JP2019163583A - 繊維用集束剤組成物、繊維束及び繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、乳化安定性及び集束性に優れた繊維集束剤組成物を提供することにある。【解決手段】本発明は、ポリエステル樹脂(A)と、スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)とを含有し、下記(i)〜(iv)の全てを満たす繊維用集束剤組成物(P)である。(i)ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)とを構成原料とするポリエステルである。(ii)ジオール(b)のうちの少なくとも1種が、有するオキシエチレン基のモル数の数平均値が1〜35であるジオール(b1)である。(iii)ノニオン界面活性剤(C)中のオキシプロピレン基の含有重量と、オキシエチレン基の含有重量が特定の値である。(iv)繊維用集束剤組成物(P)が、水性媒体を含む。【選択図】なし

Description

本発明は繊維用集束剤組成物及びこれを用いた繊維束に関する。
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等のマトリックス樹脂に繊維を複合した繊維強化複合材料がスポーツ、レジャー、航空宇宙分野等に広く利用されている。これらの複合材料に使用される繊維としては、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維並びにガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維が用いられている。これらの繊維は通常、フィラメント又はトウの形で製造され、更に一方向に引き揃えたシート、テープ、フィラメントワインデイング、織物又はチョップドファイバー等に加工されて使用されている。かかる繊維の加工において、繊維はその加工工程中で各種のガイド類と繰り返し接触するため、摩擦を受けても毛羽や糸切れを発生しない耐擦過性が要求される。通常、毛羽や糸切れを防止するために、フィラメント又はトウに繊維用集束剤組成物が付与される。また高品位の加工品を得るため、弱い接圧で容易に薄くかつ隙間無く繊維が拡がる性質(開繊性)が要求される。繊維用集束剤組成物は通常はエマルジョン状又は溶液状であり、含まれる樹脂としては、ポリウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系及びこれらの樹脂の併用が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2では、不飽和二塩基酸とビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物との縮合物(ポリエステル樹脂)がエポキシ樹脂等と併用されている。しかしながら、これらの特許文献に記載のポリエステル樹脂を含む集束剤組成物は、乳化安定性が十分ではなく、かつ、集束性も不十分であった。集束剤組成物の乳化状態が不安定であると、繊維に処理する際の温度や機械的なせん断応力により乳化が破壊され、場合によっては繊維への集束剤処理が全くできなくなるという問題に繋がることがあった(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許2957406号 特公昭57−49675号公報
本発明の目的は、乳化安定性及び集束性に優れた繊維集束剤組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、ポリエステル樹脂(A)と、スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)とを含有し、下記(i)〜(iv)の全てを満たす繊維用集束剤組成物(P);前記繊維用集束剤組成物(P)を用いてガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を処理して得られる繊維束;前記繊維束を含有する繊維製品である。
(i)ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)とを構成原料とするポリエステルである。
(ii)ジオール(b)のうちの少なくとも1種が、有するオキシエチレン基のモル数の数平均値が1〜35であるジオール(b1)である。
(iii)ノニオン界面活性剤(C)中のオキシプロピレン基の含有重量と、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計との比[(オキシプロピレン基の含有重量)/(オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計)]が0.05〜0.5、ノニオン界面活性剤(C)の重量に対するスチレン基の重量%が5〜30である。
(iv)繊維用集束剤組成物(P)が、水性媒体を含む。
本発明の繊維用集束剤組成物(P)は、乳化安定性及び集束性に優れるという効果を有する。
本発明における繊維用集束剤組成物(P)は、ポリエステル樹脂(A)と、スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)とを必須成分として含む。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)とを構成原料とするポリエステルである。
ポリエステル樹脂(A)は、単独でも2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸又はその無水物(a)としては、脂肪族ジカルボン酸(a1)、芳香族ジカルボン酸(a2)及びこれらの酸無水物(a3)等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸(a1)としては、鎖式飽和ジカルボン酸(a11)、鎖式不飽和ジカルボン酸(a12)、脂環式ジカルボン酸(a13)及びダイマー酸(a14)等が挙げられる。
鎖式飽和ジカルボン酸(a11)としては、炭素数2〜22の直鎖又は分岐の鎖式飽和ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、ジメチルマロン酸、α−メチルグルタル酸、β−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、イコサンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等)等が挙げられる。
鎖式不飽和ジカルボン酸(a12)としては、炭素数4〜22の直鎖又は分岐の鎖式不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸(a13)としては、炭素数7〜14の脂環式ジカルボン酸(1,3−又は1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等)等が挙げられる。
ダイマー酸(a14)としては、炭素数8〜24の鎖式不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等)の二量体が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸(a2)としては、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−及び4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸カリウム等)等が挙げられる。
ジカルボン酸の無水物(a3)としては、上記(a1)又は(a2)の無水物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
