JP2023129265A - 燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物および燃料電池ガスケット - Google Patents

燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物および燃料電池ガスケット Download PDF

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Taichi Okubo
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Abstract

【課題】架橋速度が速く生産性に優れ、且つ、耐熱老化性、高温下および低温下での圧縮永久歪が小さく、低温特性(低温弾性回復特性、ゲーマンねじり特性)が改良された燃料電池ガスケット用組成物を得ること。【解決手段】エチレン[A1]に由来する構造単位、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位、および、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位を有し、且つ、特定の要件を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、前記共重合体(A)100質量部に対して、カーボンブラック(B)を5~150質量部、老化防止剤(C)を0.5~7.0質量部、および、有機過酸化物(D)を1~30質量部の範囲で含有することを特徴とする燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物。TIFF2023129265000006.tif28142【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物および燃料電池ガスケットに関する。
エチレン・プロピレン共重合体(EPM、EPR)およびエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)などのエチレン・α-オレフィン共重合体エラストマーは、その分子構造の主鎖に不飽和結合を有しないため、汎用の共役ジエンゴムと比べ、耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性に優れ、自動車用部品、電線用材料、電子・電気部品、建築土木資材、工業材部品等の用途に広く用いられている。
EPDMを用いてシール用ゴム成形体を得ることが知られている(例えば、特許文献1)。シール用ゴム成形体であるシールパッキンは、自動車、産業機械、電子部品等様々な用途で用いられているが、自動車や産業機械等は寒冷地でも使用されるため、シールパッキンには、常温での機械強度に加えて、低温特性も要求される。
また、特許文献2には、低温特性および機械強度(強度・伸び)を両立したシールパッキンを形成することが可能な燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物として、B値が1.20以上であるエチレン[A]に由来する構造単位、炭素数4~20のα-オレフィン[B]に由来する構造単位、および非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物が提案されている。
国際公開第2000/59962号 特開2017-075293号公報
燃料電池自動車(FCV)の燃料電池ガスケットは、FCスタック内での水素と酸素、水の漏れを防止するゴム部品であり、低温特性に加え、優れた耐久性が求められており、また、更なる生産性向上に向け流動性の向上、加硫時間の短縮化が図れる燃料電池ガスケット用組成物が、要望されている。
本発明の目的は、架橋速度が速く生産性に優れ、且つ、耐熱老化性、高温下および低温下での圧縮永久歪が小さく、低温特性(例えば、低温弾性回復特性、ゲーマンねじり特性)が改良された燃料電池ガスケット用組成物を得ることにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記構成によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を解決するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
[1]
エチレン[A1]に由来する構造単位、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位、および、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位を有し、且つ、下記要件(1)~(3)を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、
前記共重合体(A)100質量部に対して、カーボンブラック(B)を5~150質量部、老化防止剤(C)を0.5~7.0質量部、および、有機過酸化物(D)を1~30質量部の範囲で含有することを特徴とする燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物:
Figure 2023129265000001
要件(1):エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10である;
要件(2):非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合が、[A1]、[A2]および[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%である;
要件(3):下記式(i)で表されるB値が、1.20以上である。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕 …式(i)
[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A1]、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]、および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A1]-炭素数4~20のα-オレフィン[A2]ダイアッド連鎖分率を示す。]
[2]
前記共重合体(A)のムーニー粘度ML(1+4)100℃が5~60である、[1]に記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物。
[3]
前記共重合体(A)が、以下の要件(4)~(6)のうちの1または2以上の要件を満たす、[1]または[2]に記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物:
要件(4):共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の重量分率([A3]の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン[A3]の分子量([A3]の分子量)とが、下記式(ii)を満たす;
4.5≦Mw×[A3]の重量分率/100/[A3]の分子量≦60 …式(ii)
要件(5):レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、共重合体(A)の極限粘度[η]と、前記[A3]の重量分率とが、下記式(iii)を満たす;
