JP6736809B2 - ガス生産システム、及びガス生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するガス生産システム及びガス生産方法に関する。
近年、天然ガス資源として、天然ガスハイドレートが注目されている。天然ガスは、燃焼時の二酸化炭素排出量が石油や石炭に比べ少なく、天然ガスと水からなる天然ガスハイドレートは、地球温暖化抑制の点で有望な資源である。
天然ガスハイドレートは、メタン分子を水分子が籠状に取り囲んだ結晶構造を有する包接化合物である。天然ガスハイドレートは、低温、高圧の環境下で、固体の状態で存在し、このような環境を満たす、深海の海底の表層や海底面下の地層中に安定して存在している。
従来、海底内に存在する天然ガスハイドレートから天然ガスを取り出す方法として、天然ガスハイドレートにかかる高い水圧に対して減圧された圧力を作用させることで天然ガスハイドレートを分解する減圧法が知られている(例えば、特許文献1)。
減圧法では、具体的に、天然ガスを海底から海上に向けて運ぶ管(ライザー管)を用いて、管内の海水を排出することで液面を下げ、ライザー管内の海水の低い圧力を、天然ガスハイドレートを含んだ海底内の地層(ハイドレート層)に作用させ、分解させる。天然ガスハイドレートが分解して生成した天然ガスは、液体と混ざり合った混相流(気液混合物)としてライザー管内の海水に取り込まれる。混相流を取り込んだ海水は、ライザー管内で、天然ガスと海水とに分離され(気液分離され)、それぞれ海上に排出される。
減圧法を用いて天然ガスの生産量を増やすためには、天然ガスハイドレートに作用する圧力を、天然ガスハイドレートが分解する圧力(分解圧力)の範囲に保つことが重要である。このため、減圧法では、ライザー管内の液体の液面高さが、分解圧力と対応した高さ位置に調整されるように、ライザー管内に進入した水や海水等の液体の排出を行う。つまり、減圧法では、混相流を取り込む取り込み口のあるライザー管の先端部における圧力(坑底圧)を計測して坑底圧を監視しながら、坑底圧の変動に応じてライザー管内の液面の高さ位置を調整することが行われる。このような液面高さの調整は、ポンプの回転周波数を制御して海水の排出量を制御することにより行われる。
特開2010−261252号公報
このように、減圧法では、天然ガスハイドレートに作用する圧力を、ライザー管の先端部における圧力(坑底圧)に基づいて制御するために、ポンプの回転数を制御するが、ポンプに導入される海水には、気液分離装置で行う気液分離が十分でなく気液分離後の液体内に気泡が混入する場合もある。このような液体がポンプ内に進入すると、ポンプの排出能力は混入した気泡によって変動するので、海水の排出量は一定でなく変動し易くなる。しかも、ポンプに進入する気泡の大きさや量も変動するので、海水の排出量は一層変動し易くなる。この結果、ライザー管の先端部における圧力(坑底圧)は変動し、この結果、天然ガスハイドレートに作用する圧力も変動するので、天然ガスハイドレートの分解の程度も変化し易くなる。このように、気液分離装置による気液分離が十分でないことにより変動するライザー管の先端部における圧力(坑底圧)の変動により、天然ガスの生産が変動することは好ましくない。
そこで、本発明は、天然ガスハイドレート等のガスハイドレートを分解してガスを生産するに際し、ポンプ等によるライザー管内の海水等の液体の排出を安定して行い、これにより、ガスハイドレートの分解を制御するための指標となるライザー管の先端部における圧力(坑底圧)の変動を抑制することができるガス生産システム及びガス生産方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するガス生産システムである。当該システムは、
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えたライザー管と、
前記ライザー管内に設けられ、前記気液混合物を取り込んだ前記ライザー管内の前記液体から前記気泡を分離する気液分離装置と、
前記気泡から生成されたガスを、生産するガスとして、前記ライザー管から取り出すガス生成管を備えるガス生成ラインと、
前記気液分離装置で前記ガスが分離された前記液体を前記ライザー管から排出するために前記液体を吸い上げるポンプと、
前記ポンプで吸い上げられた前記液体を前記ライザー管から取り出す液体排出管を備える液体排出ラインと、
前記気液分離装置内に前記液体の液面ができ、かつ、前記ガスハイドレートの分解が制御できるように、前記ポンプの回転を前記先端部における前記圧力に応じて制御する第1制御と、前記ガス生成ラインから取り出される前記ガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、前記液体排出ラインから取り出される前記液体の単位時間の排出量の情報、及び、前記液面の上方の気相空間の気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、前記第1制御により制御される前記ポンプの回転数をさらに制御する第2制御を行う制御装置と、を備える。
前記制御装置は、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の気体の形態を推定できる、前記気泡から作られる前記液体中の気体の流動様式マップを前記第2制御のために備え、前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気体の形態が所望の形態に変化するように、前記ポンプの回転数を制御する、ことが好ましい。
前記気液分離装置は、前記ポンプに入る前の前記液体から前記気泡の一部を排除するための遠心分離装置を備える、ことが好ましい。
前記制御装置は、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の気体の形態を推定できる、気体の流動様式マップを前記第2制御のために備え、
前記制御装置は、前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気液分離装置に導入される前の前記気泡のサイズが小さくなるように、前記ポンプの回転数を制御する、ことが好ましい。
