JP2014128939A - 金属樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム系金属からなる金属基材に対して、従来の複合体より高い接着力で樹脂部材が接合されている金属樹脂複合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】金属基材をアルカリ処理することにより、当該金属基材の表面に水酸基を存在させる工程と、アルカリ処理された金属基材をイオン交換水により水洗処理する工程と、水洗処理された金属基材をベーマイト処理する工程と、ベーマイト処理された金属基材を金型内に挿入し、当該金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形する工程とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミニウム系金属からなる金属基材に樹脂部材が接合されてなる金属樹脂複合体の製造方法に関する。
アルミニウム系の金属基材に樹脂部材が接合されてなる金属樹脂複合体が各種の分野において多用されている。
近年、製造工程の簡略化、金属樹脂間の接着力の向上を図るなどの観点から、金属樹脂複合体を構成する金属基材と樹脂部材とを、接着剤を使用することなく一体成形する方法が検討されている。
そして、樹脂部材との接着力を高めるために、アルミニウム系の金属基材の表面を処理することも提案されている(下記の特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1には、アルミニウム系の金属基材を陽極酸化処理することにより、金属基材の表面に無数の孔を有する陽極酸化皮膜を形成し、金属基材(陽極酸化皮膜)の表面に、射出成形などで樹脂部材を接合する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、金属基材の表面に陽極酸化被膜を形成する際に多大の工数を必要とし、製造効率の観点から問題があり、現実的ではない。
特許文献2には、アルミニウム系の金属基材にポリフェニレンスルフィド樹脂部材が接合されてなる複合体を製造する方法として、金属基材の表面にベーマイト処理を施す工程と、表面にベーマイト層が形成された金属基材を射出成形機の金型内に装着する工程と、この金型内にポリフェニレンスルフィド系樹脂を溶融状態で射出してインサート成形を行い複合体とする工程とを含む製造方法が開示されている。
ベーマイト処理を施すことによりベーマイト層が形成された金属基材の表面は針状構造になり、またその表面には官能性基として水酸基(−OH基)を存在させることが可能となることから、ベーマイト処理を施さない場合と比較して、樹脂部材との密着性をある程度向上させることができる。
なお、ベーマイト処理に先立って、金属基材の表面は、溶剤による脱脂洗浄が行われる(特許文献2の段落0066参照)。
WO2004/055248号 特開2010−284899号公報
しかしながら、特許文献2に記載された製造方法によって得られる金属樹脂複合体は、アルミニウム系の金属基材と、ポリフェニレンスルフィド樹脂部材との間の接着力が十分に高いとはいえず、金属−樹脂間の接着力の更なる向上が望まれる。
また、この金属樹脂複合体は、冷熱を繰り返すことによる接着力の低下が大きく、そのような環境下において使用することができない。
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、アルミニウム系金属からなる金属基材に対して、従来の複合体より高い接着力で樹脂部材が接合されている金属樹脂複合体の製造方法を提供することにある。 本発明の他の目的は、冷熱を繰り返すことによっても接着力の低下が小さい金属樹脂複合体の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明者が鋭意検討を重ねた結果、ベーマイト処理の前処理として、金属基材をアルカリ処理して基材表面に水酸基を存在させることにより、最終的に得られる金属樹脂複合体における金属基材(アルミニウム系金属)と樹脂部材との接着力が格段に向上することを見出し、かかる知見に基いて本発明を完成するに至った。
(1)すなわち、本発明の金属樹脂複合体の製造方法は、アルミニウム系金属からなる金属基材に樹脂部材が接合されてなる金属樹脂複合体の製造方法であって、
前記金属基材の表面に水酸基を存在させた状態でベーマイト処理した後、当該金属基材を金型内に挿入し、当該金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形する工程を含むことを特徴とする。
(2)本発明の製造方法において、前記金属基材をアルカリ処理することにより、当該金属基材の表面に水酸基を存在させる工程と、
アルカリ処理された前記金属基材をイオン交換水により水洗処理する工程と、
水洗処理された前記金属基材をベーマイト処理する工程と、
