JP6886281B2 - 繊維用集束剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、本発明は繊維用の集束剤に関する。更に詳しくは、繊維強化複合材料に使用される繊維用の集束剤に関する。
アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの各種繊維と不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂との複合材料が、建築材料、スポーツ用具、レジャー用品及び航空機等の分野で広く利用されている。これらの繊維は加工工程において毛羽立ちや糸切れを防止するために、通常、集束剤が付与されている。
近年、複合材料を様々な用途へ展開すべく、その強度をさらに高めることが求められている。そのため、集束剤を高機能化し、複合材料の強度を向上させる開発が行われている。
例えば、特定のポリエステル樹脂を含有する集束剤(特許文献1)、液状及び固状のエポキシ樹脂と水溶性ポリウレタン樹脂とステアリン酸エステルからなる集束剤(特許文献2)が挙げられる。
特開2009−1954号公報 特開平09−250087号公報
ところで、一般に繊維の集束性と開繊性は集束剤の粘度に依存し、相反する性能である。集束剤の粘度が高い場合には集束性が高く繊維の取扱い性が良好であるが開繊性が低いために樹脂の含浸性に劣り、逆に粘度が高い場合には開繊性が高く樹脂の含浸性に優れるが、集束性が低いため繊維の取扱い性に劣る。
その点で、特許文献1、2で提案された集束剤は、繊維の集束性及び開繊性の両立が不十分であり、その結果、複合材料の強度も十分でないという課題があった。
本発明の目的は、繊維束に優れた集束性と開繊性が両立し、繊維強化複合材料に優れた強度を付与することができる繊維用集束剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリエステル樹脂(A)と、ポリエーテル系ポリマー(B)を含む繊維用集束剤組成物であって、 ポリエステル樹脂(A)が、カルボン酸成分(a)と、アルキレンオキサイド付加物(b1)を含むジオール成分(b)とのポリエステルであり、 ポリエーテル系ポリマー(B)が、HLBが10〜20のポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)とを反応させてなるポリウレタン樹脂(B1)、及び/又はHLBが10〜20のポリエーテルジオール(c)とジアルキルカーボネート(d2)もしくはアルキレンカーボネート(d3)とを反応させてなるポリカーボネート樹脂(B2)であり、 繊維用集束剤組成物中のポリエステル樹脂(A)とポリエーテル系ポリマー(B)との重量比(A)/(B)が50/50〜99.5/0.5である繊維用集束剤組成物;この繊維用集束剤組成物が水又は有機溶媒に分散されてなる繊維用集束剤分散体;この繊維用集束剤組成物が水又は有機溶媒に溶解されてなる繊維用集束剤溶液;この繊維用集束剤で繊維を処理してなる繊維束;並びにこの繊維束からなる繊維製品である。
本発明の繊維用集束剤組成物は、繊維束に良好な集束性と開繊性を付与し、これらを用いた複合材料は強度に優れるという効果を奏する。さらに毛羽立ちが少なく、樹脂の含浸性も良好である。
本発明の繊維用集束剤組成物は、ポリエステル樹脂(A)とポリエーテル系ポリマー(B)を必須成分として含む。このポリエステル樹脂(A)は、カルボン酸成分(a)と、アルキレンオキサイド付加物(b1)を含むジオール成分(b)とのポリエステルである。一方、 ポリエーテル系ポリマー(B)は、ポリウレタン樹脂(B1)及び/又はポリカーボネート樹脂(B2)であり、ポリウレタン樹脂(B1)はHLBが10〜20のポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂である。また、ポリカーボネート樹脂(B2)は、HLBが10〜20のポリエーテルジオール(c)とジアルキルカーボネート(d2)もしくはアルキレンカーボネート(d3)とを反応させて得られるポリカーボネート樹脂である。
また繊維用集束剤組成物中のポリエステル樹脂(A)とポリエーテル系ポリマー(B)との重量比(A)/(B)は50/50〜99.5/0.5である。
本発明のポリエステル樹脂(A)は、カルボン酸成分(a)と、アルキレンオキサイド付加物(b1)を含むジオール成分(b)とのポリエステルである。
カルボン酸成分(a)としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、脂肪族不飽和ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、ダイマー酸、芳香族ジカルボン酸;及びこれらの無水物、または低級アルコールとのエステル等が挙げられる。
脂肪族飽和ジカルボン酸としては、炭素数2〜22の直鎖又は分岐の脂肪族飽和ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、ジメチルマロン酸、α−メチルグルタル酸、β−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、イコサンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等)等が挙げられる。
脂肪族不飽和ジカルボン酸としては、炭素数4〜22の直鎖又は分岐の脂肪族不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、炭素数7〜14の脂環式ジカルボン酸(1,3−又は1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等)等が挙げられる。
ダイマー酸としては、炭素数8〜24の鎖式不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等)の二量体等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−及び4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸カリウム等)等が挙げられる。
カルボン酸の無水物としては、上記ジカルボン酸の無水物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
カルボン酸と低級アルコールとのエステルとしては、上記ジカルボン酸の低級アルコール(メタノール、エタノール等)とのエステル、例えば、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム等があげられる。
カルボン酸成分(a)は、単独でも2種以上を併用してもよい。これらのうち、集束性の観点から、鎖式飽和ジカルボン酸、鎖式不飽和ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が好ましく、更に好ましくはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びこれらのうちの2種以上の併用であり、特に好ましくはアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びこれらのうちの2種以上の併用である。
ジオール成分(b)としては、脂肪族アルカンジオール、脂環式ジオール、芳香環含有2価フェノール、およびアルキレンオキサイド付加物(b1)等が挙げられる。
脂肪族アルカンジオールとしては、炭素数2〜16のもの、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
脂環式ジオールとしては、炭素数4〜16のもの、例えば1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香環含有2価フェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、クレゾール及びヒドロキノン等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物(b1)としては、脂肪族アルカンジオール、脂環式ジオール、芳香環含有2価フェノール、及び1級アミンにアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記することがある。)を付加した化合物が挙げられる。
