JP4763532B2 - 無機繊維用集束剤 - Google Patents

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Description

本発明は無機繊維用集束剤に関する。
エポキシ基を有さないエステル(100℃におけるブルックフィールド型粘度:約0.01〜0.5Pa・s)と、エステル結合の数が0〜3個であるポリエポキシド(100℃におけるブルックフィールド型粘度:約0.01〜0.5Pa・s)とからなる無機繊維用集束剤が知られている(特許文献1)。
特開平9−31851号公報(対応米国特許第5,688,554)
従来の集束剤は、マトリックス樹脂と集束剤との親和性が低く、最終的に成形体とした際、十分な強度を発現することができない。
本発明の目的は、成形体が十分な強度を発現できる無機繊維用集束剤を提供することである。
本発明は、エポキシ基の数が1.0〜2.0、エステル結合の数が少なくとも4.0であるポリエステル(A)を含有する無機繊維用集束剤からなることを要旨とする。
本発明の無機繊維用集束剤は、マトリックス樹脂との親和性が高い。したがって、本発明の集束剤で無機繊維を処理して得られる無機繊維束とマトリックス樹脂とを複合し、成形・硬化して得られる成形体は高強度を有する。
ポリエステル(A)は、エポキシ基の数が1.0〜2.0が好ましく、さらに好ましくは1.5〜2.0、特に好ましくは1.8〜2.0、最も好ましくは1.9〜2.0である。この範囲であると、マトリックス樹脂との親和性がさらに高いため成形体の強度がさらに良好となる。
エポキシ基の数はポリエステル(A)が混合物である場合、混合物の平均値であり、実数で表される。混合物としては、エポキシ基が1個のものと2個のものとの混合物が含まれる。
なお、エポキシ基の数は、数平均分子量(以下、Mnと記す)及びエポキシ当量から、次式により求められる。
Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPC)法により測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001(ISO3001:1999に対応)に準拠して求められる。
エステル結合はカルボン酸エステルにおけるエステル結合(−COO−)を意味する。
エステル結合の数は、少なくとも4.0であり、4.0〜500が好ましく、さらに好ましくは4.0〜16.0、特に好ましくは4.0〜6.0である。この範囲であると、成形体強度及び無機繊維束の耐擦過性がさらに優れる。
エステル結合の数は、Mn及びエステル価から、次式により求められる。エステル結合の数はポリエステル(A)が混合物である場合、混合物の平均値であり、実数で表される。
エステル価は、「JIS K0070−1992 5.エステル価」に準拠して求められる。
ポリエステル(A)は、エポキシ基以外の官能基を有してもよい。
エポキシ基以外の官能基としては、カルボキシル基及びヒドロキシル基等が含まれる。
カルボキシル基の数は、0.0〜2.0が好ましく、さらに好ましくは0.0〜1.0、特に好ましくは0.0である。
ヒドロキシル基としては、1級ヒドロキシル基及び2級ヒドロキシル基が含まれる。
1級ヒドロキシル基の数は、0.0〜2.0が好ましく、さらに好ましくは0.0〜1.0、特に好ましくは0.0である。
2級ヒドロキシル基の数は、0.0〜12.0が好ましく、さらに好ましくは0.0〜6.0、特に好ましくは1.0〜2.0である。
ポリエステル(A)のMnは、1000〜100000が好ましく、さらに好ましくは2000〜50000、特に好ましくは3000〜30000である。この範囲であると、無機繊維束の耐擦過性及び成形体強度がさらに優れる。
ポリエステル(A)の100℃におけるブルックフィールド型粘度(以下、単に粘度と記載する。)(Pa・s)は、1〜1000が好ましく、さらに好ましくは5〜500、特に好ましくは10〜300である。この範囲であると、無機繊維束の耐擦過性及び成形体強度がさらに優れる。
粘度は、JIS K7117−1:1999(ISO2555:1990に対応)に準拠して、ブルックフィールド型粘度計(BH型)により測定される。
ポリエステル(A)のエポキシ基含有量(meq./g)は、0.01〜2が好ましく、さらに好ましくは0.02〜1、特に好ましくは0.07〜0.7である。この範囲であると、成形体強度がさらに優れる。
なお、エポキシ基含有量は、JIS K7236:2001(ISO3001:1999に対応)に準拠して求められるエポキシ当量から、次式により求められる。
ポリエステル(A)としては、ジカルボン酸またはその無水物(x1)とジエポキシド(y)とを構成単位としてなるポリエステル(A1)、ポリエステルジカルボン酸(x2)とジエポキシド(y)とを構成単位としてなるポリエステル(A2)、ポリエステルヒドロキシカルボン酸(v)とジエポキシド(y)とからなるポリエステル(A3)及びポリエステルジオール(z)とエピハロヒドリンとを構成単位としてなるポリエステル(A4)からなる群より選ばれる少なくとも1種等が含まれる。
ジカルボン酸またはその無水物(x1)としては、脂肪族ジカルボン酸(x11)、芳香族ジカルボン酸(x12)およびこれらの酸無水物等が含まれる。
脂肪族ジカルボン酸(x11)としては、鎖式飽和ジカルボン酸(x111)、鎖式不飽和ジカルボン酸(x112)、脂環式ジカルボン酸(x113)及びダイマー酸(x114)等が含まれる。
鎖式飽和ジカルボン酸(x111)としては、炭素数2〜20の直鎖又は分岐の鎖式飽和ジカルボン酸等が含まれ、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、ジメチルマロン酸、α−メチルグルタル酸、β−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、イコサンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等が含まれる。
鎖式不飽和ジカルボン酸(x112)としては、炭素数2〜20の直鎖又は分岐の鎖式不飽和ジカルボン酸等が含まれ、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等が含まれる。
脂環式ジカルボン酸(x113)としては、炭素数7〜14の脂環式ジカルボン酸等が含まれ、1,3−又は1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等が含まれる。
ダイマー酸(x114)としては、炭素数8〜24の鎖式不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)の二量体が含まれる。
芳香族ジカルボン酸(x12)としては、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸等が含まれ、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−および4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸カリウム等が含まれる。
これらのうち、成形体強度等の観点から、脂肪族ジカルボン酸(x11)及び芳香族ジカルボン酸(x12)が好ましく、さらに好ましくは鎖式飽和ジカルボン酸(x111)、特に好ましくはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びデカンジ酸、最も好ましくはアジピン酸及びセバシン酸である。
ジエポキシド(y)としては、ジグリシジルエーテル(y1)、ジグリシジルエステル(y2)、ジグリシジルアミン(y3)及び脂環式ジエポキシド(y4)などが含まれる。
ジグリシジルエーテル(y1)としては、2価フェノールのジグリシジルエーテル(y11)及び2価アルコールのジグリシジルエーテル(y12)が含まれる。
2価フェノールのジグリシジルエーテル(y11)としては、炭素数6〜30の2価フェノールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がジグリシジルエーテルであるもの等が含まれる。
2価フェノールとしては、ビスフェノール(ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS及びハロゲン化ビスフェノールA等)、カテキン、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルビフェニル及び9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロオレン等が含まれる。
2価アルコールのジグリシジルエーテル(y12)としては、炭素数2〜100のジオールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がジグリシジルエーテルであるもの等が含まれる。
