JP2019183194A - 樹脂炭素鋼接合体及びその製造法 - Google Patents

樹脂炭素鋼接合体及びその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】接合強度を有する樹脂炭素鋼接合体と、その製造法を提供する。【解決手段】本発明の樹脂炭素鋼接合体の製造法は、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、炭素鋼部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液に浸漬し電極に定電圧又は定電流を印加する活性化処理工程と、炭素鋼部材を陽極とし、トリアジンチオール誘導体を含むアルカリ性の溶液中で、所定の電流密度を印加して、炭素鋼部材上に膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材を水で洗浄する水洗い工程と、陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材に、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂をインサート成形する工程と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂炭素鋼接合体及びその製造法に係り、より詳しくは、樹脂部材と炭素鋼部材を強力に接合できる樹脂炭素鋼接合体及びその製造法に関する。
部品の軽量化は、例として金属部材を金属部材と樹脂部材の接合体とすることで行なうことができる。特許文献1には、樹脂部材と金属部材を接合する技術として、トリアジンチオール(硫黄有機化合物)を含む被膜を金属部材表面上に形成する電気・化学的な表面処理法が開示されている。金属としては、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、コバルト、錫、ステンレスをあげている。金属表面に被膜を形成しておくことで、樹脂部材との接合強度を向上させることができる。
しかしながら、具体的にはSM45C、SS400やHT590の炭素鋼部材の表面にトリアジンチオールの被膜を形成し、樹脂部材を接合して、樹脂金属接合体を形成し、十分な接合強度を得ることについては開示がない。
特公平5−51671号公報
本発明の目的は、樹脂部材と炭素鋼部材の接合強度が向上できる樹脂炭素鋼接合体を提供すること、及び接合強度が良好な樹脂炭素鋼接合体の製造法を提供することにある。
本発明による樹脂炭素鋼接合体は、炭素鋼部材と、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂部材とを接合してなる樹脂炭素鋼接合体であって、前記炭素鋼部材と前記樹脂部材とが、膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜により接合されていることを特徴とする。
本発明による他の樹脂炭素鋼接合体は、炭素鋼部材と、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂部材とを接合してなる樹脂炭素鋼接合体であって、前記炭素鋼部材と前記樹脂部材とが、膜厚が30〜2000nmのトリアジンチオール誘導体を内部及び外部に存在させた陽極酸化被膜により接合されていることを特徴とする。
前記陽極酸化被膜は、重量%で、酸素(O)が1〜60%、鉄(Fe)が30〜90%、ケイ素(Si)が5%以下、アルミニウム(Al)が1%以下、リン(P)が3%以下、亜鉛(Zn)が3%以下、マンガン(Mn)が3%以下、ニッケル(Ni)が3%以下、硫黄(S)が3%以下、炭素(C)が10%以下、の成分構成を有することを特徴とする。
本発明による樹脂炭素鋼合金接合体の製造法は、樹脂炭素鋼接合体を製造する製造法であって、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、前記脱脂工程後、炭素鋼部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、前記酸処理工程後、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液に浸漬して電極に定電圧又は定電流を印加する活性化処理工程と、前記炭素鋼部材を陽極とし、20〜80℃のアルカリ性の溶液中で、1A/dm2以上20A/dm2未満の電流密度を1〜40分印加して、前記炭素鋼部材上に膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材を水で洗浄する水洗い工程と、前記水洗い工程後の前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材に、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂をインサート成形する工程と、を備え、前記炭素鋼部材と、前記樹脂で成形された樹脂部材とが、前記陽極酸化被膜により接合されることを特徴とする。
