JP2019156907A - ハロゲン系樹脂用可塑剤 - Google Patents
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Abstract
Description
可塑剤としては、フタレート系可塑剤(フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)等)が汎用されているが、これらのフタレート系可塑剤は、環境毒性の懸念から、近年、同等の性能を維持できる他の可塑剤が求められている。
非フタレート系可塑剤としては、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(TOTM)等が知られている。しかしながら、非フタレート系可塑剤は、フタレート系可塑剤と比べて性能が劣っており、例えば、ATBCは耐熱性が劣り、DOAは塩化ビニル系樹脂との相溶性が劣り、TOTMは可塑化効率が劣るという問題がある。
特許文献2には、2−プロピルヘプタノール89重量以上及び4−メチル−2−プロピルヘキサノール10重量%以下を含む混合デシルアルコールのフタル酸ジエステルからなる可塑剤と、塩化ビニル樹脂とを含有する塩化ビニル樹脂フィルムが開示されている。
特許文献3には、化学結合数の総和の加重平均値が特定の範囲にある炭素数が10の脂肪族アルコール組成物を、フタル酸又は無水フタル酸と反応させて得られたフタル酸ジエステル可塑剤組成物、及び塩化ビニル系樹脂組成物が開示されている。
本発明は、ハロゲン系樹脂に対して、優れた可塑化効果を有すると同時に、生産性、加工性、混練性、耐熱性の全てにおいて、それぞれの特性を損なうことなく優れた効果を発揮するハロゲン系樹脂用可塑剤、及びその可塑剤を含有するハロゲン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[3]を提供する。
[1]炭素数10の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するフタル酸ジデシル混合物を含有するハロゲン系樹脂用可塑剤であって、
フタル酸ジデシル混合物中のフタル酸ジ−n−デシルの含有量が48モル%以上70モル%以下である、ハロゲン系樹脂用可塑剤。
[2]前記[1]に記載の可塑剤を含有する、ハロゲン系樹脂用可塑剤組成物。
[3]ハロゲン系樹脂及び前記[1]に記載の可塑剤を含有するハロゲン系樹脂組成物。
本発明のハロゲン系樹脂用可塑剤(以下、単に「可塑剤」ともいう)は、炭素数10の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するフタル酸ジデシル混合物を含有するハロゲン系樹脂用可塑剤であって、フタル酸ジデシル混合物中のフタル酸ジ−n−デシルの含有量が48モル%以上70モル%以下であることを特徴とする。
本発明の可塑剤である特定のフタル酸ジデシル混合物は、ベンゼン環のオルト位に官能基を有し、該官能基が炭素数10のアルキル基であることにより、ハロゲン系樹脂との相溶性が向上し、ハロゲン系樹脂中でバランスよく分散して可塑化効果を発揮する。さらに官能基中の特定割合が直鎖アルキル構造を有しているため、ハロゲン系樹脂のポリマー鎖の間の距離を広くすることができ、可塑化効果が高まると考えられる。
可塑剤としてフタル酸ジ−n−デシルのみを用いると、可塑剤同士の凝集が進行し、混練してもハロゲン系樹脂中での分布にムラを生じてしまう。しかしながら、可塑剤として、分岐構造を有し嵩高いフタル酸ジデシルを特定量で含有することで、可塑剤が凝集せずハロゲン系樹脂中で低エネルギーで分散し、本来の可塑化効果を発現でき、生産性、加工性、混練性を向上できると考えられる。
さらに、フタル酸ジ−n−デシルは揮発性が低いため、耐熱性が向上すると考えられる。
本発明に係るフタル酸ジデシル混合物は、炭素数10の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するフタル酸ジデシル混合物であり、下記一般式(1)で表される。
(i)ジデシル基に該当する置換基R1及びR2の両方がn−デシル基である、下記式(2)で表されるフタル酸ジ−n−デシル。
(ii)置換基R1及びR2の一方がn−デシル基であり、他方が分岐デシル基である化合物。
(iii)置換基R1及びR2の両方が分岐デシル基である化合物。
フタル酸ジデシル混合物は、フタル酸原料とアルコール原料とをエステル化反応させることにより、分子間縮合反応物として得ることができる。
ここで、エステル化反応とは、フタル酸原料とアルコール原料との直接エステル化反応、フタル酸エステルとアルコールとのエステル交換反応等を含む。
上記エステル化反応の中でも、反応性、生産性の観点から、フタル酸原料とアルコール原料との直接反応が好ましい。
フタル酸原料としては、フタル酸、無水フタル酸、ジメチルフタレート等のフタル酸エステル等が挙げられるが、入手性及び生産性の観点から、フタル酸及び無水フタル酸から選ばれる1種以上が好ましく、無水フタル酸がより好ましい。