ジカルボン酸及びその無水物(a)は、単独でも2種以上を併用してもよい。これらのうち、集束性の観点から、鎖式飽和ジカルボン酸(a11)、鎖式不飽和ジカルボン酸(a12)及び芳香族ジカルボン酸(a2)が好ましく、更に好ましくは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸、特に好ましくはアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸である。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)を構成するジオール(b)としては、有するオキシエチレン基(以下、EO基と記載する)のモル数の数平均値が1〜35であるジオール(b1)を必須成分として含有する。
有するEO基のモル数の数平均値が35を越える場合、乳化安定性及び耐熱性の観点から好ましくない。
また、(b1)は、乳化安定性及び耐熱性の観点から、EO基が1〜34個連続したポリオキシエチレン鎖を有することが好ましく、EO基が2〜20個連続したポリオキシエチレン鎖を有することが更に好ましい。
前記のジオール(b1)のうち、相溶性及び耐熱性の観点から好ましいのは、芳香環含有2価フェノールの水酸基に対するEO付加物であって有するEO基のモル数の数平均値が1〜35であるジオール(b11)及び/又はエチレングリコールの水酸基に対するEO付加物であって有するEO基のモル数の数平均値が1〜35であるジオール(b12)である。
なお、EOの数平均モル数について、ジオール(b)が、エチレングリコールのEO付加物の場合、エチレングリコール由来のオキシエチレン基の数も合計して算出する。
(b11)は、耐熱性の観点から更に好ましくは、ビスフェノールAの水酸基に対するEO2〜5モル付加物である。特に好ましくはビスフェノールAの水酸基に対するEO2〜4モル付加物である。
(b12)は、耐熱性の観点から更に好ましくは、エチレングリコールの水酸基に対するEO2〜34モル付加物のポリオキシエチレングリコールであり、特に好ましくは、エチレングリコールの水酸基に対するEO2〜20モル付加物のポリオキシエチレングリコールである。
ジオール(b1)のうち、繊維用集束剤組成物の相溶性及び耐熱性の観点から好ましいのは、(b11)であり、更に好ましくは、ビスフェノールAの水酸基に対するEO2〜5モル付加物である。特に好ましくはビスフェノールAの水酸基に対するEO2〜4モル付加物である。
ジオール(b)はジオール(b1)以外に、脂肪族アルカンジオール、脂肪族アルカンジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)付加物(上記(b12)を除く)、脂環式ジオール、脂環式ジオールのAO付加物、1級アミンのAO付加物及び芳香環含有2価フェノールの水酸基に対するAO付加物(上記(b11)を除く)からなる群から選ばれる少なくとも1種のジオールを併用してもよい。
脂肪族アルカンジオールとしては、炭素数2〜16のもの、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
脂肪族アルカンジオールのAO付加物としては、上記ジオールに対して炭素数2〜4のAOを付加した化合物が挙げられる。炭素数2〜4のAOとしては、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド(以下、BOと略記)等が挙げられる。これらのAOは2種以上を併用してもよく、2種以上の併用の場合の結合様式は、ブロック付加、ランダム付加及びこれらの併用のいずれでもよい。脂肪族アルカンジオール1分子当たりのAOの付加モル数は、1〜120モルであることが好ましい。
脂環式ジオールとしては、炭素数4〜16のもの、例えば1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
脂環式ジオールのAO付加物としては、上記脂環式ジオールに対して炭素数2〜4のAOを付加したもの(脂環式ジオール1分子当たりのAOの付加モル数は、1〜120モルであることが好ましい)が挙げられる。
1級アミンとしては、炭素数1〜18の1級アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン及びドデシルアミン等が挙げられる。
1級アミンのアルキレンオキサイド付加物としては、1級アミンに対して炭素数2〜4のAOを付加したもの(1級アミン1分子当たりのAOの付加モル数は、1〜120モルであることが好ましい)が挙げられる。
芳香環含有2価フェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、クレゾール及びヒドロキノン等が挙げられる。
芳香環含有2価フェノールのAO付加物としては、芳香環含有2価フェノールに対して炭素数2〜4のAOを付加したもの(芳香環含有2価フェノール1分子当たりのAOの付加モル数は、1〜120モルであることが好ましい)が挙げられる。
ジオール(b1)の重量割合は、ポリエステル樹脂(A)を構成する全ての原料[ジカルボン酸又はその無水物(a)及びジオール(b)等の合計重量]を基準として20〜90重量%であることが好ましく、更に好ましくは25〜85重量%である。
また、ジオール(b)のうちのジオール(b1)の重量割合は、乳化安定性の観点から、40〜100重量%であることが好ましく、50〜100重量%であることが更に好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、1,000〜10,000の重量平均分子量(以下、Mwと略記)を有することが好ましい。Mwが1,000以上であると十分な集束性を有し、10,000以下であると水に対する親和性が高く乳化安定性及び相溶性に優れる。
なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)により測定される。Mwは1,000〜9,000が更に好ましく、1,000〜8,000が特に好ましい。この範囲であれば集束性及び水に対する親和性が更に優れる。
ポリエステル樹脂(A)のMwの測定に使用されるGPCの条件は、例えば以下の条件である。
機種 :HLC−8220GPC(東ソー株式会社製液体クロマトグラフ)
カラム :TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器 :RI(Refractive Index)
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25重量%
注入量 :10μl
標準 :ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD
POLYSTYRENE)
各種ジオール(b)、ポリエステル樹脂(A)における連続したオキシエチレン基のモル数の数平均値及び重量平均分子量(以下、Mwと略記)の測定方法としては、以下の方法が挙げられる。
例えば、ポリエステル樹脂を加水分解してジオール成分を取り出し、更に分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、分取GPC)で分画し、各分画成分をNMR測定して構造を同定し、その構造と分画成分の重量から、上記オキシエチレン及びオキシプロピレン等の平均モル数を測定し、各ジオール(b)、ポリエステル樹脂(A)におけるオキシエチレン及びオキシプロピレンの重量%等を算出することができる。
分取GPCの測定条件は例えば以下の通りである。
機種 :LC−09(日本分析工業(株)製)
カラム :JAIGEL−3H
+JAIGEL−2H
+JAIGEL−1H
カラム温度:25℃
溶媒 :クロロホルム
流速 :3ml/分
試料濃度 :2重量%
注入量 :3ml
ポリエステル樹脂(A)を製造する方法としては、例えば、ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)を所定モル比で仕込み、反応温度100〜250℃、圧力−0.1〜1.2MPaで撹拌下、水を溜去させる方法が挙げられる。ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)の仕込みモル比[(a)/(b)]は、Mwを上記範囲内とし、集束性向上の観点から、好ましくは30/70〜50/50、更に好ましくは35/65〜50/50である。
