JP7281352B2 - 繊維用集束剤、繊維束、繊維製品、プリプレグ及び成形体 - Google Patents

繊維用集束剤、繊維束、繊維製品、プリプレグ及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は繊維用集束剤、繊維束、繊維製品、プリプレグ及び成形体に関する。
エポキシ基を有する化合物、不飽和ポリエステル及びフェノール樹脂等のマトリックス樹脂に繊維を複合した繊維強化複合材料が、スポーツ、レジャー及び航空宇宙分野等に広く利用されている。これらの複合材料に使用される繊維としては、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリエステル繊維等の有機繊維並びにガラス繊維及び炭素繊維等の無機繊維が用いられている。
これらの繊維は通常、フィラメント又はトウの形で製造され、更に一方向に引き揃えたシート、テープ、フィラメントワインデイング、織物及びチョップドファイバー等に加工されて使用されている。
かかる繊維の加工において、高品位の加工品を得るため、弱い接圧で容易に薄くかつ隙間無く繊維が拡がる性質(開繊性)が要求される。
ここで、従来の繊維用集束剤としては通常はエマルジョン状又は溶液状であり、含まれる樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ基を有する化合物及びこれらの併用が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2では、不飽和二塩基酸とビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物との縮合物がエポキシ基を有する化合物等と併用されている。しかしながら、これらの特許文献に記載のポリエステルを含む集束剤は、良好な集束性を示すが、前記の開繊性に関しては不十分であった。
また、集束性及び開繊性は、相反する関係にあり、従来の繊維用集束剤では、開繊性及び集束性を高い水準で両立させることが困難であった。
特許第2957406号 特公昭57-49675号公報
本発明の課題は、開繊性及び集束性を両立する繊維用集束剤を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、高分子(A)と、前記高分子(A)以外の化合物(B)とを含有する繊維用集束剤であって、
前記高分子(A)が、1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)への炭素数2~4のアルキレンオキサイド付加物(A1)、ポリカプロラクトン(A2)、及び、前記アルキレンオキサイド付加物(A1)とカルボン酸とのエステル(A3)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記高分子(A)の融点が25~70℃であり、
前記高分子(A)の数平均分子量が3,000~50,000であり、
前記高分子(A)が、分子量が3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖及び/又は分子量が3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖を有し、
前記化合物(B)が、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル及びエポキシ基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記高分子(A)の重量割合が、前記繊維用集束剤が含有する固形分の重量を基準として、1~50重量%である繊維用集束剤;炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、前記繊維用集束剤で処理された繊維束;前記繊維束を含有する繊維製品;前記繊維束又は前記繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂(E1)又は熱硬化性樹脂(E2)をマトリックスとしてなるプリプレグ;前記プリプレグを成形してなる成形体である。
本発明の繊維用集束剤を用いて処理をした繊維束は、開繊性及び集束性に優れるという効果を奏する。
開繊性の評価における炭素繊維束の配置を示した図である。
本発明の繊維用集束剤は、高分子(A)と、前記高分子(A)以外の化合物(B)とを含有し、
前記高分子(A)が、1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)への炭素数2~4のアルキレンオキサイド付加物(A1)、ポリカプロラクトン(A2)、及び、前記アルキレンオキサイド付加物(A1)とカルボン酸とのエステル(A3)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記の高分子(A)の融点が25~70℃であり、
前記の高分子(A)の数平均分子量が3,000~50,000であり、
前記の高分子(A)が、分子量が3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖及び/又は分子量が3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖を有し、
前記の高分子(A)の重量割合が、前記繊維用集束剤が含有する固形分の重量を基準として、1~50重量%である。
前記の高分子(A)は、前述の通り、1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)への炭素数2~4のアルキレンオキサイド付加物(A1)、ポリカプロラクトン(A2)、及び、前記アルキレンオキサイド付加物(A1)とカルボン酸とのエステル(A3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
なお、後に詳述するが、前記の高分子(A)は、数平均分子量が3,000以上であり、アルキレンオキサイド又はカプロラクトンに由来する基を構成単位として有する「高分子」である。
前記の1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)としては、炭素数1~20の化合物であることが好ましい。
具体的には、炭素数1~20の1~8価のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、デカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等)、1~8価のアルコールのエーテル化物であって炭素数1~20の化合物[ジグリセリン及びポリグリセリン(3~6量体)等]及び炭素数1~20の糖(ショ糖等)等が挙げられる。
前記の炭素数2~4のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2-又は1,3-プロピレンオキサイド及び1,2-、1,3-、1,4-又は2,3-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
前記のアルキレンオキサイド付加物(A1)は、分子量3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖を有する。
分子量3,000以上のポリオキシエチレン鎖を有する分子を含有しない場合は、集束性が悪化する。
また、分子量50,000以下のポリオキシエチレン鎖を有する分子を含有しない場合は、開繊性が悪化する。
また、集束性及び開繊性の両立の観点から、(A1)が有するポリオキシエチレン鎖の分子量は、4,000~20,000であることが好ましい。
前記の(A1)は、前記の1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)に、公知の方法で炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加する方法等で製造することができる。
前記のポリカプロラクトン(A2)としては、ポリ-ε-カプロラクトン、及び、前記の1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)へのカプロラクトン(ε-カプロラクトン等)付加物等が挙げられる。