ベーマイト処理された前記金属基材を金型内に挿入し、当該金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形する工程と
を含むことが好ましい。
(3)上記(2)の製造方法において、超音波を付与しながら前記金属基材をアルカリ処理することが好ましい。
(4)上記(3)の製造方法において、超音波を付与しながら前記金属基材を水洗処理することが好ましい。
(5)本発明の製造方法において、前記樹脂部材を形成するために使用する樹脂材料が、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはフェノール樹脂であることが好ましい。
(6)本発明の金属樹脂複合体は、本発明の製造方法に得られるものであることを特徴とする。
(7)本発明の電解コンデンサの構成部品は、本発明の金属樹脂複合体からなることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、アルミニウム系金属からなる金属基材に対して、従来の複合体より高い接着力で樹脂部材が接合されている金属樹脂複合体を製造することができる。
本発明の製造方法によれば、冷熱を繰り返すことによっても接着力の低下が小さい(あるいは低下しない)金属樹脂複合体を製造することができる。
本発明の金属樹脂複合体は、これを構成する金属基材と樹脂部材とが高い強度で接合されている。
本発明の金属樹脂複合体の一実施形態に係る電解コンデンサのキャップを示す説明図であり、〔1〕は平面図、〔2〕は断面図(〔1〕のA−A断面図)である。 実施例および比較例で得られた剪断剥離試験用の試験片(金属樹脂複合体)を示す平面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、樹脂部材を接合させる金属基材の表面に水酸基を存在させた状態でベーマイト処理する点に特徴を有する。
本発明の好適な製造方法は、金属基材をアルカリ処理することにより、この金属基材の表面に水酸基を存在させるアルカリ処理工程と、アルカリ処理された金属基材をイオン交換水により水洗処理する水洗工程と、水洗処理された金属基材をベーマイト処理するベーマイト処理工程と、ベーマイト処理された金属基材を金型内に挿入し、当該金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形する成形工程とを含む。
金属基材を構成するアルミニウム系金属としては、アルミニウムおよびアルミニウム合金(日本工業企画に規定のA1000番台、A2000番台、A3000番台、A4000番台、A5000番台、A6000番台、A7000番台)を挙げることができる。
金属樹脂複合体の樹脂部材(成形工程で使用する樹脂材料)としては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、フェノール樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができ、これらのうち、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
なお、金属基材からの樹脂部材の剥離を防止する観点から、樹脂部材(樹脂材料)の線膨張係数は、金属基材を構成するアルミニウム系金属の線膨張係数と近いものであることが好ましく、具体的には2×10-5〜5×10-5/℃であることが好ましい。
本発明の製造方法のアルカリ処理工程においては、金属基材をアルカリ処理して、当該金属基材の表面に水酸基(OH基)を存在させる。
このアルカリ処理は、金属基材の表面に水酸基を付与するために行われるものであるが、アルカリ処理により、金属基材の表面が脱脂洗浄され、基材表面に形成されていた酸化被膜が剥離除去され、基材表面が適度に粗面化(凹凸が付与)される。
アルカリ処理は、金属基材を処理液中に浸漬することにより行われる。
使用する処理液としては、水酸化ナトリウムなどのアルカリ化合物(アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物)をイオン交換水に溶解することにより調製することができる。
水酸化ナトリウム水溶液を処理液として使用する場合、水酸化ナトリウム濃度は、通常1〜10質量%とされ、好ましくは2〜5質量%とされる。
処理液の濃度が低過ぎる場合および高過ぎる場合の何れにおいても、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材と樹脂部材との間の接着力を十分に向上させることができない。また、処理液の濃度が高過ぎると、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材(樹脂部材が接合されていない部分)が変色するおそれがある。
アルカリ処理の処理温度としては、通常30〜60℃とされ、好ましくは40〜50℃とされる。
