JP2019167403A - エチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体 - Google Patents

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恭巨 有野
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Keisuke Shishido
啓介 宍戸
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Abstract

【課題】本発明の課題は、VNBに含まれているendo体構造とexo体構造が、得られるエチレン・α−オレフィン・VNB共重合体の物性にどのような影響を及ぼすのかを調べることにある。【解決手段】本発明は、エチレンから導かれる構成単位、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位、およびビニルノルボルネンから導かれる構成単位を有し、ビニルノルボルネンから導かれる構成単位がendo体構造およびexo体構造を含み、且つ、endo体構造/exo体構造の比が2.0以下であることを特徴とするエチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体に係る。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体に関する。
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)に代表されるエチレン・α−オレフィン系ゴムは、その分子構造の主鎖に不飽和結合を有していないため、汎用されている共役ジエン系ゴムに比べ、耐熱性、耐候性に優れることから、自動車用部品、電線用材料、建築土木資材、工業材部品、各種樹脂の改質材等の用途に幅広く用いられている。
それら共重合体を、過酸化物を用いて架橋する場合、特に5−ビニル−2−ノルボルネン(以下、VNBともいう)などの非共役ポリエンを共重合成分として含む場合に、架橋速度が速いことが知られている(例えば、特許文献1)。
一方、VNBには、通常、endo体構造とexo体構造が混在していることが知られている(例えば、非特許文献1)。
国際公開2015/122495パンフレット
日本化学会誌,1974,(8),p1587〜1589
本発明の課題は、VNBに含まれているendo体構造とexo体構造が、得られるエチレン・α−オレフィン・VNB共重合体の物性にどのような影響を及ぼすのかを調べることにある。
その結果、エチレン・α−オレフィン・VNB共重合体を架橋した場合、共重合体されたVNBのendo体構造とexo体構造の比が、架橋に消費されるVNBの量に大きく影響することが判った。
そして、共重合体されたVNBのendo体構造とexo体構造の比〔endo体構造/exo体構造〕を2.0以下、即ち、VNBに含まれるendo体構造の量を2倍以下にすることにより、ロール加工性などの成形加工性が良好で、且つ、架橋に伴うVNBの消費率が高い、すなわち、VNBの架橋効率が高くエチレン・α−オレフィン・VNB共重合体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、エチレンから導かれる構成単位、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位、およびビニルノルボルネンから導かれる構成単位を有し、ビニルノルボルネンから導かれる構成単位がendo体構造およびexo体構造を含み、且つ、endo体構造/exo体構造の比〔endo体構造/exo体構造〕が2.0以下であることを特徴とするエチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体に係る。
本発明のエチレン・α−オレフィン・VNB共重合体は、ロール加工性などの成形加工性が良好で、しかも当該共重合体を架橋した場合、VNBの架橋効率が高いので、当該共重合体を架橋して得られる架橋物(成形体)は、架橋密度が高く、また、圧縮永久歪みが小さいという特徴を有している。
本発明のエチレン・α−オレフィン・VNB共重合体は、VNBの架橋効率が高いので、エチレン・α−オレフィン・VNB共重合体中に含まれるVNBの量を低減できる。
さらに、本発明のエチレン・α−オレフィン・VNB共重合体は、架橋した場合、未架橋のVNB量が少ないことから、後架橋が起こり難く、耐熱老化性が改良される。
<エチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体(A)>
本発明に係る共重合体組成物に含まれる成分の一つであるエチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体(A)〔以下、「共重合体(A)と呼称する場合がある。」は、エチレンから導かれる構成単位と、炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位と、ビニルノルボルネン(以下、「VNB」と呼称する場合がある。)から導かれる構成単位を含む共重合体であり、且つ、VNBから導かれる構成単位がendo体構造およびexo体構造を含み、且つ、endo体構造/exo体構造の比〔endo体構造/exo体構造〕が2.0以下である共重合体である。
本発明の共重合体(A)に含まれるendo体構造およびexo体構造の量、およびendo体構造/exo体構造の比は、以下の方法で測定した値である。
本発明の共重合体(A)を構成する炭素数3以上のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、14−メチル−1−ドデセンおよび12−-エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。なかでも、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが好ましく、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンがより好ましく、特にプロピレンおよび1−ブテンが好ましい。