前記のポリカプロラクトン(A2)は、分子量3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖を有する。
分子量3,000以上のポリカプロラクトン鎖を有する分子を含有しない場合は、集束性が悪化する。
また、分子量50,000以下のポリカプロラクトン鎖を有する分子を含有しない場合は、開繊性が悪化する。
また、集束性及び開繊性の両立の観点から、(A2)が有するポリカプロラクトン鎖の分子量は、4,000~20,000であることが好ましい。
前記のポリ-ε-カプロラクトンは、公知の方法でε-カプロラクトンを開環重合する方法等で製造することができる。
前記の前記の1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)へのカプロラクトン付加物は、前記の1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)に、公知の方法でカプロラクトンを付加する方法等で製造することができる。
次に、前記アルキレンオキサイド付加物(A1)とカルボン酸とのエステル(A3)について説明する。
前記の(A1)とエステル化反応に用いるカルボン酸としては、カルボキシ基を有する化合物、具体的には、炭素数2~20の鎖状脂肪族カルボン酸、炭素数4~15の脂環式カルボン酸、炭素数7~16の芳香族カルボン酸、及び、カルボキシ基を有するポリマー等が挙げられる。
前記の炭素数2~20の鎖状脂肪族カルボン酸としては、酢酸、1-プロピオン酸、1-ブタン酸、1-ペンタン酸、1-ヘキサン酸、1-ヘプタン酸及び1-オクタン酸、シュウ酸、マロン酸、ジプロピルマロン酸、コハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,4-ジメチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、アジピン酸、3-メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6-テトラメチルピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ペンタデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸及びエイコサン二酸等が挙げられる。
前記の炭素数4~15の脂環式カルボン酸としては、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロプロパンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ジシクロヘキシル-4,4’-ジカルボン酸及びショウノウ酸等が挙げられる。
前記の炭素数7~16の芳香族カルボン酸としては、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2-メチルテレフタル酸、4,4-スチルベンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸及びジフェニルスルホンジカルボン酸等が挙げられる。
前記のカルボキシ基を有するポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリオレフィン、カルボキシル基を有するポリカーボネート、カルボキシル基を有するポリアミド、カルボキシル基を有するポリイミド、及び、カルボキシル基を有するポリウレタン等が挙げられ、この中でも好ましいのは、カルボキシ基を有するポリオレフィンである。
前記のカルボキシ基を有するポリオレフィンとしては、カルボキシ基を有さないポリオレフィン(PA)[分子中に炭素-炭素二重結合(以降、「C=C結合」と略記することがある)を有しないポリオレフィン(PA1)及び分子中にC=C結合を有するポリオレフィン(PA2)等]を、分子中にC=C結合とカルボキシ基との両方を持つ化合物(x)で変性したもの等が挙げられる。
前記の分子中にC=C結合を有しないポリオレフィン(PA1)を構成するオレフィンとしては、C2~30のアルケン等が挙げられる。
前記のC2~30のアルケンとしては、エチレン、プロピレン、1-又は2-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン、1-デセン及び1-ドデセン等が挙げられる。
上記のポリオレフィン(PA1)としては、エチレン単位含有(共)重合体[高、中又は低密度ポリエチレン、及び、エチレンとC4~30の不飽和単量体(1-ブテン、2-ブテン及び1-ヘキセン等)との共重合体等]、プロピレン単位含有(共)重合体[ポリプロピレン、及び、プロピレンとC4~30の不飽和単量体(1-ブテン、2-ブテン、1-ヘキセン及び1,4-ヘキサジエン等)との共重合体等]、エチレン単位とプロピレン単位とを含有する共重合体[プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1-アルケン(C=5~20)共重合体、及び、エチレン/プロピレン/1,4-ヘキサジエン共重合体等]及びポリブテン(ポリ-1-ブテン及びポリ-2-ブテン等)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1-ブテン共重合体及びプロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体であり、更に好ましいのはプロピレン/1-ブテン共重合体である。
なお、「プロピレン/エチレン共重合体」は、「/」の前後の「プロピレン」と「エチレン」とが共重合したものであることを示し、以下同様の記載方法をとる。
前記のポリオレフィン(PA1)は、前記のC2~30のアルケンを、公知の方法で(共)重合することで得ることができる。
また、前記のポリオレフィン(PA1)は、タフマーXM5070[三井化学(株)製]、タフマーXM5080[三井化学(株)製]、VESTOPLAST750(Evonik社製)及びバーシファイ3000[ダウケミカル(株)製]等として、市場から入手することができる。
前記の分子中にC=C結合を有するポリオレフィン(PA2)は、分子末端にC=C結合を有することが好ましい。
また、ポリオレフィン(PA2)が有するC=C結合の数は、前記(x)との共重合性及び付加反応性の観点から、好ましくは炭素1,000個当たり0.1~20個であり、更に好ましくは0.3~18個であり、特に好ましくは0.5~15個である。
ここにおいて、C=C結合の数は、ポリオレフィン(PA2)のH-NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから得られる二重結合由来のピーク(4.6~4.8ppm)の積分値から、算出することができる。
分子中にC=C結合を持つポリオレフィン(PA2)は、下記の重合法及び熱減成法等の公知の製造方法等で製造することで得られる。
重合法としては、ジエン等をモノマーとして使用して、骨格中に不飽和基を残存させる方法が挙げられる。
熱減成法としては、前記のポリオレフィン(PA1)を窒素通気下で、有機過酸化物不存在下、300℃以上450℃以下の温度で0.5~10時間、連続的又は非連続的に熱減成する方法(熱減成法1);及び
有機過酸化物存在下、180℃以上300℃未満の温度で0.5~10時間、連続的又は非連続的に熱減成する方法(熱減成法2)等が挙げられる。
(熱減成法1)及び(熱減成法2)いずれの場合も工業的観点から好ましいのは連続的に熱減成する方法である。
これらの(熱減成法1)及び(熱減成法2)のうち好ましいのは、分子末端のC=C結合数のより多いものが得やすい(熱減成法1)の方法である。