2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド{以下、アルキレンオキシドをAOと略する;エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)及び/又はブチレンオキシド(BO)}(1〜20モル)付加物等が含まれる。
ジグリシジルエーテル(y1)に含まれる2価フェノール単位又は2価アルコール単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(2価フェノール単位又は2価アルコール単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。nは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルエーテル(y1)は、n=1〜10の混合物(重縮合度の異なる混合物等)でもよい。
ジグリシジルエステル(y2)としては、芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステル(y21)、及び脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステル(y22)等が含まれる。
芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステル(y21)としては、芳香族ジカルボン酸(x12)とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が含まれる。
脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステル(y22)としては、芳香族ジカルボン酸(x12)の芳香核水添加物(ヘキサヒドロフタル酸及び4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等)又は脂肪族ジカルボン酸(x11)とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が含まれる。
ジグリシジルエステル(y2)は、芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位と、エピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族ジカルボン酸単位又は脂肪族ジカルボン酸単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。
nは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルエステル(y2)は、n=1〜10の混合物でもよい。
ジグリシジルアミン(y3)としては、炭素数6〜20で、2〜4個の活性水素原子をもつ芳香族アミン(アニリン及びトルイジン等)とエピクロルヒドリンとの反応で得られるN−グリシジル化物(N,N−ジグリシジルアニリン及びN,N−ジグリシジルトルイジン等)等が含まれる。
ジグリシジルアミン(y3)は、芳香族アミン単位とエピクロルヒドリン単位とのモル比{(芳香族アミン単位):(エピクロルヒドリン単位)}は、n:n+1で表される。
nは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。ジグリシジルアミン(y3)は、n=1〜10の混合物でもよい。
脂環式ジエポキシド(y4)としては、炭素数6〜50で、エポキシ基の数2の脂環式エポキシド{ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等}が含まれる。
なお、ジエポキシド(y)としては、(y1)〜(y4)以外のものでも、ジカルボン酸またはその無水物(x1)、ポリエステルジカルボン酸(x2)又はポリエステルヒドロキシカルボン酸(v)と反応可能なエポキシ基をもつ化合物であれば使用できる。これらは、それぞれ単独でも2種以上を併用してもよい。
これらのうち、成形体強度等の観点から、ジグリシジルエーテル(y1)が好ましく、さらに好ましくは2価フェノールのジグリシジルエーテル(y11)、特に好ましくはビスフェノールのジグリシジルエーテル、最も好ましくはビスフェノールAのジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)である。
ポリエステルジカルボン酸(x2)としては、脂肪族ジカルボン酸(x11)とジオール(d)とから得られるポリエステルジカルボン酸(x21)及び芳香族ジカルボン酸(x12)とジオール(d)とから得られるポリエステルジカルボン酸(x22)等が含まれる。
なお、ポリエステルジカルボン酸(x2)の構成単位として、ラクトン(ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン及びδ−カプロラクトン等)及びヒドロキシ脂肪酸(リシノール酸及び12−ヒドロキシステアリン酸等)等を含有してもよい。
ジオール(d)としては、炭素数2〜36の脂肪族飽和ジオール(d1)、炭素数4〜36のポリアルキレングリコール(d2)、炭素数4〜36の脂環式ジオール(d3)、ジオールAO付加物(d4)及びポリアルカジエンジオール(d5)などが含まれる。
脂肪族飽和ジオール(d1)としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが含まれる。
ポリアルキレングリコール(d2)としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが含まれる。
脂環式ジオール(d3)としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが含まれる。
ジオールAO付加物(d4)としては、脂肪族飽和ジオール(d1)、脂環式ジオール(d3)またはビスフェノールのAO付加物(付加モル数1〜120)などが含まれる。
ポリアルカジエンジオール(d5)としては、ポリブタジエンジオールなどが含まれる。
ジオール(d)は、単独でも2種以上を併用してもよい。これらのうち、耐擦過性等の観点から、脂肪族飽和ジオール(d1)及びジオールAO付加物(d4)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族飽和ジオール(d1)、特に好ましくはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びネオペンチルグリコールである。
ポリエステルジカルボン酸(x2)は、脂肪族ジカルボン酸単位又は芳香族ジカルボン酸単位とジオール単位とのモル比{(脂肪族ジカルボン酸単位又は芳香族ジカルボン酸):(ジオール単位)}は、n+1:nで表される。
nは1〜249が好ましく、さらに好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜2である。ポリエステルジカルボン酸(x2)は、n=1〜249の混合物でもよい。
ポリエステルジカルボン酸(x2)のうち、耐擦過性等の観点から、ポリエステルジカルボン酸(x21)が好ましく、さらに好ましくは鎖式脂肪族飽和ジカルボン酸(x111)と脂肪族飽和ジオール(d1)とから得られるポリエステルジカルボン酸、特に好ましくは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びデカンジカルボン酸からなる群から選ばれるジカルボン酸と、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びネオペンチルグリコールからなる群から選ばれるジオールとから得られるポリエステルジカルボン酸である。
ポリエステルジカルボン酸(x2)のMnは、耐擦過性等の観点から、260〜99000が好ましく、さらに好ましくは300〜3000、特に好ましくは360〜2000、最も好ましくは400〜1000である。
ポリエステルヒドロキシカルボン酸(v)としては、脂肪族ジカルボン酸(x11)とジオール(d)とから得られるポリエステルヒドロキシカルボン酸(v1)、芳香族ジカルボン酸(x12)とジオール(d)とから得られるポリエステルヒドロキシカルボン酸(v2)及びポリヒドロキシ脂肪酸(v3)等が含まれる。
ポリヒドロキシ脂肪酸(v3)としては、ラクトン(ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン及びδ−カプロラクトン等)の開環重合物及びヒドロキシ脂肪酸(リシノール酸及び12−ヒドロキシステアリン酸等)の重縮合物等が含まれる。
ポリエステルヒドロキシカルボン酸(v1)及び(v2)は、脂肪族ジカルボン酸単位又は芳香族ジカルボン酸単位とジオール単位とのモル比{(脂肪族ジカルボン酸単位又は芳香族ジカルボン酸):(ジオール単位)}は、1:1で表される。
