JP6735980B2 - ガス生産システム - Google Patents
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天然ガスハイドレートは、メタン分子を水分子が籠状に取り囲んだ結晶構造を有する包接化合物である。天然ガスハイドレートは、低温、高圧の環境下で、固体の状態で存在し、このような環境を満たす、深海の海底の表層や海底面下の地層中に安定して存在している。
減圧法では、具体的に、天然ガスを海底から海上に向けて運ぶ管(ライザー管)を用いて、管内の海水を排出することで管内の海水液面を下げ、ライザー管内の海水の低い圧力を、天然ガスハイドレートを含んだ海底内の地層(ハイドレート層)に作用させ、分解させる。天然ガスハイドレートが分解して生成した天然ガスは、液体と混ざり合った気液混合物としてライザー管内の海水に取り込まれる。混相流を取り込んだ海水は、ライザー管内で、天然ガスと海水とに気液分離され、それぞれ海上に排出される。
しかし、この場合、各生産管内に取り込まれる気液混合物の流入量及び天然ガスの含有率はばらつくので、各管に共通した条件で天然ガスハイドレートを分解させて天然ガスの生産を正確に制御することは難しい。
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する管であって、前記管内の液体の圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えた生産管と、
地中内に埋設されるように構成され、前記生産管から内部に導入された、前記気液混合物を取り込んだ前記液体から、気泡中の気体を分離する気液分離装置と、分離後の前記液体を外部に吸い上げるポンプと、が内部に設けられた、前記生産管と別体の分離管と、
前記生産管と前記分離管とを接続する液体供給ラインと、
前記分離管から延びて、吸い上げられた前記液体を外部に排出する液体排出ラインと、
前記分離管から延びて、分離された前記気体を生産する前記ガスとして外部に搬送する気体生産ラインと、
前記液体排出ラインから分岐し、前記吸い上げられた前記液体の一部を、前記生産管に戻す再供給ラインと、
前記再供給ラインに設けられ、前記再供給ラインの流量を調整する第1バルブと、
前記第1バルブの開度を制御する制御装置と、
を備える。
前記吐出量の調整により前記先端部における前記圧力を制御するように構成されている、ことが好ましい。
前記制御装置は、前記遮断バルブの開度を、前記生産管の前記液体中の深さ方向の異なる2つの位置の測定圧力の差圧に基づいて前記遮断バルブを制御する、ことが好ましい。
前記循環ラインには、前記循環ラインの流量を調整する第2バルブが設けられ、
前記制御装置は、前記第2バルブの開度を、前記分離管内の気相中の測定圧力と、液相中の測定圧力の差分に基づいて制御する、ことが好ましい。
前記ポンプは、前記分離管内の海底面より下方に位置するように設けられている、ことが好ましい。
また、本明細書でいうガス生産システムは、地中のガスハイドレートを減圧して分解することによりガスを生成するものであり、海底表面に存在するガスハイドレートからガスを生成するシステムと異なる。
図1は、一実施形態のガス生産システム(以降、単にシステムという)10を概略的に示す図である。以下、海底の地中内の天然ガスハイドレートを分解して天然ガスを生産するシステム10を例に説明する。
システム10は、主に、生産管12a,12bと、分離管14と、液体供給ライン20a,20bと、液体排出ライン22と、気体生産ライン24と、再供給ライン26a,26bと、制御装置30と、を主に備える。
生産管12a,12bは、ハイドレート層の異なる場所に分散配置した複数の生産管の一例である。別の形態によれば、生産管は少なくとも3つ以上あり、3つ以上の生産管と1つの分離管との間がラインで接続された構成が挙げられる。
孔16a,16bには、図示されないスクリーンが設けられている。スクリーンは、天然ガスハイドレートの分解によって生成した気泡及び水、さらには海水を取り込み、砂や泥を分離除去する部材である。スクリーンは、例えば、多数の孔を有するシート状又は板状の構造体であって、互いに孔の大きさや形態が異なる複数の構造体から構成される。
生産管12a,12bの後端部(先端部と反対側の端部)は、海底面Xより上方にある一方、生産管12a,12bの先端部は、海底面Xから数百m(例えば300m程度)深い地中内の位置にあるハイドレート層内に位置させるために、生産管12a,12bは、海底面Xから地中内に数百m下方に延びている。
液体排出ライン22は、分離管14から延びて、ポンプ18で吸い上げられた液体を外部(例えば、地上)に排出する管で構成されている。
気体生産ライン24は、分離管から延びて、分離された気体を生産するガスとして外部(例えば、地上)に搬送する管で構成されている。
再供給ライン26a,26bは、液体排出ライン22から分岐し、液体排出ライン22中の液体の一部を、生産管16a,16bに戻すように管で構成されている。
気液分離装置45では、気相と液相が区分けされるように液体の液面が形成されている。気体生産ライン24は、分離管14bの上方に、好ましくは天井面に設けられ、気体を地上に搬送する。
