JP7248763B2 - 繊維用集束剤組成物、繊維用集束剤溶液、繊維束、繊維製品及び複合材料 - Google Patents
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Description
集束剤を繊維に付与してなる繊維束については、マトリックス樹脂と組み合わせる前に繊維束の幅を広げる工程(開繊工程)が行われるが、マトリックス樹脂の含浸性の観点から、繊維束は開繊性が良いもの(繊維束幅が広いものほど開繊性回線性が良い)が求められる。上記特許文献1に記載の技術では開繊性を良好なものとすることができるが、さらなる改善が求められている。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)と、ポリエステル樹脂(B)とを含有する繊維用集束剤組成物であって、前記ポリエステル樹脂(B)がジカルボン酸またはその無水物(b1)とジオール(b2)とを反応させてなり、ジオール(b2)は、第1のジオール(b21)および第2のジオール(b22)を少なくとも1種ずつ含み、第1のジオール(b21)は、1分子中に、2個以上のオキシエチレン基を有し、前記2個以上のオキシエチレン基は、他のオキシエチレン基と連続しないオキシエチレン基及び2個以上の連続するオキシエチレン基からなるポリオキシエチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の(ポリ)オキシエチレン基であり、第1のジオールが有する(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は1~9個であり、第2のジオール(b22)は、1分子中に、2個以上の連続するオキシエチレン基からなるポリオキシエチレン基を1個以上有し、第2のジオール(b22)が有するポリオキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は10~60個であり、前記ポリエステル樹脂(B)100重量部に対し前記脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)を5~40重量部含む繊維用集束剤組成物;前記繊維用集束剤組成物が水及び/又は有機溶剤に溶解または分散されてなる繊維用集束剤溶液;炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、前記記載の繊維用集束剤組成物で処理してなる繊維束;前記繊維束を含む繊維製品;前記繊維束とマトリックス樹脂とを含む複合材料;ならびに、前記繊維製品とマトリックス樹脂とを含む複合材料である。
R1O(AO)mH (1)
[一般式(1)中、R1はメチル基を3個以上有する炭素数8~11の脂肪族炭化水素基であり;AOは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり;mは3~10の数である。]
本発明の繊維用集束剤は、一般式(1)で表される脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)と、ポリエステル樹脂(B)とを含有する。以下、「一般式(1)で表される脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)」を「化合物(A)」ともいう。
R1O(AO)mH (1)
当該R1中のメチル基の個数は、例えば、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)を合成する際(合成方法については後に詳述)に用いた原料のR1に水酸基が結合したアルコールについて、1H-NMR測定及びガスクロマトグラフィーにより、算出することができる。
脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)1分子当たりのアルキレンオキサイドの付加モル数mは、更なる繊維束の毛羽立ち抑制、及び、後に詳述するマトリックス樹脂への繊維用集束剤組成物の含浸性の観点から4以上であることが好ましい。また、化合物(A)1分子当たりのアルキレンオキサイドの付加モル数は、更なる毛羽立ち抑制の観点から、好ましくは7以下である。
脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)としては、繊維用集束剤組成物を使用した際の繊維束の毛羽立ち抑制の観点から、炭素数8~11の脂肪族アルコールのEO付加物及び炭素数8~11の脂肪族アルコールのPO-EOブロック付加物が好ましい。また、繊維束の毛羽立ちを更に抑制し、また、後に詳述するマトリックス樹脂への繊維用集束剤組成物の含浸性の観点からは、炭素数8~11の脂肪族アルコールのEO単独付加物であることが好ましい。
また、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)が有するエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とのモル比率[エチレンオキシ基のモル数:プロピレンオキシ基のモル数]は、繊維束の毛羽立ち抑制及びマトリックス樹脂への繊維用集束剤組成物の含浸性の観点から、100:0~70:30であることが好ましく、100:0~80:20であることが更に好ましい。
本発明における脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
GPCの測定条件は以下の通りである。
(GPCの測定条件)
機種:HLC-8120(東ソー(株)製)
カラム:TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:ポリオキシエチレングリコール
(東ソー(株)製;TSK STANDARD
POLYETHYLENE OXIDE)
データ処理装置:SC-8020(東ソー(株)製)
炭素数9~10の脂肪族アルコール(a1)を加圧反応容器に仕込み、酸性触媒(a31)の存在下に炭素数2~4のアルキレンオキサイド(a2)を吹き込み[脂肪族アルコール(a1)1モルに対して0.5~5モル]、常圧又は加圧下で反応を行なう。反応温度は50~200℃であることが好ましく、反応時間は2~20時間であることが好ましい。
アルキレンオキサイド(a2)の付加反応終了後は、触媒を中和し、吸着剤で処理して触媒を除去・精製し、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)の前駆体であるアルキレンオキサイド付加物(A1)を得ることができる。このようにして得られたアルキレンオキサイド付加物(A1)に、アルカリ触媒(a32)を添加し、上記と同一又は異なるアルキレンオキサイド(a2)を上記と同様の方法で更に付加反応させて、目的の脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)を得る。