P/([η]2.9)≦[A3]の重量分率×6 …式(iii)
要件(6):レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン[A3]に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(vi)を満たす。
Log{η* (ω=0.01)}/Log{η* (ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン[A3]に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …式(vi)
[4]
前記共重合体(A)における炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位が、1-ブテンに由来する構造単位を含む、[1]~[3]の何れかに記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物。
[5]
前記共重合体(A)における非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位が、5-ビニル-2-ノルボルネンに由来する構造単位を含む、[1]~[4]の何れかに記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物。
[6]
[1]~[5]の何れかに記載のエチレン共重合体組成物を用いて得られる、燃料電池ガスケット。
本発明の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物は、架橋速度が速く生産性に優れ、且つ、耐熱老化性、高温下および低温下での圧縮永久歪が小さく、低温特性(例えば、低温弾性回復特性、ゲーマンねじり特性)に優れ、例えば、FCVガスケットに好適である。
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
本発明の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物(以下「本組成物」ともいう。)の成分の一つであるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)(以下「共重合体(A)」ともいう。)は、エチレン[A1]に由来する構造単位、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位、および、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位を有し、且つ、下記要件(1)~(3)を満たす。
Figure 2023129265000002
要件(1):エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10である。
要件(2):非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合が、[A1]、[A2]および[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%である。
要件(3):下記式(i)で表されるB値が、1.20以上である。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕 …式(i)
[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A1]、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]、および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位のモル分率を示し、[EX]は、エチレン[A1]-炭素数4~20のα-オレフィン[A2]ダイアッド連鎖分率を示す。]
炭素数4~20のα-オレフィン[A2]としては、側鎖の無い直鎖の構造を有する1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ノナデセン、1-エイコセン等;および側鎖を有する4-メチル-1-ペンテン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等が挙げられる。
これらのα-オレフィン[A2]は単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中では、炭素数4~10のα-オレフィンが好ましく、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどがより好ましく、特に1-ブテンが好適である。
α-オレフィンがプロピレンであるエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体は、低温下でのゴム弾性が不充分であるので、用途が限定される場合がある。一方、共重合体(A)は、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位を有しているので、低温下でのゴム弾性に優れている。
前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[A3]としては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、有機過酸化物による架橋が良好で、共重合体組成物の耐熱性が向上しやすいことから非共役ポリエン[A3]がVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエン[A3]がVNBであることがより好ましい。非共役ポリエン[A3]は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に係る共重合体(A)は、エチレン[A1]、炭素原子数4~20のα-オレフィン[A2]、および前記非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位に加えて、さらに、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[A4]に由来する構造単位を含んでいてもよい。
このような非共役ポリエン[A4]としては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンなどが挙げられる。
これらのうちでは、入手容易性が高く、有機過酸化物による架橋時の架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすいことからENBが好ましい。非共役ポリエン[A4]は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
共重合体(A)は、それぞれ、少なくとも1種以上のバイオマス由来モノマー(エチレン[A1]、炭素原子数4~20のα-オレフィン[A2]、非共役ポリエン[A3]、非共役ポリエン[A4])を含んでいてもよい。
《要件(1)》
エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10である。モル比が前記範囲にある共重合体(A)は、低温でのゴム弾性と常温での引張強度とのバランスに優れる。