アルコール原料としては、n−デカノール(直鎖アルコール)、分岐鎖アルコール、及びそれらの混合物が挙げられる。アルコール原料は、炭素数10のアルキル基を有するアルコールであればいずれのアルコールを用いてもよい。
n−デカノールとしては、オレフィン等を原料としてオキソ法等の合成方法を用いて製造される合成アルコールや、ヤシ油等の油脂を加水分解して得られる植物由来のアルコールのいずれも使用することができる。
分岐鎖アルコールとしては、イソデカノール(8−メチル−1−ノナノール);2級デカノールである2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール及び5−デカノール;2−プロピル−1−ヘプタノール、4−メチル−2−プロピル−1−ヘキサノール等から選ばれる1種以上が挙げられる。
n−デカノールの市販品としては、花王株式会社製の商品名「カルコール1098」等が挙げられ、分岐鎖アルコールの市販品としては、例えば、KHネオケム株式会社製の商品名「イソデカノール」(デカノールの異性体混合物)や、BASF社製の商品名「2−プロピルヘプタノール」(2−プロピルヘプタノール/4−メチル−2−プロピルヘキサノール混合物(モル比=95:5)等が挙げられる。
本発明の可塑剤の製造法としては、例えば、次の(i)、(ii)が挙げられる。
(i)フタル酸ジ−n−デシルの含有量が、製造後に48モル%以上70モル%以下となるように、予めアルコール原料中のn−デカノール含有量を調整した混合デカノールを原料として用いて製造する方法。
(ii)フタル酸ジ−n−デシルの含有量が所定量になるようにフタル酸ジ−n−デシルを添加して混合する方法。
フタル酸ジデシル混合物中のフタル酸ジ−n−デシルの含有量は、ハロゲン系樹脂組成物の加工性、混練性、耐熱性を向上させる観点から、48モル%以上70モル%以下であり、好ましくは50モル%以上、より好ましくは52モル%以上であり、そして、ハロゲン系樹脂組成物の生産性を向上させる観点から、好ましくは65モル%以下、より好ましくは60モル%以下である。
本発明の可塑剤は、フタル酸ジ−n−デシル以外のフタル酸ジデシルを含有する。かかるフタル酸ジデシルとしては、前記一般式(1)のR1及びR2が同じであるフタル酸ジデシル、R1とR2が異なるフタル酸ジデシルが含まれる。
一般式(1)のR1及びR2が同じであるフタル酸ジデシルとしては、例えば、フタル酸ジ−1−メチルノニル、フタル酸ジ−1−エチルオクチル、フタル酸ジ−1−プロピルヘプチル、フタル酸ジ−1−ブチルヘキシル、フタル酸ジ−イソデシル、フタル酸ジ−2−プロピルヘプチル、フタル酸ジ−4−メチル−2−プロピルヘキシル等が挙げられる。
一般式(1)のR1とR2が異なるフタル酸ジデシルとしては、例えば、フタル酸n−デシル(1−メチルノニル)、フタル酸n−デシル(1−エチルオクチル)、フタル酸n−デシル(1−プロピルヘプチル)、フタル酸n−デシル(1−ブチルヘキシル)、フタル酸n−デシル(イソデシル)、フタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル)、フタル酸n−デシル(4−メチル−2−プロピルヘキシル)、フタル酸イソデシル(2−プロピルヘプチル)、フタル酸イソデシル(4−メチル−2−プロピルヘキシル)等が挙げられる。
これらの中では、ハロゲン系樹脂組成物の可塑性、生産性、加工性、混練性、耐熱性を向上させる観点から、フタル酸ジ−2−プロピルヘプチル及びフタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル)から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(原料仕込み量)
アルコール原料の、エステル化反応開始時点における仕込み量は、化学量論量より過剰であることが好ましい。エステル化反応におけるアルコール原料の化学量論量は、フタル酸原料を生成する理論割合であり、用いるフタル酸原料の2倍モル量である。
すなわち、アルコール原料の仕込み量は、反応の促進、反応を完了させる観点から、フタル酸原料1モルに対して、好ましくは2.0倍モル以上、より好ましくは2.1倍モル以上、更に好ましくは2.2倍モル以上、より更に好ましくは2.3倍モル以上であり、反応の促進、反応終了後の過剰アルコールの除去の観点から、好ましくは10倍モル以下、より好ましくは4倍モル以下、更に好ましくは3倍モル以下である。
用いるアルコール原料は、水分の含有量をできるだけ低下させておくことが好ましい。アルコール原料に大量の水分が含まれていると、後述する触媒に対する被毒となり、触媒能を低下させてしまうおそれがある。
エステル化反応触媒としては、エステル化能を有する公知のエステル化触媒を使用することができるが、好ましくは有機金属触媒である。
