JP6554322B2 - 流体分離装置及び流体分離方法 - Google Patents
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Description
特に大水深での資源開発において、産出される生産流体を洋上の浮遊式プラットホームに上げたり、陸上まで海底パイプラインで移送したりすると、不要な水や砂まで遠方に送ることになる。この場合には、資源開発コストの増大を招く。そこで、海中及び水中で水や砂から回収流体を分離することが求められる。
一方で、生産流体には、ガスや水、油等が含まれている。ガスと水が存在する場合には、低温かつ高圧の環境下において、ハイドレート(水和物)が生じる可能性がある。
エネルギー資源開発では、通常、水底よりも下方の地中に存在するガスや油がもつ圧力をコントロールして、回収流体の生産を行う。水底まで自噴等により生産井内を上がってきた生産流体は、陸上又は水上までパイプラインで輸送されることが予定されている。このため、補助的に昇圧機を用いる場合もあるが、基本的には水底に達した生産流体はパイプラインでの輸送を前提とした圧力を確保する必要がある。
したがって、水底等に設置した流体分離装置内には高圧状態で生産流体が流入することになる。
その対策として、特許文献2ではメタノール等の薬剤である再ハイドレート化抑制剤を用いるインヒビター法が提案されている。このインヒビター法は、再ハイドレート化抑制剤によりメタンハイドレートの相平衡曲線を低温高圧側にシフトさせて分離槽内の環境をハイドレート化環境領域から外すという手法である。
さらに、ハイドレートの分解は吸熱反応のため、ガスと水がハイドレートとして分離槽内に流入した場合は、再ハイドレート抑制剤の効果で熱を吸収しつつ分解する。この作用により分離槽内が更に冷却されることでガスや水の温度が下がり、再ハイドレート化が生じやすい環境になる。この対策として再ハイドレート化抑制剤の濃度を高める等の追加的な対応が必要となる。
一般的に、流体分離装置を設置する水域等は大水深のため、アクセスが難しい。薬剤の濃度を管理することが必要になったり、リモートで薬剤を供給可能な装置が必要となったりする。
本発明の流体分離装置は、海底、湖底、あるいは海底又は湖底よりも下方の地中から第一流体を回収する流体分離装置であって、内部に前記第一流体及び水を収容する分離槽と、前記流体分離装置を駆動する駆動部と、前記駆動部が発生する熱で第二流体を加熱するとともに、前記第二流体により前記分離槽内を加熱して前記分離槽内の前記第一流体の水和物を分解する加熱部と、を備え、前記駆動部は、前記第二流体を搬送するために前記第二流体の圧力を高くするモータを有する昇圧部を備えることを特徴としている。
ここで言う流体とは、気体及び液体だけでなく、気体及び液体に例えば砂のような固体が含まれて気体及び液体とともに固体が流れるものも含む。
この発明によれば、水底のような高圧の環境下では、第二流体を流体分離装置の水底に排出するときに第二流体の圧力を水底の圧力以上に高める必要がある。昇圧部は、第二流体を流体分離装置の水底に排出する配管に設けられる。
これらの発明によれば、第一流体の水和物の相平衡曲線に基づいて、分離槽内の圧力が高くなるのにしたがって分離槽内の第一流体の水和物が分解する温度が高くなる。
また、上記の流体分離装置において、前記加熱部は、前記分離槽に開口し、加熱された前記第二流体を前記分離槽内に供給する戻り配管を有してもよい。
また、上記の流体分離装置において、前記戻り配管の前記開口は、前記分離槽内の前記水の液面よりも上方に形成されていてもよい。
この発明によれば、一般的に再ハイドレート化した第一流体の水和物は、水の浮力により液面で浮く。開口を界面よりも上方に設けることで、開口から供給された第二流体が開口から下方に落ちる際に、浮いている第一流体の水和物にかかりやすくなる。
また、上記の流体分離装置において、前記分離槽内に前記第一流体の水和物を供給する供給配管の開口は、前記分離槽内の前記水の液面よりも上方に形成されていてもよい。
請求項2に記載の流体分離装置によれば、駆動部が発生する熱で第一流体の水和物を分解するため、新たな薬剤やエネルギーを供給する必要が無く、第一流体の水和物を効率的に分解することができる。また、水底の水の温度に比べて地中の温度が高いため、分離槽内が加熱されやすくなる。
請求項4に記載の流体分離装置によれば、第一流体の水和物が分離槽内にあるため、例えば回収する第一流体に加熱された水を混合させても、第一流体に水以外の流体を混合させる場合に比べて、第一流体に与える影響を抑えることができる。
