JP6655593B2 - 樹脂マグネシウム金属接合体及びその製造法 - Google Patents

樹脂マグネシウム金属接合体及びその製造法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂マグネシウム金属接合体及びその製造方法に係り、より詳しくは、樹脂部材とマグネシウム金属部材を強力に接合できる樹脂マグネシウム金属接合体及びその製造法に関する。
一般に自動車部品の軽量化は、例えば金属部材で形成されていた部材を金属部材と樹脂部材の接合体とすることで行われる。特許文献1には、樹脂部材と金属部材を接合する技術として、トリアジンチオール(硫黄有機化合物)の被膜を金属部材表面上に形成する電気・化学的な表面処理法が開示されている。金属としては、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、コバルト、錫、ステンレスがあげられている。
しかしながら、マグネシウム金属部材にトリアジンチオールの被膜を形成し、マグネシウム金属部材に樹脂部材を接合して、十分な接合強度を得ることについては具体的な開示がない。
特公平5−51671号公報
本発明の目的は、樹脂部材とマグネシウム金属部材の接合強度が向上できる樹脂マグネシウム金属接合体を提供すること及び接合強度が良好な樹脂マグネシウム金属接合体の製造方法を提供することにある。
本発明による樹脂マグネシウム金属接合体は、マグネシウム金属部材と、熱可塑性の樹脂部材とを接合してなる樹脂マグネシウム金属接合体であって、前記マグネシウム金属部材と前記樹脂部材とが、膜厚が50〜3000nmの陽極酸化被膜により接合されていることを特徴とする。
本発明による他の樹脂マグネシウム金属接合体は、マグネシウム金属部材と熱可塑性樹脂部材とを接合してなる樹脂マグネシウム金属接合体であって、前記マグネシウム金属部材と前記熱可塑性樹脂部材とが、膜厚が50〜3000nmのトリアジンチオールを内部及び外部に存在させた陽極酸化被膜により接合されていることを特徴とする。
前記陽極酸化被膜は、重量%で、Oが1〜60%、Mgが1〜90%、Sが3%以下、Alが20%以下、Pが3%以下、Znが3%以下、Cuが3%以下、Mnが3%以下、Niが3%以下、Siが20%以下、Fが3%以下の成分構成を有することを特徴とする。
本発明による樹脂マグネシウム金属接合体の製造法は、樹脂マグネシウム金属接合体を製造する製造法であって、マグネシウム金属部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、前記脱脂工程後、マグネシウム金属部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、前記酸処理工程後、マグネシウム金属部材をアルカリ性の溶液に浸漬して電極に定電圧をかける活性化処理工程と、前記マグネシウム金属部材を陽極とし、20〜90℃の溶液中で、0.5A/dm2以上5A/dm2未満の電流密度を印加して、前記マグネシウム金属部材上に膜厚が50〜3000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、前記陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材を、5℃以上、60℃未満の水で洗浄する水洗い工程と、前記水洗い工程後の、前記陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材に、熱可塑性樹脂をインサート成形する工程と、が備えられ、前記マグネシウム金属部材と、熱可塑性樹脂で成形された樹脂部材とが接合されることを特徴とする。