前記モル比〔[A1]/[A2]〕の下限は、好ましくは45/55、より好ましくは50/50、特に好ましくは55/45である。また、前記モル比〔[A1]/[A2]〕の上限は、好ましくは80/20、より好ましくは75/25、さらに好ましくは70/30である。
《要件(2)》
非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合が、エチレン[A1]に由来する構造単位、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%である。この含有割合が前記範囲にある共重合体(A)は、充分な架橋性および柔軟性を有する。本明細書中、樹脂中の各構造単位の含有割合は、NMRスペクトル等で測定可能である。
非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合の下限は、好ましくは0.5モル%である。非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合の上限は、好ましくは4.0モル%、より好ましくは3.5モル%、さらに好ましくは3.0モル%である。非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有量が上記範囲にあると、充分な架橋性および柔軟性を有する共重合体(A)が得られる。
《要件(3)》
前記式(i)で表されるB値が1.20以上、好ましくは1.20~1.80、特に好ましくは1.22~1.40の範囲にある。
B値が1.20未満のエチレン系共重合体は、低温での圧縮永久歪が大きくなり、低温下でのゴム弾性と常温での引張強度とのバランスに優れたエチレン系共重合体が得られない場合がある。
なお、B値は、共重合体(A)中における共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示す指標であり、前記式(i)中の[E]、[X]、[Y]、[EX]は、13C-NMRスペクトルを測定し、J. C.Randall[Macromolecules,15,353(1982)]、J.Ray[Macromolecules,10,773(1977)]らの報告に基づいて求めることができる。
本発明に係る共重合体(A)は、好ましくは、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)100℃が5~60、より好ましくは20~60の範囲にある。
ムーニー粘度ML(1+4)100℃が前記範囲にあると、高硬度オイルレス配合でもロール加工性に優れ、また、良好な後処理(リボンハンドリング性)を示すと共に優れたゴム物性を有する共重合体(A)が得られる。
本発明に係る共重合体(A)は、以下の要件(4)~(6)のうち何れか1または2以上の要件を満たすことが好ましい。
《要件(4)》
共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の重量分率([A3]の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン[A3]の分子量([A3]の分子量)とが、下記式(ii)を満たす。
4.5≦Mw×[A3]の重量分率/100/[A3]の分子量≦60 …式(ii)
本発明に係る共重合体(A)が、要件(4)を満たす場合、VNBなどの非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有量が適切であって、充分な架橋性能を示すとともに、本発明に係る共重合体(A)を用いて架橋成形体を製造した場合には、架橋速度に優れ、架橋後の成形体が優れた機械特性を示すものとなるため好ましい。
本発明に係る共重合体(A)は、より好ましくは、下記式(ii-1)を満たす。
4.5≦Mw×[A3]の重量分率/100/[A3]の分子量≦35 …式(ii-1)
なお、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値として求めることができる。
本発明に係る共重合体(A)は、前記「Mw×[A3]の重量分率/100/[A3]の分子量」が前記式(ii)あるいは(ii-1)を満たす場合には架橋程度が適切となり、これを用いることにより機械的物性と耐熱老化性とにバランスよく優れた燃料電池ガスケットを製造することができる。
前記「Mw×[A3]の重量分率/100/[A3]の分子量」が少なすぎる場合には、架橋性が不足して架橋速度が遅くなることなることがあり、また多すぎる場合には過度に架橋を生じて機械的物性が悪化する場合がある。
《要件(5)》
レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P〔η* (ω=0.1)/η* (ω=100)〕と、共重合体(A)の極限粘度[η]と、前記[A3]の重量分率とが、下記式(iii)を満たす。
P/([η]2.9)≦[A3]の重量分率×6 …式(iii)
ここで、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)との比P〔η* (ω=0.1)/η* (ω=100)〕は、粘度の周波数依存性を表すものであって、前記式(iii)の左辺にあたるP/([η]2.9)は、短鎖分岐や分子量などの影響はあるものの、長鎖分岐が多い場合に高い値を示す傾向がある。
一般に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、非共役ポリエンに由来する構造単位を多く含むほど、長鎖分岐を多く含む傾向があるが、本発明に係る共重合体(A)は、従来公知のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体よりも長鎖分岐が少ないことにより前記式(iii)を満たすことができると考えられる。
本発明において、P値は、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%、周波数を変えた条件で測定を行って求めた、0.1rad/sでの複素粘度と、100rad/sでの複素粘度とから、比(η*比)を求めたものである。
本発明に係る共重合体(A)は、好ましくは、下記式(iii-1)を満たす。
P/([η]2.9)≦[A3]の重量分率×5.7 …式(iii-1)
なお、共重合体(A)の極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定される値を意味する。
《要件(6)》
レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン[A3]に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(vi)を満たすことが好ましい。
Log{η* (ω=0.01)}/Log{η* (ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン[A3]に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …式(vi)
ここで、複素粘度η* (ω=0.01)および複素粘度η* (ω=10)は、要件(5)における複素粘度η* (ω=0.1)および複素粘度η* (ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。
また、非共役ポリエン[A3]に由来する見かけのヨウ素価は、次式により求められる。
[A3]に由来する見かけのヨウ素価=[A3]の重量分率×253.81/[A3]の分子量