ポンプ18は、分離管14内の底部近傍に設けられ、底部にある液体をポンプで吸入し加圧して地上まで搬送するように構成された回転ポンプである。ポンプ18は、図示されない駆動モータが設けられている。
ポンプ18は、液体排出ライン22と接続されており、ポンプ18で加圧された液体は、地上に向けて液体排出ライン22を上昇する。
ポンプ18は、分離管14の内部の断面積が広いため分離管14内を流れる液体の下降流の流速は低く、しかも、分離管14内の底部近傍に設けられるために液体の下降路の距離が長い。このため、気泡が、液体の流れに引きずられてポンプ18まで移動することは少なく、気液分離を良好に行うことができる。また、ポンプ18は、分離管14の底部近傍に設けられているので、万が一、気泡がポンプ18内に進入したとしても、水頭圧の分だけ圧力が高く気泡のサイズが小さいので、気泡がポンプ18の加圧性能に与える影響は小さい。
一実施形態によれば、ポンプ18は、気液分離を良好に行う点から、海底面Xより下方に設けられ、分離管14の先端部(最下端部)に設けられることが好ましい。
バルブ50は、分離管14内の液面を適正な範囲にするために再供給ライン48に流れる液体の流量を調整する。具体的には、分離管14に設けられた圧力計38,40で計測された計測圧力P5,P1の情報が制御装置30に送られ、制御装置30は、計測圧力P5,P1に応じてバルブ50の開度を制御する信号を生成し、この信号をバルブ50に送る。これにより、分離管14内の液面Zの位置を適正範囲に維持することができる。
計測圧力P4が低いとガスハイドレートの分解が促進され、計測圧力P4が高いとガスハイドレートの分解が抑制される。したがって、ガスハイドレートの分解速度が一定になるように、計測圧力P4の高低を調整するために、バルブ28a,28bの開度を調整する。制御装置30は、計測圧力P4が低い場合、バルブ28a,28bの開度を小さくしてエジェクタポンプ46a,46bによる生産管12a,12b内の液体の上方への吐出量を抑える。これにより、液体供給ライン20a,20bを介して分離管14内に供給される液体の流量を抑制する。これにより、生産管12a,12bの底部における圧力(坑底圧力)を上昇させることができる。計測圧力P4が高い場合、バルブ28a,28bの開度を大きくしてエジェクタポンプ46a,46bによる生産管12a,12b内の液体の上方への吐出量を増やす。これにより、液体供給ライン20a,20bを介して分離管14内に供給される液体の流量を増大させる。これにより、生産管12a,12bの底部における圧力(坑底圧力)を低くさせることができる。これにより、生産管16a,16bそれぞれの近傍のガスハイドレートの分解速度が一定になるように、生産管16a,16bの底部分における圧力(計測圧力P4)を目標坑底圧力(目標BOP)に近づけることができる。
生産管12a,12bの先端部(底部)の計測圧力P4が、目標坑底圧力より高い場合、バルブ28a,28bの開度を大きくする信号を生成し、バルブ28a,28bに送る。バルブ28a,28bの開度は大きくなるので、生産管12a,12bに供給される高圧な液体の流量は多くなり、エジェクタポンプ46a,46bが吐出する液体の量は多くなり、液体供給ライン20から分離管14に流れる量は多くなるので、生産管12a,12bの先端部(底部)の圧力は低くなり、目標坑底圧力に近づく。
生産管12a,12bの先端部(底部)の計測圧力P4が、目標坑底圧力と同じ場合、バルブ28a,28bの開度を維持する信号を生成し、バルブ28a,28bに送る。
差圧DP2が設定値SVより小さい場合、生産管12a,12b内の液体には、ガスが十分な比率で混入していると判断することができるので、分離管14にガスを含んだ液体を分離管14に供給して、気液分離を行ってガスを生産することができる。差圧DP2が設定値SV以上の場合、生産管12a,12b内の液体には、ガスが十分な比率で混入していない判断され、分離管14に供給されない。差圧DP2が設定値SV以上となった生産管は、例えば、液体から十分に得られず、ガスの生産に寄与しない生産管として生産システム10から除去される。また、場合によっては、目標坑底圧力BOPを異なる値に再設定して、液体にガスが多く含まれるようにガスハイドレートの分解を促進させてもよい。
差圧DP3が、設定値SVより小さい場合、分離管14内の液面Zの位置が低いと判断でき、再供給ライン48から液体を供給するので、液面Zの位置を目標とする範囲に維持することができる。
また、上述したバルブの開度を大きくするあるいは小さくする程度は、設定値SVと比較する計測値との差分の大きさに応じて、異ならせてもよい。
上述したように、システム10は、再供給ライン26a,26bを介して、分離管14から生産管12a,12bに液体を再供給する際、制御装置30は、バルブ28a,28bによって再供給ライン26a,26bの流量を調整するので、生産管12a,12bそれぞれの底部における圧力を効率よく制御することができ、生産管12a,12b毎にガスハイドレートの分解を制御することができる。
