JP2024057801A - エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体およびゴム組成物 - Google Patents

エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体およびゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤ用ゴム材料の原料として新規なエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体を提供すること。【解決手段】(i)~(v)を満たす、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体およびこれを含むゴム組成物、タイヤ用ゴム材料、タイヤトレッドおよびタイヤ;(i)エチレン/4-メチル-1-ペンテンのモル比が20/80~80/20;(ii)非共役ポリエンに由来する構成単位のモル分率が0.01モル%~10モル%;(iii)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01~5.0dL/g;(iv)DSCによって測定したガラス転移温度が-40℃~10℃で(v)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)と、波数ω=10rad/sでの複素粘度η*(ω=10)と、比Pが、2.0~50である。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体とジエン系ゴムとを含むゴム組成物に関する。
従来、自動車のタイヤトレッド用ゴム材料としては、一般にスチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)とポリブタジエンゴム(BR)とを含むゴム組成物が使用されている。しかし、最近の省エネルギー化に伴う自動車の低燃費化および耐摩耗性に加えて、安全性の面から、高い制動性能を有するタイヤが要望されている。
タイヤの耐摩耗性および自動車の制動性能を向上させるとともに、転動抵抗を低減することができるゴム組成物として、例えば、特許文献1には、スチレン・ブタジエン共重合ゴムと非共役環状ポリエン系共重合体とをブレンドしたタイヤトレッド用の原料ゴムが記載されている。
特開2008-308696号公報
自動車のタイヤトレッド用ゴム材料として使用されている、従来のスチレン・ブタジエン共重合ゴムとポリブタジエンゴムとのブレンド物ではこれらの性能を満たすことができず、更なる改良が求められている。上記特許文献1に記載のブレンド物においても、耐摩耗性、制動性能および転がり抵抗の低減はまだ十分ではない。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、タイヤ用ゴム材料の原料として好適に使用することができる新規なエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体を提供することである。また、本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、加工性に優れ、かつ、ウエットグリップ性能に優れるタイヤを得ることができるゴム組成物、および、タイヤ用ゴム材料を提供することである。
また本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、ウエットグリップ性能に優れるタイヤトレッドおよびタイヤを提供することである。
上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記要件(i)~(v)を満たす、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体;
(i)エチレン/4-メチル-1-ペンテンのモル比が20/80~80/20である;
(ii)非共役ポリエンに由来する構成単位のモル分率が0.01モル%~10モル%である;
(iii)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01~5.0dL/gである;
(iv)示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度〔Tg〕が-40℃~10℃である;
(v)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*(ω=10)と、の比P(η*(ω=0.1)/η*(ω=10))が、2.0~50である。
<2> (A)ジエン系ゴム100質量部に対し、
(B)カーボンブラックおよび白色充填剤の少なくとも一方を30~120質量部、ならびに
(C)請求項1に記載のエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体を1~50質量部を含む、ゴム組成物。
<3> 前記白色充填剤が、シリカである<2>に記載のゴム組成物。
<4> <2>または<3>に記載のゴム組成物を含むタイヤ用ゴム材料。
<5> <4>に記載のタイヤ用ゴム材料を用いて形成されたタイヤトレッド。
<6> <5>に記載のタイヤトレッドを備えたタイヤ。
本発明の一実施形態によれば、タイヤ用ゴム材料の原料として好適に使用することができる新規なエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体が提供される。
また、本発明の他の実施形態によれば、加工性に優れ、かつ、ウエットグリップ性能に優れるタイヤを得ることができるゴム組成物、および、タイヤ用ゴム材料が提供される。
また本発明の一実施形態によれば、ウエットグリップ性能に優れるタイヤトレッドおよびタイヤが提供される。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の内容の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されることはない。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後いずれか一方に記載される単位は、特に断りがない限り同じ単位を示すことを意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本明細書において、特に限定しない限りにおいて、組成物中の各成分、または、ポリマー中の各構成単位は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上を併用してもよいものとする。
