JP2019178101A - エマルジョン - Google Patents

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大西 啓介
Keisuke Onishi
啓介 大西
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Japan Coating Resin Co Ltd
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Abstract

【課題】紫外線から皮膚をより確実に防御することが可能となる剤を提供することを目的とする。【解決手段】水性媒体中にオイル分を内包した平均粒径10〜1000nmのカプセル状粒子が乳化分散されてなるエマルジョンを用い、また、このエマルジョンを構成するカプセル状粒子と紫外線吸収剤とが乳化分散されてなる化粧料用乳化液として用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、エマルジョンに関するものであり、詳細には、オイル分を内包した所定の粒径のカルセル状粒子が乳化分散されてなるエマルジョン、及びこのエマルジョンを構成するカプセル状粒子と紫外線吸収剤とを乳化分散した化粧料用乳化液に関する。
従来から、カプセル状粒子の中には紫外線(UV)の散乱を生じさせるものが知られており、これを化粧料等に適用して、皮膚に塗布した際の日焼け止め効果を向上させる方法が検討されている。例えば、市販品として、Dow社製のSunSpheres(登録商標) PGL、SunSpheres(登録商標) Powder、SunSpheres(登録商標) LCG等が知られている。
また、カプセル状粒子と共に紫外線吸収剤を用いて、紫外線(以下、「UV」と略記することがある。)の皮膚への遮蔽効果を向上させる方法が特許文献1に記載されている。
さらに、光の反射による散乱光度をより大きくし、皮膚のテカリ防止効果を向上させる中空ポリマー粒子が特許文献2に記載されている。
WO2012/161084号公報 特開2017−119843号公報
しかしながら、上記特許文献1や2に記載の方法では、紫外線の強度によっては、皮膚を紫外線から防御するのに十分でなく、日焼けを防止しにくい場合が生じることがある。
そこで、本発明は、紫外線から皮膚をより確実に防御することが可能となる保護剤を提供することを目的とする。
この発明の要旨は、下記の[1]〜[7]に存する。
[1]水性媒体中にオイル分を内包した平均粒径10〜1000nmのカプセル状粒子が乳化分散されてなるエマルジョン。
[2]部分ケン化ポリ酢酸ビニルを含む乳化剤により分散安定化されてなる[1]に記載のエマルジョン。
[3]上記オイル分が常温で液状のイソパラフィン類を含む[1]又は[2]に記載のエマルジョン。
[4]内包される上記イソパラフィン類の量が上記カプセル状粒子に対して、25重量%以上である[3]に記載のエマルジョン。
[5]上記オイル分を内包する上記カプセル状粒子のカプセル部が、(メタ)アクリル系重合体を主成分とする樹脂からなる[1]〜[4]のいずれか1項に記載のエマルジョン。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載のエマルジョンを構成するカプセル状粒子と紫外線吸収剤とが乳化分散されてなる化粧料用乳化液。
[7]さらに、光散乱剤が含有される[6]に記載の化粧料用乳化液。
本発明のエマルジョンは、カプセル状粒子の内部に所定のオイル分を内包するので、皮膚等の被塗物の紫外線(UV)に対する保護効果が向上する。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
この発明は、水性媒体中に所定のオイル分を内包したカプセル状粒子を乳化分散させたエマルジョンに係る発明である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
<カプセル状粒子>
本発明のカプセル状粒子は、樹脂から構成されるカプセル部を有すると共に、内部にオイル分を内包した粒径10〜1000nmの粒子である。
上記カプセル部を形成する樹脂としては、エチレン性不飽和化合物の単独重合体又は共重合体があげられる。このエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能モノマーや、エチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能モノマーが挙げられる。
上記単官能モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレ系モノマー;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族系(メタ)アクリレート系モノマー;イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリレート系モノマー;フェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル等のハロゲン系(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、ジメチルアミノメチルメタクリレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらの中でも、カプセル状粒子の強度や柔軟性、ハンドリングの点から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、その含有量としては、モノマー全体に対して0.1〜50重量%、更に好ましくは0.5〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%である。単官能モノマーの含有量が少なすぎると重合時の安定性が不十分となり、粒径が過大となることがあり、多すぎると重合時の安定性が低下する傾向がある。