ポリエステル樹脂(A)を製造するときには、触媒をポリエステル樹脂(A)の重量に基づいて0.03〜0.3重量%加えることが好ましい。触媒としては、パラトルエンスルホン酸、ジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等が挙げられ、反応性及び環境への影響の観点からテトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウムが好ましく、更に好ましいのはシュウ酸チタン酸カリウムである。
本発明におけるスチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
なお、本願において、スチレン化フェノール基とは、フェノキシ基の芳香環にスチレン基[本願においてスチレン基とは、下記一般式(2)で表される1価の基を意味する]が結合した基を意味する。
フェノキシ基の芳香環に結合するスチレン基[本願においてスチレン基とは、下記一般式(2)で表される1価の基を意味する]の置換基数の数平均値は、hで表され、1〜3であり、乳化安定性を高める観点から、1.3〜2.5であることが好ましく、1.5〜2.0であることが更に好ましい。
なお、一般式(1)において、フェノキシ基の芳香環に、一般式(2)で表される基がh個結合した構造とは、以下の構造のいずれであっても良い。
i)h個の一般式(2)で表される基が、全て、フェノキシ基の芳香環に直接結合した構造
ii)h個の一般式(2)で表される基の一部が、フェノキシ基の芳香環に結合した一般式(2)で表される基の芳香環に、結合した構造[更に、末端の一般式(2)で表される基の芳香環に、h個の一般式(2)で表される基の一部が、連続して連なっていても良い]
Figure 2019163583
Figure 2019163583
一般式(1)及び一般式(2)中、R及びRのうち一方の基が炭素数1〜3の鎖状炭化水素基である。他方の基は、水素原子又は炭素数1〜3の鎖状炭化水素基である。
炭素数1〜3の鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基であり、直鎖状又は分岐状であってもよい。
一般式(1)におけるiは、フェノールの水酸基に対するオキシプロピレン基の数平均付加モル数である。iは0〜20であり、乳化安定性の観点から好ましくは5〜20であり、更に好ましくは10〜15である。
一般式(1)におけるjは、オキシエチレン基の数平均付加モル数である。jは5〜45であり、乳化安定性の観点から好ましくは10〜40である。
一般式(1)におけるkは、オキシプロピレン基の数平均付加モル数である。kは0〜10であり、乳化安定性の観点から好ましくは0〜5である。
本発明におけるスチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)とは、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール及びトリ以上のスチレン化フェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上に炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)を付加重合させた化合物を含むノニオン界面活性剤である。
ノニオン界面活性剤(C)は、モノスチレン化フェノールポリアルキレンオキサイド付加物、ジスチレン化フェノールポリアルキレンオキサイド付加物、トリ以上のスチレン化フェノールポリアルキレンオキサイド付加物をそれぞれ単独で使用してもよいが、乳化安定性の観点からスチレン基の付加モル数が分布を持つことが好ましく、これらの混合物を用いることが好ましい。
なお、本願においてスチレン基とは、上述したように一般式(2)で表される基を意味し、スチレンが付加した構造の1−フェニル−エチル基だけでなく、置換スチレンが付加した構造である一般式(2)中のR及びRが共に炭素数1〜3の鎖状炭化水素基であるジアルキルベンジル構造も含む。
ノニオン界面活性剤(C)は、例えば酸触媒存在下でフェノールとスチレン系化合物とを反応させた後、触媒存在下でエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを付加重合させて製造することができる。
ノニオン界面活性剤(C)としては、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリススチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンモノスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレン‐2,4,6‐トリス(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレン‐2,4‐ビス(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレン‐2‐モノ(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル及びポリオキシエチレンオキシプロピレン‐4‐モノ(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤(C)中のオキシプロピレン基の含有重量とオキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計との比率[(オキシプロピレン基の含有重量)/(オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計)]は0.05〜0.5であり、好ましくは乳化安定性の観点で0.09〜0.5であり、更に好ましくは0.09〜0.40である。上記比率が0.05未満である場合は、樹脂との相溶性が悪く、好ましくない。また、0.5を越える場合も水との相溶性が悪く、好ましくない。
ノニオン界面活性剤(C)は、HLBが5〜15の範囲であることが好ましい。更に好ましくは、乳化安定性の観点で9.0〜12.5である。ノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。また、界面活性剤の親水性と親油性の度合いを示す指標であり、アルキレンオキサイド系ノニオン界面活性剤の場合には、HLB値=20×親水部の総和/分子量で表される式により求められる。
ノニオン界面活性剤(C)の重量に対するスチレン基の重量割合が5〜30重量%であり、好ましくは乳化安定性の観点で10〜30重量%である。
上述のスチレン基の重量割合の計算において、スチレン基とは、上記の一般式(2)で表される1価の基を意味する。
本発明におけるノニオン性界面活性剤(C)は、1,000〜3,500の重量平均分子量(以下、Mwと略記)を有することが好ましい。Mwが1,000以上であると十分な集束性を有し、3,500以下であると水に対する親和性が高く乳化安定性及び相溶性に優れる。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)により測定される。Mwは1,100〜3,000が更に好ましく、1,200〜2,700が特に好ましい。この範囲であれば集束性及び水に対する親和性が更に優れる。
ノニオン性界面活性剤(C)のMwの測定に使用されるGPCの条件は、例えば以下の条件である。
機種 :HLC−8220GPC(東ソー株式会社製液体クロマトグラフ)
カラム :TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器 :RI(Refractive Index)
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25重量%
注入量 :10μl
標準 :ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD
POLYSTYRENE)
各種ノニオン界面活性剤(C)における連続したオキシアルキレン基のモル数の数平均値及び重量平均分子量(以下、Mwと略記)の測定方法としては、以下の方法が挙げられる。
例えば、分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、分取GPC)で分画し、各分画成分をNMR測定して構造を同定し、その構造と分画成分の重量から、ノニオン界面活性剤(C)におけるオキシエチレン及びオキシプロピレン等の重量%等を算出することができる。