また、これらα-オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられてもよい。
本発明の共重合体(A)は、エチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が、通常、40/60〜99.9/0.1、好ましくは40/60〜90/10、より好ましくは50/50〜80/20、特に好ましくは55/45〜70/30の範囲にある。
また、本発明の共重合体(A)は、VNBから導かれる構成単位が0.03〜3.0モル%〔エチレンから導かれる構成単位+炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位+VNBから導かれる構成単位=100モル%〕である。
本発明の共重合体(A)は、通常、135℃デカヒドロナフタレン中で測定した極限粘度〔η〕が0.8〜5dl/g、好ましくは1〜4dl/g、より好ましくは1.1〜3.5dl/gの範囲にある。
本発明の共重合体(A)は、VNBから導かれる構成単位が、endo体構造/exo体構造の比〔endo体構造/exo体構造〕が2.0以下であることにより、ロール加工性などの成形加工性が良好で、しかも当該共重合体を架橋した場合、VNBの架橋効率が高いので、当該共重合体を架橋して得られる架橋物(成形体)は、架橋密度が高く、また、圧縮永久歪みが小さいという特徴を有している。
本発明の共重合体(A)は、下記製造例1および製造例2に記載の製造方法で製造し得る。
本発明の共重合体(A)には、所望の目的に応じて他の成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。これら成分としては、例えば、フィラー、架橋助剤、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、活性剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤、発泡剤および発泡助剤から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。また。それぞれの添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〈フィラー〉
本発明の共重合体(A)に配合されるフィラーは、ゴム組成物に配合される公知のゴム補強剤であり、通常、カーボンブラック、無機補強剤と呼称されている無機物である。
本発明に係わるフィラーとしては、具体的には、旭#55G、旭#60G(以上、旭カーボン(株)製)、シースト(SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等)のカーボンブラック(東海カーボン(株)製)、これらカーボンブラックをシランカップリング剤等で表面処理したのもの、および、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー等が挙げられる。
これらフィラーは、単独でも、二種以上の混合物であってもよい。
本発明に係わるフィラーとしては、好ましくは、カーボンブラック、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー等が用いられる。
本発明の共重合体(A)がフィラーを含む場合は、共重合体(A)100質量部に対し、通常、100〜300質量部、好ましくは、100〜250質量部の範囲で配合すればよい。
〈架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤および加硫助剤〉
架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄系化合物、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等の、ゴムを架橋する際に一般に使用される架橋剤が挙げられる。これらのうちでは、有機過酸化物、硫黄系化合物(以下「加硫剤」ともいう)が好適である。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドが挙げられる。
架橋剤として、有機過酸化物を用いる場合、共重合体(A)中のその配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、一般に0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部である、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。有機過酸化物の配合量が上記範囲内であると、得られる成形体表面へのブルームなく、共重合体(A)が優れた架橋特性を示すので好適である。
架橋剤として、有機過酸化物を用いる場合、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤としては、例えば、イオウ;p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼン;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種(JIS規格(K−1410))、ハクスイテック(株)製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)、活性亜鉛華等の金属酸化物が挙げられる。
架橋助剤を用いる場合、共重合体(A)中の架橋助剤の配合量は、有機過酸化物1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは0.5〜7モル、より好ましくは1〜6モルである。
硫黄系化合物(加硫剤)としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンが挙げられる。