前記式(vi)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン[A3]の含有量の指標を表す。要件(6)を満たし、前記式(vi)を満たす場合には、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。一方、前記式(vi)を満たさない場合には、共重合した非共役ポリエン[A3]のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いことを示す。
〈共重合体(A)の製造方法〉
本発明に係る共重合体(A)は、種々公知の製造方法、たとえば、メタロセン触媒を用いた従来公知の製造方法で得ることができる。メタロセン触媒および当該触媒を用いた製造方法としては、例えば、国際公開第2015/122415号パンフレット、特に当該公報の段落[0249]~[0320]に記載の例を採用することができる。
<カーボンブラック(B)>
組成物の成分の一つであるカーボンブラック(B)(以下「成分(B)」ともいう。)は、ゴム組成物に配合される公知のゴム補強剤の一種であり通常、カーボンブラックと呼称されている無機物である。
本発明に係る成分(B)としては、具体的には、例えば、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTが挙げられる。カーボンブラックの表面はシランカップリング剤で処理されていてもよい。市販されているカーボンブラックとしては、例えば、商品名「旭#55G」、「旭#50HG」、「旭#60G」、「旭#60UG」(旭カーボン(株)製)、商品名「シーストV」、「シーストSO」(東海カーボン(株)製)が挙げられる。
本発明に係る成分(B)は、1種単独あるいは2種以上で用いてもよい。
<老化防止剤(C)>
本組成物の成分の一つである老化防止剤(C)(以下「成分(C)」ともいう。)は、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤である。
成分(C)として、具体的には、フェニルブチルアミン、N,N-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、BASF製)等のフェノール系老化防止剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾール(商品名「サンダントMB」、三新化学工業(株)製)、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤等がある。
本発明に係る成分(C)は、1種単独あるいは2種以上で用いてもよい。
<有機過酸化物(D)>
本組成物の成分の一つである有機過酸化物(D)(以下「成分(D)」ともいう。)は、架橋剤の一種である。具体的には、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
このうちでは、ジクミルペルオキシド(DCP)、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート等の有機過酸化物が好ましい。
本発明に係る成分(D)は、1種単独あるいは2種以上で用いてもよい。
<燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物>
本組成物は、共重合体(A)、前記共重合体(A)100質量部に対して、成分(B)を5~150質量部、好ましくは5~140質量部、より好ましくは10~140質量部、成分(C)を0.5~7.0質量部、好ましくは0.5~6質量部、より好ましくは1~6質量部、および、成分(D)を1~30質量部、好ましくは2~25質量部、より好ましくは2~20質量部の範囲で含む組成物である。
本組成物は、共重合体(A)に加え、成分(B)、成分(C)および成分(D)を上記範囲の量で含むので、加硫速度が速く生産性に優れ、且つ、耐熱老化性、高温下および低温下での圧縮永久歪が小さく、低温特性(例えば、低温弾性回復(T-R)特性、ゲーマンねじり特性)に優れる。
本組成物は、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が、好ましくは1~100、より好ましくは20~90の範囲にある。
ムーニー粘度ML(1+4)125℃が上記範囲にあると、ロール加工性が良好である。一方、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が上記範囲外である組成物は、ロール加工性が低下する場合がある。
本組成物は、共重合体(A)以外の、他のポリマーを含有してもよい。
架橋が必要な他のポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の架橋性ゴムが挙げられる。
架橋が不要な他のポリマーとしては、例えば、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体(SBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、その他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等のエラストマーが挙げられる。
前記他のポリマーは、共重合体(A)100質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは80質量部以下の量で配合することができる。
本組成物は、目的に応じて他の成分、例えば、架橋助剤、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、無機充填剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤、発泡剤および発泡助剤から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。それぞれの添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本組成物は、共重合体(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)に加え、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えば、ミキサー、ニーダー、ロールなどの混練機を用いて所望の温度で混練することにより調製することができる。
具体的には、ミキサー、ニーダー等の従来公知の混練機を用いて、所定の温度および時間、例えば80~200℃で3~30分混練した後、得られた混練物に必要に応じて用いられるその他の成分を加えて、ロールを用いて所定の温度および時間、例えばロール温度30~80℃で1~30分間混練することにより、本組成物を調製することができる。
〈架橋助剤〉
成分(D)を用いる場合、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤としては、例えば、イオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼン;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種(JIS規格(K-1410))、ハクスイテック(株)製)、酸化マグネシウム、活性亜鉛華(例えば、商品名「META-Z102」(井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)等の金属酸化物が挙げられる。