本発明による他の樹脂マグネシウム金属接合体の製造法は、樹脂マグネシウム金属接合体を製造する製造法であって、マグネシウム金属部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、前記脱脂工程後、マグネシウム金属部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、前記酸処理工程後、マグネシウム金属部材をアルカリ性の溶液に浸漬し電極に定電圧をかける活性化処理工程と、前記マグネシウム金属部材を陽極とし、20〜90℃のトリアジンチオール誘導体を含む溶液中で、0.5A/dm2以上5A/dm2未満の電流密度を印加して、前記マグネシウム金属部材上に膜厚が50〜3000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、前記陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材を、5℃以上、60℃未満の水で洗浄する水洗い工程と、前記水洗い工程後の、前記陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材に、熱可塑性樹脂をインサート成形する工程と、が備えられ、前記マグネシウム金属部材と、熱可塑性樹脂で成形された樹脂部材とが接合されることを特徴とする。
本発明による樹脂マグネシウム金属接合体は、あらかじめマグネシウム金属部材の表面に、膜厚が50〜3000nmの陽極酸化被膜を形成したので、樹脂部材とマグネシウム金属部材が良好に接合でき、接合強度を30MPa以上にできる。また、樹脂部材とマグネシウム金属部材の間の気密性は、ヘリウムリークを使用したリークテストで、10−9Pam/s以下にできる。防水性も確保できる。
本発明による他の樹脂マグネシウム金属接合体は、あらかじめマグネシウム金属部材の表面に、膜厚が50〜3000nmのトリアジンチオールを内部及び外部に存在させた陽極酸化被膜を形成したので、樹脂部材とマグネシウム金属部材が良好に接合できる。その接合強度は30MPa以上で、樹脂部材とマグネシウム金属部材の間の気密性は、ヘリウムリークを使用したリークテストで、10−9Pam/s以下にできる。
前記陽極酸化被膜は、重量%で、Oが1〜60%、Mgが1〜90%、Sが3%以下、Alが20%以下、Pが3%以下、Znが3%以下、Cuが3%以下、Mnが3%以下、Niが3%以下、Siが20%以下、Fが3%以下の成分構成を含むので、樹脂部材とマグネシウム金属部材を良好に接合できる。
本発明による樹脂マグネシウム金属接合体の製造法によれば、(a)浸漬してマグネシウム金属部材表面の脂分を除く脱脂工程と、(b)酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、(c)アルカリ性の溶液に浸漬して定電圧をかける活性化工程と、(d)マグネシウム金属部材を陽極とし、アルカリ性の溶液中で、陽極酸化被膜を形成する酸化被膜形成工程と、(e)陽極酸化被膜形成後、マグネシウム金属部材を水で洗う水洗工程と、(f)熱可塑性樹脂をインサート成形して、マグネシウム金属部材に接合するインサート工程と、を設けたので、樹脂部材とマグネシウム金属部材を良好に接合でき、接合強度が30MPa以上にでき、気密性はヘリウムリークを使用したリークテストで10−9Pam/s以下にできる。
本発明による他の樹脂マグネシウム金属接合体の製造法によれば、(a)浸漬してマグネシウム金属部材表面の脂分を除く脱脂工程と、(b)酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、(c)アルカリ性の溶液に浸漬して定電圧をかける活性化工程と、(d)マグネシウム金属部材を陽極とし、トリアジンチオール誘導体を含むアルカリ性の溶液中で、陽極酸化被膜を形成する酸化被膜形成工程(TRI電解工程と称す)と、(e)陽極酸化被膜形成後、マグネシウム金属部材を水で洗う水洗工程と、(f)熱可塑性樹脂をインサート成形して、マグネシウム金属部材に接合するインサート工程と、を設けたので、樹脂部材とマグネシウム金属部材の接合強度を30MPa以上にでき、気密性は、ヘリウムリークを使用したリークテストで10−9Pam/s以下にできる。