過ハロゲン酸(塩)のハロゲンとしては塩素、臭素、沃素が挙げられ、塩素が好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸金属塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ペンタフルオロエタンスルホン酸塩が好ましい。更に好ましいのは、スカンジウムトリフラートである。
酸性触媒(a31)として好ましいのは、2~3価の金属の過塩素酸塩及びパーフルオロアルキルスルホン酸金属塩であり、更に好ましいのは、Mg、Zn及びAlから選ばれる金属の過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩及びペンタフルオロエタンスルホン酸塩であり、特に好ましいのは、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸亜鉛、過塩素酸アルミニウム及びスカンジウムトリフラートである。
上記のように2段階で反応させる場合、酸性触媒(a31)の使用量としては、反応速度と経済性の点から、アルキレンオキサイド付加物(A1)の重量に基づいて、0.001~1重量%が好ましい。更に好ましくは0.003~0.8重量%、特に好ましくは0.005~0.5重量%である。
上記のように2段階で反応させる場合、アルカリ触媒(a32)の使用量としては、反応速度と経済性の点から、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)の重量に基づいて、0.0001~1重量%が好ましい。更に好ましくは0.001~0.5重量%である。
第1のジオール(b21)は、1分子中に、2個以上のオキシエチレン基を有し、前記2個以上のオキシエチレン基は、他のオキシエチレン基と連続しないオキシエチレン基及び2個以上の連続するオキシエチレン基からなるポリオキシエチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の(ポリ)オキシエチレン基であり、第1のジオールが有する(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は1~9個である。
第2のジオール(b22)は、1分子中に、2個以上の連続するオキシエチレン基からなるポリオキシエチレン基を1個以上有し、第2のジオール(b22)が有するポリオキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は10~60個である。
本発明において「他のオキシエチレン基と連続しないオキシエチレン基」とは、あるオキシエチレン基が、別のオキシエチレン基と直接結合していない状態であることを意味し、「2個以上の連続するオキシエチレン基」とは、あるオキシエチレン基が別のオキシエチレン基と直接結合して2個以上のオキシエチレン基が連なって構成される基を意味する。本発明において「(ポリ)オキシエチレン基」とはオキシエチレン基及び/又はポリオキシエチレン基を意味し、「ポリオキシエチレン基」とは2個以上のオキシエチレン基が直接結合して構成される基を意味する。
脂肪族アルカンジオール(エチレングリコールを除く)としては、炭素数3~16のアルカンジオール(例えば、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等)等が挙げられる。
これらの化合物における水酸基を2個有する化合物及び1級アミンとしては上記ジオール(b211)で説明したものと同じものが挙げられる。
これらの化合物における水酸基を2個有する化合物および1級アミンとしては上記ジオール(b211)で説明したものと同じものが挙げられる。
他のジオール(b23)としては、1分子中にポリオキシエチレン基を1個以上有し当該ポリオキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が61個以上であるジオール(b231)、オキシアルキレン基を有さないジオール(b232)及び、オキシエチレン基以外のオキシアルキレン基を有するジオール(b233)等が挙げられる。
これらの化合物における水酸基を2個有する化合物及び1級アミンとしては上記ジオール(b211)で説明したものと同じものが挙げられる。
これらの化合物における水酸基を2個有する化合物及び1級アミンとしては上記ジオール(b211)で説明したものと同じものが挙げられる。
機種:LC-09(日本分析工業(株)製)
カラム:JAIGEL-3H
+JAIGEL-2H
+JAIGEL-1H
カラム温度:25℃
溶媒:クロロホルム
流速:3ml/分
試料濃度:2重量%
注入量:3ml
(測定条件)
機種:HLC-8220GPC[東ソー(株)製、液体クロマトグラフ]
カラム:TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:ポリスチレン[東ソー(株)製;TSK STANDARD]
界面活性剤(D)のMwの測定方法は、標準物質をポリエチレングリコールに代える以外は上記ポリエステル樹脂(B)のMnの測定方法と同様である。
平滑剤としては、ワックス類(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレン等)、高級脂肪酸アルキル(炭素数1~24)エステル類(メチルステアレート、エチルステアレート、プロプルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート及びステアリルステアレート等)、高級脂肪酸(ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等)、天然油脂(ヤシ油、牛脂、オリーブ油及びナタネ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類及び第4級アンモニウム塩類イミダゾール類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール類(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等)、チオジプロピオネート類(ジラウリル 3,3’-チオジプロピオネート等)及びホスファイト類(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤溶液は、本発明の繊維用集束剤組成物が水及び/又は有機溶剤に溶解または分散されてなるものである。水及び有機溶剤を「溶剤」ともいう。
本発明の繊維用集束剤組成物を溶剤に溶解又は分散することにより、繊維束への繊維用集束剤組成物の付着量を適量にすることが容易になる。
有機溶剤としては、例えば、炭素数1~4の1価のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3~6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2~6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)、そのモノ低級アルキル(アルキルの炭素数は1~4)エーテル、ジメチルホルムアミド、芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等)、炭素数3~5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等が挙げられる。