脂肪族アルカンジオールのAO付加物としては、上記脂肪族アルカンジオールに炭素数2〜4のAOを付加した化合物が挙げられる。炭素数2〜4のAOとしては、エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記することがある。)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記することがある。)、1,2−ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのAOは2種以上を併用してもよく、2種以上の併用の場合の結合様式は、ブロック付加、ランダム付加及びこれらの併用のいずれでもよい。
脂環式ジオールのAO付加物としては、上記ジオールに炭素数2〜4のAOを付加した化合物が挙げられる。
芳香環含有2価フェノールのAO付加物としては、上記フェノールに炭素数2〜4のAOを付加した化合物が挙げられる。
1級アミンのAO付加物における1級アミンとしては、炭素数1〜22の1級アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン及びドデシルアミン等が挙げられる。1級アミンのAO付加物としては、上記アミンに炭素数2〜4のAOを付加した化合物が挙げられる。
ジオール成分(b)のうちで、集束性と開繊性の両立の観点から好ましいのは、アルキレンオキサイド付加物(b1)であり、更に好ましいのは、脂肪族アルカンジオールのAO付加物、芳香環含有2価フェノールのAO付加物並びにこれらの2種以上の併用である。
また、アルキレンオキサイド付加物(b1)のうちで、集束剤の乳化安定性の観点から、4〜500個のオキシエチレン基を有するジオール(b11)であることが好ましく、特に好ましくはビスフェノールAのEO付加物及び/又は炭素数2〜6のアルキレングリコールのEO付加物である。
4〜500個のオキシエチレン基を有するジオール(b11)としては、下記のもの等が挙げられる。
脂肪族アルカンジオールのAO付加物のうちで、EOが4〜500個付加したものとして、具体的には、エチレングリコールのEO4モル付加物、エチレングリコールのEO23モル付加物、エチレングリコールのEO90モル付加物、エチレングリコールのEO200モル付加物、エチレングリコールのEO500モル付加物、プロピレングリコールのEO5モル付加物、プロピレングリコールのPO2モル/EO20モル付加物(ブロック付加物)、プロピレングリコールのPO2モル/EO100モル付加物(ブロック付加物)、プロピレングリコールのPO2モル/EO500モル付加物(ランダム付加物)、1,4−ブタンジオールEO100モル付加物、1,6−ヘキサンジオールEO100モル付加物、オクタンジオールEO100モル付加物、デカンジオールEO100モル付加物、ドデカンジオールEO100モル付加物、ヘキサデカンジオールEO100モル付加物、ネオペンチルグリコールEO100モル付加物等が挙げられる。
芳香環含有2価フェノール、1級アミン又は脂環式ジオールのAO付加物のうちで、EOが4〜500個付加したものとして、具体的には、ビスフェノールAのEO10モル付加物、ビスフェノールAのEO50モル付加物、ビスフェノールAのEO200モル付加物及びビスフェノールAのEO500モル付加物、ドデシルアミンのEO10モル付加物、ドデシルアミンのEO50モル付加物、水素化ビスフェノールAのEO4モル付加物及びビスフェノールAのEO50モル付加物等が挙げられる。
4〜500個のオキシエチレン基を有するジオール(b11)のうちで、繊維束の毛羽立ち抑制の観点から好ましいのは、ビスフェノールAのEO付加物及び/又はエチレングリコールのEO付加物である。
ポリエステル樹脂(A)中のエステル基濃度は、前記ポリエステル樹脂(A)の重量に基づいて、10ミリモル/g以下であることが好ましく、5ミリモル/g以下であることがさらに好ましい。エステル基濃度が高すぎると、ポリエステル樹脂(A)の粘度が高くなり、繊維束の毛羽立ちが多くなる。
ポリエステル樹脂(A)中のエステル基濃度の下限は特に限定されないが、前記ポリエステル樹脂(A)の重量に基づいて、0.5mmol/g以上であることが好ましい。
上記エステル基濃度は、例えば、NMR測定により求めることができる。
ポリエステル樹脂(A)を製造する方法としては、例えば、カルボン酸成分(a)及びジオール成分(b)を所定のモル比で仕込み、反応温度100〜250℃、圧力−0.1〜1.2MPaで撹拌下、水を溜去させる方法が挙げられる。反応混合物にさらにジオール成分(b)を加えて反応させてもよい。
ポリエステル樹脂(A)を製造するときには、触媒をポリエステル樹脂(A)の重量に基づいて0.05〜0.5重量%加えることが好ましい。触媒としては、例えばパラトルエンスルホン酸、ジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウムが挙げられ、反応性及び環境への影響の観点からテトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウムが好ましい。
本発明の繊維用集束剤組成物は、ポリエーテル系ポリマー(B)を含有してなる。
このポリエーテル系ポリマー(B)は、HLBが10〜20のポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)とを反応させてなるポリウレタン樹脂(B1)、及び/又はHLBが10〜20のポリエーテルジオール(c)とジアルキルカーボネート(d2)もしくはアルキレンカーボネート(d3)とを反応させてなるポリカーボネート樹脂(B2)である。
ポリウレタン樹脂(B1)はポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)とを反応させてなり、ポリエーテルジオール(c)はHLBが10〜20である。
本明細書において、HLBは、グリフィンの方法により求められる値である。ポリエーテルジオール(c)のHLBは10〜20であり、11〜20が好ましく、12〜20がさらに好ましい。HLBが10未満の場合、複合材料の強度が低下する。
ポリエーテルジオール(c)としては、ポリエステル樹脂(A)で説明したアルキレンオキサイド付加物(b1)と同様のものであり、脂肪族アルカンジオールのAO付加物、脂環式ジオールのAO付加物、1級アミンのAO付加物並びに芳香環含有2価フェノールのAO付加物等が挙げられる。
具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングロックポリマー、シクロヘキサンジオールのEO付加物、ブチルアミンのEO付加物、ビスフェノールAのEO付加物が挙げられる。
ポリエーテルジオール(c)の数平均分子量は特に限定されないが、複合材料の強度の観点から、600〜30,000が好ましい。
数平均分子量が低すぎると、ウレタン基含有量が高くなる傾向にあり、集束性と開繊性の両立がしづらくなるため好ましくない。数平均分子量が高すぎると、マトリックス樹脂の含浸性が悪くなるので好ましくない。
ジイソシアネート(d1)としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート及びドデカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジエチルベンゼンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)及び4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。
これらのジイソシアネート(d1)のうち、繊維束の集束性の観点から、芳香脂肪族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネートが好ましく、更に好ましくは芳香族ジイソシアネートである。具体的には、XDI、TDI、MDI等である。
ポリウレタン樹脂(B1)はポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)とを反応させてなり、その製造方法は特に限定されないが、例えば、撹拌機付きバッチ式反応槽中で有機溶剤の存在下または非存在下に、ポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)をワンショットで混合、反応させる方法が挙げられる。
ポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)の当量比は特に限定されないが、イソシアネート基の当量が過剰にならないことが好ましい。イソシアネート基の当量が過剰の場合は、炭素数1〜20のモノアルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)等の反応停止剤を使用することが好ましい。
ポリウレタン樹脂(B1)の数平均分子量は特に限定されないが、複合材料の強度の観点から、2000〜500,000が好ましい。数平均分子量が低すぎる場合は、複合材料の強度を高める効果がなく、集束剤の有用な成分を希釈するので好ましくない。数平均分子量が高すぎる場合は、集束剤の粘度が高くなるため、開繊性が低くなり、その結果、複合材料の強度が高まらない。
ポリカーボネート樹脂(B2)はHLBが10〜20のポリエーテルジオール(c)とジアルキルカーボネート(d2)もしくはアルキレンカーボネート(d3)とを反応させてなる。
ポリエーテルジオール(c)はポリエステル樹脂(A)で説明したアルキレンオキサイド付加物(b1)と同様のものであり、好ましい範囲も同じである。
ジアルキルカーボネート(d2)としては、炭素数1〜20のアルキル基を有するカーボネートが挙げられる。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−イソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジ−イソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート及びジオクチルカーボネート等が挙げられる。
アルキレンカーボネート(d3)としては、環を形成する炭素数2〜6のアルキレン基を有するカーボネートが挙げられる。例えば、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート等が挙げられる。
これらのうちで好ましいものは炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネートであり、さらに好ましいものはジメチルカーボネートである。アルキル基の炭素数が少ないほど、副生するアルコールの沸点が低くなるため、留去し易くなるので好ましい。
ポリカーボネート樹脂(B2)の製造方法は以下の通りである。
ジアルキルカーボネート(d2)もしくはアルキレンカーボネート(d3)の使用量の制限はないが、(c):[(d2)+(d3)]の投入モル比は1:9〜3:1が好ましく、1:4〜2:1がより好ましい。(d2)もしくは(d3)の使用量が少ない場合は、ポリカーボネート樹脂(B2)の数平均分子量を伸ばすことができない。一方、(d2)もしくは(d3)の使用量が多すぎる場合も、ポリカーボネート樹脂(B2)の分子量が小さくなりすぎる。
ポリカーボネート樹脂(B2)の製造には触媒を使用してもよい。用いる触媒としては、アルカリ金属類及びアミン化合物が挙げられる。
アルカリ金属類としては例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属及びアルカリ土類金属単体、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば3級アミン及び通常の4級アンモニウム塩が挙げられる。3級アミンとしては、例えばN,N−ジメチルエタンアミン、N−メチル−N−エチルエタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン等が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウム/6フッ化燐酸塩、ピリジン類の4級塩等が挙げられる。
これら触媒は2種以上併用することもできる。これらのうちで好ましいものはアルカリ金属類であり、さらに好ましいものはナトリウム、カリウムの金属由来のアルカリ金属類であり、最も好ましいのは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。触媒(D)の投入量は、ポリエーテルジオール(c)の重量に対して、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。
触媒の分離が必要な場合には、炭酸塩による析出・ろ過操作、吸着剤による吸着ろ過処理操作等の分離・精製操作を行ってもよい。触媒の分離が必要がない場合には、分離・精製操作を行わなくてよい。
ポリカーボネート樹脂(B2)の製造において、必要により溶媒を使用することができる。溶媒としては、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテル等)、脂肪族炭化水素類(ノルマルへキサン、ノルマルノナン、シクロへキサン及びシクロヘキセン等)並びに芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン及びスチレン等)が好ましい。溶媒の使用量は、ポリエーテルジオール(c)の重量に対して、通常100重量%以下、好ましくは10重量%以下、溶媒を用いないことがさらに好ましい。
ポリカーボネート樹脂(B2)製造時の、ポリエーテルジオール(c)、ジアルキルカーボネート(d2)及び/またはアルキレンカーボネート(d3)の投入順序は特に制限がない。(d2)及び/または(d3)の投入方法は一括投入でもよく、分割投入でもよい。
ポリエーテルジオール(c)とジアルキルカーボネート(d2)もしくはアルキレンカーボネート(d3)とを反応させる温度は、通常20〜250℃、好ましくは40〜180℃、さらに好ましくは65〜135℃である。20℃未満では反応系の粘度が高く、ハンドリング性が悪い。250℃を超えるとポリエーテル系ポリマー(P)の熱分解が起こり、高分子量のものが得られないという問題が生じる。
ポリカーボネート樹脂(B2)の数平均分子量は特に限定されないが、複合材料の強度の観点から、2,000〜500,000が好ましい。数平均分子量が低すぎる場合は、複合材料の強度を高める効果がなく、集束剤の有用な成分を希釈するので好ましくない。数平均分子量が高すぎる場合は、集束剤の粘度が高くなるため、開繊性が低くなり、その結果、複合材料の強度が高まらない。
本発明の繊維用集束剤組成物はポリエステル樹脂(A)とポリエーテル系ポリマー(B)からなり、ポリエステル樹脂(A)とポリエーテル系ポリマー(B)との重量比(A)/(B)が50/50〜99.5/0.5であり、好ましくは55/45〜99/1、さらに好ましくは60/40〜95/5である。
ポリエステル樹脂(A)が50未満の場合、毛羽の発生が多くなるため好ましくない。ポリエーテル系ポリマー(B)が0.5未満の場合は、集束性と開繊性の両立がされず、複合材料の強度が高まらないため好ましくない。
本発明の繊維用集束剤組成物は、ポリエステル樹脂(A)及びポリエーテル系ポリマー(B)以外に、ポリエステル樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B1)以外の樹脂(C)、界面活性剤(D)及びその他の添加剤(E)の少なくとも一種を含有してもよい。
本発明の繊維用集束剤組成物が樹脂(C)を含有すると、マトリックス樹脂の繊維束に対する含浸性が良くなるため、複合材料の強度に優れる。また、本発明の繊維用集束剤組成物が界面活性剤(D)を含有すると、無機繊維に付着した集束剤が平滑になり易いため、無機繊維束の耐擦過性が更に優れ、有機溶剤を多量に含有しない水性エマルションを作製しやすい。
ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂(C)としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂(B1)以外のポリウレタン樹脂、(メタ)アクリレート変性樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、並びにポリアミド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂及びポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの2種以上を併用してもよい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。また、ポリエステル樹脂(A)及び(A)以外のポリエステル樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂は含まれないものとする。
樹脂(C)のうち、複合材料の強度等の観点から、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂(B1)以外のポリウレタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及び前記ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂が好ましく、更に好ましくはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂であり、特に好ましくはエポキシ樹脂である。
樹脂(C)を使用する場合、その含有量は、繊維用集束剤組成物の合計重量に基づき、マトリックス樹脂の含浸性の観点から、好ましくは1〜90重量%であり、より好ましくは5〜80重量%であり、更に好ましくは10〜75重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
界面活性剤(D)としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
界面活性剤(D)のうち好ましいのは、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤並びにアニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤の混合物であり、更に好ましいのはアルキルフェノールのAO付加物、アリールアルキルフェノール(スチレン化フェノール、スチレン化クミルフェノール又はスチレン化クレゾール)のAO付加物、アルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩、アリールアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物であり、特に好ましいのは、アリールアルキルフェノールのAO付加物、アリールアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物である。
界面活性剤(D)を使用する場合、その含有量は、繊維用集束剤組成物の合計重量に基づき、繊維束の集束性の観点から、好ましくは0.5〜20重量%であり、更に好ましくは1〜15重量%であり、特に好ましくは2〜10重量%である。
本発明の繊維用集束剤組成物には、必要に応じて添加剤を加えてもよく、例えば、平滑剤、防腐剤、酸化防止剤などが挙げられる。
平滑剤としては、ワックス類(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンなど)、高級脂肪酸アルキル(炭素数1〜24)エステル類(メチルステアレート、エチルステアレート、プロプルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート、ステアリルステアレートなど)、高級脂肪酸(ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸)などが挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類、第4級アンモニウム塩類イミダゾール類などが挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなど)、チオジプロピオネート類(ジラウリル 3,3’−チオジプロピオネートなど)、ホスファイト類(トリフェニルホスファイトなど)が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤組成物の製造方法に特に制限はないが、例えば、混合容器に、ポリエステル樹脂(A)及び反応性化合物(B)、並びに、必要により、樹脂(C)、界面活性剤(D)及びその他の添加剤を投入順序に特に制限なく投入し、好ましくは20〜150℃であり、更に好ましくは50〜120℃で均一になるまで撹拌して製造する方法等が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤分散体は、本発明の繊維用集束剤組成物が溶媒に分散されてなることが好ましい。
また、本発明の繊維用集束剤溶液は、本発明の繊維用集束剤が溶媒に溶解されてなることが好ましい。
繊維用集束剤組成物を溶媒に溶解又は分散することにより、繊維束への繊維用集束剤組成物の付着量を適量にすることが容易になる。
溶媒としては、水、および公知の有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜4の低級アルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3〜6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2〜6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)、そのモノ低級アルキルエーテル、ジメチルホルムアミド、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン)、炭素数3〜5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等が挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよい。上記溶媒のうち、火気などの安全性等の観点から好ましいのは、水、および水混和性有機溶媒と水との混合溶媒であり、更に好ましいのは水である。
本発明の繊維用集束剤分散体及び繊維用集束剤溶液は、コスト等の観点から、流通時は高濃度であって、繊維束の製造時は低濃度であることが好ましい。すなわち、高濃度で流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度で繊維を処理することで、優れた集束性と開繊性とを両立した繊維束を製造することができる。
繊維用集束剤分散体及び繊維用集束剤溶液が高濃度の場合の濃度(溶媒以外の成分の含有割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは30〜80重量%であり、更に好ましくは40〜70重量%である。
繊維用集束剤分散体及び繊維用集束剤溶液が低濃度の場合の濃度は、繊維束の製造時に繊維用集束剤の付着量を適量にすることができるという観点等から、好ましくは0.5〜15重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。
本発明の繊維用集束剤分散体及び繊維用集束剤溶液の製造方法に特に制限はないが、例えば、上記の方法で得られた本発明の繊維用集束剤組成物に溶媒を投入して、繊維用集束剤組成物を溶媒中に溶解又は乳化分散させる方法が挙げられる。
繊維用集束剤組成物を溶媒中に溶解又は乳化分散する際の温度は、混合し易さの観点から、好ましくは20〜90℃であり、更に好ましくは40〜90℃である。
繊維用集束剤組成物を溶媒中に溶解又は乳化分散する時間は、好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜10時間である。
繊維用集束剤組成物を水性媒体中に溶解又は乳化分散する際には、公知の混合装置、溶解装置及び乳化分散装置を使用することができ、具体的には、撹拌羽根(羽根形状:カイ型及び三段パドル等)、ナウタミキサー[ホソカワミクロン(株)製等]、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能混合機{万能混合撹拌機「5DM−L」[(株)三英製作所製]等}及びヘンシエルミキサー[日本コークス工業(株)等]、オートクレーブ等が使用できる。
