JPWO2005105913A1 - ゴム組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
このため、制動性能、燃費性能に優れたタイヤを形成することができ、さらに機械強度、耐疲労性にも優れたゴム組成物の出現が望まれていた。
(A)α−オレフィン(A1)に由来する構造単位96〜70モル%と、非共役ポリエン
(A2)に由来する構造単位4〜30モル%とを含有するランダム共重合体であり、
ガラス転移温度(Tg)が−25〜20℃である
非共役ポリエン系共重合体60〜0.1重量部と、
(B)ジエン系ゴム40〜99.9重量部とを含有し、かつ
該成分(A)および該成分(B)の合計100重量部に対して、
(C)下記の(C1)〜(C9)からなる群から選ばれる少なくとも1種を以下に記載する量で含有することを特徴とする〔ただし、成分(C)がアクリロニトリル−共役ジエン共重合体(C4)を含む場合、成分(B)はアクリロニトリル−共役ジエン共重合体ではないものとする。〕;
(C1)炭素数2以上のα−オレフィンと極性基を含有するビニル化合物との共重合体
〔以下、「成分(C1)」とも言う。〕 1〜15重量部
(C2)芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを含有する共重合体、または該共重合体の水添物
〔以下、「成分(C2)」とも言う。〕 1〜15重量部
(C3)1種または2種以上のα−オレフィンを重合または共重合させてなり、α−オレフィンの炭素数の合計が6以上であるα−オレフィン重合体またはα−オレフィン共重合体(ただしα−オレフィンが2種以上の場合であって、かつ炭素数が5以下のα−オレフィンを含む共重合体の場合は、少なくとも1種のα−オレフィンに由来する構造単位は5〜95モル%の範囲にある。)
〔以下、「成分(C3)」とも言う。〕 1〜15重量部
(C4)アクリロニトリル−共役ジエン共重合体
〔以下、「成分(C4)」とも言う。〕 1〜15重量部
(C5)ポリエチレン樹脂(C5-1)5〜60重量%と、
ムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕が90〜250であり、
エチレン含量が70〜95モル%であるエチレン・α−オレフィン系共重合体
(C5-2)95〜40重量%と
を架橋剤の非存在下に、動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー
〔以下、「成分(C5)」とも言う。〕 1〜15重量部
(C6)1種または2種以上のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表され
る非共役ジエンとを共重合させて得られ、
α−オレフィンと非共役ポリエンとの合計100モル%に対し、非共役ポリエン
が0.1〜30モル%であり、かつ
ガラス転移温度(Tg)が−25℃未満である
α−オレフィン・非共役ジエン共重合体
〔以下、「成分(C6)」とも言う。〕 1〜15重量部
R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。〕
(C7)1種または2種以上の炭素数2以上のα−オレフィンと、下記式(2−1)で表
される非共役ポリエンとを共重合させて得られ、
α−オレフィンと非共役ポリエンとの合計100モル%に対し、非共役ポリエン
が0.1〜30モル%であり、かつ
ガラス転移温度(Tg)が−25℃未満である
α−オレフィン・非共役ジエン共重合体
〔以下、「成分(C7)」とも言う。〕 1〜15重量部
pおよびqは0または1(ただしpとqとは同時に0ではない。)、
fは0〜5の整数(ただしpとqの両方が1の場合、fは0ではない。)、
gは1〜6の整数、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1
〜3のアルキル基、
R8は炭素数1〜3のアルキル基、
R9は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここでnは1〜5の整数、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、R12は炭素数1〜3のアルキル基である。)である(ただしpとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)。〕
(C8)前記(C1)、(C2)、(C3)、(C6)、(C7)のいずれかの重合体を極性基含有不飽和化合物でグラフト変性してなる変性重合体
〔以下、「成分(C8)」とも言う。〕 1〜15重量部
(C9)親水基および親油基を含有する、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤もしくは両性界面活性剤またはこれらのいずれか2種以上からなる混合物
〔以下、「成分(C9)」とも言う。〕 1〜15重量部。
前記α−オレフィン(A1)に由来する構造単位は、エチレンに由来する構造単位(a)を含み、かつ、該エチレンに由来する構造単位(a)と、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構造単位(b)とのモル比〔(a)/(b)〕が100/0〜1/99であることが好ましい。
前記非共役ポリエン系共重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.01〜10dl/gであることが好ましい。
前記非共役ポリエン(A2)の少なくとも一部は、非共役環状ポリエン(A2a)であることが好ましい。
mは0〜2の整数であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表し、炭化水素基は二重結合を有していてもよく、
R1〜R4は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつこの単環または多環は二重結合を有していてもよく、
R1とR2とで、または、R3とR4とでアルキリデン基を形成していてもよく、
R1とR3とが、または、R2とR4とが互いに結合して二重結合を形成していてもよい。
(i)R1〜R4が互いに結合して形成される単環または多環が二重結合を有していること;
(ii)R1とR2とで、または、R3とR4とでアルキリデン基が形成されていること;
(iii)R1とR3とが、または、R2とR4とが互いに結合して二重結合が形成されていること;
(iv)R1〜R4の少なくとも1つは二重結合を1個以上有する不飽和の炭化水素基であること。〕
本発明に係るタイヤ用ゴム材料は、上記のゴム組成物を含有することを特徴としている。
本発明に係るタイヤは、上記のタイヤトレッドを備えていることを特徴としている。
また、本発明に係るゴム組成物は、機械強度、耐疲労性に優れていることから、特にタイヤなどの用途に好適に用いることができる。
本発明に係るゴム組成物を適用したタイヤは、制動性能、燃費性能、機械強度、耐疲労性に優れる。
[ゴム組成物]
本発明に係るゴム組成物は、非共役ポリエン系共重合体(A)、ジエン系ゴム(B)および特定の化合物(C)を混合することを特徴としている。
このような本発明のゴム組成物は、特定の化合物(C)を含有しないゴム組成物と比較して、機械強度および耐疲労性に優れる。したがって、本発明のゴム組成物を、たとえばタイヤに適用すれば、該タイヤは優れた制動性能と優れた燃費性能とが両立し、ゴム弾性、耐候性、耐オゾン性にも優れ、特に機械特性、耐疲労性にも優れたものとなる。また、該タイヤは耐磨耗性にも優れる。
<ゴム組成物の成分>
<(A)非共役ポリエン系共重合体>
本発明で用いられる非共役ポリエン系共重合体(A)は、α−オレフィン(A1)に由来する構造単位と、非共役ポリエン(A2)に由来する構造単位とを含むランダム共重合体である。
非共役ポリエン(A2)に由来する構造単位の含有量は4〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは6〜20モル%である。
α−オレフィン(A1)および非共役ポリエン(A2)の含有量がこの範囲であると、非共役ポリエン系共重合体(A)とジエン系ゴム(C)との共加硫性が向上する点から、好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、粘弾性試験によるtanδの温度依存性測定から求めることができる。本発明においては、2mm厚のポリマーシートについて、粘弾性試験機(レオメトリック社製の粘弾性試験機;型式RDS−2)を用いて、測定温度−70〜30℃、周波数10Hz、歪率0.5%および昇温速度4℃/分の条件で損失正接tanδ(振動減衰性の指標)の温度依存性を測定し、tanδが極大となる温度をガラス転移温度(Tg)とする。
また、非共役ポリエン系共重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.01〜10dl/g、さらに好ましくは0.01〜7dl/g、特に好ましくは0.01〜5dl/gである。