本発明の他の樹脂炭素鋼接合体の製造法は、樹脂炭素鋼接合体を製造する製造法であって、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、前記脱脂工程後、炭素鋼部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、前記酸処理工程後、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液に浸漬し電極に定電圧又は定電流を印加する活性化処理工程と、前記炭素鋼部材を陽極とし、20〜80℃のトリアジンチオール誘導体を含むアルカリ性の溶液中で、1A/dm2以上20A/dm2未満の電流密度を1〜40分印加して、前記炭素鋼部材上に膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材を水で洗浄する水洗い工程と、前記水洗い工程後の前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材に、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂をインサート成形する工程と、を備え、前記炭素鋼部材と、前記樹脂で成形された樹脂部材とが、前記陽極酸化被膜により接合されることを特徴とする。
本発明による樹脂炭素鋼接合体は、あらかじめ炭素鋼部材の表面に、膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜を形成したので、樹脂部材と炭素鋼部材が良好に接合でき、接合強度を30MPa以上にすることができる。また樹脂部材と炭素鋼部材の間の気密性は、ヘリウムを使用したリークテストで、ヘリウムリーク量を10−9Pa・m/s以下にできる。また、防水性が確保できる。
本発明による他の樹脂炭素鋼接合体は、あらかじめ炭素鋼部材の表面に、膜厚が30〜2000nmのトリアジンチオール誘導体を内部及び外部に存在させた陽極酸化被膜を形成したので、樹脂部材と炭素鋼部材が良好に接合できる。その接合強度は30MPa以上にできる。また、樹脂部材と炭素鋼部材の間の気密性は、ヘリウムを使用したリークテストで、ヘリウムリーク量を10−9Pa・m/s以下にできる。
陽極酸化被膜は、多孔質な膜なので、樹脂部材と炭素鋼部材を良好に接合できる。
本発明による樹脂炭素鋼接合体の製造法によれば、(a)浸漬して炭素鋼部材表面の脂分を除く脱脂工程と、(b)酸処理工程と、(c)アルカリ性の溶液に浸漬して定電圧又は定電流を印加する活性化工程と、(d)炭素鋼部材を陽極とし、アルカリ性の溶液中で、陽極酸化被膜を形成する酸化被膜形成工程と、(e)陽極酸化被膜形成後、炭素鋼部材を水で洗う水洗浄工程と、(f)熱可塑性又は熱硬化性の樹脂をインサート成形して、炭素鋼部材に接合するインサート工程と、を設けたので、インサート成形で成形した樹脂部材と炭素鋼部材を良好に接合でき、接合強度が30MPa以上にでき、気密性はヘリウムを使用したリークテストでヘリウムリーク量を10−9Pam/s以下にできる。
本発明による他の樹脂炭素鋼接合体の製造法によれば、(a)浸漬して炭素鋼部材表面の脂分を除く脱脂工程と、(b)酸処理工程と、(c)アルカリ性の溶液に浸漬して定電圧又は定電流を印加する活性化工程と、(d)炭素鋼部材を陽極とし、トリアジンチオール誘導体を含むアルカリ性の溶液中で、陽極酸化被膜を形成する酸化被膜形成工程(TRI電解工程と称す)と、(e)陽極酸化被膜形成後、炭素鋼部材を水で洗う水洗浄工程と、(f)熱可塑性又は熱硬化性の樹脂をインサート成形して、炭素鋼部材に接合するインサート工程と、を設けたので、インサート成形で成形した樹脂部材と炭素鋼部材の接合強度を30MPa以上にでき、気密性は、ヘリウムを使用したリークテストでヘリウムリーク量を10−9Pam/s以下にできる。