前記の溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記の溶剤のうち、火気などの安全性等の観点から好ましいのは、水、及び、水混和性有機溶剤(25℃において、水と、体積比1:1で混合した場合に、均一に混合しうる有機溶剤)と水との混合溶剤であり、更に好ましいのは水である。
繊維用集束剤溶液が高濃度の場合の濃度(溶剤以外の成分の重量割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは30~80重量%であり、更に好ましくは40~70重量%である。
繊維用集束剤溶液が低濃度の場合の濃度は、繊維束の製造時に繊維用集束剤の付着量を適量にすることができるという観点等から、好ましくは0.5~15重量%であり、更に好ましくは1~10重量%である。
繊維用集束剤組成物を溶剤中に溶解又は乳化分散する際の温度は、混合し易さの観点から、好ましくは20~90℃であり、更に好ましくは40~90℃である。繊維用集束剤組成物を溶剤中に溶解又は乳化分散する時間は、好ましくは1~20時間であり、更に好ましくは1~10時間である。
繊維用集束剤組成物を溶剤中に溶解又は乳化分散する際には、公知の混合装置、溶解装置及び乳化分散装置を使用することができ、具体的には、撹拌羽根(羽根形状:カイ型及び三段パドル等)、ナウタミキサー[ホソカワミクロン(株)製等]、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能混合機{万能混合撹拌機「5DM-L」[(株)三英製作所製]等}及びヘンシエルミキサー[日本コークス工業(株)等]及びオートクレーブ等が使用できる。
本発明の繊維束は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を、本発明の繊維用集束剤組成物で処理してなる繊維束である。
本発明の繊維束は、3,000~50,000本の繊維が束ねられていることが好ましい。本発明の繊維用集束剤組成物又は本発明の繊維用集束剤溶液によれば、繊維束の繊維の本数が多い(20,000本以上)場合でも、十分毛羽立ちを抑制することができる。
本発明の繊維製品は、本発明の繊維束を含む。繊維製品には、本発明の繊維束を加工して繊維製品としたものが含まれ、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
本発明の複合材料は、本発明の繊維束及び/又は本発明の繊維製品と、マトリックス樹脂とを含む。本発明の複合材料は、必要により、触媒を含有してもよい。
マトリックス樹脂として後述の熱硬化性樹脂を含有する場合、本発明の複合材料は、熱硬化性樹脂と、本発明の繊維束及び繊維製品に含まれる成分(例えば[樹脂(C)として用いるエポキシ樹脂等]との反応物)を含有していても良い。
複合材料が触媒を含有する場合、触媒の含有割合は、複合材料の成形体の強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して好ましくは0.01~10重量%であり、更に好ましくは0.1~5重量%であり、特に好ましくは1~3重量%である。
本発明の複合材料では、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、硬化することで成形体とすることができる。
これらの樹脂は完全に硬化している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。
加熱成形の方法は特に限定されず、フィラメントワインディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成形法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144部(1モル部)、及び過塩素酸アルミニウム九水和物1部(0.002モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、70℃に昇温し、1時間減圧下で脱水を行った。80℃に昇温し、エチレンオキサイド88部(2モル部)を圧力が0.2MPaG以下になるように調整しながら10時間かけて滴下した後、95℃で5時間熟成した。次いで70℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]10部を投入し、70℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過して3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO2モル付加物を得た。
得られた3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO2モル付加物に水酸化カリウム0.1部を追加後、窒素置換後密閉し、70℃に昇温し、1時間減圧下で脱水を行った。140℃に昇温し、エチレンオキサイド88部(2モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら3時間かけて滴下した後、140℃で2時間熟成した(2回目のEO付加)。次いで70℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]10部を投入し、70℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過して3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO4モル付加物(A-1)を得た。
3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO4モル付加物(A-1)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1は3,5,5-トリメチルヘキサン-1-イル基(R1中のメチル基は4個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは4であった。
製造例1において、2回目に付加したエチレンオキサイド(EO)88部(2モル部)をEO176部(4モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO6モル付加物(A-2)を得た。
3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO6モル付加物(A-2)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1は3,5,5-トリメチルヘキサン-1-イル基(R1中のメチル基は4個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは6であった。
