JP2023150375A - エチレン系共重合体組成物および鉄道用製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性を有するとともに、引裂き強度、加工性、機械強度、伸び特性に優れ、鉄道車両の外幌用に好適なエチレン系共重合体組成物を提供すること。【解決手段】エチレンとα-オレフィンとのモル比が50/50~85/15の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)100質量部、アスペクト比5~200を有する水酸化マグネシウム(C)1質量部以上100質量部未満、およびシリル化ポリオレフィン0.1~20質量部を含むエチレン系共重合体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体などのエチレン系共重合体を含むエチレン系共重合体組成物およびその用途に関する。詳しくは、耐引裂き性に優れ、且つ難燃性を有する成形体を得るのに好適なエチレン系共重合体組成物に関する。
エチレン・α-オレフィン共重合体やエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体などのエチレン系共重合体は、主鎖に不飽和結合を持たないため、ジエン系のゴムと比較して耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れ、自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品、ゴム引布等のゴム製品等に広く用いられている。
一方、エチレン系共重合体は、それ自体難燃性を有しないので、難燃性を要求される用途、例えば、鉄道車両の外幌用には、ゴム成分100質量部に対し、水酸化アルミニウム等の難燃剤を30~90質量部配合することが提案されている(特許文献1)。
また、本出願人は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に、粒子の平均アスペクト比が10以上である水酸化マグネシウムを配合したエチレン系共重合体組成物を提案している(特許文献2)。
特開2006-176859号公報 特開2020-122039号公報
しかしながら、用途によっては、引裂き強度の更なる改良とともに、加工性、機械強度および伸び特性を向上させることが求められている。
本発明の目的は、難燃性を有するとともに、引裂き強度、加工性、機械強度、伸び特性に優れ、鉄道車両の外幌用に好適なエチレン系共重合体組成物を提供することにある。
本発明は、エチレンとα-オレフィンとのモル比が50/50~85/15の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)100質量部、アスペクト比5~200を有する水酸化マグネシウム(C)1質量部以上100質量部未満、およびシリル化ポリオレフィン(D)0.1~20質量部を含むことを特徴とするエチレン系共重合体組成物に係る。
本発明のエチレン系共重合体組成物から得られる成形体は、難燃性を有するとともに、引裂き強度、加工性、機械強度、伸び特性に優れるので、各種用途に好適に用いられる。中でも外幌、内幌(貫通幌)等の鉄道車両用の幌に好適である。
《エチレン・α-オレフィン共重合体(A)》
本発明のエチレン系共重合体組成物(以下「共重合体組成物」ともいう。)の成分の一つであるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)(以下「共重合体(A)」ともいう。)は、エチレンとα-オレフィンとのモル比(エチレン/α-オレフィン)が50/50~85/15、好ましくは53/47~83/17、特に好ましくは55/45~80/20の範囲にあるエチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとをランダム共重合して得られるエチレン・α-オレフィン共重合体である。
上記α-オレフィンは通常、炭素数3~20のα-オレフィンであり、中でもプロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等の炭素数3~10のα-オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテンが好ましく用いられる。
共重合体(A)の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体が好ましく用いられる。
共重合体(A)は、エチレンとα-オレフィン以外に、非共役ポリエンを共重合したものであっても良い。非共役ポリエンとの共重合体であるエチレン・α-オレフィン系共重合体としては、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・1-ブテン・非共役ポリエン共重合体が好ましく用いられる。
共重合される非共役ポリエンとしては、環状または鎖状の非共役ポリエンが用いられる。環状非共役ポリエンとしては、たとえば5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙げられる。また鎖状の非共役ポリエンとしては、たとえば1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンなどが挙げられる。これらの非共役ポリエンは、単独または2種以上混合して用いられ、その共重合量は、ヨウ素価表示で1~40、好ましくは2~35、より好ましくは3~30であることが望ましい。
共重合体(A)は、通常、135℃、デカヒドロナフタレン中で測定した極限粘度[η]が0.8~5.0dl/g、好ましくは1.0~4.5dl/g、より好ましくは1.5~4.0dl/gの範囲にある。
共重合体(A)は、ASTM D 1646に準じて測定して得られる、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)(100℃)が、通常、1~200、好ましくは20~100の範囲にある。
共重合体(A)は、一種単独、あるいは、二種以上のエチレン・α-オレフィン共重合体の混合物であってもよい。また、二種以上のエチレン・α-オレフィン共重合体を混合して用いる場合は、各々のエチレン・α-オレフィン共重合体は同じ物性である必要はなく、片方が非共役ポリエンを含まないエチレン・α-オレフィン共重合体で、他の片方が非共役ポリエンを含むエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体であってもよい。
《不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体(B)》
本発明の共重合体組成物には、上記共重合体(A)に加えて、不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体(B)(以下「変性共重合体(B)」ともいう。)を配合してもよい。
変性共重合体(B)における不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト量は、変性共重合体(B)100質量%に対して、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは1~10質量%、さらに好ましくは2~9質量%である。
変性共重合体(B)の密度は、好ましくは860kg/m3以上880kg/m3未満、より好ましくは860~875kg/m3、さらに好ましくは865~875kg/m3である。変性共重合体(B)の密度が前記範囲であると、本発明の共重合体組成物から得られる成形体は柔軟性と物性のバランスに優れる。