ポリエステルヒドロキシカルボン酸(v)のMnは、耐擦過性等の観点から、260〜99000が好ましく、さらに好ましくは300〜3000、特に好ましくは360〜2000、最も好ましくは400〜1000である。
ポリエステルジオール(z)としては、脂肪族ジカルボン酸(x11)とジオール(d)とから得られるポリエステルジオール(z1)及び芳香族ジカルボン酸(x12)とジオール(d)とから得られるポリエステルジオール(z2)等が含まれる。
ポリエステルジオール(z)は、脂肪族ジカルボン酸単位又は芳香族ジカルボン酸単位とジオール単位とのモル比{(脂肪族ジカルボン酸単位又は芳香族ジカルボン酸):(ジオール単位)}は、n:n+1で表される。
nは1〜249が好ましく、さらに好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜2である。ポリエステルジオール(z)は、n=1〜249の混合物でもよい。
これらのうち、耐擦過性等の観点から、ポリエステルジオール(z1)が好ましく、さらに好ましくは鎖式脂肪族飽和ジカルボン酸(x111)と脂肪族飽和ジオール(d1)から得られるポリエステルジオール、特に好ましくはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びデカンジカルボン酸からなる群から選ばれるジカルボン酸と、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、及びネオペンチルグリコールからなる群から選ばれるジオールとから得られるポリエステルジオールである。
ポリエステルジオール(z)のMnは、耐擦過性等の観点から、260〜99000が好ましく、さらに好ましくは300〜3000、特に好ましくは360〜2000、最も好ましくは400〜1000である。
エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン(α−エピクロルヒドリン)、エピブロモヒドリン(α−エピブロモヒドリン)及びエピヨードヒドリン(α−エピヨードヒドリン)等が含まれる。これらのうち、製造コスト等の観点から、エピクロルヒドリンが好ましい。
ポリエステル(A1)は、ジカルボン酸またはその無水物(x1)とジエポキシド(y)とを、モル比(x1/y)=1/1〜1/3(好ましくは1/1.3〜1/2.5、さらに好ましくは1/1.5〜1/2)で反応させること等により製造できる(たとえば、反応温度50〜250℃、圧力10MPa)。この反応には、触媒{第4級アンモニウム塩(塩化コリン等)及び水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム等)等}を用いてもよい。
ポリエステル(A2)は、ポリエステルジカルボン酸(x2)とジエポキシド(y)とを、モル比(x2/y)=1/1〜1/3(好ましくは1/1.3〜1/2.5、さらに好ましくは1/1.5〜1/2)で反応させること等により製造できる(たとえば、反応温度50〜250℃、圧力10MPa)。この反応には、触媒{第4級アンモニウム塩(塩化コリン等)及び水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム等)等}を用いてもよい。
ポリエステル(A3)は、ポリエステルヒドロキシカルボン酸(v)とジエポキシド(y)とを、モル比(v/y)=1/1〜1/1.5(好ましくは1/1〜1/1.2、さらに好ましくは1/1〜1/1.1)で反応させること等により製造できる(たとえば、反応温度50〜250℃、圧力10MPa)。この反応には、触媒{第4級アンモニウム塩(塩化コリン等)及び水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム等)等}を用いてもよい。
ポリエステル(A4)は、ポリエステルジオール(z)とエピハロヒドリンとを、モル比(z/エピハロヒドリン)=1/1〜1/2(好ましくは1/1.5〜1/2)で反応させること等により製造できる(たとえば、反応温度10〜100℃、圧力2MPa)。この反応には、触媒{第4級アンモニウム塩(塩化コリン等)及び水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム等)等}を用いてもよい。
これらのうち、耐擦過性及び成形体強度等の観点から、ポリエステル(A1)、ポリエステル(A2)及びポリエステル(A3)が好ましく、さらに好ましくはポリエステル(A2)及びポリエステル(A3)、特に好ましくはポリエステル(A2)である。
本発明の集束剤は、ポリエステル(A)以外に、その他の樹脂(B)及び乳化剤(C)の少なくとも一方を含有してもよい。
その他の樹脂(B)を含有すると、成形体強度がさらに優れる。
乳化剤(C)を含有すると、無機繊維に付着した集束剤が平滑になり易いため、無機繊維束の耐擦過性および開繊性がさらに優れる。
その他の樹脂(B)のMnは、200〜10000が好ましく、さらに好ましくは350〜3000、特に好ましくは380〜2500である。この範囲であると、成形体強度がさらに優れる。
その他の樹脂(B)としては、熱可塑性樹脂(B1)及び熱硬化性樹脂(B2)が含まれる。
熱可塑性樹脂(B1)としては、国際公開第03/09015号パンフレット又は国際公開第04/067612号パンフレット等に記載の熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及びアクリル樹脂等)等が含まれる。
熱硬化性樹脂(B2)としては、エステル結合を0〜3個持つエポキシ樹脂、(メタ)アクリレート変性樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が含まれる。なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及びアクリレートを意味する。
エステル結合を0〜3個持つエポキシ樹脂としては、ジエポキシド(y)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びエポキシ化不飽和脂肪酸トリグリセリド(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ナタネ油等)等が含まれる。
(メタ)アクリレート変性樹脂としては、(メタ)アクリレート変性熱可塑性樹脂及びビニルエステル樹脂が含まれる。
(メタ)アクリレート変性熱可塑性樹脂としては、アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂{国際公開第03/09015号パンフレット又は国際公開第04/067612号パンフレット等に記載のポリウレタン、ポリエステル及びポリエーテル(ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコール等)等}の水酸基を(メタ)アクリル酸で変性した変性物等が含まれ、ポリウレタン(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレート及びポリエーテル(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレート等が含まれる。なお、(ジ−/モノ−)(メタ)アクリレートとは、ジ(メタ)アクリレート及びモノ(メタ)アクリレートを意味する。
ビニルエステル樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂(メタ)アクリレート変性物{ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基とが反応して得られる末端(メタ)アクリレート変性樹脂等}等が含まれる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、α,β−不飽和ジカルボン酸{鎖式不飽和ジカルボン酸(x112)等}及び/又は飽和ジカルボン酸{鎖式飽和ジカルボン酸(x111)及び脂環式ジカルボン酸(x113)等}とジオール{ジオール(d)等}との縮合物等{例えば、フマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのEO付加物との縮合物、フマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのPO付加物との縮合物及びフマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのEO及びPO付加物(EO及びPOの付加は、ランダムでもブロックでもよい)との縮合物等}が含まれる。
その他の樹脂(B)としては、成形体強度の観点から、熱硬化性樹脂(B2)が好ましく、さらに好ましくはエステル結合を0〜3個持つエポキシ樹脂、(メタ)アクリレート変性樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂、特に好ましくはジエポキシド(y)、フマル酸とビスフェノールAのEO付加物との縮合物及びマレイン酸とビスフェノールAのEO付加物との縮合物である。
