JP2020133095A - 繊維用集束剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維強化複合材料を製造するための強化繊維束に十分な集束性と開繊性を付与することのできる繊維用集束剤を提供する。【解決手段】エポキシ化合物(a1)、ポリエステル(a2)、ポリウレタン(a3)、ポリエーテル(a4)及びポリアミド(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する25℃での粘度が50〜6,000Pa・sである分散媒(A)に、前記分散媒(A)を構成する化合物以外の融点が40〜90℃である有機化合物(B)が分散されてなる繊維用集束剤(S)。【選択図】なし

Description

本発明は繊維用の集束剤に関する。更に詳しくは、繊維強化複合材料に使用される繊維用の集束剤に関する。
各種繊維と不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリプロピレン樹脂等のマトリックス樹脂と各種繊維との複合材料が建築材料、スポーツ用具、レジャー用品及び航空機等の分野で広く利用されている。これらの複合材料に使用される繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維等が挙げられ、これらの繊維には、糸切れや毛羽立ちを抑えるために、集束剤等で処理し、束状(繊維束)にしたものが用いられている。
この繊維束は、マトリックス樹脂と組み合わせる前に束の幅を広げる工程を行う。これにより、マトリックス樹脂の含浸性が増し、薄く品位の高いプリプレグを作ることができる。このように繊維束は、集束性が良く、かつ開繊性(繊維束幅の広いものほど開繊性が良い)が良いものが求められ、集束剤の性能によって、これらの特性がコントロールされる。しかしながら、集束性と開繊性は本来相反するものであり、高いレベルで両立することは難しい。
特許文献1には、特定のモノマーからなる水溶性ビニル共重合体を集束剤として使用する試みが為されている。しかし、この方法では集束性の高い繊維束を製造することはできるが、ビニルエステルの粘度が高すぎるため、十分な開繊性をもたせることができない。
特開平9−291480号公報
本発明の目的は、繊維強化複合材料を製造するための強化繊維束に十分な集束性と開繊性を付与することのできる繊維用集束剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、エポキシ化合物(a1)、ポリエステル(a2)、ポリウレタン(a3)、ポリエーテル(a4)及びポリアミド(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する25℃での粘度が50〜6,000Pa・sである分散媒(A)に、前記分散媒(A)を構成する化合物以外の融点が40〜90℃である有機化合物(B)が分散されてなる繊維用集束剤(S);炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維が、前記繊維用集束剤で集束されてなる繊維束;前記繊維束を含有する繊維製品;前記繊維束及び/又は前記繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂(E1)又は熱硬化性樹脂(E2)をマトリックスとしてなるプリプレグ;前記プリプレグを成形してなる成形体である。
本発明の繊維用集束剤で処理をした繊維束は、集束性と開繊性が良好であるため、毛羽立ちや糸割れがなく、含浸性に優れ、品位が高くなるという効果を奏する。
開繊性の評価における炭素繊維束の配置を示した図である。
本発明の繊維用集束剤(S)は、エポキシ化合物(a1)、ポリエステル(a2)、ポリウレタン(a3)、ポリエーテル(a4)及びポリアミド(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する25℃での粘度が50〜6,000Pa・sである分散媒(A)に、前記分散媒(A)を構成する化合物以外の融点が40〜90℃である有機化合物(B)が分散されてなる。
有機化合物(B)が分散状態にある場合、25℃において、繊維用集束剤(S)は均一に白濁した不透明な状態であるので、目視によって確認することができる。
本発明における分散媒(A)を構成する化合物としては、エポキシ化合物(a1)、ポリエステル(a2)、ポリウレタン(a3)、ポリエーテル(a4)及びポリアミド(a5)が挙げられ、これらの化合物は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物(a1)としては、特に定めるものではなく、単官能性、二官能性又は多官能性の何れでも、さらに、これらの2種類以上の混合物でもよい。特に、二官能性以上のエポキシ化合物、すなわち、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
エポキシ化合物(a1)としては、集束性の観点から、好ましくはジエポキシド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びエポキシ化不飽和脂肪酸トリグリセリド(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ナタネ油等)であり、更に好ましくはジエポキシドである。
ジエポキシドとしては、ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、ジグリシジルアミン及び脂環式ジエポキシド等が挙げられる。
ジグリシジルエーテルとしては、2価フェノールのジグリシジルエーテル及び2価アルコールのジグリシジルエーテルが挙げられる。
2価フェノールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数6〜30の2価フェノールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。
2価フェノールとしては、ビスフェノール類(ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS及びハロゲン化ビスフェノールA等)、カテキン、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルビフェニル及び9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロオレン等が挙げられる。
2価アルコールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数2〜100のジオールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。
2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、ネオペンチルグリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記することがある)(1〜20モル)付加物等が挙げられる。
AOとしては、前記の炭素数2〜4のAOが挙げられる。
ジグリシジルエーテルに含まれる2価フェノール単位又は2価アルコール単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(2価フェノール単位又は2価アルコール単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1〜10が好ましく、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルエーテルは、n=1〜10の混合物(重縮合度の異なる混合物等)でもよい。
ジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステル及び脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸の芳香核水添加物(ヘキサヒドロフタル酸及び4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等)又は直鎖若しくは分岐の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸及び2,2−ジメチルプロパンジカルボン酸等)とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。
ジグリシジルエステルは、芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1〜10が好ましく、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルエステルは、n=1〜10の混合物でもよい。
ジグリシジルアミンとしては、炭素数6〜20で、2〜4個の活性水素原子をもつ芳香族アミン(アニリン及びトルイジン等)とエピクロルヒドリンとの反応で得られるN−グリシジル化物(N,N−ジグリシジルアニリン及びN,N−ジグリシジルトルイジン等)等が挙げられる。
ジグリシジルアミンは、芳香族アミン単位とエピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族アミン単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1〜10が好ましく、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルアミンは、n=1〜10の混合物でもよい。
脂環式ジエポキシドとしては、炭素数6〜50で、エポキシ基を2個有する脂環式エポキサイド{ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等}が挙げられる。
エポキシ化合物(a1)としては、集束性の観点から、ジグリシジルエーテルが好ましく、更に好ましくはポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、2価フェノールのジグリシジルエーテル及び2価フェノールのAO付加物のジグリシジルエーテルであり、特に好ましくはポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル並びにビスフェノール類のジグリシジルエーテル及びビスフェノール類のAO付加物のジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等)であり、最も好ましくはビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びビスフェノールAのAO付加物のジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)である。
エポキシ化合物(a1)の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、200〜10,000が好ましく、更に好ましくは350〜3,000、特に好ましくは380〜2,500である。Mnがこの範囲であると、成形体強度が更に優れる。
なお、エポキシ化合物のMnの測定に使用されるGPCの条件は、後述する有機化合物(B)のMnの測定条件と同様である。
エポキシ化合物(a1)のエポキシ当量は、集束性の観点から、100〜1000g/eqが好ましく、更に好ましくは100〜800g/eqである。ここで、エポキシ当量とは、JIS K 7236に準拠して測定される値である。
ポリエステル(a2)としては、分散媒(A)の粘度を上記範囲にすることができるポリエステルであれば公知のどのようなポリエステルを使用しても差し支えないが、集束性の観点から、ジオールとジカルボン酸又はその無水物とから構成される鎖状のポリエステル、ラクトン開環重合物及びポリヒドロキシカルボン酸が好ましい。
ジオールとしては、炭素数2〜36の脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオール等の直鎖型脂肪族ジオール、1,2−プロパンジオール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等の分岐型脂肪族ジオール等);前記炭素数2〜36の脂肪族ジオールのAO付加物(付加モル数1〜120);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);前記脂環式ジオールのAO付加物(付加モル数1〜120);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO付加物(付加モル数2〜120);ポリブタジエンジオール;炭素数1〜18の1級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン及びドデシルアミン等)のAO付加物(付加モル数2〜120)等が挙げられる。ジオールは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記AOとしては、炭素数2〜4のもの[エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド等]等が挙げられる。
ジオールとしては、集束性の観点から、脂肪族ジオール及びそのAO付加物、脂環式ジオールのAO付加物、1級アミンのAO付加物並びに芳香環含有2価フェノールのAO付加物が好ましく、更に好ましくは脂肪族ジオール及びそのAO付加物並びにビスフェノール類のAO付加物である。
ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等のドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕;炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)及び炭素数2〜24のジカルボン酸無水物(無水マレイン酸及び無水フタル酸等)等が挙げられる。ジカルボン酸は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸としては、集束性の観点から、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸及び炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸が好ましく、更に好ましくはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸であり、特に好ましいのはアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸である。
ラクトン開環重合物としては、前記炭素数2〜36の脂肪族ジオールに炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類(β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等)を金属酸化物及び有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られたもの等が挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシカルボン酸(グリコール酸及び乳酸等)を脱水縮合させて得られたものが挙げられる。