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、共重合体(A)中のその配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常は0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜7.0質量部、さらに好ましくは0.7〜5.0質量部である。硫黄系化合物の配合量が上記範囲内であると、得られる成形体の表面へのブルームがなく、共重合体(A)が優れた架橋特性を示す。
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、加硫促進剤を併用することが好ましい。
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(例えば、サンセラーM(商品名;三新化学工業社製))、2−(4−モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、ノクセラーMDB−P(商品名;大内新興化学工業社製))、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾールおよびジベンゾチアジルジスルフィド(例えば、サンセラーDM(商品名;三新化学工業社製))などのチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジンおよびジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤;アセトアルデヒド・アニリン縮合物およびブチルアルデヒド・アニリン縮合物などのアルデヒドアミン系加硫促進剤;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド(例えば、サンセラーTS(商品名;三新化学工業社製))、テトラメチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTT(商品名;三新化学工業社製))、テトラエチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTET(商品名;三新化学工業社製))、テトラブチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTBT(商品名;三新化学工業社製))およびジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(例えば、サンセラーTRA(商品名;三新化学工業社製))などのチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、サンセラーPZ、サンセラーBZおよびサンセラーEZ(商品名;三新化学工業社製))およびジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系加硫促進剤;エチレンチオ尿素(例えば、サンセラーBUR(商品名;三新化学工業社製)、サンセラー22−C(商品名;三新化学工業社製))、N,N'−ジエチルチオ尿素およびN,N'−ジブチルチオ尿素などのチオウレア系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛などのザンテート系加硫促進剤が挙げられる。
加硫促進剤を用いる場合、共重合体(A)中のこれらの加硫促進剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、一般に0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。加硫促進剤の配合量が上記範囲内であると、得られる成形体の表面へのブルームなく、共重合体(A)が優れた架橋特性を示す。架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、加硫助剤を併用することができる。
加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック(株)製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)が挙げられる。
加硫助剤を用いる場合、共重合体(A)中の加硫助剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常1〜20質量部である。
〈軟化剤〉
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらのうちでは、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルが特に好ましい。
共重合体(A)が軟化剤を含有する場合には、軟化剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、一般に2〜100質量部、好ましくは10〜100質量部である。
〈老化防止剤(安定剤)〉
本発明の共重合体(A)に、老化防止剤(安定剤)を配合することにより、これから形成されるシールパッキンの寿命を長くすることができる。このような老化防止剤として、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などがある。
老化防止剤としては、例えば、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−p―フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤等がある。
共重合体(A)が老化防止剤を含有する場合には、老化防止剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常は0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜7.0質量部である。老化防止剤の配合量が上記範囲内であると、得られる成形体の表面のブルームがなく、さらに加硫阻害の発生を抑制することができる。
〈加工助剤〉
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。
