。その際、アルカリ減量率としては、芯鞘型混繊糸全体として5〜40%(より好ましくは10〜30%)の範囲内であることが好ましい。アルカリ減量率が5%よりも小さいと、ポリエチレンテレフタレート繊維の繊維表面に微細孔が十分に形成されないおそれがある。逆に、アルカリ減量率が40%よりも大きいと、複合繊維もアルカリ減量されて強度が損なわれるおそれがある。
次いで、該布帛に染色加工を施すと、前記ポリエチレンテレフタレート繊維の繊維表面に形成された微細孔により、優れた深色性が得られ、染着差もない。
本発明の布帛には、エンボス加工、着色プリント、撥水加工、紫外線遮蔽剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。特に、濃染性をさらに高めるため、濃染剤(例えば、日本化薬社製カヤディーパー(商品名))を用いて濃染加工することは好ましいことである。
かくして得られた布帛は、濃染性および軽量感およびドライ感および通気性に優れる。なお、一般的に、軽量感や通気性を向上させると濃染性は低下する傾向にあるところ、本発明はこれらを兼備しており顕著な効果を奏する。
ここで、布帛の明度指数L値としては13以下(より好ましくは5〜13)であることが好ましい。また、目付けとしては、200g/m以下(より好ましくは100〜190g/m)であることが好ましい。また、布帛の通気度が20cm/cm・s以上(より好ましくは50cm/cm・s以上、特に好ましくは100〜300cm/cm・s)であることが好ましい。
次に、本発明の繊維製品は、前記の布帛を用いてなる、婦人用ブラックフォーマル衣料、パーティドレス、紳士用スーツ、スラックス、スポーツ衣料などの衣料を含む繊維製品である。かかる繊維製品には前記の布帛が含まれるので、濃染性および軽量性およびドライ感および通気性に優れる。
次に、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)固有粘度
ポリエステル組成物を100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
(2)繊度
JIS L 1013:2010 8.3.1記載の方法により測定した。
(3)熱水収縮率(BWS)
糸を約3000デニール(3333dtex)の綛とし、デニール当り1/30gの荷重を掛けて初期の綛長L0 を測定する。この綛を荷重を掛けずに、収縮が妨げられないようにガーゼの袋に入れて熱水(100℃)で30分間処理し、風乾後、再びデニール当り1/30gの荷重を掛けて綛長L1を読み取り、以下の式で表わした。
BWS(%)=(L0−L1)/L0×100
(4)深色性
色の深みを示す尺度としては、L値を用いた。また、L値は分光側光器(Gretag MacBeth Color−Eye 7000A)で生地表面を測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、100に近いほど淡色で白色に近く、0に近いほど濃色であることを示す。
(5)撚り係数
下記式により撚り係数を算出した。
撚り係数=撚数[T/m]×(繊度[dtex]×9/10)1/2
(6)織物のカバーファクターCF
下記式により織物のカバーファクターCFを算出した。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、
DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
(7)目付け
JIS L 1096:2010 8.3に記載の方法により測定した。
(8)通気度
JIS L 1096:2010 8.26.1記載の方法により測定した
(9)風合い(ドライ感)
試験者3名が官能評価により、「ドライ感がある」「普通」「ドライ感がない」の3段階評価を行った。
[実施例1]
エステル化反応槽にて、テレフタル酸86部とエチレングリコール40部とを、常法に従ってエステル化反応させオリゴマーを得た。このオリゴマーに、テレフタル酸86部とエチレングリコール40部を65分間かけて連続的に供給し、245℃にてエステル化反応を行った。ついで三酸化アンチモン0.045部を添加して20分後、追加供給したテレフタル酸とエチレングリコールとから生成されるオリゴマー量と等モル量のオリゴマーを重縮合反応槽へ送液した。送液終了後直ちに酢酸カルシウムをポリマー中の酸成分に対して0.5モル%を重縮合反応槽に添加した。さらに5分後にフェニルホスホン酸をポリマー中の酸成分に対して0.6モル%を重縮合反応槽に添加した。その後290℃まで昇温し、0.03kPa以下の高真空化にて重縮合反応を行い、固有粘度が0.64dL/gの含金属リン化合物を含有するポリエステルチップを得た。
このチップを140℃にて6時間乾燥し、孔径0.3mm(円形)、36ホールの紡糸口金を使用し、290℃で溶融紡糸し、95dtex/36filの未延伸糸(A)を得た。
一方、前記含金属リン化合物を含有するポリエチレンテレフタレート未延伸糸を、90℃で1.6倍に延伸して、84dtex/36filの延伸糸(B)を得た。
次いで、未延伸糸(A)をオーバーフィード率3%、接触ヒーター温度185℃で熱処理し、BWS1.2%の収縮糸を得た。次いで、この糸と、延伸糸(B)(BWS7.0%)とを、前者のオーバーフィード量を8%、後者のオーバーフィード量を4%として、圧空圧8kg/cmで空気交絡ノズルにより複合し、350/minで巻き取った。得られた混繊糸の熱水収縮率(BWS)は7.1%であった。
