JP2018071059A - 分離回収装置及びガスハイドレートの回収システム - Google Patents
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Abstract
Description
メタンハイドレートは、低温高圧状態でメタン分子が水分子に囲まれた、氷状の固体である。このようにメタンハイドレートの重量の大半が水分であるため、海底でメタンハイドレートからメタンを分離して、メタンガスとして回収して揚収効率を向上することが望まれている。
ガスハイドレートからのガス分離には、加熱又は減圧が必要となる。しかし、深海底では、雰囲気圧が非常に高くガスハイドレートの減圧には技術的な課題も多い。そのため、加熱又は化学的な安定状態を変化させるインヒビターを用いた方法が現実的であると考えられている。
特許文献2には、海底では無く水上でメタンハイドレートからメタンガスを分離させる設備が記載されている。この特許文献2の設備では、外部からのエネルギー供給を無くすために原動機の排熱を利用してメタンハイドレートを加熱している。
一方、特許文献2に記載のシステムは、排熱を利用して効率向上を図っているが、排熱利用だけではガス分離に十分な熱エネルギーを得られず、他の熱エネルギーを注入する必要が有る。
また、特許文献2で利用する排熱は、深海底などの水底に導く途中で冷却されてしまう。そのため、特許文献2に記載のシステムを、海底で行うガス分離に適用することは困難となっている。
この発明の第一態様によれば、分離回収装置は、内部に分離空間を形成する収容部と、往復駆動されることで前記分離空間の容積を往復変化させる往復移動部と、前記往復移動部を往復駆動させる駆動部と、を備え、前記収容部は、前記往復移動部が第一位置にある際に、開状態となって前記分離空間内にガスハイドレートを含む堆積物を導入する導入ポートと、前記往復移動部が前記第一位置にある状態よりも前記分離空間の容積が大きくなって減圧状態となる第二位置にある際に開状態となって、前記ガスハイドレートから分離したガスを回収する回収ポートと、前記往復移動部が前記第二位置から前記第一位置に移動する際に、前記堆積物を排出する排出ポートと、を備える。
このように構成することで、分離空間内に導入ポートを介してガスハイドレートを含む堆積物が導入される。そして、この状態で往復移動部を第一位置から第二位置に移動させることで分離空間が減圧される。この減圧により、ガスハイドレートからガスを分離させることができる。さらに、第二位置に往復移動部が移動して回収ポートが開状態となりガスハイドレートから分離されたガスを、回収ポートを介して回収できる。また、ガスを回収ポートから回収した後、往復移動部を第二位置から第一位置へさせることで分離空間に残存しているガスが分離された堆積物を排出ポートから排出することができる。
したがって、ガスハイドレートから主に加熱によってガスを分離させる場合と比較して、減圧により効率よくガスを分離させることができる。また、往復移動部による往復動によって減圧を行うため、深海底などであっても容易且つ確実に分離空間を減圧することができる。
このように構成することで、ガスハイドレートの減圧と加熱とを両方行うことができる。その結果、ガスハイドレートからガスを効率よく分離させることができる。
このようにすることで、分離空間に供給された燃焼可能な気体に着火可能となる。そのため、気体を燃焼させて、この気体の燃焼によりガスハイドレートを加熱することができる。
このようにすることで、ガスハイドレートから分離したガスを燃料として、ガスハイドレートを加熱することができる。そのため、例えば、水上等の外部から加熱用の燃料を供給する場合と比較して、外部からの燃料供給を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
このようにすることで、ガスハイドレートから分離したガスを燃料として、往復移動部を移動させることができる。そのため、例えば、水上等の外部から加熱用の燃料を供給する場合と比較して、外部からの燃料供給を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
この熱交換部により、駆動部の排熱を回収してガスハイドレートを加熱することができる。