前記の分子中にC=C結合と酸基の両方を持つ化合物(x)としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩等)及び不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、炭素数(以下、Cと略記することがある)3~24の鎖状脂肪族不飽和モノカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)、C7~24の脂環式不飽和モノカルボン酸(シクロヘキセンカルボン酸、シクロヘプテンカルボン酸、ビシクロヘプテンカルボン酸及びメチルテトラへキセンカルボン酸等)及びC7~24の芳香族不飽和モノカルボン酸(4-ビニル安息香酸等)等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸としては、C4~24の鎖状脂肪族不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸等)、C8~24の脂環式不飽和ジカルボン酸(シクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸及びメチルテトラヒドロフタル酸等)及びC8~24の芳香族不飽和ジカルボン酸(4,4’-スチルベンジカルボン酸等)等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸等が挙げられる。
カルボキシ基を有さないポリオレフィン(PA)を前記の(x)で変性する方法として好ましいもとしては、前記の(PA)と、前記の(x)とを、ラジカル開始剤の存在下又はラジカル開始剤不存在下で付加反応させる方法等が挙げられる。
また、ラジカル開始剤を用いて付加させる場合、(x)が自己重合を抑制するため、ラジカル開始剤は用いないことが好ましく、やむをえず使用する場合でも、ポリオレフィン(PA)に対し0.3重量%以下に留めておくことが好ましい。
前記のカルボキシ基を有するポリオレフィンとしては、ユーメックス1010[三洋化成工業(株)製]等として、市場から入手することができる。
前記のアルキレンオキサイド付加物(A1)とカルボン酸とのエステル(A3)は、公知の方法で、前記のアルキレンオキサイド付加物(A1)とカルボン酸とを反応させる方法等で得ることができる。
また、前記のエステル(A3)は、(A1)以外のアルコールとカルボン酸とのエステルと、アルキレンオキサイド付加物(A1)とを用いて、エステル交換反応させる方法でも得ることができる。
前記高分子(A)の融点は、前述の通り、25~70℃である。融点が25℃未満の場合は、集束性が悪化し、融点が70℃を超える場合は、開繊性が悪化する。
また、集束性及び開繊性の両立の観点から、高分子(A)の融点は、40~65℃であることが好ましい。
なお、融点は以下の条件の示差走査熱量計(以下、DSCと略記することがある)により、測定することができる。
機器:Q20 DSC[ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製]
測定条件:サンプル量5mg。
(1)30℃から昇温速度20℃/minで100℃まで昇温し、100℃で10分保持。
(2)100℃から冷却速度-20℃/minで-70℃まで冷却し、-70℃で10分保持。
(3)-70℃から昇温速度20℃/minで100℃まで昇温する。
解析方法:2度目の昇温時のDCS曲線の極小値を融点とする。
前記の高分子(A)の数平均分子量(以降、Mnと略記することがある)は、前述の通り、3,000~50,000である。Mnが3,000未満の場合は、集束性が悪化し、Mnが50,000を超える場合は、開繊性が悪化する。
また、集束性及び開繊性の両立の観点から、高分子(A)のMnは、4,000~20,000であることが好ましい。
なお、高分子(A)のMnは、例えば、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以降、GPCと略記することがある)によって、測定することができる。
装置本体:HLC-8120(東ソー(株)製)
カラム:東ソー(株)製TSKgel α6000、G3000 PWXL
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:0.5%酢酸ソーダ・水/メタノール(体積比70/30)
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
試料濃度:0.25重量%
注入量:200μl
標準物質:東ソー(株)製TSK TANDARD POLYETHYLENE OXIDE
データ処理ソフト:GPC-8020modelII(東ソー(株)製)
前記の高分子(A)は、前述の通り、分子量が3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖及び/又は分子量が3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖を有する。
前記の高分子(A)が有する分子量3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖及び分子量3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖の合計重量の割合は、高分子(A)の重量を基準として、50~100重量%であることが好ましい。
高分子(A)が有するポリオキシエチレン鎖の分子量、高分子(A)が有するポリカプロラクトン鎖の分子量、並びに、分子量3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖及び分子量3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖の合計重量の割合は、前記の方法で高分子(A)を製造する際の各原料の重量から求めることもできる。
前記の高分子(A)以外の化合物(B)は、前述の通り、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル及びエポキシ基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
その他の化合物(B)としては、集束性及び成形体強度の観点から好ましいのは、ポリエステル及びエポキシ基を有する化合物である。
前記のポリエステルとしては、公知のどのようなポリエステルを使用しても差し支えないが、集束性と開繊性の観点から、ジカルボン酸又はその無水物(α)とジオール(β)から構成されるポリエステルであることが好ましい。
前記のポリエステルを構成するジカルボン酸又はその無水物(α)としては、脂肪族ジカルボン酸(α1)、芳香族ジカルボン酸(α2)及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸(α1)としては、鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸(α11)、鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸(α12)、脂環式ジカルボン酸(α13)及びダイマー酸(α14)等が挙げられる。
鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸(α11)としては、炭素数2~22の直鎖又は分岐の鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、ジメチルマロン酸、α-メチルグルタル酸、β-メチルグルタル酸、2,4-ジエチルグルタル酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、イコサンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等)等が挙げられる。
鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸(α12)としては、炭素数4~22の直鎖又は分岐の鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸(α13)としては、炭素数7~14の脂環式ジカルボン酸(1,3-又は1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル-4,4’-ジカルボン酸等)等が挙げられる。