変性共重合体(B)は、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点が20℃以上60℃未満であるか、または示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察されないことが好ましい。変性共重合体(B)がこの条件を満たすと、混練成形時の共重合体(A)への分散性に優れる。示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察される場合、融点は、より好ましくは30℃以上60℃未満、さらに好ましくは40℃以上60℃未満である。
前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコ-ルとのエステルまたは無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物などを挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。具体的な化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)などの不飽和カルボン酸;またはその誘導体、例えば、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルなどが挙げられる。誘導体の具体例としては、例えば、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエ-トなどが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好ましく用いられる。不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の含有量の制御は、例えば、グラフト条件を適宜選択することにより、容易に行うことができる。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマーをエチレン・α-オレフィン共重合体にグラフトさせる方法については特に限定されず、溶液法、溶融混練法など、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。例えば、エチレン・α-オレフィン共重合体を溶融し、そこへグラフトモノマーを添加してグラフト反応させる方法、あるいはエチレン・α-オレフィン共重合体を溶媒に溶解して溶液となし、そこへグラフトモノマーを添加してグラフト反応させる方法などがある。
これらの方法において、ラジカル開始剤の存在下にグラフト重合を行なうと、上記不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト重合させることができる。この場合、ラジカル開始剤は、エチレン・α-オレフィン共重合体100質量部に対して、好ましくは0.001~1質量部の量で用いられる。
このようなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが用いられる。具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシド)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシド)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルフェニルアセテート、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペル-sec-オクトエート、t-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t-ブチルペルジエチルアセテート;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが挙げられる。
これらのうちでは、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
ラジカル開始剤を使用したグラフト重合反応、あるいはラジカル開始剤を使用せずに行なうグラフト重合反応の反応温度は、通常60~350℃、好ましくは150~300℃の範囲内に設定される。
変性共重合体(B)の製造に供されるエチレン・α-オレフィン共重合体(b)は、エチレンから導かれる単位と、炭素数3以上、好ましくは炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる単位とを含む共重合体であり、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。
α-オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン-1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセンおよび12-エチル-1-テトラデセンなどが挙げられる。なかでも、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。これらα‐オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(b)におけるエチレンから導かれる構造単位の含有量は、エチレン・α-オレフィン共重合体に含まれる全構造単位に対し、通常、50.0モル%以上100モル%未満、好ましくは80.0~99.5モル%、さらに好ましくは90.0~99.0モル%である。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(b)の密度は、これをグラフト変性して得られるグラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の密度が前記範囲内になるような密度であることが好ましく、具体的には850~880kg/m3、より好ましくは855~875kg/m3である。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(b)の融点は、これをグラフト変性して得られるグラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の融点が前記条件を満たすような融点であることが好ましく、具体的には、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点が20~70℃であるか、または示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察されないことであり、より好ましく、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点が30~60℃であるか、または示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察されないことである。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(b)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.1~100g/10分、より好ましくは0.2~50g/10分、さらに好ましくは0.3~20g/10分である。
密度、エチレン含有量およびMFRが上記のような範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体を(b)グラフト変性した共重合体(B)を用いると、組成物の加工性とゴム弾性とのバランスが良好になる。
《水酸化マグネシウム(C)》
本発明の共重合体組成物に含まれる成分の一つである水酸化マグネシウム(C)は、アスペクト比が5~200、好ましくは10~150、より好ましくは20~100、さらに好ましくは30~90の範囲にある。