本発明による樹脂マグネシウム金属接合体の製造法を示すフローチャートである。 試験片としたマグネシウム金属部材の形状を示す図である。(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は斜視図である。 マグネシウム金属部材として使用するマグネシウム合金の種類と成分を示す表である。 複数のマグネシウム金属部材が取り付けできる吊下げ冶具の写真である。 吊下げ冶具が脱脂槽に吊り降ろされた写真である。 吊下げ冶具が酸処理槽に吊り降ろされた写真である。 TRI電解処理槽の写真である。 マグネシウム金属部材の表面粗さを示す写真である。(A)は未処理状態の表面、(B)は脱脂後の表面、(C)は酸処理後の表面、(D)は活性化後の表面、(E)はTRI電解処理後の表面である。 陽極酸化被膜の断面を示す写真である。 マグネシウム金属部材の写真(左側)と、図1に示す製造法で製作した引張試験用の試験体の写真(右側)である。 引張試験用の試験体の引張強度を示す図である。(A)は棒グラフ、(B)は一覧表である。 気密試験用の試験体を示す写真である。 気密試験の結果を示す表である。 実施例1で製作した試験体の熱衝撃テスト前後の引張強度を示す図である。 実施例2で製作した試験体の熱衝撃テスト前後の引張強度を示す図である。 実施例1で製作した試験体の高温高湿テスト前後の引張強度を示す図である。 実施例2で製作した試験体の高温高湿テスト前後の引張強度を示す図である。 Mg素材(AZ91)のTRI電解処理後の表面写真及び成分分析表である。 Mg素材(AZ31)のTRI電解処理後の表面写真及び成分分析表である。
以下、図面を参照して、本発明による樹脂マグネシウム金属接合体及びその製造法を詳しく説明する。
図1は、本発明による樹脂マグネシウム金属接合体の製造法を示すフローチャートである。脱脂工程(s1)は、アルカリ系列のNAOH、KOH、又はNACOに陽イオン界面活性剤を加えた水溶液に、マグネシウム金属部材1を1〜10分間浸漬することで行なう。溶液の温度は、常温〜70℃の範囲とする。これにより、マグネシウム金属部材1の表面の脂分を除去する。酸処理工程(s2)は、重量%で、リン酸5〜50%、硫酸又は硝酸1〜20%、シユウ酸1〜5%、フッ化物1〜5%の酸性の水溶液に、マグネシウム金属部材1を1〜10分間浸漬することで行なう。溶液の温度は、常温〜50℃の範囲とする。これにより、マグネシウム金属部材1の表面を洗浄し、酸化膜等を除去する。
活性化工程(s3)は、重量%で、苛性ソーダ(NaOH)1〜30%、炭酸ナトリウム(NaCO)1〜20%の水溶液に、陽イオン界面活性剤を微量加え、該溶液中にマグネシウム金属部材1を1〜10分浸漬し、陽極または陰極には、0.2〜5Vの定電圧を与える。水溶液の温度は常温〜50℃とする。電極には、パルス又は直流電圧が与えられる。同時に1〜10分間、50Hz、100〜2000ワットの超音波処理も行なう。
酸化被膜形成工程(s4)は、TRI電解工程と称する。マグネシウム金属部材1を陽極として接続する。重量%で、苛性ソーダ(NaOH)3〜20%、三リン酸ナトリウム(NaPO)又はリン酸アンモニウム((NHPO)1〜5%、炭酸ナントリウム(NaCO)1〜3%、クエン酸ナントリウム(NaH(CO(COO))1〜3%の水溶液中にマグネシウム金属部材1を浸漬し、陽極と陰極間に1〜20A/dmの定電流電流密度を印加することで行なう。溶液の温度は常温〜90℃とする。陽極と陰極間に、電圧4〜40Vを印加してもよい。1〜40分間の電気分解により、マグネシウム金属部材の表面に、膜厚50〜3000nmのトリアジンチオールの陽極酸化被膜4が形成される。陽極酸化被膜4は、重量%で、Oが10〜60%、Mgが10〜90%、Sが3%以下、Alが20%以下、Pが3%以下、Znが3%以下、Cuが3%以下、Mnが3%以下、Niが3%以下、Siが3%以下、Fが3%以下の成分構成を有する。
水洗い工程(s5)は、表面に陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材1を、水温が5℃〜60℃の水で洗浄する工程である。インサート成形工程(s6)は、水洗い工程(s5)後、陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材1を金型に装填し、樹脂部材2となる熱可塑性樹脂を注入し、樹脂部材2とマグネシウム金属部材1を接合して樹脂マグネシウム金属接合体3を形成する。