前記気液分離装置は、前記液体の流路が上方に向いた上昇路と、前記液体から前記気泡の一部を排除するために、前記上昇路に接続され前記液体の流路を上方から下方に変更させる下降路と、を備る、ことが好ましい。
前記制御装置は、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の前記気体の形態を推定できる、気体の流動様式マップを前記第2制御のために備え、
前記制御装置は、前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気液分離装置に導入される時の前記気泡のサイズが大きくなるように、前記ポンプの回転数を制御する、ことが好ましい。
本発明の他の一態様は、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するガス生産方法である。当該方法は、
地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって前記ライザー管内に生じる前記先端部における圧力を用いて前記ライザー管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込むステップと、
前記ライザー管内に取り込んだ前記気液混合物を取り込んだ前記液体から気液分離を行ってガスを取り出すステップと、
前記気液分離した前記液体を、前記ライザー管から排出するためにポンプにより吸い上げるステップと、
前記ライザー管内で前記液体の液面ができ、かつ、前記ガスハイドレートの分解が制御できるように、前記ポンプの回転を前記先端部における前記圧力に応じて制御する第1制御を行うステップと、
取り出される前記ガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、前記ポンプにより排出される前記液体の単位時間の排出量の情報、及び、前記液面の上方の気相空間の気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、前記第1制御により制御される前記ポンプの回転数をさらに制御する第2制御を行うステップと、
を備える。
前記第2の制御を行うステップは、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の前記気体の形態を推定できる、気体の流動様式マップを用いて推定した前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気体の形態を所望の形態に変化するように、前記ポンプの回転数を制御することを含む、ことが好ましい。
上述のガス生産システム及びガス生産方法によれば、ポンプ等によるライザー管内の海水等の液体の排出量を安定して行い、これにより、ガスハイドレートの分解を制御するための指標となるライザー管の先端部における圧力(坑底圧)の変動を抑制することができる。
(a)〜(e)は、液体中の気体の流れの形態の例を説明する図である。 一実施形態のガスの生産システムを概略的に示す図である。 ライザー管の先端部付近の内部構成の例を説明する図である。 (a),(b)は、ガス空塔速度と液空塔速度によって定まる、液体中における気体の形態の例を示す図である。
以下、本発明のガスの生産システム及びガス生産方法について説明する。なお、以降の説明では、ガスハイドレートとして天然ガスハイドレートを例として挙げるが、ガスハイドレートは天然ガスハイドレートに限定されない。
また、本明細書でいうガス生産システムは、地中のガスハイドレートを減圧して分解することによりガスを生成するものであり、海底表面にあるガスハイドレートからガスを生成するシステムと異なる。
(ガス生産システムの概略説明)
一実施形態のガスの生産システム(以下、システムともいう)は、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するシステムである。システムは、ライザー管と、気液分離装置と、ガス生成ラインと、ポンプと、液体排出ラインと、制御装置と、を主に備える。
ライザー管は、地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管である。ライザー管には、管の外部に開口した孔が先端部に設けられる。この外部に開口した孔は、ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を管内の液体に取り込むように設けられている。ガスハイドレートは、ライザー管の先端部から上方に延びる管内の液体によって生じる圧力を用いて管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより分解される。
気液分離装置は、ライザー管内に設けられ、気液混合物を取り込んだライザー管の内の液体から液体の液面で気泡を分離するように構成される。
ガス生成ラインは、気泡から生成されたガスを、生産するガスとして、ライザー管から取り出すガス生成管を備える。
ポンプは、気液分離装置でガスが分離された液体をライザー管から排出するために液体を吸い上げるように構成されている。
液体排出ラインは、ポンプで吸い上げられた液体をライザー管から取り出すように構成された液体排出管を備える。
制御装置は、気液分離装置内に前記液体の液面ができ、かつ、ガスハイドレートの分解が制御できるように、ポンプの回転を先端部における圧力に応じて制御する第1制御を行うように構成されている。制御装置は、さらに、ガス生成ラインから取り出されるガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、液体排出ラインから取り出される液体の単位時間の排出量の情報、及び、液面の上方の気相空間の気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、第1制御により制御されるポンプの回転数をさらに制御する第2制御を行うように構成される。
一般に、ライザー管内には、先端部の開口した孔から海水等が流入して先端部の圧力を高くするので、ガスハイドレートに作用する圧力を所定の分解圧力に維持するために、液体の液面高さを所定の高さにするためにポンプの回転数を制御する。すなわち、制御装置は、第1の制御として、気液分離装置内に液体の液面ができ、かつ、ガスハイドレートの分解が制御できるように、ポンプの回転を先端部における圧力に応じて制御する。
