JP2019157465A - ガス生産システム、及びガス生産方法 - Google Patents
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Abstract
Description
天然ガスハイドレートは、メタン分子を水分子が籠状に取り囲んだ結晶構造を有する包接化合物である。天然ガスハイドレートは、低温、高圧の環境下で、固体の状態で存在し、このような環境を満たす、深海の海底の表層や海底面下の地層中に安定して存在している。
減圧法では、具体的に、天然ガスを海底から海上に向けて運ぶ管(ライザー管)を用いて、管内の海水を排出することで液面を下げ、ライザー管内の海水の圧力を、天然ガスハイドレートを含んだ海底内の地層(ハイドレート層)に作用させ、分解させる。天然ガスハイドレートが分解して生成した天然ガスは、液体と混ざり合った混相流(気液混合物)としてライザー管内の海水に取り込まれる。混相流を取り込んだ海水は、ライザー管内で、天然ガスと海水とに分離され(気液分離され)、それぞれ海上に排出される。
気泡がポンプに進入すると、ポンプによる液体の排出量が変動し易くなり、これによって、ライザー管内の液面の高さが不安定になる。液面の高さが不安定になると、ライザー管の先端部における圧力(坑底圧)は変動し、天然ガスハイドレートに作用する圧力も変動するため、天然ガスの生産が不安定になる。
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えるライザー管と、
前記ライザー管内の前記液体を吸い上げて前記ライザー管の外部に排出するポンプと、を備え、
前記先端部は、前記液体が、上方に向かって延びる直線の周りを旋回しながら上方に向かって流れるよう構成された管部分を有し、
前記ポンプは、前記管部分から前記ライザー管内に供給された前記液体を吸い上げる、ことを特徴とする。
前記管部分は、前記内壁に沿って周状に流れる前記液体の旋回流が前記空間内に形成されるよう、前記空間内に前記液体を供給することが好ましい。
地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込み、前記気泡からガスを取り出すステップと、
ポンプを用いて、前記ライザー管内の前記液体を吸い上げて前記ライザー管の外部に排出するステップと、を備え、
前記ガスを取り出すステップでは、前記先端部の管部分を用いて、前記液体を、上方に向かって延びる直線の周りを旋回しながら上方に向かうように流し、前記管部分から前記ライザー管内に前記液体を供給し、
前記排出するステップでは、前記管部分から前記ライザー管内に供給された前記液体を吸い上げる、ことを特徴とする。
また、本明細書でいうガス生産システムは、地中のガスハイドレートを減圧して分解することによりガスを生成するものであり、海底表面にあるガスハイドレートからガスを生成するシステムと異なる。
一実施形態のガス生産システム(以下、システムともいう)は、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するシステムである。システムは、ライザー管と、ポンプと、を主に備える。
ライザー管は、地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管である。ライザー管は、先端部に設けられ、管の外部に開口した孔を備える。この外部に開口した孔は、ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を管内の液体に取り込むように設けられている。ガスハイドレートは、ライザー管の先端部から上方に延びる管内の液体によって生じる圧力を用いて管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより分解される。
ポンプは、ライザー管内の液体を吸い上げてライザー管の外部に排出する。
先端部は、液体が、上方に向かって延びる直線の周りを旋回しながら上方に向かって流れるよう構成された管部分を有している。
ポンプは、管部分からライザー管内に供給された液体を吸い上げる。
図1は、一実施形態のシステム1を概略的に示す図である。図2は、ライザー管10の先端部10a付近の内部構成を説明する図である。以下、海底の地中内の天然ガスハイドレートを分解して天然ガスを生産するシステム1を例に説明する。
システム1は、ライザー管10と、ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13と、制御装置40と、を主に備える。
ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13の一部とが、管本体11内に設けられている。
この他に、管本体11内には、ヒータ26が設けられている。
スクリーン19は、天然ガスハイドレートの分解によって生成した気泡及び水、さらには海水を取り込み、砂や泥を分離除去する部材である。スクリーン19は、気泡、水、海水を通過させるが、砂や泥を通過させない機能を有している。スクリーン19は、例えば、多数の孔を有するシート状又は板状の構造体であって、互いに孔の大きさや形態が異なる複数の構造体から構成される。複数の構造体の組み合わせの具体例として、ジョンソンスクリーン、メッシュ、及びグレーチングが挙げられる。ジョンソンスクリーンは、ジョンソンスクリーン社製の金網状の構造体として周知である。グレーチングは鋼材を格子状に組んだ部材である。ジョンソンスクリーン、メッシュ、グレーチングは、揚収管部分18の側からハイドレート5層の側に向かって、この順に、揚収管部分18に重ねて配置される。
