JP7325976B2 - 繊維用集束剤組成物、繊維束及び繊維製品 - Google Patents
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Description
(i)ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)とを構成原料とするポリエステルである。
(ii)ジオール(b)のうちの少なくとも1種が、有するオキシエチレン基のモル数の数平均値が1~35であるジオール(b1)である。
(iii)ノニオン界面活性剤(C)が下記一般式(1)で表される化合物であり、下記一般式(1)中のフェノキシ基の芳香環に結合するスチレン基の置換基数の数平均値hは1~3、フェノールの水酸基に対するオキシプロピレン基の数平均付加モル数iは0~20、オキシエチレン基の数平均付加モル数jは5~45及びオキシプロピレン基の数平均付加モル数kは0~3、R 1 及びR 2 のうち一方の基が炭素数1~3の鎖状炭化水素基であり、他方の基は、水素原子又は炭素数1~3の鎖状炭化水素基である。
(iv)ノニオン界面活性剤(C)中のオキシプロピレン基の含有重量と、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計との比[(オキシプロピレン基の含有重量)/(オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計)]が0.05~0.5であり、ノニオン界面活性剤(C)の重量に対するスチレン基の重量の比率(重量%)が5~30である。
(v)ノニオン界面活性剤(C)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、ノニオン界面活性剤(C)、樹脂(D)及びその他の添加剤(E)の合計重量に基づき2.5~17重量%である。
(vi)水性エマルジョン状繊維用集束剤組成物(P)が、水性媒体を含む。
ポリエステル樹脂(A)は、単独でも2種以上を併用してもよい。
脂肪族ジカルボン酸(a1)としては、鎖式飽和ジカルボン酸(a11)、鎖式不飽和ジカルボン酸(a12)、脂環式ジカルボン酸(a13)及びダイマー酸(a14)等が挙げられる。
有するEO基のモル数の数平均値が35を越える場合、乳化安定性及び耐熱性の観点から好ましくない。
また、(b1)は、乳化安定性及び耐熱性の観点から、EO基が1~34個連続したポリオキシエチレン鎖を有することが好ましく、EO基が2~20個連続したポリオキシエチレン鎖を有することが更に好ましい。
前記のジオール(b1)のうち、相溶性及び耐熱性の観点から好ましいのは、芳香環含有2価フェノールの水酸基に対するEO付加物であって有するEO基のモル数の数平均値が1~35であるジオール(b11)及び/又はエチレングリコールの水酸基に対するEO付加物であって有するEO基のモル数の数平均値が1~35であるジオール(b12)である。
なお、EOの数平均モル数について、ジオール(b)が、エチレングリコールのEO付加物の場合、エチレングリコール由来のオキシエチレン基の数も合計して算出する。
脂肪族アルカンジオールのAO付加物としては、上記ジオールに対して炭素数2~4のAOを付加した化合物が挙げられる。炭素数2~4のAOとしては、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2-ブチレンオキサイド及び1,4-ブチレンオキサイド(以下、BOと略記)等が挙げられる。これらのAOは2種以上を併用してもよく、2種以上の併用の場合の結合様式は、ブロック付加、ランダム付加及びこれらの併用のいずれでもよい。脂肪族アルカンジオール1分子当たりのAOの付加モル数は、1~120モルであることが好ましい。
脂環式ジオールのAO付加物としては、上記脂環式ジオールに対して炭素数2~4のAOを付加したもの(脂環式ジオール1分子当たりのAOの付加モル数は、1~120モルであることが好ましい)が挙げられる。
1級アミンのアルキレンオキサイド付加物としては、1級アミンに対して炭素数2~4のAOを付加したもの(1級アミン1分子当たりのAOの付加モル数は、1~120モルであることが好ましい)が挙げられる。
芳香環含有2価フェノールのAO付加物としては、芳香環含有2価フェノールに対して炭素数2~4のAOを付加したもの(芳香環含有2価フェノール1分子当たりのAOの付加モル数は、1~120モルであることが好ましい)が挙げられる。
また、ジオール(b)のうちのジオール(b1)の重量割合は、乳化安定性の観点から、40~100重量%であることが好ましく、50~100重量%であることが更に好ましい。
なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)により測定される。Mwは1,000~9,000が更に好ましく、1,000~8,000が特に好ましい。この範囲であれば集束性及び水に対する親和性が更に優れる。
ポリエステル樹脂(A)のMwの測定に使用されるGPCの条件は、例えば以下の条件である。
機種 :HLC-8220GPC(東ソー株式会社製液体クロマトグラフ)
カラム :TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器 :RI(Refractive Index)
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25重量%
注入量 :10μl
標準 :ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD
POLYSTYRENE)
例えば、ポリエステル樹脂を加水分解してジオール成分を取り出し、更に分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、分取GPC)で分画し、各分画成分をNMR測定して構造を同定し、その構造と分画成分の重量から、上記オキシエチレン及びオキシプロピレン等の平均モル数を測定し、各ジオール(b)、ポリエステル樹脂(A)におけるオキシエチレン及びオキシプロピレンの重量%等を算出することができる。
分取GPCの測定条件は例えば以下の通りである。
機種 :LC-09(日本分析工業(株)製)
カラム :JAIGEL-3H
+JAIGEL-2H
+JAIGEL-1H
カラム温度:25℃
溶媒 :クロロホルム