しかし、気液分離装置における気液分離が十分に行えず、ポンプに気泡を含んだ液体が流入する場合もある。この場合、ポンプ内に流入した気泡は圧縮されるので、回転数を制御するポンプにおいて回転数を一定に維持してもポンプから排出される液体の排出量は一定でなく変動する。
このため、制御装置は、第2の制御として、ガス生成ラインから取り出されるガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、液体排出ラインから取り出される液体の単位時間の排出量の情報、及び、液面の上方の気相空間の気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、第1制御により制御されるポンプの回転数をさらに制御する。ここで、第2の制御においてガス生成量の情報、液体の排出量の情報、及び、気相空間の気相空間圧力の情報のうちいずれか2つを用いて、ガスハイドレートから生成される気液混合物の気泡から作られる気体の、気液分離装置内に入る時の液体内における形態を推定することができる。
図1(a)〜(e)は、液体中の気体の流れの形態の例を説明する図である。
気体の形態は、気泡流の形態(図1(a)参照)、スラグ流の形態(図1(b)参照)、チャーン流の形態(図1(c)参照)、及び環状流の形態(図1(d)参照)、を含む。気泡流の形態は、気泡が微細気泡のみで構成され、連続した液体中に微細気泡が分散した流れの形態である。スラグ流の形態は、流路断面一杯に広がった大きな気泡(気体スラグ)と微細気泡を含む液体部分(液体スラグ)と、が流路に沿って交互に流れる形態である。チャーン流の形態は、気体スラグが長くなり、その界面が脈動している流れの形態であり、液体スラグ中に多数の気泡を含み、気体スラグと液体スラグの境界が不明瞭な形態である。環状流の形態は、管壁に液体の膜が存在し、流路断面中心部には多数の気体内に液滴が点在した流れの形態である。
このような気体の形態を推定することにより、ポンプによる液体の排出量を不安定にする気体の形態を、ポンプの回転数を制御することにより、ポンプによる液体の排出量を安定にするように、気液分離装置内に入る時の気体の形態を調整することができる。
このため、ポンプによるライザー管内の液体の排出量を安定して行い、これにより、ガスハイドレートの分解を制御するための指標となるライザー管の先端部における圧力(坑底圧)の変動を抑制することができる。
(ガス生産システムの具体的な説明)
図2は、一実施形態のシステム1を概略的に示す図である。図3は、ライザー管10の先端部10a付近の内部構成を説明する図である。以下、海底の地中内の天然ガスハイドレートを分解して天然ガスを生産するシステム1を例に説明する。
システム1は、海上にある掘削船3から海底を経由して地中に延びるライザー管10内で、地中内の天然ガスハイドレートを分解して天然ガスを生成して地上に取り出すシステムである。
システム1は、ライザー管10と、気液分離装置20と、ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13と、制御装置40と、を主に備える。
ライザー管10は、地中内に埋設されるように構成された先端部10aを有する長尺状の管である。ライザー管10は、図2に示す例では、掘削船3から鉛直下方に延び、先端部10aが、海底の坑井7内に埋設されている。坑井7は、掘削により設けられた穴であり、図2に示す例において、海底面2を含む上層4を貫通し、下層に位置するハイドレート層5内で閉塞している。上層4は、例えば、泥を多く含む泥質層である。ハイドレート層5は、例えば、泥と砂を多く含む砂泥互層と呼ばれる層である。ハイドレート層5は、天然ガスハイドレートが砂や泥に取り込まれて存在する、横方向に広がった砂質層を有している。上層4とハイドレート層5との境界は、例えば、海底面下数百メートルの位置にあり、海底面2は、例えば、水深300メートル〜千数百メートルの位置にある。
ライザー管10は、管本体11と、スクリーン19(図3参照)と、を備える。
気液分離装置20と、ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13と、ヒータ26とが、管本体11内に設けられている。
管本体11は、後述する揚収管として機能する部分18の孔18aを除いて、内側の空間を水や海水から隔絶する部材である。管本体11には、図2に示す例では、内側の空間を上下に仕切る隔壁17a、17b、及び隔壁17cが設けられている。隔壁17cからライザー管10の先端まで延びる管本体11の部分は、ハイドレート層5から液体内に取り込まれた気液混合物が液体とともに上方に向かって流れる部分18(以降、この部分を、揚収管部分18ともいう)であり、図2に示す例では、隔壁17cから上方の管本体11の部分と比べ、管径が小さい。揚収管部分18は、ハイドレート層5内に位置している。
スクリーン19は、揚収管部分18にライザー管10の外部に開口した孔18aを覆うように設けられている。孔18aは、ライザー管10の、地中の最も深い位置に延びている先端部に設けられている。孔18aは、ハイドレート層5内の砂質層と接する深さ位置にある揚収管部分18に設けられている。
孔18aに設けられたスクリーン19は、天然ガスハイドレートの分解によって生成した気泡及び水、さらには海水を取り込み、砂や泥を分離除去する部材である。スクリーン19は、気泡、水、海水を通過させるが、砂や泥を通過させない機能を有している。スクリーン19は、例えば、多数の孔を有するシート状又は板状の構造体であって、互いに孔の大きさや形態が異なる複数の構造体から構成される。複数の構造体の組み合わせの具体例として、ジョンソンスクリーン、メッシュ、及びグレーチングが挙げられる。ジョンソンスクリーンは、ジョンソンスクリーン社製の金網状の構造体として周知である。グレーチングは鋼材を格子状に組んだ部材である。ジョンソンスクリーン、メッシュ、グレーチングは、揚収管部分18の側からハイドレート5層の側に向かって、この順に、揚収管部分18に重ねて配置される。