架橋助剤を用いる場合、本組成物中の架橋助剤の配合量は、成分(D)1モルに対して、通常0.5~10モル、好ましくは0.5~7モル、より好ましくは1~6モルである。
〈軟化剤〉
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらのうちでは、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルが特に好ましい。
本組成物が軟化剤を含有する場合には、軟化剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは80質量部以下である。
〈無機充填剤〉
無機充填剤としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーが挙げられ、これらのうちでは、商品名「ホワイトンSB」(白石カルシウム(株)製)等の重質炭酸カルシウムが好ましい。
本組成物が無機充填剤を含有する場合には、無機充填剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常2~50質量部、好ましくは5~50質量部である。無機充填剤の配合量が上記範囲内であると、本組成物の混練加工性が優れ、機械特性に優れた燃料電池ガスケットを得ることができる。
〈加工助剤〉
加工助剤としては、例えば、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。
加工助剤の具体例としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸塩、エステル類などが挙げられる。これらのうちでは、ステアリン酸が好ましい。
本組成物が加工助剤を含有する場合には、加工助剤の配合量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは8.0質量部以下である。
〈活性剤〉
活性剤としては、例えば、ジ-n-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
本組成物が活性剤を含有する場合には、活性剤の配合量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、通常は0.2~10質量部、好ましくは0.3~5質量部である。
〈吸湿剤〉
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンが挙げられる。
本組成物が吸湿剤を含有する場合には、吸湿剤の配合量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、通常は0.5~15質量部、好ましくは1.0~12質量部である。
〈発泡剤および発泡助剤〉
本組成物を用いて形成された燃料電池ガスケットは、非発泡体であってもよいし、発泡体であってもよい。燃料電池ガスケットが発泡体である場合には、本組成物には発泡剤が含まれていることが好ましい。
発泡剤としては、市販の発泡剤のいずれもが好適に使用される。このような発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機系発泡剤;N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)ジフェニルスルフォン-3,3'-ジスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'-ジフェニルジスルホニルアジド、パラトルエンマルホニルアジド等のアジド化合物が挙げられる。中でも、アゾ化合物、スルフォニルヒドラジド化合物、アジド化合物が好ましく用いられる。
本組成物が発泡剤を含有する場合には、発泡剤の配合量は、本組成物から製造される燃料電池ガスケットに要求される性能により適宜選択されるが、前記共重合体(A)100質量部に対して、通常0.1~30質量部、好ましくは0.2~20質量部の割合で用いられる。
また、必要に応じて発泡剤とともに発泡助剤を併用してもよい。発泡助剤の添加は、発泡剤の分解温度の調節、気泡の均一化などに効果がある。発泡助剤としては、具体的には、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸などの有機酸、尿素およびその誘導体などが挙げられる。
本組成物が、発泡助剤を含有する場合には、発泡助剤の配合量は、発泡剤100質量部に対して、通常1~100質量部、好ましくは2~80質量部の割合で用いられる。
本組成物を用いることにより、従来のEPDMを用いた場合と比べて、低温柔軟性に優れる燃料電池ガスケットを得ることが可能であり、シリコーンゴムを用いた場合と比べて、耐寒性に優れる燃料電池ガスケットを得ることが可能である。
<燃料電池ガスケット>
本発明の燃料電池ガスケットは、前述した本組成物から形成される。
本組成物から燃料電池ガスケットを製造する方法としては、例えば、本組成物を、所望の燃料電池ガスケット形状に成形し、この成形と同時または成形後に、該本組成物を架橋処理する方法が挙げられる。
架橋処理する方法としては、例えば、燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物を加熱することにより架橋処理する方法、燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物に電子線を照射することにより架橋処理する方法が挙げられる。
具体的には、本発明の燃料電池ガスケットは、本組成物を、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機等の成形機を用いて、意図する形状に成形し、成形と同時に、または成形物を加硫槽内に導入して120~270℃で1~30分間加熱するか、あるいは電子線を照射することにより架橋することにより、調製することができる。
架橋を行う際には金型を用いてもよいし、また金型を用いないで架橋を実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム等の手段を用いることができる。
架橋方法として架橋剤を使用せず、電子線を使用する場合は、所定の形状に成形された本組成物に、通常0.1~10MeV、好ましくは0.3~2MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が通常0.5~35Mrad、好ましくは0.5~10Mradになるように照射すればよい。
本発明の燃料電池ガスケットは、水素ラインに用いられる燃料電池ガスケットとして好ましく用いることができる。燃料電池車(FCV)等に水素を供給する水素ステーションでは、水素が通過する水素ラインが多数存在する。本発明の燃料電池ガスケットは、このような水素ラインに用いられる燃料電池ガスケットとして用いる。
水素ステーションでは、水素を大量に保管するため、高圧で圧縮機に保存する必要がある。また、水素ステーションから水素を供給する際には、高圧、高速で送り出す必要があり、この際に水素の温度が上がる。燃料電池車等の水素タンク内の温度を上げ過ぎないために、水素ステーションでは、水素を低温、例えば-40℃程度で保存する必要がある。このため、水素ラインに用いられる燃料電池ガスケットには、低温でのシール性が求められている。本発明の燃料電池ガスケットは低温特性および機械強度(強度・伸び)を両立しており、水素ラインに好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特に言及しない限り「部」は「質量部」を表す。