本明細書において、組成物中の各成分、または、ポリマー中の各構成単位の量は、組成物中に各成分、または、ポリマー中の各構成単位に該当する物質または構成単位が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する物質またはポリマー中に存在する複数の各構成単位の合計量を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体>
本発明のエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体(以下、単に「共重合体」とも称する場合がある。)は、下記要件(i)~(v)を満たす。
下記要件(i)~(v)を満たす本発明のエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体は、タイヤ用ゴム材料として新規な原料である。
また、本発明に係るゴム組成物が、上記要件(i)~(v)を満たす共重合体を含むことにより加工性に優れ、得られるタイヤのウエットグリップ性能に優れる。この理由は明らかではないが以下のように推察される。ゴム組成物が、上記要件(i)~(v)を満たすエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体とジエン系ゴムとを含むことにより、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体とジエン系ゴムとが非相容であり、非共役ポリエンが例えば、ENBのときはジエン系ゴムと共加硫し、非共役ポリエンが例えば、VNBのときはシリカとカップリングするので、本発明のエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体を含むゴム組成物より得られるタイヤは、ウエットグリップ性能に優れると推定している。
以下、本発明に係るエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体の詳細について説明する。
<<要件(i)>>
エチレン/4-メチル-1-ペンテンのモル比が20/80~80/20である。
エチレン/4-メチル-1-ペンテンのモル比が上記の範囲にあると、優れた制動性と優れた燃費性能とが両立したタイヤを得ることができる。
上記観点から、エチレン/4-メチル-1-ペンテンのモル比は、好ましくは20/80~60/40であり、より好ましくは21/79~50/50であり、さらに好ましくは25/75~40/60である。
エチレンおよび4-メチル-1-ペンテンのモル数およびこれらの比は、後述の実施例に記載の測定方法により求められる。
<<要件(ii)>>
非共役ポリエンに由来する構成単位のモル分率が0.01~10モル%であり、好ましくは0.05~8モル%である。非共役ポリエンに由来する構成単位のモル分率が上記の範囲にあると、優れた制動性を持つタイヤを得ることができる。
共重合体を構成する非共役ポリエンは、環状または鎖状の非共役ポリエンが挙げられる。
環状非共役ポリエンとしては、たとえば、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙げられる。また鎖状の非共役ポリエンとしては、たとえば、1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンなどが挙げられる。これらの非共役ポリエンは、単独であってもよいし、または2種以上であってもよい。
これらの中でも、非共役ポリエンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)および5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)が好ましい。
共重合体の具体例としては、例えば、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・ENB共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・VNB共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・ENB・VNB共重合体などが挙げられる。
なお、本発明の共重合体における非共役ポリエンに由来する構成単位のモル分率の測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。
<<要件(iii)>>
エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が、0.5~5.0dL/gの範囲にある。
前記極限粘度[η]は、好ましくは0.7~4.5(dL/g)、より好ましくは1.0~4.0(dL/g)、である。
なお、測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。
上記極限粘度[η]は、後述するように重合中に水素分子を併用すると共重合体の分子量を制御することができ、低分子量体から高分子量体まで自在に極限粘度[η]を調整することができる。
前記極限粘度[η]が0.5~5.0dL/gの範囲にあると、成形加工性に優れる。
<<要件(iv)>>
エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で観測したガラス転移温度(DSC―Tg)は-40~10℃である。
ガラス転移温度(DSC―Tg)が上記の範囲にあると、優れた制動性を持つタイヤを得ることができる。
上記観点から、ガラス転移温度(DSC―Tg)は、好ましくは-30~5℃、より好ましくは-20~0℃である。
上記ガラス転移温度の値は、共重合体の立体規則性ならびにエチレンおよび/または4-メチル-1-ペンテンのモル比に依存して変化する。後述するオレフィン重合用触媒を用いて所望のモノマー組成に制御して、ガラス転移温度を前記範囲内に調整することが可能である。
<<要件(v)>>
エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体は、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*(ω=10)との比P(η*(ω=0.1)/η*(ω=10))は2.0~50である。
P(η*(ω=0.1)/η*(ω=10))が上記の範囲にあると、混練加工性、および、押出加工性に優れる。
上記観点から、P(η*(ω=0.1)/η*(ω=10))は好ましくは2.0~40、より好ましくは2.0~30である。
