JP2019172229A - 燃料タンクの取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐炎性に優れる燃料タンクの取付構造を提供する。【解決手段】燃料タンクの取付構造1は、樹脂製のタンク本体20に一体成形される固定片23と、固定片23を貫通する筒本体30と固定片23の下面233に配置されるフランジ部31とを有する筒金具3と、筒金具3に挿通されて車体にタンク本体20を固定する締結部材(ボルト4)とを備える。フランジ部31は、固定片23の下面233に当接される介在筒部32と、固定片23の下面233に対して所定の隙間gをあけて配置される外側フランジ部33とを有する。外側フランジ部33は、介在筒部32の外周よりも外方に突出するほどの大きな外径R33を有し、固定片23における筒金具3の筒本体30の近傍領域を覆う。このような段差形状のフランジ部31を備える筒金具3によって、車両下方から炎に曝された場合に燃料タンク2の取付状態が緩むことを防止でき、耐炎性に優れる。【選択図】図1
Description
本発明は、車体に燃料タンクを取り付ける燃料タンクの取付構造に関する。
自動車の燃料タンクとして、樹脂製のものが利用されている(例、特許文献1,2)。特許文献1は、樹脂製の燃料タンクを車体に取り付ける構造として、燃料を貯留するタンク本体に複数の支持ブラケットを一体に成形し、各支持ブラケットと車体の固定箇所とにボルトを挿通し、ナットを締め付ける構造を開示する。各支持ブラケットは、タンク本体から突出する舌片であり、ボルトの挿通孔は、舌片を貫通する金属カラーによって形成されている(特許文献1の図4参照)。金属カラーは、円筒状の筒本体と、筒本体の外周からその径方向外方に延設される円環状のフランジ部とからなる鍔付金具である。フランジ部は、支持ブラケットにおける車体の固定箇所とは反対側の面(車両上下方向の下面)に配置される。
特許文献2は、車両前後方向に離間して配置される二本のクロスメンバ間に、タンク本体を配置すると共に複数のバンドを架け渡し、タンク本体の下面をこれらのバンドによって支持する構造を開示する。
樹脂製の燃料タンクを車体に取り付けた状態に対して、耐炎性能の向上が望まれる。
樹脂製の燃料タンクを車体に取り付けた状態で、タンク本体の下方が炎に曝された場合、この炎によって加熱されて、上述の支持ブラケットの構成樹脂が軟化したり、溶融したりして、車体に対する燃料タンクの固定状態が緩むことが考えられる。固定状態が緩むと、最悪の場合、燃料タンクが落下し得る。
特許文献2に記載されるようなバンドを用いた場合には、タンク本体を渡る長さを有するバンドを用いる必要が有り、重量の増大を招く。また、長いバンドを所定の箇所に配置するために作業時間が長くなり易く、生産性の低下を招き得る。更に、コストの増大も招き得る。バンドに代えて、例えばタンク本体の下面全体を覆う保護カバー等を設ける場合には、重量の更なる増大、生産性の更なる低下を招き易い。
そこで、本発明の目的の一つは、耐炎性に優れる燃料タンクの取付構造を提供することにある。
本発明の一態様に係る燃料タンクの取付構造は、
樹脂からなる燃料タンクを車体に取り付ける燃料タンクの取付構造であって、
燃料を貯留するタンク本体に一体に成形される固定片と、
前記固定片を貫通する筒本体と、前記固定片における前記車体とは反対側の面に配置され、前記筒本体の外周からその径方向外方に延設されるフランジ部とを有する筒金具と、
前記筒金具に挿通されて、前記車体に前記タンク本体を固定する締結部材とを備え、
前記フランジ部は、
前記固定片における前記車体とは反対側の面に当接される介在筒部と、
前記固定片における前記車体とは反対側の面に対して、前記筒金具の軸方向に所定の隙間をあけて配置され、前記介在筒部の外周からその径方向外方に延設される外側フランジ部とを有する段差形状である。
樹脂からなる燃料タンクを車体に取り付ける燃料タンクの取付構造であって、
燃料を貯留するタンク本体に一体に成形される固定片と、