請求項6に記載の流体分離装置によれば、第一流体の水和物を効果的に加熱することができる。
請求項7に記載の流体分離装置によれば、第二流体の液面の高さが制御しやすいため、第一流体を回収しやすくなる。
請求項8に記載の流体分離装置によれば、分離槽内で分解した第一流体と水との接触時間が短くなるため、第一流体が再ハイドレート化するのを抑制することができる。
以下、本発明に係る流体分離装置の第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の流体分離装置1は、海底E1よりも下方の地中E2に埋蔵されたメタンハイドレート(第一流体の水和物)W1から気体であるメタンガス(第一流体)W2を回収するものである。海底E1の水深は、例えば1000m程度である。
海底E1の数百m下方には、粘土層E4と砂層E5とが上下に交互に重なるように形成されている。メタンハイドレートW1は、砂層E5に含まれている。
海底E1から下方に向かって延びる生産井E6が掘られる。生産井E6は、下方の端部が砂層E5に達するように形成されている。
なお、熱媒体W3は水及び砂W6を含む。
槽本体11の長手方向の中間部には、槽本体11の外周面を覆う管状部材36が取付けられている。管状部材36は、槽本体11と同軸に配置されている。管状部材36は、上端部及び下端部において、槽本体11との間で水密に封止されている。
管状部材36と槽本体11とで、いわゆる二重菅構造になっている。
吸入管15には、リモート開閉弁15b及び緊急開閉弁15cが設けられている。後述するようにセパレータ10内の圧力を低下させることで、生産井E6で産出される生産流体W5が吸入管15内に吸引される。生産流体W5には、メタンガスW2及び水だけでなく砂W6が含まれている。
給水管16には、リモート開閉弁16a及び緊急開閉弁16bが設けられている。
第一排出管17には、流量計17a、リモート流量調整弁17b、緊急開閉弁17c、及びリモート開閉弁17dが設けられている。
流量計17aは、第一排出管17内を流れるメタンガスW2の流量を測定する。リモート流量調整弁17bは、遠隔操作により第一排出管17内を流れるメタンガスW2の流量を調整することができる。
連結管20には、液面計20e及び圧力・温度計20fが設けられている。
液面計20eは、槽本体11内の水の液面の上下方向の位置を測定する。液面の位置は、上方の運転上限液面L1から下方の運転下限液面L2の間で制御される。液面L1、L2は、上下方向において管状部材36が占める範囲の間に設定される。
圧力・温度計20fは、連結管20を介して槽本体11内の圧力及び温度を測定する。
セパレータ10は、海底E1上に配置されている。
海底E1のような高圧の環境下では、熱媒体W3を海底E1に排水するときに熱媒体W3の圧力を海底E1の圧力以上に高める必要がある。
ポンプ本体25aに接続された第一接続管28は、槽本体11における案内部材13の内径が小さくなった部分に接続されている。ポンプ25は、第一接続管28及び後述する第二排出管29に設けられる。
第一接続管28には、圧力・温度計28aが設けられている。圧力・温度計28aは、第一接続管28内を流れる熱媒体W3の圧力及び温度を測定する。
逆止弁29bは、ポンプ本体25a内から外部への流体の流れを許容し、外部からポンプ本体25a内への流体の流れを規制する。
カバー37には、分岐管39、第二接続管(戻り配管)40、及び第三接続管41が接続されている。
分岐管39は、第二排出管29における流量計29dと緊急開閉弁29eとが設けられた間の部分に接続されている。分岐管39にはリモート開閉弁39aが設けられている。
第二接続管40は、カバー37の隙間T1を流れる熱媒体W3を槽本体11内に供給する。
管状部材36の下部には、第三排出管43が接続されている。第三排出管43には、逆止弁43a、緊急開閉弁43b、及びリモート開閉弁43cが設けられている。
逆止弁43aは、管状部材36内から外部への流体の流れを許容し、外部から管状部材36内への流体の流れを規制する。
管状部材36、カバー37、第二接続管40、及び第三接続管41で前述の加熱部35を構成する。
制御部50は、上記の測定結果に基づいて、リモート開閉弁15b、16a、17d、29f、39a、43c、リモート流量調整弁17b、29c、40bを制御する。