上記のようにインデューサを流体中で高速回転させ、剥離を発生させることで、ガスハイドレートが減圧される。そのため、ガスハイドレートからガスを分離させることができる。さらに、インデューサによる遠心分離によって相対的に比重の大きい堆積物がインデューサの径方向外側に移動する一方で、相対的に比重の小さいガスがインデューサの径方向内側に移動する。そして、遠心分離された堆積物は、インデューサの径方向外側の排出管から外部に排出される。また、ガスハイドレートから分離されたガスは、圧送部に送り込まれる。そして、圧送部によって圧縮されて、回収管を介して、例えば、水上等に送られる。
したがって、ガスハイドレートから主に加熱によってガスを分離させる場合と比較して、減圧により効率よくガスを分離させることができる。また、インデューサの回転による流体の剥離を利用してガスハイドレートの減圧を行うため、深海底などであっても容易且つ確実にガスハイドレートを減圧することができる。
このように構成することで、ガスハイドレートの減圧と加熱とを両方行うことができる。その結果、ガスハイドレートからガスを効率よく分離させることができる。
このように構成することで、駆動部の排熱を有効利用してインデューサでガスハイドレートの加熱することができる。
このように構成することで、採掘したガスハイドレートからガスを分離して、この分離したガスを、揚収管を介して水上等に移動させて回収することができる。
したがって、堆積物を水上まで上げる必要が無いため、ガス回収の効率を向上することができる。
(第一実施形態)
図1は、この実施形態のガスハイドレート回収システムの概略構成を示す構成図である。
この第一実施形態においては、ガスハイドレートとしてメタンハイドレートからガスを回収するガスハイドレート回収システムを一例に説明する。また、この第一実施形態においては、深海底(例えば、水深1000m程度)に存在するメタンハイドレートを土砂とともに掘削して採取する場合について説明する。なお、採取されるメタンハイドレートは、砂層形、表層型の何れであっても良い。
採掘機2は、海底に堆積するメタンハイドレートを含む堆積物を破砕して吸入する。また採掘機2は、吸入した堆積物を粉砕して、この粉砕した堆積物を、移送管3を介して分離回収装置4へ供給する。
図2に示すように、この第一実施形態における分離回収装置4は、分離装置本体部7と、駆動部8と、加熱部9と、を備えている。なお、図2においては、図示都合上、分離装置本体部7の上下を反転して示している。
この第一実施形態における分離回収装置4は、複数の分離装置本体部7、より具体的には3つの分離装置本体部7を備えている。
分離装置本体部7は、収容部10と、往復移動部11と、を主に備えている。
収容部10は、その内部に分離空間Bを形成する。ここで、分離空間Bとは、メタンハイドレートからメタンガスを分離させるための空間を意味している。
より具体的には、収容部10は、例えば、有底円筒状に形成され、その内周面10aと往復移動部11の端面11aとによって分離空間Bを形成する。
導入ポートP1は、往復移動部11が第一位置(後述する)にある際に、バルブ(後述する)が開状態となるポートである。導入ポートP1には、移送管3が連通されており、導入ポートP1のバルブが開状態となることで、分離空間B内にメタンハイドレートを含む堆積物が導入可能となる。ここで、この堆積物には、海水も含まれている。
燃焼気体供給部14は、メタンハイドレートから分離したメタンガスMの一部を含む燃焼可能な気体を、分離空間Bに供給する。この第一実施形態における燃焼気体供給部14は、燃焼気体供給配管16と、メタンガス分岐配管17と、を備えている。
図3は、この発明の第一実施形態における分離回収装置の導入工程を示す図である。図4は、この発明の第一実施形態における分離回収装置の減圧工程を示す図である。図5は、この発明の第一実施形態における分離回収装置の回収工程を示す図である。図6は、この発明の第一実施形態における分離回収装置の排出工程を示す図である。なお、図3から図6においては、図示都合上、上述した着火部15の図示を省略している。
次に、この発明の第一実施形態の変形例を図面に基づき説明する。なお、この第一実施形態の変形例は、上述した第一実施形態と、駆動部8が内燃機関である点と、予熱用の熱交換器を備える点とでのみ相違する。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図7に示すように、この発明の第一実施形態の変形例におけるガスハイドレート回収システム1Bの分離回収装置4Bは、分離装置本体部7と、駆動部8Bと、加熱部9と、予熱部(熱交換部)20と、を備えている。