前記固定片を貫通する筒本体と、前記固定片における前記車体とは反対側の面に配置され、前記筒本体の外周からその径方向外方に延設されるフランジ部とを有する筒金具と、
前記筒金具に挿通されて、前記車体に前記タンク本体を固定する締結部材とを備え、
前記フランジ部は、
前記固定片における前記車体とは反対側の面に当接される介在筒部と、
前記固定片における前記車体とは反対側の面に対して、前記筒金具の軸方向に所定の隙間をあけて配置され、前記介在筒部の外周からその径方向外方に延設される外側フランジ部とを有する段差形状である。
上記の燃料タンクの取付構造では、固定片に設けられる筒金具のフランジ部が介在筒部と外側フランジ部との多段になっており、外側フランジ部が介在筒部の外周よりも突出するほどの大きな外径を有すると共に、固定片に対して隙間をあけて配置される。このような上記の燃料タンクの取付構造は、以下の点から、タンク本体の下方が炎に曝された際、固定片、特に筒金具の筒本体の近傍領域が軟化したり溶融したりすることを低減して、燃料タンクの取付状態が緩むことを防止できる。従って、上記の燃料タンクの取付構造は、耐炎性に優れる。
(1)上記の燃料タンクの取付構造を車両下方からみれば、固定片における筒本体の近傍領域は、外側フランジ部に覆われる点。
外側フランジ部は、一般に樹脂よりも耐炎性に優れる金属からなるため、樹脂からなる固定片、特に上述の筒本体の近傍領域が上記炎に直接曝されることを防止できる。
(2)固定片と外側フランジ部との間に設けられる隙間に応じて、固定片を上記炎から遠ざけられる上に、外側フランジ部の熱を固定片に伝え難くできる点。
(3)固定片における車体とは反対側の面(以下、下面と呼ぶことがある)について、筒金具との接触面積は介在筒部の端面の大きさ程度である。そのため、介在筒部を有しておらず大径のフランジ部が固定片の下面に直接接触する場合に比較して、上記接触面積を小さくでき、フランジ部から固定片への熱伝導による軟化等を低減し易い点。
外側フランジ部は、一般に樹脂よりも耐炎性に優れる金属からなるため、樹脂からなる固定片、特に上述の筒本体の近傍領域が上記炎に直接曝されることを防止できる。
(2)固定片と外側フランジ部との間に設けられる隙間に応じて、固定片を上記炎から遠ざけられる上に、外側フランジ部の熱を固定片に伝え難くできる点。
(3)固定片における車体とは反対側の面(以下、下面と呼ぶことがある)について、筒金具との接触面積は介在筒部の端面の大きさ程度である。そのため、介在筒部を有しておらず大径のフランジ部が固定片の下面に直接接触する場合に比較して、上記接触面積を小さくでき、フランジ部から固定片への熱伝導による軟化等を低減し易い点。
また、上記の燃料タンクの取付構造は、従来の金属カラーの形状を変更することで構築できるため、上述のバンドや保護カバー等を用いる場合に比較して、重量の増大を非常に小さくできる。更に、上記の燃料タンクの取付構造は、上述の従来の金属カラーを有する場合と実質的に同様な作業によって構築でき、生産性の低下も招き難い。
以下、図面を参照して、本発明の燃料タンクの取付構造を具体的に説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。
[実施形態1]
図1〜図3を参照して、実施形態1の燃料タンクの取付構造1を説明する。
図3は、実施形態1の燃料タンクの取付構造1によって車体に取り付けられた燃料タンク2を車両下方からみた下面図である。
図2は、図3の部分拡大図であり、実施形態1の燃料タンクの取付構造1の近傍を拡大して示す。
図1は、図2に示す(I)−(I)切断線で切断した部分断面図である。
図3では、紙面の左右方向を車幅方向とし、紙面上側を車両前方(Fr)、紙面下側を車両後方(Rr)とする。
図1では、紙面の上下方向を車両上下方向とし、紙面上側を車両上方(Up)、紙面下側を車両下方(Lwr)とする。
図1〜図3を参照して、実施形態1の燃料タンクの取付構造1を説明する。