分取GPCの測定条件は例えば以下の通りである。
機種 :LC−09(日本分析工業(株)製)
カラム :JAIGEL−3H
+JAIGEL−2H
+JAIGEL−1H
カラム温度:25℃
溶媒 :クロロホルム
流速 :3ml/分
試料濃度 :2重量%
注入量 :3ml
各種ノニオン界面活性剤(C)におけるスチレン基のモル数の数平均値及び重量平均分子量(以下、Mwと略記)の測定方法としては、以下の方法が挙げられる。
例えば、分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、分取GPC)で分画し、各分画成分をNMR測定して構造を同定し、その構造と分画成分の重量から、各種ノニオン界面活性剤(C)におけるスチレン基のモル数の数平均値及びMwを算出することができる。
分取GPCの測定条件は例えば以下の通りである。
機種 :LC−09(日本分析工業(株)製)
カラム :JAIGEL−3H
+JAIGEL−2H
+JAIGEL−1H
カラム温度:25℃
溶媒 :クロロホルム
流速 :3ml/分
試料濃度 :2重量%
注入量 :3ml
本発明の繊維用集束剤組成物(P)は、ポリエステル樹脂(A)以外に、樹脂(D)、及びその他の添加剤(E)のうち少なくとも一種を含有してもよい。
樹脂(D)を含有すると、炭素繊維との親和性が向上するため、集束性が更に優れる。
樹脂(D)としては、熱可塑性樹脂(D1)及び熱硬化性樹脂(D2)が挙げられる。
熱可塑性樹脂(D1)としては、国際公開WO2003/09015号パンフレット、国際公開WO2004/067612号パンフレット、特許第2926227号公報又は特許第2616869号公報等に記載の熱可塑性樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂及びアクリル樹脂等)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂(D2)としては、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂及び前記ポリエステル樹脂(A)以外の不飽和ポリエステル樹脂(特許3723462号に記載の樹脂等)等が挙げられる。なお、本願において(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味する。
樹脂(D)としては、成形体強度の観点から、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂及び前記ポリエステル樹脂(A)以外の不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、更に好ましいのはエポキシ樹脂である。
エポキシ樹脂としては、ジエポキシド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びエポキシ化不飽和脂肪酸トリグリセリド(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ナタネ油等)等が挙げられる。
ジエポキシドとしては、ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、ジグリシジルアミン及び脂環式ジエポキシド等が挙げられる。
ジグリシジルエーテルとしては、2価フェノールのジグリシジルエーテル及び2価アルコールのジグリシジルエーテルが挙げられる。
2価フェノールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数6〜30の2価フェノールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。2価フェノールとしては、ビスフェノール(ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS及びハロゲン化ビスフェノールA等)、カテキン、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルビフェニル及び9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロオレン等が挙げられる。
2価アルコールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数2〜100のジオールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールAのAO(1〜20モル)付加物等が挙げられる。AOとしては、炭素数2〜4のAOが挙げられる。
ジグリシジルエーテルに含まれる2価フェノール単位又は2価アルコール単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(2価フェノール単位又は2価アルコール単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1〜10が好ましく、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルエーテルは、n=1〜10の混合物(重縮合度の異なる混合物等)でもよい。
ジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステル及び脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸の芳香核水添加物(ヘキサヒドロフタル酸及び4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等)又は直鎖若しくは分岐の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸及び2,2−ジメチルプロパンジカルボン酸等)とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
ジグリシジルエステルは、芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1〜10が好ましく、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルエステルは、n=1〜10の混合物でもよい。
ジグリシジルアミンとしては、炭素数6〜20で、2〜4個の活性水素原子をもつ芳香族アミン(アニリン及びトルイジン等)とエピクロルヒドリンとの反応で得られるN−グリシジル化物(N,N−ジグリシジルアニリン及びN,N−ジグリシジルトルイジン等)等が挙げられる。
ジグリシジルアミンは、芳香族アミン単位とエピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族アミン単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1〜10が好ましく、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルアミンは、n=1〜10の混合物でもよい。
脂環式ジエポキシドとしては、炭素数6〜50で、エポキシ基の数2の脂環式エポキサイド{ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等}が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂のうち、成形体強度等の観点から、ジグリシジルエーテルが好ましく、更に好ましくは2価フェノールのジグリシジルエーテル、特に好ましくはビスフェノールのジグリシジルエーテル、最も好ましくはビスフェノールAのジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)である。