図3に示すように、揚収管部分18には、スクリーン19を通過した気液混合物を取り込むための複数の孔18aが深さ方向に沿って設けられている。孔18aは、揚収管部分18の壁部を貫通し、揚収管部分18の外部に開口している。ライザー管10が孔18aを備えることで、坑底圧を用いて天然ガスハイドレートに作用する圧力を低減し、これによって、気液混合物をライザー管10内に取り込むことができる。
坑底圧とは、ライザー管10の先端部10aから上方に延びるライザー管10内の液体によってライザー管10内の先端部10aにおいて生じる圧力と後述する気相空間Gの圧力の和であり、後述する液面Sの下方の液体によって、ライザー管10の下端が受ける水頭圧によって略定まる圧力である。ライザー管10の下端は、坑井7の穴底(坑底)と略同じ高さ(海面からの深さ)に位置している。先端部10aは、下端と略同じ高さ(海面からの深さ)に位置し、この先端部10aに孔18aが設けられている。
ライザー管10内の液体には、天然ガスハイドレートから分解して生成された気液混合物が取り込まれるほか、孔18aを通して進入した水や海水が取り込まれる。気液混合物は気泡を含むので、ライザー管10内の液体には気泡が混在している。水や海水は、ハイドレート層5に含まれる水や海水、ハイドレート層5と接する他の地層に含まれる水や海水を起源としている。
ライザー管10は、揚収管部分18の先端部10a、詳細にはライザー管10の下端に設けられた、坑底圧を測定する圧力計31を、さらに有している。圧力計31は、制御装置40に接続されており、坑底圧の計測信号を制御装置40に向けて出力する。
図3に示すように、気液分離装置20、ポンプ23、及びヒータ26は、隔壁17b、17cによって仕切られたライザー管10の空間15b内に設けられている。空間15b内には、図3に示す例において、液体の液面Sの上方に、気液分離装置20によって液体から分離されたガスが流入する気相空間Gが形成される。なお、気相空間Gは、海底面2より上方に位置するようライザー管10内に形成されることが好ましい。
気液分離装置20は、揚収管部分18内で液体に取り込まれる気液混合物中の気泡の少なくとも一部を分離する装置である。分離された気泡内のガスは、生産されるガスである。気液分離装置20は、一実施形態によれば、囲み容器21と、遠心分離器22と、を有する。
囲み容器21は、液体排出ライン13を構成する液体輸送管14(後述)の下端を外側から囲むコップ形状の部材である。なお、液体輸送管14内には、遠心分離器22及びポンプ23が設けられている。図3に示す例では、囲み容器21は、管本体11の内壁と隙間をあけて配置された筒状の側壁21aと、側壁21aの下端を塞ぐ底壁21bと、を有する。側壁21aの上端が、液体輸送管14の下端より上方に位置している。これにより、気液混合物を含んだ液体は、図3に示す細い矢印に沿って、管本体11と側壁21aの隙間を上昇した後、液体は、側壁21aと液体輸送管14との隙間を下降し、液体輸送管14内に流れ込む。この過程で、比較的大きい気泡は、浮上速度が大きいため、液体が液体輸送管14内に流れ込むまでに、液体の流れと分離して液面Sに浮上し、ガスが気相空間Gに放出される。図3において、気泡の流れを太い矢印で示す。
すなわち、気液分離装置20は、液体の流路が上方に向いた上昇路と、液体から気泡の一部を排除するために、上昇路に接続され液体の流路を上方から下方に変更させる下降路と、を備える。このような気液分離の方式を、気体と液体にかかる重力(比重)を利用して分離するので、重力分離方式という。
遠心分離器22は、液体輸送管14内に流れ込む液体中に依然として残存する比較的小さい気泡を液体から分離する装置である。遠心分離器22は、図3に示す例では、液体輸送管14内に設けられ、鉛直方向に延びる回転中心線の周りに回転する回転体22aを有する。回転体22aは、後述するモータ24によって駆動される。気泡を含んだ液体は、回転体22aに接近すると、回転体22aの回転によって作られた旋回流に沿って流れる。このとき、気泡及び液体に遠心力が作用し、液体は、気泡より比重が大きいため、回転中心線から遠ざかるように移動し、気泡は、液体に比べて回転中心線に近い側に集められる。このとき、集められて大きくなった気泡は、液体輸送管14に設けられた、液体輸送管14の外部に開口する孔から放出される。これにより、液面Sに浮上し気相空間Gに放出される。一方、液体輸送管14の孔から放出されなかった微小な気泡は、液体とともに液体輸送管14内を上昇する。このように、遠心力を利用して分離する方式を遠心分離方式という。
このように、気液分離装置20は、重力分離方式と遠心分離方式を併用するが、一実施形態によれば、重力分離方式のみで気液分離を行うことができる。また、一実施形態によれば、遠心分離方式のみで気液分離を行うこともできる。
ポンプ23は、液体を液体輸送管14内に引き込んでライザー管10から排出する。図3に示す例のポンプ23は、液体輸送管14内に配置されており、モータ24と、モータ24によって駆動されるスクリュー25と、を有するオーガポンプである。スクリュー25は、鉛直方向に延びる軸と、軸の周りを螺旋状に延びる羽根と、を有しており、液体輸送管14内の液体をスクリュー25の回転によって加圧しながら上方に送る機能を有する。モータ24は、掘削船3の制御装置40に電気的に接続されている。モータ24は、制御装置40から出力された信号を受けて、設定された周波数あるいは調整された周波数で駆動するよう制御される。モータ24は、液体輸送管14内に、液体の流路となる隙間を形成するよう、液体輸送管14内に配置されている。なお、システム1の運転中、ライザー管10には孔18aを通して海水あるいは水が流入し続けることから、通常、ポンプ23は稼働した状態に維持される。
ヒータ26は、空間15b内に流れ込んだ液体を加熱する装置である。ヒータ26は、制御装置40に接続されている。天然ガスハイドレートの分解反応は吸熱反応であるため、液体に取り込まれた気液混合物の温度が低下して天然ガスハイドレートが再生成し、例えば、液体輸送管14の下端を閉塞させる場合がある。ヒータ26は、システム1の運転中に継続してあるいは断続的に、液体を加熱して、天然ガスハイドレートの再生成を抑制する。また、天然ガスハイドレートが再生成したと判断された場合に、制御装置40から出力された信号を受けて駆動するよう制御され、液体を加熱することで、再生成した天然ガスハイドレートを加熱し、分解させる。