図3は、実施形態1の燃料タンクの取付構造1によって車体に取り付けられた燃料タンク2を車両下方からみた下面図である。
図2は、図3の部分拡大図であり、実施形態1の燃料タンクの取付構造1の近傍を拡大して示す。
図1は、図2に示す(I)−(I)切断線で切断した部分断面図である。
図3では、紙面の左右方向を車幅方向とし、紙面上側を車両前方(Fr)、紙面下側を車両後方(Rr)とする。
図1では、紙面の上下方向を車両上下方向とし、紙面上側を車両上方(Up)、紙面下側を車両下方(Lwr)とする。
(全体構成)
実施形態1の燃料タンクの取付構造1は、自動車のエンジンに利用される燃料を貯留する燃料タンク2を自動車の所定の位置に取り付けることに利用される。燃料タンク2は樹脂からなり、燃料を貯留するタンク本体20に固定片23が一体に成形されている(図3)。
実施形態1の燃料タンクの取付構造1は、自動車のエンジンに利用される燃料を貯留する燃料タンク2を自動車の所定の位置に取り付けることに利用される。燃料タンク2は樹脂からなり、燃料を貯留するタンク本体20に固定片23が一体に成形されている(図3)。
詳細は図示しないが、上記自動車は、サイドシルやサイドメンバ等といった車両前後方向に沿って配置される部材と、クロスメンバ等といった車幅方向に沿って配置される部材とを含む車体フレームを備える。燃料タンク2は、代表的には、図3に示すように、車両前後方向に所定の間隔をあけて配置されるクロスメンバ11,12間に配置され、ボルト4(締結部材の一例)及びナット5(図1)によって、固定片23が各クロスメンバ11,12の固定箇所10(図1、車体の一例)に取り付けられて固定される。
図1に示すように固定片23にはボルト4の挿通孔を形成するフランジ付き金具(筒金具3)が設けられており、実施形態1の燃料タンクの取付構造1は、固定片23と、筒金具3と、筒金具3に挿通されて車体にタンク本体20を固定するボルト4とを備える。筒金具3のフランジ部31は、固定片23における車体とは反対側の面、即ち車両上下方向の下面233に配置される。実施形態1の燃料タンクの取付構造1では、フランジ部31が介在筒部32と外側フランジ部33とを有する多段の段差形状である。外側フランジ部33は、固定片23の下面223に対して、筒金具3の軸方向(図1では上下方向)に所定の隙間gをあけて配置されると共に、介在筒部32の外周から径方向外方に延設されて、介在筒部32よりも外方に突出する。このような特定の段差形状を有するフランジ部31は、燃料タンク2の下方が炎に曝された際に固定片23が軟化したり溶融したりすることを防止する。以下、より詳細に説明する。
(燃料タンク)
燃料タンク2は、エンジンに用いられるガソリン等の燃料を貯留する容器であり、ポリエチレン等の樹脂からなる成形体である。燃料タンク2は、上記燃料の貯留空間をなすタンク本体20と、タンク本体20から外方に突出し、車体への固定に利用される固定片23とを備える。タンク本体20の平面形状は適宜選択できる。図3では、タンク本体20の平面形状が長方形状であり、車両前後方向及び車幅方向に線対称な場合を例示するが、非対称な形状とすることができる(特許文献1,2参照)。
燃料タンク2は、エンジンに用いられるガソリン等の燃料を貯留する容器であり、ポリエチレン等の樹脂からなる成形体である。燃料タンク2は、上記燃料の貯留空間をなすタンク本体20と、タンク本体20から外方に突出し、車体への固定に利用される固定片23とを備える。タンク本体20の平面形状は適宜選択できる。図3では、タンク本体20の平面形状が長方形状であり、車両前後方向及び車幅方向に線対称な場合を例示するが、非対称な形状とすることができる(特許文献1,2参照)。
〈固定片〉
この例の燃料タンク2は、タンク本体20における車両前方、及び車両後方のそれぞれに二つずつの固定片23を備える(合計四つ)。各固定片23は、タンク本体20の適宜な箇所(図3では角部近傍を例示)から外方に突出する平板状の舌片であり、上述の樹脂によってタンク本体20と一体に成形されている。各固定片23の平面形状は適宜選択でき、図2,図3は例示である。