ダイマー酸(α14)としては、炭素数8~24の鎖状不飽和脂肪族カルボン酸(オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等)の二量体が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸(α2)としては、炭素数8~14の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、β-フェニルグルタル酸、α-フェニルアジピン酸、β-フェニルアジピン酸、ビフェニル-2,2’-又は4,4’-ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム及び5-スルホイソフタル酸カリウム等)等が挙げられる。
ジカルボン酸の無水物としては、上記(α1)又は(α2)の無水物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
ジカルボン酸及びその無水物(α)は、単独でも2種以上を併用してもよい。
これらのうち、集束性の観点から、鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸(α11)、鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸(α12)及び芳香族ジカルボン酸(α2)が好ましく、更に好ましいのは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸であり、特に好ましいのはアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸である。
ポリエステルを構成するジオール(β)としては、脂肪族アルカンジオール及びそのアルキレンオキサイド(以降、「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記することがある)付加物、脂環式ジオール及びそのAO付加物、1級アミンのAO付加物並びに芳香環含有2価フェノールのAO付加物等が挙げられる。
脂肪族アルカンジオールとしては、炭素数2~16のもの、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
脂肪族アルカンジオールのAO付加物としては、上記ジオールに前記の炭素数2~4のAOを付加した化合物が挙げられる。
これらのAOは2種以上を併用してもよく、2種以上の併用の場合の結合様式は、ブロック付加、ランダム付加及びこれらの併用のいずれでもよい。
脂肪族アルカンジオール1分子当たりのAOの付加モル数は、1~120モルであることが好ましい。
脂環式ジオールとしては、炭素数4~16のもの、具体的には、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。脂環式ジオールのAO付加物としては、上記の炭素数2~4のAOを付加したものが挙げられる。
1級アミンのAO付加物における1級アミンとしては、炭素数1~18の1級アミン、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン及びドデシルアミン等が挙げられる。
1級アミンのAO付加物としては、前記の炭素数2~4のAOを付加したものが挙げられる。
芳香環含有2価フェノールのAO付加物における芳香環含有2価フェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、クレゾール及びヒドロキノン等が挙げられる。
芳香環含有2価フェノールのAO付加物としては、前記の炭素数2~4のAOを付加したものが挙げられる。
ジオール(β)は、単独でも2種以上を併用してもよい。
ジオール(β)のうちで、集束性の観点から好ましいのは、脂肪族アルカンジオール及びそのAO付加物、脂環式ジオールのAO付加物、1級アミンのAO付加物並びに芳香環含有2価フェノールのAO付加物であり、更に好ましいのは、脂肪族アルカンジオール及びそのAO付加物並びに芳香環含有2価フェノールのAO付加物である。
ポリエステルの100℃での粘度は、0.5~50Pa・sであることが好ましく、更に好ましくは1~30Pa・s、特に好ましくは3~20Pa・sである。
粘度が0.5~50Pa・sの範囲であれば更に良い集束性と乳化安定性が得られる。なお、ここでいうポリエステルの100℃での粘度は、JIS K7117-1:1999(ISO2555:1990に対応)に準拠して、ブルックフィールド型粘度計(BL型)により測定される。
前記のポリエステルは、1,000~50,000の数平均分子量(以下、Mnと略記)を有することが好ましい。Mnが1,000以上であると十分な集束性を有し、50,000以下であると水に対する親和性が高く乳化安定性に優れる。
なお、Mnは、GPCにより測定される。Mnは1,500~30,000が更に好ましく、2,000~20,000が特に好ましい。この範囲であれば集束性及び水に対する親和性が更に優れる。
なお、ポリエステルのMnの測定に使用されるGPCの条件は、例えば以下の条件である。
機種:Alliance(日本ウォーターズ(株)製液体クロマトグラフ)
カラム:Guardcolumn Super H-L
+TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:ポリスチレン(東ソー(株)製;TSK STANDARD POLYSTYRENE)
ポリエステルを製造する方法としては、例えば、ジカルボン酸又はその無水物(α)とジオール(β)を所定モル比で仕込み、反応温度100~250℃、圧力-0.1~1.2MPaで撹拌下、水を溜去させる方法が挙げられる。
ジカルボン酸又はその無水物(α)とジオール(β)の仕込みモル比[(α)/(β)]は、Mnを上記範囲内とし、集束性向上の観点から、好ましくは0.7~1.5、更に好ましくは0.8~1.25である。
ポリエステルを製造するときには、触媒をポリエステルの重量に基づいて0.05~0.5重量%加えることが好ましい。触媒としては、パラトルエンスルホン酸、ジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等が挙げられ、反応性及び環境への影響の観点からテトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウムが好ましく、更に好ましいのはシュウ酸チタン酸カリウムである。
前記のエポキシ基を有する化合物としては、ジエポキシド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びエポキシ化不飽和脂肪酸トリグリセリド(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ナタネ油等)等が挙げられる。
ジエポキシドとしては、ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、ジグリシジルアミン及び脂環式ジエポキシド等が挙げられる。
ジグリシジルエーテルとしては、2価フェノールのジグリシジルエーテル及び2価アルコールのジグリシジルエーテルが挙げられる。
2価フェノールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数6~30の2価フェノールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。
2価フェノールとしては、ビスフェノール(ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS及びハロゲン化ビスフェノールA等)、カテキン、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、オクタクロロ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルビフェニル及び9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フロオレン等が挙げられる。
2価アルコールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数2~100のジオールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。
2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールAのAO(1~20モル)付加物等が挙げられる。