なかでも、スチレン系モノマーとしてはスチレン、(メタ)アクリレート系モノマーとしてはアルキル基の炭素数が1〜30、特に1〜25、更には1〜20の脂肪族系(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、なかでもステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記多官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルオキシエチレン、マレイン酸ジアリル、テトラアリルオキシエタン等のアリル基を2個以上有するモノマー;ジビニルベンゼン;アリル(メタ)アクリレート等があげられる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なかでも、重合安定性の点から、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等を用いることが好ましい。
上記多官能モノマーの含有割合としては、カプセル状粒子の強度や柔軟性、ハンドリングの点からモノマー成分全体の50〜99.9重量%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜99.5重量%、特に好ましくは70〜99重量%である。多官能モノマーの含有量が少なすぎると、重合時の安定性が低下する傾向があり、多すぎるとやはり重合時の安定性が低下して、粗大粒子が生成することがある。
上記の単官能モノマー、及び必要に応じて多官能モノマー等のモノマー成分を重合することにより、本発明のエマルジョンを製造することができる。
本発明における上記カプセル状粒子のカプセル部としては、上記各モノマー成分のうち、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレートを主成分として、スチレン系モノマーや、(メタ)アクリレート系モノマー等の(メタ)アクリレート類から選ばれる少なくとも1種を含有したモノマー成分の重合体を主成分とするものを用いることが好ましい。このような重合体としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系重合体等があげられる。
<本発明のエマルジョンの製造方法>
本発明のエマルジョン、すなわち、水性媒体中に所定のカプセル状粒子が乳化分散されたエマルジョンは、上記モノマー成分とオイル分からなるオイル分を含有するモノマー溶液を、水性媒体中で乳化分散した後に重合することにより製造することができる。
上記オイル分は、上記モノマー成分と重合しない非反応性の成分であり、かつ、水への溶解度が500ppm以下、好ましくは100ppm以下の成分が用いられる。そして、常温(25℃)で液状のものが用いられる。このようなオイル分を用いることにより、上記水性媒体中でモノマー成分とオイル分がエマルジョン化され、液滴状とすることができる(このようにして得られたエマルジョンを、以下「モノマーエマルジョン」と称する。)。
このようなオイル分を用いることにより、重合初期の段階で上記モノマー成分が重合してなる樹脂とオイル分とが相分離し、樹脂重合中を通して粒子内部にオイル分の液滴がまとまって安定的に存在することとなり、そのため、内部の空隙部分にオイル分の液滴が存在する、すなわち、オイル分を内包するカプセル状の粒子を効率的かつ安定的に製造することが可能となる。
また、オイル分としては、25℃の水の溶解度が500ppm以下、好ましくは300ppm以下、特に好ましくは100ppm以下のものを用いると、オイルの液滴を安定してカプセル状粒子の内部に保持させることができる。
上記オイル分とモノマー成分とを含む液滴の粒径は、得られるカプセル状粒子の粒径が10〜1000nmになるように調整すればよく、例えば、15nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。10nmより小さいと、生成するカプセル状粒子の粒径が小さくなりすぎたり、オイル分とモノマー成分とを含む混合液の粘度が高くなって、重合時の撹拌が不均一となったりすることがある。一方、粒径の上限は1000nmであり、800nm以下が好ましい。1000nmより大きいと、生成するカプセル状粒子の粒径も1000nm以上となって、紫外線に対する保護効果が低下する場合がある。
上記のオイル分の液滴の粒径を上記の範囲内とする方法としては、プロペラ翼等の撹拌翼を用いる方法や、スタティックミキサーのような液分割による方法、あるいは、ホモジナイザー等のせん断力を用いる方法、バイブロミキサー等の液振動型撹拌混合法による方法、超音波分散法等があげられる。
常温(25℃)で液状であり、かつ、25℃における水への溶解度が500ppm以下のオイル分としては、例えば、イソパラフィン(水への溶解度(以下同じ):約1ppm)を含む炭素原子数が5〜16の炭化水素(50〜0.001ppm)や、スクアレン(2×10−10ppm)、アボカド油、綿実油、ミンク油、ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油、シリコーン油等の各種油脂類及びそれらの混合物等があげられる。なお、上記括弧内は、25℃における水への溶解度(重量ppm)である。
なかでも、水性媒体との相溶性が低く、かつ、上記モノマー成分との相溶性及び比重のバランスに優れ、カプセル状粒子の分散安定性に優れる点から、炭素原子数が5〜16の炭化水素、特にイソパラフィンを用いることが好ましい。このような炭化水素を用いると、後記するSPF値の向上が見られ、UVからの保護効果がさらに向上する。
炭素原子数が5〜16の炭化水素を用いる場合、上記カプセル状粒子の内部に内包される該炭化水素の量(含有重量)は、上記カプセル状粒子のシェル部の重量に対し、25重量%以上がよく、30重量%以上が好ましい。25重量%より少ないと、SPF値の改良効果が不十分となる場合がある。一方、この量の上限は、オイル分の液滴が上記した粒径の範囲内を保持することが必要であるので、200重量%がよく、100重量%が好ましい。