次に、この発明の第二実施形態における分離回収装置及びガスハイドレート回収システムを図面に基づき説明する。
図8は、この発明の第二実施形態におけるガスハイドレート回収システムの概略構成を示す構成図である。
この第二実施形態においては、ガスハイドレートとしてメタンハイドレートからガスを回収するガスハイドレート回収システムを一例に説明する。また、この第二実施形態においては、深海底(例えば、水深1000m程度)に存在するメタンハイドレートを土砂とともに掘削して採取する場合について説明する。なお、採取されるメタンハイドレートは、砂層形、表層型の何れであっても良い。
採掘機102は、海底に堆積するメタンハイドレートを含む堆積物を破砕して吸入する。また採掘機102は、吸入した堆積物を粉砕して、この粉砕した堆積物を、移送管3を介して分離回収装置104へ供給する。
図9に示すように、この第一実施形態における分離回収装置104は、分離装置本体部107と、駆動部108と、を備えている。
分離装置本体部107は、分離管109と、インデューサ110と、排出管111と、圧送部112と、回収管113と、を備えている。
図10に示すように、翼114は、複数設けられ、インデューサ110Bの軸線O方向にそれぞれ間隔を空けて配置されるとともに、インデューサ110の周方向に互いに等距離ずらして配置されている。周方向Aにインデューサ110を回転させると、軸線O方向の上流側から流れてきた流体F1が、翼114に向かって進入する。
また、メタンハイドレートから分離されたメタンガスMは、圧送部112に送り込まれる。そして、圧送部112によって圧送されて、回収管113を介して、例えば、海上の揚収母船106に送られる。
次に、この発明の第二実施形態の変形例を図面に基づき説明する。なお、この第二実施形態の変形例は、上述した第二実施形態と、加熱部を備える点でのみ相違する。そのため、図8を援用するとともに、上述した第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。また、第二実施形態と同一部分の重複説明については省略する。
図8に示すように、この第二実施形態の変形例におけるガスハイドレート回収システム100Bの分離回収装置104Bは、移送管103を介して移送されてきた堆積物に含まれるメタンハイドレートからメタンガスMを分離させる。さらに、分離回収装置104Bは、メタンガスMが分離された堆積物である土砂と海水をそれぞれ外部に排出する。また、分離回収装置104Bは、分離されたメタンガスMを、ライザー管105を介して圧送する。
そして、図11に示すように、分離回収装置104Bは、分離装置本体部107Bと、駆動部108Bと、加熱部120と、を備えている。
回転軸122は、軸線O回りに回転することで、駆動部108Bから出力される回転エネルギーを、ボス121に伝達する。
第二流路126には、複数の第一流路125がインデューサ110Bのボス121の内部で合流するようにして接続されている。
循環配管127は、内部に熱媒体が流れる流路を形成する。また、循環配管127は、熱媒体を、駆動部108Bとインデューサ110B近傍の分離管109との間で循環させる循環流路を形成している。この分離管109の途中にはポンプ130が設けてあり、このポンプ130の出力により熱媒体を循環させている場合を例示している。
ここで、上述した第一加熱回路123及び第二加熱回路124で用いる熱媒体は、駆動部108Bのロータ108Ba及びステータ108Bbをそれぞれ冷却する冷却液と呼ぶこともできる。なお、上記熱媒体は、液体に限られず、気体であっても良い。
例えば、第一実施形態においては、メタンハイドレートから分離させたメタンガスMを燃料としてメタンハイドレートを加熱する場合について説明した。しかし、揚収母船106等の外部からメタンハイドレートを加熱するための燃料を別途供給しても良い。
また、分離装置本体部7の設置数は、第一実施形態で説明した3つに限られない。分離装置本体部7を1つだけ設けたり、4つ以上設けたりしても良い。