AOとしては、前記の炭素数2~4のAOが挙げられる。
ジグリシジルエーテルに含まれる2価フェノール単位又は2価アルコール単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(2価フェノール単位又は2価アルコール単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1~10が好ましく、更に好ましくは1~8、特に好ましくは1~5である。ジグリシジルエーテルは、n=1~10の混合物(重縮合度の異なる混合物等)でもよい。
ジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステル及び脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸の芳香核水添加物(ヘキサヒドロフタル酸及び4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸等)又は直鎖若しくは分岐の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸及び2,2-ジメチルプロパンジカルボン酸等)とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
ジグリシジルエステルは、芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1~10が好ましく、更に好ましくは1~8、特に好ましくは1~5である。ジグリシジルエステルは、n=1~10の混合物でもよい。
ジグリシジルアミンとしては、炭素数6~20で、2~4個の活性水素原子をもつ芳香族アミン(アニリン及びトルイジン等)とエピクロルヒドリンとの反応で得られるN-グリシジル化物(N,N-ジグリシジルアニリン及びN,N-ジグリシジルトルイジン等)等が挙げられる。
ジグリシジルアミンは、芳香族アミン単位とエピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族アミン単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1~10が好ましく、更に好ましくは1~8、特に好ましくは1~5である。ジグリシジルアミンは、n=1~10の混合物でもよい。
脂環式ジエポキシドとしては、炭素数6~50で、エポキシ基の数2の脂環式エポキサイド{ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等}が挙げられる。
これらのうち、成形体強度等の観点から、ジグリシジルエーテルが好ましく、更に好ましくは2価芳香族アルコールのジグリシジルエーテル、特に好ましくはビスフェノールのジグリシジルエーテル、最も好ましくはビスフェノールAのジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)である。
エポキシ基を有する化合物のMnは、200~10,000が好ましく、更に好ましくは350~3,000、特に好ましくは380~2,500である。Mnがこの範囲であると、成形体強度が更に優れる。
なお、エポキシ基を有する化合物のMnの測定に使用されるGPCの条件は、前記のポリエステルのMnの測定条件と同様である。
本発明の繊維用集束剤は、前記の高分子(A)及び前記の化合物(B)以外にも、界面活性剤(C)及びその他の添加剤(D)等を含有していても良い。
前記の界面活性剤(C)は、高分子(A)と化合物(B)の混合物を乳化させる目的で配合してもよい。
界面活性剤(C)としては、高分子(A)以外の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤等の公知の界面活性剤(特開2006-124877号公報、及び、国際公開第2003/37964号記載のもの等)等が挙げられる。
界面活性剤(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、界面活性剤(C)としては、具体的には、高分子(A)以外の下記の化合物が挙げられる。
アルキルフェノール(炭素数10~20)のAO付加物(Mn500~5,000)、アリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14~62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15~61)等}のAO付加物(Mn500~5,000)、アルキルフェノール(炭素数10~20)のAO付加物(Mn500~5,000)の硫酸エステル塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等)、アリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14~62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15~61)等}のAO付加物(Mn500~5,000)の硫酸エステル塩等が挙げられる。
なお、界面活性剤(C)において、AO付加とは、エチレンオキサイド(以降、「エチレンオキサイド」を「EO」と略記することがある)単独付加、並びに、プロピレンオキサイド(以降、「プロピレンオキサイド」を「PO」と略記することがある)及びブチレンオキサイド(以降、「ブチレンオキサイド」を「BO」と略記することがある)の少なくとも一方とEOを付加した物等が挙げられる。PO及びBOの少なくとも一方を含む場合、ランダム付加物、ブロック付加物及びこれらの混合付加物が含まれる。
界面活性剤(C)のMnの測定方法は、上述の高分子(A)のMnの測定方法と同様である。
界面活性剤(C)のうち、アニオン界面活性剤及び(A)以外の非イオン界面活性剤が好ましく、更に好ましくはMn3,000以下であり融点25℃未満のアルキルフェノールのAO付加物、Mn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO付加物、Mn3,000以下であり融点25℃未満のアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩、Mn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物、特に好ましくはMn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物及びMn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物である。
その他の添加剤(D)としては、平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
平滑剤としては、ワックス(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレン等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6~30)アルキル(アルキルの炭素数1~24)エステル(メチルステアレート、エチルステアレート、プロプルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート及びステアリルステアレート等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6~30)(ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等)、天然油脂(ヤシ油、牛脂、オリーブ油及びナタネ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、第4級アンモニウム塩及びイミダゾール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等)、チオジプロピオネート(ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート等)及びホスファイト(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤は、含有する固形分について、レオメータを用いて、以下の条件で測定した複素粘度が、以下の値であることが開繊性及び集束性の観点から好ましい。