流速 :3ml/分
試料濃度 :2重量%
注入量 :3ml
なお、本願において、スチレン化フェノール基とは、フェノキシ基の芳香環にスチレン基[本願においてスチレン基とは、下記一般式(2)で表される1価の基を意味する]が結合した基を意味する。
なお、一般式(1)において、フェノキシ基の芳香環に、一般式(2)で表される基がh個結合した構造とは、以下の構造のいずれであっても良い。
i)h個の一般式(2)で表される基が、全て、フェノキシ基の芳香環に直接結合した構造
ii)h個の一般式(2)で表される基の一部が、フェノキシ基の芳香環に結合した一般式(2)で表される基の芳香環に、結合した構造[更に、末端の一般式(2)で表される基の芳香環に、h個の一般式(2)で表される基の一部が、連続して連なっていても良い]
ノニオン界面活性剤(C)は、モノスチレン化フェノールポリアルキレンオキサイド付加物、ジスチレン化フェノールポリアルキレンオキサイド付加物、トリ以上のスチレン化フェノールポリアルキレンオキサイド付加物をそれぞれ単独で使用してもよいが、乳化安定性の観点からスチレン基の付加モル数が分布を持つことが好ましく、これらの混合物を用いることが好ましい。
なお、本願においてスチレン基とは、上述したように一般式(2)で表される基を意味し、スチレンが付加した構造の1-フェニル-エチル基だけでなく、置換スチレンが付加した構造である一般式(2)中のR1及びR2が共に炭素数1~3の鎖状炭化水素基であるジアルキルベンジル構造も含む。
上述のスチレン基の重量割合の計算において、スチレン基とは、上記の一般式(2)で表される1価の基を意味する。
ノニオン性界面活性剤(C)のMwの測定に使用されるGPCの条件は、例えば以下の条件である。
機種 :HLC-8220GPC(東ソー株式会社製液体クロマトグラフ)
カラム :TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器 :RI(Refractive Index)
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25重量%
注入量 :10μl
標準 :ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD
POLYSTYRENE)
例えば、分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、分取GPC)で分画し、各分画成分をNMR測定して構造を同定し、その構造と分画成分の重量から、ノニオン界面活性剤(C)におけるオキシエチレン及びオキシプロピレン等の重量%等を算出することができる。
分取GPCの測定条件は例えば以下の通りである。
機種 :LC-09(日本分析工業(株)製)
カラム :JAIGEL-3H
+JAIGEL-2H
+JAIGEL-1H
カラム温度:25℃
溶媒 :クロロホルム
流速 :3ml/分
試料濃度 :2重量%
注入量 :3ml
例えば、分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、分取GPC)で分画し、各分画成分をNMR測定して構造を同定し、その構造と分画成分の重量から、各種ノニオン界面活性剤(C)におけるスチレン基のモル数の数平均値及びMwを算出することができる。
分取GPCの測定条件は例えば以下の通りである。
機種 :LC-09(日本分析工業(株)製)
カラム :JAIGEL-3H
+JAIGEL-2H
+JAIGEL-1H
カラム温度:25℃
溶媒 :クロロホルム
流速 :3ml/分
試料濃度 :2重量%
注入量 :3ml
樹脂(D)を含有すると、炭素繊維との親和性が向上するため、集束性が更に優れる。
熱可塑性樹脂(D1)としては、国際公開WO2003/09015号パンフレット、国際公開WO2004/067612号パンフレット、特許第2926227号公報又は特許第2616869号公報等に記載の熱可塑性樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂及びアクリル樹脂等)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂(D2)としては、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂及び前記ポリエステル樹脂(A)以外の不飽和ポリエステル樹脂(特許3723462号に記載の樹脂等)等が挙げられる。なお、本願において(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味する。
2価フェノールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数6~30の2価フェノールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。2価フェノールとしては、ビスフェノール(ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS及びハロゲン化ビスフェノールA等)、カテキン、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、オクタクロロ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルビフェニル及び9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フロオレン等が挙げられる。
2価アルコールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数2~100のジオールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールAのAO(1~20モル)付加物等が挙げられる。AOとしては、炭素数2~4のAOが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸の芳香核水添加物(ヘキサヒドロフタル酸及び4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸等)又は直鎖若しくは分岐の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸及び2,2-ジメチルプロパンジカルボン酸等)とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