本発明の繊維用集束剤組成物、繊維用集束剤分散体又は繊維用集束剤溶液を適用できる繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維等の無機繊維、アラミド繊維等の有機繊維が挙げられ、成形体強度の観点から炭素繊維が好ましい。
本発明の繊維束の製造方法においては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、上記の繊維用集束剤組成物、あるいはこの集束剤組成物が分散された繊維用集束剤分散体又はこの集束剤組成物が溶解された繊維用集束剤溶液で処理して繊維束が得られる。
得られる繊維束は、3,000〜50,000本程度の繊維が束ねられていることが好ましい。
繊維の処理方法としては、スプレー法又は浸漬法等が挙げられる。繊維上への繊維用集束剤組成物の付着量は、繊維の重量に基づいて、好ましくは0.05〜5重量%であり、更に好ましくは0.2〜2.5重量%である。繊維用集束剤組成物の付着量がこの範囲であると、集束性に優れる。
本発明の繊維製品は、前記のように本発明の繊維用集束剤組成物、繊維用集束剤分散体又は繊維用集束剤溶液で処理された繊維束とマトリックス樹脂とからなる。本発明の繊維製品は、必要により、触媒を含有してもよい。
マトリックス樹脂としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂及びエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂用の触媒としては、公知(特開2005−213337号公報に記載のもの等)のエポキシ樹脂用硬化剤及び硬化促進剤等が挙げられる。また、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂用の触媒としては、過酸化物(ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエイト、t−ブチルクミルパーオキサイド等、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等)及びアゾ系化合物(アゾビスイソバレロニトリル等)が挙げられる。
本発明の繊維製品において、マトリックス樹脂と繊維束との重量比(マトリックス樹脂/繊維束)は、成形体強度等の観点から、好ましくは10/90〜90/10であり、更に好ましくは20/80〜70/30であり、特に好ましくは30/70〜60/40である。繊維製品が触媒を含有する場合、触媒の含有率は、成形体強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して好ましくは0.01〜10重量%であり、更に好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは1〜3重量%である。
繊維製品は、熱溶融(溶融温度:60〜350℃)したマトリックス樹脂、又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈したマトリックス樹脂を、繊維束に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去することが好ましい。
本発明の繊維製品を成形することによって、繊維強化複合材料が得られる。マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、常温で固化することで成形体とすることができる。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、硬化することで成形体とすることができる。硬化は完結している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。加熱成形の方法は特に限定されず、例えばフィラメントワインディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成形法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー若しくはミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
<製造例1 ビスフェノールAのEO30モル付加物(b−1)かつ(c−1)の製造>
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ビスフェノールAのEO4モル付加物「ニューポールBPE−40」[三洋化成工業(株)製]404重量部(1モル部)、及び水酸化カリウム2重量部を投入し、窒素置換後、圧力を−0.08MPaとした。130℃に昇温し、EO1144重量部(26モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら6時間かけて滴下した後、130℃で3時間熟成した。次いで100℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]30重量部を投入し、100℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過してビスフェノールAのEO30モル付加物(b−1)を得た。なお、このHLBは17.0であったので、(c−1)としても用いる。
<製造例2 ビスフェノールAのEO3モル付加物(b−2)の製造>
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ビスフェノールA228重量部(1モル部)、トルエン400重量部及び水酸化カリウム2重量部を投入し、窒素置換した。100℃に昇温し、EO132重量部(3モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら6時間かけて滴下した後、120℃で3時間熟成し、−0.1MPaにてトルエンを除去した。次いで100℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]30重量部を投入し、100℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過してビスフェノールAのEO3モル付加物(b−2)を得た。
<製造例3 ポリエステル樹脂(A−1)の製造>
ビスフェノールAのEO2モル付加物(b−3)「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316重量部(1モル部)、テレフタル酸(a−1)142重量部(0.86モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム3重量部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させた。反応混合物に更にポリオキシエチレングリコール(b−4)「PEG−1000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量1000]263重量部(0.26モル部)を加えて150℃で常圧で2時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−1)690重量部を得た。(A−1)のエステル基濃度は2.5ミリモル/gであった。
<製造例4 ポリエステル樹脂(A−2)の製造>
製造例3において、テレフタル酸(a−1)142重量部(0.86モル部)を163重量部(0.98モル部)に、ポリオキシエチレングリコール(b−4)をポリオキシエチレングリコール(b−5)「PEG−10000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量11000]359重量部(0.04モル部)に変更した以外は製造例3と同様にして、ポリエステル樹脂(A−2)803重量部を得た。(A−2)のエステル基濃度は2.4ミリモル/gであった。
<製造例5 ポリエステル樹脂(A−3)の製造>