その他の樹脂(B)を含有する場合、その他の樹脂(B)の含有量(重量%)はポリエステル(A)の重量に基づいて、10〜400が好ましく、さらに好ましくは15〜100、特に好ましくは30〜50である。
乳化剤(C)としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤等の公知の界面活性剤(特開2006−124877号公報、国際公開第03/37964号パンフレット等)が含まれる。これらは2種以上を併用してもよい。
なお、乳化剤(C)としては、上記公知文献に記載されているもの以外に、多価(2〜8価)アルコール(炭素数2〜6;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタン等)のAO付加物{重量平均分子量(以下、Mw)500〜100000}、アルキルフェノール(炭素数10〜20)のAO付加物(Mw500〜5000)の硫酸エステル塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等)、アリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14〜62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15〜61)等}のAO付加物(Mw500〜5000)の硫酸エステル塩等が含まれる。
なお、乳化剤(C)において、AOとしては、EO、又はEOとPO及びBOの少なくとも一方とからなる。PO及びBOの少なくとも一方を含む場合、ランダム付加物、ブロック付加物及びこれらの混合付加物が含まれる。
乳化剤(C)のうち、アニオン界面活性剤、非イオン活性剤及びアニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤との混合物が好ましく、さらに好ましくはアルキルフェノールのAO付加物、アリールアルキルフェノールのAO付加物、アルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩、アリールアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物、特に好ましくはアリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物及びアリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物である。
乳化剤(C)を含有する場合、乳化剤(C)の含有量(重量%)は、耐擦過性及び開繊性等の観点から、ポリエステル(A)の重量に基づいて、25〜300が好ましく、さらに好ましくは30〜70、特に好ましくは33〜50である。
本発明の集束剤には、さらに水性媒体を含有してもよい。
水性媒体を含有すると、無機繊維へのポリエステル(A)の付着量を適量にすることが容易であるため、成形体としたときの強度がさらに優れる無機繊維束を得ることができる。
水性媒体としては、公知の水性媒体(特開2002−241241号公報及び欧州特許出願公開第1190697号明細書等)が含まれる。これらは2種以上を併用してもよい。
これらのうち、安全性等の観点から、水及び親水性有機溶媒と水との混合溶媒が好ましく、さらに好ましくは水である。
水性媒体を含有する場合、集束剤の形態は特に制限されず、水溶液及びエマルション等が含まれる。コスト等の観点から、流通時は高濃度の水溶液又はエマルション、無機繊維束の製造時は低濃度の水溶液又はエマルションが好ましい。すなわち、高濃度の水溶液又はエマルションとして流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度の水溶液又はエマルションで無機繊維を処理することで、優れた成形体強度を与える無機繊維束を製造できる。低濃度の水溶液又はエマルションは、高濃度の水溶液又はエマルションを水性媒体で希釈することで容易に製造できる。
高濃度の水溶液又はエマルションの場合、保存安定性等の観点から、水性媒体の含有量(重量%)は、ポリエステル(A)の重量に基づいて、150〜1500が好ましく、さらに好ましくは170〜500、特に好ましくは188〜375である。
低濃度の水溶液又はエマルションの場合、無機繊維束の製造時に集束剤の付着量を適量にする観点等から、水性媒体の含有量(重量%)は、ポリエステル(A)の重量に基づいて、4000〜150000が好ましく、さらに好ましくは4500〜50000、特に好ましくは5000〜40000である。
本発明の集束剤には、公知の添加剤(特開2006−124877号公報等に記載の平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤等)を含有してもよい。
添加剤を含有する場合、添加剤の含有量(重量%)は、ポリエステル(A)の重量に基づいて、1〜100が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜20である。
本発明の集束剤の酸価(mgKOH/g)は、0〜5が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、無機繊維束の風合いの経日変化が少ないため好ましい。
なお、酸価は、固形分{固形分はポリエステル(A)と、必要によりその他の樹脂(B)及び/又は乳化剤(C)とからなり、水性媒体を含有しない。以下同様。}の酸価であり、「JIS K0070−1992 3.1中和滴定法」に準拠して測定できる。
集束剤が水性媒体を含有する場合、水性媒体を除去してから測定してもよいが、水性媒体を含有したまま測定した酸価(av)と水性媒体の含有量(重量%)とから、式{100×av/(100−水性媒体の含有量)}で求めることができる。
水性媒体の含有量(重量%)は、集束剤2〜3gを130℃で重量変化がなくなるまで(約45分間)乾燥し、その前後の重量変化から求められる。
試料が酸価を測定するための溶剤(ジエチルエーテル/エタノール)に溶解しない場合、溶剤としてアセトンを用いることができる。
本発明の集束剤のエポキシ基含有量(meq/g)は、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.5〜2.5である。この範囲であると、無機繊維束の風合いの経日変化が少ないため好ましい。集束剤のエポキシ基含有量は、集束剤中の固形分のエポキシ基含有量である。
本発明の集束剤に水性媒体を含有せず、ポリエステル(A)と、その他の樹脂(B)、乳化剤(C)及び/又は添加剤とを含有する場合、集束剤は、これらを均一混合することで製造できる。
均一混合温度(℃)に制限がないが、10〜180が好ましく、さらに好ましくは40〜150、特に好ましくは60〜150である。この範囲であると、混合性が優れる。
混合装置に制限はなく、撹拌羽根(羽根形状:カイ型、三段パドル等)、ナウターミキサー、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能混合機(万能混合攪拌機5DM−L、株式会社三英製作所製等)及びヘンシェルミキサー等が使用できる。
本発明の集束剤が水性媒体を含有する場合、以下の製造方法が適用できる。
(1):ポリエステル(A)が、水性媒体に溶解又は自己乳化しない場合。
(1−1):ポリエステル(A)、乳化剤(C)、及び必要によりその他の樹脂(B)、添加剤を、水性媒体に20〜60℃で投入しながら乳化分散する方法。
(1−2):ポリエステル(A)、乳化剤(C)及び必要によりその他の樹脂(B)、添加剤からなる混合物を20〜90℃に調整し、この中に、水性媒体を投入しながら乳化分散する方法。
(2):ポリエステル(A)が水性媒体に溶解又は自己乳化する場合。
(2−1):ポリエステル(A)、及び必要によりその他の樹脂(B)、乳化剤(C)、添加剤を、水性媒体に20〜60℃で投入しながら乳化分散する方法。
本発明の集束剤を適用できる無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維等の公知の無機繊維(国際公開第03/47830号パンフレット等)が含まれ、成形体強度の観点から、好ましくは炭素繊維である。
本発明の無機繊維束は、これらの無機繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種を、上記の集束剤で処理して得られる(無機繊維3000〜3万本程度を束ねた繊維束)。
無機繊維の処理方法としては、スプレー法又は浸漬法等が挙げられる。
無機繊維上へのポリエステル(A)の付着量(重量%)は、無機繊維の重量に基づいて、0.05〜5が好ましく、さらに好ましくは0.2〜2.5である。この範囲であると、成形体強度がさらに優れる。