共重合体(A)が加工助剤を含有する場合は、共重合体(A)100質量部に対して、通常1〜3質量部の量で適宜配合することができる。加工助剤の配合量が前記範囲内であると、混練加工性、押出加工性、射出成形性等の加工性に優れるので好適である。
前記加工助剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
〈活性剤〉
活性剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
共重合体(A)が活性剤を含有する場合には、活性剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常は0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部である。
〈発泡剤および発泡助剤〉
本発明の共重合体(A)を用いて形成された成形体は、非発泡体であってもよいし、発泡体であってもよい。成形体が発泡体である場合には共重合体(A)には発泡剤が含まれていることが好ましい。
発泡剤としては、市販の発泡剤のいずれもが好適に使用される。このような発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機系発泡剤;N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)ジフェニルスルフォン−3,3'−ジスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、パラトルエンマルホニルアジド等のアジド化合物が挙げられる。中でも、アゾ化合物、スルフォニルヒドラジド化合物、アジド化合物が好ましく用いられる。
共重合体(A)が、発泡剤を含有する場合には、発泡剤の配合量は、共重合体(A)から製造される成形体に要求される性能により適宜選択されるが、共重合体(A)100質量部に対して、通常0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部の割合で用いられる。
また、必要に応じて発泡剤とともに発泡助剤を併用しても差し支えない。発泡助剤の添加は、発泡剤の分解温度の調節、気泡の均一化などに効果がある。発泡助剤としては、具体的には、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸などの有機酸、尿素およびその誘導体などが挙げられる。
共重合体(A)が、発泡助剤を含有する場合には、発泡助剤の配合量は、発泡剤100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは2〜80質量部の割合で用いられる。
本発明に係わる共重合体組成物の製造方法としては、たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)および変性エチレン系共重合体(B)必要に応じて、フィラー、軟化剤、加工助剤、架橋助剤などを、80〜170℃の温度で2〜20分間混練する。次いで、得られたブレンド物に、架橋剤、軟化剤、架橋助剤加硫促進剤等の添加剤をオープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、必要に応じて加硫促進剤、架橋助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
<成形体>
本発明の共重合体(A)は、種々公知の成形加工方法、具体的には、例えば、押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形等の各種の成形加工方法により、成形体とすることができる。さらに、上記成形加工方法で得られたシートなど成形体を熱成形などで二次加工、あるいは、他の材料と積層して成形体とすることができる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例および比較例で用いた共重合体の物性は、以下の測定方法で測定した。
[endo体構造/exo体構造の比]
下記装置を用いて、1H−NMRによるendo体構造/exo体構造の比を測定した。
装置:ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置
測定核:1H(500MHz)
測定モード:シングルパルス
パルス幅:45゜(5.00μ秒)
ポイント数:32k
観測範囲:20ppm(−5〜15ppm)
繰り返し時問:26秒
積算回数:16回
測定溶媒:ODCB−d4
試料濃度:ca.20mg/0.6mL
測定温度:120℃
ウインドウ関数:exponential(BF:0.16Hz)
リファレンス:主鎖メチレンシグナル:1.2ppm
endo体構造/exo体構造の比
=[(6.0〜5.5ppm範囲のピーク強度)−(5.7〜5.5ppm範囲のピーク強度)]/(5.7〜5.5ppm範囲のピーク強度)
[エチレン/プロピレン量]
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のエチレンとα−オレフィンのモル比は、13C−NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C−NMRのスペクトルを測定して得た。
実施例および比較例で用いた共重合体は、以下の製造方法で製造した。
〔製造例1〕
攪拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(攪拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンとVNBとの三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを3.7kg、プロピレンを8.0kg、VNBを350gの速度で、また、水素を50リットル、触媒としてVOCl3を48ミリモル、Al(Et)2Clを240ミリモル、Al(Et)1.5Cl1.5 を48ミリモルの速度で連続的に供給した。上記条件で共重合反応を行い、エチレン・プロピレン・VNB共重合体(以下、共重合体1と略す)が均一な溶液状態で得られた。スチームストリッピング処理にてエチレン・プロピレン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