(メタ)アクリレート樹脂としては、(メタ)アクリレート変性熱可塑性樹脂及びビニルエステル樹脂が挙げられる。(メタ)アクリレート変性熱可塑性樹脂としては、アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂{ポリウレタン、ポリエステル及びポリエーテル(ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコール等)等}の水酸基を(メタ)アクリル酸で変性した変性物が含まれ、ポリウレタン(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレート及びポリエーテル(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレートとは、ジ(メタ)アクリレート及び/又はモノ(メタ)アクリレートを意味する。
ビニルエステル樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂(メタ)アクリレート変性物{ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基とが反応して得られる末端(メタ)アクリレート変性樹脂等}等が挙げられる。
樹脂(D)のMwは、200〜10,000が好ましく、更に好ましくは350〜3,000、特に好ましくは380〜2,500である。Mwがこの範囲であると、成形体強度が更に優れる。
なお、樹脂(D)のMwは、ポリエステル樹脂(A)のMwの測定と同様の方法で測定することができる。
その他の添加剤(E)としては、平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
平滑剤としては、ワックス(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレン等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6〜30)アルキル(アルキルの炭素数1〜24)エステル(メチルステアレート、エチルステアレート、プロピルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート及びステアリルステアレート等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6〜30)(ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等)、天然油脂(ヤシ油、牛脂、オリーブ油及びナタネ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、第4級アンモニウム塩及びイミダゾール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、チオジプロピオネート(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)及びホスファイト(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤組成物(P)における、ポリエステル樹脂(A)、スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)、樹脂(D)及びその他の添加剤(E)の含有量は、それぞれ以下のとおりである。
(A)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、30〜65重量%、更に好ましくは35〜60重量%。
(C)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、2.0〜20重量%、更に好ましくは2.5〜17重量%。
(D)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、20〜50重量%、更に好ましくは25〜45重量%。
(E)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、0〜30重量%、更に好ましくは0〜25重量%。
本発明の繊維用集束剤組成物(P)は、水溶液状又は水性エマルジョン状であり、水性媒体を含有する。水性媒体を含有すると、繊維へのポリエステル樹脂(A)の付着量を適量にすることが容易であるため、成形体としたときの強度が更に優れる繊維束を得ることができる。水性媒体としては、公知の水性媒体、例えば、水及び親水性有機溶媒[炭素数1〜4の低級アルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3〜6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2〜6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)及びそのモノアルキル(炭素数1〜2)エーテル、ジメチルホルムアミド並びに炭素数3〜5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等]が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
これらのうち、安全性等の観点から、水並びに親水性有機溶媒及び水の混合溶媒が好ましく、更に好ましいのは水である。
本発明の繊維用集束剤組成物は、コスト等の観点から、流通時は高濃度であって、繊維束の製造時は低濃度であることが好ましい。すなわち、高濃度で流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度で繊維を処理することで、優れた成形体強度を与える繊維束を製造できる。
繊維用集束剤組成物の水溶液又はエマルジョンの濃度(水性媒体以外の成分の含有割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
一方、低濃度の水溶液又はエマルジョンの濃度は、繊維束の製造時に集束剤組成物の付着量を適量にする観点等から、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
本発明の繊維用集束剤組成物は、ポリエステル樹脂(A)、ノニオン界面活性剤(C)、水性媒体並びに必要により樹脂(D)及びその他の添加剤(E)を如何なる順序で混合しても製造することが出来るが、好ましくは、水性媒体以外の成分を予め混合し、得られた混合物中に、水性媒体を投入して溶解又は乳化分散させる方法である。
また、樹脂(D)を2種以上使用する場合は、そのうちの1種を、一旦製造された水溶液又はエマルジョンに、最後に添加して混合してもよい。
水性媒体以外の成分を予め混合する場合の温度は、混合し易さの観点から、好ましくは20〜90℃、更に好ましくは40〜90℃であり、その後の溶解又は乳化分散の温度も同様である。溶解又は乳化分散させるために要する時間は、好ましくは1〜20時間、更に好ましくは2〜10時間である。
混合装置、溶解装置及び乳化分散装置に制限はなく、撹拌羽根(羽根形状:カイ型及び三段パドル等)、ナウターミキサー、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能混合機(万能混合攪拌機5DM−L、株式会社三英製作所製等)及びヘンシェルミキサー等が使用できる。
本発明の繊維用集束剤組成物を適用できる繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維等の公知の無機繊維(WO2003/47830号パンフレットに記載のもの等)が挙げられ、成形体強度の観点から、好ましくは炭素繊維である。これらの繊維は2種以上を併用してもよい。
本発明の繊維束は、これらの繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、上記繊維用集束剤組成物で処理して得られる(繊維3,000〜30,000本程度を束ねた繊維束等)。
繊維の処理方法としては、スプレー法又は浸漬法等が挙げられる。繊維上へのポリエステル樹脂(A)の付着量(重量%)は、繊維の重量に基づいて、0.05〜5が好ましく、更に好ましくは0.2〜2.5である。この範囲であると、成形体強度が更に優れる。
本発明の繊維製品は、上記繊維束を加工して繊維製品としたものであり、発明の繊維束及びマトリックス樹脂を含有する。本発明の繊維製品は、必要により、触媒を含有してもよい。