ガス生成ライン12は、ガス生成管12aと、ガス流量計測装置12bを備える。
ガス生成管12aは、液面Sに浮上した気泡から生成され、気相空間Gに流入したガスを、生産する天然ガスとしてライザー管10内から取り出す。ガス生成管12aは、気相空間G内のガスを生産する天然ガスとして掘削船3に向けて運ぶ。ガス生成管12aは、管本体11内に、液面Sの上方に配置されており、ガス生成管12aの下端は、気相空間Gに接続されている。ガス流量計測装置12bは、ガス生成管12aの先端の掘削船3上の部分に設けられ、天然ガスの単位時間当たりの生成量を計測する。計測された天然ガスの生成量の情報は、後述する制御装置40に送信される。
また、ガス生成管12aの上方の先端は、例えば、掘削船3あるいは他の船舶に備え付けられた貯蔵タンク(図示せず)、あるいは陸地にある貯蔵システムに延びるパイプラインに接続されている。貯蔵タンクに貯蔵された天然ガスは、適宜、液化され、掘削船3あるいは他の船舶で海上を輸送される。
液体排出ライン13は、管本体11内で天然ガスと分離した液体を掘削船3まで運ぶ液体排出管13aと、液体流量計測装置13bと、を備えている。
液体排出管13aは、図2に示す例において、気液分離装置20から空間15aまで延びる液体輸送管14と、管本体11から分岐して、空間15aから掘削船3まで延びる管16と、を有している。空間15aは、隔壁17a,17bで仕切られた空間である。
液体流量計測装置13bは、管16の上端の、掘削船3上の部分に設けられ、ポンプ23によって排出される液体の単位時間当たりの排出量を計測する。計測された液体の排出量の情報は、後述する制御装置40に送信される。
排出された液体は、例えば掘削船3から海上に廃棄される。
ライザー管10内の気相空間Gには、気相空間Gの圧力を計測する圧力計30が設けられている。圧力計30は、制御装置40に接続されており、気相空間Gの圧力の計測結果の情報が、制御装置40に送信される。圧力計30は、図3に示す例では、空間15aを囲む壁面に設けられている。
また、ライザー管10の先端部12aには、ライザー管10の先端部10aにおける圧力(坑底圧)を計測する圧力計31が設けられている。圧力計31は、制御装置40に接続されており、先端部10aにおける圧力(坑底圧)の計測結果の情報が、制御装置40に送信される。先端部10aにおける圧力は、液体の液面Sの位置及び気相空間Gの圧力によって定まり、ハイドレート層5の天然ガスハイドレートの分解の速度に影響を与える圧力である。
制御装置40は、気液分離装置20内に液体の液面Sができ、かつ、天然ガスハイドレートの分解が制御できるように、ポンプ23の回転を、圧力計31で計測した結果、すなわち先端部10aにおける圧力の計測結果の情報に応じて制御する第1制御と、ガス生成ライン12から取り出されるガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、液体排出ライン13から取り出される液体の単位時間の排出量の情報、及び、液面Sの上方の気相空間Gの気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、第1制御により制御されるポンプ23の回転数をさらに制御する第2制御を行うように構成される。ガス生成量の情報、液体の排出量の情報、及び、気相空間圧力の情報は、それぞれ、ガス流量計測装置12b、液体流量計測装置13b、及び圧力計30から送信された情報である。
第1の制御及び第2の制御については後述する。制御装置40は、CPU、メモリ等を含むコンピュータで構成される。制御装置40は、図2に示す例において、掘削船3に設けられている。
システム1は、例えば、ライザー管10となる資材、及び圧力計30,31、制御装置40を掘削船3に積み、海上の所定の位置まで輸送して組み立てられる。坑井7は、システム1を組み立てる前に予め掘削される。
システム1は、掘削船3の代わりに、固定式又は浮遊式の洋上プラットフォームを備えてもよい。この場合、洋上プラットフォームと陸地とを接続し、洋上プラットフォームから陸地に天然ガスを輸送するパイプラインを備えることが好ましい。
(第1の制御及び第2の制御)
制御装置40は、圧力計31で計測した、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報に応じて、天然ガスハイドレートに作用する圧力を制御して天然ガスハイドレートの分解の速度を制御し、これにより、気液混合物の生成量を調整する。上述したように、通常、液面Sの位置が高くなると、先端部10aにおける圧力(坑底圧)は高くなり、先端部10aにおける圧力(坑底圧)が高くなると、天然ガスハイドレートに作用する圧力も高くなる。このため、先端部10aにおける圧力(坑底圧)を制御するために、ポンプ23の回転数を制御して液体の液面Sの位置を制御する。
具体的には、制御装置40は、先端部10aにおける圧力(坑底圧)に関して目標圧力の範囲の情報を保持している。目標圧力の範囲は、天然ガスハイドレートを分解させる圧力に対応した先端部10aにおける圧力(坑底圧)の範囲である。先端部10aにおける圧力(坑底圧)が目標圧力の範囲内であれば、メタンハイドレートの分解の速度を所定の範囲に制御することができる。
制御装置40は、一定の時間間隔で、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報が目標圧力の範囲にあるか否かを判定する。この判定において、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報が目標圧力の範囲内にあれば、ポンプ23の回転数を維持する。一方、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報が目標圧力の範囲内を超えて高くなっている場合、天然ガスハイドレートの分解の速度が所定の範囲にないので、先端部10aにおける圧力が低くなるようポンプ23の回転数を上げる制御を行う。これにより、天然ガスハイドレートの分解の速度を促進させることができる。
また、先端部10aにおける圧力の計測結果、すなわち、圧力計31の計測結果の情報が目標圧力の範囲内より低くなっている場合、天然ガスハイドレートの分解の速度が所定の範囲にないので、先端部10aにおける圧力が高くなるように、ポンプ23の回転数を下げる制御を行う。これにより、天然ガスハイドレートの分解の速度を抑制することができる。