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、商品名「デカノール」[KHネオケム(株)製]158部(1モル部)、及び水酸化カリウム0.5部(0.009モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、70℃に昇温し、1時間減圧下で脱水を行った。160℃に昇温し、1,2-プロピレンオキサイド58部(1モル部)、次いでEO132部(3モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら5時間かけて滴下した後、160℃で2時間熟成した。次いで70℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]10部を投入し、70℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過して「デカノール」のPO1モルEO3モル付加物(A-3)を得た。
本製造例で使用した原料化合物のKHネオケム(株)製の「デカノール」を、1H-NMR及びガスクロマトグラフィーにより分析し、デシル基(炭素数が10の脂肪族炭化水素基)に水酸基が結合したアルコールであること、当該化合物1分子当たりのR1中のメチル基の個数は3.5であることを確認した。
よって本製造例で得られたデカノールのPO1モルEO3モル付加物(A-3)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1はデシル基(R1中のメチル基は3.5個)であり、AOはエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基、mは4である。
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、商品名「デカノール」[KHネオケム(株)製]158部(1モル部)、及び水酸化カリウム0.5部(0.009モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、70℃に昇温し、1時間減圧下で脱水を行った。160℃に昇温し、EO264部(6モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら5時間かけて滴下した後、160℃で2時間熟成した。次いで70℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]10部を投入し、70℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過してデカノールのEO6モル付加物(A-4)を得た。
本例で使用した原料化合物のKHネオケム(株)製の「デカノール」の構造を、1H-NMR及びガスクロマトグラフィーにより分析し、デシル基(炭素数が10の脂肪族炭化水素基)に水酸基が結合したアルコールであること、当該化合物1分子あたりのR1中のメチル基の個数は3.5であることを確認した。
よって本製造例で得られたデカノールのEO6モル付加物(A-4)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1はデシル基(R1中のメチル基は3.5個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは6である。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて、「エクサール9S」[ノナノール、エクソンモービル社製]144部(1モル部)を用いたこと以外は製造例4と同様にして、ノナノールのEO6モル付加物(A-5)を得た。
本例で使用した原料のエクソンモービル社製の「エクサール9S」の構造を、1H-NMR及びガスクロマトグラフィーにより分析し、ノニル基(炭素数が9の脂肪族炭化水素基)に水酸基が結合したアルコールであること、当該化合物1分子あたりのR1中のメチル基は3個であることを確認した。
よって本製造例で得られたノナノールのEO6モル付加物(A-5)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1はノニル基(R1中のメチル基の個数は3.5個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは6である。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて「エクサール11S」[ウンデカノール、エクソンモービル社製]172部(1モル部)を用いたこと、および、EO264部(6モル部)をEO440部(10モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、ウンデカノールのEO10モル付加物(A-6)を得た。
本例で使用した原料のエクソンモービル社製の「エクサール11S」の構造を、1H-NMR及びガスクロマトグラフィーにより分析し、ウンデシル基(炭素数が11の脂肪族炭化水素基)に水酸基が結合したアルコールであること、当該化合物1分子あたりのR1中のメチル基の個数は3.7であることを確認した。
よって本製造例で得られたウンデカノールのEO10モル付加物(A-6)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1はウンデシル基(R1中のメチル基は3.7個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは10である。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて6-メチル-2-ヘプタノール130部(1モル部)を用いたこと、および、EO264部(6モル部)をEO440部(10モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、6-メチル-2-ヘプタノールのEO10モル付加物(A-7)を得た。
6-メチル-2-ヘプタノールのEO10モル付加物(A-7)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1は6-メチルヘプタン-2-イル基(R1中のメチル基は3個)であり、AOはエチレンオキシ基であり、mは10であった。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて6-メチル-2-ヘプタノール130部(1モル部)を用いたこと、および、EO264部(6モル部)をEO220部(5モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、6-メチル-2-ヘプタノールのEO5モル付加物(A-8)を得た。