ジグリシジルエステルは、芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1~10が好ましく、更に好ましくは1~8、特に好ましくは1~5である。ジグリシジルエステルは、n=1~10の混合物でもよい。
ジグリシジルアミンは、芳香族アミン単位とエピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族アミン単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1~10が好ましく、更に好ましくは1~8、特に好ましくは1~5である。ジグリシジルアミンは、n=1~10の混合物でもよい。
なお、樹脂(D)のMwは、ポリエステル樹脂(A)のMwの測定と同様の方法で測定することができる。
平滑剤としては、ワックス(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレン等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6~30)アルキル(アルキルの炭素数1~24)エステル(メチルステアレート、エチルステアレート、プロピルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート及びステアリルステアレート等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6~30)(ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等)、天然油脂(ヤシ油、牛脂、オリーブ油及びナタネ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、第4級アンモニウム塩及びイミダゾール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等)、チオジプロピオネート(ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート等)及びホスファイト(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
(A)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、30~65重量%、更に好ましくは35~60重量%。
(C)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、2.0~20重量%、更に好ましくは2.5~17重量%。
(D)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、20~50重量%、更に好ましくは25~45重量%。
(E)の含有量は、(A)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づき、好ましくは、0~30重量%、更に好ましくは0~25重量%。
これらのうち、安全性等の観点から、水並びに親水性有機溶媒及び水の混合溶媒が好ましく、更に好ましいのは水である。
本発明の繊維用集束剤組成物は、コスト等の観点から、流通時は高濃度であって、繊維束の製造時は低濃度であることが好ましい。すなわち、高濃度で流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度で繊維を処理することで、優れた成形体強度を与える繊維束を製造できる。
繊維用集束剤組成物の水溶液又はエマルジョンの濃度(水性媒体以外の成分の含有割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは30~80重量%、更に好ましくは40~70重量%である。
一方、低濃度の水溶液又はエマルジョンの濃度は、繊維束の製造時に集束剤組成物の付着量を適量にする観点等から、好ましくは0.5~15重量%、更に好ましくは1~10重量%である。
また、樹脂(D)を2種以上使用する場合は、そのうちの1種を、一旦製造された水溶液又はエマルジョンに、最後に添加して混合してもよい。
前記の繊維製品としては、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
エポキシ樹脂用の触媒としては、公知(特開2005-213337号公報に記載のもの等)のエポキシ樹脂用硬化剤及び硬化促進剤等が挙げられる。また、(メタ)アクリレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂用の触媒としては、過酸化物(ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエイト、t-ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等)及びアゾ系化合物(アゾビスイソバレロニトリル等)等が挙げられる。
触媒を含有する場合、触媒の含有量(重量%)は、成形体強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して0.01~10が好ましく、更に好ましくは0.1~5、特に好ましくは1~3である。
加熱成形の方法は特に限定されず、フィラメントワインディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成形法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
ビスフェノールA1モル部に対してEO2.3モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物794.5部、フマル酸243.2部を、ガラス反応容器中、窒素流通下170℃で水を留去しながら4時間反応させた。更に145℃まで冷却し水を留去しながら10時間反応させ、ポリエステル樹脂(A-1)を1,000部得た。