図1は、本発明による樹脂マグネシウム金属接合体の製造法を示すフローチャートである。脱脂工程(s1)は、アルカリ系列のNAOH、KOH、又はNACOに陽イオン界面活性剤を加えた水溶液に、マグネシウム金属部材1を1〜10分間浸漬することで行なう。溶液の温度は、常温〜70℃の範囲とする。これにより、マグネシウム金属部材1の表面の脂分を除去する。酸処理工程(s2)は、重量%で、リン酸5〜50%、硫酸又は硝酸1〜20%、シユウ酸1〜5%、フッ化物1〜5%の酸性の水溶液に、マグネシウム金属部材1を1〜10分間浸漬することで行なう。溶液の温度は、常温〜50℃の範囲とする。これにより、マグネシウム金属部材1の表面を洗浄し、酸化膜等を除去する。
活性化工程(s3)は、重量%で、苛性ソーダ(NaOH)1〜30%、炭酸ナトリウム(NaCO)1〜20%の水溶液に、陽イオン界面活性剤を微量加え、該溶液中にマグネシウム金属部材1を1〜10分浸漬し、陽極または陰極には、0.2〜5Vの定電圧を与える。水溶液の温度は常温〜50℃とする。電極には、パルス又は直流電圧が与えられる。同時に1〜10分間、50Hz、100〜2000ワットの超音波処理も行なう。
酸化被膜形成工程(s4)は、TRI電解工程と称する。マグネシウム金属部材1を陽極として接続する。重量%で、苛性ソーダ(NaOH)3〜20%、三リン酸ナトリウム(NaPO)又はリン酸アンモニウム((NHPO)1〜5%、炭酸ナントリウム(NaCO)1〜3%、クエン酸ナントリウム(NaH(CO(COO))1〜3%の水溶液に、微量のトリアジンチオール(Triazine Thiols)誘導体を加え、この溶液中にマグネシウム金属部材1を浸漬し、陽極と陰極間に1〜20A/dmの定電流電流密度を印加することで行なう。溶液の温度は常温〜90℃とする。陽極と陰極間に、電圧4〜40Vを印加してもよい。1〜40分間の電気分解により、マグネシウム金属部材の表面に、膜厚50〜3000nmのトリアジンチオールの陽極酸化被膜4が形成される。陽極酸化被膜4は、重量%で、Oが10〜60%、Mgが10〜90%、Sが3%以下、Alが20%以下、Pが3%以下、Znが3%以下、Cuが3%以下、Mnが3%以下、Niが3%以下、Siが3%以下、Fが3%以下の成分構成を有する。
水洗い工程(s5)は、表面にトリアジンチオールの陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材1を、水温が5℃〜60℃の水で洗浄する工程である。インサート成形工程(s6)は、水洗い工程(s5)後、陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材1を金型に装填し、樹脂部材2となる熱可塑性樹脂を注入し、樹脂部材2とマグネシウム金属部材1を接合して樹脂マグネシウム金属接合体3を形成する。
このように、実施例1は、TRI電解工程の溶液中にトリアジンチオールを添加しない。実施例2は、TRI電解工程の溶液中にトリアジンチオールを添加する。
図2は、マグネシウム金属部材1の形状を示す図である。(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は斜視図である。aは直径4mmの孔である。fは板厚で3mmである。縦×横は40mm×12mmの板であり、bが12mm、eが40mmとなる。cは6mm、dは5mmである。
図3は、マグネシウム金属部材1として使用するマグネシウム合金の種類と成分を示す表である。AZ91は、アルミニウム(Al)の含有量が多く、耐食性を向上させたマグネシウム合金である。AZ31は、アルミニウム(Al)を3.5%と少なくして、展伸性を向上させたマグネシウム合金である。
図4は、複数のマグネシウム金属部材1が取り付けできる吊下げ冶具7の写真である。吊下げ冶具7は、上部の2箇所にフックがあり、吊り下げできる。マグネシウム金属部材1が10個装着できる。