この処理温度が低過ぎる場合および高過ぎる場合の何れにおいても、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材と樹脂部材との間の接着力を十分に向上させることができない。また、処理温度が高過ぎると、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材(樹脂部材が接合されていない部分)が変色するおそれがある。
アルカリ処理の処理時間としては、通常3〜20分間とされ、好ましくは5〜15分間とされる。
この処理時間が短過ぎる場合および長過ぎる場合の何れにおいても、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材と樹脂部材との間の接着力を十分に向上させることができない。また、処理時間が長過ぎると、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材(樹脂部材が接合されていない部分)が変色するおそれがある。
アルカリ処理工程によって金属基材の表面に水酸基が付与される。
金属基材の表面に付与された水酸基は、金属基材の表面に対して化学的に結合しており、金属基材の中和処理を行うことにより除去されことはあるが(後述する比較例4〜5および比較例9〜10参照)、後述する水洗処理によっても除去されることはない。
そして、金属基材の表面に水酸基を存在させた状態でベーマイト処理することにより、後述する実施例の結果からも明らかなように、金属基材の表面に水酸基を存在させないでベーマイト処理した場合と比較して、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材と樹脂部材との間の接着力を格段に高くすることができる。
このような理由としては明らかではないが、金属基材の表面に存在する水酸基(OH基)が、ベーマイト(AlOOH)の針状結晶の生成を促進させるからであると推測される。
アルカリ処理工程においては、超音波を付与しながら金属基材をアルカリ処理することが好ましい。
超音波を付与しながらアルカリ処理することにより処理効率の向上を図ることができ、後述する実施例の結果からも明らかなように、同一の処理条件(処理温度・処理時間)では、得られる金属樹脂複合体を構成する金属基材と樹脂部材との間の接着力を更に高くすることができる。
この理由としては明らかではないが、付与される超音波によって金属基材の表面の洗浄(異物の除去)および酸化被膜の除去が促進されるとともに、アルカリ処理後の基材表面の状態が均一化して、均等なベーマイト処理が行われるからであると推測される。
ここに、超音波の周波数としては、通常50〜1500MHzとされ、好ましくは500〜1000MHz、好適な一例を示せば1000MHzである。
本発明の製造方法の水洗処理工程においては、アルカリ処理された金属基材をイオン交換水により水洗処理する。この水洗処理により、金属基材の表面に付着している酸化被膜片やナトリウム化合物を除去することができる。
水洗処理の処理温度としては、通常30〜60℃とされ、好ましくは40〜50℃とされる。また、水洗処理の処理時間としては、通常3〜20分間とされ、好ましくは5〜15分間とされる。
水洗処理工程においては、超音波を付与しながら金属基材を水洗処理することが好ましい。超音波を付与しながら水洗処理することにより、これを付与しない場合と比較して処理効率の向上を図ることができる。
本発明の製造方法のベーマイト処理工程においては、水洗処理された金属基材をベーマイト処理する。
ベーマイト処理は、金属基材を構成するアルミニウムと、加熱されたイオン交換水との反応によって、金属基材の表面にベーマイト(AlOOH)の被膜であるベーマイト層を形成する従来公知の処理方法である。
ベーマイト処理により、金属基材の表面に針状構造のベーマイト層が形成されるとともに、金属基材の表面(アルミニウム系金属)と樹脂部材との間にベーマイト(AlOOH)が介在して両者を橋かけ結合することにより、金属基材に対する樹脂部材の密着性を向上させることができる。
ベーマイト処理の処理温度としては、通常90〜100℃とされ、好ましくは100℃とされる。また、ベーマイト処理の処理時間としては、通常5〜20分間とされ、好ましくは5〜10分間とされる。
ベーマイト処理においては、アンモニア、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどの反応促進剤をイオン交換水中に添加してもよい。
本発明の製造方法の成形工程においては、ベーマイト処理した金属基材を金型内に挿入し、当該金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形する。
これにより、接着剤を使用することなく、金属基材に対して樹脂部材が強固に接合されてなる金属樹脂複合体を得ることができる。