6-メチル-2-ヘプタノールのEO5モル付加物(A-8)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1は6-メチルヘプタン-2-イル基(R1中のメチル基は3個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは5であった。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて6-メチル-2-ヘプタノール130部(1モル部)を用いたこと、および、EO264部(6モル部)をEO132部(3モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、6-メチル-2-ヘプタノールのEO3モル付加物(A-9)を得た。
6-メチル-2-ヘプタノールのEO3モル(A-9)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1は6-メチルヘプタン-2-イル基(R1中のメチル基は3個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは3であった。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて「エクサール9S」[ノナノール、エクソンモービル社製]144部(1モル部)を用いたこと、およびEO264部(6モル部)をEO132部(3モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、ノナノールのEO3モル付加物(A-10)を得た。
本例で使用した原料のエクソンモービル社製のエクサール9Sの構造を、1H-NMR及びガスクロマトグラフィーにより分析し、ノニル基(炭素数が9の脂肪族炭化水素基)に水酸基が結合したアルコールであること、当該化合物1分子あたりのR1中のメチル基は3個であることを確認した。
よって本製造例で得られたノナノールのEO3モル付加物(A-10)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1はノニル基(R1中のメチル基は3個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは3である。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて4-tert-ブチルシクロヘキサノール156部(1モル部)を用いたこと以外は製造例4と同様にして、4-tert-ブチルヘキサノールのEO6モル付加物(A-11)を得た。
4-tert-ブチルヘキサノールのEO6モル付加物(A-11)は、一般式(1)で表される化合物であり、R1は4-tert-ブチルシクロヘキサン-1-イル基(R1中のメチル基は3個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは6であった。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて2-エチルヘキサノール130部(1モル部)を用いたこと、及びEO264部(6モル部)をEO352部(8モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、2-エチルヘキサノールのEO8モル付加物(A’-1)を得た。
2-エチルヘキサノールのEO8モル付加物(A’-1)は、一般式(1)における、R1が2-エチルヘキシル基(炭素数が8の脂肪族炭化水素基、R1中のメチル基の個数は2)、AOはエチレンオキシ基、mは8であった。つまり(A’-1)は一般式(1)で表される化合物ではない。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて2,4-ジメチル-3-ペンタノール116部(1モル部)を用いたこと以外は製造例4と同様にして、2,4-ジメチル-3-ペンタノールのEO6モル付加物(A’-2)を得た。
2,4-ジメチル-3-ペンタノールのEO6モル付加物(A’-2)は、一般式(1)における、R1が2,4-ジメチルペンタン-3-イル基(炭素数が7の脂肪族炭化水素基、R1中のメチル基は4個)、AOはエチレンオキシ基、mは6であった。つまり(A’-2)は一般式(1)で表される化合物ではない。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて2,6,8-トリメチル-4-ノナノール186部(1モル部)を用いたこと、およびEO264部(6モル部)をEO308部(7モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、2,6,8-トリメチル-4-ノナノールのEO7モル付加物(A’-3)を得た。
2,6,8-トリメチル-4-ノナノールのEO7モル付加物(A’-3)は、一般式(1)における、R1は2,6,8-トリメチルノナン-4-イル基(炭素数が12の脂肪族炭化水素基、R1中のメチル基は5個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは7であった。つまり(A’-3)は一般式(1)で表される化合物ではない。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144部(1モル部)を用いたこと、EO264部(6モル部)をEO88部(2モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO2モル付加物(A’-4)を得た。
3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO2モル付加物(A’-4)は、一般式(1)において、R1は3,5,5-トリメチルヘキサン-1-イル基(炭素数が9の脂肪族炭化水素基、R1中のメチル基は4個)であり、AOはエチレンオキシ基、mは2であった。つまり(A’-4)は一般式(1)で表される化合物ではない。
製造例4において、「デカノール」158部(1モル部)に代えて3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144部(1モル部)を用いたこと、EO264部(6モル部)を484部(11モル部)に変更したこと以外は製造例4と同様にして、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO11モル付加物(A’-5)を得た。
3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO11モル付加物(A’-5)は、一般式(1)において、R1は3,5,5-トリメチルヘキサン-1-イル基(炭素数が9の脂肪族炭化水素基、R1中のメチル基は4個)、AOはエチレンオキシ基であり、mは11であった。
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ビスフェノールA228部(1モル部)、トルエン200部及び水酸化カリウム2部を仕込み、圧力を-0.08MPaとした。130℃に昇温し、EO704部(16モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら6時間かけて滴下した後、130℃で3時間熟成した。次いで100℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]30部を投入し、100℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過し、ビスフェノールAのEO16モル付加物(b2-5)を得た。(b2-5)はポリオキシエチレン基を2個有し、(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は8個であった。