本発明に係るエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく公知の製造方法を用いることができるが、例えば、特開2012-82388号公報に記載された重合方法を採用することによって容易にエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体を製造することができる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、(A)ジエン系ゴム成分100質量部に対して、(B)カーボンブラックおよび白色充填剤の少なくとも一方を30~120質量部、好ましくは40~110質量部、ならびに、(C)上記エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体を1~50質量部、好ましくは5~45質量部を含む。
本発明のゴム組成物は、特定の物性を有するエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体およびジエン系ゴムならびにカーボンブラックおよび/または白色充填剤を特定の割合で含有しているので、ウエットグリップ性能に優れるタイヤを得ることができる。また、本発明のゴム組成物は、路面とのグリップ性の向上による制動性の向上と、安定走行時の転がり抵抗の低減による燃費の向上も両立させ、さらに、より優れた制動性および燃費性能とが両立したタイヤが得れやすい。
<<(A)ジエン系ゴム>>
ジエン系ゴムとしては、主鎖に二重結合を有する公知のジエン系ゴムが制限なく使用できるが、共役ジエン化合物を主モノマーとする重合体または共重合体ゴムが好ましい。
ジエン系ゴムは天然ゴム(NR)であってもよいし、水添ゴムであってもよい。ジエン系ゴム(A)のヨウ素価としては、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは250以上である。
ジエン系ゴムの具体的なものとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ニトリルゴム、水添ニトリルゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、および、ブタジエンゴム(BR)が好ましく、特にスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、および、ブタジエンゴム(BR)が好ましい。
ジエン系ゴムは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)としては、比重が0.91~0.98g/cm3、かつ、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が20~120のものが好ましく用いられる。
ブタジエンゴム(BR)としては、比重が0.86~0.95g/cm3、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が20~120のものが好ましく用いられる。
天然ゴム(NR)としては、例えば、グリーンブック(天然ゴム各種等級品の国際品質包装基準)により規格化された天然ゴムを用いることができる。
<<(B)カーボンブラックおよび/または白色充填剤>>
本発明に係るゴム組成物は、カーボンブラックおよび白色充填剤の少なくとも一方を含む。カーボンブラックとしては、具体的には、例えば、SAF(Super Abrasion Furnace 超耐摩耗性)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace 準超耐摩耗性)、HAF(High Abrasion Furnace 高耐摩耗性)、FEF(Fast Extruding Furnace 良押出性)、GPF(General Purpose Furnace 汎用性)、SRF(Semi Reinforcing Furnace 中補強性)等のファーネスカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックは、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カーボンブラックは、機械強度向上の観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)が10~300m2/gであるのが好ましく、50~150m2/gであるのがさらに好ましい。
なお窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K 6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
白色充填剤としては、特に制限はなく、具体的には、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム等が挙げられる。白色充填剤は、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、白色充填剤としては、燃費性能がより良好となる理由から、シリカが好ましい。
シリカとしては、具体的には、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。シリカは、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカは、燃費性能向上の観点から、CTAB(Cetyl Tri-methyl Ammonium Bromide)吸着比表面積が50~300m2/gであるのが好ましく、90~200m2/gであるのがさらに好ましい。
なお、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面への臭化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムの吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
<<(D)加硫剤>>
本発明のゴム組成物は、加硫可能なゴム組成物であり、未加硫のままで用いることもできる。ゴム組成物が加硫物である場合、より一層優れた特性を発現させることができる。
加硫の方法としては、特に制限はなく、公知の加硫方法が挙げられる。加硫方法としては、例えば、加硫剤を使用して加熱する方法、あるいは加硫剤を用いずに電子線を照射する方法などが挙げられる。
本発明のゴム組成物を加熱により加硫する場合には、ゴム組成物中に加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤などの化合物が含まれていてもよい。
上記加硫剤としては、イオウ、イオウ系化合物および有機過酸化物などが挙げられる。
イオウの形態は特に限定されず、例えば粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