(A1)α−オレフィン
本発明で用いられる非共役ポリエン系共重合体(A)を構成するα−オレフィン(A1)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜20、好ましくは2〜15のα−オレフィンが挙げられる。さらに好ましくは、ゴム組成物の耐疲労性に優れる点から、炭素数4〜8のα−オレフィン、特にブテン、ヘキセン、オクテンが挙げられる。α−オレフィン(A1)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
(A2)非共役ポリエン
本発明で用いられる非共役ポリエン系共重合体(A)を構成する非共役ポリエン(A2)は、環状であってもよく、鎖状であってもよい。このような非共役ポリエン(A2)としては、たとえば以下に示す(A2a)非共役環状ポリエン、(A2b)非共役鎖状ポリエンなどが挙げられる。
(A2a)非共役環状ポリエン
本発明で用いられる非共役ポリエン系共重合体(A2)を構成する非共役環状ポリエン(A2a)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
mは0〜2の整数であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表し、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられ、炭化水素基は二重結合を有していてもよく、
R1〜R4は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、該単環または多環は二重結合を有していてもよく、
R1とR2とで、またはR3とR4とでアルキリデン基を形成していてもよく、
R1とR3とが、またはR2とR4とが互いに結合して二重結合を形成していてもよい。
(i)R1〜R4が互いに結合して形成される単環または多環が二重結合を有していること;
(ii)R1とR2とで、または、R3とR4とでアルキリデン基が形成されていること;
(iii)R1とR3とが、または、R2とR4とが互いに結合して二重結合が形成されていること;
(iv)R1〜R4の少なくとも1つは二重結合を1個以上有する不飽和の炭化水素基であること。〕
また前記式(1−1)においてR1〜R4で示される炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基および二重結合を1個以上有する不飽和の炭化水素基などが挙げられる。
また前記式(1−1)において、R1とR2とで、または、R3とR4とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素数1〜20のアルキリデン基であり、具体的な例としてはメチレン基(CH2=)、エチリデン基(CH3CH=)、プロピリデン基(CH3CH2CH=)およびイソプロピリデン基((CH3)2C=)などをあげることができる。
R1とR2とで、またはR3とR4とでアルキリデン基を形成したアルキリデン基を有するアルキリデン基含有非共役環状ポリエン(A2a−1)、
R1〜R4が互いに結合して1個以上の二重結合を有する単環または多環を形成した多環式非共役環状ポリエン(A2a−2)、
R1〜R4の少なくとも1つが二重結合を1個以上有する1価の不飽和炭化水素基である不飽和炭化水素基含有非共役環状ポリエン(A2a−3)、
R1とR3とが、またはR2とR4とが互いに結合して二重結合を形成しており、橋頭炭素原子同士または縮合環の共有炭素原子同士を結ぶ線を対称軸とした場合に環が左右対称性を有する環対称性非共役環状ポリエン(A2a−4)
などが挙げられる。
前記式(1−2)のR17で示されるアルキリデン基の具体的なものとしては、メチレ基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基などの炭素数1〜20のアルキリデン基が挙げられる。
前記式(1−2)で表されるアルキリデン基含有非共役環状ポリエン(A2a−1)としては、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネンおよび下記の化合物などが挙げられる。これらの中では、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
(A2b)非共役鎖状ポリエン
本発明で用いられる非共役ポリエン系共重合体(A2)としては非共役鎖状ポリエン(A2b)を挙げることもできる。非共役鎖状ポリエン(A2b)は、1分子内に非共役の不飽和結合を2個以上有する化合物である。非共役鎖状ポリエン(A2b)としては、非共役ジエン、非共役トリエンまたは非共役テトエラエンなどが使用できる。非共役鎖状ポリエン(A2b)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
pおよびqは0または1(ただしpとqとは同時に0ではない。)、
fは0〜5の整数(ただしpとqの両方が1の場合、fは0ではない。)、
gは1〜6の整数、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、
R8は炭素数1〜3のアルキル基、
R9は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここでnは1〜5の整数、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、R12は炭素数1〜3のアルキル基である。)である(ただしpとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)。〕
なお、前記式(2−2)で示される非共役トリエン(A2b−2)は、前記式(2−1)で示される非共役トリエンまたはテトラエン(A2b−1)においてfが0、gが2、pが0、qが1、R5およびR6が水素原子である非共役トリエンである。さらに前記式(2−2)で示される非共役トリエン(A2b−2)の中でも、R3およびR5がどちらもメチル基である化合物が好ましい。このような非共役トリエン(A2b−2)をモノマー原料として用いて得られる本発明の非共役ポリエン系共重合体を用いれば、後述のゴム組成物から形成したタイヤの制動性能と燃費性能がどちらも特に優れた状態で両立する。
前記式(2−2)で示される非共役トリエン(A2b−2)としては、下記化合物などが挙げられる。
(非共役ポリエン系共重合体(A)の製造方法)
本発明で用いられる非共役ポリエン系共重合体(A)は、α−オレフィン(A1)および非共役ポリエン(A2)を、触媒の存在下に共重合させることにより製造することができる。
共重合は、公知の反応条件、たとえば本願出願人が出願した特開2001−114837号([0074]〜[0081]段落)に記載されているような反応条件で行なうことができる。
上記のようにして共重合を行うと、本発明で用いられる非共役ポリエン系共重合体(A)は、通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、非共役ポリエン系共重合体が得られる。
<(B)ジエン系ゴム>
本発明で用いられるジエン系ゴム(B)としては、主鎖に二重結合を有する公知のジエン系ゴムが制限なく使用できるが、共役ジエン化合物を主モノマーとする重合体または共重合体ゴムが好ましい。ジエン系ゴム(B)には天然ゴム(NR)、水添ゴムも含まれる。ジエン系ゴム(B)としては、ヨウ素価が100以上、好ましくは200以上、さらに好ましくは250以上のものが望ましい。
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)としては、比重が0.91〜0.98、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕が20〜120のものが好ましく用いられる。ブタジエンゴム(BR)としては、比重が0.90〜0.95、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕が20〜120のものが好ましく用いられる。
。
<成分(C)>
本発明で用いられる成分(C)は、以下に詳細に説明する成分(C1)〜(C9)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む〔ただし、成分(C)がアクリロニトリル−共役ジエン共重合体(C4)を含む場合、成分(B)はアクリロニトリル−共役ジエン共重合体ではないものとする。〕。
(C1)〜(C9)の各成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合は、本発明のゴム組成物中における(C1)〜(C9)の各成分の合計の含量は、特に制限はないが、非共役ポリエン系共重合体(A)およびジエン系ゴム(B)の合計100重量部に対して、通常1〜50重量部であり、より好ましくは1〜40重量部であり、さらに好ましくは1〜30重量部である。
<成分(C1)>