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、エチレングリコール62部(1モル部)及び水酸化カリウム1部を仕込み、圧力を-0.08MPaとした。100℃に昇温し、EO176部(4モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら6時間かけて滴下した後、100℃で3時間熟成した。次いで吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]30部を投入し、100℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過してポリエチレングリコール(b2-6)を得た。(b2-6)はポリオキシエチレン基を1個有し、(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が5個であった。
製造例12において、トルエン200部をトルエン400部に変更したこと及びEO704部を1760部(40モル部)に変更したこと以外は製造例12と同様にして、ビスフェノールAのEO40モル付加物(b2-7)を得た。(b2-7)はポリオキシエチレン基を2個有し、(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が20個であった。
製造例12において、トルエン200部をトルエン1000部に変更したこと及びEO704部を3520部(80モル部)に変更したこと以外は製造例12と同様にして、ビスフェノールAのEO80モル付加物(b2-8)を得た。(b2-8)はポリオキシエチレン基を2個有し、(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が40個であった。
製造例12において、トルエン200部をトルエン1500部に変更したこと及びEO704部を5280部(120モル部)に変更したこと以外は製造例12と同様にして、ビスフェノールAのEO120モル付加物(b2-9)を得た。(b2-9)はポリオキシエチレン基を2個有し、(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が60個であった。
ビスフェノールAのEO2モル付加物(連続するオキシエチレン基の数は平均1個)「ニューポールBPE-20」[三洋化成工業(株)製](b2-3)632部(2モル部)、ビスフェノールAのEO40モル付加物(b2-7)795部(0.40モル部)、テレフタル酸(b1-1)498部(3モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム3部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し、水を留去しながら15時間反応させ、数平均分子量(Mn)が1850ポリエステル樹脂(B-1)を得た。
製造例17において、用いるジカルボン酸若しくはその無水物(b1)の種類及び量、並びにジオール(b2)の種類及び量を表1に記載のものとしたこと以外は、製造例17と同様にして、ポリエステル樹脂(B-2)~(B-13)及びポリエステル樹脂(B’-1)~(B’-4)を得た。
<ジカルボン酸もしくはその無水物(b1)>
(b1-1):テレフタル酸
(b1-2):フマル酸
<ジオール(b2)>
(b2-1):ビスフェノールAのPO3モル付加物[オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は0個、商品名:「ニューポールBP-3P」、三洋化成工業(株)製]
(b2-2):エチレングリコール(オキシエチレン基の数は全部で1個)
(b2-3):ビスフェノールAのEO2モル付加物[(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が1個)、商品名:「ニューポールBPE-20」、三洋化成工業(株)製]
(b2-4):ビスフェノールAのEO4モル付加物((ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が2個)、商品名:「ニューポールBPE-40」、三洋化成工業(株)製
(b2-5):製造例12で製造したビスフェノールAのEO16モル付加物((ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が8個)
(b2-6):製造例13で製造したポリエチレングリコール[(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が5個]
(b2-7):製造例14で製造したビスフェノールAのEO40モル付加物[(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が20個]
(b2-8):製造例15で製造したビスフェノールAのEO80モル付加物[(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が40個]
(b2-9):製造例16で製造したビスフェノールAのEO120モル付加物[(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が60個]
(b2-10):ポリエチレングリコール[三洋化成工業(株)製、商品名「PEG-2000」、(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が45個]
(b2-11):ポリエチレングリコール[三洋化成工業(株)製、商品名「PEG-4000S」、(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数が90個]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び滴下ロートを備えた反応容器に、表2または表3に記載の種類および量の脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)、ポリエステル樹脂(B)、樹脂(C)及び界面活性剤(D)を投入し、加温しながら5分間撹拌した後、水を滴下ロートから1時間かけて滴下し、固形分濃度40%の繊維用集束剤組成物の分散液である繊維用集束剤溶液(X1)~(X23)、(X’1)~(X’12)を作製した。ここで、固形分とは、試料1gを130℃45分間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣である。
<脂肪族アルコールAO付加物(A)>
