JP2014134049A - メタンハイドレートからのメタンガス生産装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
メタンガス生産のエネルギーを少なくし、エネルギー効率よくメタンハイドレートの集濃した地盤から多量にメタンガスを生産でき、簡素な構造で、生産費用に対して採算性を有するメタンハイドレートからのメタンガス生産装置を提供する。
【解決手段】
海底又は湖底に設置された解離チャンバー6内で減圧法によってメタンハイドレートからメタンガスを生産し、メタンガスをガス管5から回収するとともに、解離チャンバー6内の海水又は湖水などの残渣流体を海底又は湖底に吐出し、且つ解離チャンバー6内をメタンガス解離圧力以下に減圧するポンプ8の駆動エネルギーに充当できるように、採取したメタンハイドレートを含む海水又は湖水などの採取流体を採取チャンバー7から水車9に取水して解離チャンバー6に吐出させ、水車9にエネルギーを発生させた。
【選択図】図1
メタンガス生産のエネルギーを少なくし、エネルギー効率よくメタンハイドレートの集濃した地盤から多量にメタンガスを生産でき、簡素な構造で、生産費用に対して採算性を有するメタンハイドレートからのメタンガス生産装置を提供する。
【解決手段】
海底又は湖底に設置された解離チャンバー6内で減圧法によってメタンハイドレートからメタンガスを生産し、メタンガスをガス管5から回収するとともに、解離チャンバー6内の海水又は湖水などの残渣流体を海底又は湖底に吐出し、且つ解離チャンバー6内をメタンガス解離圧力以下に減圧するポンプ8の駆動エネルギーに充当できるように、採取したメタンハイドレートを含む海水又は湖水などの採取流体を採取チャンバー7から水車9に取水して解離チャンバー6に吐出させ、水車9にエネルギーを発生させた。
【選択図】図1
Description
本発明は、海底または湖底に存在するメタンハイドレートからのメタンガス生産装置に関する。
石油・石炭に替わる新資源としてメタンハイドレートが注目を集めてきている。日本の近海には多量のメタンハイドレートの埋蔵量があり、特に日本海にはメタンハイドレートが濃集した表層型メタンハイドレート塊が埋蔵されていると公表されて一層の注目を浴びている。メタンガスによるプルームを魚群探知機により検知できることが分かり、メタンハイドレートが濃集して埋蔵された位置を容易に特定できる。海水に溶けた地球温暖化係数が約20のメタンガスが大気中に自然に放出されるよりも、採取したメタンガスを燃焼して地球温暖化係数1の炭酸ガスを大気中に放出する方が地球環境保護にとっても有益と言う説があり、少なくても炭酸ガスを多量に放出する石油・石炭よりもメタンの方が地球環境に優しい。したがって早急な海底調査とともに、実用化・商業化できるメタンハイドレートからのメタンガス生産の技術確立が急務である。
メタンハイドレートは石油や天然ガスのように纏まって埋蔵されていないこと、五百メートルを超える深海に埋蔵されて自噴しないので海上まで搬送するには多大なエネルギーを要することなどにより、メタンハイドレートからメタンガスを生産する費用とメタンハイドレートから得られるメタンガスの価格を考えあわせると採算があわず、メタンハイドレートは資源とは言えないという説がある。しかし、メタンハイドレートが濃集した地盤は前述のように容易に発見できるようになってきており、石油や天然ガスよりも資源埋蔵位置が特定されやすいので、一箇所のメタンハイドレートの埋蔵量が少なくても広く分散した埋蔵箇所を順次掘削していけば多量のメタンガスの生産が容易である。表層型メタンハイドレートでは地盤の掘削に多くのエネルギーや費用を必要としない。メタンハイドレート採取が目的でなく、メタンガス生産が目的であるので、海底にてメタンハイドレートを解離させ大気圧よりも高圧のメタンガスを生成できれば、天然ガスが自噴するのと同様にメタンガスの搬送にエネルギーや費用を必要としないので、メタンハイドレートは生産方法次第では採算性のある有望な巨大資源であると言える。
メタンハイドレートは温度を上げたり、圧力を下げたりすることにより相平衡状態が崩れてメタンガスを解離することができるので、温水やレーザなどで熱刺激を与える方法があり、ウォータージェットで海底または湖底のメタンハイドレート塊を撹拌し、メタンガスを高濃度に溶け込ませた水を揚水することによって、水に溶けたメタンガスからメタンガスを採取する方法がある。後者の方法はバイカル湖にて採取が成功している。