水酸化マグネシウム(C)は、例えば、ステアリン酸、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル類、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、シリコーン系処理剤、水ガラス、シリカ、及びカチオン系界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上の化合物などで表面処理されていてもよい。
水酸化マグネシウム(C)は、例えば、協和化学工業株式会社から、キスマ10、キスマ10Aの商品名で製造、販売されている。
《シリル化ポリオレフィン(D)》
本発明の共重合体組成物を構成する成分の一つであるシリル化ポリオレフィン(D)は、後述するケイ素含有化合物と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応物である(ただし、該ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ該ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するもの、すなわち、該ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するケイ素含有化合物と、該ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するビニル基含有化合物との反応物であるシリル化ポリオレフィン、およびその誘導体を用いる場合は除く)。
シリル化ポリオレフィン(D)を用いることにより、本発明の共重合体組成物から形成される(架橋)成形体の引裂き強度および柔軟性(伸び特性)を向上させることができるため、水酸化マグネシウム(C)の量を低減することができ、加工性に優れた共重合体組成物を得ることができる。
〈ケイ素含有化合物〉
前記シリル化ポリオレフィン(D)を構成するケイ素含有化合物は、下記式(1)で表される構造単位を有するヒドロシラン化合物である。
-Si(R1)H-Y1- ・・・(1)
上記式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、Y1はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、炭素数2~40の炭化水素基が好ましく、炭素数2~20の炭化水素基がより好ましい。具体的には、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。なお、R1およびR30において、炭化水素基は互いに同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状または分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
また上記の炭化水素基は、1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の少なくとも一つの水素が、ハロゲン原子、酸素、窒素、ケイ素、リン、イオウを含む基で置換された基が挙げられる。
一実施形態において、前記ケイ素含有化合物は、下記式(2)で表される構造を有する。
22-(Si(R21)H-Y21m-Z-(Y22-Si(R23)H)n-R24・・・(2)
上記式(2)中、R21およびR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
22およびR24はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、または炭化水素基であり、
21およびY22はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
mは0または1であり、
nは0または1であり、
21、R23、Y21およびY22が複数存在する場合、各基は同一であっても異なっていてもよく、
Zは、下記式(3)で表される2価の基である。
-Si(R41)(R41)-(Y23-Si(R41)(R41))l- ・・・(3)
上記式(3)中、R41は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、各R41はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Y23はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、lは0~10,000の整数である。
ただし、上記式(2)において、m=n=0の場合、上記式(M-3)において、少なくとも1つのR41は水素原子である。
なお、上記式(2)および上記式(3)におけるハロゲン原子および炭化水素基の定義は、上記式(1)における定義と同様である。
また、上記式(1)、(2)、(3)における炭化水素基として、炭素原子と水素原子とのみからなるものであることも1つの典型的な実施態様である。
一実施形態において、ケイ素含有化合物は、好ましくは、3個以上、より好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上のケイ素原子を有する。またケイ素含有化合物は、好ましくは10,000個以下、より好ましくは1,000個以下、特に好ましくは300個以下、さらに好ましくは50個以下のケイ素原子を有する。
一実施形態において、上記式(3)におけるlは、0~10,000の整数であるが、好ましい上限および下限としては、上記式(2)のmとnの値と上記好ましいケイ素原子の個数とから定まる数を挙げることができる。
一実施形態において、上記式(2)においてm=n=1、すなわち両末端にSiH基を有するケイ素含有化合物が好ましく用いられる。
一実施形態において、上記式(2)においてm=1であり、n=0、すなわち片末端にSiH基を有するケイ素含有化合物が好ましく用いられる。
特に好ましいケイ素含有化合物としては、上記式(2)および式(3)において、m=n=1であり、R21、R23およびR41は全て炭化水素基である化合物が挙げられる。該炭化水素基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
特に好ましい別のケイ素含有化合物としては、上記式(2)および式(3)において、m=1、n=0であり、R21およびR41は全て炭化水素基である化合物が挙げられる。該炭化水素基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
本実施形態で用いられるケイ素含有化合物の具体例を以下に示す。本実施形態のケイ素含有化合物としては、SiH基を1個有する化合物が挙げられる。
SiH基を1個有するケイ素含有化合物の例としては、例えば、下記式(2a)で表される化合物、式(2a)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)d-Si(CH33・・・(2a)
上記式(2a)中、dは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
49-((CH32SiO)9-(CH32SiH
49-((CH32SiO)65-(CH32SiH
SiH基を1個有するケイ素含有化合物の別の例としては、例えば、下記式(2b)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2b)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
Si(CH33O-(-Si(CH32-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)-Si(CH33 ・・・(2b)
上記式(2b)中、eは、0以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。