坑底圧とは、後述する液面Sの下方の液体によって、ライザー管10の下端が受ける水頭圧によって定まる圧力である。ライザー管10の下端は、坑井7の穴底(坑底)と略同じ高さに位置している。ここで、先端部10aは、ライザー管10のうち孔18aの設けられる部分を含む。
ライザー管10内の液体には、天然ガスハイドレートから分解して生成された気液混合物が取り込まれるほか、孔18aを通って進入した水や海水が取り込まれる。気液混合物は気泡を含むので、ライザー管10内の液体には気泡が混在している。水や海水は、ハイドレート層5に含まれる水や海水、ハイドレート層5と接する他の地層に含まれる水や海水を起源としている。
ガス生成ライン12の先端部には、ガスの圧力を調節する弁が設けられている。また、ガス生成ライン12の先端は、例えば、掘削船3あるいは他の船舶に備え付けられた貯蔵タンク(図示せず)に接続されている。貯蔵タンクに貯蔵された天然ガスは、適宜、液化され、掘削船3あるいは他の船舶で海上を輸送される。
液体排出ライン13は、図1に示す例において、気液分離槽20から空間15aまで延びる液体輸送管14と、管本体11から分岐して、空間15aから掘削船3まで延びる管16と、を有している。空間15aは、隔壁17a,17bで仕切られた空間である。
排出された液体は、回収され、例えば貯水される。
次に、図3を参照しながら、気液分離槽20について説明する。
図3は、気液分離槽20を説明する図であり、気液分離槽20を、図2の側方(左方)から見て示す図である。図3には、揚収管部分18の内部構成が示されている。なお、図3において、気液分離槽20は、図2に示した気液分離槽20と異なる寸法で、簡略化して示されている。
図3に示す例において、揚収管部分18は、隔壁17cの上方に延びており、揚収管部分18の上端は空間15b内に位置している。なお、図2において、隔壁17cから上方に延びる揚収管部分18の部分の図示は省略されている。
図3に示す例の揚収管部分18は、管本体の内側に、流路形成部材50が設けられている。流路形成部材50は、鉛直方向に延びる軸51と、軸51に設けられた羽根52と、を有し、スクリュー形状を有している。羽根52は、軸51から径方向外側に突出し、かつ、軸51の周りを螺旋状に延びている。羽根52は、揚収管部分18の内壁に隙間なく固定されている。このような流路形成部材50によって、揚収管部分18内には、揚収管部分18の内壁に沿って液体が螺旋状に流れる流路が形成されている。
揚収管部分18は、管本体の内側に、流路形成部55が設けられている。図4に示す例の流路形成部55は、螺旋状の傾斜壁53で構成される。傾斜壁53は、揚収管部分18の内壁から径方向内側に突出し、かつ、揚収管部分18の径方向の中心を通る直線の周りを螺旋状に延びている。図4に示す例において、揚収管部分18の内壁からの傾斜壁53の突出高さは、揚収管部分18の内径の半径よりも短い。このため、傾斜壁53の径方向の内側に、空洞領域54が形成されている。空洞領域54は、上記直線に沿って上方に向かって延びている。
一方で、図4に示す例の揚収管部分18では、液体の一部も空洞領域54を通って上昇する。このような液体の量を低減する観点から、傾斜壁53の突出高さHは、例えば、揚収管部分18の内径(径方向に沿った、対向する内壁同士の間隔)の1/4の長さより長いことが好ましく、揚収管部分18の内径の1/3の長さより長いことがより好ましい。
一方で、揚収管部分18の螺旋状の流路のピッチPは、短すぎると、流路が長くなりすぎて、摩擦損失が大きくなるため、螺旋状の流路のピッチPは、揚収管部分18の内径の0.5倍の長さよりも長いことが好ましい。
図5は、気液分離槽の変形例を示す図である。図5において、揚収管部分18は、図3に示した揚収管部分と寸法を異ならせて、簡略化して示されている。図6は、図5の気液分離槽を上面視して示す図である。
図5及び図6に示す例において、揚収管部分18の上端には、揚収管部分18の鉛直方向に延びる部分に対して直交するよう延びる先端部18cが設けられている。先端部18cには、揚収管部分18を流れた液体を空間15b内に供給する供給口18bが設けられている。
ライザー管10の内壁に沿って周状に流れる旋回流は、図6に示す例において、円弧状の矢印で指す方向(円周方向)に流れる。このような旋回流は、揚収管部分18が、図6に示されるように、旋回流の流路の接線方向Tの成分を含む方向に、液体を空間15b内に供給することで形成される。旋回流の流路の接線方向Tは、図6に示す例において、円柱状の空間15bの中心Oを中心とする円の接線方向である。
このような旋回流が形成されると、空間15b内に供給された、気泡を含んだ液体に対して、旋回流の中心Oから外側に向かう遠心力が作用する。これにより、液体と気体の比重差によって、液体は旋回流の中心Oから遠ざかる側(外側)に移動し、気泡は旋回流の中心Oに近づく側(内側)に集められる。内側に集められた気泡の一部は、気泡同士が一体となって、大きくなるため、液面に浮上しやすく、液体から分離されやすい。このため、システム1の気液分離性能は一段と向上する。