ポリエステル(a2)のMnは、集束性及び乳化安定性の観点から、1,000〜50,000が好ましい。Mnが1,000以上であると十分な集束性を有し、50,000以下であると水に対する親和性が高く乳化安定性に優れる。
ポリウレタン(a3)としては、高分子ポリオール、有機ジイソシアネート及び必要により鎖伸長剤及び/又は架橋剤とから合成されてなるものが挙げられる。
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール(例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリヘキサメチレンカーボネートジオール等);ポリエーテルポリオール[ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール及びビスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物等]等が挙げられる。高分子ポリオールは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
有機ジイソシアネートの具体例としては、例えば2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート等の炭素数4〜22の鎖状脂肪族ジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネート;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。有機ジイソシアネートは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
ポリエーテル(a4)としては、前記炭素数2〜36の脂肪族ジオールの炭素数2〜4のAO付加物(ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール及びポリオキシテトラメチレングリコール)及び前記ビスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数10〜120)等が挙げられる。
ポリエーテル(a4)としては、集束性の観点から、ビスフェノール類のAO付加物が好ましく、更に好ましくはビスフェノールAのAO付加物であり、特に好ましくはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物である。
ポリアミド(a5)としては、前記ジカルボン酸とジアミンとを構成単量体とするポリアミド等が挙げられる。
ジアミンとしては、炭素数2〜12の脂肪族のジアミン[直鎖ジアミン(エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン及び1,10−ジアミノデカン等)及び分岐アルキル鎖を有するジアミン(1,2−ジアミノプロパン、1,5−ジアミノ−3−メチルペンタン、1,3−ジアミノ−2,2−ジエチルプロパンジアミン、1,2−、1,3−又は2,3−ジアミノブタン等)等]及び炭素数6〜20の脂環式のジアミン[1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等]等が挙げられる。
分散媒(A)を構成する化合物として、集束性の観点から、好ましいのはエポキシ化合物(a1)及びポリエステル(a2)であり、更に好ましいのはビスフェノール類のジグリシジルエーテル及びビスフェノール類のAO付加物のジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールS型エポキシ樹脂等)、ポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル並びに芳香族2価フェノールのAO付加物と炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸とのポリエステルであり、最も好ましいのはビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
分散媒(A)には水や溶剤は含まない方が好ましい。
分散媒(A)の25℃での粘度は、50〜6,000Pa・sである必要がある。(A)の25℃での粘度が50Pa・sより低いと、繊維用集束剤(S)の集束性が不十分となる。(A)の25℃での粘度が6,000Pa・sより高いと繊維用集束剤(S)の開繊性が不十分となる。
分散媒(A)の25℃での粘度は、(A)を構成する化合物の分子量を大きくしたり、極性の高い官能基を多くすることによって大きくすることができる。
25℃における(A)の粘度は、好ましくは200〜5,500Pa・sであり、更に好ましくは500〜5,000Pa・sである。
尚、分散媒(A)を構成する化合物として1種類のみを用いる場合、分散媒(A)を構成する化合物の25℃での粘度は50〜6,000Pa・sであることが必要であるが、2種以上を用いる場合、混合物の25℃での粘度が50〜6,000Pa・sであれば構成する個々の化合物の粘度がこの範囲にある必要はない。
(A)の25℃での粘度は、アントンパール社製レオメータ・MCR92を使用して、直径50mmのコーンプレートでギャップ0.1μm、せん断速度10s−1の条件で測定する。
分散媒(A)に分散される有機化合物(B)は、分散媒(A)を構成する化合物以外の化合物であって、融点が40〜90℃の有機化合物である。
分散媒(A)に有機化合物(B)を分散させることにより、開繊性に優れる集束剤が得られる。
分散媒(A)の溶解性パラメータ(以下、SP値と略記する)と有機化合物(B)のSP値を調整することにより、分散媒(A)に有機化合物(B)が相溶することなく、分散させることができる。具体的には、分散媒(A)のSP値と有機化合物(B)のSP値との差の絶対値(ΔSP)を0.4以上にすることにより、分散媒(A)に有機化合物(B)が相溶することなく、分散した状態にすることができる。
分散媒(A)のSP値と有機化合物(B)のSP値との差の絶対値(ΔSP)は、均一分散性の観点から、0.4以上が好ましく、更に好ましくは0.4〜1.5である。
SP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めることができる。
有機化合物(B)は、融点が40〜90℃で分散媒(A)に相溶しないものであれば特に限定されないが、開繊性の観点から、結晶性ポリエステル(b1)、結晶性ポリウレタン(b2)、結晶性ポリウレア(b3)、結晶性ポリアミド(b4)、結晶性ポリビニル(b5)及びパラフィンワックス(b6)が好ましい。
結晶性ポリエステル(b1)は、前記ジオールと前記ジカルボン酸を原料として反応して得られるポリエステル樹脂であり、必要に応じて原料に3価以上のポリオールや3価以上のポリカルボン酸を併用してもよい。
(b1)に用いられるジオールの中で、結晶性の観点から好ましいのは炭素数2〜36の脂肪族ジオール、更に好ましいのは炭素数2〜20の脂肪族ジオール、特に好ましいのは炭素数2〜12の直鎖型脂肪族ジオール、最も好ましいのはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール及び1,12−ドデカンジオールである。
結晶性の観点から、ジオール中の直鎖型脂肪族ジオールの含有率は80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは90モル%以上である。