前記イオウ系化合物としては、具体的には塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。
前記有機過酸化物としては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルペルオキシド類;t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシマレイン酸、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルペルオキシフタレート等のペルオキシエステル類;ジシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類などが挙げられる。
有機過酸化物は、1種単独であってもよいし、これらは2種以上であってもよい。
これらの中でも、有機過酸化としては、1分半減期温度が130~200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシドおよびt-ブチルヒドロペルオキシドがより好ましい。
上記のような各種加硫剤の中でも、イオウおよびイオウ系化合物が好ましく、特にイオウを用いると優れた特性のゴム組成物を得ることができるためより好ましい。
加硫剤がイオウまたはイオウ系化合物である場合は、加硫剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
また加硫剤が有機過酸化物である場合は、加硫剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.05~15質量部、より好ましくは0.15~5質量部である。
加硫剤としてイオウまたはイオウ系化合物を用いる場合には、加硫促進剤を併用することが好ましい。
加硫促進剤としては、特に制限はなく、具体的にはN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4'-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド-アニリン反応物、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド-アンモニア系化合物;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華などが挙げられる。
上記のような加硫促進剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.2~10質量部である。
加硫剤として有機過酸化物を用いる場合には、加硫助剤の含有量としては、有機過酸化物1モルに対して、好ましくは0.5~2モル、より好ましくはほぼ等モルの量で併用することが好ましい。
加硫助剤としては、特に制限はなく、具体的にはイオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物に加えて、多官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;m-フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、軟化剤を含んでいてもよい。
前記軟化剤としては、特に制限はなく、従来ゴムに配合されている軟化剤が挙げられる。軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油、ファクチス、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などが挙げられる。
これらの中でも軟化剤としては、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましい。
軟化剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは200質量部以下、より好ましくは10~150質量部、さらに好ましくは10~100質量部である。
本発明のゴム組成物は、上記ジエン系ゴム、カーボンブラック、白色充填剤、共重合体、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、および軟化剤以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)として発泡剤、発泡助剤等の発泡系を構成する化合物、酸化防止剤(安定剤)、加工助剤、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤など、種々の薬剤などを含んでいてもよい。
他の成分は、用途に応じてその種類、含有量が適宜選択される。
本発明のゴム組成物は、発泡剤、発泡助剤などの発泡系化合物を含有する場合には、発泡成形することができる。
発泡剤は、特に制限はなく、一般的にゴムを発泡成形する際に用いられる発泡剤が挙げられる。発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
これらの中でも、発泡剤としては、ニトロソ化合物、アゾ化合物、および、アジド化合物が好ましい。
発泡剤の含有量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して好ましくは0.5~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。このような量で発泡剤を含有するゴム組成物からは、見かけ比重0.03~0.8g/cm3の発泡体が得られる。
またゴム組成物は、発泡剤とともに発泡助剤を含んでいてもよい。発泡助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの効果がある。
このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
発泡助剤の含有量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
本発明のゴム組成物は、酸化防止剤を含有していると材料寿命を長くすることができる点から好ましい。酸化防止剤としては、具体的にはフェニルナフチルアミン、4,4'-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤;2-メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定剤などが挙げられる。酸化防止剤は、1種単独であってもよいし、2種以上併用することもできる。
このような酸化防止剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