得られた混繊糸(複合糸)に、S方向に1600T/mまたはZ方向に1600T/mの撚りを付与し、ついで80℃で30分蒸熱処理して撚り止めを行い、S撚りZ撚りの撚糸を得た。該撚り止め撚糸を、経密度:102本/2.54cm、緯密度:68本/2.54cmで、S撚、Z撚を1本交互に配して2/2の綾組織織物を織成した。得られた織物を、90℃で予備リラックス、120℃で液流リラックス、次いで常法にしたがってプレセット、濃度が3.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液中沸騰温度下で処理して、減量率が15重量%の織物(布帛)を得た。この減量処理した布帛を、黒の分散染料を用いて130℃染色後、濃染剤(日本化薬社製カヤディーパー(商品名))をパッドし、170℃でキュアリング、ファイナルセットし仕上げて、撚り係数21000、カバーファクター2400の織物(布帛)を得た。
得られた織物の黒発色性を計測したところL値9.9となり、濃染性に優れていた。また、諸堅牢度は変退色、汚染共に4級以上で深色性と堅牢度に優れていた。風合いはドライ感があり、目付を測定したところ175g/mと軽量性に優れていた。また、通気度を測定したところ通気度112.7cm/cm・sと通気性にも優れていた。
前記織物において、混繊糸(複合糸)は芯部ポリエステルマルチフィラメント(延伸糸(B))と鞘部ポリエステルマルチフィラメント(未延伸糸(A))とからなり、芯部ポリエステルマルチフィラメント(延伸糸(B))の繊維表面に微細孔の長径0.01〜1.5μmの微細孔が形成され、かつ前記鞘部ポリエステルマルチフィラメント(未延伸糸(A))の繊維表面に微細孔の長径0.1〜5.0μmの微細孔が形成されていた。
次いで、該織物を用いて婦人用ブラックフォーマル衣料を得て着用したところ、濃染性、軽量感、ドライ感および通気性に優れるものであった。
[実施例2]
実施例1において、混繊糸へ付与する撚りをS方向に1800T/mまたはZ方向に1800T/mに変更し、密度を経密度:114本/2.54cm、緯密度:74本/2.54cmに変更した以外は、実施例1と同様にして撚り係数24000、カバーファクター2700の織物(布帛)を得た。
得られた織物の黒発色性を計測したところL値9.6となり、濃染性に優れていた。また、諸堅牢度は変退色、汚染共に4級以上で深色性と堅牢度に優れていた。風合いはド
ライ感があり、目付けを測定したところ183g/mと軽量性に優れていた。また、通気度を測定したところ通気度111.0cm/cm・sと通気性にも優れていた。
前記織物において、混繊糸(複合糸)は芯部ポリエステルマルチフィラメント(延伸糸(B))と鞘部ポリエステルマルチフィラメント(未延伸糸(A))とからなり、芯部ポリエステルマルチフィラメント(延伸糸(B))の繊維表面に微細孔の長径0.01〜1.5μmの微細孔が形成され、かつ前記鞘部ポリエステルマルチフィラメント(未延伸糸(A))の繊維表面に微細孔の長径0.1〜5.0μmの微細孔が形成されていた。
次いで、該織物を用いて婦人用ブラックフォーマル衣料を得て着用したところ、濃染性および軽量感およびドライ感に優れるものであった。
[比較例1]
実施例1において、芯部ポリエステルマルチフィラメントを、イソフタル酸を10.0%共重合したポリエステルから得られた、沸水収縮15%の別延糸84dtex/15filに変更したこと以外は実施例1と同様にした。
得られた混繊糸の熱水収縮率(BWS)は31.2%で、得られた織物の黒発色性を計測したところL値9.5となり、濃染性には優れていたが、風合いはドライ感がなく、目付けを測定したところ215g/mとなり、実施例1および2で得られたものよりドライ感も軽量性も劣っていた。また、諸堅牢度は変退色、汚染共に4級以上であった。通気度を測定したところ通気度99.7cm/cm・sとなり、実施例1および2で得られたものより通気性は低目であった。
前記織物において、混繊糸(複合糸)は芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなり、芯部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面には微細孔が形成されてなかった。
[比較例2]
実施例1において、芯部ポリエステルマルチフィラメントを、含金属リン化合物を含まないポリエステルマルチフィラメント84dtex/36filに変更し、鞘部ポリエステルを、含金属リン化合物を含まないポリエステルマルチフィラメント84dtex/36filに変更すること以外は実施例1と同様にした。
得られた混繊糸の熱水収縮率(BWS)は10.3%で、得られた織物の黒発色性を計測したところL値13.7となり、実施例1および2で得られたものより濃染性は劣っていた。風合いはドライ感がなかった。目付を測定したところ176g/mとなり、軽量性は優れていたが、通気度を測定したところ通気度73.1cm/cm・sとなり、実施例1および2で得られたものより通気性は低目であった。
前記織物において、混繊糸(複合糸)は芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなり、芯部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面には微細孔が形成されてなかった。