(b1)に用いられるジカルボン酸の中で、結晶性の観点から好ましいのは炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸及び炭素数4〜50アルケンジカルボン酸、更に好ましいのはこれらの内の直鎖型のジカルボン酸、特に好ましいのは炭素数2〜12のアルカンジカルボン酸、最も好ましいのはアジピン酸、セバシン酸及びドデカン二酸である。
また、(b1)としては、脂肪族ジカルボン酸(好ましくは炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸及び炭素数4〜50アルケンジカルボン酸)と共に芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸及びt−ブチルイソフタル酸並びにこれらの低級アルキル(好ましくはアルキルの炭素数1〜4)エステル等)を重縮合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、ジカルボン酸の合計モル数に対して20モル%以下が好ましい。
(b1)に必要により用いられる3価以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられ、好ましいのは、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
(b1)に必要により用いられる3価以上のポリカルボン酸としては、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)及び炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。
尚、前記ジカルボン酸及び前記3価以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
結晶性ポリウレタン(b2)としては、前記の結晶性ポリエステル(b1)と前記有機ジイソシアネートを構成単量体とするもの及び前記結晶性ポリエステル(b1)と前記ジオールと前記有機ジイソシアネートを構成単量体とするもの等が挙げられる。
(b2)に用いられる有機ジイソシアネートの内で好ましいのは、炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜22の鎖状脂肪族ジイソシアネート及び炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネートであり、更に好ましいのはMDI、TDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
結晶性ポリウレア(b3)としては、前記結晶性ポリエステル(b1)と前記ジアミンと前記有機ジイソシアネートを構成単量体とするもの等が挙げられる。
(b3)に用いられる有機ジイソシアネートの内で好ましいのは、炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜22の鎖状脂肪族ジイソシアネート及び炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネートであり、更に好ましいのはMDI、TDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
結晶性ポリアミド(b4)としては、前記結晶性ポリエステル(b1)と前記ジアミンと前記ジカルボン酸を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリビニル(b5)としては、重合性二重結合を有するエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[数平均分子量(以下、Mnと略記)=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
結晶性ポリビニル(b5)は、重合性二重結合を有するエステルに加え、重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、重合性二重結合を有する芳香族炭化水素、カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩、スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩、ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩、ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体、アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、アミド基と重合性二重結合を有する単量体、ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体、ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体等、エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体、ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン並びに重合性二重結合を有する含硫黄化合物等を構成単量体とすることができる。
パラフィンワックス(b6)としては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]及びポリメチレン(例えばサゾールワックス等のフィシャートロプシュワックス等)等が挙げられる。
有機化合物(B)の融点は40〜90℃であり、開繊性の観点から、45〜85℃であることが好ましい。
有機化合物(B)の融点は、分子の対称性や極性、剛直性又は分子量を変更することにより調整できる。例えば、結晶性ポリエステル(b1)の場合であれば、アルカンジカルボン酸や直鎖型脂肪族ジオールの炭素数を増やしたり、エステル基含量を高くしたり、芳香環を持たせることにより、融点を高くすることができる。
本発明における融点は、示差走査熱量計(DSC)用いて、JIS K7121に規定のDSC法で測定したときの、融解ピーク温度を意味する。
有機化合物(B)のMnは、開繊性の観点から、2,000〜9,000であることが好ましく、更に好ましくは2,000〜8,000である。
本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
・装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
・カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
・測定温度 : 40℃
・試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量 : 100μL
・検出装置 : 屈折率検出器
・基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
本発明の繊維用集束剤(S)には、必要により、界面活性剤(C)やその他の添加剤(D)を併用してもよいが、水及び溶剤等を含まない方が好ましい。
界面活性剤(C)としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤等の公知の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤(C)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