なお、図1では制御部50とリモート開閉弁15b等とを接続する配線の図示は省略している。
図2において、横軸はメタンハイドレート、メタンガス、及び水の温度を表し、縦軸はメタンハイドレート、メタンガス、及び水の圧力を表す。縦軸の圧力は図の下側に向かうにしたがって高くなる。
図中に相平衡曲線L4を示す。相平衡曲線L4よりも圧力が高い側の領域R1では、メタンハイドレートが安定して存在する。相平衡曲線L4よりも圧力が低い側の領域R2では、メタンハイドレートはメタンガスと水とに分解する。
水の比重は約4℃で最も大きくなるので、海底における水の温度は約4℃の場合が多い。例えば、水深1000mの海底での圧力は、水の密度により異なるが約10.1MPa(メガパスカル)(=約100atm)である。以下では、圧力を絶対圧で表す。
すなわち、水深1000mの海底は、温度が約4℃で圧力が約10.1MPaである状態R3となり、領域R1内にある。この状態R3において、メタンと水が存在すれば、メタンは気体ではなくハイドレートとして存在する。
予め、緊急開閉弁15c、17c、20a、20b、20c、20d、29e、43bは開状態になっている。リモート開閉弁17d、29fは、開状態である。リモート流量調整弁17b、29c、40bは閉状態である。リモート開閉弁15b、16a、39a、43cは、閉状態である。
このとき、槽本体11内の液面は、運転上限液面L1と運転下限液面L2との間にあるもとする。また、槽本体11内の圧力は外部の圧力より低い目標圧力の許容誤差内に設定されているものとする。
これにより、槽本体11内の海水等を、第一接続管28、ポンプ本体25a、及び第二排出管29を介して海底E1に排出する。このとき、モータ25bは熱を発生する。
ここで、生産井E6内の滞留水は、外部の圧力より低い槽本体11内の圧力が吸入管15を介して伝播されることで槽本体11内に汲み上げられる。滞留水の汲み上げにより、パッカー18で密閉された生産井E6内の圧力が減圧する。この減圧の効果が、粘土層E4と砂層E5からなる地盤に伝わる。砂層E5に介在するメタンハイドレートW1の周辺の圧力を下げることで、メタンハイドレートW1を図2における状態R5から状態R6に変化(分解)させる。メタンハイドレートW1の分解を促し、メタンガスW2の生産につながる。
また、吸入管15の一部を構成する海底E1に横たわった海底配管は、槽本体11と同じ環境下にある。このため、生産流体W5が吸入管15を通る間に、一部の水とメタンガスW2が接触する界面においてメタンハイドレートW1が再生成される場合もある。
これら再生成されたメタンハイドレートW1は、熱媒体W3の浮力により熱媒体W3の液面で浮く。
これに対して本実施形態では、吸入管15の開口15aは運転上限液面L1よりも上方に形成されているため、生産流体W5は速い速度をもって熱媒体W3に流入し、第一流体と水との接触時間が短い。
メタンガスW2は、槽本体11の上方から第一排出管17を通して下流の工程に送られ回収される。
熱媒体W3の一部は、槽本体11の下方から連結管20内を流れる。熱媒体W3は連結管20を通して槽本体11の上方から供給され、槽本体11内を循環する。
以上で分解工程S1を終了し、ステップS3に移行する。
この例では、槽本体11内の圧力が第一の圧力範囲内であるとし、ステップS5に移行する。
熱媒体W3は、槽本体11の下方から第一接続管28を通してポンプ本体25a内を流れ、第二排出管29から海底E1に排出される。
そして、熱媒体排出工程S5を終了し、本流体分離方法の全ての処理を終了する。
この例では、槽本体11内の圧力が第二の圧力範囲内であるとし、ステップS9に移行する。
熱媒体W3により、槽本体11内が間接的に加熱される。熱媒体W3の液面の高さが制御しやすいため、メタンガスW2を回収しやすい。槽本体11内が加熱されることで、槽本体11内のメタンハイドレートW1がメタンガスW2及び水に分解される。槽本体11内で加熱されたメタンガスW2は、前述のように第一排出管17を通して流れる。槽本体11内で加熱された熱媒体W3は第一接続管28及びポンプ本体25a内を流れ、一部が海底E1に排出され、残部が管状部材36内を流れる。
そして、第一加熱工程S9を終了し、本流体分離方法の全ての処理を終了する。
制御部50は、流量計40cの測定結果に基づいてリモート流量調整弁40bの開度を調節する。