有機金属触媒としては、例えば、スズテトラエチレート、ブチルスズマレート、ジメチルスズオキシド、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド等の有機スズ化合物、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、酢酸亜鉛等の有機亜鉛化合物等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら有機金属触媒の中でも、反応効率等の観点から、有機スズ化合物が好ましく、ジメチルスズオキシド、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド等から選ばれる1種以上のスズオキシド化合物がより好ましく、モノブチルスズオキシド及びジブチルスズオキシドから選ばれる1種以上が更に好ましく、モノブチルスズオキシドがより更に好ましい。
また、生産性の観点から、有機チタン化合物が好ましく、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、及びテトラ−2−エチルヘキシルチタネートから選ばれる1種以上が好ましい。
エステル化反応は、アルコール原料を還流できる設備を備えた公知の反応装置を用いて、アルコールの還流下で行うことができる。
反応温度は、アルコール原料の種類等により異なるが、反応性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、収率の観点から、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下である。反応温度が60℃以上であると反応の進行が早く、反応温度が280℃以下であると反応副生成物の生成を抑制できる。
反応圧力は、通常13.3kPa以上、常圧以下であることが好ましい。反応圧力は用いるアルコール原料の蒸気圧により設定できる。具体的には、反応混合物が沸騰状態を維持する圧力に調整するとよく、さらには、副生する水を系外へ除去することが可能な圧力に調整することが好ましい。
反応時間は、用いるフタル酸原料、アルコール原料、反応温度、触媒の使用量等により異なるが、反応性の観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上である。反応時間が十分であれば、未反応のフタル酸原料や反応中間体であるフタル酸モノエステルの分離工程での負荷が小さくなる。一方、収率の観点から、反応時間は、好ましくは24時間以下、より好ましくは10時間以下である。反応時間が短ければ、副生成物の生成を抑制し、フタル酸ジデシルの品質を向上させることができる。
エステル化反応は、上記反応条件において、生成する水をアルコール原料との共沸で反応系から除外し、反応率を100%近くまで向上させ、過剰のアルコール原料を分離した後、アルカリ洗浄、水洗、不純物の吸着、蒸留等の公知の方法で後処理することにより精製されたフタル酸ジデシルを得ることができる。
上記のようにして得られたフタル酸ジデシル(エステル化反応縮合物)をハロゲン系樹脂に含有させる可塑剤として使用する。
本発明において、ハロゲン系樹脂とは、ハロゲンを含有する単量体の単独重合体、共重合体、又はハロゲンにより変性された重合体を意味し、具体的には、塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、クロロプレンゴム等から選ばれる1種以上が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(以下、「塩化ビニル共重合体」ともいう)、該塩化ビニル共重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
前記の塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類等が挙げられる。
また、塩化ビニル共重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよく、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン等が挙げられる。
さらに、上記のハロゲン系樹脂と、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、ニトリルゴム、ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン等の非ハロゲン系樹脂とのポリマーブレンドであってもよい。
本発明のハロゲン系樹脂用可塑剤組成物は、本発明のハロゲン系樹脂用可塑剤を含有する。
ハロゲン系樹脂用可塑剤組成物中の可塑剤の含有量は、可塑性、生産性、加工性、混練性、耐熱性の全てを向上させる観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