(A-1):製造例1で製造した3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO4モル付加物
(A-2):製造例2で製造した3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO6モル付加物
(A-3):製造例3で製造したデカノールのPO1モルEO3モル付加物
(A-4):製造例4で製造したデカノールのEO6モル付加物
(A-5):製造例5で製造したノナノールのEO6モル付加物
(A-6):製造例6で製造したウンデカノールのEO6モル付加物
(A-7):製造例7で製造した6-メチル-2-ヘプタノールのEO10モル付加物
(A-8):製造例8で製造した6-メチル-2-ヘプタノールのEO5モル付加物
(A-9):製造例9で製造した6-メチル-2-ヘプタノールのEO3モル付加物
(A-10):製造例10で製造したノナノールのEO3モル付加物
(A-11):製造例11で製造した4-tert-ブチルシクロヘキサノールのEO6モル付加物
(A’-1):比較製造例1で製造した2-エチルヘキサノールのEO8モル付加物
(A’-2):比較製造例2で製造した2,4-ジメチル-3-ペンタノールのEO6モル付加物
(A’-3):比較製造例3で製造した2,6,8-トリメチル-4-ノナノールのEO7モル付加物
(A’-4):比較製造例4で製造した3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO2モル付加物
(A’-5):比較製造例5で製造した3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノールのEO11モル付加物
<ポリエステル樹脂(B)>
(B-1)~(B-13):製造例17~29で製造したポリエステル樹脂
(B’-1)~(B’-4):比較製造例5~8で製造したポリエステル樹脂
<樹脂(C)>
(C-1):エポキシ樹脂[ビスフェノールAジグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの縮合物、三菱ケミカル(株)製、商品名:「jER834」]
(C-2):エポキシ樹脂[ビスフェノールAジグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの縮合物、三菱ケミカル(株)製、商品名:「jER1001」]
(C-3):ビニルエステル樹脂[ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸2モル付加物、共栄社化学(株)製、商品名「エポキシエステル3000A」]
<界面活性剤(D)>
(D-1):スチレン化フェノールのプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加物[ソルベイ日華(株)製、商品名:「Soprophor 796/P」、HLB=13.7]
(D-2):スチレン化フェノールのプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加物[ソルベイ日華(株)製、商品名:「Soprophor TSP/724」、HLB=11.9]
各例の繊維用集束剤溶液に、固形分濃度が1.5%となるように水を加えて分散液とし、未処理炭素繊維(フィラメント数24,000本)を浸漬して繊維用集束剤組成物の分散液を含浸させた。その後、炭素繊維を繊維用集束剤組成物の分散液から取り出し、180℃で3分間熱風乾燥させて炭素繊維束を得た。なお、繊維用集束剤組成物の分散液に含まれる固形分の繊維への付着量(浸漬前炭素繊維重量に基づく百分率)は、1.5%となるように、炭素繊維束を作製した。当該炭素繊維束を集束性、開繊性および毛羽立ちの評価試験に供した。
試験用の炭素繊維束を用いて、集束性を、JIS L1096-2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。前記JISで規定する処理条件で得られた炭素繊維束をカンチレバーで評価した。測定値(cm)が大きいほど集束性に優れることを意味する。本評価方法で測定した集束性の値は、14cm以上が好ましい。
上記試験用の炭素繊維束をロールに巻回したものを用意し以下の方法により開繊性の評価試験を行った。
(1)評価用装置の説明
図1に示すように、25℃に温度調整した表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本(図示1A,1B,1C,1D,1E)を、隣り合うステンレス棒同士の水平方向の間隔が50mmとなるようにそれぞれ平行に、かつ、炭素繊維束4がステンレス棒1A,1B,1C,1D,1Eと接触しながらジグザグに通過するように配置した。水平方向は図中X-X’で示す矢線の示す方向であり、水平面HLと平行な方向である。
なお、炭素繊維束4が1番目と3番目と5番目に通過するステンレス棒1A,1C及び1Eの中心を結ぶ直線、及び、炭素繊維束4が2番目と4番目に通過するステンレス棒1B及び1Dの中心を結ぶ直線は、水平面と平行になるように配置した。また、前記の2~4番目のステンレス棒1B及び1Dの通過前後で、通過前の炭素繊維束の進行方向となる直線と、通過後の炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように(例えば、前記の1番目のステンレス棒1Aと2番目のステンレス棒1Bとの間を通過する炭素繊維束の進行方向と平行な直線と、2番目のステンレス棒1Bと3番目のステンレス棒1Cとの間を通過する炭素繊維束の進行方向と平行な直線とのなす角が、120度の角度をなすように)配置した。
(2)炭素繊維束の拡がり幅の測定
試験用の炭素繊維束が巻回された巻き出しロールを2つ用意し、当該2つの巻き出しロール2A及び2Bから繰り出した炭素繊維束4を、ステンレス棒1A,1B,1C,1D,1E間にジグザグにかけ、巻取ロール3と巻出ロール2A,2Bとの間の張力を14.7N(1500gf)とし、速度3m/分で、各炭素繊維束を巻出ロール2A,2Bから巻取ロール3へ巻き取る。炭素繊維束の巻取りは、2つの巻き出しロール2A及び2Bから引き出した2つの炭素繊維束4を1番目のステンレス棒1A上で上下にピッタリ重ね合わせた後、5本のステンレス棒1A,1B,1C,1D,1Eを通過させる。開繊性の評価は5本のステンレス棒を通過した後巻取りロール3に至るまでの領域5の、炭素繊維束4の拡がり幅(cm)を測定することにより行った。炭素繊維束の拡がり幅の測定は(株)浅野機械製作所製の糸走行試験装置を使用して行った。この条件で測定した炭素繊維束の拡がり幅は2cm以上が好ましい。
(1)評価用装置の説明
図2に示すように、25℃に温度調整した表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本(図示1A,1B,1C,1D,1E)を、隣り合うステンレス棒同士の水平方向の間隔が50mmとなるようにそれぞれ平行に、かつ、炭素繊維束4がステンレス棒1A,1B,1C,1D,1Eと接触しながらジグザグに通過するように配置した。水平方向は図中X-X’で示す矢線の示す方向であり、水平面HLと平行な方向である。