さらに、インデューサ110B、駆動部108B、圧送部112の順で配置するようにした場合、駆動部108Bと圧送部112との間に減速機を設けても良い。このようにすることで、圧送部112の回転数を駆動部108Bの回転数よりも低くできる。これにより、駆動部108Bを高速化できるため、例えば、高速モータを使用して駆動部108Bを小型化することができる。なお、減速機としては、例えば、遊星ギヤ状のインライン形を用いることができる。
2 採掘機
3 移送管
4 分離回収装置
5 ライザー管
6 揚収母船
7 分離装置本体部
8 駆動部
9 加熱部
10 収容部
10a 内周面
11 往復移動部
11a 端面
11b ピストンロッド
12 排出管
13 クランクシャフト
14 燃焼気体供給部
15 着火部
16 燃焼気体供給配管
17 メタンガス分岐配管
18 コンプレッサ
19 分岐配管
20 予熱部
21 排気配管
100,100B ガスハイドレート回収システム
102 採掘機
103 移送管
104 分離回収装置
105 ライザー管
106 揚収母船
107 分離装置本体部
108,108B 駆動部
108Ba ロータ
108Bb ステータ
109 分離管
110,110B インデューサ
111 排出管
112 圧送部
113 回収管
114 翼
120 加熱部
121 ボス
122 回転軸
123 第一加熱回路
124 第二加熱回路
125 第一流路
126 第二流路
127 循環配管
128 第一熱交換器
129 第二熱交換器
130 ポンプ
131 増速器
D 伝達機構
D1,D2 断熱材
M メタンガス
P1 導入ポート
P2 回収ポート
P3 排出ポート
T1,T2 堆積物
Claims (10)
- 内部に分離空間を形成する収容部と、
往復駆動されることで前記分離空間の容積を往復変化させる往復移動部と、
前記往復移動部を往復駆動させる駆動部と、を備え、
前記収容部は、
前記往復移動部が第一位置にある際に、開状態となって前記分離空間内にガスハイドレートを含む堆積物を導入する導入ポートと、
前記往復移動部が前記第一位置にある状態よりも前記分離空間の容積が大きくなって減圧状態となる第二位置にある際に開状態となって、前記ガスハイドレートから分離したガスを回収する回収ポートと、
前記往復移動部が前記第二位置から前記第一位置に移動する際に、前記堆積物を排出する排出ポートと、
を備える分離回収装置。 - 前記分離空間に導入されたガスハイドレートを加熱可能な加熱部を備える請求項1に記載の分離回収装置。
- 前記加熱部は、
前記分離空間に、燃焼可能な気体を供給する燃焼気体供給部と、
前記燃焼気体供給部によって供給された前記気体に着火する着火部と、を備える請求項2に記載の分離回収装置。 - 前記燃焼可能な気体は、前記ガスハイドレートから分離したガスの一部を含む請求項3に記載の分離回収装置。
- 前記駆動部は、前記ガスハイドレートから分離したガスの一部を燃料として駆動する内燃機関である請求項1から4の何れか一項に記載の分離回収装置。
- 前記駆動部で生じる排熱と、前記分離空間へ導入前の前記ガスハイドレートとの間で熱交換させる熱交換部を備える請求項1から5の何れか一項に記載の分離回収装置。
- ガスハイドレートを含む堆積物及び海水を含む流体が導入される分離管と、
前記分離管内に配置され、前記分離管の軸線回りに回転することで、前記流体の流れに剥離を発生させて前記ガスハイドレートからガスを分離させるインデューサと、
少なくとも前記インデューサを回転させる駆動部と、
前記インデューサの径方向外側で前記分離管に接続されて、インデューサによる遠心分離によって前記流体を外部に排出する排出管と、
前記分離管における前記インデューサの下流側に設けられて、軸線回りに回転することで、前記ガスを圧送する圧送部と、
前記圧送部の下流側で前記分離管に接続されて、前記ガスを回収する回収管と、
を備える分離回収装置。 - 前記分離管に導入された前記流体を加熱可能な加熱部を備える請求項7に記載の分離回収装置。
- 前記加熱部は、
前記駆動部の排熱によって前記インデューサを加熱する請求項8に記載の分離回収装置。 - 請求項1から9の何れか一項に記載の分離回収装置と、
前記ガスハイドレートを採掘する採掘装置と、
前記採掘装置により採掘した前記ガスハイドレートを前記分離回収装置へ移送する移送管と、
前記分離回収装置で回収されたガスを揚収する揚収管と、
を備えるガスハイドレート回収システム。
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