前記の繊維製品としては、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
マトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂(D1)及び熱硬化性樹脂(D2)等が挙げられる。
エポキシ樹脂用の触媒としては、公知(特開2005−213337号公報に記載のもの等)のエポキシ樹脂用硬化剤及び硬化促進剤等が挙げられる。また、(メタ)アクリレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂用の触媒としては、過酸化物(ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエイト、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等)及びアゾ系化合物(アゾビスイソバレロニトリル等)等が挙げられる。
マトリックス樹脂と繊維束との重量比率(マトリックス樹脂/繊維束)は、成形体強度等の観点から、10/90〜90/10が好ましく、更に好ましくは20/80〜70/30、特に好ましくは30/70〜60/40である。
触媒を含有する場合、触媒の含有量(重量%)は、成形体強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して0.01〜10が好ましく、更に好ましくは0.1〜5、特に好ましくは1〜3である。
繊維製品は、熱溶融(好ましい溶融温度:60〜350℃)したマトリックス樹脂、又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈したマトリックス樹脂を、繊維束に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去することが好ましい。
本発明の繊維製品を成形することによって、繊維強化複合材料が得られる。マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、常温で固化することで成形体とすることができる。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、硬化することで成形体とすることができる。硬化は完結している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。
加熱成形の方法は特に限定されず、フィラメントワインディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成形法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
以下において本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、特に記載がない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
製造例1[ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
ビスフェノールA1モル部に対してEO2.3モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物794.5部、フマル酸243.2部を、ガラス反応容器中、窒素流通下170℃で水を留去しながら4時間反応させた。更に145℃まで冷却し水を留去しながら10時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−1)を1,000部得た。
製造例2[ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
ビスフェノールA1モル部に対してEO4モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BPE−40)446.9部、テレフタル酸152.7部、アジピン酸0.3部及びテトライソプロポキシチタネート1.8部を、ガラス反応容器中、窒素流通下225℃で−0.1MPaまで減圧し水を留去しながら10時間反応させた。ここに更にポリオキシエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製:PEG−1000)246.4部及びポリオキシエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製:PEG−2000)184.5部を加えて145℃で−0.1MPaまで減圧し水を留去しながら10時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−2)1,000部を得た。
製造例3[ポリエステル樹脂(A−3)の合成]
ビスフェノールA1モル部に対してEO2.3モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物366.1部、ビスフェノールA1モル部に対してPO3モル部が付加したビスフェノールAのPO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BP−3P)50.3部、テレフタル酸170.5部、及びテトライソプロポキシチタネート0.3部を、ガラス反応容器中、窒素流通下225℃で−0.1MPaまで減圧し水を留去しながら10時間反応させた。ここに更にフマル酸28.1部及びテトライソプロポキシチタネート0.5部を加えて170℃で水を留去しながら3時間反応させた。ここに更にビスフェノールA1モル部に対してEO34モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物433.4部を加えて180℃で−0.1MPaまで減圧し水を留去しながら16時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−3)1,000部を得た。
製造例4[ポリエステル樹脂(A−4)の合成]
ビスフェノールA1モル部に対してPO3モル部が付加したビスフェノールAのPO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BP−3P)613.9部、フマル酸168.7部及びパラトルエンスルホン酸0.4部を、ガラス反応容器中、窒素流通下170℃で水を留去しながら10時間反応させた。ここにビスフェノールA1モル部に対してEO18モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BPE−180)257.1部を加えて140℃で4時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−4)1,000部を得た。
Figure 2019163583
ポリエステル樹脂(A−1)〜(A−4)について、ジオール(b)のうちのジオール(b1)の重量割合、ポリエステル樹脂(A)のMwの測定結果及びポリエステル樹脂(A)の酸価の測定結果を表1に示す。
なお、ポリエステル樹脂(A)のMwの測定は、ポリエステル樹脂(A)の説明で例示した条件で実施した。
また、ポリエステル樹脂(A)の酸価の測定は、JIS K0070−1992に記載の方法に基づいて実施した。
製造例5[スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C−1)の合成]
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル340.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン660.0部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後、けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。得られたスチレン化フェノ−ル102.6部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを1.6部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイドを296.2部及びエチレンオキサイド601.2部を順次吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ(C−1)を得た。