実施例・比較例にて用いる各共重合体の物性は、以下に従い測定した。
(1)重量分率(重量%)、およびモル比
共重合体の各構造単位の重量分率(重量%)、および各構造単位のモル比は、13C-NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C-NMRのスペクトルを測定して得た。
(2)極限粘度[η]
極限粘度[η](dl/g)は、(株)離合社製全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
(3)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値である。測定装置および条件は、以下のとおりである。また、分子量は、市販の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、換算法に基づいて算出した。
・装置:ゲル透過クロマトグラフ Alliance GP2000型(Waters社製)
・解析装置:Empower2(Waters社製)
・カラム:TSKgel GMH6-HT×2+TSKgel GMH6-HTL×2(7.5mmI.D.×30cm、東ソー社製)
・カラム温度:140℃
・移動相:o-ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
・検出器:示差屈折計(RI)
・流速:1.0mL/min
・注入量:400μL
・サンプリング時間間隔:1s
・カラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
・分子量換算:旧法EPR換算/粘度を考慮した較正法
(4)ムーニー粘度
共重合体のムーニー粘度ML(1+4)100℃は、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV-301型)を用いて、JIS K 6300(1994)に準じて測定した。
(5)複素粘度η*およびP値
レオメーターとして、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%の条件で、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)および周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(いずれも単位はPa・sec)を測定した。
また、得られた結果よりη* (ω=0.1)とη* (ω=100)との複素粘度の比(η*比)であるP値(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))を算出した。
〔エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)〕
下記実施例では、共重合体(A)として、下記製造例1~3で得られた共重合体(A-1)~(A-3)を用いた。
<製造例1>
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、1-ブテン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の重合反応を95℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:41.4L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が3.2kg/h、1-ブテン量が13.5kg/h、VNBフィード量が290g/hおよび水素フィード量が2NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
重合圧力を1.6MPaG、重合温度を95℃に保ちながら、主触媒としてジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いて、フィード量0.0026mmol/hとなるよう、重合器に連続的に供給した。また、共触媒として(C65)3CB(C65)4をフィード量0.013mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量20mmol/hとなるように、それぞれ重合器に連続的に供給した。
このようにして、エチレン、1-ブテンおよびVNBから形成されたエチレン・1-ブテン・VNB共重合体を22質量%含む溶液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・1-ブテン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン・1-ブテン・VNB共重合体(A-1)が、毎時6.0kgの速度で得られた。得られた共重合体(A-1)の物性を前記に記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
<製造例2>
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、1-ブテン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の重合反応を95℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:30.5L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が5.3kg/h、1-ブテン量が21.5kg/h、VNBフィード量が566g/hおよび水素フィード量が10NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
重合圧力を1.6MPaG、重合温度を95℃に保ちながら、主触媒としてジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いて、フィード量0.00903mmol/hとなるよう、重合器に連続的に供給した。また、共触媒として(C65)3CB(C65)4をフィード量0.045mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量30mmol/hとなるように、それぞれ重合器に連続的に供給した。
このようにして、エチレン、1-ブテンおよびVNBから形成されたエチレン・1-ブテン・VNB共重合体を20質量%含む溶液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・1-ブテン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン・1-ブテン・VNB共重合体(A-2)が、毎時8.5kgの速度で得られた。得られた共重合体(A-2)の物性を前記に記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
<製造例3>
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、1-ブテン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の重合反応を95℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:32.4L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が5.2kg/h、1-ブテン量が24.0kg/h、VNBフィード量が1070g/hおよび水素フィード量が17NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