この例の燃料タンク2は、タンク本体20における車両前方、及び車両後方のそれぞれに二つずつの固定片23を備える(合計四つ)。各固定片23は、タンク本体20の適宜な箇所(図3では角部近傍を例示)から外方に突出する平板状の舌片であり、上述の樹脂によってタンク本体20と一体に成形されている。各固定片23の平面形状は適宜選択でき、図2,図3は例示である。
各固定片23の大きさは、燃料タンク2を固定可能な範囲で適宜選択でき、重量の増大、大型化を招かない範囲で選択することが好ましい。例えば固定片23の厚さが厚いほど、上述の炎に曝されても軟化し難く、耐炎性に優れる。但し、重量の増大を招き易い。固定片23におけるタンク本体20からの突出長さ、平面面積等は、筒金具3やボルト4の大きさ、締結作業性等を考慮して調整することが挙げられる。この例では、各固定片23に筒金具3の筒本体30が挿通される貫通孔2hが設けられている。
〈筒金具〉
各固定片23には貫通孔3hを有する筒金具3が設けられる。筒金具3は、タンク本体20及び固定片23の構成樹脂よりも耐炎性、耐熱性に優れる金属からなる。上記金属として、例えば鉄や鉄合金等が挙げられる。
各固定片23には貫通孔3hを有する筒金具3が設けられる。筒金具3は、タンク本体20及び固定片23の構成樹脂よりも耐炎性、耐熱性に優れる金属からなる。上記金属として、例えば鉄や鉄合金等が挙げられる。
この例の筒金具3は、筒本体30が固定片23の貫通孔2hに挿通されて、貫通孔3hの一方の開口部が固定片23の車体側(上側)に配置され、他方の開口部が車体とは反対側(下側)に配置される。また、この筒金具3は、貫通孔3hの軸方向が固定片23の厚さ方向に実質的に平行するように固定片23に配置される。
この例の貫通孔3hは、その軸方向に沿って一様な内径を有する円筒孔である。そのため、この例の筒金具3の内周面は、一様な内径を有する円筒面からなる。上記内径は、ボルト4の軸部41の外径に応じて選択することが挙げられる。
筒金具3は、固定片23を貫通する筒本体30と、筒本体30の外周からその径方向外方に延設されるフランジ部31とを有する。フランジ部31は、固定片23における車体とは反対側の面(下面233)に配置される。かつ、フランジ部31は、固定片23の下面233に当接される介在筒部32と、介在筒部32の外周よりも外方に突出する外側フランジ部33とを備える。外側フランジ部33は、固定片23の下面233に接触せず、下面233から車体とは反対側に向かって離れて配置される。この外側フランジ部33と固定片23の下面233との間に所定の隙間gが設けられる。この例の外側フランジ部33は、介在筒部33における車体とは反対側の外縁から、介在筒部33の径方向外方に延設される。そのため、隙間gは、介在筒部32の厚さtに相当する。このような筒金具3は、筒本体30とフランジ部31との二段構造であり、更に筒本体30と介在筒部32と外側フランジ部33との三段構造でもある。各段をなす筒本体30、介在筒部32、外側フランジ部33について、各外径R30,R32,R33は車体から離れる側(下側)に向かうにつれて大きい(R30<R32<R33)。
《筒本体》
筒本体30は、上述のように固定片23を貫通する箇所である。この例の筒本体30はその軸方向に一様な外径R30を有する円筒であり、貫通孔3hをなす円筒の内周面に同軸の外周面を有する。筒本体30の平面形状(外形)は適宜変更できる。
筒本体30は、上述のように固定片23を貫通する箇所である。この例の筒本体30はその軸方向に一様な外径R30を有する円筒であり、貫通孔3hをなす円筒の内周面に同軸の外周面を有する。筒本体30の平面形状(外形)は適宜変更できる。