すると、第二排出管29内を流れ、モータ25bにより加熱された熱媒体W3は、第三接続管41内だけでなく第二接続管40内を流れる。第二接続管40内を流れる熱媒体W3は、第二接続管40の開口40aから槽本体11内に供給される。槽本体11内に供給され熱媒体W3は、板部材12に当たることで流速が低下するとともに流れの向きを下方に変えて落ちる。第二接続管40の開口40aは運転上限液面L1よりも上方に形成されているため、熱媒体W3の液面で浮くメタンハイドレートW1に熱媒体W3がかかりやすい。
槽本体11内のメタンガスW2及び熱媒体W3をモータ25bにより加熱された熱媒体W3で直接的に加熱するため、モータ25bにより加熱された熱媒体W3の熱が効率的にメタンガスW2及び熱媒体W3に伝達される。
槽本体11内で加熱されたメタンガスW2は、前述のように第一排出管17を通して流れる。熱媒体W3は第一接続管28及びポンプ本体25a内を流れ、一部が海底E1に排出され、残部が槽本体11内に供給される。
そして、第二加熱工程S11を終了し、本流体分離方法の全ての処理を終了する。
なお、流体分離装置1を駆動する駆動部は、ポンプ25以外に、図示はしないがメタンガスW2等のガスを昇圧させるサブシーコンプレッサや、リモート開閉弁15b等を駆動するモータを含む。すなわち、ポンプ25のモータ25bが発生する熱に代えて、サブシーコンプレッサやリモート開閉弁15b等のモータが発生する熱で熱媒体W3を加熱してもよい。
シミュレーションの条件は、ガスの生産レートが大気圧下で約20000m3/日であり、水の生産レートが約200m3/日であると仮定した。海底に設置したセパレータ内の圧力は、3.5〜4.0MPaであると仮定した。
(1)生産流体
・セパレータ内に流入する生産流体の温度:4℃
・生産流体に含まれるガス量:20000m3/日
・生産流体に含まれる水量 :200m3/日
・水の密度 :ρ=1000kg/m3
・水の比熱 :Cp=4.2kJ/(kg・℃)
(2)ポンプに用いられているモータ
・消費電力 :200kw
・効率 :80%
(3)熱交換効率
・カバー :80%
・管状部材を用いて間接的に加熱(熱媒体の移送時のロスを含む。以下、間接加熱方式と称する):60%
・第三接続管を通してセパレータ内に熱媒体を供給し直接的に加熱(熱媒体の移送時のロスを含む。以下、直接加熱方式と称する):90%
(4)メタンハイドレートの平衡圧力:相平衡曲線から読み取ると、4℃、6℃、7℃のときの平衡圧力はそれぞれ3.8MPa、4.7MPa、5.1MPaである。
(5)周辺海水環境
・水深 :1000m
・水温 :4℃
モータの効率を80%とし、モータの消費電力の20%が熱として発生するとする。カバーの熱交換効率を80%としたため、モータが発生する熱のうち80%がカバー内を流れる熱媒体により回収される。
間接加熱方式の熱交換効率を60%としたため、この場合には、熱媒体により回収された熱量のうちの60%によりセパレータ内の熱媒体が加熱される。
直接加熱方式の熱交換効率を90%としたため、この場合には、熱媒体により回収された熱量のうちの90%により、セパレータ内の熱媒体が加熱される。
モータで加熱された熱媒体を全て直接加熱方式に用いた場合には、生産流体の温度が2.96℃上昇することが分かった。すなわち、4℃だった生産流体の温度が約7℃になる。
・条件1:セパレータ内の圧力が3.8MPa未満の場合
セパレータ内は再ハイドレート化する環境でないため、セパレータ内を加熱する必要は無い。
・条件2:セパレータ内の圧力が3.8MPa以上4.7MPa未満の場合
間接加熱方式でセパレータ内を加熱することでセパレータ内の水を4℃から6℃に昇温する。この昇温により、セパレータ内が再ハイドレート化する環境から外れる。
・条件3:セパレータ内の圧力が4.7MPa以上5.1MPa未満の場合の場合
直接加熱方式でセパレータ内を加熱することでセパレータ内の水を4℃から7℃に昇温する。この昇温により、セパレータ内が再ハイドレート化する環境から外れる。
・条件4:セパレータ内の圧力が5.1MPa以上の場合
直接加熱方式に加えてヒータを併用することで、セパレータ内の水を昇温する。この昇温により、セパレータ内を再ハイドレート化する環境から外す。
陸上や洋上への生産流体の圧送のための昇圧機が海底に設置されたり、また油混じりの分離水を地中に戻すための昇圧機などが設置されている。これら機器にはモータがあり、冷却のために周辺海水との熱交換を積極的に行っている。
また、メタンハイドレート開発ではメタンハイドレートW1の圧力を下げることでメタンガスW2を分離する減圧法の適用も検討されている。減圧法では、生産井内を減圧するための汲み出しポンプであるポンプ25が必要である。