以上が、制御装置40が行う第1の制御である。
このような第1の制御では、ポンプ23の回転数を制御してポンプ23による液体の排出量を制御するが、ポンプ23に吸い上げられる液体には、気液分離装置20により気泡を液体から分離しても十分に気泡を除去することはできず、微細気泡が液体に混入している場合もある。場合によっては、スラグ流の形態(図1(b)参照)で大きな気泡が液体に混在してポンプ23に吸い込まれる場合もある。このような場合、ポンプ23の液体の排出量が、微細気泡や大きな気泡(気体スラグ)の影響により液体の排出量が低下し易い。ポンプ23に吸い上げられる液体内に混入する微細気泡の量は時間的に変動するので、ポンプ23の排出量も時間変動し、これに伴って、液面Sの高さも時間変動する。この結果、先端部10aにおける圧力も時間変動するため、この圧力の時間変動に応じて上記第1の圧力制御によって、ポンプ23の回転数を制御する。このため、ポンプ23の回転数は時間変動するので、天然ガスハイドレートの分解も時間変動し易い。このように第1の制御は、不安定な制御となる場合がある。
このため、システム1では、第1の制御の他に、第2の制御を行い、ポンプ23に吸い込まれる液体内に混入する気体の形態を制御する。
制御装置40は、図3に示すライザー管10内において、揚収管部分18を流れる気泡から作られる液体中の気体の形態を推定し、この推定結果がポンプ23の安定した排出量を確保する上で好ましくない気体の形態であれば、この気体の形態に応じて、ポンプ23の回転数を上げる、あるいは下げることにより、ポンプ23に吸い込まれる液体内に混入する気体の形態を制御する。この形態の制御が第2の制御である。
このような気体の形態の推定のために、制御装置40は、ガス生成ライン12から取り出されるガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、液体排出ライン13から取り出される液体の単位時間の排出量の情報、及び、気相空間Gの気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いる。これらの情報は、ガス流量計測装置12b、液体流量計測装置13b、及び圧力計31から送られる計測結果の情報である。
図4(a),(b)は、単位時間のガス生成量から算出されるガス空塔速度と単位時間のガス生成量から算出される液空塔速度によって定まる、液体中における気体の形態の例を示す図である。図4(a),(b)では、気泡流、スラグ流のように、5種類の気体の形態に区分けした液体中の気体の流動様式マップを示している。ガス空塔速度及び液空塔速度は、単位時間当たりのガス生成量及び液体排出量の情報を揚収管部分18における流路断面積で除算した値である。図4(a)は、気相空間圧力が低い時の気体の形態の一例を示し、図4(b)は、気相空間圧力が高い時の気体の形態の一例を示している。
このような気体の形態は、気相空間Gの気相空間圧力、排出される液体の塩分濃度、あるいは、揚収管部分18の長さによっても変化する。排出される液体の塩分濃度、あるいは、揚収管部分18の長さは、外部環境によってあるいはシステム1の構成によって定まるパラメータである。これに対して、気相空間Gの気相空間圧力は、制御装置40で制御され得るパラメータである。
したがって、制御装置40は、ガス生成量の情報、液体の排出量の情報、及び、気相空間Gの気相空間圧力の情報のうち少なくとも2つを用いて、揚収管部分18における液体中における気体の形態を推定する。例えば、気相空間圧力の情報が変化していない場合、ガス生成量の情報と液体の排出量の情報から、揚収管部分18における液体中における気体の形態を推定する。
具体的には、制御装置40は、図4(a),(b)に示すような、ガス空塔速度及び液空塔速度の情報と、気体の形態を対応付けた2次元流動様式マップを気相空間圧力毎に予め記憶保持しておく。あるいは、ガス空塔速度、液空塔速度、及び気相空間圧力の3つの情報と、気体の形態を対応付けた3次元流動様式マップを予め記憶保持しておく。
制御装置40は、ガス流量計測装置12b、液体流量計測装置13b、及び圧力計31から送られる計測結果の情報から、記憶保持した2次元流動様式マップあるいは3次元流動様式マップを用いて、揚収管部分18における液体中における気体の形態を推定する。
このようにして気体の形態の推定結果を利用して、制御装置40は、好ましい気体の形態に移行するように、ポンプ23の排出量の制御を行う。推定結果である気体の形態が、ポンプ23の安定した排出を行う点から好ましい形態の場合、制御装置40は、ポンプ23の排出量の制御はせず、すなわち、第1の制御で設定されたポンプの回転数を維持する。しかし、推定結果である気体の形態が、ポンプ23の安定した排出を行う点から好ましくない形態の場合、制御装置40は、ポンプ23の排出量を制御するために、第1の制御で設定されたポンプ23の回転数を変更する。気体の形態が好ましくない形態とは、気液分離装置の気液分離の特性によって異なる。
上述したように、気液分離装置20では、重力分離方式と遠心分離方式を併用するが、重力分離方式による気液分離の能力が、遠心分離方式による気液分離の能力より高い場合、気液分離装置20に進入する気泡は大きいほど、液面Sに浮上して破泡し易いので、気泡流よりもスラグ流の形態の方が好ましい。したがって、この場合、推定結果である気体の形態が図1(a)に示す気泡流の形態の場合、図1(b)に示すスラグ流の形態になるように(ガス空塔速度に対する液空塔速度が小さくなるように)、ポンプ23の回転数を上げる。これにより、液面Sが低下するので、先端部10aにおける圧力(坑底圧)を低下し、天然ガスハイドレートの分解を促進させることができ、大きな気泡を発生させてスラグ流を形成させ易くすることができる。このため、液体に分散する気泡を大きな気泡にして重力分離方式で効率よく気液分離を行うことができる。