かかるオイル分の使用量については、上記モノマー成分100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、更に好ましくは15〜150重量部、特に好ましくは30〜100重量部である。オイル分が多すぎると、カプセル状粒子の強度が低下し、カプセル状粒子の形状を維持し難くなる傾向があり、少なすぎると内部の空隙率が低下し、UV保護効果が十分得られないおそれがある。
上記水性媒体としては、例えば、水、又は水を主体とするアルコール性溶媒があげられ、好ましくは水である。
また、本発明においては、乳化安定性の向上や、重合安定性向上の点から、水性媒体に乳化剤を含有することが好ましい。
上記乳化剤としては、具体的には、無機化合物;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤等の界面活性剤;保護コロイド能を有する水溶性高分子;及び水溶性オリゴマー等があげられる。
上記無機化合物としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ、タルク、リン酸三カルシウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ石けん等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、サーファクチンナトリウム((株)カネカ製、C(55−n)(95.5−2n)13Na1.5)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記両性イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等があげられる。
上記保護コロイド能を有する水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂、部分ケン化ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
上記水溶性オリゴマーとしては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基等の親水性基を有する重合体が好ましく、中でも10〜500程度の重合度を有する重合体又は共重合体が好適に挙げられる。水溶性オリゴマーの具体例としては、例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体等のアミド系共重合体、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩等が挙げられる。また、上記以外にも、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基等を有するモノマーやラジカル重合性の反応性乳化剤を予め単独又は他のモノマーと共重合してなる水溶性オリゴマー等も挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上を併せて用いられる。
本発明においては、モノマー成分を含有する油滴を安定的に分散させ、重合安定性を付与する点、及び得られるエマルジョンの安定性を付与する点から、分散安定剤として、部分ケン化ポリ酢酸ビニル系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂(以下、まとめて「PVA系樹脂」と記載することがある。)を含む乳化剤を用いることが好ましい。
PVA系樹脂の平均ケン化度としては、70〜99.9モル%であることが好ましく、特に好ましくは80〜99.5モル%、更に好ましくは85〜99.0モル%である。
平均ケン化度が低すぎると重合時の分散安定性が不十分となりやすく、仮に重合が完結したとしてもエマルジョンの保存安定性が低下してしまう傾向があり、高すぎても、やはり重合時の安定性が低下する傾向がある。
なお、平均ケン化度は、JIS K 6726に記載のケン化度の算出方法にしたがって求めることができる。
また、PVA系樹脂の平均重合度としては、50〜5,000であることが好ましく、特に好ましくは150〜4,000であり、更に好ましくは300〜3,000である。平均重合度が低すぎると、保護コロイド能力が不十分となり重合が安定的に進行しにくい傾向があり、高すぎると、系の粘度が高くなって、良好な分散液とならないことがある。
なお、平均重合度は、JIS K 6726に記載の平均重合度の算出方法にしたがって求めることができる。
本発明において、PVA系樹脂として、部分ケン化ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、又は各種変性剤によって変性された変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル樹脂や変性ポリビニルアルコール系樹脂(以下、まとめて「変性PVA系樹脂」と記載することがある。)を用いることができ、その変性の程度は、通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
変性PVA系樹脂としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基をはじめとするアニオン性基で変性されたアニオン変性PVA系樹脂、四級アンモニウム基等のカチオン性基で変性されたカチオン変性PVA系樹脂、アセトアセチル基、ジアセトンアクリルアミド基、メルカプト基、シラノール基をはじめとする各種官能基等により変性された変性PVA系樹脂や、側鎖に1,2−ジオール構造を有する変性PVA系樹脂等を挙げることができる。