従来のメタンガス生産方法ではメタンハイドレートからメタンを解離させメタンガスを生産するには多大なエネルギーを必要とした。エネルギーを要することは費用を要すると言う意味である。ウォータージェットを用いる前述の特許文献では、第一に、ウォータージェットによりメタンハイドレートからメタンガスを解離させても、海底・湖底の高圧力下では、メタンと水が容易に再結晶化してメタンハイドレートに戻る。それに費やされたウォータージェットによる撹拌のエネルギーすなわち費用は無駄となる問題点がある。
第二に、メタンハイドレート自体を積極的に揚水しておらず、メタンガスが高濃度に溶解した水からメタンガスを気体として取り出している。水へのメタンガスの溶解度は1リッター中に35mg(17℃)と小さいので、メタンガス生産量も少ない問題点がある。すなわちメタンガス生産によって得られる利益が少ない。
第三に、ウォータージェットで海底・湖底を撹拌するには海底又は湖底の圧力を上回る圧力を海上又は湖上にて発生させなければならない。この上回る圧力によるエネルギーのみが撹拌のエネルギーであり、海底又は湖底の圧力に昇圧するまでのエネルギーは撹拌に寄与しない無駄なエネルギーとなる問題点がある。ウォータージェットの発生装置を海底・湖底に配設すればこの無駄なエネルギーを費やさずに済むが、その発想が示されていないので今後の検討を要する。
第四に、揚水管内ではメタンガスを含むため揚水管内部の比重が小さいので、揚水管の上下の水頭が揚水管の外の海又は湖の上下の水頭より小さい。そのためメタンガスを高濃度に溶解した水は海底・湖底の圧力により揚水管で徐々に揚水される。揚水管上部で吸引しても解離チャンバーから自噴するようにメタンガスが噴出せず、揚水管内のメタンガスの溶解した水からメタンガスが徐々に遊離するので、揚水管内の揚水速度が小さくて揚水量が少ない。したがって、メタンガスの生産速度が小さく、生産量が少ない問題点がある。
第五に、従来のメタンガス生産装置では海底・湖底の直下方向のメタンハイドレートからのメタンガス採取は考慮されているが、海底面・湖底面を前後左右に移動し、周辺を広く掘削してメタンガス採取するには追加の移動装置が必要であり、また別途エネルギーを要する問題点がある。
本発明は、少ない費用で多額の利益が得られ、採算性良くメタンガス生産の商業化ができるように、メタンハイドレートからのメタンガス生産に要するエネルギーが少なく、多量の生産量を達成し、簡素な構造のメタンガス生産装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るメタンハイドレートからのメタンガス生産装置は、海底又は湖底に存在するメタンハイドレートから減圧法にてメタンガスを生産する装置である。本発明においては、メタンガスを生産する圧力容器の解離チャンバーを海底又は湖底に設置した。前記解離チャンバーをメタンハイドレートからのメタンガス解離圧力以下に減圧し、前記解離チャンバー内に海水又は湖水などを含んで取り込まれたメタンハイドレートからメタンガスを解離する。海水又は湖水に溶解したメタンガスも前記解離チャンバー内での減圧により遊離する。前記解離チャンバー内で解離・遊離にて得られたメタンガスを海上または湖上あるいは地上に移送するため、前記解離チャンバーにガス管を取り付けた。前記解離チャンバー内がメタンガス解離圧力以下に減圧されても、大気圧よりはるかに高圧であるので、例えば海上または湖上あるいは地上に設置されたメタンガス回収タンクのバルブを開くと、前記解離チャンバー内のメタンガスはガス管を介して低圧のメタンガス回収タンクに流入する。天然ガスが自噴して回収されるのと同様である。
本発明においては、前記解離チャンバーの減圧にはポンプを用いる。メタンガスが解離・遊離して残留した海水又は湖水などの残渣流体を前記解離チャンバーから海底又は湖底に吐出して減圧する。前記残渣流体を吐出して減圧するには前記ポンプに駆動エネルギーの注入を必要とし、前記解離チャンバーと海低又は湖低の圧力差と前記ポンプの吐出量が大きいほど大きなエネルギーを必要とする。
本発明においては、海底又は湖底の高い圧力と減圧された前記解離チャンバーの低い圧力との圧力差によって、海水又は湖水や一部泥・砂などが混じったメタンハイドレートの採取流体が、採取チャンバー内に設けた水車の取水口から前記水車に流入し、前記水車の吐出口から前記解離チャンバーに流れ込む。前記採取流体の流入により水車が回転し、この水車の回転によってエネルギーが発生する。前記水車は、圧力差と前記水車の取水量が大きいほど大きなエネルギーを発生する。