一方、遠心分離方式による気液分離の能力が、重力分離方式による気液分離の能力より高い場合、気液分離装置20に進入する気体の形態がスラグ流の形態である場合、遠心分離器22の分離室内全体に気体スラグが占有して遠心分離されない期間が多くなるため、遠心分離の効果は低くなる。このことから、遠心分離方式では、スラグ流の形態よりも気泡流の形態が、ポンプ23の安定した排出を行なう点から好ましい形態である。したがって、推定結果である気体の形態が図1(b)に示すスラグ流の形態の場合、図1(a)に示す気泡流の形態になるように(ガス空塔速度に対する液空塔速度が大きくなるように)、ポンプ23の回転数を下げる。これにより、液面Sが上昇するので、先端部10aにおける圧力(坑底圧)は上昇し、天然ガスハイドレートの分解を抑制させることができ、小さな気泡を発生させて気泡流を形成させ易くすることができる。このため、液体に分散する気泡を小さな気泡にして遠心力分離方式で効率よく気液分離を行うことができる。
このような第2の制御では、ポンプ23の回転数の調整量を、気体の形態の推定結果は、図4(a),(b)に示すグラフ上にプロットでき、また、目標とする好ましい形態の目標位置を、上記グラフ上で定めることができるので、一実施形態によれば、現在のプロット位置から目標位置までの移動距離に応じて、ポンプ23の回転数の増加量あるいは低減量を定めることができる。
また、一実施形態によれば、好ましい気体の形態に移行させるために、ポンプ23の現在の回転数が、第1の制御で定めた回転数に対して、一定の量の回転数が増えるように、あるいは一定の量の回転数が減るように、回転数を制御することもできる。
以上のように、制御装置40は、気液分離装置20内に液体の液面Sができ、かつ、ガスハイドレートの分解が制御できるように、ポンプ23の回転を先端部10aにおける圧力に応じて制御(第1制御)するとともに、ガス生成量の情報、液体の排出量の情報、及び、気相空間Gの気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、第1制御により制御されるポンプ23の回転数をさらに制御(第2制御)する。このため、ポンプ23に吸い込まれる液体内に存在する気泡を好ましい気体の形態にできるので、安定したポンプ23の排出により、先端部10aにおける圧力を安定させて、安定した天然ガスハイドレートの分解を実現することができる。
このとき制御装置40は、ガス生成量の情報と、排出量の情報と、気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、気液分離装置20に導入される時の気体の形態を推定できる、気泡から作られる液体中の気体の流動様式マップを記憶保持し、第2制御のために用いる。このため、制御装置40は、液体及び気体の実際の流れを画像モニタ等で観察しなくても、計測された情報から、気体の形態を推定できるので、容易に第2の制御を行うことができる。
また、気液分離装置20は、ポンプ23に入る前の液体から気泡の一部を排除するための遠心分離器22を備えることが好ましい。これにより、遠心分離方式で、微細気泡を遠心分離により液体から除去することができ、ポンプ23の排出を安定させることができる。
この場合、制御装置40は、気体の形態の推定結果に基づいて、気液分離装置20に導入される時の気泡のサイズが小さくなるように、ポンプ23の回転数を制御するので、遠心分離器22で小さな気泡(微細気泡)を液体から効率よく排除できポンプ23における液体の排出をより安定させることができる。
気液分離装置20は、図3に太線の矢印及び細線の矢印で示すように、液体の流路が上方に向いた上昇路と、液体から気泡の一部を排除するために、上昇路に接続され液体の流路を上方から下方に変更させる下降路と、を備る。このため、大きな気泡は、上昇路から液面Sに向けて浮上するので、大きな気泡を液体から容易に分離することができる。
この場合、制御装置40は、気体の形態の推定結果に基づいて、気液分離装置20に導入される時の気泡のサイズが大きくなるように、ポンプ23の回転数を制御するので、上昇路及び下降路で大きな気泡を液体から効率よく排除でき、ポンプ23における液体の排出をより安定させることができる。
したがって、一実施形態として、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産する天然ガスの生産方法を以下のように実現することができる。
地中内に埋設された先端部10aを有し、先端部10aから上方に延びるライザー管10内の液体によってライザー管10内に生じる先端部10aにおける圧力を用いてライザー管10の外部にある天然ガスハイドレートに作用する圧力を低減させる。
次に、天然ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって天然ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、ライザー管10の外部に開口した孔10aからライザー管10内の液体に取り込む。
ライザー管10内に取り込んだ気液混合物を取り込んだ液体から気液分離装置20で気液分離を行ってガスを取り出す。
この後、気液分離した液体を、ライザー管10から排出するためにポンプにより吸い上げる。
このとき、ライザー管10内で液体の液面Sができ、かつ、天然ガスハイドレートの分解が制御できるように、ポンプ23の回転を先端部10aにおける圧力に応じて制御する第1制御を行う。
さらに、取り出されるガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、ポンプ23により排出される液体の単位時間の排出量の情報、及び、液面Sの上方の気相空間Gの気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、第1制御により制御されるポンプ23の回転数をさらに制御する第2制御を行う。
このとき、第2の制御を行うとき、ガス生成量の情報と、排出量の情報と、気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、気液分離装置20に導入される時の気体の形態を推定できる、気泡の流動様式マップを用いて推定した気体の形態の推定結果に基づいて、気体の形態を所望の形態に変化するように、ポンプ23の回転数を制御する。
以上、本発明のガス生産システム及びガス生産方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 ガス生産システム
2 海底面
3 掘削船
4 上層