Figure 2019183366
本発明によれば、濃染性、軽量感、ドライ感、および通気性に優れる布帛およびその製造方法、および該布帛を用いてなる繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (14)

  1. 芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなる芯鞘型複合糸を含む布帛であって、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、繊維表面上に微細孔が形成されていることを特徴とする布帛。
  2. 前記芯部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面に形成されている微細孔の長径が0.01〜1.5μmの範囲内であり、かつ前記鞘部ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面に形成されている微細孔の長径が0.1〜5.0μmの範囲内である、請求項1に記載の布帛。
  3. 前記芯部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、単繊維繊度が3dtex以下である、請求項1または請求項2に記載の芯鞘複合混繊加工糸を含む布帛。
  4. 前記鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、単繊維繊度が1dtex以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の布帛。
  5. 前記複合糸が空気混繊されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の布帛。
  6. 前記複合糸において、撚り係数10000〜30000の撚りが施されている、請求項1〜5のいずれかに記載の布帛。
    撚り係数=撚数[T/m]×(繊度[dtex]×9/10)1/2
  7. 布帛が織物であり、かつ該織物のカバーファクターCFが1200〜3500の範囲内
    である、請求項1〜6のいずれかに記載の布帛。
    ただし、カバーファクターCFは下記式により定義する。
    CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
    ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、
    DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
  8. 染色加工が施されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の布帛。
  9. 布帛の明度指数L値が13以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の布帛。
  10. 布帛の目付けが200g/m以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の布帛。
  11. 布帛の通気度が20cm/cm・s以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の布帛。
  12. 下記一般式で表される含金属リン化合物を含む芯部ポリエステルマルチフィラメントと、下記一般式で表される含金属リン化合物を含む鞘部ポリエステルマルチフィラメントとからなる複合糸を用いて布帛を得た後、水酸化ナトリウム水溶液中処理することにより、前記芯部ポリエステルマルチフィラメントと鞘部ポリエステルマルチフィラメントにおいて、繊維表面上に微細孔を形成することを特徴とする布帛の製造方法。
    Figure 2019183366
    (式中、Arは未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基を表し、Rは水素原子又はOR基を表す。Rは未置換若しくは置換された1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、未置換若しくは置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基又は未置換若しくは置換された7〜20個の炭素原子を有するベンジル基を表す。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であって、mはMがアルカリ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金属の場合は1/2である。)
  13. 前記複合糸の熱水収縮率が5〜15%の範囲内である、請求項11〜12に記載の布帛の製造方法。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載された布帛を用いてなる、婦人用ブラックフォーマル衣料、パーティドレス、紳士用スーツ、スラックス、およびスポーツ衣料からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。
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