本発明で用いられる成分(C1)は、炭素数2以上のα−オレフィンと極性基を含有するビニル化合物との共重合体である。
(炭素数2以上のα−オレフィン)
炭素数2以上のα−オレフィンとは、好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィンである。このようなα−オレフィンとしては、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどが挙げられる。
(極性基を有するビニル化合物)
極性基を有するビニル化合物とは、具体的にはヘテロ原子を含有するビニル化合物である。ヘテロ原子としては、酸素原子、チッ素原子、イオウ原子、ハロゲン原子などが挙げられる。
(成分(C1))
成分(C1)は、上記した炭素数2以上のα−オレフィンと極性基を含有するビニル化合物との共重合体である。
このような成分(C1)は、上記各モノマーを従来公知のラジカル重合、チーグラー重合すると得ることができる。また、成分(C1)は既製品であってもよい。
成分(C1)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃,2.16kg荷重)は、特に限定されないが、通常は0.001〜1000g/10分、好ましくは1〜500g/10分、さらに好ましくは1〜400g/10分である。
<成分(C2)>
本発明で用いられる成分(C2)は、芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを有する共重合体(以下、「ブロック共重合体(c2)」とも言う。)、またはブロック共重合体(c2)の水添物である。
・芳香族ビニル部分の重合から誘導された重合体ブロック、および
・共役二重結合を有する少なくとも1つのモノマーの重合から誘導された重合体ブロックを含む。
ブロック共重合体(c2)は、スチレン−ジエンブロック共重合体であることが好ましい。
(芳香族ビニル重合体ブロック)
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、p−メチルスチレン、4−n−プロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、1,1−ジフェニル−スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、3−メチル−5−n−ヘキシルスチレンなどが挙げられ、これらの中では、スチレンが好ましい。
(共役ジエン重合体ブロック)
共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−オクタジエン、4−エチル−1,3−ヘキサジエンなどの共役二重結合を有する化合物が挙げられる。
(成分(C2))
ブロック共重合体(c2)は、1つ以上の芳香族ビニル化合物から誘導された重合体ブロックA、および共役二重結合を有する1つ以上の化合物から誘導された重合体ブロックBを、本質的に含有する。
ブロック共重合体(c2)の分子構造は、線状、枝分かれおよび放射状のタイプのいずれか、またはそれらのタイプのいずれかの組合せであってもよい。
本発明においては、それらのうち(A−B)xAタイプの共重合体が好適に使用される。ここで、xは1が好ましい。
本発明で用いられるブロック共重合体(c2)およびその水添加物は、市販品を広く使用することができる。また、リビング重合により容易に製造することもできる。
成分(C2)としては、
SEBS(ポリスチレンと水添化ポリブタジエンが結合したトリブロック共重合体、またはジブロック共重合体、たとえば商品名セプトン(クラレ))、
SEPS(ポリスチレン−水添化ポリイソプレンが結合したトリブロック共重合体、またはジブロック共重合体、たとえば商品名セプトン(クラレ))、
SEEPS(ポリスチレン−水添化ポリイソプレンが結合したトリブロック共重合体、またはジブロック共重合体、たとえば商品名セプトン(クラレ))、
SIS(ポリスチレンとビニル−ポリイソプレンが結合したトリブロック共重合体、たとえば商品名ハイブラー(クラレ))
などが好ましく、これらの中ではSISが特に好ましい。
成分(C2)の含量は、非共役ポリエン系共重合体(A)とジエン系ゴム(B)との合計100重量部に対して、1〜15重量部、好ましくは2〜13重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
<成分(C3)>
本発明で用いられる成分(C3)は、1種または2種以上のα−オレフィンを重合または共重合させてなり、α−オレフィンの炭素数の合計が6以上であるα−オレフィン重合体または共重合体(ただしα−オレフィンが2種以上の場合であって、かつ炭素数が5以下のα−オレフィンを含む共重合体の場合は、少なくとも1種のα−オレフィンに由来する構造単位は5〜95モル%の範囲にある)である。
(α−オレフィン)
成分(C3)におけるα−オレフィンは、炭素数2以上のα−オレフィンであり、好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィンである。
α−オレフィンの炭素数の合計とは、α−オレフィンが1種用いられる場合には、そのα−オレフィンの炭素数のことであり、またα−オレフィンが2種以上用いられる場合には、用いられるα−オレフィンの炭素数をすべて足し合わせた値のことである。たとえばプロピレン−ブテン共重合体であれば、プロピレンの炭素数が3でありブテンの炭素数が4であるので、α−オレフィンの炭素数の合計は7である。
(α−オレフィン重合体またはα−オレフィン共重合体)
成分(C3)において、1種のα−オレフィンを重合させてなる重合体としては、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−へキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)などが挙げられる。
1−ブテン・プロピレン共重合体(プロピレン含量50モル%以下)、
プロピレン・1−ブテン共重合体(1−ブテン含量50モル%未満)、
エチレン・1−ブテン共重合体(1−ブテン含量50モル%以下)、
1−ブテン・エチレン共重合体(エチレン含量50モル%未満)、
エチレン・1−ヘキセン共重合体(1−へキセン含量50モル%以下)、
エチレン・1−オクテン共重合体(1−オクテン含量50モル%以下)、
などが挙げられる。
α−オレフィンが2種以上の場合であって、かつ炭素数が5以下のオレフィンを含む場合は、少なくとも1種のα−オレフィンに由来する構造単位は5〜95モル%の範囲にある。
1−ブテン・プロピレン共重合体(プロピレン含量50モル%以下)の密度は、通常880〜930kg/m3、好ましくは880〜930kg/m3であり、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃,2.16kg荷重)は、通常0.01〜200g/10分、好ましくは0.01〜100g/10分である。
これらの重合体または共重合体は、メタロセン触媒、固体状チタン触媒、バナジウム触媒を用いた公知の方法で、製造することが可能である。
<成分(C4)>
本発明で用いられる成分(C4)、すなわちニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、公知であり、たとえば「14303の化学商品, p1209−1210(化学工業日報社、2003年1月28日発行)」などに記載されている。
成分(C4)中のアクリロニトリル含量は、10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。
また、成分(C4)のムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕は通常20〜200であり、好ましくは20〜100である。
なお、成分(C)として成分(C4)を使用する場合は、ジエン系ゴム(B)はアクリロニトリル−共役ジエン共重合体ではないものとする。
<成分(C5)>
本発明で用いられる成分(C5)は、
ポリエチレン樹脂(C5-1)5〜60重量%と、
ムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕が90〜250であり、
エチレン含量が70〜95モル%であるエチレン・α−オレフィン系共重合体
(C5-2)95〜40重量%と
を架橋剤の非存在下に、動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
(ポリエチレン樹脂(C5-1))
ポリエチレン樹脂(C5-1)としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンなど、公知のポリエチレン樹脂を制限なく用いることができるが、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましい。