本発明による樹脂炭素鋼接合体の製造法を示すフローチャートである。 炭素鋼部材の形状を示す図である。(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は斜視図である。 代表的な炭素鋼部材の成分表である。 炭素鋼部材の吊下げ冶具の写真である。 脱脂槽の写真である。 酸処理槽と活性化槽の写真である。 TRI電解処理槽の写真である。 陽極酸化被膜の断面を示す写真である。 炭素鋼部材と引張試験用の試験体の写真である。 樹脂炭素鋼接合体の引張強度を示す表である。 熱衝撃試験後の引張強度を示す表である。 高温高湿試験後の引張強度を示す表である。 気密試験用の試験体の写真である。 気密試験の結果を示す表である。 炭素鋼部材の表面顕微鏡写真である。 酸処理工程後の表面顕微鏡写真である。 TRI電解処理後の表面写真である。 TRI電解処理後の表面酸化被膜の成分分析表である。 トリアジンチオール誘導体を添加した場合と、添加しない場合での樹脂炭素鋼接合体の接合強度を示す表である。
以下、図面を参照して、本発明による樹脂炭素鋼接合体及びその製造法を詳しく説明する。
図1は、本発明による樹脂炭素鋼接合体の製造法を示すフローチャートである。樹脂炭素鋼接合体は、炭素鋼部材と樹脂部材を接合させ一体に成形したものである。樹脂炭素鋼接合体の成形は、次のs1〜s6の6つの工程で行なう。脱脂工程(s1)は、アルカリ系列のNAOH、KOH、又はNACOにの水溶液に陽イオン界面活性剤を加え、炭素鋼部材1を1〜10分間浸漬する。水溶液の温度は常温〜70℃の範囲とする。これにより、炭素鋼部材1の表面の脂分を除去できる。なお、炭素鋼部材1は板状の部材である。
次に酸処理工程(s2)は、重量%で、塩酸5〜50%、硫酸又は塩酸1〜20%、シュウ酸1〜5%、フッ化物1〜5%の水溶液に、炭素鋼部材1を1〜10分間浸漬する。水溶液の温度は常温〜50℃の範囲とする。これにより炭素鋼部材1の表面を洗浄し、酸化膜等を除去する。
活性化工程(s3)は、重量%で、苛性ソーダ又は水酸化カリウム1〜30、炭酸ナントリウム1〜20%の水溶液に、陽イオン界面活性剤を微量加え、該溶液中に炭素鋼部材1を1〜10分浸漬し、陽極または陰極には、0.2〜5Vの定電圧を加える。水溶液の温度は常温〜50℃とする。電極には、パルス又は直流電圧が加えられる。同時に1〜10分間、50Hzで100〜2000ワットの超音波処理も行なう。
酸化被膜形成工程(s4)は、TRI電解工程と称する。炭素鋼部材1を陽極として接続する。重量%で、苛性ソーダ3〜20%又は水酸化カリウム3〜20%、3リン酸ナトリウム又はリン酸アンモニウム1〜5%、炭酸ナトリウム1〜3%、クエン酸ナトリウム1〜3%の水溶液にトリアジンチオール誘導体を微量添加し、該水溶液に炭素鋼部材1を浸漬し、陽極と陰極間に1〜20A/dmの電流密度を印加することで行なう。溶液の温度は、常温〜80℃とする。陽極と陰極間に電圧5〜40Vを印加する。1〜40分間の電気分解で、炭素鋼部材の表面に膜厚30〜2000nmのトリアジンチオール誘導体を含む陽極酸化被膜4が形成される。多孔質の被膜が形成できる。なお、トリアジンチオール誘導体を添加しない水溶液で、酸化被膜形成工程(s4)を行なうこともできる。
陽極酸化被膜4は、重量%で、酸素(O)が1〜60%、鉄(Fe)が30〜90%、ケイ素(Si)が5%以下、アルミニウム(Al)が1%以下、リン(P)が3%以下、亜鉛(Zn)が3%以下、マンガン(Mn)が3%以下、ニッケル(Ni)が3%以下、硫黄(S)が3%以下、炭素(C)が10%以下、の成分構成を有する。
水洗い工程(s5)は、表面に陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材1を、水で洗浄する工程である。なお、水洗い後は乾燥させておく。
インサート成形工程(s6)は、陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材1を金型に装填し、樹脂部材2となる熱可塑性又は熱硬化性の樹脂を注入し、樹脂部材2と炭素鋼部材1を接合し樹脂炭素鋼接合体3を形成する。
図2は、炭素鋼部材1の形状を示す図である。(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は斜視図である。aは、直径4mmの引張試験用の孔である。fは板厚で3mmである。縦(e)×横(b)は40mm×12mmの板であり、eが40mm、bが12mm、cが6mm、dが5mmである。
図3は、炭素鋼の種類と成分を示す表である。本実施例の炭素鋼は、SM45Cと、SS400と、HT590とする。SM45Cは、機械構造用炭素鋼と呼ばれ、表に示すように炭素(C)を0.42〜0.48%含有する。SM45Cの数字45は、炭素(C)含有量の中間値が、0.45%であることを示す。SS400は、一般構造用圧延鋼材と呼ばれ、流通量が多い鉄鋼材である。SS400の数字400は、引張強度の下限が400MPaであることを示す。成分は他の鋼材より緩く、リン(P)と硫黄(S)のみが規定される。SS400の炭素(C)は、一般に0.25%以下である。HT590は、高張力鋼と呼ばれ、一般構造用圧延鋼材よりも強く、引張強度は約490MPa程度である。