無機繊維製品は、無機繊維束を加工して繊維製品としたものであり、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
プレプリグは、無機繊維束又は無機繊維製品とマトリックス樹脂とからなる。必要により、触媒を含有してもよい。触媒を含有すると、成形体強度がされに優れる。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂(国際公開第03/09015号パンフレット等)が含まれ、好ましくはその他の樹脂(B)、さらに好ましくは熱硬化性樹脂(B2)、特に好ましくはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂である。
触媒としては、公知(特開2005−213337号公報、国際公開第WO97/28210号パンフレット等)のエポキシ樹脂用硬化剤及び硬化促進剤等が含まれる。
マトリックス樹脂と無機繊維束との重量比(マトリックス樹脂/無機繊維束)は、成形体強度等の観点から、10/90〜90/10が好ましく、さらに好ましくは20/80〜70/30、特に好ましくは30/70〜60/40である。
触媒を含有する場合、触媒の含有量(重量%)は、成形体強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは1〜3である。
プリプレグは、熱溶融(溶融温度:60〜150℃)したマトリックス樹脂、又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈したマトリックス樹脂を、無機繊維束(無機繊維製品でもよい)に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去するのが好ましい。
成形体は、プレプリグを成形・硬化して得られる。成形体の硬化とは、マトリックス樹脂の加熱硬化(部分硬化を含む)及び/又はマトリックス樹脂の冷却による固化等を意味する。
加熱成形の方法は特に限定されず、例えばフィラメントワイディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成型法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)、及びチョップドファイバーもしくはミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法などが挙げられる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、特に記載がない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
Mnは、以下の条件によりGPCで測定した。
機種 :HLC−8220GPC(東ソー株式会社製液体クロマトグラフ)
カラム :TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器 :RI(Refractive Index)
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25重量%
注入量 :10μl
標準 :ポリスチレン
(東ソー株式会社製;TSK STANDARD
POLYSTYRENE)
粘度は、以下の条件で2回測定した平均値とした。
機種 :BH型粘度計 TVB−10H(東機産業社製)
ローター回転数:4rpm
測定温度 :100℃
ローター :下表
エポキシ基含有量は、JIS K7236:2001(ISO3001:1999に対応)に準じた以下の方法で測定した。なお、用いた薬品はすべて試薬特級である。
(1)臭化テトラエチルアンモニウム100gを酢酸400mlに溶解させる。
(2)試料を秤取し、クロロホルム30mlに溶解させる。これに酢酸20mlを加え、ホールピペットで(1)の臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10mlを加え、さらに、クリスタルバイオレット指示薬4〜6滴を加え、よく振とうし均一化させる。
(3)(2)の液を0.1mol/L過塩素酸酢酸溶液で滴定する。この操作を2回行い、空試験も行う。エポキシ基含有量は下記式にて算出した値の平均値を用いた。
エポキシ基含有量(meq/g)=(V1−V0)×f×0.1/m
V1:サンプルの滴定量(ml)、V0:空試験の滴定量(ml)、f:0.1mol/L過塩素酸酢酸溶液のファクター、m:サンプル評取量(g)
酸価は、溶剤としてアセトンを用いた他は、「JIS K0070−1992 3.1中和滴定法」に記載の方法により測定した。
エステル結合数は、Mn及び「JIS K0070−1992 5.エステル価」に準拠して求めたエステル価から、次の計算式により求めた。
(エステル結合数)=(エステル価)×Mn/56100
製造例1[ポリエステル(a1)の合成]
テレフタル酸3320部、エチレングリコール1240部(酸/アルコール=1/1モル比)及びパラトルエンスルホン酸1部を、ガラス反応容器中で200℃で水を減圧下(650Pa)留去しながら15時間反応させてポリエステルヒドロキシカルボン酸(PE1)(Mn=3880)を得た。これにエポキシ樹脂(1)(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製 エピコート828、Mn=380)380部を加え(酸/エポキシ=1/1モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a1)4240部を得た。Mnが4240、100℃における粘度が22Pa・s、エポキシ基含有量が0.24meq/g、エポキシ基の数1.0、エステル結合数は40.7個であった。
製造例2[ポリエステル(a2)の合成]
ジオール(1)(ビスフェノールA1モル部に対してEO2モル部が付加したビスフェノールAエチレンオキシド付加物、三洋化成工業株式会社製 ニューポールBPE−20)948部、フマル酸464部(酸/アルコール=4/3モル比)及びパラトルエンスルホン酸1部を、ガラス反応容器中で窒素流通下160℃で水を留去しながら15時間反応させポリエステルジカルボン酸(PE2)(Mn=1300)を得た。これにエポキシ樹脂(1)570部を加え(酸/エポキシ=2/3モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a2)3750部を得た。Mnが3750、100℃における粘度が73Pa・s、エポキシ基含有量が0.53meq/g、エポキシ基の数2.0、エステル結合数は15.7個であった。
製造例3[ポリエステル(a3)の合成]
セバシン酸475部、ネオペンチルグリコール104部(酸/アルコール=2.35/1モル比)及びパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.2部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら10時間反応させポリエステルジカルボン酸(PE3)(Mn=402)を得た。これにエポキシ樹脂(2)(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製 エピコート834、Mn=470)900部を加え(カルボン酸/エポキシ=3/4モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a3)1443部を得た。Mnが3200、100℃における粘度が42Pa・s、エポキシ基含有量が0.62meq/g、エポキシ基の数2.0、エステル結合数は10.7個であった。
製造例4[ポリエステル(a4)の合成]
アジピン酸522部、エチレングリコール124部(酸/アルコール=3.75/2モル比)及びパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.2部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら10時間反応させポリエステルジカルボン酸(PE4)(Mn=402)を得た。これにエポキシ樹脂(2)951部を加え(カルボン酸/エポキシ=3/4モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a4)1524部を得た。Mnが3200、100℃における粘度が57Pa・s、エポキシ基含有量が0.63meq/g、エポキシ基の数2.0、エステル結合数は12.6個であった。
製造例5[ポリエステル(a5)の合成]
フマル酸290部、ジオール(1)787部(酸/アルコール=1.004/1モル比)及びパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.2部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら10時間反応させポリエステルジカルボン酸(PE5)(Mn=99000)を得た。これにエポキシ樹脂(1)7.6部を加え(カルボン酸/エポキシ=1/2モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a5)995部を得た。Mnが100000、100℃における粘度が980Pa・s、エポキシ基含有量が0.02meq/g、エポキシ基の数2.0、エステル結合数は496個であった。