ポリエチレン樹脂(C5-1)として直鎖状低密度ポリエチレンを用いる場合は、そのメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃,2.16kg荷重)は0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分であり、その密度は0.88〜0.95g/cm3、好ましくは0.91〜0.94g/cm3である。
他のモノマーとしては、炭素数が3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィン;酢酸ビニルおよびエチルアクリレート等のビニルモノマーなどが挙げられる。他のモノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどが挙げられる。他のモノマーは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
(エチレン・α−オレフィン系共重合体(C5-2))
エチレン・α−オレフィン系共重合体(C5-2)としては、公知のエチレン・α−オレフィン系共重合体が使用できる。
また、エチレン・α−オレフィン系共重合体(C5-2)中のエチレン由来の構成単位の含量は、70〜95モル%であり、好ましくは70〜90モル%、さらに好ましくは75〜90モル%、特に好ましくは75〜85モル%である。
エチレン・α−オレフィン系共重合体(C5-2)としては、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体などが挙げられる。これらの中では、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン系共重合体(C5-2)において、エチレンおよびα−オレフィンと共重合される非共役ポリエンとしては、たとえばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンおよびエチリデンノルボルネン等の非共役ジエンなどが挙げられる。非共役ポリエンは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
エチレン・α−オレフィン系共重合体(C5-2)は1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
エチレン・α−オレフィン系共重合体(C5-2)はメタロセン触媒、バナジウム触媒などの公知の触媒を用いて公知の方法、たとえば、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会発行、P.309〜330)」に記載された方法により製造することができる。
(成分(C5))
成分(C5)は、ポリエチレン樹脂(C5-1)とエチレン・α−オレフィン系共重合体とを架橋剤の非存在下に、動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
4.8 < (T-130)/100 + 2.2logP + logQ - logR < 7.0 …(2)
好ましくは、
5.0 < (T-130)/100 + 2.2logP + logQ - logR < 6.8 …(2')
さらに好ましくは、
5.3 < (T-130)/100 + 2.2logP + logQ - logR < 6.5 …(2'')
〔上記式(2)、(2')および(2'')中、Tは二軸押出機のダイス出口での樹脂温度(℃)、Pは二軸押出機のスクリューの直径(mm)、Qは二軸押出機内で受ける最高剪断速度(sec-1)、Rは二軸押出機の押出量(kg/h)である。上記最高剪断速度Q(sec-1)は、Q=P×π×S/Uの式から求められる。ここで、Pは二軸押出機のスクリューの直径(mm)、Sは1秒間でのスクリュー回転数(rps)、Uはバレル内壁とスクリューのニーディングセグメント間のクリアランスの最も狭い部分の距離(mm)である。〕。
(X) 9 ≦ Y − 0.43X ≦ 27 …(1)
好ましくは、
9 ≦ Y − 0.43X ≦ 26 …(1')
さらに好ましくは、
10 ≦ Y − 0.43X ≦ 26 …(1'')
〔式(1)、(1')および(1'')中、
XはJIS K6253(1997)に準拠して測定したオレフォン系熱可塑性エラストマーのJIS A硬度(単位はなし)であり、
YはJIS K6262(1997)に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪(単位は%)である。〕
(Y)JIS K6251(1993)に準拠して測定した引張強度が5〜30MPa、好ましくは8〜30MPa、さらに好ましくは12〜30MPa
(Z)JIS K6301(1971)に準拠して測定した永久伸びが18%以下、好ましくは0.5〜15%、さらに好ましくは0.5〜12%。
・JIS A硬度:JIS K6253(1997)、スプリング式硬さ試験機A型による瞬間値
・圧縮永久歪:JIS K6262(1997)、厚さ12.7mm、直径29.0mmの円柱形サンプルを用いて、25%圧縮、70℃×22時間後の残留歪
・引張強度:JIS K6251(1993)、JIS3号ダンベルを用いて引張速度200mm/minにて引張試験を行った引張強度
・永久伸び:JIS K6301(1971)、JIS3号ダンベルを100%伸長して10分間保持し、荷重除去10分後の残留歪。
1)プロピレン単独重合体
2)90モル%以上のプロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体)
3)70モル%以上のプロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
プロピレンと共重合される上記他のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンが挙げられる。
このような成分(C5)の含量は、非共役ポリエン系共重合体(A)とジエン系ゴム(B)との合計100重量部に対して、1〜15重量部、好ましくは2〜13重量部、さら好ましくは2〜10重量部である。
さらに、成分(C5)のポリエチレン樹脂(C5-1)含量は、5〜60重量%であり、好ましくは15〜55重量%である。
<成分(C6)>
本発明で用いられる成分(C6)は、
1種または2種以上のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表される非共役ジエンとを共重合させて得られ、
α−オレフィンと非共役ポリエンの合計100モル%に対し、非共役ポリエンが0.1〜30モル%であり、かつ
ガラス転移温度が−25℃未満である
α−オレフィン・非共役ジエン共重合体である。
(α−オレフィン)
α−オレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィン、特に炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましい。このようなα−オレフィンとしては、特には制限なく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを用いることができる。
(非共役ポリエン)
成分(C6)に用いられる非共役ポリエンは、下記の一般式[I]または[II]で表わされるノルボルネン化合物である。
R1は炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
R3のアルキル基の具体例としては、上記R1のアルキル基の具体例と同じアルキル基を挙げることができる。
上記一般式[I]または[II]で表わされるノルボルネン化合物としては、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-
ジメチル-3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4- ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6- ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5- ヘキセシル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンなど挙げられる。
これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
(成分(C6))
本発明で用いられる成分(C6)は、α−オレフィン・非共役ジエン共重合体であり、好ましくは、エチレンおよびα−オレフィンと非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
また成分(C6)のガラス転移温度は−25℃未満、好ましくは−28℃以下、より好ましくは−30℃以下である。
成分(C6)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.01〜10dl/g、好ましくは0.01〜7dl/g、さらに好ましくは0.5〜5dl/gである。