得られた共重合体1の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
〔製造例2〕
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、プロピレン、VNBの重合反応を87℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:32.6L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が3.6kg/h、プロピレン量が5.9kg/h、VNBフィード量が270g/hおよび水素フィード量が6.3NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
重合圧力を1.6MPaG、重合温度を87℃に保ちながら、主触媒としてジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いて、フィード量0.0015mmol/hとなるよう、重合器に連続的に供給した。また、共触媒として(C65)3CB(C65)4(CB−3)をフィード量0.0075mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量20mmol/hとなるように、それぞれ重合器に連続的に供給した。
このようにして、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体を15.2質量%含む溶液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・プロピレン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(共重合体2)が、毎時4.7kgの速度で得られた。
得られた共重合体2の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
〔製造例3〜5〕
共重合体3の重合は、容積300LのSUS製攪拌機つき反応器を用いて、温度を80℃に保ち、液レベルを100Lとして、ヘキサンを毎時24.8kg、エチレンを毎時4.6kg、プロピレンを毎時3.9kg、VNBを毎時0.1kgの速度で、また水素を毎時19NLの速度で、主触媒として[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウムを毎時0.15mmol、共触媒として(C653CB(C654を毎時0.6mmol、有機アルミニウム化合物としてTIBA(以下、このような主触媒、共触媒および有機アルミニウム化合物の組み合わせを「触媒A」ともいう。)を毎時1.8mmolの速度で連続的に反応器へ供給し、エチレンとプロピレンとVNBの三元共重合体(共重合体3)の重合液を得た。なお、該主触媒は、国際公開WO98/49212に記載されている方法に準じて合成して得た。得られた重合液からフラッシュ乾燥により共重合体3を得た。
得られた重合液からスチームストリッピングまたはフラッシュ乾燥により共重合体3を得た。
共重合体4、5の原料供給条件は表1の通り。
得られた共重合体3〜5の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
Figure 2019167403
[架橋フィルムのVNB含量測定]
製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(共重合体1)100質量部を8インチロ−ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、ジクミルパーオキシド(パークミルD、日油社製)1.0質量部を加え10分間混練して未架橋の配合物を得た。未架橋の配合物を厚み2mmのシート状に分出し、50トンプレス成形機を用いて170℃で10分間プレスし、厚み200μmの架橋フィルムを調製した。
得られた架橋フィルムのVNB含量を、赤外分光光度計(日本分光製、FT‐IR 410型)を用いて透過法で赤外吸収スペクトルを測定して求めた。測定条件は、分解能を2cm-1、積算回数を32回とした。
架橋に伴うVNBの消費量=原料共重合体のVNB量−架橋共重合体のVNB量
架橋に伴うVNBの消費率
=[(原料共重合体のVNB量−架橋共重合体のVNB量)/原料共重合体のVNB量]×100%
[実施例1]
第一段階として、BB−2型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(共重合体1)100質量部を30秒間素練りし、次いでこれに、5質量部の亜鉛華(ハクスイテック社製)、1質量部のステアリン酸、カーボンブラック(旭#60G、旭カーボン(株)社製)80質量部、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPS−430、出光興産(株)製)50質量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
第二段階として、第一段階で得られた配合物を、8インチロ−ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、6.8質量部の有機過酸化物成分としてジクミルパーオキシドを40質量%含有するマスターバッチ(商品名:パークミルD−40、日油社製)(有機過酸化物換算で2.72質量部)を加え10分間混練して未架橋の共重合体組成物(配合物)を得た。このときのロール加工性は以下記載の方法で評価した。
次に、第二段階で得られた未架橋の配合物を厚み2mmのシート状に分出しし、100トンプレス成形機を用いて170℃で10分間プレスし、厚み2mmの架橋シートを調製した。得られた架橋シートの物性を上記記載の方法で評価した。
ただし、圧縮永久歪試験用の試料は以下の方法で調整したものを使用した。上記の未架橋の組成物をシート状に分出し、100トンプレス成形機を用いて170℃で15分間プレスし、CS測定用ブロック(直径29mm、厚さ12.5mm)を調製した。これを用いて、CS(圧縮永久歪み)の評価を行った。