本発明のハロゲン系樹脂用可塑剤組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、更に他の公知のエステル化合物を併用することができ、また、必要に応じて、安定剤、加工助剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。添加剤の詳細については後述する。
本発明のハロゲン系樹脂組成物は、ハロゲン系樹脂、及び本発明のハロゲン系樹脂用可塑剤を含有する。
ハロゲン系樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、ハロゲン系樹脂組成物の用途に応じて適宜決定することができるが、可塑性、生産性、加工性、混練性、耐熱性の全てを向上させる観点から、ハロゲン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、より更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは125質量部以下、より更に好ましくは110質量部以下、より更に好ましくは100質量部以下である。
本発明のハロゲン系樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、更に他の公知のエステル化合物を併用することができ、また、必要に応じて、安定剤、加工助剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
フタル酸エステル類の好適例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジドデシル、フタル酸ジトリデシル等が挙げられ、アジピン酸エステル類の好適例としては、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ−2−プロピルヘプチル、アジピン酸ジ−4−メチル−2−プロピルヘキシル等が挙げられ、トリメリット酸エステル類の好適例としては、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリ−2−プロピルヘプチル、トリメリット酸トリ−4−メチル−2−プロピルヘキシル等が挙げられ、リン酸エステル類の好適例としては、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ−2−プロピルヘプチル、リン酸トリ−4−メチル−2−プロピルヘキシル等が挙げられる。
上記エステル化合物の使用量は、可塑剤全体量の10質量%以下が好ましい。
着色剤としては、カーボンブラック、硫化鉛、ホワイトカーボン、チタン白、リトポン、ベンガラ、硫化アンチモン、クロム黄、クロム緑、コバルト青、モリブデン橙等が挙げられる。着色剤の配合量は、ハロゲン系樹脂100質量部に対して1〜100質量部である。
充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、珪藻土、フェライト等の金属酸化物、ガラス、炭素、金属等の繊維及び粉末、ガラス球、グラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。充填剤の配合量は、ハロゲン系樹脂100質量部に対して1〜100質量部である。
滑剤としては、シリコーン、流動パラフィン、パラフィンワックス、ステアリン酸やラウリン酸等の脂肪酸及びその金属塩、脂肪酸アミド類、脂肪酸ワックス、高級脂肪酸ワックス等が挙げられる。滑剤の配合量は、ハロゲン系樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部である。
上記の方法で得られたハロゲン系樹脂組成物の混合粉又はペレットを、押出成形、射出成形、カレンダ成形、プレス成形、ブロー成形等の公知の方法により、所望の形状に成形することができる。また、ハロゲン系樹脂組成物のペースト状物は、スプレッド成形、ディッピング成形、グラビア成形、スクリーン加工等の公知の方法により、所望の形状に成形することができる。
本発明の樹脂組成物は、優れた物性を有し、加工性、耐熱性に優れているため、特に屋根膜材、電線被覆材、及び自動車内装材から選ばれるいずれかに使用されることが有用である。
なお、ハロゲン系樹脂組成物中に含まれる本発明の可塑剤の含有量は、例えば、樹脂組成物0.3gをテトラヒドロフラン10mLに混合、溶解し、テトラヒドロフランに対して50質量%程度のメタノールを加えてハロゲン系樹脂を析出させ、液相をろ過して分離し、溶媒を除去して乾燥又は濃縮し、実施例に記載したガスクロマトグラフィー法等により定量することができる。
<1> 炭素数10の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するフタル酸ジデシル混合物を含有するハロゲン系樹脂用可塑剤であって、
フタル酸ジデシル混合物中のフタル酸ジ−n−デシルの含有量が48モル%以上70モル%以下である、ハロゲン系樹脂用可塑剤。