なお、-Si(CH32-O-単位と-SiH(CH3)-O-単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されない。
Si(CH33O-SiH(CH3)-O-Si(CH33
本実施形態のケイ素含有化合物としてはまた、SiH基を2個以上有する化合物が挙げられる。
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物の例としては、例えば、下記式(2c)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2c)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
(CH33SiO-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH33 ・・・(2c)
上記式(2c)中、fは2以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物の別の例としては、例えば、下記式(2d)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2d)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
(CH33SiO-(-Si(CH32-O-)g-(-SiH(CH3)-O-)h-Si(CH33 ・・・(2d)
上記式(2d)中、gは1以上の整数であり、hは2以上の整数であり、gとhとの合計の上限は、例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。
また、上記式(2d)において、-Si(CH32-O-単位と-SiH(CH3)-O-単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されない。
Figure 2023150375000001
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(M-2e)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2e)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)i-Si(CH32H ・・・(2e)
上記式(2e)中、iは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)5-Si(CH32
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)8-Si(CH32
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)18-Si(CH32
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)80-Si(CH32
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)230-Si(CH32
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2f)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2f)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O-(-SiH(CH3)-O-)j-Si(CH32H ・・・(2f)
上記式(2f)中、jは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2g)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2g)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)k-(-SiH(CH3)-O-)l-Si(CH32H ・・・(2g)
上記式(2g)中、kおよびlは、それぞれ1以上の整数であり、kとlとの合計の上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。
また、-Si(CH32-O-単位と-SiH(CH3)-O-単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
ビニル基含有化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)は、通常100以上500,000以下であり、100以上100,000以下であることがより好ましい。数平均分子量が上記下限値以上であると、得られたシリル化ポリオレフィンが成形体よりブリードやブルームしてくることをより一層抑制できる。上記上限値以下であると、組成物中におけるシリル化ポリオレフィンの分散性が向上し、組成物の取り扱いがより良好となる。なお、本実施形態では後述するように数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびMw/Mnはポリエチレン換算の値とした。
〈ビニル基含有化合物〉
前記シリル化ポリオレフィン(D)を構成するビニル基含有化合物は、通常炭素数2~50のオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンを重合又は共重合して得られるものである。
炭素数2~50のオレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ペンテン、3-エチル-4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘプテン、3,4-ジメチル-1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサン等のα-オレフィン;シス-2-ブテン、トランス-2-ブテン、等の内部二重結合を含むオレフィン;イソブテン、2-メチル-1-ペンテン、2,4-ジメチル-1-ペンテン、2,4-ジメチル-1-ヘキセン、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-1-ヘキセン、2-メチル-1-ヘプテン、2-メチル-1-オクテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ペンテン、2,3-ジメチル-1-ヘキセン、2,3-ジメチル-1-オクテン、2,3,3-トリメチル-1-ブテン、2,3,3-トリメチル-1-ペンテン、2,3,3-トリメチル-1-ヘキセン、2,3,3-トリメチル-1-オクテン、2,3,4-トリメチル-1-ペンテン、2,3,4-トリメチル-1-ヘキセン、2,3,4-トリメチル-1-オクテン、2,4,4-トリメチル-1-ヘキセン、2,4,4-トリメチル-1-オクテン、2-メチル-3-シクロヘキシル-1-プロピレン、ビニリデンシクロペンタン、ビニリデンシクロヘキサン、ビニリデンシクロオクタン、2-メチルビニリデンシクロペンタン、3-メチルビニリデンシクロペンタン、4-メチルビニリデンシクロペンタン等のビニリデン化合物;スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン等のアリールビニル化合物;α-メチルスチレン、α-エチルスチレン、2-メチル-3-フェニルプロピレン等のアリールビニリデン化合物;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸-n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-tert-ブチル、2-シアノプロピレン、2-アミノプロピレン、2-ヒドロキシメチルプロピレン、2-フルオロプロピレン、2-クロロプロピレン等の官能基置換