ビスフェノールAのEO6モル付加物(b−6)「ニューポールBPE−60」[三洋化成工業(株)製]492重量部(1モル部)、フマル酸(a−2)108重量部(0.93モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム3重量部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させた。反応混合物に更にポリオキシエチレングリコール(b−7)「PEG−2000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量2000]480重量部(0.24モル部)を加えて150℃で常圧で2時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−3)1046重量部を得た。(A−3)のエステル基濃度は1.8ミリモル/gであった。
<製造例6 ポリエステル樹脂(A−4)の製造>
ビスフェノールAのPO3モル付加物(b−8)「ニューポールBP−3P」[三洋化成工業(株)製]402重量部(1モル部)、テレフタル酸(a−1)156重量部(0.94モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム3重量部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させた。反応混合物に更に製造例1で得られたビスフェノールAのEO30モル付加物(b−1)222重量部(0.14モル部)を加えて150℃で常圧で2時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−4)745重量部を得た。(A−4)のエステル基濃度は2.5ミリモル/gであった。
<製造例7 ポリエステル樹脂(A−5)の製造>
ビスフェノールAのEO2モル付加物(b−3)「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316重量部(1モル部)、テレフタル酸(a−1)163重量部(0.98モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム3重量部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させた。反応混合物に更にポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量3,250)の290モル付加物(b−8)「ニューポールPE−108」[三洋化成工業(株)製]359重量部(0.02モル部)を加えて150℃で常圧で2時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−5)551重量部を得た。(A−5)のエステル基濃度は2.4ミリモル/gであった。
<製造例7 ポリエステル樹脂(A−6)の製造>
ビスフェノールAのEO3モル付加物(b−2)360重量部(1モル部)、フマル酸(a−2)107重量部(0.93モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム3重量部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させた。反応混合物に更にビスフェノールAのEO10モル付加物(b−9)「ニューポールBPE−100」[三洋化成工業(株)製]117重量部(0.17モル部)を加えて150℃で常圧で2時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−6)800重量部を得た。(A−6)のエステル基濃度は3.4ミリモル/gであった。
<製造例8 ヘキサンジオールのEO30モル付加物(c−2)の製造>
撹拌機及び加熱冷却装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール[和光純薬工業(株)製]118重量部(1モル部)、及び水酸化カリウム2重量部を投入し、窒素置換後、圧力を−0.08MPaGとした。130℃に昇温し、EO1320重量部(26モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら6時間かけて滴下した後、130℃で3時間熟成した。次いで100℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]30重量部を投入し、100℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過してヘキサンジオールのEO30モル付加物(c−2)を得た。(c−2)のHLBは18.4であった。
<製造例9 ポリウレタン樹脂(B1−1)の製造>
撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に、HLBが20であるポリオキシエチレングリコール(c−3)「PEG−1000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量1000]100重量部(0.1モル部)を投入し、窒素置換した。乾燥窒素雰囲気下80℃まで昇温し、トルエンジイソシアネート(d1−1)「コロネートT−80」[日本ポリウレタン工業(株)製](以下、TDIと略す)15.66重量部(0.09モル部)を投入した後、80℃で5時間熟成し、ポリウレタン樹脂(B1−1)を得た。
<製造例10 ポリウレタン樹脂(B1−2)の製造>
製造例9と同様の反応容器に、HLBが20であるポリオキシエチレングリコール(c−4)「PEG−10000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量11000]100重量部(0.01モル部)を投入し、窒素置換した。乾燥窒素雰囲気下85℃まで昇温し、TDI(d1−1)1.392重量部(0.008モル部)を投入した後、85℃で5時間熟成し、ポリウレタン樹脂(B1−2)を得た。
<製造例11 ポリウレタン樹脂(B1−3)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)をHLBが20であるポリオキシエチレングリコール(c−5)「PEG−20000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量20000]200重量部(0.01モル部)に、TDI(d1−1)1.392重量部(0.008モル部)を1.305重量部(0.008モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B1−3)を得た。
<製造例12 ポリウレタン樹脂(B1−4)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)をHLBが15.6のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングロックポリマー(c−6)「ニューポール PE−68」[三洋化成工業(株)製]80重量部(0.01モル部)に、TDI(d1−1)1.392重量部(0.008モル部)を1.305重量部(0.008モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B1−4)を得た。
<製造例13 ポリウレタン樹脂(B1−5)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)をHLBが10.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングロックポリマー(c−7)「ニューデット PE−85」[三洋化成工業(株)製]464重量部(0.1モル部)に、TDI(d1−1)を4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(d1−2)「ミリオネートMT」[日本ポリウレタン(株)製]22.2重量部(0.09モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B1−5)を得た。
<製造例14 ポリウレタン樹脂(B1−6)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)を製造例1で得たHLBが17.0のビスフェノールAのEO30モル付加物(c−1)155重量部(0.1モル部)に、TDI(d1−1)をイソホロンジイソシアネート(d1−3)「デスモジュールI」[住友バイエルウレタン製]22.1重量部(0.095モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B1−6)を得た。