製造例6[スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C−2)の合成]
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル247.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン753.0部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。得られたスチレン化フェノ−ル279.7部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを1.3部加え135℃に昇温し、エチレンオキサイド658.5部及びプロピレンオキサイド61.8部を順次吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ(C−2)を得た。
製造例7[スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C−3)の合成]
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル340.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン660.0部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後、けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。得られたスチレン化フェノ−ル197.0部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを2.1部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイドを395.1部及びエチレンオキサイド407.9部を順次吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ(C−3)を得た。
製造例8[スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C−4)の合成]
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル340.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン660.0部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後、けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。得られたスチレン化フェノ−ル132.1部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを2.8部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイドを278.2部、エチレンオキサイド506.4部及びプロピレンオキサイド83.3部を順次吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ(C−4)を得た。
比較製造例1[スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C’−1)の合成]
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル304.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン696.0部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。得られたスチレン化フェノ−ル286.1部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを1.0部加え135℃に昇温し、エチレンオキサイド713.9部を吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ(C’−1)を得た。
比較製造例2[スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C’−2)の合成]
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル247.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン753.0部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。得られたスチレン化フェノ−ル332.5部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを2.0部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイド667.5部を吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ(C’−2)を得た。
Figure 2019163583
ノニオン界面活性剤(C−1)〜(C−4)及び比較用のノニオン界面活性剤(C’−1)〜(C’−2)について、のMwの測定結果を表2に記載する。
なお、ノニオン界面活性剤(C)のMwの測定は、ノニオン界面活性剤(C)の説明で例示した条件で実施した。
実施例1
ポリエステル樹脂(A−1)415部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート828)415部、ノニオン界面活性剤(C−1)170部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P−1)を得た(外観:白色エマルジョン)。
実施例2
ポリエステル樹脂(A−2)440部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:エピコート1001)460部、ノニオン界面活性剤(C−1)50部、ノニオン界面活性剤(C−2)50部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P−2)を得た(外観:白色エマルジョン)。
実施例3
ポリエステル樹脂(A−3)575部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)325部、ノニオン界面活性剤(C−1)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P−3)を得た(外観:白色エマルジョン)。
実施例4
ポリエステル樹脂(A−3)575部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)325部、ノニオン界面活性剤(C−3)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P−4)を得た(外観:白色エマルジョン)。
実施例5
ポリエステル樹脂(A−3)575部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)325部、ノニオン界面活性剤(C−4)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P−5)を得た(外観:白色エマルジョン)。
実施例6
ポリエステル樹脂(A−4)350部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)450部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:エピコート1001)50部、ノニオン界面活性剤(C−1)150部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P−6)を得た(外観:白色エマルジョン)。