上記のようにして得られる金属樹脂複合体(本発明の金属樹脂複合体)は、これを構成する金属基材と、樹脂部材とが高い強度で接合されている。
本発明の金属樹脂複合体は、金属基材と樹脂部材との密着性に優れており、電子部品・機器、家電製品、医療用機器、車輛用構造部品およびその搭載品、建築資材用部品などとして利用することができる。
図1は、本発明の金属樹脂複合体の一実施形態に係る電解コンデンサのキャップを示す平面図および断面図である。図1に示すキャップ1は、金属基材である端子11,12に、樹脂部材であるキャップ本体20が接合されてなり、電解液の収容容器に被せられて、アルミ電解コンデンサを構成する。
端子11,12とキャップ本体20とは、高い気密性および液密性を有して接合されており、使用環境における温度上昇により収容容器に内圧がかかっても、ガスや電解液の漏出などを生じることはない。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)アルカリ処理工程:
水酸化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が2質量%の水酸化ナトリウム溶液を調製し、これを超音波洗浄機内で加温して液温を45℃に維持した。
次いで、アルミニウム合金(A1030)からなる金属基材(70mm×20mm×2mm)を超音波洗浄機内の水酸化ナトリウム溶液中に浸漬し、超音波(1000MHz)を付与しながら10分間にわたりアルカリ処理を行った。
(2)水洗処理工程:
イオン交換水を超音波洗浄機内で加温して液温を45℃に維持した。
次いで、アルカリ処理された金属基材を超音波洗浄機内のイオン交換水中に浸漬し、超音波(1000MHz)を付与しながら10分間にわたり水洗処理を行った。
(3)ベーマイト処理工程:
水洗処理された金属基材を、100℃に加熱されたイオン交換水中に10分間浸漬することによりベーマイト処理を行った。
(4)成形工程:
ベーマイト処理された金属基材を温風乾燥機で乾燥した後に、射出成形金型内に挿入し、この金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形を行うことにより、図2に示したような剪断剥離用の試験片〔金属基材(70mm×20mm×2mm)の端部と、樹脂部材(70mm×17mm×2mm)の端部とが、340mm2 (20mm×17mm)の接合面積で貼り合わされてなる本発明の金属樹脂複合体〕を作製した。
ここに、樹脂材料としては、ガラス繊維強化されたポリフェニレンスルフィド系樹脂「P−42」(東ソー(株)製)を使用した。
<実施例2>
超音波を付与しないでアルカリ処理および水洗処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、剪断剥離試験用の試験片(本発明の金属樹脂複合体)を作製した。
<比較例1>
アルカリ処理および水洗処理を行っていない金属基材(70mm×20mm×2mm)に対して実施例1(3)と同様にしてベーマイト処理を行った後、この金属基材を使用して実施例1(4)と同様のインサート成形を行うことにより、剪断剥離試験用の試験片(比較用の金属樹脂複合体)を作製した。
<比較例2>
アルミニウム合金(A1030)からなる金属基材(70mm×20mm×2mm)を超音波洗浄機内に収容したエタノール中に浸漬し、超音波(1000MHz)を付与しながら10分間にわたり洗浄処理を行った。
エタノールにより洗浄処理された金属基材に対して実施例1(3)と同様にしてベーマイト処理を行った。
この金属基材を使用して実施例1(4)と同様のインサート成形を行って剪断剥離試験用の試験片の作製を試みたが、金属基材と樹脂部材が剥離して試験片を得ることはできなかった。
<比較例3>
超音波を付与しないでエタノールによる洗浄処理を行ったこと以外は比較例2と同様にして剪断剥離試験用の試験片の作製を試みたが、金属基材と樹脂部材が剥離して試験片を得ることはできなかった。
<比較例4>
実施例1(1)〜(2)と同様にして、アルカリ処理および水洗処理された金属基材を2%の硫酸中に5分間浸漬することにより中和処理を行った。
このようにして中和処理された金属基材に対して実施例1(3)と同様にしてベーマイト処理を行った後、この金属基材を使用して実施例1(4)と同様のインサート成形を行うことにより、剪断剥離試験用の試験片(比較用の金属樹脂複合体)を作製した。
<比較例5>
ベーマイト処理時間を60分間に変更したこと以外は比較例4と同様にして、剪断剥離試験用の試験片(比較用の金属樹脂複合体)を作製した。
<実施例3〜4>
成形工程において金型内に射出させる樹脂材料を、ガラス繊維強化されたポリエチレンテレフタレート樹脂「ライナイト FR530」(デュポン社製)に変更したこと以外は実施例1〜2と同様にして剪断剥離試験用の試験片(本発明の金属樹脂複合体)を作製した。
<比較例6〜10>