ビスフェノールA1モル部に対してEO4モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BPE-40)446.9部、テレフタル酸152.7部、アジピン酸0.3部及びテトライソプロポキシチタネート1.8部を、ガラス反応容器中、窒素流通下225℃で-0.1MPaまで減圧し水を留去しながら10時間反応させた。ここに更にポリオキシエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製:PEG-1000)246.4部及びポリオキシエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製:PEG-2000)184.5部を加えて145℃で-0.1MPaまで減圧し水を留去しながら10時間反応させ、ポリエステル樹脂(A-2)1,000部を得た。
ビスフェノールA1モル部に対してEO2.3モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物366.1部、ビスフェノールA1モル部に対してPO3モル部が付加したビスフェノールAのPO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BP-3P)50.3部、テレフタル酸170.5部、及びテトライソプロポキシチタネート0.3部を、ガラス反応容器中、窒素流通下225℃で-0.1MPaまで減圧し水を留去しながら10時間反応させた。ここに更にフマル酸28.1部及びテトライソプロポキシチタネート0.5部を加えて170℃で水を留去しながら3時間反応させた。ここに更にビスフェノールA1モル部に対してEO34モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物433.4部を加えて180℃で-0.1MPaまで減圧し水を留去しながら16時間反応させ、ポリエステル樹脂(A-3)1,000部を得た。
ビスフェノールA1モル部に対してPO3モル部が付加したビスフェノールAのPO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BP-3P)613.9部、フマル酸168.7部及びパラトルエンスルホン酸0.4部を、ガラス反応容器中、窒素流通下170℃で水を留去しながら10時間反応させた。ここにビスフェノールA1モル部に対してEO18モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業株式会社製:ニューポール BPE-180)257.1部を加えて140℃で4時間反応させ、ポリエステル樹脂(A-4)1,000部を得た。
なお、ポリエステル樹脂(A)のMwの測定は、ポリエステル樹脂(A)の説明で例示した条件で実施した。
また、ポリエステル樹脂(A)の酸価の測定は、JIS K0070-1992に記載の方法に基づいて実施した。
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ-ル340.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン660.0部を3時間かけて滴下し、110~120℃で1時間熟成する。その後、けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ-ルを得た。得られたスチレン化フェノ-ル102.6部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ-トクレ-ブに入れ、水酸化カリウムを1.6部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイドを296.2部及びエチレンオキサイド601.2部を順次吹き込み、135~160℃で3時間反応させ(C-1)を得た。
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ-ル247.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン753.0部を3時間かけて滴下し、110~120℃で1時間熟成する。その後けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ-ルを得た。得られたスチレン化フェノ-ル279.7部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ-トクレ-ブに入れ、水酸化カリウムを1.3部加え135℃に昇温し、エチレンオキサイド658.5部及びプロピレンオキサイド61.8部を順次吹き込み、135~160℃で3時間反応させ(C-2)を得た。
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ-ル340.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン660.0部を3時間かけて滴下し、110~120℃で1時間熟成する。その後、けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ-ルを得た。得られたスチレン化フェノ-ル197.0部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ-トクレ-ブに入れ、水酸化カリウムを2.1部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイドを395.1部及びエチレンオキサイド407.9部を順次吹き込み、135~160℃で3時間反応させ(C-3)を得た。
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ-ル340.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン660.0部を3時間かけて滴下し、110~120℃で1時間熟成する。その後、けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ-ルを得た。得られたスチレン化フェノ-ル132.1部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ-トクレ-ブに入れ、水酸化カリウムを2.8部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイドを278.2部、エチレンオキサイド506.4部及びプロピレンオキサイド83.3部を順次吹き込み、135~160℃で3時間反応させ(C-4)を得た。