実施例7
ポリエステル樹脂(A−2)440部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:エピコート1001)460部、ノニオン界面活性剤(C−2)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P−7)を得た(外観:白色エマルジョン)。
比較例1
ポリエステル樹脂(A−1)を415部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)415部、ノニオン界面活性剤(C’−1)170部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の集束剤組成物(P’−1)を得た(外観:白色エマルジョン)。
比較例2
ポリエステル樹脂(A−1)を415部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)415部、ノニオン界面活性剤(C’−2)170部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の集束剤組成物(P’−2)を得た(外観:白色エマルジョン)。
集束剤組成物(P−1)〜(P−7)及び集束剤組成物(P’−1)及び(P’−2)について乳化安定性及び耐熱性を評価した。
また、これらの集束剤組成物を、集束剤組成物純分(水以外の成分)の含有量が1.5%になるように水で希釈し、炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して集束剤組成物を含浸させ、150℃で3分間熱風乾燥させて得られた炭素繊維束について、集束性を評価した。
その結果を表3に示した。
<乳化安定性評価1(加熱後評価)>
乳化安定性評価1(加熱後評価)、以下の条件で実施した。
上記の実施例及び比較例で得た集束剤組成物をガラス瓶に採取し、蓋をして、5℃及び40℃で6か月保管し、以下の基準で判定した。
◎:沈殿も相分離もなく、透過率が90%以上
○:沈殿も相分離もなく、透過率が90%未満
×:沈殿及び/又は相分離が確認される
なお、集束剤組成物の透過率(%)は、下記測定方法により測定した。
(透過率の測定法)
上記の条件で保管後の集束剤組成物について、純分[集束剤組成物における水以外の成分]の重量が0.01%となるように水で希釈し、希釈液を作成した。
光路長10mmのセル中にガラス製セル中に前記の希釈液を投入し、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)を用いて、25℃における可視光(600nm)の透過率を測定した。ブランクにはイオン交換水を用いた。
<乳化安定性評価2(せん断応力付与後評価)>
乳化安定性評価2(せん断応力付与後評価)は、以下の条件で実施した。
集束剤組成物純分[集束剤組成物における水以外の成分]の重量が10gとなる量の集束剤組成物に、40℃の水190gを撹拌下加えた。この集束剤組成物希釈液を40℃に温調し、ホモミキサー(特殊機化工業製 TKロボミクス)で8,000rpm、10分間のせん断をかけた。これを400メッシュの金網(約10cm×10cm;重量約5g)でろ過し、金網のろ過前後の増分重量(g)を測定した。増分重量が少ないほど乳化安定性に優れる。
<耐熱性評価>
耐熱性は、以下の条件で測定した。測定装置として株式会社日立ハイテクサイエンス製示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200を用いた。測定条件としては空気を200ml/minの流量で流し、昇温速度10℃/minとした。測定容器にはφ5mm×高さ2.5mmのアルミニウムパンを用い、測定サンプル質量は5〜10mgとした。集束剤組成物を130℃で45分乾燥して水及び有機溶媒を揮発させ固形物を得た後、上記サンプル量をアルミニウムパンに量りとり、耐熱性を評価した。到達温度300℃及び400℃での加熱前後における上記固形物の重量減少率(%)を確認した。
重量減少率が低いほど、高温での繊維への処理に耐えることができ、耐熱性が高いことを意味する。
<集束性評価>
集束性は、前記の方法で作製した炭素繊維束を用いて、JIS L1096−2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。数値の大きいものほど集束性に優れることを示す。
実施例1〜7の集束剤組成物は、加熱後であっても優れた乳化安定性を発揮する。
また、ジオール(b)におけるジオール(b1)の重量割合が、40重量%以上である実施例1〜5及び実施例7の集束剤組成物は、せん断応力付与後も特に優れた乳化安定性を発揮する。
また、実施例1〜7の集束剤組成物は、十分な集束性だけでなく、十分な耐熱性も有する。
Figure 2019163583
本発明の繊維用集束剤組成物は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維又はスラッグ繊維用の集束剤として利用できる。また、本発明の繊維用集束剤組成物で処理して得られた繊維束又は繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックスとしてプリプレグを得ることができる。

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂(A)と、スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)とを含有し、下記(i)〜(iv)の全てを満たす繊維用集束剤組成物(P)。
    (i)ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)とを構成原料とするポリエステルである。
    (ii)ジオール(b)のうちの少なくとも1種が、有するオキシエチレン基のモル数の数平均値が1〜35であるジオール(b1)である。
    (iii)ノニオン界面活性剤(C)中のオキシプロピレン基の含有重量と、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計との比[(オキシプロピレン基の含有重量)/(オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計)]が0.05〜0.5であり、ノニオン界面活性剤(C)の重量に対するスチレン基の重量の比率(重量%)が5〜30である。
    (iv)繊維用集束剤組成物(P)が、水性媒体を含む。
  2. ジオール(b)におけるジオール(b1)の重量割合が、40〜100重量%である請求項1に記載の繊維用集束剤組成物。
  3. ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量が1,000〜10,000である請求項1又は2に記載の繊維用集束剤組成物。
  4. ジオール(b1)が、芳香環含有2価フェノールの水酸基に対するエチレンオキサイド付加物及び/又はエチレングリコールの水酸基に対するエチレンオキサイド付加物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維用集束剤組成物。
  5. 更にポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂及び前記ポリエステル樹脂(A)以外の不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(D)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維用集束剤組成物。
  6. ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維用集束剤組成物で処理してなる繊維束。
  7. 請求項6に記載の繊維束を含有する繊維製品。
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