ここで、繊維用集束剤が含有する固形分とは、繊維用集束剤10gを130℃1時間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣を言う。
<好ましい複素粘度>
25℃、周波数1Hz、ひずみ量0.5%の条件下で測定した複素粘度が、800~10,000Pa・sであり、かつ70℃、周波数1Hz、ひずみ量0.5%の条件下で測定した複素粘度が1~4Pa・sである。
本発明の集束剤における前記高分子(A)、化合物(B)、界面活性剤(C)及びその他の添加剤(D)の含有量は、それぞれ下記の通りである。
(A)の重量割合は、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、1~50重量%とする必要がある。
(A)の重量割合が、1重量%未満の場合、集束性が悪化し、50重量%を超えると開繊性が悪化する。(A)の重量割合は、集束性及び開繊性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは3~45重量%、更に好ましくは5~40重量%である。
(B)の重量割合は、集束性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは1~90重量%、更に好ましくは10~80重量%、特に好ましくは30~75重量%である。
(C)の重量割合は、乳化安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは0.1~40重量%、更に好ましくは0.5~35重量%、特に好ましくは1~30重量%である。
(D)の重量割合は、流動性及び経時安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは0.01~20重量%、更に好ましくは0.05~15重量%、特に好ましくは0.1~10重量%である。
本発明の繊維用集束剤は、水性溶液状又は水性エマルジョン状となるように水性媒体を含有することが好ましい。
水性媒体を含有すると、繊維用集束剤が含有する固形分の繊維への付着量を適量にすることが容易であるため、成形体としたときの強度が更に優れる繊維束を得ることができる。
水性媒体としては、公知の水性媒体等を用いることができ、具体的には、水及び親水性有機溶媒[炭素数1~4の1価のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3~6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2~6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)及びそのモノアルキル(炭素数1~2)エーテル、ジメチルホルムアミド並びに炭素数3~5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等]が挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよい。これらのうち、安全性等の観点から、水並びに親水性有機溶媒及び水の混合溶媒が好ましく、更に好ましいのは水である。
本発明の繊維用集束剤は、コスト等の観点から、流通時は高濃度であって、繊維束の製造時は低濃度であることが好ましい。すなわち、高濃度で流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度で繊維を処理することで、優れた成形体強度を与える繊維束を製造できる。
高濃度の水溶液又はエマルジョンの濃度(繊維用集束剤に対する固形分の重量割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは20~80重量%、更に好ましくは30~70重量%である。
一方、低濃度の水溶液又はエマルジョンの濃度(繊維用集束剤に対する固形分の重量割合)は、繊維束の製造時に集束剤の付着量を適量にする観点等から、好ましくは0.5~15重量%、更に好ましくは1~10重量%である。
本発明の繊維用集束剤の製造方法としては、前記(A)、(B)、水性媒体及び必要により(C)~(D)を任意の順序で混合して製造する方法等が挙げられるが、好ましくは、水性媒体以外の成分を予め混合し、得られた混合物中に、水性媒体を投入して溶解又は乳化分散させる方法である。
また、前記の化合物(B)を2種以上使用する場合は、そのうちの1種を、その他の成分を用いて製造された水溶液又はエマルジョンに、最後に添加して混合してもよい。
水性媒体以外の成分を予め混合する場合の温度は、混合し易さの観点から、好ましくは20~90℃、更に好ましくは40~90℃であり、その後の溶解又は乳化分散の温度も同様である。
前記の溶解又は乳化分散する時間は、好ましくは1~20時間、更に好ましくは2~10時間である。
混合装置、溶解装置及び乳化分散装置に制限はなく、撹拌羽根(羽根形状:カイ型及び三段パドル等)、ナウターミキサー、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能混合機(万能混合攪拌機5DM-L、(株)三英製作所製等)及びヘンシェルミキサー等が使用できる。
本発明の集束剤を適用できる繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維等の公知の繊維(国際公開第2003/47830号に記載のもの等)等が挙げられ、成形体強度の観点から、好ましくは炭素繊維である。これらの繊維は2種以上を併用してもよい。
本発明の繊維束は、これらの繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、上記の集束剤で処理して得られる(繊維3,000~3万本程度を束ねた繊維束)。
繊維の処理方法としては、スプレー法及び浸漬法等が挙げられる。繊維用集束剤が含有する固形分の繊維への付着量(重量%)は、繊維の重量(処理前の重量)に基づいて、0.05~5重量%が好ましく、更に好ましくは0.2~2.5重量%である。この範囲であると、成形体強度が更に優れる。
本発明の繊維製品は、前記繊維束を加工して繊維製品としたものであり、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
本発明のプレプリグは、前記繊維束又は前記繊維製品とマトリックス樹脂とを用いてなる。必要により、触媒を含有してもよい。触媒を含有すると、成形体強度が更に優れる。マトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂(E1)及び熱硬化性樹脂(E2)等が挙げられる。
前記の熱可塑性樹脂(E1)としては、国際公開第2003/09015号、国際公開第2004/067612号、特許第2926227号公報又は特許第2616869号公報等に記載の熱可塑性樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂等)等が挙げられる。
前記の熱硬化性樹脂(E2)としては、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート変性樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂(特許第3723462号に記載のもの等)等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味する。
マトリックス樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
マトリックス樹脂として好ましいのは熱硬化性樹脂(E2)であり、更に好ましいのはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂(アクリル基及び/又はメタクリル基を付加したエポキシ樹脂)である。触媒としては、公知(特開2005-213337号公報に記載のもの等)のエポキシ樹脂用硬化剤及び硬化促進剤等が挙げられる。