加工助剤としては、特に制限はなく、一般的に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。加工助剤としては、具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の酸、これら高級脂肪酸の塩、例えばステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類などが挙げられる。
加工助剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して好ましくは10質量部以下、好ましくは5質量部以下の量で用いることができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム(A)、カーボンブラックおよび/または白色充填剤(B)、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体(C)および必要に応じて上記他の成分を配合し、一般的なゴム配合物の調製方法によって調製することができる。
調製方法としては、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス等のインターナルミキサー類を用いて、ジエン系ゴム、カーボンブラックおよび/または白色充填剤、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体および必要により配合する他の成分を、80~170℃の温度で3~10分間混練した後、加硫剤および必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40~80℃で5~30分間混練した後、分出しすることにより調製する方法が挙げられる。
このような製造方法のより、通常リボン状またはシート状のゴム組成物(配合ゴム)が得られる。上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、加硫剤、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練してもよい。
本発明のゴム組成物の加硫物(以下、「加硫ゴム」とも称する場合がある。)は、上記のような未加硫のゴム組成物を、通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、射出成形機またはトランスファー成形機などの成形機を用いた種々の成形法よって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱するか、あるいは電子線を照射することにより加硫して得てもよい。
発泡体の場合は、発泡剤を配合した未加硫のゴム配合物を上記のような方法で加硫することにより、加硫とともに発泡が進行し、発泡体が得られる。
上記ゴム組成物を加熱により加硫する場合には、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームまたはLCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150~270℃の温度で1~30分間加熱することが好ましい。
また上記加硫剤を使用せずに電子線照射により加硫する場合は、予備成形されたゴム組成物に、好ましくは0.1~10MeV、より好ましくは0.3~2MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が好ましくは0.5~35Mrad、より好ましくは0.5~10Mradになるように照射すればよい。
成形および加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いなくてもよい。金型を用いない場合には、ゴム組成物は通常連続的に成形および加硫される。
本発明のゴム組成物はゴム製品の原料として幅広く利用することができるが、タイヤ用ゴム材料として好適に使用することができる。タイヤ用ゴム材料の具体的なものとしては、タイヤトレッド、タイヤサイドウォールなどの材料が挙げられる。これらの中では、タイヤトレッドの材料(原料)として用いるのが最も好ましく、タイヤ用ゴム材料として用いられた場合、本発明のゴム組成物の特性が最も効果的に発揮され、加工性に優れ、得られるタイヤのウエットグリップ性能に優れる。また、得られるタイヤは、制動性および燃費性能に優れ、さらに耐候性、耐オゾン性などにも優れる。
<タイヤ用ゴム材料>
本発明のゴム組成物はゴム製品の原料として幅広く利用することができるが、なかでもタイヤ用ゴム材料として好適に使用することができる。
またタイヤ用ゴム材料は、本発明のゴム組成物のみ含まれていてもよいし、他のゴムや添加剤などが含まれていてもよい。
本発明のタイヤ用ゴム材料は上記ゴム組成物を含有しているので、優れた制動性と優れた燃費性能とが両立しているほか、ゴム弾性、機械強度、耐候性、耐オゾン性、硬度などにも優れている。
タイヤ用ゴム材料中のゴム組成物の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5~90質量%である。
本発明のタイヤ用ゴム材料は、優れた制動性と優れた燃費性能とが両立しているほか、ゴム弾性、機械強度、耐候性、耐オゾン性、硬度などにも優れている。タイヤ用ゴム材料の具体的なものとしては、タイヤトレッド、タイヤサイドウォールなどの材料が挙げられる。
これらの中でも、タイヤトレッドの材料(原料)として用いるのが最も好ましく、タイヤ用ゴム材料として用いられた場合、本発明のゴム組成物の特性が最も効果的に発揮され、加工性に優れ、得られるタイヤのウエットグリップ性能に優れる。制動性および燃費性能に優れ、さらに得られるタイヤは、耐候性、耐オゾン性などにも優れる。
本発明のタイヤトレッドは上記タイヤ用ゴム材料を用いて形成されたものであり、本発明のタイヤ用ゴム材料だけから得られるものであってもよいし、他のゴムや添加剤などが含まれていてもよい。
本発明のタイヤトレッドにおけるタイヤ用ゴム材料の含有量は、タイヤトレッドの全質量に対して好ましくは3質量%以上、より好ましくは5~90質量%である。本発明のゴム組成物またはタイヤ用ゴム材料を加硫して得られるタイヤトレッドは、ウエットグリップ性能に優れる。また、制動性および燃費性能にも優れ、さらに耐候性、耐オゾン性などにも優れている。
<タイヤ>
本発明のタイヤは上記タイヤトレッドを備える。本発明のタイヤはウエットグリップ性能に優れ、また、制動性および燃費性能にも優れ、さらに耐候性、耐オゾン性などにも優れている。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例になんら制約されるものではない。