<3> 炭素数10のアルキル基が、n−デカノール、イソデカノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、及び4−メチル−2−プロピル−1−ヘキサノールから選ばれる1種以上のアルコールに由来する、前記<1>又は<2>に記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
<4> フタル酸ジ−n−デシル以外のフタル酸ジデシルを含有し、フタル酸ジ−n−デシル以外のフタル酸ジデシルが、フタル酸ジ−1−メチルノニル、フタル酸ジ−1−エチルオクチル、フタル酸ジ−1−プロピルヘプチル、フタル酸ジ−1−ブチルヘキシル、フタル酸ジ−イソデシル、フタル酸ジ−2−プロピルヘプチル、フタル酸ジ−4−メチル−2−プロピルヘキシル、フタル酸n−デシル(1−メチルノニル)、フタル酸n−デシル(1−エチルオクチル)、フタル酸n−デシル(1−プロピルヘプチル)、フタル酸n−デシル(1−ブチルヘキシル)、フタル酸n−デシル(イソデシル)、フタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル)、フタル酸n−デシル(4−メチル−2−プロピルヘキシル)、フタル酸イソデシル(2−プロピルヘプチル)、及びフタル酸イソデシル(4−メチル−2−プロピルヘキシル)から選ばれる1種以上であり、好ましくはフタル酸ジ−2−プロピルヘプチル及びフタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル)から選ばれる1種以上である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
<5> ハロゲン系樹脂が、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、及びクロロプレンゴムから選ばれる1種以上である、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
<7> エステル反応触媒が、好ましくは有機金属触媒であり、より好ましくは有機スズ化合物、有機チタン化合物、及び有機亜鉛化合物から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、ジメチルスズオキシド、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシドから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは、モノブチルスズオキシド及びジブチルスズオキシドから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは、モノブチルスズオキシドである、前記<1>〜<6>のいずれかに記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
<8> エステル反応における触媒の使用量が、反応器に供給するフタル酸原料とアルコール原料の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上であり、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である、前記<1>〜<7>のいずれかに記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
<9> エステル反応における反応温度が、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下である、前記<1>〜<8>のいずれかに記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
<10> ハロゲン系樹脂が、好ましくは塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、及びクロロプレンゴムから選ばれる1種以上であり、より好ましくは塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、及びクロロプレンゴムから選ばれる1種以上である、前記<1>〜<9>のいずれかに記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
<12> 組成物中の可塑剤の含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である、前記<11>に記載のハロゲン系樹脂用可塑剤組成物。
<14> 可塑剤の含有量が、ハロゲン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、より更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは125質量部以下、より更に好ましくは110質量部以下、より更に好ましくは100質量部以下である、前記<13>に記載のハロゲン系樹脂組成物。