5 ハイドレート層
7 坑井
10 ライザー管
10a 先端部
11 管本体
12 ガス生成ライン
13 液体排出ライン
13a 液体排出管
14 液体輸送管
15a 空間
16 管
17a,17b,17c 隔壁
18 揚収管部分
20 気液分離装置
21 囲み容器
21a 側壁
21b 底壁
22 遠心分離器
23 ポンプ
24 モータ
25 スクリュー
26 ヒータ
30,31 圧力計
40 制御装置

Claims (8)

  1. 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するガス生産システムであって、
    地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えたライザー管と、
    前記ライザー管内に設けられ、前記気液混合物を取り込んだ前記ライザー管内の前記液体から前記気泡を分離する気液分離装置と、
    前記気泡から生成されたガスを、生産するガスとして、前記ライザー管から取り出すガス生成管を備えるガス生成ラインと、
    前記気液分離装置で前記ガスが分離された前記液体を前記ライザー管から排出するために前記液体を吸い上げるポンプと、
    前記ポンプで吸い上げられた前記液体を前記ライザー管から取り出す液体排出管を備える液体排出ラインと、
    前記気液分離装置内に前記液体の液面ができ、かつ、前記ガスハイドレートの分解が制御できるように、前記ポンプの回転を前記先端部における前記圧力に応じて制御する第1制御と、前記ガス生成ラインから取り出される前記ガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、前記液体排出ラインから取り出される前記液体の単位時間の排出量の情報、及び、前記液面の上方の気相空間の気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、前記第1制御により制御される前記ポンプの回転数をさらに制御する第2制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とするガス生産システム。
  2. 前記制御装置は、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の気体の形態を推定できる、前記気泡から作られる前記液体中の気体の流動様式マップを前記第2制御のために備え、前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気体の形態が所望の形態に変化するように、前記ポンプの回転数を制御する、請求項1に記載のガス生産システム。
  3. 前記気液分離装置は、前記ポンプに入る前の前記液体から前記気泡の一部を排除するための遠心分離装置を備える、請求項1に記載のガス生産システム。
  4. 前記制御装置は、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の気体の形態を推定できる、気体の流動様式マップを前記第2制御のために備え、
    前記制御装置は、前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気液分離装置に導入される前の前記気泡のサイズが小さくなるように、前記ポンプの回転数を制御する、請求項3に記載のガス生産システム。
  5. 前記気液分離装置は、前記液体の流路が上方に向いた上昇路と、前記液体から前記気泡の一部を排除するために、前記上昇路に接続され前記液体の流路を上方から下方に変更させる下降路と、を備る、請求項1に記載のガス生鮮システム。
  6. 前記制御装置は、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の前記気体の形態を推定できる、気体の流動様式マップを前記第2制御のために備え、
    前記制御装置は、前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気液分離装置に導入される時の前記気泡のサイズが大きくなるように、前記ポンプの回転数を制御する、請求項5に記載のガス生産システム。
  7. 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するガス生産方法であって、
    地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって前記ライザー管内に生じる前記先端部における圧力を用いて前記ライザー管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
    前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込むステップと、
    前記ライザー管内に取り込んだ前記気液混合物を取り込んだ前記液体から気液分離を行ってガスを取り出すステップと、
    前記気液分離した前記液体を、前記ライザー管から排出するためにポンプにより吸い上げるステップと、
    前記ライザー管内で前記液体の液面ができ、かつ、前記ガスハイドレートの分解が制御できるように、前記ポンプの回転を前記先端部における前記圧力に応じて制御する第1制御を行うステップと、
    取り出される前記ガスの単位時間当たりのガス生成量の情報、前記ポンプにより排出される前記液体の単位時間の排出量の情報、及び、前記液面の上方の気相空間の気相空間圧力の情報のうち、少なくとも2つの情報を用いて、前記第1制御により制御される前記ポンプの回転数をさらに制御する第2制御を行うステップと、
    を備えることを特徴とするガス生産方法。
  8. 前記第2の制御を行うステップは、前記ガス生成量の情報と、前記排出量の情報と、前記気相空間圧力の情報とを少なくとも用いて、前記気液分離装置に導入される時の前記気体の形態を推定できる、気体の流動様式マップを用いて推定した前記気体の形態の推定結果に基づいて、前記気体の形態を所望の形態に変化するように、前記ポンプの回転数を制御することを含む、請求項7に記載のガス生産方法。
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