本発明においては、前記水車で発生したエネルギーを前記ポンプの駆動エネルギーに充当することを特徴とする。前述のように低い圧力の前記解離チャンバー内から高い圧力の海底又は湖底に多量の前記残渣流体を前記ポンプで吐出するには膨大なエネルギーを必要とし、一方、高い圧力の海底又は湖底から低い圧力の前記解離チャンバー内に多量の前記採取流体が流れ込むと前記水車は膨大なエネルギーを発生する。
前記水車が発生するエネルギーを発電機により電力エネルギーに変換し、前記ポンプのモーターの駆動電力エネルギーに充当するのが一つの手段である。前記発電機と前記モーターを兼用し、前記水車と前記ポンプを兼用して交互に正転・逆転させ、前記水車が発生したエネルギーを発電機により電力エネルギーに変換し、前記ポンプのモーターの駆動電力に充当する方法もある。
また、本発明においては、前述の他の手段として、前記水車の回転力を歯車などの伝達機構にて前記ポンプの回転軸に伝達し、前記水車で発生したエネルギーを前記ポンプの駆動エネルギーに機械的に充当する方法がある。
さらに、本発明においては、前述の他の手段として、前記ポンプの回転軸と前記水車の回転軸の回転方向を同一とし、前記ポンプの回転軸と前記水車の回転軸を同軸として直結し、前記水車で発生したエネルギーを前記ポンプの駆動エネルギーに機械的に充当する方法がある。
本発明においては、前記解離チャンバー内で前記採取流体が回転して渦流が生じるように、前記解離チャンバーの壁に、または前記解離チャンバー内に設けた隔壁に対して斜めに流出する方向に前記水車の吐出口を配設した。前記解離チャンバー内に設けた前記隔壁は円筒状でもよく、平板状でも円弧状の板でもよい。
本発明においては、前記解離チャンバーに熱交換用のフィンを設けた。メタンハイドレートからメタンガスが解離するときに吸熱反応を生じ、前記解離チャンバー内の温度が低下する。吸熱反応により温度が低下した前記解離チャンバー内の温度を海底または湖底の温度近くまで上昇させ、メタンハイドレートからメタンガスが解離するときの吸熱反応に必要な解離熱を補給した。
本発明においては、採取チャンバーを前記解離チャンバーの下部に配置した。前記水車の取水口を収納した前記採取チャンバーを設け、前記採取チャンバー内の前記採取流体が回転して渦流が生じるように、前記採取チャンバーの壁に、または前記採取チャンバー内に設けた隔壁に対し、斜めに流入する方向に前記水車の取水口を配設した。前記採取チャンバー内に設けた前記隔壁は円筒状でもよく、平板状でも円弧状の板でもよい。
また、前記採取チャンバーに海底面または湖底面に対向して設けられたメタンハイドレートの掘削用のカッターを複数個配設した。前記採取チャンバーに配設された複数の前記カッターをそれぞれ個別に動作方向を変える従来考慮されていなかった制御を行った。
本発明に係るメタンハイドレートからのメタンガス発生装置においては、前記解離チャンバーを海底又は湖底に設置し、メタンハイドレートのメタンガス解離圧力以下に減圧し、前記解離チャンバー内にてメタンハイドレートからメタンガスを解離するので、メタンガスと水が再結晶化してメタンハイドレートに戻らず、ウォータージェットを使用した従来の例のようにメタンガス解離に費やしたエネルギーに無駄を生じないようにすることが可能である。
また、メタンが高濃度に溶けた水からメタンガスを取りだしているだけではなく、メタンガスを多く結晶化して内蔵しているメタンハイドレートからメタンガスを前記解離チャンバーにて生産しているので、多量にメタンガスを生産することが可能である。また、前記解離チャンバーからガス管を介して自噴するようにメタンガスが噴出するので、メタンガスの移送にエネルギー・費用を要しない。
本発明に係るメタンハイドレートからのメタンガス発生装置においては、前記解離チャンバーを減圧するために、前記解離チャンバーの低い圧力から海底又は湖底の高い圧力まで前記ポンプで昇圧するが、膨大に必要な前記ポンプの駆動エネルギーに、前記水車が発生する膨大なエネルギーを充当したので、前記ポンプへの外部電源からのエネルギー供給を少なくできる利点がある。損失のない理想的なポンプと水車を達成できれば、エネルギーの補給が不要で前記解離チャンバーを減圧でき、外部電源からのエネルギーが不要でメタンハイドレートからのメタンガス生産装置が得られることになる。現実には種々の損失があるのでエネルギーが不要とはならないが、前記解離チャンバーの減圧するために要する前記ポンプの主要なエネルギーが前記水車で充当されるため、小さなエネルギーでメタンハイドレートからメタンガスを解離してメタンガスを生産することが可能である。