なお、炭素繊維束4が1番目と3番目と5番目に通過するステンレス棒1A,1C及び1Eの中心を結ぶ直線、及び、炭素繊維束4が2番目と4番目に通過するステンレス棒1B及び1Dの中心を結ぶ直線は、水平面と平行になるように配置した。また、前記の2~4番目のステンレス棒1B及び1Dの通過前後で、通過前の炭素繊維束の進行方向となる直線と、通過後の炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように(例えば、前記の1番目のステンレス棒1Aと2番目のステンレス棒1Bとの間を通過する炭素繊維束の進行方向と平行な直線と、2番目のステンレス棒1Bと3番目のステンレス棒1Cとの間を通過する炭素繊維束の進行方向と平行な直線とのなす角が、120度の角度をなすように)配置した。
巻出ロール2及び巻取ロール3は各ロールの近傍に描かれている矢印の方向に回転するようセットした。
(2)毛羽の重量の測定
炭素繊維束4を、ステンレス棒1A,1B,1C,1D,1E間にジグザグにかけ、ステンレス棒1Eを通過後、巻取ロール3に巻き取られる直前の領域(巻取りロール3の巻取り開始点3Aから10cm上流側の領域5A)において、1kg重の荷重をかけた10cm×10cmの方形状のウレタンフォーム2枚で、炭素繊維束4を、当該繊維束の厚み方向(図示上下方向)から挟んだ。本例において、炭素繊維束は巻出しロール2から巻取ロール3へと搬送されるので、「上流側」とは搬送方向の上流、つまり巻き出しロール2側を意味する。
炭素繊維束4は、ウレタンフォームで挟んだ状態での単位繊維束4の巻取りは、巻出しの張力を9.8N(1kgf)とし、1m/分の速度で5分間、炭素繊維束4を巻出ロール2から巻取ロール3へ巻き取った。この間に上記の2枚のウレタンフォームに付着した毛羽の重量を測定した。数値が小さいほど毛羽立ちを抑制できていることを示す。
実施例および比較例で製造した繊維用集束剤溶液(X1)~(X23)、(X’1)~(X’12)を30g、スクリュー菅瓶[50mL(胴径35mm×高さ78mm)]に入れて、5℃で14日間貯蔵した。貯蔵前後のメジアン径(μm)を測定し、測定結果を用いて、下記の式(2)により、5℃での貯蔵安定性を算出した。メジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定器「LA-750」[(株)堀場製作所製]を用いて、測定を行った(以下の評価試験において同様)。
5℃での貯蔵安定性は以下の評価基準で評価した。
5℃での貯蔵安定性(%)=100×(貯蔵後のメジアン径)/(貯蔵前のメジアン径) (2)
(評価基準)
A:110%未満
B:110%以上、115%未満
C:115%以上、120%未満
D:120%以上
実施例および比較例で製造した繊維用集束剤溶液(X1)~(X23)、(X’1)~(X’12)を30g、スクリュー菅瓶[50mL(胴径35mm×高さ78mm)]に入れて、40℃で14日間貯蔵した。貯蔵前後のメジアン径(μm)を測定し、測定結果を用いて、下記の式(3)により40℃での貯蔵安定性を算出した。
40℃での貯蔵安定性は以下の評価基準で評価した。
40℃での貯蔵安定性(%)=100×(貯蔵後のメジアン径)/(貯蔵前のメジアン径) (3)
(評価基準)
A:110%未満
B:110%以上、115%未満
C:115%以上、120%未満
D:120%以上
2,2A,2B…巻出ロール
3…巻取ロール
3A…巻き取り開始点
4…炭素繊維束
5…5本のステンレス棒を通過した後巻取りロールに至るまでの領域
5A…3Aから10cm上流側の領域
HL…水平面
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)と、ポリエステル樹脂(B)とを含有する繊維用集束剤組成物であって、
前記ポリエステル樹脂(B)がジカルボン酸またはその無水物(b1)とジオール(b2)とを反応させてなり、
ジオール(b2)は、第1のジオール(b21)および第2のジオール(b22)を少なくとも1種ずつ含み、
第1のジオール(b21)は、1分子中に、2個以上のオキシエチレン基を有し、前記2個以上のオキシエチレン基は、他のオキシエチレン基と連続しないオキシエチレン基及び2個以上の連続するオキシエチレン基からなるポリオキシエチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の(ポリ)オキシエチレン基であり、第1のジオールが有する(ポリ)オキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は1~9個であり、
第2のジオール(b22)は、1分子中に、2個以上の連続するオキシエチレン基からなるポリオキシエチレン基を1個以上有し、第2のジオール(b22)が有するポリオキシエチレン基1個当たりのオキシエチレン基の数は10~60個であり、
第1のジオール(b21)と、第2のジオール(b22)との比率は、32/68~70/30の範囲であり、
前記ポリエステル樹脂(B)100重量部に対し前記脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)を5~40重量部含む繊維用集束剤組成物。
R1O(AO)mH (1)
[一般式(1)中、R1はメチル基を3個以上有する炭素数8~11の脂肪族炭化水素基であり;AOは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり;mは3~10の数である。] - 前記脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)に含まれるアルキレンオキシ基がエチレンオキシ基である請求項1に記載の繊維用集束剤組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量が1,500~5,000である請求項1又は2に記載の繊維用集束剤組成物。
- 更にエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び前記ポリエステル樹脂(B)以外の不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(C)を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維用集束剤組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維用集束剤組成物が水及び/又は有機溶剤に溶解または分散されてなる繊維用集束剤溶液。
- 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維用集束剤組成物で処理してなる繊維束。
- 請求項6に記載の繊維束を含む繊維製品。
- 請求項6に記載の繊維束とマトリックス樹脂とを含む複合材料。
- 請求項7に記載の繊維製品とマトリックス樹脂とを含む複合材料。
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