非イオン界面活性剤としては、例えばAO付加型非イオン界面活性剤[例えば、高級アルコール(炭素数8〜18)又は高級脂肪酸(炭素数12〜24)のAO付加物[重量平均分子量(以下、Mwと略記)=158〜20,000];アルキルフェノール(炭素数10〜20)、スチレン化フェノール(炭素数14〜62)、スチレン化クミルフェノール又はスチレン化クレゾール(炭素数15〜61)のAO付加物(Mn=500〜5,000)又はポリアルキレングリコール(Mn=150〜6,000)に高級脂肪酸を反応させたもの;多価(2価〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜32、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタン等)に高級脂肪酸(炭素数12〜24、例えばラウリン酸及びステアリン酸)を反応させて得られたエステル化物のAO付加物(Mn=350〜10,000);高級脂肪酸アミドのAO付加物(Mn=200〜30,000);多価(2価〜8価又はそれ以上)アルコールアルキル(炭素数8〜60)エーテルのAO付加物(Mn=220〜30,000)等]及び多価(2価〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜32)型非イオン界面活性剤[多価アルコール脂肪酸(炭素数8〜36)エステル、多価アルコールアルキル(炭素数7〜32)エーテル、脂肪酸(炭素数8〜32)アルカノールアミド等)]等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸(炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸)又はその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアルカノールアミン等の塩)、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩、炭素数8〜24の脂肪族アルコールエーテルカルボン酸(例えば、炭素数8〜24、好ましくは炭素数10〜18の脂肪族アルコールのAO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物等)、硫酸エステル塩[高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪酸アルコールの硫酸エステル塩等)]、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩[炭素数8〜18の脂肪酸アルコールのEO(1〜10モル)付加物の硫酸エステル塩]、硫酸化油(天然の不飽和油脂又は不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)、硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)、スルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル、α−オレフィン(炭素数12〜18)スルホン酸塩及びイゲポンT型等]及びリン酸エステル塩[高級アルコール(炭素数8〜60)リン酸エステル塩、高級アルコール(炭素数8〜60)EO付加物リン酸エステル塩、アルキル(炭素数8〜60)フェノールEO付加物リン酸エステル塩等]、アルキルフェノール(炭素数10〜20)のAO付加物(Mn=500〜5,000)の硫酸エステル塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等)、アリールアルキルフェノール[スチレン化フェノール(炭素数14〜62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15〜61)等]のAO付加物(Mn=500〜5,000)の硫酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルベタイン、ラウリルジメチルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]及びアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
界面活性剤(C)の内で好ましいのは、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤並びにアニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤の混合物であり、更に好ましいのはアルキルフェノールのAO付加物、アリールアルキルフェノールのAO付加物、アルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩、アリールアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物であり、特に好ましいのは、アリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物及びアリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物である。
その他の添加剤(D)としては、平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
平滑剤としては、流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸類、サリチル酸類及びソルビン酸類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、チオジプロピオネート類(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート等)及びホスファイト類(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
分散媒(A)と有機化合物(B)の合計重量を基準とする有機化合物(B)の重量割合は集束性及び開繊性の観点から、好ましくは5〜49重量%、更に好ましくは5〜45重量%である。
本発明の繊維用集束剤(S)における界面活性剤(C)の含有率は、(S)の重量を基準として、好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。
本発明の繊維用集束剤(S)におけるその他の添加剤(D)の含有率は、(S)の重量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、更に好ましくは40重量%以下である。
本発明の繊維用集束剤(S)の製造方法に特に制限はないが、例えば、混合容器に分散媒(A)、有機化合物(B)並びに必要により界面活性剤(C)及びその他の添加剤(D)を投入順序に特に制限なく投入し、好ましくは30〜150℃、更に好ましくは40〜120℃で(B)が(A)に均一に分散するまで撹拌して製造する方法が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤(S)は、水性媒体中に分散することで水性エマルションとして用いることが好ましい。
水性エマルションとして用いることにより、繊維用集束剤(S)が含有する固形分の繊維への付着量を適量にすることが容易であるため、成形体としたときの強度が更に優れる繊維束を得ることができる。