本発明で利用する熱源はこれら機器の排熱である。この排熱を回収し、流体分離装置1に供給することでハイドレート化を防止しようとするものである。
本流体分離装置1及び流体分離方法によれば、ハイドレート化を防止するとともに、特許文献2のようなインヒビター法における薬剤の供給を不要とすることができるため、特許文献2の課題を解決することができる。
熱媒体W3は水を含む。水和物となったメタンハイドレートW1がセパレータ10内にあるため、例えば回収するメタンガスW2に加熱された熱媒体W3を混合させても、メタンガスW2に熱媒体W3以外の流体を混合させる場合に比べて、メタンガスW2に与える影響を抑えることができる。
加熱部35は第二接続管40を有する。これにより、槽本体11内のメタンガスW2及び水を熱媒体W3で直接的に加熱するため、熱媒体W3の熱を効率的にメタンガスW2及び水に伝達させることができる。
第二接続管40の開口40aは、セパレータ10内の運転上限液面L1よりも上方に形成されている。開口40aから供給された熱媒体W3が開口40aから下方に落ちる際に、浮いているメタンハイドレートW1にかかりやすくなり、メタンハイドレートW1を効果的に加熱することができる。
吸入管15の開口15aは、セパレータ10内の運転上限液面L1よりも上方に形成されている。セパレータ10内で分解したメタンガスW2と水との接触時間が短くなるため、メタンガスW2が再ハイドレート化するのを抑制することができる。
制御部50は、セパレータ10内の圧力が高くなるのにしたがって、メタンハイドレートW1を加熱する加熱量を増加させる。これにより、メタンハイドレートW1が分解する温度が高くなるのに応じてメタンハイドレートW1の温度を高くし、メタンハイドレートW1を確実に分解させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
なお、本実施形態において、流量計、液面計、開閉弁、圧力・温度計、及び流量調整弁等の配置は第1実施形態と同様なので、図4中への記載及び説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の流体分離装置2では、セパレータ10の槽本体11の外周面及び底面が管状部材55に覆われている。槽本体11と管状部材55との間には隙間T2が形成されている。セパレータ10及び管状部材55の下部は、地中E2に埋設されている。一般的に、地中E2の温度は海底E1の水の温度に比べて高い。また、海底E1ではセパレータ10に対して海水が流れているのに対して、地中E2ではセパレータ10に対して周辺の土は動かない。このことにより、地中E2の方が保温効果が高い。
槽本体11の上部には、下方に向かって曲げられた第一接続管56が挿通されている。第一接続管56の端部は、槽本体11内の液面L10よりも下方に配置されている。第一接続管56は、ポンプ本体25aに接続されている。
管状部材55の上部には、第三排出管43が接続されている。
カバー37に接続された第三接続管58は、管状部材55に接続されている。第三接続管58から分岐した分岐管59は、槽本体11内に挿通されている。分岐管59の端部は、槽本体11内の液面L10よりも上方に配置されている。
流体分離装置2は、図示しない制御部により制御される。
制御部がモータ25bを駆動すると、生産井E6内から吸入管15を通して槽本体11内に生産流体W5が供給される。このとき、吸入管15のサイフォンの原理によりモータ25bの消費電力が抑えられる。
槽本体11内で、生産流体W5は、メタンガスW2と熱媒体W3とに分解する。
メタンガスW2は、槽本体11の上方から第一排出管17を通して下流の工程に送られる。
熱媒体W3は、第一接続管56を通してポンプ25のポンプ本体25aに供給される。熱媒体W3の一部は、第二排出管29から海底E1に排出される。熱媒体W3の残部は、分岐管39を通してカバー37内の隙間T1を流れ、モータ25bが発生する熱で加熱される。
第三接続管58内を流れる熱媒体W3の残部は、分岐管59を通して槽本体11内に供給される。槽本体11内に供給された熱媒体W3は、生産流体W5を直接的に加熱する。
さらに、海底E1の水の温度に比べて地中E2の温度が高いため、セパレータ10内のメタンハイドレートW1が加熱されやすくなる。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、熱交換性能を上げるために、カバー37や管状部材36、55を覆うように断熱材を取付けてもよい。