筒本体30の外径R30は固定片23の貫通孔2hの内径に応じて選択することが挙げられる。この例の外径R30は、固定片23の貫通孔2hの内径よりも若干大きく、筒本体30を貫通孔2hに圧入することで、筒金具3を固定片23に固定できる。筒本体30の長さは固定片23の厚さに応じて選択することが挙げられる。この例では、筒本体30の長さを固定片23の厚さよりも若干長くし、筒本体30における一方の開口部の近傍領域を固定片23の車体側の面(上面231)から突出させている。こうすることで、ナット5を締め付けた際、筒金具3と車体の固定箇所10との金属接触とすることができ、強固に固定できる。なお、筒本体30、後述する介在筒部32、外側フランジ部33の平面形状が円形以外の場合に外径R30,R32,R33は、平面形状の輪郭に外接する円の直径とする。
《フランジ部》
フランジ部31は、固定片23の下面233から突出して配置される部分である。この例のフランジ部31は、上述のように二段形状であり、車両上下方向の上段が介在筒部32、下段が外側フランジ部33である。このフランジ部31は、その一端面をなす介在筒部32の上面が固定片23の下面233に接触し、その反対側の端面をなす外側フランジ部33の下面が固定片23の下面233からフランジ部31の厚さだけ離れて配置される。
フランジ部31は、固定片23の下面233から突出して配置される部分である。この例のフランジ部31は、上述のように二段形状であり、車両上下方向の上段が介在筒部32、下段が外側フランジ部33である。このフランジ部31は、その一端面をなす介在筒部32の上面が固定片23の下面233に接触し、その反対側の端面をなす外側フランジ部33の下面が固定片23の下面233からフランジ部31の厚さだけ離れて配置される。
この例の介在筒部32はその軸方向に一様な外径R32を有する円筒であり、貫通孔3hをなす円筒の内周面に同軸の外周面を有する。介在筒部32の平面形状は適宜変更できる。例えば、後述する耐炎部材7を備える場合に介在筒部32が環状の溝部や周方向に離間して並ぶ複数の溝部を有し、耐炎部材7が上記溝部に嵌る突部を有すると、耐炎部材7を位置ずれし難くしたり、落下し難くしたりすることができる。耐炎部材7を筒金具3に溶接等する際では安定して溶接作業性を行えて、作業性に優れる。
介在筒部32の外径R32は、貫通孔3hの内径及び筒本体30の外径R30よりも大きい範囲で適宜選択できる。介在筒部32の外径R32が大きいほど、介在筒部32の上面(端面)における固定片23を覆う面積を大きくでき、固定片23における筒本体30の近傍領域が炎に曝されることを低減できる。その結果、燃料タンク2の取付状態が緩むことを防止できる。但し、介在筒部32の大径化によって、筒金具3の重量の増大、介在筒部32を介した固定片23への熱伝導量の増大を招き易い。介在筒部32の外径R32は、図1に例示するように介在筒部32の外周面が固定片23の外縁から突出しない程度とすることが挙げられる。
介在筒部32の厚さtが厚いほど、固定片23が炎に曝されることを効果的に防止できる。この例では、厚さtが固定片23の下面233から外側フランジ部33までの距離に相当するため、厚さtが厚いほど、固定片23の下面233と外側フランジ部33との間の隙間gを大きく確保できる。この点からも固定片23が炎に曝されることを効果的に防止できる。但し、厚さtが厚いほど、筒金具3の重量の増大等を招き易い。厚さtは、例えば筒本体30の長さの10%〜50%程度が挙げられる。
外側フランジ部33は介在筒部32の全周に亘ってその径方向外方に延設される。この例の外側フランジ部33は、その軸方向に一様な外径R33を有する円環板であり、貫通孔3hをなす円筒の内周面に同軸の外周面を有する。即ち、外側フランジ部33の平面形状は、筒本体30及び介在筒部32に相似であり、筒金具3の外周面は、一様な外径の円筒面はなく、三つの異なる外径R30,R32,R33を有する三つの円筒面からなる。外側フランジ部33の平面形状は、適宜変更できる。例えば多角形状等が挙げられる。