水性媒体としては、公知の水性媒体等を用いることができ、具体的には、水及び親水性有機溶媒[炭素数1〜4の1価のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3〜6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2〜6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)及びそのモノアルキル(炭素数1〜2)エーテル、ジメチルホルムアミド並びに炭素数3〜5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等]が挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよい。これらの内、安全性等の観点から、水並びに親水性有機溶媒と水との混合物が好ましく、更に好ましいのは水である。
繊維用集束剤(S)の水性エマルションは、コスト等の観点から、流通時は高濃度であって、繊維束の製造時は低濃度であることが好ましい。即ち、高濃度で流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度で繊維を処理することで、優れた成形体強度を与える繊維束を製造できる。
高濃度のエマルションの濃度[繊維用集束剤(S)の水性エマルションに対する固形分の重量割合]は、保存安定性等の観点から、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%である。
一方、低濃度のエマルションの濃度[繊維用集束剤(S)の水性エマルションに対する固形分の重量割合]は、繊維束の製造時に集束剤の付着量を適量にする観点等から、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
ここで、固形分とは、試料1gを130℃45分間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣である。
繊維用集束剤(S)の水性エマルションは、分散媒(A)への有機化合物(B)の分散物、水性媒体並びに必要により用いられる界面活性剤(C)及びその他の添加剤(D)をいかなる順序で混合しても製造することができるが、水性媒体以外の成分を前記方法で予め混合し、得られた混合物中に水性媒体を投入して乳化分散させる方法が好ましい。
水性媒体以外の成分を予め混合する場合の温度は、混合し易さの観点から、好ましくは20〜120℃、更に好ましくは40〜110℃であり、その後の乳化分散の温度も同様である。
前記の溶解又は乳化分散する時間は、好ましくは1〜20時間、更に好ましくは2〜10時間である。
分散媒(A)に有機化合物(B)を分散させる際の分散装置及び(S)の水性エマルションを製造する際の乳化分散装置に制限はなく、撹拌羽根(羽根形状:カイ型及び三段パドル等)、モルタルミキサー及び万能混合機[万能混合攪拌機5DM−L、(株)三英製作所製等]等が使用できる。
本発明の繊維用集束剤(S)を適用できる繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維等の公知の繊維(国際公開第2003/47830号に記載のもの等)等が挙げられ、成形体強度の観点から、好ましくは炭素繊維である。
繊維は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の繊維束は、これらの繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を本発明の繊維用集束剤で処理して得られる(繊維3,000〜3万本程度を束ねた繊維束)。
繊維の処理方法としては、スプレー法及び浸漬法等が挙げられる。繊維用集束剤(S)の繊維への付着量(重量%)は、繊維の重量に基づいて、0.05〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜3.0重量%である。この範囲であると、成形体強度が更に優れる。
本発明の繊維製品は、前記繊維束を加工して繊維製品としたものであり、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
本発明のプレプリグは、前記繊維束及び/又は前記繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂(E1)又は熱硬化性樹脂(E2)をマトリックス樹脂としてなるプリプレグである。本発明のプリプレグは、強化繊維及びマトリックス樹脂以外に、必要により、触媒を含有してもよい。触媒を含有すると、成形体強度が更に優れる。
熱可塑性樹脂(E1)としては、国際公開第2003/09015号、国際公開第2004/067612号、特許第2926227号公報又は特許第2616869号公報等に記載の熱可塑性樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂等)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂(E2)としては、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート変性樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂(特許第3723462号に記載のもの等)等が挙げられる。
尚、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味する。
マトリックス樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
マトリックス樹脂として好ましいのは熱硬化性樹脂(E2)であり、更に好ましいのはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂(アクリル基及び/又はメタクリル基を付加したエポキシ樹脂)である。触媒としては、公知(特開2005−213337号公報に記載のもの等)のエポキシ樹脂用硬化剤及び硬化促進剤等が挙げられる。
マトリックス樹脂と強化繊維との重量比(マトリックス樹脂/強化繊維)は、成形体強度等の観点から、10/90〜90/10が好ましく、更に好ましくは20/80〜70/30、特に好ましくは30/70〜60/40である。触媒を含有する場合、触媒の含有量は、成形体強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して0.01〜10重量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%である。
プリプレグは、熱溶融(溶融温度:60〜150℃)したマトリックス樹脂又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈したマトリックス樹脂を、繊維束又は繊維製品に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去することが好ましい。
本発明の成形体は、前記プレプリグを成形して得られる。マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、常温で固化することで成形体とすることができる。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、硬化することで成形体とすることができる。硬化は完結している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。加熱成形の方法は特に限定されず、例えばフィラメントワイディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成型法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示す。
製造例1 <ビスフェノールAのEO40モル付加物(a−0)の製造>