製造例6[ポリエステル(a6)の合成]
アジピン酸292部、ネオペンチルグリコール104部(酸/アルコール=2/1モル比)及びパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.1部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら10時間反応させポリエステルジカルボン酸(PE6)(Mn=360)を得た。これにエポキシ樹脂(1)760部を加え(カルボン酸/エポキシ=1/2モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a6)1120部を得た。Mnが1100、100℃における粘度が1.1Pa・s、エポキシ基含有量が1.8mq/g、エポキシ基の数2.0、エステル結合数は4.1個であった。
製造例7[ポリエステル(a7)の合成]
アジピン酸348部、ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製 PEG−400、Mn=400)800部(酸/アルコール=3/2モル比)及びパラトルエンスルホン酸0.3部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら10時間反応させポリエステルジカルボン酸(PE7)(Mn=1100)を得た。これにエポキシ樹脂(3)(ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製 デナコールEX−850)436部を加え(カルボン酸/エポキシ=1/2モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a7)1450部を得た。Mnが1500、100℃における粘度が1.3Pa・s、エポキシ基含有量が1.3meq/g、エポキシ基の数2.0、エステル結合数は5.9個であった。
製造例8[ポリエステル(a8)の合成]
セバシン酸475部、ネオペンチルグリコール104部(酸/アルコール=2.35/1モル比)及びパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.2部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら10時間反応させポリエステルジカルボン酸(PE8)(Mn=402)を得た。これにエポキシ樹脂(2)645部を加え(カルボン酸/エポキシ=1/1モル比)、140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a8)1002部を得た。Mnが162000、100℃においても流動性は無く(1000Pa・sより大きい)、エポキシ基含有量が0.012meq/g、エポキシ基の数1.9、エステル結合数は510個であった。
製造例9[ポリエステル(a9)の合成]
エポキシ樹脂(2)1410部、セバシン酸404部(酸/エポキシ=1/1.5モル比)及びパラトルエンスルホン酸2部を、ガラス反応容器中で10時間反応させ、ポリエステル(a9)1800部を得た。Mnが1800、100℃における粘度が5.8Pa・s、エポキシ基含有量が1.0meq/g、エポキシ基の数1.8、エステル結合数は4.2個であった。
製造例10[ポリエステル(a10)の合成]
アジピン酸730部、ネオペンチルグリコール624部(酸/アルコール=1/1.2モル比)及びパラトルエンスルホン酸1部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら10時間反応させ、ポリエステルジオール1170部を得た。これにメチルエチルケトン1000部及びエピクロルヒドリン280部を加え25℃で撹拌して溶液とし、30℃に温調して、撹拌しながら、粒状の水酸化ナトリウム(試薬特級、ナカライテスク株式会社)を30分間隔で25部ずつ合計100部加えて反応させた。ここに1500部の水を加え静置分液し、下層を除去した。減圧下(650Pa)150℃で、過剰のエピクロルヒドリンおよびメチルエチルケトンを留去し、ポリエステル(a10)1200部を得た。Mnが1200、100℃における粘度が2.3Pa・s、エポキシ基含有量が1.5meq/g、エポキシ基の数1.8、エステル結合数は10.3個であった。
製造例11[不飽和ポリエステル樹脂(1)の合成]
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(1)1264部、フマル酸348部(酸/アルコール=3/4モル比)及びパラトルエンスルホン酸1部を、ガラス反応容器中で窒素流通下160℃で水を留去しながら12時間反応させ、不飽和ポリエステル樹脂(1)(Mn=1500)1504部を得た。
実施例1
ポリエステル(a1)600部、エポキシ樹脂(1)200部及び乳化剤(1)(スチレン化フェノールのPO及びEO付加物、ローディア日華社製 Soprophor 796/P)200部を、万能混合機(株式会社三英製作所製 万能混合攪拌機)中で80℃で30分間、均一混合して集束剤(1)を得た。集束剤(1)のエポキシ基含有量が1.2meq/g、酸価が0.3mgKOH/gであった。
この集束剤(1)の中に合計1500部の水を6時間かけて滴下し、2500部の本発明の集束剤(S1)を得た(外観:白色エマルション)。
実施例2
ポリエステル(a1)を600部をポリエステル(a1)400部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)400部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(2)及び集束剤(S2)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(2)のエポキシ基含有量が2.2meq/g、酸価が0.2mgKOH/gであった。
実施例3
ポリエステル(a1)400部、エポキシ樹脂(1)200部、乳化剤(1)200部及び不飽和ポリエステル樹脂(1)200部を、万能混合機中で80℃で30分間撹拌し、均一化して集束剤(3)を得た。集束剤(3)のエポキシ基含有量が1.2meq/g、酸価が0.2mgKOH/gであった。
この集束剤(3)の中に合計1500部の水を6時間かけて滴下し、2500部の本発明の集束剤(S3)を得た(外観:白色エマルション)。
実施例4
ポリエステル(a1)400部をポリエステル(a1)100部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)400部に替え、不飽和ポリエステル樹脂(1)200部を不飽和ポリエステル樹脂(1)400部に替え、乳化剤(1)200部を乳化剤(1)100部に替えた以外は実施例3と同様にして、集束剤(4)及び集束剤(S4)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(4)のエポキシ基含有量が2.1meq/g、酸価が0.05mgKOH/gであった。
実施例5
ポリエステル(a1)800部及び乳化剤(1)200部を、万能混合機中で80℃で30分間撹拌し、均一化して集束剤(5)を得た。集束剤(5)のエポキシ基含有量が0.2meq/g、酸価が0.4mgKOH/gであった。
この集束剤(5)の中に合計1500部の水を6時間かけて滴下し、2500部の本発明の集束剤(S5)を得た(外観:白色エマルション)。
実施例6
ポリエステル(a1)をポリエステル(a2)に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(6)及び集束剤(S6)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(6)のエポキシ基含有量が1.4meq/g、酸価が0.9mgKOH/gであった。
実施例7
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a2)400部に替え、エポキシ樹脂(1)200部を400部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(7)及び集束剤(S7)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(7)のエポキシ基含有量が2.3meq/g、酸価が0.6mgKOH/gであった。
実施例8