前記水車に発電機を設け、その発生電力を前記ポンプのモーターの駆動電力に充当する手段でも、小さなエネルギーでメタンハイドレートからメタンガスを解離・生産することが可能である。ただし、大容量の発電機と大容量のモーターが必要となり、発電機の発電効率、モーターの駆動効率の観点からエネルギーの損失は大きくなる。
前記水車の回転軸をポンプ回転軸に歯車などの伝達機構を介して伝達させ、前記水車のエネルギーを前記ポンプの駆動エネルギーに機械的に充当する本発明に係るメタン発生装置においては、発電機を無くすことができるので簡素なメタンガス生産装置とできる利点がある。前記ポンプの駆動源の一つとなるモーターの出力容量も小さくでき、小さなエネルギーでメタンハイドレートからメタンガスを解離・生産することが可能である。
前記ポンプの回転軸と前記水車の回転軸との回転方向を同一とし、前記ポンプの回転軸と前記水車の回転軸を同軸として直結して、前記水車のエネルギーを前記ポンプの駆動エネルギーに機械的に充当する本発明に係るメタンガス発生装置においては、歯車などの伝達機構がないので、一層コンパクトで簡素な構造が得られ、小さなエネルギーでメタンハイドレートからメタンガスを解離・生産できる利点がある。
本発明に係るメタンガス発生装置においては、前記解離チャンバー内にて前記採取流体が回転するように前記水車の吐出口を配設したので、前記解離チャンバー内に渦流が生じ、容易にメタンガスを回収できる利点がある。メタンハイドレートは解離圧力以下の環境に静かに放置するだけではメタンガスの発生速度は小さいが、水車にて撹拌されるのでメタンガスの発生速度は大きくなる。発生したメタンガスは水中で気泡となるが、前記解離チャンバー内に渦流を作れば、遠心力により、比重の大きい泥・砂や海水又は湖水は渦の外周側にはじかれ、前記採取流体内のメタンガスの気泡は渦の中心部に集まり、泥・砂や海水又は湖水からの分離が促進され、渦の中心部の低流速の上部が気室となり、ガス管からメタンガスを回収しやすくなる。
本発明に係るメタンガス発生装置においては、前記解離チャンバーに熱交換用のフィンを設けたので、熱交換用のフィンにより前記解離チャンバーの温度を高めることができ、メタンガス解離圧力を高くして前記ポンプの昇圧圧力を小さくできるので、前記ポンプの吐出量を多くし、前記水車からの流入量も多くでき、メタンガス生産の速度を増加し、メタンガス生産量を増加できる利点がある。前記解離チャンバー内の温度が低いとメタンガスが解離する圧力が低くなり、前記解離チャンバーから海底又は湖底の圧力へ昇圧する前記ポンプのエネルギーも大きくなる。
本発明に係るメタンガス発生装置おいては、前記水車の取水口を収納した前記採取チャンバーを設け、海底面又は湖底面に対向して設けられたカッターを前記採取チャンバーに複数配設したので、海底または湖底のメタンハイドレート層を掘削しながら前記水車の取水口にメタンハイドレートを集めることができ、前記採取チャンバー内に多くのメタンハイドレートを取り込むことが可能になる。また、前記採取チャンバー内の前記採取流体が回転するように前記水車の取水口を配設したので、前記採取チャンバーに渦流が生じ、泥・砂が渦の周囲に遠心力で飛ばされ、比重の小さいメタンハイドレートが渦の中心部に集まり一層前記水車の取水口にメタンハイドレートが集まる利点がある。
また、前記採取チャンバーを前記解離チャンバーの下部に配置し、前記採取チャンバーに配設された複数の前記カッターをそれぞれ個別に制御したので、掘削だけでなく海底面または湖底面に沿って前後左右、回転方向に移動でき、広い領域、深い領域のメタンハイドレート層の掘削が可能になり、前記採取チャンバー、前記解離チャンバーの移動のための追加の走行装置を必要とせず、メタンガス生産装置を簡素化できる利点がある。