<製造例15 ポリウレタン樹脂(B1−7)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)を製造例8で得たHLBが18.4のヘキサンジオールのEO30モル付加物(c−2)144重量部(0.1モル部)に、TDI(d1−1)1.392重量部(0.008モル部)を16.5重量部(0.095モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B1−7)を得た。
<製造例16 ポリカーボネート樹脂(B2−1)の製造>
撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に、HLBが20のポリオキシエチレングリコール(c−3)「PEG−1000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量1000]100重量部(0.1モル部)、水酸化カリウム0.2重量部(0.0036モル部)を投入し、窒素置換した。乾燥窒素雰囲気下85℃まで昇温し、ジメチルカーボネート(d2−1)「DMC」[三協化学(株)製]9重量部(0.1モル部)を投入した後、85℃で揮発分を除去しながら5時間反応させ、130℃で3時間熟成した。得られた粗ポリカーボネートを吸着剤による吸着ろ過処理を行い、ポリカーボネート樹脂(B2−1)を得た。
<製造例17 ポリカーボネート樹脂(B2−2)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが20のポリオキシエチレングリコール(c−4)「PEG−10000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量11000]100重量部(0.01モル部)に、ジメチルカーボネート(d2−1)を0.9重量部(0.01モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B2−2)を得た。
<製造例18 ポリカーボネート樹脂(B2−3)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが20のポリオキシエチレングリコール(c−5)「PEG−20000」[三洋化成工業(株)製、数平均分子量20000]200重量部(0.01モル部)に、ジメチルカーボネート(d2−1)を0.9重量部(0.01モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B2−3)を得た。
<製造例19 ポリカーボネート樹脂(B2−4)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが15.6のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングロックポリマー(c−6)「ニューポール PE−68」[三洋化成工業(株)製]80重量部(0.01モル部)に、ジメチルカーボネート(d2−1)を0.9重量部(0.01モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B2−4)を得た。
<製造例20 ポリカーボネート樹脂(B2−5)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが10.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングロックポリマー(c−7)「ニューデット PE−85」[三洋化成工業(株)製]232重量部(0.05モル部)に、ジメチルカーボネート(d2−1)を4.5重量部(0.05モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B2−5)を得た。
<製造例21 ポリカーボネート樹脂(B2−6)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが17.0のビスフェノールAのEO30モル付加物(c−1)155重量部(0.1モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B2−6)を得た。
<製造例22 ポリカーボネート樹脂(B2−7)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)を製造例8で得たHLBが18.4のヘキサンジオールのEO30モル付加物(c−2)144重量部(0.1モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B2−7)を得た。
<比較製造例1 ポリウレタン樹脂(B’1−1)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)をHLBが0のポリオキシプロピレングリコール(c’−1)「ニューポール PP−4000」[三洋化成工業(株)製]200重量部(0.05モル部)に、TDI(d1−1)を6.5重量部(0.038モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B’1−1)を得た。
<比較製造例2 ポリウレタン樹脂(B’1−2)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)をHLBが16.9だが3価アルコールであるグリセリンのEO付加物(c’−2)「ニューポール GP−600」[三洋化成工業(株)製]60重量部(0.1モル部)に、TDI(d1−1)を17.4重量部(0.1モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B’1−2)を得た。
<比較製造例3 ポリウレタン樹脂(B’1−3)の製造>
製造例10において、ポリオキシエチレングリコール(c−4)をHLBが8.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングロックポリマー(c−6)「ニューポール PE−34」[三洋化成工業(株)製]170重量部(0.1モル部)に、TDI(d1−1)を15.7重量部(0.09モル部)に変更した以外は製造例10と同様にして、ポリウレタン樹脂(B’1−2)を得た。
<比較製造例4 ポリカーボネート樹脂(B’2−1)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが0のポリオキシプロピレングリコール(c’−1)「ニューポール PP−4000」[三洋化成工業(株)製]200重量部(0.05モル部)に、ジメチルカーボネート(d2−1)「DMC」[三協化学(株)製]9重量部(0.1モル部)を4.5重量部(0.05モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B’2−1)を得た。
<比較製造例5 ポリカーボネート樹脂(B’2−2)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが16.9だが3価アルコールであるグリセリンのEO付加物(c’−2)「ニューポール GP−600」[三洋化成工業(株)製]60重量部(0.1モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B’2−2)を得た。
<比較製造例5 ポリカーボネート樹脂(B’2−3)の製造>
製造例16において、ポリオキシエチレングリコール(c−3)をHLBが8.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングロックポリマー(c−6)「ニューポール PE−34」[三洋化成工業(株)製]170重量部(0.1モル部)に変更した以外は製造例16と同様にして、ポリカーボネート樹脂(B’2−3)を得た。
表1と表2に記載の重量部を有する繊維用集束剤組成物を作製した。