図4は、炭素鋼部材1の吊下げ冶具7の写真である。吊下げ冶具7は、複数のフックがあり、炭素鋼部材1を10個装着できる。図5は、脱脂槽の写真である。脱脂槽は、NAOH、KOH、又はNACOに陽イオン界面活性剤を加えた水溶液で満たされる。図6は、酸処理槽と活性化槽の写真である。図7は、TRI電解処理槽の写真である。槽内には複数の電極が用意される。
図8は、陽極酸化被膜の断面を示す写真である。(A)では、厚さ84.88〜165.2nmの陽極酸化被膜4が形成されている。(B)では、厚さ483.7〜177.6nmの陽極酸化被膜4が形成されている。(C)では、厚さ73.73〜112nmの陽極酸化被膜4が形成されている。
図9は、炭素鋼部材1の写真と引張試験用の試験体の写真である。試験体3(3a)は、図1に示す製造法で製作し、引張試験に使用する。図9に示すように、炭素鋼部材1と樹脂部材2は12mm×3mm(=36mm)の端面が接合される。試験体3(3a)は、炭素鋼部材1に樹脂部材2をインサート成形で一体成形されたものである。インサート成形は、金型(図示せず)に炭素鋼部材1を装填し、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂を圧入することで、炭素鋼部材1と樹脂部材2を一体成形する。熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリフェニレンサルファイド(PPS)を使用できる。熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂を使用できる。
図10は、樹脂炭素鋼接合体3(3a)の引張強度を示す表である。本実施例では4つがPPSで、4つがPBTである。8つの試験体の引張強度は、表に示すとおりであり、接合面積が36mm(=12mm×3mm)での値である。これによれば、引張強度は、36mmの接合面積で、約30MPaが確保できる。
図11は、熱衝撃試験後の引張強度を示す表である。樹脂炭素鋼接合体3(3a)の樹脂部材2は、4つがPPSで、4つがPBTである。熱衝撃テストは、温度をマイナス40℃〜80℃間で30分毎に変化させ、150サイクルを繰り返す。試験の前後で引張強度を測定した。図11の表によれば、引張強度が、熱衝撃試験後は平均30.38MPaなので、熱衝撃試験前の平均37MPより低下することがわかる。
図12は、高温高湿試験後の引張強度を示す表である。樹脂炭素鋼接合体3(3a)の樹脂部材2は、4つがPPSで、4つがPBTである。高温高湿試験は、温度が80℃、湿度95%で、時間は200時間とし、試験後に測定した。表の左側は高温高湿試験前の樹脂炭素鋼接合体3(3a)の引張強度で、右側が高温高湿試験後の樹脂炭素鋼接合体3(3a)の引張強度である。図12によれば引張強度は、高温高湿試験後は平均31.63MPaで、高温高湿試験前の平均40.88MPより低下することがわかる。
図13は、気密試験用の試験体の写真である。気密試験用の試験体3(3b)は、炭素鋼部材1が、円板状の樹脂部材2を貫通して一体に接合されている。筒状の容器に気密試験用の試験体3(3b)を装填し、炭素鋼部材1が突出した一方の側にヘリウムガスを吹き付け、炭素鋼部材1が突出した他方の側を真空とし、ヘリウムガスが漏れないか調べる。
図14は、気密試験の結果を示す表である。真空排気の量を増減させれば、漏れ出るヘリウム(He)の量も増減するが、この条件ではサンプル1、2のいずれも漏れ量を1×10−9Pam/s以下にできる。
図15は、炭素鋼部材の表面顕微鏡写真である。
図16は、酸処理工程後の表面顕微鏡写真である。
図17は、TRI電解処理後の表面写真である。
図18は、TRI電解処理後の表面酸化被膜の成分分析表である。陽極酸化被膜の成分は、試料1を例にとると、重量%で、炭素(C)が4.7%、酸素(O)が6.46%、鉄(Fe)が88.84%である。
図19は、トリアジンチオール誘導体を添加した場合と、添加しない場合での樹脂炭素鋼接合体の接合強度を示す表である。図1のs4工程で、水溶液にトリアジンチオール誘導体を添加せず、陽極酸化被膜を形成し、樹脂炭素鋼接合体3(3a)を製作した。一方、図1のs4工程で、水溶液にトリアジンチオール誘導体を添加し、陽極酸化被膜を形成し、樹脂炭素鋼接合体3(3a)を製作した。それぞれ5つの樹脂炭素鋼接合体の接合強度を比較した。数値は、トリアジンチオール誘導体を添加した方が若干値がよい。ただし、トリアジンチオール誘導体を添加しないでも十分に使用に耐える。
本発明の樹脂炭素鋼接合体及びその製造法は、炭素鋼部材と樹脂部材を一体化して接合するもので、部品の軽量化に好適である。