図4は、本発明によるメタンハイドレートからのメタンガス生産装置のメタンガスの生産形態である。メタンガス生産装置1は、ワイヤー4に吊るされ、海底又は湖底のメタンハイドレート3を濃集した地盤2の上の所定の位置に設置される。メタンガス生産装置1は海水(湖水)や海底(湖底)の泥・砂の一部とともにメタンハイドレート3を取り込み、メタンガス生産装置1内で生産されたメタンガスはガス管5を介して海上(湖上)に送られる。メタンガス生産装置1内のメタンガスは大気圧に比べて高圧であるので、海上(湖上)まで自噴するように送られる。ワイヤー4にはポジショナー20が設けられ、メタンガス生産装置1の地盤2に到達までの海中(湖中)での位置の補正やワイヤー4、ガス管5などのねじれの補正をおこなう。ポジショナー20はメタンガス生産装置1に設けてもよい。なお、メタンガス生産装置1内へ気体を充填することによりメタンガス生産装置1の重量が浮力によって軽減され、海底(湖底)への設置作業が容易となる。
図1は、本発明によるメタンガス生産装置1の実施例である。解離チャンバー6は海底(湖底)で外圧を受ける圧力容器であり、解離チャンバー6の内部にポンプ8、水車9、モーター10が設けられている。ポンプ8、水車9、モーター10は二対配設している。二対のモーター10の双方が逆方向の回転するようにしてあり、メタンガス生産装置1自体に回転力が作用しにくいように、双方のモーター10の回転の反作用を相殺している。メタンガス生産装置1が潮流などによる不測の事故により、海底(湖底)への固定力が低下した場合、メタンガス生産装置1が回転して、ワイヤー4やガス管5や図示していない電力ケーブル・制御ケ−ブルなどがねじれたり、よじれたりしないためである。ポンプ8、水車9、モーター10は複数組あってもよい。このような不測の事故が予想されない場合やメタンガス生産装置1が回転しても支障がない場合には、ポンプ8、水車9、モーター10は一対でもよい。
水車の取水口12を採取チャンバー6の内部に、水車の吐出口13とポンプの取水口11を解離チャンバー6の内部に、ポンプの吐出口14を海底側又は湖底側に配置した。このように配置するかぎり、ポンプ8、水車9、モーター10は解離チャンバー6の外部に設けてもよい。
解離チャンバー6の内部を減圧するため、メタンガスが回収されて残った海水(湖水)、泥・砂などの残渣流体をポンプの取水口11からポンプ8を駆動して取水し、ポンプの吐出口14より海底(湖底)側に吐出させる。ポンプ8は、地上の商用電力から電力ケーブル(図示せず)を介した外部電源によるモーター10によって駆動される。なお、解離チャンバー6の内部がメタンハイドレートからのメタンガス解離圧力よりも低くなるよう減圧するので、解離チャンバー6の内部でメタンハイドレートが解離してメタンガスが生成され、メタンガス解離圧力以下であるので、解離チャンバー6の内部でメタンガスが再結晶化してメタンハイドレートには戻らない。
解離チャンバー6内が海底(湖底)の圧力よりも低いため、海水(湖水)と一部の泥・砂などとメタンハイドレートの採取流体が、水車の取水口12から取水され、水車9を回転させながら水車の吐出口13から吐出する。水車9の回転により、水車9にエネルギーが発生する。
解離チャンバー6に流入した採取流体に渦流19を生じさせるため、水車の吐出口13を解離チャンバー6の壁に対し斜めの方向に流出するように向けている。解離チャンバー6内に発生したメタンガスは水中で気泡となるが、解離チャンバー内に渦流を作ることにより、遠心力で比重の重い泥・砂や海水(湖水)は外周側にはじかれ、流体内のメタンガスの気泡は渦の中心部に集まり、泥・砂や海水(湖水)などの残渣流体からの分離が促進され、低流速の渦の中心部の上部が気室18となってメタンガスを回収しやすくなる。気室18のメタンガスは解離チャンバー6に設けられたガス管5を介し、海上(湖上)の図示していない低圧のメタンガス貯蔵設備に圧力差により自噴するように送られる。
メタンハイドレートを採取する採取チャンバー7は解離チャンバー6の下に配設されている。採取チャンバー7と解離チャンバー6を一体とすることにより、メタンガス生産装置1がコンパクトで簡素となる。採取チャンバー7は解離チャンバー6の横に接続しても同じ効果が得られる。採取チャンバー7と解離チャンバー6を離して配設しても、採取チャンバー7に水車9の取水口12を有するかぎりメタンハイドレートを生産する機能では同じである。
採取チャンバー7内に渦流21を生じさせるため、採取流体が採取チャンバー7の壁に対し斜めの方向から流入するように水車の取水口12を向けている。解離チャンバー6に取り込む必要がない比重の大きい泥・砂を渦流21により採取チャンバー7の壁側に追いやり、水より比重の小さいメタンハイドレートを水車の取水口12から多く取り込みやすくするためである。