ビニリデン化合物;シクロブテン、シクロペンテン、1-メチル-1-シクロペンテン、3-メチル-1-シクロペンテン、2-メチル-1-シクロペンテン、シクロヘキセン、1-メチル-1-シクロヘキセン、3-メチル-1-シクロヘキセン、2-メチル-1-シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、5,6-ジヒドロジシクロペンタジエン、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1Hインデン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ-4-エン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等の内部二重結合を含む脂肪族環状オレフィン;シクロペンタ-2-エニルベンゼン、シクロペンタ-3-エニルベンゼン、シクロヘキサ-2-エニルベンゼン、シクロヘキサ-3-エニルベンゼン、インデン、1,2-ジヒドロナフタレン、1,4-ジヒドロナフタレン、1,4-メチノ1,4,4a,9aテトラヒドロフルオレン等の芳香環を含有する環状オレフィン;ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,4-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン等の、二個以上の二重結合を有する環状ポリエンおよび二個以上の二重結合を有する鎖状ポリエン等が挙げられる。
また、炭素数2~50のオレフィンは、酸素、窒素、硫黄等の原子を含んだ官能基を有していてもよい。例えばアクリル酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の不飽和カルボン酸金属塩;無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジルエステル;塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化アリル等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、2-シアノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン等の不飽和シアノ化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の不飽和エーテル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド等の不飽和アミド;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;N-ビニルピロリドン等が挙げられる。
好ましい実施形態において、ビニル基含有化合物は、下記式(4)で表される構造を有し、数平均分子量が100以上500,000以下の化合物である。
A-CH=CH2 ・・・(4)
ここで、上記式(4)中、Aは1種以上の炭素数2~50のα-オレフィン由来の構成単位を含む重合鎖である。
上記式(4)において、好ましくは、ビニル基含有化合物のA部は、エチレン重合鎖、プロピレン重合鎖または炭素数2~50のα-オレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖である。また上記α-オレフィンは、炭素数が2~20のα-オレフィンであることが好ましい。
好ましい実施形態において、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物のAは、炭素数2~50のα-オレフィンのみから構成される重合鎖である。さらに好ましくはビニル基含有化合物のAは炭素数2~20のα-オレフィンのみから構成される重合鎖である。さらに好ましくは、ビニル基含有化合物のAは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖、またはエチレン・炭素数3~20のα-オレフィン共重合鎖である。
上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、エチレン由来の構成単位が81~100モル%、炭素原子数3~20のα-オレフィン由来の構成単位が0~19モル%の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましい。より好ましくは、エチレン由来の構成単位が90~100モル%、炭素原子数3~20のα-オレフィン由来の構成単位が0~10モル%の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましい。ただし、エチレン由来の構成単位と炭素原子数3~20のα-オレフィン由来の構成単位の合計は100モル%である。とりわけエチレン由来の構成単位が100モル%であることが好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mn)が1.1~3.0の範囲にあることが好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、数平均分子量(Mn)が100以上500,000以下の範囲にあることが望ましく、100以上100,000以下がより好ましく、500以上50,000以下がさらに好ましく、700以上10,000以下がさらにより好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、融点が70℃以上130℃以下であることが好ましい。
さらに好ましくは、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物のビニル基は、主鎖の末端に存在することが好ましく、ビニル基が主鎖の末端のみに存在することがより好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物が、主鎖の末端のみにビニル基を含有する場合、1H-NMRにより計算される末端不飽和率が60モル%以上100モル%以下であることが好ましい。さらに好ましい態様の一つは、1H-NMRにより計算される末端不飽和率が80モル%以上99.5モル%以下、より好ましくは90モル%以上99モル%以下であるものである。
上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、例えば特開2017-155159号公報、特に当該公報の段落[0117]~[0156]に記載の例を採用することができる。
シリル化ポリオレフィン(D)は、どのような方法によって製造されたものでも使用できるが、例えば、特開2017-155159号公報、特に当該公報の段落[0159]~[0189]に記載の例を採用することができる。
シリル化ポリオレフィン(D)は、たとえば、式(5)~(9)で表されるような構造を有していると推定される。もちろんそのケイ素含有化合物やビニル基含有化合物の組合せは、これらの例示になんら限定されるものではない。
Figure 2023150375000002
Figure 2023150375000003
Figure 2023150375000004
Figure 2023150375000005
Figure 2023150375000006
シリル化ポリオレフィン(D)は、三井化学ファイン(株)からイクスフォーラ(登録商標)、イクスフォーラ(登録商標)PEなどの商品名で製造・販売されている。
本発明の共重合体組成物は、1種のシリル化ポリオレフィン(D)を含有してもよく、2種以上のシリル化ポリオレフィン(D)を含有してもよい。
<エチレン系共重合体組成物>