1 炭素鋼部材
2 樹脂部材
3 樹脂炭素鋼接合体
3a 引張試験用の試験体
3b 気密試験用の試験体
4 陽極酸化被膜
7 吊下げ冶具
s1〜s6 製造法の各工程

Claims (5)

  1. 炭素鋼部材と、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂部材とを接合してなる樹脂炭素鋼接合体であって、
    前記炭素鋼部材と前記樹脂部材とが、膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜により接合されていることを特徴とする樹脂炭素鋼接合体。
  2. 炭素鋼部材と、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂部材とを接合してなる樹脂炭素鋼接合体であって、
    前記炭素鋼部材と前記樹脂部材とが、膜厚が30〜2000nmのトリアジンチオール誘導体を内部及び外部に存在させた陽極酸化被膜により接合されていることを特徴とする樹脂炭素鋼接合体。
  3. 前記陽極酸化被膜は、重量%で、酸素(O)が1〜60%、鉄(Fe)が30〜90%、ケイ素(Si)が5%以下、アルミニウム(Al)が1%以下、リン(P)が3%以下、亜鉛(Zn)が3%以下、マンガン(Mn)が3%以下、ニッケル(Ni)が3%以下、硫黄(S)が3%以下、炭素(C)が10%以下、の成分構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂炭素鋼接合体。
  4. 樹脂炭素鋼接合体を製造する製造法であって、
    炭素鋼部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、
    前記脱脂工程後、炭素鋼部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、
    前記酸処理工程後、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液に浸漬して電極に定電圧又は定電流を印加する活性化処理工程と、
    前記炭素鋼部材を陽極とし、20〜80℃のアルカリ性の溶液中で、1A/dm2以上20A/dm2未満の電流密度を1〜40分印加して、前記炭素鋼部材上に膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、
    前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材を水で洗浄する水洗い工程と、
    前記水洗い工程後の前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材に、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂をインサート成形する工程と、が備えられ、
    前記炭素鋼部材と、前記樹脂で成形された樹脂部材とが、前記陽極酸化被膜により接合されることを特徴とする樹脂炭素鋼合金接合体の製造法。
  5. 樹脂炭素鋼接合体を製造する製造法であって、
    炭素鋼部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、
    前記脱脂工程後、炭素鋼部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、
    前記酸処理工程後、炭素鋼部材をアルカリ性の溶液に浸漬し電極に定電圧又は定電流を印加する活性化処理工程と、
    前記炭素鋼部材を陽極とし、20〜80℃のトリアジンチオール誘導体を含むアルカリ性の溶液中で、1A/dm2以上20A/dm2未満の電流密度を1〜40分印加して、前記炭素鋼部材上に膜厚が30〜2000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、
    前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材を水で洗浄する水洗い工程と、
    前記水洗い工程後の前記陽極酸化被膜が形成された炭素鋼部材に、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂をインサート成形する工程と、が備えられ、
    前記炭素鋼部材と、前記樹脂で成形された樹脂部材とが、前記陽極酸化被膜により接合されることを特徴とする樹脂炭素鋼接合体の製造法。
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