解離チャンバー6内の渦流19の回転方向と採取チャンバー7内の渦流21の回転方向は逆としている。渦流により生じる反作用を相殺し、メタンガス生産装置1自体に回転力が作用し難くするためである。不測の事故により、海底(湖底)への固定力が低下した場合、メタンガス生産装置1が回転して、ワイヤー4やガス管5や図示していない電力ケーブルなどがねじれたり、よじれたりしないためである。不測の事故が予想されない場合やメタンガス生産装置1が回転しても支障がない場合には、渦流19の回転方向と渦流21の回転方向は考慮しなくてもよい。
解離チャンバー6の壁面に熱交換用フィン17が設けられている。解離チャンバー6の内部圧力が高いほど海底(湖底)との圧力差が小さくなり、ポンプ8の駆動力も小さくて済み、またポンプ8の吐出量を多くできる。そのためにはメタンハイドレートの解離圧力が高くなるよう解離チャンバー6の温度を上げる必要がある。メタンハイドレートの解離には吸熱作用を生じるため、解離チャンバー6の温度が海底(湖底)よりも低下する。熱交換用フィン17によって海底(湖底)から熱量が供給され、解離チャンバー6の温度が上昇する。熱交換用フィン17の効果を上げるため、熱交換用フィン17をチャンバー6の壁面の外側と内側に設けられ、内側の熱交換用フィン17は渦流19の流れを阻害しないように解離チャンバー6の円環状に水平に設けている。螺旋状でもよい。全周でなくても部分的に取り付けても、何枚取り付けてもよい。解離チャンバー6の外側の熱交換用フィン17は垂直方向でもよいが、潮流などを考慮すると水平方向の方が効果的である可能性もある。
解離チャンバー6内の残渣流体の水位を把握するため、解離チャンバー6に水位計23を配設した。水位計23はソナー・音波を用いることができるが、簡単には電極間の電気抵抗の変化を見ることによっても得られる。なお、水位計23として、水車9の吐出量、ポンプ8の取水量などから間接的に解離チャンバー6内の残渣流体量を把握する方法も考えられる。
なお、高水圧下でのモーターは深海探査機などで多くの実績がある。簡単には油封入モーターとし、モーターにベローズや弁を設けることによってモーター内外の圧力差をほとんど無くして高水圧下に対応することができる。
採取チャンバー7にはバラスト16が設けられ、採取チャンバー7を重くしてカッター15の掘削力を増強している。
図2は、図1に示す本発明によるメタンガス生産装置1のポンプ8と水車9の動作を示す。モーター動力を有しないポンプ8の上部に発電機を有しない水車9が配置され、水車9の上部にモーター10が配設され、それぞれの回転軸を同軸として接続している。これは、水車9の回転エネルギーを、ポンプ8を駆動するモーター10のエネルギーとして補充する一例である。メタンガスが解離・遊離して残った解離チャンバー6内の残渣流体は、低い圧力の解離チャンバー6→ポンプの取水口11→ポンプ8→ポンプの吐出口14→高い圧力の海底(湖底)と流れ、メタンハイドレートを採取した採取流体は、高い圧力の採取チャンバー7→水車の取水口12→水車9→水車の吐出口13→低い圧力の解離チャンバー6と流れる。このとき、水車9とポンプ8の回転軸が直結されているので、水車9が発生するエネルギーが、ポンプ8を駆動するエネルギーに機械的に充当される。ポンプ8の駆動に不足するエネルギーをモーター10で補う。水車9の出力損失、ポンプ8の出力損失がなければ、この低い圧力→高い圧力→低い圧力の循環を永久機関のように繰り返すことになる。エネルギー損失がない機関はないので、エネルギー損失分を外部電源から補うのがモーター10の役目である。モーター10はポンプ8の主動力でないので小容量でよい。メタンガスは解離チャンバー6内で生産され自噴するようにガス管5から回収されるので、メタンガスの移送には外部電源からのエネルギーは不要となる。
ポンプ8は渦巻ポンプとしており、ポンプの取水口11はポンプ8の中心部下部に設けられ、ポンプ8の外周部からポンプの吐出口14を介して残渣流体を海底(湖底)に吐出する。ポンプの取水口11を下に向けて配設したことにより、解離チャンバー6の下部に溜まった泥・砂を取り込み易くしている。