なお、α−オレフィンがエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとからなる場合は、成分(C6)は、
エチレンに由来する構成単位(a)とα−オレフィン(b)(炭素数は3以上である)に由来する構成単位とを、35/65〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは60/40〜80/20のモル比〔(a)/(b)〕で含有している。
<成分(C7)>
本発明で用いられる(C7)成分は、
1種または2種以上の炭素数2以上のα−オレフィンと、下記式(2−1)で表される非共役ポリエンとを共重合させて得られ、
α−オレフィンと非共役ポリエンの合計100モル%に対し、非共役ポリエンが0.1−30モル%であり、かつ
ガラス転移温度が−25℃未満である
α−オレフィン・非共役ジエン共重合体である。
(α−オレフィン)
α−オレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィン、特に炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましい。このようなα−オレフィンとしては、特には制限なく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを用いることができる。
(非共役ポリエン)
成分(C7)に用いられる非共役ポリエンは、下記の一般式(2−1)で表わされる。
pおよびqは0または1(ただしpとqとは同時に0ではない。)、
fは0〜5の整数(ただしpとqの両方が1の場合、fは0ではない。)、
gは1〜6の整数、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、
R8は炭素数1〜3のアルキル基、
R9は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここでnは1〜5の整数、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、R12は炭素数1〜3のアルキル基である。)である(ただしpとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
)。〕
なお、前記式(2−2)で示される非共役トリエンは、前記式(2−1)で示される非共役トリエンまたはテトラエンにおいてfが0、gが2、pが0、qが1、R5およびR6が水素原子である非共役トリエンである。
前記式(2−2)で示される非共役トリエン(A2b−2)としては、下記化合物などが挙げられる。
(成分(C7))
本発明で用いられる成分(C7)は、α−オレフィン・非共役ジエン共重合体であり、好ましくは、エチレンおよびα−オレフィンと非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
また成分(C7)のガラス転移温度は−25℃未満、好ましくは−28℃以下、より好ましくは−30℃以下である。
成分(C7)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.01〜10dl/g、好ましくは0.01〜7dl/g、さらに好ましくは0.5〜5dl/gである。
また、成分(C7)のムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕は、好ましくは1〜200、さらに好ましくは10〜150である。
<成分(C8)>
本発明で用いられる成分(C8)は、前記成分(C1)、(C2)、(C3)、(C6)、(C7)のいずれかを極性基含有不飽和化合物で変性してなる変性重合体である。
極性基としては、C=O基(カルボニル基)、CO-O-R基(エステル基)、CO-O-CO基(酸無水物基)、COOH基(カルボン酸基)、OH基、エポキシ基、ニトリル基、アミド基、アミノ基などが挙げられる。
上記極性基含有不飽和化合物としては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアリルアミン系誘導体アクリルアミド、N-メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体、p-アミノスチレンなどのアミノスチレン類、6-アミノヘキシルコハク酸イミド、2-アミノエチルコハク酸イミドなどが挙げられる。
このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど、マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p-t-ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられる。
変性重合体は、従来公知の方法、たとえば押し出し機による溶融変性などの方法で成分(C1)、(C2)、(C3)、(C6)、(C7)をグラフト変性することにより製造することができる。
成分(C1)、(C2)、(C3)、(C6)、(C7)のいずれかの極性基含有不飽和化合物によるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、たとえば成分(C1)、(C2)、(C3)、(C6)、(C7)のいずれかを有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、反応させることにより行うことができる。また押出機などを用いて、無溶媒で、(C1)(C2)(C3)(C6)(C7)と極性基含有不飽和化合物とを反応させて、変性ランダム共重合体を製造することもできる。
変性量は前記成分(C1)、(C2)、(C3)、(C6)、(C7)のいずれかが100重量%に対する極性基含有不飽和化合物の結合量として、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の割合である。
<成分(C9)>
本発明で用いられる成分(C9)は、親水基および親油基を含有する、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤もしくは両性界面活性剤またはこれらのいずれか2種以上からなる混合物である。
これら中では、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤においてはHLB値(Griffin,J.soc.Cosmetic Chemists,1,311(1949)参照)が、1.5〜19の範囲であることが好ましい。
任意成分
<(D)石油樹脂>
本発明のゴム組成物は、石油樹脂(D)を含有していてもよい。このような石油樹脂(D)としては、クマロン・インデン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、合成ポリテルペン樹脂、石油系炭化水素樹脂、ロジン誘導体、アタクチック・ポリプロピレン、シス−1,4−ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。これらの中では、石油系環状炭化水素樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クマロン・インデン樹脂が好ましい。
このような石油樹脂(D)の含量は、前記非共役ポリエン系共重合体(A)とジエン系ゴム(B)との合計100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
(加硫剤)
本発明の製造方法により得られるゴム組成物は、加硫可能なゴム組成物であり、未加硫のままで用いることもできるが、加硫物として用いると、より一層優れた特性を発現させることができる。加硫は、加硫剤を使用して加熱する方法、あるいは加硫剤を用いずに電子線を照射する方法などにより行うことができる。
イオウの形態は特に限定されず、たとえば粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどであってもよい。前記イオウ系化合物としては、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。
ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルペルオキシド類;
t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシマレイン酸、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t-ブチルペルオキシフタレート等のペルオキシエステル類;
ジシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類
などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