本発明において、上記乳化剤の使用量は、前述のモノマー成分100重量部に対して、0.1〜60重量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜45重量部、特に好ましくは0.5〜30重量部である。
乳化剤の使用量が少なすぎると、系の分散安定性が低下し、重合が不安定になりやすく、使用量が多すぎると、カプセル状粒子が凝集し、分散不良となる傾向がある。
なお、上記乳化剤の水性媒体中への添加方法は、特に限定されないが、予め水性媒体中に添加しておくことが好ましい。
また、上記以外にも、乳化剤をモノマー溶液に全量含有させて一括して添加する方法や、重合の経過に伴って重合途中に適時、乳化剤を追加する方法等も用いることができる。
さらに、通常、重合においては、重合開始剤を用いることが好ましく、その他必要に応じて、重合調整剤、pH調整剤、光散乱剤、香料等を配合することができる。
上記重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2′−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等のアゾ系化合物;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、過酸化水素等の有機過酸化物;各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)
等があげられる。
これらの重合開始剤は単独であるいは2種以上併せて用いられる。これらの中でも重合安定性に優れる点で、アゾ系化合物や有機過酸化物等の油溶性開始剤が好ましい。
上記重合開始剤の使用量は、用いるモノマー成分の種類や重合条件などによって異なるが、通常、モノマー成分100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜7重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。重合開始剤の使用量が少なすぎると、重合速度が遅くなる傾向となり、多すぎると、反応制御性が悪化したり、得られる共重合体の分子量が低下し、カプセル状粒子の強度が低下したりする傾向がある。
なお、上記重合開始剤の添加方法としては、モノマー溶液に全量含有させて一括して添加する方法や、重合の経過に伴って必要に応じて重合途中に複数回に分けて分割して反応缶に添加する方法等を用いることができる。
また、上記重合調整剤としては、例えば、連鎖移動剤、pH緩衝剤等があげられる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;n−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記pH緩衝剤としては、例えば、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸アンモニウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記光散乱剤は、本発明に係るエマルジョンに光散乱効果を付与することができ、UVの散乱を生じさせるので、皮膚等の被塗物のUV保護効果をより向上させることができる。
この光散乱剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛等を挙げることができる。
上記香料を加えることにより、本発明のエマルジョンに香りを付与することができる。この香料としては、油溶性の香料を用いることが好ましい。油溶性の香料を用いると、本発明のカプセル状粒子にオイル分の液滴と共に香料を内包することができる。この場合、内包されることにより香料の揮散速度を低減させることができる。すなわち、徐放性を向上させることができる。さらに、本発明のエマルジョンは、UVから保護する効果があるので、香料成分をUVから保護することが可能となり、香料成分の劣化を抑制することができる。
この香料としては、3−オクタノール、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ボルネオール、セドロール、パチュリアルコール、ベチベロール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサン−メタノール、p−tert−ブチルシクロヘキサノール、o−tert−ブチルシクロヘキサノール、1−(2−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、α,β,2,2,6−ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、アニスアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、α,α−ジメチルベンジルカルビノール、α,α−ジメチルフェニルエチルカルビノール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、3−メチル−5−フェニル−1−ペンタノール、チモール、カルバクロール、オルシノールモノメチルエーテル、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール、1,8−シネオール、4−アセトキシ−3−アミルテトラヒドロピラン、セドリルメチルエーテル、1−メトキシシクロドデカン、1−メチル−1−メトキシシクロドデカン、エトキシメチルシクロドデシルエーテル、アンブロキサン、グリサルバ、アニソール、ジメチルヒドロキノン、p−クレシルメチルエーテル、アセトアニソール、ジヒドロアネトール、ジフェニルオキサイド、フェニルエチルイソアミルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルエチルエーテル、β−ナフチルイソブチルエーテル、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキサナール、メチルオクチルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、メトキシジヒドロシトロネラール、センテナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、ヒドラトロピックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェニルアセトアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、3−(p−tert−ブチルフェニル)−プロパナール、p−エチル2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−プロパナール、4−tert−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、オクタナールグリコールアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、ヒドラトロピックアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセリルアセタール、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、カンファー、l−メントン、d−イソメントン、p−tert−ブチルシクロヘキサノン、2−アミルシクロペンタノン、2−ヘプチルシクロペンタノン、プリカトン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、カロン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、ジンゲロン、メチルβ−ナフチルケトン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、ベンゾフェノン、エチルホルメート、ベンジルホルメート、フェニルエチルホルメート、エチルアセテート、ブチルアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、イソノニルアセテート、l−メンチルアセテート、n−ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、ベンジルアセテート、2−フェニルエチルアセテート、スチラリルアセテート、アニシルアセテート、p−クレシルアセテート、ヘリオトロピルアセテート、セドリルアセテート、ベチベリルアセテート、デカヒドロ−β−ナフチルアセテート、エチルプロピオネート、イソアミルプロピオネート、ベンジルプロピオネート、エチルブチレート、エチル2−メチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、ベンジルブチレート、ベンジルイソブチレート、フェニルエチルイソブチレート、フェノキシエチルイソブチレート、エチルイソバレート、プロピルバレート、ベンジルイソバレート、フェニルエチルイソバレート、エチルカプロエート、エチルヘプタノエート、エチル2−メチルペンタノエート、エチルオクタノエート、エチルケトプロピオネート、イソアミルケトプロピオネート、エチルアセトアセテート、エチルレブリネート、メチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、フェニルエチルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、メチルサリシレート、メチルアニセート、メチルアンスラニレート、メチルジヒドロジャスモネート、エチル3−メチル−3−フェニルグリシデート、エチル3−フェニルグリシデート、フルクトン、フレイストン、フルイテート、γ−オクタルアクトン、クマリン、ムスコン、シクロペンタデカノン、シクロペンタデカノリド、インドール等を例示することができ、その1種又は2種以上を混合してもよい。
さらに、重合においては、重合用モノマー溶液の油滴以外の場所で重合が生じることによるカプセル状粒子の発生を抑制するために、水性媒体中に無機塩や水溶性重合禁止剤を添加してもよい。無機塩を添加することにより水性媒体に対するモノマー成分の溶解度を低下させ、水性媒体相での重合を抑制することができる。また、上記水溶性重合禁止剤を添加することにより、水性媒体相での重合を抑制することができる。
上記無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。上記水溶性重合禁止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、塩化銅、塩化鉄、塩化チタン、ヒドロキノン等が挙げられる。
本発明のエマルジョンは、より具体的には、下記の工程[I]〜[III]を経ることにより製造できる。
[I]モノマー成分とオイル分、及び重合開始剤を混合してモノマー溶液を調製する工程。
[II]上記モノマー溶液が油滴として水性媒体中に分散してなるモノマーエマルジョンを調製する工程。
[III]上記モノマーエマルジョン中に分散するモノマー溶液中のモノマー成分を重合させることにより、カプセル状粒子が水性媒体中に分散してなるエマルジョンを製造する工程。
工程[II]におけるモノマーエマルジョンの調製においては、まず反応缶に水と界面活性剤、及び必要に応じて分散安定剤、重合調整剤、pH調整剤等を仕込み、次いで上記工程[I]で別途調整したモノマー溶液を添加し、撹拌、分散することにより、モノマー溶液が油滴として水中に分散してなるモノマーエマルジョンを調製することができる。
上記撹拌による分散方法としては、プロペラ翼等の撹拌・せん断力によってモノマー滴に分散する方法や、ローターとステーターから構成される装置を用いた高剪断力を利用する方法、スタティックミキサー、バイプロミキサー、ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等の公知の分散機を用いた方法等が挙げられる。