外側フランジ部33の外径R33は、介在筒部32の外径R32よりも大きい範囲で適宜選択できる。外側フランジ部33の外径R33が大きいほど、図2に示すように固定片23及び筒金具3を車両の下方から透視した場合に外側フランジ部33によって固定片23を覆う面積を大きくできる。そのため、特に固定片23における筒本体30の近傍領域が炎に曝されることを効果的に防止できる。その結果、燃料タンク2の取付状態が緩むことを防止できる。例えば、外側フランジ部33の外径R33は、外側フランジ部33の外周面が固定片23の外周面から突出する程度とすれば、固定片23が炎に曝されることをより確実に防止し易い。但し、外側フランジ部33の大径化によって、筒金具3の重量の増大等を招き易い。外側フランジ部33の外径R33は、図1に例示するように外側フランジ部33の外周面が固定片23の外周面に及ぶ程度とすることが挙げられる。
外側フランジ部33の厚さが厚いほど、固定片23が炎に曝されることを効果的に防止できるものの、筒金具3の重量の増大等を招き易い。また、外側フランジ部33の厚さがある程度薄くても、外径R33が大きいことで、固定片23が炎に曝されることを防止できる。外側フランジ部33の厚さは、図1に例示するように介在筒部32の厚さtよりも薄くてよく、例えば厚さtの10%〜50%程度が挙げられる。
《製造方法》
燃料タンク2のタンク本体20及び固定片23の製造には、例えばブロー成形等の成形法を利用することが挙げられる(特許文献1参照)。成形後、固定片23に貫通孔2hを設け、燃料タンク2の取付前に貫通孔2hに筒金具3を嵌めることが挙げられる。上述の圧入に代えて、貫通孔2hの内径を筒本体30の外径R30よりも若干大きく設けて、筒本体30を貫通孔2hに挿入することもできる。又は、貫通孔2hを雌ねじ孔とし、筒本体30の外周面に雄ねじを設けて、貫通孔2hに筒本体30をねじ込むことで筒金具3を固定片23に一体化することが挙げられる。又は、ブロー成形時、局所的に射出成形等を行って、インサート成形によって筒金具3を固定片23に一体化することが挙げられる。インサート成形する場合には、筒本体30が例えば多角筒や、外表面に凹凸を有する筒等であると、筒本体30における固定片23の構成樹脂との接触面積を増大でき、固定片23と筒金具3との固定強度に優れる。
燃料タンク2のタンク本体20及び固定片23の製造には、例えばブロー成形等の成形法を利用することが挙げられる(特許文献1参照)。成形後、固定片23に貫通孔2hを設け、燃料タンク2の取付前に貫通孔2hに筒金具3を嵌めることが挙げられる。上述の圧入に代えて、貫通孔2hの内径を筒本体30の外径R30よりも若干大きく設けて、筒本体30を貫通孔2hに挿入することもできる。又は、貫通孔2hを雌ねじ孔とし、筒本体30の外周面に雄ねじを設けて、貫通孔2hに筒本体30をねじ込むことで筒金具3を固定片23に一体化することが挙げられる。又は、ブロー成形時、局所的に射出成形等を行って、インサート成形によって筒金具3を固定片23に一体化することが挙げられる。インサート成形する場合には、筒本体30が例えば多角筒や、外表面に凹凸を有する筒等であると、筒本体30における固定片23の構成樹脂との接触面積を増大でき、固定片23と筒金具3との固定強度に優れる。
〈締結部材〉
この例の締結部材は、ボルト4である。ボルト4の頭部40は、代表的には座金6を介して外側フランジ部33に当接される。ボルト4の軸部41は、筒金具3の貫通孔3hに挿通され、更に車体の固定箇所10に挿通され(図1)、その先端部にナット5が締め付けられる。この締付によって、固定片23を介して燃料タンク2は車体に固定され、実施形態1の燃料タンクの取付構造1を構築できる。ボルト4及びナット5は公知のものが利用できる。
この例の締結部材は、ボルト4である。ボルト4の頭部40は、代表的には座金6を介して外側フランジ部33に当接される。ボルト4の軸部41は、筒金具3の貫通孔3hに挿通され、更に車体の固定箇所10に挿通され(図1)、その先端部にナット5が締め付けられる。この締付によって、固定片23を介して燃料タンク2は車体に固定され、実施形態1の燃料タンクの取付構造1を構築できる。ボルト4及びナット5は公知のものが利用できる。