上記のような各種加硫剤の中でも、優れた特性のゴム組成物を得ることができる点から、イオウまたはイオウ系化合物が好ましく、イオウが特に好ましい。
N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;
2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4'-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;
アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;
2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;
チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系化合物;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;
ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;
亜鉛華
などが挙げられる。
加硫剤として有機過酸化物を用いる場合には、加硫助剤を有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくはほぼ等モルの量で併用することが好ましい。加硫助剤としては、イオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物に加えて、多官能性モノマー、たとえばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;m-フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
(補強剤)
また、本発明に係る製造方法で得られるゴム組成物には、補強剤などの添加剤を配合することもできる。上記補強剤としては、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック;これらのカーボンブラックをシランカップリング剤などで表面処理した表面処理カーボンブラック;シリカ、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、微粉タルク、タルク、微粉ケイ酸、クレー等の無機充填剤などが挙げられる。
また、ゴム組成物がこのような量の補強剤を含有していれば、引張強度、引裂強度および耐摩耗性などの機械的性質が向上された加硫ゴムを得ることができ、加硫ゴムの他の物性を損なうことなくその硬度を高くすることができ、さらに加硫ゴムの製造コストを引下げることができる。
(軟化剤)
軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が広く用いられる。このような軟化剤としては、
パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等の石油系軟化剤;
合成油系軟化材;
エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー;
パラフィン・ワックス;
流動パラフィン;
ホワイト・オイル(白油);
ペトロラタム;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、錦実油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、パーム油、大豆油、落花生油、木ろう、ロジン、パインオイル、ジペンテン、パインタール、トール油等の植物油系軟化剤;
黒サブ、白サブ、飴サブ等のサブ(ファクチス);
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;
クマロン・インデン樹脂;
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂等のフェノール,テルペン系樹脂;
合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂、水添変性脂環族系炭化水素樹脂、水添炭化水素樹脂、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、アタクチックポリプロピレン等の石油系炭化水素樹脂;
などが挙げられる。これらの中では石油系軟化材が好ましく、中でもアロマ系プロセスオイルが好ましい。
軟化剤の配合量は、非共役ポリエン系共重合体(A)とジエン系ゴム(B)との合計100重量部に対して200重量部以下であり、好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは10〜150重量部である。
(発泡剤)
本発明の製造方法により得られるゴム組成物は、発泡剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物を含有する場合には、発泡成形することができる。発泡剤としては、一般的にゴムを発泡成形する際に用いられる発泡剤を広く使用することができる。
重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;
N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;
カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物
などが挙げられる。これらの中では、ニトロソ化合物、アゾ化合物、アジド化合物が好ましい。
また、発泡剤とともに発泡助剤を用いることもでき、発泡助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの効果がある。このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
(酸化防止剤)
本発明の製造方法により得られるゴム組成物は、その材料寿命を長くできる点から、酸化防止剤を含有していることが好ましい。このような酸化防止剤としては、
フェニルナフチルアミン、4,4'-(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;
2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;
ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤;2-メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系安定剤;
ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;
2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定剤
などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(加工助剤)
加工助剤としては、一般的に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。このような加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の酸、これら高級脂肪酸の塩、たとえばステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類などが挙げられる。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物は、非共役ポリエン系共重合体(A)、ジエン系ゴム(B)および必要により配合する上記のような他の成分から、一般的なゴム配合物の調製方法によって調製することができる。たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス等のインターナルミキサー類を用いて、非共役ポリエン系共重合体(A)、ジエン系ゴム(B)および必要により配合する他の成分を、80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、加硫剤および必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状のゴム組成物(配合ゴム)が得られる。上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、加硫剤、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