この繊維用集束剤組成物とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を混合し、固形分濃度1.5重量%の繊維用集束剤組成物の溶液(実施例1〜19、比較例1〜9)を作製した。
Figure 0006886281
Figure 0006886281
なお、製造例、比較製造例で記載した以外の実施例及び比較例に用いた各成分は下記の通りである。
(A’−1):ポリ乳酸「RESOMER R202S」(アルドリッチ製)。エステル基濃度は13.6ミリモル/g
(C−1):ビスフェノールAのジグリシジルエーテル「JER834」[三菱化学(株)製]
(C−2):フェノールノボラックのジグリシジルエーテル「JER152」[三菱化学(株)製]
(C−3):N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン「アラルダイトMY721」[ハルツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製]
(C−4):ポリオキシアルキレンのジグリシジルエーテル「デナコールEX−946L」[ナガセケムテックス(株)製]
(C−5):ウレタン変性エポキシ「アデカレジンEPU−6」[(株)ADEKA製]
(D−1):スチレン化フェノールのプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加物「Soprophor 796/P」[ソルベイ日華(株)製]
実施例1〜19、比較例1〜9の水分散液を用いて、以下の評価方法で、炭素繊維束の集束性、開繊性及び複合材料の強度を評価した。
<集束性の評価>
固形分濃度1.5重量%の繊維用集束剤組成物の溶液に、未処理炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して集束剤を含浸させ、160℃で3分間熱風乾燥させて炭素繊維束を作製した。
得られた炭素繊維束の集束性を、JIS L1096−1999 8.19.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。数値が大きいほど集束性に優れることを意味する。
この処理条件で得られた炭素繊維束をカンチレバーで評価した集束性の値は、一般に13cm以上が好ましい。
なお、比較例5および8の集束剤組成物はDMFにポリエーテル系ポリマーが溶解しなかったため、炭素繊維に均一に繊維用集束剤組成物を塗布することができず、集束性の評価ができなかった。
<開繊性の評価>
浅野機械製作所製糸走行試験装置を用い、以下の条件で行った。
表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を50mm間隔でそれぞれ平行にかつ炭素繊維束糸条が120度の角度で接触しながら通過するようにジグザグに配置した。このステンレス棒間に上述の処理された炭素繊維束をジグザグにかけ、初期張力1,000gを付加しながら3m/分の速度で通過させた時の、ステンレス棒上の炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した。
この条件で測定した炭素繊維束の拡がり幅は、一般に8mm以上が好ましい。
なお、比較例5および8の集束剤組成物はDMFにポリエーテル系ポリマーが溶解しなかったため、炭素繊維に均一に繊維用集束剤組成物を塗布することができず、開繊性の評価ができなかった。
<複合材料の強度評価>

上述の処理された炭素繊維束を一方向に引き揃えて金型に入れ、これにビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ当量190)/BF3モノエチルアミン塩=100/3部に調合した樹脂を加えて真空で含浸する。このとき繊維の体積含有率が60%となるように炭素繊維束の量を調節する。含浸後、150℃、1時間加圧下で硬化させ、さらに140℃、4時間硬化させる。こうして得た厚さ2.5mm、幅6.0mmのテストピースについてASTMD−2344に従って強度を測定した。 この条件で測定した炭素繊維束の強度は、一般に8MPa以上が好ましい。
なお、比較例5および8の集束剤組成物はDMFにポリエーテル系ポリマーが溶解しなかったため、炭素繊維に均一に繊維用集束剤組成物を塗布することができず、強度評価ができなかった。
本発明の実施例1〜19の集束剤組成物を用いた水分散体で処理した炭素繊維は、集束性、開繊性、複合材料の強度のいずれの評価でも良好な結果を示した。
一方、比較例1のように、ポリエーテル系ポリマー(B)を含有しないものは、強度が低い。ポリエステル樹脂(A)を含有しない比較例2、およびポリ乳酸を用いた比較例3は、開繊性および強度が低い。比較例4、6、7、9のようにHLBが10未満のポリエーテルジオールからなるポリエーテル系ポリマーを含有するものは、開繊性がやや不足気味で、強度が低い。比較例5と8のように、ポリエーテルトリオールからなるポリエーテル系ポリマーは溶媒に不溶となるため、炭素繊維に塗布することができない。
本発明の繊維用集束剤組成物を用いて製造される繊維束とマトリックス樹脂とから得られる繊維強化複合材料は、非常に強度が高いため、各種の土木・建築用材料、輸送機用材料、スポーツ用品材料及び発電装置用材料等として好適に使用できる。

Claims (8)

  1. ポリエステル樹脂(A)と、ポリエーテル系ポリマー(B)と、前記ポリエステル樹脂(A)及び下記ポリウレタン樹脂(B1)以外の樹脂(C)と、界面活性剤(D)とを含む繊維用集束剤組成物であって、ポリエステル樹脂(A)が、カルボン酸成分(a)と、アルキレンオキサイド付加物(b1)を含むジオール成分(b)とのポリエステルであり、ポリエーテル系ポリマー(B)が、HLBが17〜20のポリエーテルジオール(c)とジイソシアネート(d1)とを反応させてなるポリウレタン樹脂(B1)、及び/又はHLBが17〜20のポリエーテルジオール(c)とジアルキルカーボネート(d2)もしくはアルキレンカーボネート(d3)とを反応させてなるポリカーボネート樹脂(B2)であり、
    前記ポリエーテルジオール(c)がビスフェノールのEO付加物、及び/又はヘキサンジオールのEO付加物からなる繊維用集束剤組成物であって、
    前記ジオール成分(b)が脂肪族アルカンジオールのアルキレンオキサイド付加物、芳香環含有2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物またはこれらの2種以上の併用であり、
    前記樹脂(C)がエポキシ樹脂であり、前記界面活性剤(D)がアリールアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物であり、
    繊維用集束剤組成物中のポリエステル樹脂(A)とポリエーテル系ポリマー(B)との重量比(A)/(B)が50/50〜99.5/0.5である繊維用集束剤組成物。
  2. ポリエステル樹脂(A)中のエステル基濃度が、ポリエステル樹脂(A)の重量に基づいて、10ミリモル/g以下である請求項1に記載の繊維用集束剤組成物。
  3. アルキレンオキサイド付加物(b1)が、4〜500個のオキシエチレン基を有するジオール(b11)を含む請求項1または2に記載の繊維用集束剤組成物。
  4. アルキレンオキサイド付加物(b1)が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及び/又は炭素数2〜6のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物である請求項1〜3いずれかに記載の繊維用集束剤組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維用集束剤組成物が水又は有機溶媒に分散されてなる繊維用集束剤分散体。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維用集束剤組成物が水又は有機溶媒に溶解されてなる繊維用集束剤溶液。
  7. 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、請求項1〜4いずれかに記載の繊維用集束剤組成物で処理してなる繊維束。
  8. 請求項7に記載の繊維束からなる繊維製品。
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