<測定条件等>
実施例における物性の測定条件等は、以下のとおりである。
〔組成比〕
共重合体中のエチレン、4-メチル-1-ペンテン及び非共役ポリエンの含有率(モル%)は、13C-NMRにより測定した。測定条件は、下記のとおりである。
・測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
・観測核:13C(125MHz)
・シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
・パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
・繰り返し時間:5.5秒
・積算回数:1万回以上
・溶媒:o-ジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
・試料濃度:55mg/0.6mL
・測定温度:120℃
・ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
〔示差走査熱量測定(DSC測定)〕
JIS K7121(2012)に準拠して測定を行い、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、型番;DSC8500)を用い、昇温速度10℃/分でエンタルピー緩和が観測されるベースラインと変曲点での接点の交点、もしくは変位の中点をDSC測定によって測定したガラス転移温度(DSC-Tg)とした。
〔動的粘弾性の温度依存性〕
厚さ2mmのプレスシートを作成し、さらに動的粘弾性測定に必要な25mm×2mmの短冊片を切り出した。粘弾性測定装置(TA-Instruments社製、型番:ARES-G2)を用いて、10Hzの周波数で-70~100℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、ガラス転移温度に起因する損失正接(tanδ)のピーク温度とその値を測定した。
〔動的粘弾性の周波数依存性〕
厚さ2mmのプレスシートを作成し、さらに動的粘弾性測定に必要な25mmφ×2mmの円盤片を切り出した。粘弾性測定装置(TA-Instruments社製、型番:ARES-G2)を用いて、190℃、歪み1.0%の条件で、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*(ω=10)とを測定した。また、得られた結果よりこれらの複素粘度の比(η*比)であるP値(η*(ω=0.1)/η*(ω=10))を算出した。
〔極限粘度[η]〕
共重合体の極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。具体的には、約20mgの粉末状の共重合体をデカリン25mLに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。
このデカリン溶液にデカリンを5mL加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C)(C→0)・・・式1
<エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体の合成>
(実施例1~10)
容積0.95Lの連続重合器の一つの供給口に、脱水精製したn-ヘキサン(C6)を(a)mL/hの割合で供給し、他の供給口よりジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(触媒A)とトリイソブチルアルミニウム(TiBA)とメチルアルミノキサン(MAO)との混合ヘキサン溶液(触媒Aのジルコニウム換算濃度(b)mmol/L、TiBAのアルミニウム換算濃度(c)mmol/L、MAOのアルミニウム換算濃度(d)mmol/L)を(e)mL/h、4-メチル-1-ペンテン(4MP-1)を(f)g/h、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を(g)g/hまたは、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)を(h)g/hの割合で連続的に供給した。
同時に重合器の別の供給口に、エチレン(C2")を(i)g/h、水素を(j)NL/hの割合で連続供給し、重合温度:(k)℃、全圧(l)MPaG、滞留時間(m)分の条件下で連続溶液重合を行った。
なお、上記(a)~(m)の数値は表1に記載の数値を表す。
上記条件で共重合反応を行ったところ、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体が均一な溶液状態で得られた。
その後、重合器下部から連続的に抜き出した共重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行った。得られたエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体について、上述の測定方法に従って物性値を測定し、その結果を表1に示した。
(比較例1および比較例2)
比較例で用いたエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体を以下に示す。また、比較例1および比較例2の共重合体の物性値は下記表2に示すとおりである。
・比較例1:
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)三元共重合体(三井EPT 4070(商品名)、三井化学(株)製)
・比較例2:
エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)三元共重合体(PX-006M(商品名)、三井化学(株)製)
<未加硫のゴム組成物の物性>
(1)ムーニースコーチ
125℃における最低粘度(Vm)およびスコーチ時間(t5)は、JIS K6300-1:2013に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製、型番:SMV202型)を用いて、125℃の条件下で測定した。
最低粘度の値が低いほど、加工性に優れるといえる。
(2)加硫速度
実施例および比較例における未加硫のゴム組成物を用いて、測定装置:MDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)により、温度160℃および時間30分の測定条件下で、加硫速度(tc90)を以下のとおり測定した。
一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定した。トルクの最大値と最小値との差の90%のトルクに達成するまでの時間を加硫速度(tc90;分)とした。