また加硫剤を使用せずに電子線照射により加硫する場合は、予備成形されたゴム組成物に、0.1〜10MeV、好ましくは0.3〜2MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が0.5〜35Mrad、好ましくは0.5〜10Mradになるように照射すればよい。成形・加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合には、ゴム組成物は通常連続的に成形・加硫される。
本発明に係るゴム組成物は、非共役ポリエン系共重合体(A)とジエン系ゴム(B)と成分(C)とを含有する。
本発明に係るゴム組成物はゴム製品の原料として幅広く利用することができるが、タイヤ用ゴム材料として好適に使用することができる。タイヤ用ゴム材料の具体的なものとしては、タイヤトレッド、タイヤサイドウォールなどの材料が挙げられる。これらの中では、タイヤトレッドの材料(原料)として用いるのが最も好ましく、この本発明に係るゴム組成物の特性が最も効果的に発揮され、優れた制動性能と優れた燃費性能とが両立し、さらに耐候性、耐オゾン性などにも優れ、特に機械特性と耐疲労性に優れたタイヤを得ることができる。また、耐磨耗性に優れたタイヤを得ることができる。
本発明に係るゴム組成物中の非共役ポリエン系共重合体(A)とジエン系ゴム(B)との合計の含有量は3重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、上限は特にないが90重量%以下であることが望ましい。つまり成分(A)、(B)および(C)と、必要に応じて添加される石油樹脂(D)の合計は、組成物全体に対して3.03〜100重量%であることが好ましい。
本発明に係るタイヤ用ゴム材料は前記本発明のゴム組成物からなることを特徴とする。
本発明に係るタイヤ用ゴム材料は優れた制動性能と優れた燃費性能とが両立しているほか、本発明に係るタイヤ用ゴム材料は、ゴム弾性、耐候性、耐オゾン性にも優れ、特に機械特性、耐疲労性に優れている。また、該ゴム材料は耐磨耗性にも優れている。したがって本発明に係るタイヤ用ゴム材料を適用すれば、優れた制動性能と優れた燃費性能とが両立し、ゴム弾性、耐候性、耐オゾン性にも優れ、特に機械特性、耐疲労性に優れたタイヤを得ることができる。また、耐磨耗性に優れたタイヤを得ることができる。
本発明に係るタイヤトレッドは前記本発明のタイヤ用ゴム材料を用いて形成されるものである。
本発明のタイヤ用ゴム材料を加硫して得られるタイヤトレッドを適用すれば、優れた制動性能と優れた燃費性能とが両立し、ゴム弾性、耐候性、耐オゾン性にも優れ、特に機械特性、耐疲労性に優れたタイヤを得ることができる。また、耐磨耗性に優れたタイヤを得ることができる。
本発明に係るタイヤは前記本発明のタイヤトレッドを備える。本発明に係るタイヤは優れた制動性能と優れた燃費性能とが両立し、ゴム弾性、耐候性、耐オゾン性にも優れ、特に機械特性、耐疲労性に優れる。また、該タイヤは耐磨耗性にも優れる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
<試験サンプルの調整>
(非共役ポリエン系共重合体(A)の合成)
非共役ポリエン系共重合体(A)の組成、ML粘度、ガラス転移温度(Tg)は次の方法で測定ないし求めた。
[1]非共役ポリエン系共重合体(A)の組成
非共役ポリエン系共重合体(A)組成は1H−NMR法で測定した。
[2]ML粘度試験
ML粘度は、島津製作所(株)製のムーニービスコメーター(形式SMV−201)を用い、JIS K 6300に準拠して100℃でムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕を測定した。
[3]ガラス転移温度(Tg)
2mm厚のポリマーシートについて、レオメトリック社製の粘弾性試験機(型式RDS−2)を用いて、測定温度−70〜30℃、周波数10Hz、歪率0.5%および昇温速度4℃/分の条件で損失正接tanδ(振動減衰性の指標)の温度依存性を測定し、tanδが極大となる温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[合成例1]
非共役ポリエン系共重合体(A)の合成は、下記の表1に示す原料供給条件の下、容積300LのSUS製攪拌機つき反応器を用い、温度を40℃に保ち液レベルを100Lとして連続法で行った。重合後の重合液に標準的な脱灰を行ない、スチームストリッピングでポリマー(以下、「共重合体1(EPT)」とも言う。)を得た。
[合成例2]
原料供給条件を表2のように、また反応温度を25℃に変更した以外は、合成例1と同様にして非共役ポリエン系共重合体(A)(以下、「共重合体2(EBT)」とも言う。)を合成した。共重合体2(EBT)の収量は、1時間あたり0.71kgであった。
[実施例1]
(A)成分(共重合体1(EPT))、(B)成分(SBR、BR)、(C)成分(ニュクレル N1110H)、シリカ、カップリング剤MBを、1.7リットル密閉式バンバリー型ミキサーを用いて2分間混合した後、カーボンブラック、アロマ系オイル、亜鉛華、ステアリン酸を投入して2分間混合してマスターバッチを作成した。このマスターバッチと、加硫促進剤および硫黄とを前後ロール表面温度が50℃の6インチオープンロールで混合したゴム組成物を、15cm×15cm×0.2cmの金型中で、160℃×20分間プレス加硫して目的とする試験サンプルを作製した。各成分の物性値、配合量、商品名等は表4〜6に示す通りである。
[実施例2〜31および比較例1,2]
各成分の種類とそれらの配合量を表4〜25に示すようにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、目的とする試験サンプルを作製した。
<評価方法>
試験サンプルの評価方法は以下の通りである。
[1]ML粘度試験
ML粘度は、島津製作所(株)製のムーニービスコメーター(形式SMV−201)を用い、JIS K 6300に準拠して100℃でムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕を測定した。
[2]引張試験
加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6251(2001年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製した。この試験片を用いて同JIS K 6251に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、100%モジュラス(M100)、200%モジュラス(M200)、300%モジュラス(M300)、引張破断点応力TBおよび引張破断点伸びEBを測定した。
[3]硬さ試験
硬さ試験は、JIS K 6253(2001年)に準拠して行ない、スプリング硬さHA(ショアーA硬度)を測定した。
[4]動的引張疲労試験
加硫ゴムシートを打ち抜いてJIS K 6251に記載されている1号形ダンベル試験片を調製し、この試験片の縦方向の中心に2mmの傷を入れた。このようにして得られた試験片5本について、(株)上島製作所社製の定伸張、定荷重疲労試験機(型式FT−3121)を用いて伸長率40%、設定温度23℃、回転速度300回/分の条件で伸長疲労させ、そのダンベル切断時の回数の平均値とその切断時の応力の平均値を求めた。
[5]耐オゾン性試験
厚さ2mmの加硫ゴムシートについて、JIS K 6259(2001年)に準拠して、オゾン濃度50pphm、測定温度40℃、伸長率(動的伸長)0→25%、周波数1Hzの条件で動的耐オゾン性試験を行い、試験開始から72時間後のクラックの発生状態を観察し、評価を行った。各実施例につき2回評価を行なった。クラックの発生状態は(i)亀裂の数、(ii)亀裂の大きさおよび深さを次の評価基準で判定し、(i)と(ii)とを組み合わせて記録した。なお表中「NC」とは、亀裂が確認できなかったことを示す。
(i)亀裂の数
A:亀裂少数、B:亀裂多数、C:亀裂無数
(ii)亀裂の大きさおよび深さ
1:肉眼で見えないものが10倍の拡大鏡では確認できるもの
2:肉眼で確認できるもの
3:亀裂が深く比較的大きいもの(1mm未満)
4:亀裂が深く大きいもの(1mm以上3mm未満)
5:3mm以上の亀裂または切断を起こしそうなもの
[6]動的粘弾性試験
2mm厚の加硫ゴムシートについて、レオメトリック社製の粘弾性試験機(型式RDS−2)を用いて、測定温度−70〜100℃、周波数10Hz、歪率0.05%および昇温速度4℃/分の条件で損失正接tanδ(振動減衰性の指標)の温度依存性を測定した。−10℃におけるゴム組成物のtanδ(減衰率)をタイヤの制動性能の指標とした。−10℃におけるtanδが大きいほど制動性能が良くなる。また60℃におけるゴム組成物のtanδ(減衰率)を車の燃費の指標とした。60℃におけるtanδが小さいほど燃費が良くなる。
[7]ランボーン磨耗試験
JIS K 6264に準拠して、荷重10N、スリップ率50%の条件で測定し、比較例1の磨耗体積を100として指数を表示した。数値が大きいほど磨耗体積が少なく、耐磨耗性能に優れる。
[比較例1,2および実施例1〜6]