本発明の共重合体組成物は、上記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、上記水酸化マグネシウム(C)を1質量部以上100質量部未満、好ましくは5~95質量部、より好ましくは10~90質量部、さらに好ましくは20~80質量部、特に好ましくは30~70質量部の範囲で含み、上記シリル化ポリオレフィン(D)を0.1~20質量部、好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは1~10質量部の範囲で含む組成物である。
本発明の共重合体組成物が、水酸化マグネシウム(C)およびシリル化ポリオレフィン(D)を上記範囲で含むことにより、成形性に優れるとともに、耐引裂き性、柔軟性(伸び特性)および難燃性に優れる成形体を得ることができる。
本発明の共重合体組成物は、水酸化マグネシウム(C)およびシリル化ポリオレフィン(D)に加え、上記変性共重合体(B)を配合してもよい。本発明の共重合体組成物が変性共重合体(B)を含む場合は、通常、上記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、通常、30質量部以下、好ましくは5~20質量部含む。
本発明の共重合体組成物が変性共重合体(B)を含むと、得られる成形体は、フィラーの分散性に優れる。
また、本発明の共重合体組成物には、共重合体(A)、変性共重合体(B)、水酸化マグネシウム(C)、およびシリル化ポリオレフィン(D)以外の成分として、例えば、他の重合体、軟化剤、無機充填剤、架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤、加硫助剤、加工助剤、補強材、老化防止剤、活性剤、吸湿剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤等を配合してもよい。
また、本発明の共重合体組成物が、他の重合体を含む場合は、共重合体組成物中の共重合体(A)の割合は、一般に20質量%以上、好ましくは30~90質量%である。
〈架橋剤〉
架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄系化合物、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等の、ゴムを架橋する際に一般に使用される架橋剤が挙げられる。これらのうちでは、有機過酸化物、硫黄系化合物等の架橋剤(「加硫剤」ともいう。)が好適である。
有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
このうちでは、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート等の2官能性の有機過酸化物が好ましく、中でも、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
架橋剤として、有機過酸化物を用いる場合、その配合量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他の架橋が必要な重合体の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.2~15質量部である、さらに好ましくは0.5~10質量部である。有機過酸化物の配合量が上記範囲内であると、共重合体組成物が優れた架橋特性を示すので好適である。
また、架橋剤として、有機過酸化物を用いる場合、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤として、例えば、イオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼン;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種(JIS規格(K-1410))、ハクスイテック(株)社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META-Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)等の金属酸化物などが挙げられる。架橋助剤の配合量は、有機過酸化物1モルに対して、通常0.5~10モル、好ましくは0.5~7モル、より好ましくは1~5モルである。
架橋剤として硫黄系化合物(加硫剤)を用いる場合、具体例としては、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、その配合量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他の架橋が必要な重合体の合計100質量部に対して、好ましくは0.3~10質量部、より好ましくは0.5~7.0質量部、さらに好ましくは0.7~5.0質量部である。硫黄系化合物の配合量が上記範囲内であると、成形体の表面へのブルームがなく、優れた架橋特性を示す。
次に、上記架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合には、加硫促進剤を併用することが好ましい。
前記加硫促進剤としては、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール(例えば、サンセラーM(商品名;三新化学工業社製))、2-(4-モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、ノクセラーMDB-P(商品名;大内新興化学工業社製))、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルフォリノチオ)ベンゾチアゾールおよびジベンゾチアジルジスルフィド(例えば、サンセラーDM(商品名;三新化学工業社製))などのチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジンおよびジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤;アセトアルデヒド・アニリン縮合物およびブチルアルデヒド・アニリン縮合物などのアルデヒドアミン系加硫促進剤;2-メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系加硫促進剤;ジエチルチオウレアおよびジブチルチオウレアなどのチオウレア系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド(例えば、サンセラーTS(商品名;三新化学工業社製))、テトラメチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTT(商品名;三新化学工業社製))、テトラエチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTET(商品名;三新化学工業社製))、テトラブチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTBT(商品名;三新化学工業社製))およびジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(例えば、サンセラーTRA(商品名;三新化学工業社製))などのチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、サンセラーPZ、サンセラーBZおよびサンセラーEZ(商品名;三新化学工業社製))およびジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系加硫促進剤;エチレンチオ尿素(例えば、サンセラーBUR(商品名;三新化学工業社製)、サンセラー22-C(商品名;三新化学工業社製))、N,N'-ジエチルチオ尿素およびN,N'-ジブチルチオ尿素などのチオウレア系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛などのザンテート系加硫促進剤;その他、亜鉛華(例えば、META-Z102(商品名;井上石灰工業社製、酸化亜鉛))などが挙げられる。