ポリエステル(a1)をポリエステル(a2)に替えた以外は実施例3と同様にして、集束剤(8)及び集束剤(S8)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(8)のエポキシ基含有量が1.3meq/g、酸価が0.6mgKOH/gであった。
実施例9
ポリエステル(a1)をポリエステル(a3)に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(9)及び集束剤(S9)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(9)のエポキシ基含有量が1.4meq/g、酸価が1.8mgKOH/gであった。
実施例10
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a3)400部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)400部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(10)及び集束剤(S10)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(10)のエポキシ基含有量が2.4meq/g、酸価が1.2mgKOH/gであった。
実施例11
ポリエステル(a1)をポリエステル(a3)に替えた以外は実施例3と同様にして、集束剤(11)及び集束剤(S11)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(11)のエポキシ基含有量が1.3meq/g、酸価が1.2mgKOH/gであった。
実施例12
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a3)300部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)500部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(12)及び集束剤(S12)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(12)のエポキシ基含有量が2.8meq/g、酸価が0.9mgKOH/gであった。
実施例13
ポリエステル(a1)をポリエステル(a4)に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(13)及び集束剤(S13)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(13)のエポキシ基含有量が1.4meq/g、酸価が4.8mgKOH/gであった。
実施例14
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a4)400部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)400部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(14)及び集束剤(S14)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(14)のエポキシ基含有量が2.4meq/g、酸価が3.2mgKOH/gであった。
実施例15
ポリエステル(a1)をポリエステル(a4)に替えた以外は実施例3と同様にして、集束剤(15)及び集束剤(S15)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(15)のエポキシ基含有量が1.3meq/g、酸価が3.2mgKOH/gであった。
実施例16
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a5)200部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)600部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(16)及び集束剤(S16)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(16)のエポキシ基含有量が2.1meq/g、酸価が0.04mgKOH/gであった。
実施例17
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a6)100部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)800部に替え、乳化剤(1)200部を乳化剤(1)100部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(17)及び集束剤(S17)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(17)のエポキシ基含有量が4.4meq/g、酸価が0.25mgKOH/gであった。
実施例18
ポリエステル(a1)800部をポリエステル(a6)900部に替え、乳化剤(1)200部を乳化剤(1)100部に替えた以外は実施例5と同様にして、集束剤(18)及び集束剤(S18)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(18)のエポキシ基含有量が1.6meq/g、酸価が2.3mgKOH/gであった。
実施例19
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a6)700部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)100部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(19)及び集束剤(S19)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(19)のエポキシ基含有量が1.8meq/g、酸価が1.8mgKOH/gであった。
実施例20
ポリエステル(a7)を集束剤(20)とした。集束剤(20)1000部及び水1500部を、万能混合機中で80℃で30分間撹拌し、均一化して本発明の集束剤(S20)(外観:微濁水溶液)を得た。ポリエステル(a7)の酸価が0.3mgKOH/gであった。
実施例21
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a7)900部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(3)100部に替え、乳化剤(1)を使用しない以外は実施例1と同様にして、集束剤(21)及び集束剤(S21)(外観:微濁水溶液)を得た。集束剤(21)のエポキシ基含有量が1.7meq/g、酸価が0.3mgKOH/gであった。
実施例22
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a8)400部に替え、エポキシ樹脂(1)200部をエポキシ樹脂(1)400部に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(22)及び集束剤(S22)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(22)のエポキシ基含有量が2.1meq/g、酸価が0.04mgKOH/gであった。
実施例23
ポリエステル(a1)をポリエステル(a9)に替え、エポキシ樹脂(1)をエポキシ樹脂(2)に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(23)及び集束剤(S23)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(23)のエポキシ基含有量が0.6meq/g、酸価が0.9mgKOH/gであった。
実施例24
ポリエステル(a1)をポリエステル(a10)に替え、エポキシ樹脂(1)をエポキシ樹脂(2)に替えた以外は実施例1と同様にして、集束剤(24)及び集束剤(S24)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(24)のエポキシ基含有量が0.9meq/g、酸価が0.1mgKOH/gであった。
比較例1
特許文献1(特開平9−31851号公報)の実施例「試験区分1」に記載の集束剤稀釈液を作製し、比較用の集束剤(T1)とした。すなわち、