マトリックス樹脂と繊維束との重量比(マトリックス樹脂/繊維束)は、成形体強度等の観点から、10/90~90/10が好ましく、更に好ましくは20/80~70/30、特に好ましくは30/70~60/40である。触媒を含有する場合、触媒の含有量(重量%)は、成形体強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して0.01~10が好ましく、更に好ましくは0.1~5、特に好ましくは1~3である。
プリプレグは、熱溶融(溶融温度:60~150℃)したマトリックス樹脂、又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈したマトリックス樹脂を、繊維束又は繊維製品に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去することが好ましい。
本発明の成形体は、前記プレプリグを成形して得られる。マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、常温で固化することで成形体とすることができる。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、硬化することで成形体とすることができる。硬化は完結している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。加熱成形の方法は特に限定されず、例えばフィラメントワイディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成型法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示す。なお、実施例5および6は、それぞれ参考例1および2である。
下記の実施例で用いる(A-1)~(A-6)及び(A’-1)~(A’-3)の融点は、DSCにより測定した。
<融点測定方法>
機器:Q20 DSC[ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製]
測定条件:サンプル量5mg。
(1)30℃から昇温速度20℃/minで100℃まで昇温し、100℃で10分保持。
(2)100℃から冷却速度-20℃/minで-70℃まで冷却し、-70℃で10分保持。
(3)-70℃から昇温速度20℃/minで100℃まで昇温する。
解析方法:2度目の昇温時のDCS曲線の極小値を融点とする。
下記の実施例で用いる(A-1)~(A-6)及び(A’-1)~(A’-3)の数平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)によって、測定した。
装置本体:HLC-8120(東ソー(株)製)
カラム:東ソー(株)製TSKgel α6000、G3000 PWXL
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:0.5%酢酸ソーダ・水/メタノール(体積比70/30)
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
試料濃度:0.25重量%
注入量:200μl
標準物質:東ソー(株)製TSK TANDARD POLYETHYLENE OXIDE
データ処理ソフト:GPC-8020modelII(東ソー(株)製)
製造例1[高分子(A-4)の製造]
ビスフェノールA1モル部に対してEO4モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物[商品名「ニューポールBPE-40」、三洋化成工業(株)製]485部、テレフタル酸166部(アルコール/酸=6/5モル比)及びテトライソプロポキシチタネート0.5部を、ガラス反応容器中で窒素流通下170℃で水を留去しながら10時間反応させた。ここに更にポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-10000」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量11,000]470部を加えて180℃で-0.1MPaまで減圧し水を留去しながら10時間反応(エステル交換反応)させ、ポリエステル樹脂である高分子(A-4)1,000部を得た。
(A-4)の融点は60℃であり、(A-4)の数平均分子量は4,500であった。
製造例2[高分子(A-6)の製造]
温度計、撹拌機、真空ラインを備えたSUS製耐圧反応容器に酸変性ポリプロピレン[商品名「ユーメックス1010」、三洋化成工業(株)製]200部、ポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-4000E」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量3,850]800部を仕込み、-0.1MPaまで減圧しながら180℃で10時間反応させ高分子(A-6)1,000部を得た。
(A-6)の融点は60℃であり、(A-6)の数平均分子量は6,700であった。
比較製造例1[高分子(A’-2)の製造]
製造例1において、ポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-10000」、三洋化成工業(株)製、分子量10,000]をポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-2000」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量2,000]に変更した以外は製造例1と同様に行い、比較用のポリエステル樹脂である高分子(A’-2)1,000部を得た。
(A’-2)の融点は51℃であり、(A’-2)の数平均分子量は2,600であった。
比較製造例2[高分子(A’-3)の製造]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、(炭素数14~15の高級アルコール[商品名「ネオドール45」、シェルケミカルズジャパン(株)製、数平均分子量222]222部(1モル部)及び水酸化カリウム0.5部(0.009モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、70℃に昇温し、1時間減圧下で脱水を行った。160℃に昇温し、EO1716部(39モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら5時間かけて滴下した後、160℃で2時間熟成した。次いで70℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]10部を投入し、70℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過して炭素数14~15のアルコールのEO39モル付加物(A’-3)を得た。
(A’-3)の融点は52℃であり、(A’-3)の数平均分子量は1930であった。
製造例3[ポリエステル(B-1)の製造]
ビスフェノールA1モル部に対してEO2モル部が付加したビスフェノールAのEO付加物[商品名「ニューポールBPE-20」、三洋化成工業(株)製]316部、フマル酸154部(アルコール/酸=3/4モル比)及びテトライソプロポキシチタネート0.3部を、ガラス反応容器中で窒素流通下170℃で水を留去しながら10時間反応させ、ポリエステル(B-1)400部を得た。
<実施例1~7、比較例1~5>
表1に記載の部数の水以外の原料を、万能混合機[万能混合攪拌機、(株)三英製作所製]中で60℃に温調しながら30分均一溶解させ、そこに水を6時間かけて滴下し、濃度40重量%の本発明の繊維用集束剤(X-1)~(X-7)及び比較用の繊維用集束剤(X’-1)~(X’-5)をそれぞれ2500部得た。
Figure 0007281352000001
表1の略号は、以下の組成を表す。
(A-1):ポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-10000」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量:11,000、融点:59℃]