図5は、吊下げ冶具7が脱脂槽に吊り降ろされた写真である。脱脂槽には、NAOH、KOH、又はNACOに陽イオン界面活性剤を加えた水溶液が満たされる。図6は、吊下げ冶具7が酸処理槽に吊り降ろされた写真である。酸処理槽は、リン酸5〜50%、硫酸又は硝酸1〜20%、シユウ酸1〜5%、フッ化物1〜5%の酸性の水溶液で満たされる。図7は、TRI電解処理槽の写真である。槽内には複数の電極が用意される。
図8は、マグネシウム金属部材1の表面粗さを示す写真である。(A)は未処理状態の表面、(B)は脱脂後の表面、(C)は酸処理後の表面、(D)は活性化後の表面、(E)はTRI電解処理後の表面である。表面粗さは、3本の直線(左から右に走る3本の線)に沿った中心平均粗さRa、単位:μmで示す。(A)では、3本の直線のRaが(0.5、0.6、0.6)であった。(B)では、3本の直線のRaが(0.7、0.8、1.0)であった。(C)では、3本の直線のRaが(1.6、0.7.0.8)であった。(D)では、3本の直線のRaが(0.6、0.6、0.6)であった。ここでは酸処理で表面に付着した黒色微粉末が除去された状態にある。(E)では、3本の直線のRaが(0.3、0.4、0.4)であった。
図9は、陽極酸化被膜の断面を示す写真である。陽極酸化被膜4の表面には、300nmと1.5μmの膜厚が形成されている。被膜の厚さは、50nm〜3000nm(3.0μm)にできる。
図10は、試験片の写真(左側)と、図1に示す製造法で製作した引張試験用の試験体の写真(右側)である。図10に示すように、マグネシウム金属部材1と樹脂部材2は、12mm×3mm(=36mm)の端面が接合される。試験体は符号3(3a)で示す。すなわち、試験体は、引張試験用の試験体3aである。樹脂マグネシウム金属接合体3は、マグネシウム金属部材1に樹脂部材2がインサート成形により一体化成形されたものである。インサート成形は、金型にマグネシウム金属部材1を装填しておき、熱可塑性樹脂を圧入することで、マグネシウム金属部材1と樹脂部材2を一体化成形する。熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を使用できる。
図11は、試験体の引張強度を示す図である。(A)は棒グラフ、(B)は一覧表である。No1〜8の8個の試験体で測定した。No1〜4が実施例1で製作したもの、No5〜8が実施例1で製作したものである。図11に示すように、試験体の各数値から、樹脂部材2とマグネシウム金属部材1の引張強度を30MPa以上にできる。
図12は、気密試験用の試験体を示す写真である。試験体は、符号3(3b)で示す。すなわち、試験体は、樹脂マグネシウム金属接合体3の気密試験用の試験体3bである。気密試験用の試験体3bは、マグネシウム金属部材1が、円板状の樹脂部材2を貫通して一体に接合されている。筒状の容器に気密試験用の試験体3bを装填し、マグネシウム金属部材1が突出した一方の側にヘリウムガスを吹き付け、マグネシウム金属部材1が突出した他方の側を真空にして、ヘリウムガスが漏れないか調べる。実施例1で試験体1−1〜1−4を製作し、実施例2で試験体2−1〜2−4を製作した。
図13は、気密試験の結果を示す表である。真空排気の量を増減させれば、漏れ出るヘリウム(He)の量も増減するが、図13の表の数値から、実施例1の試験体1−1〜1−4、実施例2の試験体2−1〜2−4のいずれも1×10−9Pam/s以下にできる。
図14は、実施例1で製作した試験体の熱衝撃テスト前後の引張強度を示す図である。熱衝撃テストは、温度をマイナス40℃〜80℃間で30分毎に変化させ、150サイクルを繰り返した。表において、MPaの欄は、接合断面が36mmでの値であり、Nと記載された欄は、MPaの値を36倍した値を記載している。図14の表によれば、引張強度のavgは、熱衝撃テスト前では41.84MPaであったが、熱衝撃テスト後は50.12MPaに上昇している。
図15は、実施例2で製作した試験体の熱衝撃テスト前後の引張強度を示す図である。熱衝撃テストは、温度をマイナス40℃〜80℃間で30分毎に変化させ、150サイクルを繰り返した。表において、MPaの欄は、接合断面が36mmでの値であり、Nと記載された欄は、MPaの値を36倍した値を記載している。図15の表によれば、引張強度のavgは、熱衝撃テスト前では45.60MPaであったが、熱衝撃テスト後は51.32MPaに上昇している。