(主な効果)
実施形態1の燃料タンクの取付構造1は、燃料タンク2の固定片23に特定の段差形状のフランジ部31を有する筒金具3を備えることで、車両下方から炎に曝された場合に燃料タンク2の取付状態が緩むことを防止でき、耐炎性に優れる。外側フランジ部33が介在筒部32の外周から突出するほどに大きな外径R33を有して、樹脂製の固定片23における筒金具3の筒本体30の近傍領域を筒本体30の全周に亘って金属製の外側フランジ部33で覆うことができるからである。また、固定片23と外側フランジ部33との間に隙間gを設けられて、上記固定片23を炎から遠ざけられる上に、大径の外側フランジ部33の熱を固定片23に伝え難いからである。更に、外側フランジ部33が大径であるものの、固定片23の下面233におけるフランジ部31との接触面積は、介在筒部32の上面(端面)の大きさ程度と小さく、フランジ部31から固定片23への熱伝導による軟化等を低減し易いからである。
実施形態1の燃料タンクの取付構造1は、燃料タンク2の固定片23に特定の段差形状のフランジ部31を有する筒金具3を備えることで、車両下方から炎に曝された場合に燃料タンク2の取付状態が緩むことを防止でき、耐炎性に優れる。外側フランジ部33が介在筒部32の外周から突出するほどに大きな外径R33を有して、樹脂製の固定片23における筒金具3の筒本体30の近傍領域を筒本体30の全周に亘って金属製の外側フランジ部33で覆うことができるからである。また、固定片23と外側フランジ部33との間に隙間gを設けられて、上記固定片23を炎から遠ざけられる上に、大径の外側フランジ部33の熱を固定片23に伝え難いからである。更に、外側フランジ部33が大径であるものの、固定片23の下面233におけるフランジ部31との接触面積は、介在筒部32の上面(端面)の大きさ程度と小さく、フランジ部31から固定片23への熱伝導による軟化等を低減し易いからである。
特に、この例の燃料タンクの取付構造1は、上述の従来の金属カラーを有する場合に対して、金属カラーの形状変更という単純な構成であり、部品点数を増加することなく耐炎性を高められる上に、重量の増大を非常に小さくできる。コストの増大も招き難い。また、上述の従来の金属カラーを有する場合と燃料タンク2の取付作業が実質的に同じであり、生産性の低下も招き難い。
本発明は、上述の実施形態1の構成に限定されず、適宜変更が可能である。
(1)例えば、図1に二点鎖線で仮想的に示すように、固定片23と外側フランジ部33との間に配置される耐炎部材7を備えることが挙げられる。
耐炎部材7を備えることで、隙間gが空気である場合よりも固定片23が炎に直接曝されることをより防止し易い。特に、耐炎部材7の外周が外側フランジ部33の外周よりも外方に突出する大きさを有すると、更には固定片23の外周面から突出する大きさを有すると、固定片23が炎に曝されることをより防止し易い。
(1)例えば、図1に二点鎖線で仮想的に示すように、固定片23と外側フランジ部33との間に配置される耐炎部材7を備えることが挙げられる。
耐炎部材7を備えることで、隙間gが空気である場合よりも固定片23が炎に直接曝されることをより防止し易い。特に、耐炎部材7の外周が外側フランジ部33の外周よりも外方に突出する大きさを有すると、更には固定片23の外周面から突出する大きさを有すると、固定片23が炎に曝されることをより防止し易い。
耐炎部材7の一例として、鉄又は鉄合金等の金属からなる座金が挙げられる。この座金は、筒金具3に溶接等して固定すると筒金具3に強固に固定でき、脱落を防止できる。そのため、図1に例示するように座金の厚さを隙間gの大きさよりも薄くすることができる。
耐炎部材7の別例として、ゴム等の弾性材料からなるシート材が挙げられる。このシート材は、例えば、固定片23の下面233と外側フランジ部33との間に圧入すると位置ずれや脱落等を防止できる。そのため、シート材の厚さは隙間gの大きさよりも厚くすることができる。