重合圧力を1.6MPaG、重合温度を95℃に保ちながら、主触媒としてジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いて、フィード量0.0154mmol/hとなるよう、重合器に連続的に供給した。また、共触媒として(C65)3CB(C65)4をフィード量0.077mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量30mmol/hとなるように、それぞれ重合器に連続的に供給した。
このようにして、エチレン、1-ブテンおよびVNBから形成されたエチレン・1-ブテン・VNB共重合体を20質量%含む溶液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・1-ブテン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン・1-ブテン・VNB共重合体(A-3)が、毎時7.2kgの速度で得られた。得られた共重合体(A-3)の物性を前記に記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
〔エチレン・1-ブテン・ENB共重合体(E-1)〕
下記比較例1では、下記製造例4で得られた共重合体(E-1)を用いた。
<製造例4>
国際公開第2015/122415号の[合成例C1]の記載に準じて、下記の物性を有するエチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)共重合体(E-1)を得た。得られた共重合体(E-1)の物性を前記に記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2023129265000003
[実施例1]
《燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物の調整》
MIXTRON BB MIXER((株)神戸製鋼所製、BB-4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、共重合体(A-1)を100質量部、酸化亜鉛2種(ハクスイテック(株)製)を5質量部、ステアリン酸を1質量部、カーボンブラック(B)として、旭#60UG(商品名;旭カーボン(株)製、FEF)を46質量部、老化防止剤(C)として、サンダントMB(商品名;2-メルカプトベンゾイミダゾール、三新化学工業(株)製)を2質量部、および老化防止剤(C)として、イルガノックス1010(商品名;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、BASF製)を2質量部の配合量で配合した後混練し、配合物1を得た。
混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間が5分間で行い、混練排出温度は150℃であった。
次いで、配合物1が温度40℃なったことを確認した後、6インチロールを用いて、配合物1に、有機過酸化物(D)としてジクミルペルオキシド(DCP)(商品名:パークミルD-40、日本油脂(株)製)6.8質量部の配合量で添加して混練し、配合物2を得た。
混練条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=50℃/50℃、ロール周速さを前ロール/後ロール=18rpm/15rpm、ロール間隙を3mmとして、混練時間5分間で分出し、配合物2を得た。
《未架橋ゴム物性の評価》
〔物性試験1:ムーニー粘度〕
配合物2(コンパウンド)のムーニー粘度ML(1+4)100℃を、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV-301型)を用いて、JIS K 6300(1994)に準じて測定した。
〔物性試験2:架橋(加硫)特性評価〕
加硫測定装置:MDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)を用いて、配合物2の加硫速度(tC90):180℃を以下のとおり測定した。
一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定した。
トルクの最大値(S'Max)とトルクの最小値(S'Min)との差の90%のトルクに達成するまでの時間を、tc90(min)とした。測定条件は、温度180℃、時間15分とした。このtc90が小さいほど、加硫速度(架橋速度)が速いことを示す。
《加硫物(架橋物)物性の評価》
配合物2に、プレス成形機を用いて180℃で10分間架橋を行って、厚み2mmのシート(加硫物(架橋物))を調製した。
得られたシートについて、下記方法により硬度試験、引張り試験、ゲーマンねじり試験、耐熱老化試験、およびT-R試験を行った。
配合物2に、円柱状の金型がセットされたプレス成形機を用いて180℃で13分間加硫して、厚さ12.7mm、直径29mmの直円柱形の試験片を作成し、圧縮永久歪(CS)試験用試験片(加硫物)を得た。
得られた圧縮永久歪(CS)試験用試験片を用いて、下記方法により、圧縮永久歪みを評価した。結果を表2に示す。
〔圧縮永久歪(CS)試験:圧縮永久歪〕
圧縮永久歪(CS)測定用試験片について、JIS K 6262(1997)に従って、150℃×22時間、23℃×22時間、および-40℃×22時間処理後の圧縮永久歪を測定した。
〔硬度試験:硬度(Durometer-A(shore-A))〕
前記シートの硬度を、JIS K 7312(1996)の「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」の7項の「硬さ試験」の記載およびJIS K6253(2006)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方」の6項の「デュロメーター硬さ試験」の試験タイプAの記載に準拠して測定した。
〔引張り試験:モジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸び〕
前記シートのモジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸びを以下の方法で測定した。
前記シートを打抜いてJIS K 6251(1993年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製し、この試験片を用いてJIS K 6251第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、伸び率が25%であるときの引張応力(25%モジュラス(M25))、伸び率が50%であるときの引張応力(50%モジュラス(M50))、伸び率が100%であるときの引張応力(100%モジュラス(M100))、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
〔ゲーマンねじり試験:ねじり剛性の温度依存性〕
前記シートを打ち抜いてJIS K 6261-3に従い、ねじり剛性を測定し、t2、t10(℃)を求めた。
〔耐熱老化試験〕