<15> 屋根膜材、電線被覆材又は自動車内装材に使用される、前記<13>又は<14>のいずれかに記載のハロゲン系樹脂組成物。
1L四つ口フラスコに、無水フタル酸(関東化学株式会社製)148.1g(1.00モル)、n−デカノール(花王株式会社製、商品名:カルコール1098)379.9g(2.40モル)、モノブチルスズオキシド(東京化成工業株式会社製)0.15gを入れて混合、加熱し、230℃で2.5時間保持して水を留去しながら反応を行った。
反応終了後、90℃まで冷却して、85%リン酸0.2g、非晶質合成ケイ酸マグネシウム(協和化学工業株式会社製、商品名:キョーワード600S)1.5g、活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製、商品名:カルボラフィン)1.0g、活性白土(水澤化学工業株式会社製、商品名:ガレオンアース)1.0gを加え、90℃で1時間撹拌した。その後200℃まで昇温し、約400Paの減圧条件下にて、過剰のn−デカノールを留去した後に、常圧に戻し90℃まで冷却し、濾過助剤(昭和化学工業株式会社製、商品名:ラヂオライト#700)を敷き詰めた濾紙を用いて吸引濾過し、エステル化反応縮合物(フタル酸ジデシル混合物)可塑剤P1を得た。結果を表1に示す。
表1に示すアルコール成分及び酸成分を用いた以外は、製造例1と同様の方法でエステル化反応を行い、可塑剤P2〜P8を得た。結果を表1に示す。
表1中の各成分の詳細は、以下のとおりである。
フタル酸 :関東化学株式会社製、無水フタル酸
イソフタル酸:東京化成工業株式会社製
テレフタル酸:和光純薬工業株式会社製
n−デカノール:花王株式会社製、商品名:カルコール1098
2−プロピルヘプタノール、4−メチル−2−プロピルヘキサノールについては、BASF社製の2−プロピルヘプタノール/4−メチル−2−プロピルヘキサノール混合物(質量比:95/5)(商品名:2−プロピルヘプタノール)を使用した。
製造例で得られた可塑剤をn−ヘキサンに溶解した10%溶液を用いて、下記のガスクロマトグラフィー法により得られたクロマトグラムのピークの面積比からフタル酸ジ−n−デシルの含有量を定量した。
・測定装置:Agilent 6890N(ガスクロマトグラフ、アジレント・テクノロジー株式会社製)
・カラム:DB−1ht(アジレント・テクノロジー株式会社製)
(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.10μm)
・キャリヤーガス:He(コンスタントフローモード)
・スプリット比:50:1 ・検出器:FID
・注入口温度:330℃ ・検出器温度:330℃
・測定温度条件:100℃→10℃/minで昇温→350℃で10分保持
・検出感度:取り込み速度、20Hz
・最小ピーク幅、0.01min
・注入量:1μl(スプリット法)
・フタル酸ジ−n−デシルの定量
精製したフタル酸ジ−n−デシルを用いて検出時間を測定し、フタル酸ジ−n−デシルの検出時間を予め決定した。測定においては、n−ヘキサンや未反応物に由来する短時間に検出されるピークを除いた全面積に対する、フタル酸ジ−n−デシルの検出時間のピーク面積の比を求め、算出した。
(1)製造例1〜8で得られた可塑剤P1〜P8、及び可塑剤P9を用意した。
可塑剤P1〜P9の詳細は、以下のとおりである。
・可塑剤P1:フタル酸ジ−n−デシル 100モル%
・可塑剤P2:フタル酸ジ−2−プロピルヘプチル 95モル%
フタル酸2−プロピルヘプチル(4−メチル−2−プロピルヘキシル) 4.8モル%
・可塑剤P3:フタル酸ジ−n−デシル 60モル%
フタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル) 33モル%
・可塑剤P4:フタル酸ジ−n−デシル 55モル%
フタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル) 36モル%
・可塑剤P5:フタル酸ジ−n−デシル 50モル%
フタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル) 39モル%
・可塑剤P6:フタル酸ジ−n−デシル 45モル%
フタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル) 42モル%
・可塑剤P7:イソフタル酸ジ−n−デシル 60モル%
イソフタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル)33モル%
・可塑剤P8:テレフタル酸ジ−n−デシル 60モル%
テレフタル酸n−デシル(2−プロピルヘプチル)33モル%
・可塑剤P9:トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル 100モル%
(花王株式会社製、商品名:トリメックスT−08NB)