これらの加硫促進剤の配合量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他の架橋が必要な重合体の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。この範囲内で優れた架橋特性を示す。
〈加硫助剤〉
加硫助剤は、架橋剤が硫黄系化合物である場合に用いられ、例えば、酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック(株)製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META-Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)などが挙げられる。その配合量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他の重合体の合計100質量部に対して、好ましくは1~20質量部である。
〈軟化剤〉
軟化剤の具体例としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)などが挙げられ、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルが特に好ましい。
共重合体組成物中の軟化剤の配合量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他の重合体成分の合計100質量部に対して、一般に2~100質量部、好ましくは10~100質量部である。
〈無機充填剤〉
無機充填剤の具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの1種類または2種類以上が使用され、これらのうちでは、「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム株式会社)等の重質炭酸カルシウムが好ましい。
共重合体組成物が、無機充填剤を含有する場合には、無機充填剤の配合量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他の重合体の合計100質量部に対して、好ましくは2~50質量部、より好ましくは5~50質量部である。配合量が上記範囲内であると、共重合体組成物の混練加工性が優れており、機械特性に優れた成形体を得ることができる。
〈補強剤〉
補強剤の具体例としては、カーボンブラック、シランカップリング剤で表面処理したカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸などがあり、配合する場合には、共重合体(A)および必要に応じて他の重合体の合計100質量部に対して、一般に30~200質量部、好ましくは50~180質量部である。
〈老化防止剤(安定剤)〉
本発明の共重合体組成物に、老化防止剤(安定剤)を配合することにより、これから形成される成形体の寿命を長くすることができる。このような老化防止剤として、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などがある。
さらに、老化防止剤として、フェニルブチルアミン、N,N-ジ-2-ナフチル-p―フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤等がある。
これらの老化防止剤は、1種単独であるいは2種以上の組み合わせで用いることができ、その配合量は、共重合体(A)および他の重合体の合計100質量部に対して、好ましくは0.3~10質量部、より好ましくは0.5~7.0質量部である。このような範囲内とすることにより、得られる共重合体組成物から得られる成形体表面のブルームがなく、さらに加硫阻害が発生を抑制することができる。
〈加工助剤〉
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。加工助剤の具体例としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エステル類などが挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。加工助剤の配合量は、共重合体(A)および他の重合体100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下である。
〈活性剤〉
活性剤の具体例としては、ジ-n-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物などが挙げられる。活性剤を含有する場合は、その配合量は、共重合体(A)およびそれ以外の重合体100質量部に対して、好ましくは0.2~10質量部、より好ましくは0.3~5質量部である。
〈吸湿剤〉
吸湿剤の具体例としては、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。吸湿剤を含有する場合は、その配合量は、共重合体(A)およびその他の重合体100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは1.0~12質量部である。
本発明の共重合体組成物は、共重合体(A)、水酸化カルシウム(C)およびシリル化ポリオレフィン(D)と、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えば、ミキサー、ニーダー、ロールなどの混練機を用いて所望の温度で混練することにより調製することができる。共重合体(A)は、混練性に優れているので、共重合体組成物の調製を良好に行うことができる。
<架橋体>
本発明の架橋体は前記組成物を架橋して得られる架橋体である。本発明の架橋体は、前記組成物を架橋することにより得られるため、従来のゴム組成物を架橋することにより得られる架橋体と比べて、引裂き強度や伸び特性等の機械物性および難燃性に優れる。
前記組成物を架橋する方法としては、特に限定はないが例えば前記組成物を成形した後に、架橋することにより、所望の形に成形された架橋体を得ることができる。
成形する方法としては、例えば圧縮成型、射出成型、注入成型等の型成型が、組成物を所望の形に成形しやすいため好ましい。
成形が型成型により行われる場合には、架橋は組成物を型から取り外す前、すなわち、型を閉じた状態で架橋を行うことが生産性の観点から好ましい。
架橋を行う際の条件としては、架橋剤の種類によっても異なるが、通常は組成物を加熱することにより行われる。
架橋を加熱により行う場合には、温度は通常は120~270℃、好ましくは150~180℃で行われ、加熱時間は通常は30秒~120分、好ましくは5~30分である。
本発明の架橋体は、硬度に優れるため、様々な用途に用いることができる。また、本発明の架橋体は、該架橋体から形成される層を有する積層体として各種用途に用いてもよい。
積層体の製造方法としては特に制限はないが、本発明の組成物を、他の成分と共押出し等により成形し、本発明の組成物から形成される層を含む積層体を得た後に、本発明の組成物を架橋する方法や、架橋体を調製した後に、該架橋体と、他の成分から形成される層とを、熱や接着剤により積層する方法が挙げられる。本発明の積層体において、架橋体から形成される層以外の層としては特に限定はないが、例えば、ナイロンやポリエステルの布帛地が挙げられる。また、架橋体から形成される層以外の層は、一層でも二層以上であってもよい。
<架橋体、積層体の用途>
本発明の架橋体、積層体の用途としては、自動車用部品、鉄道車両用部品、家電関連部品、土木・建材関連部品、雑貨、日用品等が挙げられる。
本発明の架橋体は強度に優れるため、本発明の架橋体、積層体は、例えば鉄道車両用部品等の特に強度が求められる用途に好適に用いることができる。