前記シートについて、JIS K 6257に従い、180℃で72時間、および168時間保持する耐熱老化試験を行った。耐熱老化試験後のシートの硬度、引張破断点応力、引張破断点伸びを、前記〔硬度(Durometer-A)〕の項目、前記〔モジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸び〕の項目と同様の方法で測定した。
耐熱老化試験前後の硬度の差より、AH(shore-A)を求め、耐熱老化試験前後の引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)から、耐熱老化試験前の値に対する試験後の変化率をそれぞれ、Ac(TB)、Ac(EB)として求めた。
〔T-R試験(低温弾性回復試験)〕
前記シートについて、JIS K 6261-4に従い、T-R試験(低温弾性回復試験)を行い、耐寒性を測定した。
該試験では、伸長させたシートを凍結させ、温度を連続的に上昇させることによって伸長されていたシートの回復性を測定する。(昇温により試験片の長さが10%および70%収縮(回復)する時の温度を、それぞれTR10、およびTR70と表示する。)TR10(単位:℃)が低いほど、耐寒性に優れると判断できる。
[比較例1]
実施例1で用いた共重合体(A-1)に替えて、前記共重合体(E-1)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
[実施例2、3、および比較例2]
実施例1で用いた共重合体(A-1)に替えて、前記共重合体(A-2)、共重合体(A-3)、または共重合体(E-1)を用い、表2に示す配合量で燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物(配合物1および2)を得た後、実施例1に記載の方法で各種物性を測定した。なお、配合物2のムーニー粘度は、ML(1+4)125℃で測定し、圧縮永久歪(CS)試験では、180℃で15分間加硫した試験片(加硫物)を用い、150℃×72時間、23℃×22時間、および-40℃×22時間処理後の圧縮永久歪を測定し、耐熱老化試験では、180℃で168時間、および336時間保持する耐熱老化試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023129265000004
表2に示すように、共重合体(A-1)~(A-3)をそれぞれ100質量部を含む組成物(実施例1~3)は、共重合体(E-1)を100質量部を含む組成物(比較例1、2)に比べ、加硫速度が速く生産性に優れ、且つ、耐熱老化性、高温下および低温下での圧縮永久歪が小さく、低温特性(例えば、低温弾性回復(T-R)特性、ゲーマンねじり特性)に優れる結果となった。

Claims (6)

  1. エチレン[A1]に由来する構造単位、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位、および、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位を有し、且つ、下記要件(1)~(3)を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、
    前記共重合体(A)100質量部に対して、カーボンブラック(B)を5~150質量部、老化防止剤(C)を0.5~7.0質量部、および、有機過酸化物(D)を1~30質量部の範囲で含有することを特徴とする燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物:
    Figure 2023129265000005
    要件(1):エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10である;
    要件(2):非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合が、[A1]、[A2]および[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%である;
    要件(3):下記式(i)で表されるB値が、1.20以上である。
    B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕 …式(i)
    [ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A1]、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]、および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A1]-炭素数4~20のα-オレフィン[A2]ダイアッド連鎖分率を示す。]
  2. 前記共重合体(A)のムーニー粘度ML(1+4)100℃が5~60である、請求項1に記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物。
  3. 前記共重合体(A)が、以下の要件(4)~(6)のうちの1または2以上の要件を満たす、請求項1に記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物:
    要件(4):共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の重量分率([A3]の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン[A3]の分子量([A3]の分子量)とが、下記式(ii)を満たす;
    4.5≦Mw×[A3]の重量分率/100/[A3]の分子量≦60 …式(ii)
    要件(5):レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P〔η* (ω=0.1)/η* (ω=100)〕と、共重合体(A)の極限粘度[η]と、前記[A3]の重量分率とが、下記式(iii)を満たす;
    P/([η]2.9)≦[A3]の重量分率×6 …式(iii)
    要件(6):レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン[A3]に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(vi)を満たす。
    Log{η* (ω=0.01)}/Log{η* (ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン[A3]に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …式(vi)
  4. 前記共重合体(A)における炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位が、1-ブテンに由来する構造単位を含む、請求項1に記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物。
  5. 前記共重合体(A)における非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位が、5-ビニル-2-ノルボルネンに由来する構造単位を含む、請求項1に記載の燃料電池ガスケット用エチレン共重合体組成物。
  6. 請求項1~5の何れか一項に記載のエチレン共重合体組成物を用いて得られる、燃料電池ガスケット。
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