図16は、実施例1で製作した試験体の高温高湿テスト前後の引張強度を示す図である。高温高湿テストは、温度が80℃、湿度95%、テスト時間は200時間で実施した。この試験後の引張強度は、図16に示すように、負荷テストをしない試験体の引張強度よりも低下した。表によれば、引張強度のavgは、テスト前では42.82MPaであったが、テスト後は、30.39MPaに低下した。
図17は、実施例2で製作した試験体の高温高湿テスト前後の引張強度を示す図である。高温高湿テストは、温度が80℃、湿度95%、テスト時間は200時間で実施した。この試験後の引張強度は、図17に示すように、負荷テストをしない試験体の引張強度よりも低下した。表によれば、引張強度のavgは、テスト前では42.82MPaであったが、テスト後は、30.39MPaに低下した。
図18は、Mg素材(AZ91)のTRI電解処理後の表面写真及び成分分析表である。表面は凸凹形状をしている。陽極酸化被膜の成分表によれば、重量%で、Mgが32.33%、Oが39.59%であるから、酸化マグネシウム(MgO)が形成されている。
図19は、Mg素材(AZ31)のTRI電解処理後の表面写真及び成分分析表である。表面は凸凹形状をしており、また、多数の孔が形成されている。陽極酸化被膜の成分表によれば、重量%で、Mgが64.32%、Oが31.98%であるから、酸化マグネシウム(MgO)が形成されている。
本発明の樹脂マグネシウム金属接合体及びその製造法は、金属部材と樹脂部材の一体化して接合するもので、部品の軽量化に好適である。
1 マグネシウム金属部材
2 樹脂部材
3 樹脂マグネシウム金属接合体
3a 引張試験用の試験体
3b 気密試験用の試験体
4 陽極酸化被膜
5 マグネシウム合金
7 吊下げ冶具
s1〜s6 製造法の各工程

Claims (2)

  1. マグネシウム金属部材と熱可塑性樹脂部材とを接合してなる樹脂マグネシウム金属接合体であって、
    前記マグネシウム金属部材と前記熱可塑性樹脂部材とが、膜厚が50〜3000nmの極酸化被膜により接合され、
    前記陽極酸化被膜は、トリアジンチオールを内部及び外部に存在させ、重量%で、Oが1〜60%、Mgが1〜90%、Sが3%以下、Alが20%以下、Pが3%以下、Znが3%以下、Cuが3%以下、Mnが3%以下、Niが3%以下、Siが20%以下、Fが3%以下の成分構成を有するトリアジンチオールの陽極酸化被膜であり、
    前記樹脂マグネシウム金属接合体の表面粗さは、0.3〜0.4μmで、接合強度が30MPa以上であり、ヘリウムを使用したリークテストで10 −9 Pam /s以下の気密性を有することを特徴とする樹脂マグネシウム金属接合体。
  2. 請求項1に記載された樹脂マグネシウム金属接合体を製造する製造法であって、
    マグネシウム金属部材をアルカリ性の溶液で洗浄する脱脂工程と、
    前記脱脂工程後、マグネシウム金属部材を酸性の溶液で洗浄する酸処理工程と、
    前記酸処理工程後、マグネシウム金属部材をアルカリ性の溶液に浸漬し電極に定電圧をかける活性化処理工程と、
    前記マグネシウム金属部材を陽極とし、20〜90℃のアルカリ性のトリアジンチオール誘導体を含む溶液中で、0.5A/dm以上5A/dm未満の電流密度を印加して、前記マグネシウム金属部材上に膜厚が50〜3000nmの陽極酸化被膜を形成する工程と、
    前記陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材を、5℃以上、60℃未満の水で洗浄する水洗い工程と、
    前記水洗い工程後の、前記陽極酸化被膜が形成されたマグネシウム金属部材に、熱可塑性樹脂をインサート成形する工程と、が備えられ、
    前記マグネシウム金属部材と、熱可塑性樹脂で成形された樹脂部材とが接合されることを特徴とする樹脂マグネシウム金属接合体の製造法。
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