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ビスフェノールAのEO4モル付加物「ニューポールBPE−40」[三洋化成工業(株)製]404部(1モル部)及び水酸化カリウム2部を投入し、窒素置換後、圧力を−0.08MPaとした。130℃に昇温し、EO1584部(36モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら6時間かけて滴下した後、130℃で3時間熟成した。次いで100℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]30部を投入し、100℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過してビスフェノールAのEO40モル付加物(a−0)を得た。
製造例2 <ポリエステル樹脂(a−1)の製造>
ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]474部(1.5モル部)、製造例1で得られたビスフェノールAのEO40モル付加物(a−0)994部(0.5モル部)、テレフタル酸166部(1モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム5部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させ、Mn=1,600のポリエステル樹脂(a−1)を得た。
製造例3 <化合物(B−1)の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸404部(2モル部)と1,6−ヘキサンジオール248部(2.1モル部)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.5〜2.5kPaの減圧下、酸価が0.5以下になるまで反応し、Mn=5,800、融点=74℃の結晶性ポリエステルである化合物(B−1)を得た。
製造例4 <化合物(B−2)の製造>
製造例3において、1,6−ヘキサンジオール248部(2.1モル部)をエチレングリコール136部(2.2モル部)に変更した以外は製造例3と同様にし、Mn=2,300、融点75℃の結晶性ポリエステルである化合物(B−2)を得た。
製造例5 <化合物(B−3)の製造>
製造例3において、セバシン酸404部(2モル部)をドデカン二酸460部(2モル部)に、1,6−ヘキサンジオール248部(2.1モル部)を1,12−ドデカンジオール444部(2.2モル部)に変更した以外は製造例3と同様にし、Mn=4,200、融点84℃の結晶性ポリエステルである化合物(B−3)を得た。
製造例6 <化合物(B−4)の製造>
製造例3において、セバシン酸404部(2モル部)をアジピン酸175部(1.2モル部)に、1,6−ヘキサンジオール248部(2.1モル部)をエチレングリコール80.6(1.3モル部)に変更した以外は製造例3と同様にし、Mn=2,100、融点47℃の結晶性ポリエステルである化合物(B−4)を得た。
製造例7 <化合物(B−5)の製造>
製造例3において、セバシン酸404部(2モル部)を303部(1.5モル部)に、1,6−ヘキサンジオール248部(2.1モル部)をエチレングリコール99.2部(1.3モル部)に変更した以外は製造例3と同様にし、酸価が0.5以下になるまで反応した後、100℃まで冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート16.8部(0.1モル部)を仕込み、更に100℃で3時間反応させ、Mn=5,800、融点70℃の結晶性ポリウレタンである化合物(B−5)を得た。
製造例16 <界面活性剤(C−1)の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル340.0部入れ溶融させ、活性白土35.0部を加え、110℃まで昇温した後スチレン660.0部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成した。その後、けい藻土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。得られたスチレン化フェノ−ル(Mn=276)102.6部(0.37モル部)を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを1.6部加え135℃に昇温し、POを296.2部(5.1モル部)及びEOを601.2部(13.6モル部)、順次吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ、Mn=2,700のスチレン化フェノールPO14モルEO37モル付加物である界面活性剤(C−1)を得た。
比較製造例1 <化合物(B’−1)の製造>
製造例3において、セバシン酸404部(2モル部)をコハク酸236部(2モル部)に、1,6−ヘキサンジオール248部(2.1モル部)をエチレングリコール130部(2.1モル部)に変更した以外は製造例3と同様にし、Mn=1,500、融点101℃の結晶性ポリエステルである化合物(B’−1)を得た。
比較製造例2 <化合物(B’−2)の製造>
製造例3において、セバシン酸404部(2モル部)をアジピン酸382部(2.3モル部)に、1,6−ヘキサンジオール248部(2.1モル部)を3−メチル−1,5−ペンタンジオール284部(2.4モル部)に変更した以外は製造例3と同様にし、Mn=5,000、25℃で液状のポリエステルである化合物(B’−2)を得た。
製造例8〜15及び比較製造例3〜4 <化合物(A−1)〜(A−8)及び(A’−1)〜(A’−2)の製造>
表1に記載の部数の(a−1)〜(a−6)を、万能混合機[万能混合攪拌機、(株)三英製作所製]中で80℃に温調しながら30分均一溶解させ、分散媒(A−1)〜(A−8)及び(A’−1)〜(A’−2)をそれぞれ100部得た。得られた分散媒(A−1)〜(A−8)及び(A’−1)〜(A’−2)の粘度を表1に示す。
Figure 2020133095
尚、表1に記載した(a−1)〜(a−6)の内容は以下の通りである。
(a−1):製造例2で得たポリエステル樹脂[Mn=1,600]
(a−2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名「jER828」、三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量=190g/eq]
(a−3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名「jER1001」、三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量=475g/eq]
(a−4):ポリウレタン樹脂30%重量%水溶液[商品名「パーマリン UA−150」、三洋化成工業(株)製]
(a−5):ポリアミド樹脂「UBESTA XPA」[宇部興産(株)製]
(a−6):ポリエーテル樹脂 [商品名「ニューポールBPE−100」、三洋化成工業(株)製]
実施例1〜14及び比較例1〜3
表2に記載の部数の分散媒(A)及び有機化合物(B)を、万能混合機[万能混合攪拌機、(株)三英製作所製]中で100℃に温調しながら30分均一混合して混合物の外観を確認後、表2記載の部数の界面活性剤(C)を加えて100℃に温調しながら30分均一混合して本発明の繊維用集束剤(S−1)〜(S−14)及び比較用の繊維用集束剤(S’−1)〜(S’−6)を得た。更に60℃まで冷却して60℃に温調しながら表2に記載の部数の水を6時間かけて滴下し、濃度が40重量%の本発明の繊維用集束剤(S−1)〜(S−14)及び比較用の繊維用集束剤(S’−1)〜(S’−6)の水性エマルションをそれぞれ250部得た。