(A-2):ポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-20000」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量:20,000、融点:60℃]
(A-3):ポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-6000P」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量:8,600、融点:59℃]
(A-5):ポリ-ε-カプロラクトン[富士フィルム和光純薬工業(株)製、数平均分子量:10,000、融点:60℃]
(A’-1):ポリオキシエチレングリコール[商品名「PEG-2000」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量:2,000、融点:51℃]
(B-2): ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名「JER1001」、三菱ケミカル(株)製]
(B-3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名「JER828」、三菱ケミカル(株)製]
(B-4):ビスフェノールF型エポキシ樹脂[商品名「JER807」、三菱ケミカル(株)製]
(C-1):スチレン化フェノールEO・PO付加物[商品名「STP-200」、三洋化成工業(株)製、融点:25℃未満]
<繊維用集束剤が含有する固形分の複素粘度の測定>
繊維用集束剤(X-1)~(X-7)及び比較用の繊維用集束剤(X’-1)~(X’-5)を、アルミカップに10gとり、130℃の循風乾燥機で1時間かけて水分を蒸発させ、繊維用集束剤の固形分4gを得た。
レオメーター[MODULAR COMPACT RHEOMETER(PHYSICA MCR302)、Anton-Paar社製]を用いて、25℃又は70℃、周波数1Hz、ひずみ量0.5%の条件で、繊維用集束剤の固形分それぞれの複素粘度(Pa・s)を測定した。その結果を表1に示した。
<炭素繊維束の評価>
繊維用集束剤(X-1)~(X-7)及び比較用の繊維用集束剤(X’-1)~(X’-5)を、繊維用集束剤が含有する固形分の重量が1.5%になるように水で希釈し、炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本、重量を表1に記載)を浸漬して集束剤を含浸させ、150℃で3分間熱風乾燥させて得られた炭素繊維束(重量を表1に記載)について、以下の方法に従い、開繊性及び集束性について評価し、その結果を表1に示した。
<開繊性の評価>
70℃に温めた表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を、ステンレス棒同士の水平方向の間隔が50mmとなるようにそれぞれ平行に、かつ、炭素繊維束がステンレス棒と接触しながらジグザグに通過するように配置した(図1)。なお、炭素繊維束が1番目と3番目と5番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線、及び、炭素繊維束が2番目と4番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線は、水平面と平行になるように配置した。また、前記の2~4番目のステンレス棒の通過前後で、通過前の炭素繊維束の進行方向となる直線と、通過後の炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように(例えば、前記の1番目と2番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線と、前記の2番目と3番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように)配置した。
このステンレス棒間に各集束剤で処理をした炭素繊維束をジグザグにかけ、巻取ロールと巻出ロールとの間の張力1000g、速度3m/分で炭素繊維束を巻出ロールから巻取ロールへ巻き取り、5本のステンレス棒を通過した後の、炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した{(株)浅野機械製作所製 糸走行試験装置を使用した}。数値が大きいほど、開繊性が優れていることを示しており、以下の基準で評価した。
◎:8mm以上
○:7mm以上8mm未満
△:6mm以上7mm未満
×:6mm未満
<集束性の評価>
各集束剤で処理をした炭素繊維束を、JIS L1096-2010(8.21.1A法、45度カンチレバー法)に準じて集束性を評価した。数値が大きいほど集束性に優れることを意味しており、以下の基準で評価した。
◎:17.0cm以上
○:16.5cm以上17.0cm未満
△:16.0cm以上16.5cm未満
×:16.0cm未満
表1の結果から明らかなように、本発明の繊維用集束剤を用いて処理をした炭素繊維束は、優れた開繊性を持ちながら集束性に優れている。
一方、高分子(A)に代えて、分子量が3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖も分子量が3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖も有しない(A’)を含有する比較用の繊維用集束剤を用いて処理をした炭素繊維束(比較例1~4)は、開繊性及び集束性を両立できていない。
また、高分子(A)も(A’)も含有しない比較用の繊維用集束剤を用いて処理をした炭素繊維束(比較例5)も、開繊性及び集束性を両立できていない。
本発明の繊維用集束剤は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維又はスラッグ繊維用の集束剤として利用できる。
また、本発明の繊維用集束剤で処理して得られた繊維束又は繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックスとしてプリプレグを得ることができる。
1.ステンレス棒
2.巻出ロール
3.巻取ロール
4.炭素繊維束
5.開繊性の測定位置

Claims (6)

  1. 高分子(A)と、前記高分子(A)以外の化合物(B)とを含有する繊維用集束剤であって、
    前記高分子(A)が、1分子中に水酸基1~8個を有する化合物(a)への炭素数2~4のアルキレンオキサイド付加物(A1)、ポリカプロラクトン(A2)、及び、前記アルキレンオキサイド付加物(A1)とカルボン酸とのエステル(A3)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アルキレンオキサイド付加物(A1)が、ポリオキシエチレングリコールであり、
    前記高分子(A)の融点が25~70℃であり、
    前記高分子(A)の数平均分子量が3,000~50,000であり、
    前記高分子(A)が、分子量が3,000~50,000のポリオキシエチレン鎖及び/又は分子量が3,000~50,000のポリカプロラクトン鎖を有し、
    前記化合物(B)が、ポリウレタン、ポリエステル及びエポキシ基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記高分子(A)の重量割合が、前記繊維用集束剤が含有する固形分の重量を基準として、10~50重量%である繊維用集束剤。
  2. 前記化合物(B)が、ポリエステル及び/又はエポキシ基を有する化合物である請求項1に記載の繊維用集束剤。
  3. 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維が、請求項1又は2に記載の繊維用集束剤で処理された繊維束。
  4. 請求項3に記載の繊維束を含有する繊維製品。
  5. 請求項3に記載の繊維束又は請求項4に記載の繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂(E1)又は熱硬化性樹脂(E2)をマトリックスとしてなるプリプレグ。
  6. 請求項5に記載のプリプレグを成形してなる成形体。
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