比較例1に対し、(A)成分が入っている比較例2は耐動的オゾン性、制動性(−10℃のtanδ)、燃費性(60℃のtanδ)が向上したものの、TB、EB、耐疲労性が低下した。
また、(A)成分として共重合体2(EBT)を用いた実施例6は、(A)成分として共重合体1(EPT)を用いるよりも更に耐疲労性が改良された(表5,7,8参照)。
(C2)成分を添加した実施例7,8は比較例2に対していずれもTB、EB、耐疲労性が向上しており、タイヤに要求される諸性能をバランス良く改良することができた。
また、(A)成分として共重合体2(EBT)を用いると、(A)成分として共重合体1(EPT)を用いるよりも更に耐疲労性が改良された(実施例9,10)(表9〜11参照)。
(C3)成分を添加した実施例11,12は比較例2に対していずれもTB、EB、耐疲労性が向上しており、タイヤに要求される諸性能をバランス良く改良することができた。
また、(A)成分として共重合体2(EBT)を用いると、(A)成分として共重合体1(EPT)を用いるよりも更に耐疲労性が改良された(実施例13,14)(表12〜14参照)。
(C4)成分を添加した実施例15,16、(C5)成分を添加した実施例17,18、(C6)成分を添加した実施例19、(C7)成分を添加した実施例20は比較例2に対していずれもTB、EB、耐疲労性が向上しており、タイヤに要求される諸性能をバランス良く改良することができた(表15〜19参照)。
(C8)成分を添加した実施例21〜23は比較例2に対していずれもTB、EB、耐疲労性が向上しており、タイヤに要求される諸性能をバランス良く改良することができた(表20〜22参照)。
(C9)成分を添加した実施例24〜31は比較例2に対していずれもTB、EB、耐疲労性が向上しており、タイヤに要求される諸性能をバランス良く改良することができた(表23〜25参照)。
Claims (10)
- (A)α−オレフィン(A1)に由来する構造単位96〜70モル%と、非共役ポリエン
(A2)に由来する構造単位4〜30モル%とを含有するランダム共重合体であり、
ガラス転移温度(Tg)が−25〜20℃である
非共役ポリエン系共重合体60〜0.1重量部と、
(B)ジエン系ゴム40〜99.9重量部とを含有し、かつ
該成分(A)および該成分(B)の合計100重量部に対して、
(C)下記の(C1)〜(C9)からなる群から選ばれる少なくとも1種を以下に記載する量で含有することを特徴とするゴム組成物
〔ただし、成分(C)がアクリロニトリル−共役ジエン共重合体(C4)を含む場合、成分(B)はアクリロニトリル−共役ジエン共重合体ではないものとする。〕;
(C1)炭素数2以上のα−オレフィンと極性基を含有するビニル化合物との共重合体
1〜15重量部
(C2)芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを含有する
共重合体、または該共重合体の水添物 1〜15重量部
(C3)1種または2種以上のα−オレフィンを重合または共重合させてなり、α−オレフィンの炭素数の合計が6以上であるα−オレフィン重合体またはα−オレフィン共重合体(ただしα−オレフィンが2種以上の場合であって、かつ炭素数が5以下のα−オレフィンを含む共重合体の場合は、少なくとも1種のα−オレフィンに由来する構造単位は5〜95モル%の範囲にある。) 1〜15重量部
(C4)アクリロニトリル−共役ジエン共重合体 1〜15重量部
(C5)ポリエチレン樹脂(C5-1)5〜60重量%と、
ムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕が90〜250であり、
エチレン含量が70〜95モル%であるエチレン・α−オレフィン系共重合体
(C5-2)95〜40重量%と
を架橋剤の非存在下に、動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー 1〜15重量部
(C6)1種または2種以上のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表され
る非共役ジエンとを共重合させて得られ、
α−オレフィンと非共役ポリエンとの合計100モル%に対し、非共役ポリエン
が0.1〜30モル%であり、かつ
ガラス転移温度(Tg)が−25℃未満である
α−オレフィン・非共役ジエン共重合体 1〜15重量部
R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。〕
(C7)1種または2種以上の炭素数2以上のα−オレフィンと、下記式(2−1)で表
される非共役ポリエンとを共重合させて得られ、
α−オレフィンと非共役ポリエンとの合計100モル%に対し、非共役ポリエン
が0.1〜30モル%であり、かつ
ガラス転移温度(Tg)が−25℃未満である
α−オレフィン・非共役ジエン共重合体 1〜15重量部
pおよびqは0または1(ただしpとqとは同時に0ではない。)、
fは0〜5の整数(ただしpとqの両方が1の場合、fは0ではない。)、
gは1〜6の整数、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、
R8は炭素数1〜3のアルキル基、
R9は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここでnは1〜5の整数、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、R12は炭素数1〜3のアルキル基である。)である(ただしpとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)。〕
(C8)前記(C1)、(C2)、(C3)、(C6)、(C7)のいずれかの重合体を極性基含有不飽和化合物でグラフト変性してなる変性重合体 1〜15重量部
(C9)親水基および親油基を含有する、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤もしくは両性界面活性剤またはこれらのいずれか2種以上からなる混合物 1〜15重量部。 - 石油樹脂(D)を、前記非共役ポリエン系共重合体(A)と前記ジエン系ゴム(B)との合計100重量部に対し、1〜30重量部含有することを特徴とする請求項1記載のゴム組成物。
- 前記α−オレフィン(A1)に由来する構造単位が、エチレンに由来する構造単位(a)を含み、かつ、
該エチレンに由来する構造単位(a)と、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構造単位(b)とのモル比〔(a)/(b)〕が100/0〜1/99であること
を特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。 - 前記非共役ポリエン系共重合体(A)のムーニー粘度〔ML1+4(100℃),JIS K6300〕が5〜200であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
- 非共役ポリエン系共重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.01〜10dl/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記非共役ポリエン(A2)の少なくとも一部が、非共役環状ポリエン(A2a)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記非共役環状ポリエン(A2a)が下記式(1−1)で表される非共役環状ポリエンである請求項6記載のゴム組成物;
mは0〜2の整数であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表し、炭化水素基は二重結合を有していてもよく、
R1〜R4は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつこの単環または多環は二重結合を有していてもよく、
R1とR2とで、または、R3とR4とでアルキリデン基を形成していてもよく、
R1とR3とが、または、R2とR4とが互いに結合して二重結合を形成していてもよい。
ただし、以下の(i)から(iv)の少なくとも1つの条件を満たす;
(i)R1〜R4が互いに結合して形成される単環または多環が二重結合を有していること;
(ii)R1とR2とで、または、R3とR4とでアルキリデン基が形成されていること;
(iii)R1とR3とが、または、R2とR4とが互いに結合して二重結合が形成されてい
ること;
(iv)R1〜R4の少なくとも1つは二重結合を1個以上有する不飽和の炭化水素基であること。〕。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ用ゴム材料。
- 請求項8に記載のタイヤ用ゴム材料を用いて形成されたタイヤトレッド。
- 請求項9に記載のタイヤトレッドを備えたタイヤ。
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