評価結果を表2に示す。
〔ロール加工性〕
第二段階でのロール加工性を以下の5段階で評価した。
5:巻き付く、シートに亀裂なし、エッジ良好
4:巻き付く、シートに僅かな亀裂あり、エッジ良好
3:巻き付く、シートに僅かな亀裂あり、エッジ不良
2:シートがつながっているが巻き付かない(バギング)
1:シートがつながらない
〔引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)〕
実施例および比較例で得られた成形体(厚み2mm、縦15cm、横15cm)から長さ方向に、JIS K 6251(1993年)に記載の3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を得た。該試験片を用いて同じくJIS K 6251第3項に規定されている方法にしたがい、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断点応力TB(MPa)および引張破断点伸びEB(%)を測定した。
〔硬度〕
実施例および比較例で得られた成形体(厚み2mm、縦15cm、横15cm)から長さ方向に、JIS K 6251(1993年)に記載の3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を得た。該試験片の平らな部分を6枚重ねて12mmとし、JIS K6253に従い硬度(JIS−A)を測定した。
〔圧縮永久歪み(CS)〕
実施例および比較例で得られた成形体(厚み12.5mm、直径29mm)を、圧縮永久歪み測定金型に取り付けた後、試験片の高さが荷重をかける前の高さの25%分圧縮し、金型ごと70℃のギヤーオーブン中にセットして22時間または、120℃のギヤーオーブン中にセットして70時間熱処理した。次いで試験片を取出し、30分間放冷後、試験片の高さを測定し以下の計算式で圧縮永久歪み(%)を算出した。
圧縮永久歪み(%)={(t0−t1)/(t0−t2)}×100
t0:試験片の試験前の高さ。
t1:試験片を熱処理し30分間放冷した後の高さ。
t2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
〔架橋密度〕
架橋密度ν(個/cc)は下記の平衡膨潤を利用したFlory-Rehnerの式(a)から算出した。式(a)中のVRは架橋した2mmシートを37℃×72hrsの条件でトルエン抽出して求めた。
Figure 2019167403
[実施例2]
実施例1で用いた共重合体1に替えて、上記製造例2で得た共重合体2を用いる以外は実施例1と同様に行い、未架橋の共重合体組成物および架橋シートを得た。
評価結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた共重合体1に替えて、上記製造例3で得た共重合体3を用いる以外は実施例1と同様に行い、未架橋の共重合体組成物および架橋シートを得た。
評価結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1で用いた共重合体1に替えて、上記製造例4で得た共重合体4を用いる以外は実施例1と同様に行い、未架橋の共重合体組成物および架橋シートを得た。
評価結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1で用いた共重合体1に替えて、上記製造例5で得た共重合体5を用いる以外は実施例1と同様に行い、未架橋の共重合体組成物および架橋シートを得た。
評価結果を表2に示す。
Figure 2019167403
表2に示したように、endo体構造/exo体構造の比が2.0以下である製造例1(実施例1)および製造例2(実施例2)に示すエチレン・プロピレン・VNB共重合体は、架橋に伴うVNBの消費量が高いことが明らかである。
一方、endo体構造/exo体構造の比が2.0を超える製造例3(比較例1)〜製造例5(比較例3)に示すエチレン・プロピレン・VNB共重合体は、架橋に伴うVNBの消費量が低いことが明らかである。
このことは、endo体構造/exo体構造の比が2.0以下であるエチレン・プロピレン・VNB共重合体は、当該共重合体を架橋した場合、VNBが効率よく架橋されることを示しており、endo体構造/exo体構造の比が2.0以下であるエチレン・プロピレン・VNB共重合体は、VNBの量を低減できることを示している。
また、endo体構造/exo体構造の比が2.0以下であるエチレン・プロピレン・VNB共重合体は、ロール加工性が良好であり、架橋して得られる架橋体は、硬度が低く、架橋密度が高く、圧縮永久歪みが少ないという特徴を有していることも明らかである。

Claims (2)

  1. エチレンから導かれる構成単位、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位、およびビニルノルボルネンから導かれる構成単位を有し、ビニルノルボルネンから導かれる構成単位がendo体構造およびexo体構造を含み、且つ、endo体構造/exo体構造の比が2.0以下であることを特徴とするエチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体。
  2. エチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体が、下記(i)および(ii)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のエチレン・α−オレフィン・ビニルノルボルネン共重合体。
    (i)エチレン/α−オレフィンのモル比が40/60〜99.9/0.1である。
    (ii)ビニルノルボルネンから導かれる構成単位が0.03〜3.0モル%〔エチレンから導かれる構成単位+炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位+ビニルノルボルネンから導かれる構成単位=100モル%〕である。
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