水車9は渦巻水車としており、採取チャンバー7内に設けられた水車の取水口12から水車9の外周部を経て採取流体を取水し、採取流体を水車9の中心部に設けられ水車の吐出口13から解離チャンバー6に吐出する。大きな石や砂が流入してポンプ8や水車9を損傷しないように、水車の取水口12に網22を設けている。
モーター10の駆動により解離チャンバー6の圧力がメタンガス解離圧力以下の所定の圧力に下がるまで、モーター10の所定の出力及び回転数以上では、ポンプ8の吐出量が水車9の取水量を上回るようにポンプ8と水車9を設計している。
水位計23にて解離チャンバー6で残渣流体が所定の水位以下となるまでモーター10の出力を上げ、海上または湖上あるいは地上などにてガス管内5の圧力を測定する図示していない圧力計にて、所定の圧力以下となるまでメタンガスをガス管5から回収する。なお、水位計23を用いず、前記圧力計が所定の圧力以上となるまでモーター10の出力を上げ、所定の圧力以下となるまでメタンガスをガス管5から回収することも可能であり、また、圧力計を用いず、水位計23が所定の水位以下となるまでモーター10の出力を上げ、所定の水位以上となるまでメタンガスをガス管5から回収することもできる。
なお、モーター10を発電機と兼用し、さらにポンプ8を割愛して水車9をポンプと兼用し、水車9を水車として使用したり、逆転して水車9をポンプとして使用したりして、水車の発生電力エネルギーをポンプの駆動電力エネルギーに充当する応用もある。解離チャンバー6内の海水(湖水)などの残渣流体が少なくなれば、水車9を水車として使用してモーター10で発電し、その電力を商用電力に充当又は充電して一時的に保留する。解離チャンバー6内の海水(湖水)などの残渣流体が多くなれば、逆転して一時的に保留していた発電で得られた電力を、水車9をポンプとして使用するモーター10の駆動電力に充当する。ポンプの取水口11、ポンプの吐出口14は、それぞれ水車の吐出口13、水車の取水口12から分岐し、必要に応じて図示していない電磁弁を切り替えればよい。
図3は、図1に示すメタンガス生産装置の採取チャンバー7に設けられたカッター15の動作例である。採取チャンバー7の外周側に周辺掘削カッター15aを6個設けており、採取チャンバー7周辺のメタンハイドレートを採取チャンバー7内に取り込む。地下掘削カッター15bの6個にて採取チャンバー7の下方を掘削し、採取チャンバー7の下のメタンハイドレートを採取チャンバー7内に取り込む。カッター15はそれぞれ図示していないモーターで駆動される。カッター15の個数は図3の例にかぎらず、少なくても多くても複数個あれば下記と同様の動作が得られる。地下掘削カッター15bの回転軸は図3のように地盤に対して水平でなくても、垂直の回転軸として回転の軸端面で掘削する構造でも同様の動作が得られる。
図3の実線矢印に示すように周辺掘削カッター15a、地下掘削カッター15bを回転させると、地下方向に掘削動作し、メタンハイドレートが採取チャンバー7内に採取できる。破線矢印に示すように周辺掘削カッター15a、地下掘削カッター15bを回転させると、採取チャンバーの動作方向24に示す方向に移動しながらメタンハイドレートを掘削・採取できる。一点鎖線矢印に示すように周辺掘削カッター15a、地下掘削カッター15bを回転させると、採取チャンバーの回転方向25に示す方向に回転しながらメタンハイドレートを掘削・採取できる。
1 メタンガス生産装置
2 地盤
3 メタンハイドレート層
4 ワイヤー
5 ガス管
6 解離チャンバー
7 採取チャンバー
8 ポンプ
9 水車
10 モーター
11 ポンプの取水口
12 水車の取水口
13 水車の吐出口
14 ポンプの吐出口
15 カッター
15a 周辺掘削カッター
15b 地下掘削カッター
16 バラスト
17 熱交換用フィン
18 気室
19 渦流
20 ポジショナー
21 渦流
22 網
23 水位計
24 採取チャンバーの移動方向
25 採取チャンバーの回転方向
2 地盤
3 メタンハイドレート層
4 ワイヤー
5 ガス管
6 解離チャンバー
7 採取チャンバー
8 ポンプ
9 水車
10 モーター
11 ポンプの取水口
12 水車の取水口
13 水車の吐出口
14 ポンプの吐出口
15 カッター
15a 周辺掘削カッター
15b 地下掘削カッター
16 バラスト
17 熱交換用フィン
18 気室
19 渦流
20 ポジショナー
21 渦流
22 網
23 水位計
24 採取チャンバーの移動方向
25 採取チャンバーの回転方向