・可塑剤組成物10:可塑剤P1(55部)と可塑剤P2(45部)の混合物
・可塑剤組成物11:可塑剤P4(60部)と可塑剤P9(40部)の混合物
・可塑剤組成物12:可塑剤P4(40部)と可塑剤P9(60部)の混合物
・可塑剤組成物13:可塑剤P1(20部)と可塑剤P6(80部)の混合物
塩化ビニル樹脂(平均重合度1400、新第一塩ビ株式会社製、商品名:ZEST1400)100部に対し、表2に示す可塑剤又は可塑剤組成物60部、Ca/Mg/Zn系塩化ビニル樹脂用安定剤(株式会社ADEKA製、商品名:アデカスタブRUP−103)2部、滑剤(花王株式会社製、商品名:ルナックS−70V)0.5部を、撹拌棒を用いて室温にて混合した。その後、4インチオープンロール型混練機(西村マシナリー株式会社製)を用いて、回転数17rpm、170℃にて混練し、ゲル化させ、ゲル化後10分間混練を継続し、未成型シートを得た。
<塩化ビニル樹脂成型シートの製造>
上記で製造した未成型シートを170℃で5分間予熱後、圧力20MPaで2分間加圧し、厚み0.8mmの樹脂成型シートを得た。
(1)可塑性の評価
塩化ビニル樹脂の成型シートを3号型ダンベル状に打ち抜いて作製した試験片を用い、引張試験機(株式会社島津製作所製、商品名:オートグラフ AGS−X)にて引張試験を行い、破断に至ったときの伸び率(破断伸度(%))を測定した。この値が大きいほど伸びが大きく、可塑性に優れることを示す。
(2)生産性の評価
塩化ビニル樹脂未成型シートの製造において、ゲル化するまでの時間(ゲル化時間)を測定した。この時間が短いほど生産性に優れることを示す。
塩化ビニル樹脂と可塑剤を常温で混合した粉体を混練機で加熱混練し、混合粉体が溶融して均一化し、全体が液状になるのを目視で確認し、それまでに要する時間を「ゲル化時間」とした。
(3)加工性の評価
ゲル化時間におけるモーターへの負荷を評価するため、モーター電流値(A)を測定した。この電流値(A)が小さいほど加工時に混練機にかかる負荷が小さく、混練完了までにかかる熱履歴が小さくなり、加工性に優れることを示す。
塩化ビニル樹脂成型シートの製造において、金型への樹脂残りを下記の基準で評価した。
(評価基準)
1:目視で明らかな樹脂の付着が確認できる。
0:目視では樹脂の付着が確認できない。
混練によって樹脂組成物が均一になれば樹脂残りは生じないが、不均一であると金型から樹脂を剥離した際にすべてが剥がれずに金型に残ってしまい、次のシート成形時に汚染となる。
(5)耐熱性の評価
JIS K 7212に規定のギア式老化試験機(株式会社上島製作所製、商品名:AG−103)中にて、3号ダンベル状に打ち抜いたハロゲン系樹脂成型シートの試験片を、100℃で100時間放置した前後の質量減少率(%)を測定した。数値がゼロに近いほど耐熱性に優れることを示す。
また、本発明の可塑剤を含有するハロゲン系樹脂組成物は、加工性、耐熱性に優れるため、特に屋根膜材、電線被覆材、自動車内装材等として有用である。
Claims (8)
- 炭素数10の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するフタル酸ジデシル混合物を含有するハロゲン系樹脂用可塑剤であって、
フタル酸ジデシル混合物中のフタル酸ジ−n−デシルの含有量が48モル%以上70モル%以下である、ハロゲン系樹脂用可塑剤。 - 炭素数10のアルキル基が、n−デカノール、イソデカノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、及び4−メチル−2−プロピル−1−ヘキサノールから選ばれる1種以上のアルコールに由来する、請求項1に記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
- ハロゲン系樹脂が、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、及びクロロプレンゴムから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載のハロゲン系樹脂用可塑剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の可塑剤を含有する、ハロゲン系樹脂用可塑剤組成物。
- 前記可塑剤の含有量が、組成物中40質量%以上100質量%以下である、請求項4に記載のハロゲン系樹脂用可塑剤組成物。
- ハロゲン系樹脂及び請求項1〜3のいずれかに記載の可塑剤を含有するハロゲン系樹脂組成物。
- 前記可塑剤の含有量が、ハロゲン系樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上200質量部以下である、請求項6に記載のハロゲン系樹脂組成物。
- 屋根膜材、電線被覆材又は自動車内装材に使用される、請求項6又は7に記載のハロゲン系樹脂組成物。
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