例えば、図3及び図4に示す例の揚収管部分18のように、鉛直方向に延びる部分のみからなる揚収管部分によってもつくることができる。図7に、図3に示した揚収管部分18の先端(供給口18b)を上面視して示す。
揚収管部分18の先端位置で螺旋状の流路が途切れていると、液体は、途切れた位置における流路に沿った方向(図7の矢印Aで指す方向)に排出される。したがって、矢印Aで示す、螺旋状の流路に沿った方向と、上記した旋回流の流れる方向とが一致するように、揚収管部分18の先端を構成し、空間15b内に配置することで、供給口18bから排出された液体によって、空間15b内に旋回流をつくることができる。
図8に示す例の旋回流は、空間15b内の外側において上昇流が生じ、内側において下降流が生じている。上述したように、空間15b内に旋回流がつくられると、気泡は内側に集められるため、空間15b内の内側で下降流が生じていることで、気泡の滞留時間が長くなり、合泡しやすくなることで、気泡は浮上しやすく、液体からさらに分離しやすくなる。
地中内に埋設された先端部10aを有し、先端部10aから上方に延びるライザー管10内の液体によってライザー管10内に生じる先端部10aにおける圧力を用いてライザー管10の外部にある天然ガスハイドレートに作用する圧力を低減させる。
次に、天然ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって天然ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、ライザー管10の外部に開口した孔18aからライザー管10内の液体に取り込む。
ポンプ23を用いて、ライザー管10内の液体を吸い上げてライザー管10の外部に排出する。
天然ガスを取り出すとき、先端部10aの揚収管部分18を用いて、液体を、上方に向かって延びる直線の周りを旋回しながら上方に向かうように流し、揚収管部分18からライザー管10内に液体を供給し、
排出するステップでは、揚収管部分18からライザー管10内に供給された液体を吸い上げる。
2 海底面
3 掘削船
4 上層
5 ハイドレート層
7 坑井
10 ライザー管
10a 先端部
11 管本体
12 ガス生成ライン
13 液体排出ライン
14 液体輸送管
15a 空間
16 管
17a,17b,17c 隔壁
18 揚収管部分
18c 揚収管部分の先端部
20 気液分離槽
23 ポンプ
24 モータ
25 スクリュー
26 ヒータ
31 圧力計
40 制御装置
50 流路形成部材
51 軸
52 羽根
53 傾斜壁
54 空洞領域
55 流路形成部
Claims (8)
- 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するシステムであって、
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えるライザー管と、
前記ライザー管内の前記液体を吸い上げて前記ライザー管の外部に排出するポンプと、を備え、
前記先端部は、前記液体が、上方に向かって延びる直線の周りを旋回しながら上方に向かって流れるよう構成された管部分を有し、
前記ポンプは、前記管部分から前記ライザー管内に供給された前記液体を吸い上げる、ことを特徴とするガス生産システム。 - 前記管部分は、上方に向かって直線状に延び、前記管部分の内壁に沿って前記液体が螺旋状に流れる流路を形成するよう構成されている、請求項1に記載のガス生産システム。
- 前記管部分は、前記流路に対して前記管部分の径方向の内側に、上方に向かって延びる空洞領域を形成するよう構成されている、請求項2に記載のガス生産システム。
- 前記ライザー管は、前記ライザー管の内壁に囲まれた空間を備え、
前記管部分は、前記内壁に沿って周状に流れる前記液体の旋回流が前記空間内に形成されるよう、前記空間内に前記液体を供給する、請求項1から3のいずれか1項に記載のガス生産システム。 - 前記管部分が、前記空間内に前記液体を供給する高さ位置は、前記ポンプによって前記液体が吸い上げられる高さ位置よりも高い、請求項1から4のいずれか1項に記載のガス生産システム。
- 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産する方法であって、
地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込み、前記気泡からガスを取り出すステップと、
ポンプを用いて、前記ライザー管内の前記液体を吸い上げて前記ライザー管の外部に排出するステップと、を備え、
前記ガスを取り出すステップでは、前記先端部の管部分を用いて、前記液体を、上方に向かって延びる直線の周りを旋回しながら上方に向かうように流し、前記管部分から前記ライザー管内に前記液体を供給し、
前記排出するステップでは、前記管部分から前記ライザー管内に供給された前記液体を吸い上げる、ことを特徴とするガス生産方法。 - 前記ガスを取り出すステップでは、上方に向かって直線状に延びる前記管部分を用いて、前記管部分の内壁に沿って前記液体を螺旋状に流す、請求項6に記載のガス生産方法。
- 前記ガスを取り出すステップでは、さらに、前記ライザー管の内壁に囲まれた空間内に、前記内壁に沿って周状に流れる前記液体の旋回流が形成されるよう、前記管部分から前記空間内に前記液体を供給する、請求項6又は7に記載のガス生産方法。
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