また、乳化分散した後に、分散安定剤を添加することが、得られたモノマーエマルジョンの安定性向上のために好ましい。
撹拌時の温度条件としては、重合反応が開始しない温度であればよく、通常常温であればよく、好ましくは25±15℃程度である。
上記撹拌により得られた、水中に分散したモノマー溶液の油滴の平均粒径は、分散安定剤の使用量や上記工程[II]における、撹拌、分散条件により適宜調整することが可能であるが、通常10〜1000nm、好ましくは50〜800nmである。モノマー溶液の油滴の平均粒径が大きすぎると、生成するカプセル状粒子の粒径も大きくなりすぎて、紫外線に対する保護効果が低下する場合があり、小さすぎると、生成するカプセル状粒子の粒径が小さくなりすぎたり、油滴の粘度が高くなって、重合時の撹拌が不均一となったりすることがある。
本発明において、上記油滴の平均粒径は、動的光散乱法(DLS)を用いて、23℃、散乱角90°で測定された自己相関係数をcumulant−fittingした時に得られる体積平均粒径である。
なお、上記油滴の平均粒径を揃える方法としては、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の液滴同士の衝突や機壁への衝突力を利用した高圧型分散機を用いる方法等があげられる。
工程[III]における重合条件としては、モノマー成分の種類、重合スケール等に応じて適宜選択することができるが、反応時の温度条件としては、常圧下において通常40〜100℃であり、特に好ましくは60〜90℃である。
上記重合反応に要する時間としては、例えば、1〜48時間とすることが好ましく、より好ましくは3〜24時間である。
また、重合時には、撹拌することが好ましく、その際の攪拌装置としては、乳化重合や懸濁重合に通常使用する装置であれば特に限定されないが、例えば、パドル型、タービン型等の棒・板・プロペラ状の撹拌子が槽内で回転する装置等の、攪拌翼による攪拌混合装置を用いることができる。中でも攪拌翼による攪拌混合が好ましい。また、撹拌効率を高くするために、邪魔板付重合缶を使用してもよい。
上記の方法を適宜採用することにより、微細粒子が水性媒体中に分散してなるエマルジョンが得られる。かかるエマルジョンは、カプセル状粒子内部にオイル分の液滴を内包する。
本発明の製造方法により得られるエマルジョンの固形分濃度は、5〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは10〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。固形分濃度が低すぎると生産性が低下することとなり、高すぎると重合安定性が低下する傾向となる。
本発明の製造方法により得られるエマルジョンを構成するカプセル状粒子の粒径は、10nm以上がよく、50nm以上が好ましい。10nmより小さいと、カプセル壁が薄くなり過ぎて強度が不足し、カプセルが割れることがある。また、粒径の上限は、1000nmがよく、800nmが好ましい。1000nmより大きいと、紫外線に対する保護効果が不十分となるおそれがある。
本発明のエマルジョンは、UVから皮膚等の被塗物を保護することができるが、その保護の指標として、SPF(Sun Protection Factor)を用いることができる。これは、本発明の紫外線吸収剤の乳化分散液に添加・分散させた混合液を所定厚さに塗布し、これに波長290〜400nmの紫外線領域の光を当てて光線透過率(%)を測定し、SPF/PA計算プログラムを用いてSPF値を算出することができる。本発明のエマルジョンを紫外線吸収剤に添加することにより、このエマルジョンを添加しないものに比べて、SPF値を向上させることができる。
上記の製造方法で得られる本発明のエマルジョンを紫外線吸収剤と共に分散させた分散液は、皮膚等の被塗物に塗布することにより、UVから皮膚等の被塗物を保護することができ、化粧用乳化液として好適に使用することができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は、重量基準を意味する。
まず、測定方法と原材料について説明する。
<測定方法>
(分散液滴及びカプセル状粒子の粒径)
粒径分布測定機(NICOMP TM380)を用いて動的光散乱法により測定した。
(SPF値)
メトキシけい皮酸2−エチルヘキシル(紫外線吸収剤、BASF社:コピナールMC80)、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製:ゴーセノールEG−05)、及び水を重量比で21/12/67の割合で混合し、300μA×1.5min×2回、超音波分散を行い、分散液を得る。
次いで、得られた分散液を2%ヒドロキシエチルセルロース(ダイセルファインケム(株)製:SE−600)の水溶液で3倍に希釈する。この希釈液をブランク液とすると共に、この希釈液に実施例又は比較例で得られた各エマルジョンを40重量%添加し、試料液を作製する。
得られた試料液及びブランク液を石英ガラス上に、膜厚が約17μmとなるように塗布する。塗布した後、室温(25℃)にて約10分間静置させた後に分光光度計(日本分光(株)製:V−770DS)を用いて、波長290〜400nmの紫外線領域の光線透過率を測定する。
得られた測定値を用い、VWSP−966(SPF/PA値計算プログラム、日本分光(株)製)にて、SPF値を算出する。
なお、ブランク液のSPF値は、「10」であった(参考例とする)。
<原材料>
・エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)…共栄社化学(株)製:ライトエステルEG
・ステアリルメタクリレート(SMA)…共栄社化学(株)製:ライトエステルS
・メチルメタクリレート(MMA)…三菱ケミカル(株)製
・イソパラフィン(IP)…出光興産(株)製:IPソルベント1620
(実施例1〜9)
〈エマルジョン(A−1)の製造〉