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ-ル304.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン696.0部を3時間かけて滴下し、110~120℃で1時間熟成する。その後けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ-ルを得た。得られたスチレン化フェノ-ル286.1部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ-トクレ-ブに入れ、水酸化カリウムを1.0部加え135℃に昇温し、エチレンオキサイド713.9部を吹き込み、135~160℃で3時間反応させ(C’-1)を得た。
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ-ル247.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン753.0部を3時間かけて滴下し、110~120℃で1時間熟成する。その後けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ-ルを得た。得られたスチレン化フェノ-ル332.5部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ-トクレ-ブに入れ、水酸化カリウムを2.0部加え135℃に昇温し、プロピレンオキサイド667.5部を吹き込み、135~160℃で3時間反応させ(C’-2)を得た。
なお、ノニオン界面活性剤(C)のMwの測定は、ノニオン界面活性剤(C)の説明で例示した条件で実施した。
ポリエステル樹脂(A-1)415部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート828)415部、ノニオン界面活性剤(C-1)170部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P-1)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-2)440部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:エピコート1001)460部、ノニオン界面活性剤(C-1)50部、ノニオン界面活性剤(C-2)50部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P-2)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-3)575部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)325部、ノニオン界面活性剤(C-1)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P-3)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-3)575部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)325部、ノニオン界面活性剤(C-3)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P-4)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-3)575部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)325部、ノニオン界面活性剤(C-4)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P-5)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-4)350部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)450部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:エピコート1001)50部、ノニオン界面活性剤(C-1)150部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P-6)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-2)440部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:エピコート1001)460部、ノニオン界面活性剤(C-2)100部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の本発明の集束剤組成物(P-7)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-1)を415部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)415部、ノニオン界面活性剤(C’-1)170部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の集束剤組成物(P’-1)を得た(外観:白色エマルジョン)。
ポリエステル樹脂(A-1)を415部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:エピコート834)415部、ノニオン界面活性剤(C’-2)170部を、万能混合機(株式会社三英製作所製:万能混合攪拌機)中、70℃で30分間、均一混合した。この中に合計1,500部の水を6時間かけて滴下し、2,500部の集束剤組成物(P’-2)を得た(外観:白色エマルジョン)。
また、これらの集束剤組成物を、集束剤組成物純分(水以外の成分)の含有量が1.5%になるように水で希釈し、炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して集束剤組成物を含浸させ、150℃で3分間熱風乾燥させて得られた炭素繊維束について、集束性を評価した。