<加硫したゴム組成物の物性>
(1)硬さ試験(デュロ-A硬度)
JIS K 6253-3:2012に従い、架橋シートの硬度(タイプAデュロメータ、HA)の測定は、平滑な表面をもっている2mmのシート状ゴム成形体(加硫シート)6枚を用いて、平らな部分を積み重ねて厚み約12mmとして行った。ただし、試験片に異物の混入したもの、気泡のあるもの、およびキズのあるものは用いなかった。また、試験片の測定面の寸法は、押針先端が試験片の端から12mm以上離れた位置で測定できる大きさとした。
硬度が低いほど制動性能が優れるという指標となる。
(2)引張り試験
シート状の架橋成形体(加硫シート)を打抜いてJIS K 6251(2001年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製した。
この試験片を用いて同JIS K 6251:2017に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。TBおよびEBが大きいほど耐疲労性(ロングライフ性能)が優れるという指標となる。
(3)粘弾性試験
貯蔵弾性率G';実施例および比較例によって得られた加硫ゴム2mmシートについて、粘弾性測定装置(TA-Instruments社製、製品名:ARES-G2)を用いて窒素下で動的粘弾性を測定した。
ここで、貯蔵弾性率(G')は、粘弾性体に正弦的振動ひずみを与えたときの応力と、ひずみの関係を表わす複素弾性率を構成する項であり、TA-Instruments社製のARES-G2による、捻じりモード(歪み0.05%)により-70℃~100度の温度領域において4℃/minの昇温速度、周波数10Hzにて測定される値である。
tanδは、実施例および比較例によって得られた加硫ゴム2mmシートについて、粘弾性測定装置(TA-Instruments社製、製品名:ARES-G2)を用いて窒素下で動的粘弾性を測定した。ここで、tanδ(0℃、60℃)=G”/G’にて求められる値である。
tanδ0℃が大きいほどウエットグリップ性能が優れるという指標となる。tanδ60℃が小さいほど燃費性能が優れるという指標となる。
<ゴム組成物の調製および加硫シートの製造>
(実施例11)
ジエン系ゴム(A-1)としてスチレン・ブタジエンゴム(SBR)(製品名:Nipol 1502、日本ゼオン(株)製:ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕52、比重0.94g/cm3)60質量部およびジエン系ゴム(A-2)としてブタジエンゴム(BR)(Nipol 1220、日本ゼオン(株)製:ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕44、比重0.90g/cm3)、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体として実施例5の共重合体20質量部、架橋助剤として酸化亜鉛(ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック(株)製)3質量部、加工助剤としてステアリン酸(ステアリン酸つばきシリーズ、日油(株)製)2質量部、カーボンブラック(商品名:旭#80 旭カーボン(株)製:N2SA=115m2/g)40質量部、白色フィラーとしてシリカ(商品名:ニップシルVN3、東ソー・シリカ(株)製:CTAB=187m2/g)36質量部、シランカップリング剤(商品名:Si-69、EVONIK社製)4質量部、軟化剤としてアロマ系オイル(商品名:AH-16、出光興産(株)製)50質量部、加硫剤として硫黄1.4質量部、加硫促進剤としてサンセラーCM(三新化学(株)製)1.7質量部およびノクセラーD(大内新興化学(株)製)2.0質量部を、オープンロール(前ロール/後ロール=50/50℃、16/18rpm)で混練し、未加硫の配合ゴム(ゴム組成物)を得た。
この未加硫の配合ゴムを160℃に加熱されたプレスにより20分間加熱して加硫シートを作製し、上記物性を測定した。評価結果を表3に示す。
(実施例12~14、比較例3および4並びに参考例)
表3示す成分を用いた以外は、実施例11と同様にしてゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を用いて実施例11と同様にしてて加硫シート(架橋体)を作成し、上記記載の方法で評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示されるとおり、実施例11~14のゴム組成物(未加硫ゴム)は、比較例3および4のゴム組成物(未加硫ゴム)と比べて、加工性に優れることがわかる。実施例11~14のゴム組成物より得られた架橋体は、比較例3および4のゴム組成物より得られた架橋体と比べて、ウエットグリップ性能に優れることがわかる。

Claims (6)

  1. 下記要件(i)~(v)を満たす、エチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体;
    (i)エチレン/4-メチル-1-ペンテンのモル比が20/80~80/20である;
    (ii)非共役ポリエンに由来する構成単位のモル分率が0.01モル%~10モル%である;
    (iii)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01~5.0dL/gである;
    (iv)示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度〔Tg〕が-40℃~10℃である;
    (v)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*(ω=10)と、の比P(η*(ω=0.1)/η*(ω=10))が、2.0~50である。
  2. (A)ジエン系ゴム100質量部に対し、
    (B)カーボンブラックおよび白色充填剤の少なくとも一方を30~120質量部、ならびに
    (C)請求項1に記載のエチレン・4-メチル-1-ペンテン・非共役ポリエン共重合体を1~50質量部を含む、ゴム組成物。
  3. 前記白色充填剤が、シリカである請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項2または請求項3に記載のゴム組成物を含むタイヤ用ゴム材料。
  5. 請求項4に記載のタイヤ用ゴム材料を用いて形成されたタイヤトレッド。
  6. 請求項5に記載のタイヤトレッドを備えたタイヤ。
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