鉄道車両用部品としては、例えば外幌、内幌(貫通幌)等の鉄道車両用の幌が挙げられる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた重合体は下記の通りである。
〔エチレン・α-オレフィン共重合体(A)〕
共重合体(A)として、表1に示すEPDM-1、EPDM‐2およびEPDM-3を用いた。
Figure 2023150375000007
〔変性エチレン・α-オレフィン共重合体(B)〕
・無水マレイン酸グラフト変性エチレン・1-ブテン共重合体(B1)
MFR(190℃、2.16kg、ASTM D1238):1.5g/10分、密度(ASTM D1505):872kg/m3、脆化温度(ASTM D746):-70℃未満〔Mitsui Elastomers Singapore Pte Ltd製、商品名:タフマー MD715〕
〔水酸化マグネシウム(C)〕
・水酸化マグネシウム(C1):キスマ10〔協和化学工業株式会社製、アスペクト比67〕
〔シリル化ポリオレフィン(D)〕
・シリル化ポリオレフィン(D1):イクスフォーラ(登録商標)PE(三井化学ファイン(株)製)
実施例および比較例において使用した他の添加剤は、以下の市販品を用いた。
(1)亜鉛華:酸化亜鉛(ハクスイテック社製)ZnO#1
(2)ステアリン酸〔日油社製〕
(3)カーボンブラック:FEFカーボンブラック〔旭カーボン社製 商品名 旭60G〕
(4)シリカ〔東ソー・シリカ社製 商品名 Nipsil VN3〕
(5)パラフィン系オイル:〔出光興産社製 商品名 ダイアナプロセスPS-430〕
(6)有機過酸化物:ジクミルパーオキサイド〔化薬アクゾ社製 商品名カヤクミルDCP-40C〕
〔実施例1〕
MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB-4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、50質量部のEPDM-1、10質量部のEPDM-2、30質量部のEPDM-3、および10質量部の無水マレイン酸グラフト変性エチレン・1-ブテン共重合体(B1)、50質量部の水酸化マグネシウム(C1)、5質量部のシリル化ポリオレフィン(D1)、5質量部の亜鉛華、1質量部のステアリン酸、4質量部のカーボンブラック、20質量部のシリカ、および10質量部のパラフィン系オイルを混練し、組成物を得た。
組成物の混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間が5分間で行い、混練排出温度は170℃であった。
次いで、前記組成物が温度40℃になったことを確認した後、14インチロールを用いて、前記組成物に8.5質量部の有機過酸化物を混練し、架橋剤を含む組成物を得た。
上記組成物の混練条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=65℃/50℃、ロール回転数を前ロール/後ロール=13rpm/11.5rpm、ロール間隙を5mmとして混練時間8分間で分出した。
得られた架橋剤を含む未架橋の組成物を用いて、以下のように未加硫ゴム物性を評価した。結果を表2に示す。
[ムーニー粘度(ML(1+4)125℃)]
125℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)125℃)は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、125℃の条件下で測定した。
[加硫速度]
測定装置:MDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES 社製)を用いて、温度170℃および時間30分の測定条件下で、加硫速度(tc90)を以下のとおり測定した。
一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定した。トルクの最低値S’min[dNm]と最高値S’max[dNm]の差:S’max-S’min[dNm]、測定試料のトルクが最低値S’min到達後にトルクが1[dNm]上昇した時の時間:TS1[min]、トルクの最低値S’minを0%、最高値S’maxを100%として、測定試料のトルクが90%に到達したときの時間[min]:tc90、およびMCR[dNm/min]を求めた。
次に、前記架橋剤を含む組成物に、プレス成形機を用いて180℃で20分間架橋を行って、厚さ2mmおよび3mmのシート(架橋体のシート)を調製した。
得られた架橋体のシートについて、下記方法により硬度、モジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸び、引裂き強度および酸素指数(LOI)の測定を行った。結果を表2に示す。
[硬度]
前記架橋体のシートの硬度を、JIS K7312(1996)の「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」の7項の「硬さ試験」の記載およびJIS K6253(2006)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方」の6項の「デュロメーター硬さ試験」の試験タイプAの記載に準拠して測定した。
[モジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸び]
前記架橋体のシートのモジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸びを以下の方法で測定した。
前記架橋体のシートを打抜いてJIS K 6251(1993年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製し、この試験片を用いてJIS K6251第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、伸び率が25%であるときの引張応力(25%モジュラス(M25))、伸び率が50%であるときの引張応力(50%モジュラス(M50))、伸び率が100%であるときの引張応力(100%モジュラス(M100))、伸び率が200%であるときの引張応力(200%モジュラス(M200))、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
[引裂き強度]
前記架橋体の厚さ2mmのシートから、アングル形の試験片を作成し、この試験片を500mm/secの速度で引張り、最大応力値(引裂き強度)を測定した(測定温度25℃)。
[酸素指数(LOI)]
前記架橋体の厚み3mmシートを用い、JIS K7201-2に準拠し、酸素指数(LOI)を測定し、難燃性の尺度として用いた。
〔比較例1〕
シリル化ポリオレフィン(D1)を用いなかったこと以外は実施例1と同様に行い、組成物および架橋シートを得た。得られた架橋シートを用い、実施例1と同じ方法で物性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2023150375000008

Claims (3)

  1. エチレンとα-オレフィンとのモル比が50/50~85/15の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)100質量部、
    アスペクト比5~200を有する水酸化マグネシウム(C)1質量部以上100質量部未満、および
    シリル化ポリオレフィン(D)0.1~20質量部
    を含むことを特徴とするエチレン系共重合体組成物。
  2. 請求項1に記載のエチレン系共重合体組成物の架橋体。
  3. 請求項2に記載の架橋体を含む鉄道用製品。
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