その結果を表3に示した。
乳化安定性評価1(加熱後評価)、以下の条件で実施した。
上記の実施例及び比較例で得た集束剤組成物をガラス瓶に採取し、蓋をして、5℃及び40℃で6か月保管し、以下の基準で判定した。
◎:沈殿も相分離もなく、透過率が90%以上
○:沈殿も相分離もなく、透過率が90%未満
×:沈殿及び/又は相分離が確認される
なお、集束剤組成物の透過率(%)は、下記測定方法により測定した。
(透過率の測定法)
上記の条件で保管後の集束剤組成物について、純分[集束剤組成物における水以外の成分]の重量が0.01%となるように水で希釈し、希釈液を作成した。
光路長10mmのセル中にガラス製セル中に前記の希釈液を投入し、分光光度計(島津製作所製、UV-1200)を用いて、25℃における可視光(600nm)の透過率を測定した。ブランクにはイオン交換水を用いた。
乳化安定性評価2(せん断応力付与後評価)は、以下の条件で実施した。
集束剤組成物純分[集束剤組成物における水以外の成分]の重量が10gとなる量の集束剤組成物に、40℃の水190gを撹拌下加えた。この集束剤組成物希釈液を40℃に温調し、ホモミキサー(特殊機化工業製 TKロボミクス)で8,000rpm、10分間のせん断をかけた。これを400メッシュの金網(約10cm×10cm;重量約5g)でろ過し、金網のろ過前後の増分重量(g)を測定した。増分重量が少ないほど乳化安定性に優れる。
耐熱性は、以下の条件で測定した。測定装置として株式会社日立ハイテクサイエンス製示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200を用いた。測定条件としては空気を200ml/minの流量で流し、昇温速度10℃/minとした。測定容器にはφ5mm×高さ2.5mmのアルミニウムパンを用い、測定サンプル質量は5~10mgとした。集束剤組成物を130℃で45分乾燥して水及び有機溶媒を揮発させ固形物を得た後、上記サンプル量をアルミニウムパンに量りとり、耐熱性を評価した。到達温度300℃及び400℃での加熱前後における上記固形物の重量減少率(%)を確認した。
重量減少率が低いほど、高温での繊維への処理に耐えることができ、耐熱性が高いことを意味する。
集束性は、前記の方法で作製した炭素繊維束を用いて、JIS L1096-2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。数値の大きいものほど集束性に優れることを示す。
また、ジオール(b)におけるジオール(b1)の重量割合が、40重量%以上である実施例1~5及び実施例7の集束剤組成物は、せん断応力付与後も特に優れた乳化安定性を発揮する。
また、実施例1~7の集束剤組成物は、十分な集束性だけでなく、十分な耐熱性も有する。
Claims (7)
- ポリエステル樹脂(A)と、スチレン化フェノール基及びポリオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤(C)とを含有し、下記(i)~(vi)の全てを満たす水性エマルジョン状繊維用集束剤組成物(P)。
(i)ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸又はその無水物(a)とジオール(b)とを構成原料とするポリエステルである。
(ii)ジオール(b)のうちの少なくとも1種が、有するオキシエチレン基のモル数の数平均値が1~35であるジオール(b1)である。
(iii)ノニオン界面活性剤(C)が下記一般式(1)で表される化合物であり、下記一般式(1)中のフェノキシ基の芳香環に結合するスチレン基の置換基数の数平均値hは1~3、フェノールの水酸基に対するオキシプロピレン基の数平均付加モル数iは0~20、オキシエチレン基の数平均付加モル数jは5~45及びオキシプロピレン基の数平均付加モル数kは0~3、R 1 及びR 2 のうち一方の基が炭素数1~3の鎖状炭化水素基であり、他方の基は、水素原子又は炭素数1~3の鎖状炭化水素基である。
(iv)ノニオン界面活性剤(C)中のオキシプロピレン基の含有重量と、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計との比[(オキシプロピレン基の含有重量)/(オキシプロピレン基及びオキシエチレン基の含有重量の合計)]が0.05~0.5であり、ノニオン界面活性剤(C)の重量に対するスチレン基の重量の比率(重量%)が5~30である。
(v)ノニオン界面活性剤(C)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、ノニオン界面活性剤(C)、樹脂(D)及びその他の添加剤(E)の合計重量に基づき2.5~17重量%である。
(vi)水性エマルジョン状繊維用集束剤組成物(P)が、水性媒体を含む。 - ジオール(b)におけるジオール(b1)の重量割合が、40~100重量%である請求項1に記載の水性エマルジョン状繊維用集束剤組成物。
- ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量が1,000~10,000である請求項1又は2に記載の水性エマルジョン状繊維用集束剤組成物。
- ジオール(b1)が、芳香環含有2価フェノールの水酸基に対するエチレンオキサイド付加物及び/又はエチレングリコールの水酸基に対するエチレンオキサイド付加物である請求項1~3のいずれか1項に記載の水性エマルジョン状繊維用集束剤組成物。
- 更にポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂及び前記ポリエステル樹脂(A)以外の不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(D)を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の水性エマルジョン状繊維用集束剤組成物。
- ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維用集束剤組成物で処理してなる繊維束。
- 請求項6に記載の繊維束を含有する繊維製品。
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