実施形態では、メタンハイドレートW1は海底E1よりも下方の地中E2に埋蔵されているとした。しかし、メタンハイドレートW1は湖底よりも下方の地中E2に埋蔵されているとしてもよいし、海底又は湖底に設けられるとしてもよい。
第一流体がメタンガスW2で、第一流体の水和物がメタンハイドレートW1であるとした。しかし、第一流体がガスで第一流体の水和物がガスの水和物であるとしてもよい。ガス田においてはガスが採取され、油田においてはガス及び油が採取される。すなわち、本実施形態の流体分離装置及び流体分離方法は、ガス田及び油田においても好適に用いることができる。
10 セパレータ(分離槽)
15 吸入管(供給配管)
15a、40a 開口
25 ポンプ(昇圧部)
25b モータ
35 加熱部
40 第二接続管(戻り配管)
50 制御部
E1 海底
E2 地中
L10 液面
W1 メタンハイドレート(第一流体の水和物)
W2 メタンガス(第一流体)
W3 熱媒体(第二流体)
Claims (9)
- 海底、湖底、あるいは海底又は湖底よりも下方の地中から第一流体を回収する流体分離装置であって、
内部に前記第一流体及び水を収容する分離槽と、
前記流体分離装置を駆動する駆動部と、
前記駆動部が発生する熱で第二流体を加熱するとともに、前記第二流体により前記分離槽内を加熱して前記分離槽内の前記第一流体の水和物を分解する加熱部と、
を備え、
前記駆動部は、前記第二流体を搬送するために前記第二流体の圧力を高くするモータを有する昇圧部を備えることを特徴とする流体分離装置。 - 海底、湖底、あるいは海底又は湖底よりも下方の地中から第一流体を回収する流体分離装置であって、
内部に前記第一流体及び水を収容する分離槽と、
前記流体分離装置を駆動する駆動部と、
前記駆動部が発生する熱で第二流体を加熱するとともに、前記第二流体により前記分離槽内を加熱して前記分離槽内の前記第一流体の水和物を分解する加熱部と、
を備え、
前記分離槽の少なくとも一部は前記地中に埋設されていることを特徴とする流体分離装置。 - 海底、湖底、あるいは海底又は湖底よりも下方の地中から第一流体を回収する流体分離装置であって、
内部に前記第一流体及び水を収容する分離槽と、
前記流体分離装置を駆動する駆動部と、
前記駆動部が発生する熱で第二流体を加熱するとともに、前記第二流体により前記分離槽内を加熱して前記分離槽内の前記第一流体の水和物を分解する加熱部と、
前記加熱部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記分離槽内の圧力が高くなるのにしたがって、前記分離槽内を加熱する加熱量を増加させることを特徴とする流体分離装置。 - 前記第二流体は水を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の流体分離装置。
- 前記加熱部は、前記分離槽に開口し、加熱された前記第二流体を前記分離槽内に供給する戻り配管を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体分離装置。
- 前記戻り配管の前記開口は、前記分離槽内の前記水の液面よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の流体分離装置。
- 前記加熱部は前記第一流体の水和物を間接的に加熱することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体分離装置。
- 前記分離槽内に前記第一流体の水和物を供給する供給配管の開口は、前記分離槽内の前記水の液面よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の流体分離装置。
- 海底、湖底、あるいは海底又は湖底よりも下方の地中から第一流体を回収する流体分離装置を用いた流体分離方法であって、
前記流体分離装置を駆動する駆動部が発生する熱で第二流体を加熱し、
前記第一流体及び水を収容する分離槽内を、前記第二流体により加熱して前記分離槽内の前記第一流体の水和物を分解し、
前記分離槽内の圧力が高くなるのにしたがって、前記分離槽内を加熱する加熱量を増加させることを特徴とする流体分離方法。
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