成形工程において金型内に射出させる樹脂材料を、ガラス繊維強化されたポリエチレンテレフタレート樹脂「ライナイト FR530」(デュポン社製)に変更したこと以外は比較例1〜5と同様にして剪断剥離試験用の試験片(比較用の金属樹脂複合体)を作製した。
<実施例5〜6>
成形工程において金型内に射出させる樹脂材料をガラス繊維強化されたフェノール樹脂「スミコン PM−9630」(住友ベークライト(株)製)に変更したこと以外は実施例1〜2と同様にして剪断剥離試験用の試験片(本発明の金属樹脂複合体)を作製した。
<比較例11〜13>
成形工程において金型内に射出させる樹脂材料をガラス繊維強化されたフェノール樹脂「スミコン PM−9630」(住友ベークライト(株)製)に変更したこと以外は比較例1〜3と同様にして剪断剥離試験用の試験片(比較用の金属樹脂複合体)を作製した。
<評価>
(1)剪断接着力(初期接着力):
実施例1〜6、比較例1および比較例4〜13で得られた試験片(金属樹脂複合体)の各々について、JIS K 6850に準拠して引張剪断強度(金属基材と樹脂部材との剪断接着力)を測定した。なお、引張剪断強度は、実施例および比較例の各々で作製した10個の試験片について測定し、その平均値を求めた。結果を下記表1〜表3に示す。
Figure 2014128939

Figure 2014128939
Figure 2014128939
表1〜表3に示す結果から、ベーマイト処理の前処理として、金属基材のアルカリ処理および水洗処理を行って得られた試験片(実施例1〜2,実施例3〜4,実施例5〜6)は、そのような前処理を行わないで得られた試験片(比較例1,比較例6,比較例11)、エタノールによる金属基材の洗浄処理を行って得られた試験片(比較例7〜8,比較例12〜13)と比較して高い剪断接着力(金属基材と樹脂部材との間の接着力)を示している。特に、超音波を付与しながら金属基材のアルカリ処理および水洗処理を行って得られた試験片(実施例1,実施例3,実施例5)の剪断接着力はきわめて高いものであった。なお、アルカリ処理および水洗処理後に中和処理を行って得られた試験片(比較例4〜5,比較例9〜10)の剪断接着力はきわめて低いものであった。これは、アルカリ処理によって付与された水酸基が中和処理によって減少または消滅したからであると推測される。
(2)冷熱繰り返し後の接着力の保持性:
実施例1および実施例3で得られた試験片の各々を−40℃に降温して30分間放置した後、130℃まで昇温して30分間放置し、更に−40℃に降温する工程を1サイクルとする冷熱の繰り返しを100サイクル行った後、上記(1)と同様にして引張剪断強度(剪断接着力)Sを測定し、冷熱繰り返し前の初期接着力S0 に対する比率を求めて、冷熱繰り返し後の接着力の保持性を評価した。結果を下記表4に示す。
Figure 2014128939
表4に示す結果から、実施例1および実施例3で得られた試験片は、冷熱繰り返し後の接着力の保持性に優れているものであった。
1 キャップ
11,12 端子(金属基材)
20 キャップ本体(樹脂部材)

Claims (7)

  1. アルミニウム系金属からなる金属基材に樹脂部材が接合されてなる金属樹脂複合体の製造方法であって、
    前記金属基材の表面に水酸基を存在させた状態でベーマイト処理した後、当該金属基材を金型内に挿入し、当該金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形する工程を含むことを特徴とする金属樹脂複合体の製造方法。
  2. 前記金属基材をアルカリ処理することにより、当該金属基材の表面に水酸基を存在させる工程と、
    アルカリ処理された前記金属基材をイオン交換水により水洗処理する工程と、
    水洗処理された前記金属基材をベーマイト処理する工程と、
    ベーマイト処理された前記金属基材を金型内に挿入し、当該金型内に溶融状態の樹脂材料を射出してインサート成形する工程と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  3. 超音波を付与しながら前記金属基材をアルカリ処理することを特徴とする請求項2に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  4. 超音波を付与しながら前記金属基材を水洗処理することを特徴とする請求項3に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  5. 前記樹脂部材を形成するために使用する樹脂材料が、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の製造方法により得られる金属樹脂複合体。
  7. 請求項6に記載の金属樹脂複合体からなる電解コンデンサの構成部品。
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