その他、耐炎部材7は、各種の耐炎性に優れる材料からなるものが適宜利用できる。例えば、ロックウールやガラスウール等のセラミックス繊維からなる板材や、フェルトシート等が挙げられる。又は、外側フランジ部33の少なくとも車体側の面にロックウールを直接吹き付けることで耐火部材7を形成することが挙げられる。上記吹き付け材の一部を外側フランジ部33における車体とは反対側の面や座金6等に設けてもよい。
耐炎部材7の別例として、ゴム等の弾性材料からなるシート材が挙げられる。このシート材は、例えば、固定片23の下面233と外側フランジ部33との間に圧入すると位置ずれや脱落等を防止できる。そのため、シート材の厚さは隙間gの大きさよりも厚くすることができる。
その他、耐炎部材7は、各種の耐炎性に優れる材料からなるものが適宜利用できる。例えば、ロックウールやガラスウール等のセラミックス繊維からなる板材や、フェルトシート等が挙げられる。又は、外側フランジ部33の少なくとも車体側の面にロックウールを直接吹き付けることで耐火部材7を形成することが挙げられる。上記吹き付け材の一部を外側フランジ部33における車体とは反対側の面や座金6等に設けてもよい。
(2)例えば、外側フランジ部33は、介在筒部32における軸方向の中間位置の外周から延設されることが挙げられる。
この場合でも、固定片23の下面233と外側フランジ部33との間に隙間gが設けられるため、上述のように固定片23を炎から遠ざけられる上に、外側フランジ部33の熱を固定片23に伝え難い。この隙間gに上述の耐炎部材7を設けることもできる。
この場合でも、固定片23の下面233と外側フランジ部33との間に隙間gが設けられるため、上述のように固定片23を炎から遠ざけられる上に、外側フランジ部33の熱を固定片23に伝え難い。この隙間gに上述の耐炎部材7を設けることもできる。
1 燃料タンクの取付構造
2 燃料タンク
20 タンク本体、23 固定片、231 上面、233 下面(車体とは反対側の面)
2h 貫通孔
3 筒金具
30 筒本体、31 フランジ部、32 介在筒部、33 外側フランジ部
3h 貫通孔
4 ボルト(締結部材)、40 頭部、41 軸部、5 ナット、6 座金
7 耐炎部材
10 固定箇所、11,12 クロスメンバ、g 隙間
2 燃料タンク
20 タンク本体、23 固定片、231 上面、233 下面(車体とは反対側の面)
2h 貫通孔
3 筒金具
30 筒本体、31 フランジ部、32 介在筒部、33 外側フランジ部
3h 貫通孔
4 ボルト(締結部材)、40 頭部、41 軸部、5 ナット、6 座金
7 耐炎部材
10 固定箇所、11,12 クロスメンバ、g 隙間
Claims (1)
- 樹脂からなる燃料タンクを車体に取り付ける燃料タンクの取付構造であって、
燃料を貯留するタンク本体に一体に成形される固定片と、
前記固定片を貫通する筒本体と、前記固定片における前記車体とは反対側の面に配置され、前記筒本体の外周からその径方向外方に延設されるフランジ部とを有する筒金具と、
前記筒金具に挿通されて、前記車体に前記タンク本体を固定する締結部材とを備え、
前記フランジ部は、
前記固定片における前記車体とは反対側の面に当接される介在筒部と、
前記固定片における前記車体とは反対側の面に対して、前記筒金具の軸方向に所定の隙間をあけて配置され、前記介在筒部の外周からその径方向外方に延設される外側フランジ部とを有する段差形状である燃料タンクの取付構造。
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JP2019034700A (ja) * | 2017-08-22 | 2019-03-07 | マツダ株式会社 | 車両用燃料タンク取付構造、及び、車両用燃料タンク取付方法 |
-
2018
- 2018-03-29 JP JP2018066103A patent/JP7015718B2/ja active Active
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