このとき、生産管12a,12b内の先端部における圧力の計測圧力P4に応じてバルブ28a,28bの開度を調整するので、生産管12a,12b内の先端部における圧力(坑底圧)を目標とする圧力に維持することができる。再供給ライン26a,26bのそれぞれの計測圧力P4にしたがってバルブ28a,28bの開度をそれぞれ調整するので、生産管12a,12b内の先端部における圧力(坑底圧力)を生産管12a,12b間で揃えることができる。
12a,12b 生産管
14 分離管
16a,16b 孔
18 ポンプ
20a,20b 液体供給ライン
22 液体排出ライン
24 気体生産ライン
26a,26b,48 再供給ライン
28a,28b バルブ
30 制御装置
32a,32b,34a,34b,36a,36b,38,40 圧力計
39a,39b 遮断バルブ
42,46 流量計
44 バルブ
45 気液分離装置
46a,46b エジェクタポンプ
50 バルブ
52,54a,54b ヒータ
Claims (11)
- 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するシステムであって、
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する管であって、前記管内の液体の圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えた生産管と、
地中内に埋設されるように構成され、前記生産管から内部に導入された、前記気液混合物を取り込んだ前記液体から、気泡中の気体を分離する気液分離装置と、分離後の前記液体を外部に吸い上げるポンプと、が内部に設けられた、前記生産管と別体の分離管と、
前記生産管と前記分離管とを接続する液体供給ラインと、
前記分離管から延びて、吸い上げられた前記液体を外部に排出する液体排出ラインと、
前記分離管から延びて、分離された前記気体を生産する前記ガスとして外部に搬送する気体生産ラインと、
前記液体排出ラインから分岐し、前記吸い上げられた前記液体の一部を、前記生産管に戻す再供給ラインと、
前記再供給ラインに設けられ、前記再供給ラインの流量を調整する第1バルブと、
前記第1バルブの開度を制御する制御装置と、
を備える、ことを特徴とするガス生産システム。 - 前記生産管の内部には、前記再供給ラインから供給される前記液体を駆動流体とし、前記駆動流体の流量に応じて前記生産管内の前記液体を吸入して上方に吐出する吐出量が変化するエジェクタポンプが設けられ、
前記吐出量の調整により前記先端部における前記圧力を制御するように構成されている、請求項1に記載のガス生産システム。 - 前記制御装置は、前記第1バルブの開度を、前記生産管における前記液体の圧力の測定値に基づいて制御する、請求項1または2に記載のガス生産システム。
- 前記制御装置は、前記圧力の測定値が目標坑底圧力より高い場合、前記第1バルブの開度を上げるように制御し、前記圧力の測定値が前記目標坑底圧力より低い場合、前記第1バルブの開度を下げるように制御する、請求項3に記載のガス生産システム。
- 前記液体供給ラインには、前記生産管から前記分離管への前記液体の供給を遮断する遮断バルブが設けられ、
前記制御装置は、前記遮断バルブの開度を、前記生産管の前記液体中の深さ方向の異なる2つの位置の測定圧力の差圧に基づいて前記遮断バルブを制御する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス生産システム。 - 前記制御装置は、前記差圧が予め定めた閾値以上の場合、前記遮断バルブを閉じるように制御し、前記差圧が予め定めた閾値未満の場合、前記遮断バルブを開くように制御する、請求項5に記載のガス生産システム。
- 前記液体排出ラインから分岐し、前記吸い上げられた前記液体の一部を、前記分離管に戻す循環ラインが設けられ、
前記循環ラインには、前記循環ラインの流量を調整する第2バルブが設けられ、
前記制御装置は、前記第2バルブの開度を、前記分離管内の気相中の測定圧力と、液相中の測定圧力の差分に基づいて制御する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス生産システム。 - 前記循環ラインには、前記循環ラインを流れる前記液体の一部を加熱する加熱装置を備える、請求項7に記載のガス生産システム。
- 複数の場所に分散配置された複数の分散生産管のそれぞれが、前記生産管として前記液体供給ラインを介して前記分離管に接続され、前記制御装置は、前記分散生産管それぞれにおける、前記第1バルブの開度を制御する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス生産システム。
- 前記生産管及び前記分離管は、前記海底に埋設され、
前記ポンプは、前記分離管内の海底面より下方に位置するように設けられている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス生産システム。 - 前記液体供給ラインの前記分離管との接続位置は、前記ポンプより上方にある、請求項10に記載のガス生産システム。
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