第三に、ウォータージェットの発生装置が海上又は湖上にあるため、海上又は湖上から海底又は湖底までの管路の損失エネルギーは撹拌に寄与しない無駄なエネルギーとなる問題点がある。ウォータージェットの発生装置を海底・湖底に配設すればこの無駄なエネルギーを費やさずに済むが、その発想が示されていない
本発明においては、前記解離チャンバーの減圧にはポンプを用いる。メタンガスが解離・遊離して残留した海水又は湖水などの残渣流体を前記解離チャンバーから海底又は湖底に吐出して減圧する。前記残渣流体を吐出して減圧するには前記ポンプに駆動エネルギーの注入を必要とし、前記解離チャンバーと海底又は湖底の圧力差と前記ポンプの吐出量が大きいほど大きなエネルギーを必要とする。
解離チャンバー6の内部を減圧するため、メタンガスが回収されて残った海水(湖水)、泥・砂などの残渣流体をポンプの取水口11からポンプ8を駆動して取水し、ポンプの吐出口14より海底又は湖底側に流出させる。海底又は湖底側に流出できる圧力があれば、ポンプの吐出口14を延長した管路の損失エネルギー、管路の詰りを考慮する必要があるが、海中(湖中)、海上(湖上)や地上などにも流出できる。ポンプ8は、地上の商用電力から電力ケーブル(図示せず)を介した外部電源によるモーター10によって駆動される。商用電力だけでなく、地上、海上(湖上)の自家発電の電源、船舶用電源などが外部電力として使用できるのは明らかである。なお、解離チャンバー6の内部がメタンハイドレートからのメタンガス解離圧力よりも低くなるよう減圧するので、解離チャンバー6の内部でメタンハイドレートが解離してメタンガスが生成され、メタンガス解離圧力以下であるので、解離チャンバー6の内部でメタンガスが再結晶化してメタンハイドレートには戻らない。
メタンハイドレートを採取する採取チャンバー7は解離チャンバー6の下に配設されている。採取チャンバー7と解離チャンバー6を一体とすることにより、メタンガス生産装置1がコンパクトで簡素となる。採取チャンバー7は解離チャンバー6の横に接続しても同じ効果が得られる。採取チャンバー7と解離チャンバー6を水車の取水口12の管路を延長して離して配設しても、採取チャンバー7に水車9の取水口12を有するかぎりメタンハイドレートを生産する機能では同じである。
Claims (1)
- メタンガスとメタンガスが解離・遊離して残った海水又は湖水などの残渣流体を収容する解離チャンバーと解離チャンバーに下方または隣接する位置にメタンハイドレートを採取する採取チャンバーを設け、前記解離チャンバーは、解離チャンバー内で生産したメタンガスを回収するガス管と、前記残渣流体を吐出して前記解離チャンバー内を減圧させるポンプと、前記残渣流体を取水する前記ポンプの取水口と、前記残渣流体を前記海底又は湖底に吐出する前記ポンプの吐出口と、メタンハイドレートを含む前記採取流体の流入によって駆動される水車と、前記採取流体を前記採取チャンバーから取水する前記水車の取水口と、前記採取流体を前記解離チャンバー内に吐出させる前記水車の吐出口と、前記ポンプの駆動とメタンガスの回収を制御するために、前記ガス管内のガス圧を測定する圧力計、または前記解離チャンバー内の残渣流体量を把握する水位計と、地上の商用電力から電力ケーブルを介した外部電源とを備え、前記採取チャンバーは、メタンハイドレートを採掘するための機能を備え、前記解離チャンバー内の前記残渣流体が所定の量となるように、前記残渣流体を前記ポンプの取水口から、外部電源によるモーターの駆動により前記ポンプを駆動して汲み上げ、前記ポンプの吐出口より海底(湖底)に吐出させて、前記解離チャンバー内部がメタンハイドレートからのメタンガス解離圧力よりも低くなるように減圧し、前記解離チャンバー内が海底(湖底)の圧力よりも低いため、海水(湖水)と一部の泥・砂などとメタンハイドレートの前記採取流体が、前記採取チャンバーに配設した前記水車の取水口から取水され、前記水車を回転させながら、採取流体を前記水車の吐出口から前記解離チャンバー内に吐出し、前記水車にて発生した回転エネルギーを、前記ポンプへの補充エネルギーとすることで、効率よく、前記解離チャンバー内でメタンハイドレートが解離してメタンガスが生成するようにしたことを特徴とするメタンハイドレートからのメタンガス生産装置。
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