モノマー成分として表1に記載の各モノマー及びオイル分としてイソパラフィンを表1に記載の量ずつ用い、重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製:「V−65」)を1.2部をそれぞれ準備し、これらを混合、撹拌することにより、油相を調製した。
次に、イオン交換水342部に界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム((株)花王製、エマールO)を1部溶解して、水相を作製した。続いて、この水相に先に調整した油相を添加し、超音波処理装置((株)日本精機製作所製、Ultra Generator Model US−300T、出力350μA)で3分間処理した後、10%ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製:ゴーセノールEG−05)水溶液20部を添加して、重合前のエマルジョンを調製した。
続いて、撹拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた重合器を用意し、この重合器内に、上記エマルジョンを一括投入した後、150rpmにて窒素気流下で30分間撹拌して系内を窒素雰囲気とした。その後、常圧(大気圧)で重合器を70℃まで昇温して、重合反応を開始した。上記重合反応を70℃で6時間かけて行なった後、重合器を室温(25℃)まで冷却することにより、オイル分(イソパラフィン)が内包されたカプセル状のポリマー粒子が水性媒体中に分散してなるエマルジョンを得た。
得られたエマルジョンについて、上記した方法でポリマー(カプセル状粒子)の平均粒径を測定したところ、564nmであった。また、上記した方法でSPF値を測定・算出した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
オイル分であるイソパラフィン(IP)を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にしてエマルジョンを得た。このエマルジョンは、オイル分を用いていないため、中実の粒子が水性媒体中に分散したエマルジョンとなった。
得られたエマルジョンについて、上記した方法でSPF値を測定・算出した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
イオン交換水の使用量について、342部を222部に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、エマルジョンを製造した。
得られたエマルジョンについて、上記した方法で、ポリマー(カプセル状粒子)の平均粒径及びSPF値を測定・算出した。その結果を表1に示す。
(比較例3)
水相として、用いられる界面活性剤を、エマールOの代わりに、10重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製:ゴーセノールEG−05)水溶液30部に変更し、乳化方法を超音波処理装置に代えて、ホモミキサーを用い、5000rpm×5分間乳化して重合前のモノマーエマルジョンを調整し、重合反応を行ったこと以外は、実施例2と同様にして、エマルジョンを製造した。
得られたエマルジョンについて、上記した方法で、ポリマー(カプセル状粒子)の平均粒径及びSPF値を測定・算出した。その結果を表1に示す。
(比較例4)
水相として、用いられる界面活性剤を、エマールOの代わりに、10重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製:ゴーセノールEG−05)水溶液30部に変更し、超音波処理装置で処理して重合前のモノマーエマルジョンを調整し、重合反応を行ったこと以外は、実施例2と同様にして、エマルジョンを製造した。
得られたエマルジョンについて、上記した方法で、ポリマー(カプセル状粒子)の平均粒径及びSPF値を測定・算出した。その結果を表1に示す。
(比較例5)
超音波処理装置で処理後のモノマーエマルジョンに10%ポリビニルアルコールを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして重合を行った。しかし、重合途中で凝集し、ポリマー粒子を分散したエマルジョンは得られなかった。
Figure 2019178101
(結果の評価)
平均粒径が本願発明の10〜1000nmのカプセル状粒子を添加した実施例1〜9は、カプセル状粒子を添加しない紫外線吸収剤のみが分散した参考例のSPF値(10)に比べると改善効果は明らかである。
また、本願発明に該当しない比較例1,2(中実粒子)や比較例3,4(中空粒子でも平均粒径が過大)に比べても、著しくSPF値が改良されている。

Claims (7)

  1. 水性媒体中にオイル分を内包した平均粒径10〜1000nmのカプセル状粒子が乳化分散されてなるエマルジョン。
  2. 部分ケン化ポリ酢酸ビニルを含む乳化剤により分散安定化されてなる請求項1に記載のエマルジョン。
  3. 上記オイル分が常温で液状のイソパラフィン類を含む請求項1又は2に記載のエマルジョン。
  4. 内包される上記イソパラフィン類の量が上記カプセル状粒子に対して、25重量%以上である請求項3に記載のエマルジョン。
  5. 上記オイル分を内包する上記カプセル状粒子のカプセル部が、(メタ)アクリル系重合体を主成分とする樹脂からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のエマルジョン。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエマルジョンを構成するカプセル状粒子と紫外線吸収剤とが乳化分散されてなる化粧料用乳化液。
  7. さらに、光散乱剤が含有される請求項6に記載の化粧料用乳化液。
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