エチレングリコール/パルミトレイン酸/ステアリン酸=1/1.8/0.2(モル比)=31部/231部/29部の混合物を、ガラス反応容器中で窒素流通下100℃で溶融した後、パラトルエンスルホン酸0.4部を加え、120℃で減圧下(260Pa)4時間反応させた。次いで窒素流通下105℃で常圧に戻し、吸着剤(協和化学(株)製 キョーワード1000)を添加して触媒を吸着させ、吸着剤を濾過することで触媒を除去し、エステル化合物(Mn=550、100℃における粘度0.01Pa・s、エポキシ基含有量0meq/g、エステル結合数1.9個)を得た。このエステル化合物6部、エポキシ樹脂(1)6部、エポキシ化1,2−ポリブタジエン(エポキシ当量500、エステル結合数0個)69部、及びポリオキシエチレン(25モル)トリベンジルフェノールEO(25モル)付加物15部を、90℃で溶融混合した後、40℃に冷却して集束剤(H1)を得た。40℃の水460部をこの混合物{集束剤(H1)}に撹拌下2時間かけて添加して比較用の集束剤(T1)(外観:白色エマルション)を得た。集束剤(H1)のエポキシ基含有量が1.8meq/g、酸価が0.02mgKOH/gであった。
比較製造例1[ポリエステル(a11)の合成]
フマル酸116部、エポキシ樹脂(2)760部(カルボン酸/エポキシ=1/2モル比)を、ガラス反応容器中で140℃で5時間反応させ、ポリエステル(a11)876部を得た。Mnが880、100℃における粘度が0.3Pa・s、エポキシ基含有量が2.3meq/g、エポキシ基の数2.0、エステル結合数は1.9個であった。
比較例2
ポリエステル(a1)600部をポリエステル(a11)400部に替え、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)200部を400部に替えた以外は実施例1と同様にして、比較用の集束剤(H2)及び集束剤(T2)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(H2)のエポキシ基含有量が3.0meq/g、酸価が6.0mgKOH/gであった。
比較製造例2[ポリエステル(a12)の合成]
セバシン酸202部、ジオール(1)316部(酸/アルコール=1/1モル比)及びパラトルエンスルホン酸1部を、ガラス反応容器中で窒素流通下150℃で水を留去しながら3時間反応させ、酸価が113になった時点で冷却し反応を終了させてエステル500部を得た。ここにε−カプロラクトン148部(エステル/ε−カプロラクトン=1/1.3モル比)、テトラブチルチタネート0.5部を加え、180℃で2時間反応させ、酸価が87になった時点で冷却し反応を終了させ、ポリエステル648部を得た。ここにエポキシ樹脂(2)470部(ポリエステル/エポキシ樹脂=1/1モル比)を加え、150℃で10時間反応させ、ポリエステル(a12)1100部を得た。Mnが1100、100℃における粘度が1.0Pa・s、エポキシ基含有量が0.8meq/g、エポキシ基の数0.9、エステル結合数は3.3個であった。
比較例3
ポリエステル(a1)をポリエステル(a12)に替え、エポキシ樹脂(1)をエポキシ樹脂(2)に替えた以外は実施例1と同様にして、比較用の集束剤(H3)及び集束剤(T3)(外観:白色エマルシヨン)を得た。集束剤(H3)のエポキシ基含有量が0.5meq/g、酸価が0.8mgKOH/gであった。
集束剤(S1)〜(S24)及び集束剤(T1)〜(T3)を、集束剤中の有効成分{集束剤(1)〜(24)、及び(H1)〜(H3)}の含有量が1.5%になるように水で希釈し、炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12000本)を浸漬して集束剤を含浸させ、150℃で3分間熱風乾燥させて得られた炭素繊維束(1)について、開繊性、耐擦過性およびマトリックス樹脂との接着性(層間剪断強度)について評価した。集束剤の組成を表2に、評価結果を表3に示す。
<開繊性>
表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を50mm間隔でそれぞれ平行にかつ炭素繊維束が120度の角度で接触しながら通過するようにジグザグに配置した(図1)。このステンレス棒間に炭素繊維束(1)をジグザグにかけ、巻取ロールと巻出ロールとの間の張力1000g、速度3m/分で炭素繊維束(1)を巻出ロールから巻取ロールへ巻き取り、5本のステンレス棒を通過した後の、炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した{浅野機械製作所製 糸走行試験装置を使用した}。数値が大きいほど、開繊性が優れている。
<耐擦過性>
張力を300gとした以外は、開繊性と同様にして炭素繊維束(1)を巻取ロールに巻き取った。そして、5本のステンレス棒を通過した後に、繊維束上面の1mm上を通るように水平にレーザー光線を照射する。レーザー光線を遮蔽する回数から発生した毛羽個数をカウントし、個/mで測定する。数値が小さいほど、耐擦過性が優れている。
<層間剪断強度(ILSS)の評価>
炭素繊維束(1)を一方向に引き揃えて(繊維の向きを一方向に並べて)金型(縦10cm×横10cm、厚さ2.5mm)に入れ、これにビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ当量190)/BF3モノエチルアミン塩=100/3部に調合したマトリックス樹脂を加えて減圧(650Pa)下で含浸する。このとき繊維の体積含有率が60%となるように炭素繊維束の量を調節する。含浸後、150℃、1時間加圧下(0.49MPa)で硬化させ、さらに140℃、そのままの圧力で4時間硬化させる。こうして得た硬化物をダイヤモンドカッターで切断して、厚さ2.5mm、幅6.0mm、長さ12mmのテストピースについてASTM D−2344に従って層間剪断強度(ILSS)を測定した。数値が大きいほど、層間剪断強度が優れている。なお、層間剪断強度が優れていると、成形体強度が優れる。
本発明の無機繊維用集束剤は、従来の集束剤に比べて成形体強度(層間剪断強度)が優れる。さらに、開繊性及び耐擦過性も良好である。
比較例1の結果から、エステル結合の数が0であるポリエポキシドは、エステルと併用しても成形体強度が不十分である。
比較例2〜3の結果から、エステル結合及びエポキシ基を有するポリエステルであっても、エステル結合の数が4.0未満(1.9又は3.3)であると、耐擦過性及び成形体強度が不十分である。
本発明の無機繊維用集束剤で処理して得られる無機繊維束、及びそれを加工してなる無機繊維製品は、耐擦過性および開繊性に優れ、かつマトリックス樹脂との親和性が良好であることから、高強度の成形体に好適である。この成形体は各種の土木・建築用材料、輸送機用材料、スポーツ用品材料、発電装置用材料などとして好適に使用できる。
開繊性及び耐擦過性の評価に使用した糸走行試験装置を模式的に示した断面図である。
符号の説明
1.ステンレス棒
2.巻出ロール
3.巻取ロール
4.無機繊維束
5.開繊性及び耐擦過性の測定位置(レーザー照射位置)

Claims (10)

  1. エポキシ基の数が1.0〜2.0、エステル結合の数が少なくとも4.0であるポリエステル(A)を含有する無機繊維用集束剤。
  2. ポリエステル(A)の数平均分子量が1000〜100000であり、ポリエステル(A)の100℃におけるブルックフィールド型粘度が1〜1000Pa・sである請求項1に記載の集束剤。
  3. ポリエステル(A)が、ジカルボン酸またはその無水物(x1)とジエポキシド(y)とを構成単位としてなるポリエステル(A1)、ポリエステルジカルボン酸(x2)とジエポキシド(y)とを構成単位としてなるポリエステル(A2)、ポリエステルヒドロキシカルボン酸(v)とジエポキシド(y)とからなるポリエステル(A3)及びポリエステルジオール(z)とエピハロヒドリンとを構成単位としてなるポリエステル(A4)からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の集束剤。
  4. さらに、その他の樹脂(B)及び乳化剤(C)の少なくとも一方を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の集束剤。
  5. さらに、水性媒体を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の集束剤。
  6. ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機繊維を、請求項1〜5のいずれかに記載の集束剤で処理して得られる無機繊維束。
  7. 請求項6に記載の無機繊維束からなる無機繊維製品。
  8. 請求項6に記載の無機繊維束、または請求項7に記載の無機繊維製品と、熱硬化性樹脂とからなるプリプレグ。
  9. 請求項8に記載のプリプレグを成形・硬化してなる成形体。
  10. ポリエステルジカルボン酸(x2)とジエポキシド(y)とをモル比{(x2)/(y)}1/1〜1/2で反応させてエポキシ基の数が1.0〜2.0、エステル結合の数が少なくとも4.0であるポリエステル(A)を得る工程を含む集束剤の製造方法。
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