(A)及び(B)を万能混合機で均一混合した後の外観は、比較例1のものは(A)と(B)が相溶した透明液状であり、(B)を使用しない比較例2のものも透明液状であり、それ以外は(A)に(B)が分散され、混濁液状であった。また、界面活性剤(C)を加えて均一混合したものの外観は(C)添加前のものと同じであった。
Figure 2020133095
尚、表2における各成分の内容は以下の通りである。
(A−1)〜(A−8)及び(A’−1)〜(A’−2):表1に記載のもの
(B−1):製造例3で得た結晶性ポリエステル(Mn=5,800、融点=74℃)
(B−2):製造例4で得た結晶性ポリエステル(Mn=2,300、融点=75℃)
(B−3):製造例5で得た結晶性ポリエステル(Mn=4,200、融点=84℃)
(B−4):製造例6で得た結晶性ポリエステル(Mn=2,100、融点=47℃)
(B−5):製造例7で得た結晶性ポリウレタン(Mn=5,800、融点=70℃)
(B’−1):比較製造例1で得た結晶性ポリエステル(Mn=1,500、融点=101℃)
(B’−2):比較製造例2で得たポリエステル(Mn=5,000、25℃で液状)
(C−1):製造例16で得たスチレン化フェノールPO14モルEO37モル付加物(Mn=2,760)
実施例1〜14及び比較例1〜6の繊維用集束剤の水性エマルションを用いて、以下の評価方法で炭素繊維束の集束性及び開繊性を評価した結果を、分散媒(A)の粘度及び有機化合物(B)の融点と共に表2に示す。
<集束性の評価>
(1)濃度が1.5重量%となるように繊維用集束剤を更に水で希釈した水性エマルションに、未処理炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して集束剤を含浸させ、180℃で3分間熱風乾燥させて、固形分として1重量%の繊維用集束剤が付着した炭素繊維束を作製した。
(2)得られた炭素繊維束の集束性を、JIS L1096−2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。
数値(cm)が大きいほど集束性に優れることを意味する。
この処理条件で得られた炭素繊維束をカンチレバーで評価した集束性の値は、一般に13cm以上が好ましい。
<開繊性の評価>
70℃に温めた表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を、ステンレス棒同士の水平方向の間隔が50mmとなるようにそれぞれ平行に、かつ、炭素繊維束がステンレス棒と接触しながらジグザグに通過するように配置した(図1)。尚、炭素繊維束が1番目と3番目と5番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線及び、炭素繊維束が2番目と4番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線は、水平面と平行になるように配置した。また、前記の2〜4番目のステンレス棒の通過前後で、通過前の炭素繊維束の進行方向となる直線と、通過後の炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように(例えば、前記の1番目と2番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線と、前記の2番目と3番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように)配置した。
このステンレス棒間に各集束剤で処理をした炭素繊維束をジグザグにかけ、巻取ロールと巻出ロールとの間の張力1000g、速度3m/分で炭素繊維束を巻出ロールから巻取ロールへ巻き取り、5本のステンレス棒を通過した後の、炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した{(株)浅野機械製作所製の糸走行試験装置を使用した}。
この条件で測定した炭素繊維束の拡がり幅は、一般に8mm以上が好ましい。
表2の結果から、本発明の実施例1〜14の繊維用集束剤は、高い集束性を保持しながら、開繊性に優れた繊維束を作ることができることがわかる。
一方、化合物(B)が分散媒(A)に分散せずに相溶している比較例1は、同じ分散媒(A)を用いている実施例3〜6や同じ有機化合物(B)を用いている実施例13と比較して、集束性及び開繊性が低くなることがわかる。また、融点40〜90℃の有機化合物(B)を含まない比較例2は、同じ分散媒(A)を用いている実施例3〜6と比較して、開繊性が極めて低くなることがわかる。また、有機化合物(B)の融点が100℃を超える比較例4は、同じ分散媒(A)を用いている実施例12及び13と比較して、集束性は同程度であるものの、開繊性が極めて低くなることがわかる。また、分散媒(A)の粘度が6000Pa・sを超える比較例6は、粘度が5600Pa・sである実施例10と比較して集束性は同程度であるものの、開繊性が極めて低くなることがわかる。また、有機化合物(B)の融点が40℃より低い比較例3は、同じ分散媒(A)を用いている実施例3〜6と比較して、集束性及び開繊性が低くなることがわかる。また、分散媒(A)の粘度が50Pa・sより低い比較例5は、同じ有機化合物(B)を用いている実施例5、7及び8と比較して、集束性及び開繊性が低くなることがわかる。
本発明の繊維用集束剤は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維又はスラッグ繊維用の集束剤として利用できる。
また、本発明の繊維用集束剤で処理して得られた繊維束又は繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックスとしてプリプレグを得ることができる。
1.ステンレス棒
2.巻出ロール
3.巻取ロール
4.炭素繊維束
5.開繊性の測定位置

Claims (8)

  1. エポキシ化合物(a1)、ポリエステル(a2)、ポリウレタン(a3)、ポリエーテル(a4)及びポリアミド(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する25℃での粘度が50〜6,000Pa・sである分散媒(A)に、前記分散媒(A)を構成する化合物以外の融点が40〜90℃である有機化合物(B)が分散されてなる繊維用集束剤(S)。
  2. 前記分散媒(A)が、エポキシ化合物(a1)及び/又はポリエステル(a2)である請求項1記載の繊維用集束剤。
  3. 前記有機化合物(B)が、炭素数2〜12の直鎖型脂肪族ジオール及び炭素数2〜12のアルカンジカルボン酸を構成単量体として含み、数平均分子量が2,000〜9,000の結晶性ポリエステルである請求項1又は2記載の繊維用集束剤。
  4. 前記分散媒(A)と前記有機化合物(B)の合計重量を基準とする前記有機化合物(B)の重量割合が、5〜49重量%である請求項1又は2記載の繊維用集束剤。
  5. 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維が、請求項1〜4のいずれか記載の繊維用集束剤で集束されてなる繊維束。
  6. 請求項5に記載の繊維束を含有する繊維製品。
  7. 請求項5記載の繊維束及び/又は請求項6記載の繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂(E1)又は熱硬化性樹脂(E2)をマトリックス樹脂としてなるプリプレグ。
  8. 請求項7に記載のプリプレグを成形してなる成形体。
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