JP2019136006A - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

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Abstract

【課題】ボディの開口部を閉塞する蓋体に形成されるフランジ部と、ボディの前部に取着される筒部材との間で、ボディ内部に対する防水、防塵効果を向上した魚釣用スピニングリールを提供する。【解決手段】本発明の魚釣用スピニングリールは、ボディ1Bの開口部を閉塞する蓋体1Dを備えたリール本体1Aと、リール本体に回転可能に設けられたロータと、釣糸が巻回されるスプールと、を有する。蓋体1Dは、径方向に突出するフランジ部1Daと、このフランジ部1Daの外周端からスプール側に向けて突出する前方突出壁部1Dbと、を備え、ボディの前部に装着した筒部材1E´の後端部の内周面を、前方突出壁部1Daの外周面に対して重合する状態で接合したことを特徴とする。【選択図】 図5

Description

本発明は、魚釣用スピニングリールに関する。
魚釣用スピニングリールは、ロータを駆動回転する巻き取り駆動機構、及び、ハンドルの回転操作を前後往復動に変換するスプール往復動機構を収容する筐体として機能するボディと、このボディの開口部を閉塞し、駆動部の一部を支持する蓋体(ボディカバー)と、を備えたリール本体を有している。
実釣時における高負荷巻き取り操作時には、前記ハンドルが取り付けられたハンドル軸、及び、軸受を介してボディの開口部に複数本のネジ部材で固定される薄板状の前記蓋体には、こじるような力、ドライブギアとピニオンギア等のギア同士の噛合部のスラスト力等の作用により、ボディに対して蓋体が離間する方向に僅かながら変形(浮き上がり現象)が生じる。そして、このような変形の影響によって、前記噛合部や、その軸受等の摩耗を促進してしまい、噛合精度を安定して維持できずに回転性能を低下させてしまう問題が発生する。この傾向は、特に蓋体が合成樹脂材で形成される場合、顕著に現れる。
そこで、ボディ前部に装着したフロントカバー(筒状部材)の内周面を、蓋体の前部に形成したフランジ部の外周縁部周りに接合させて、蓋体の浮き上がりによる変形を抑制したものが特許文献1で提案されている。
特開2012−29650号
上記した構成の魚釣用スピニングリールは、フランジ部の外周縁部周りにフロントカバーの内周を接合する構造であるため、一般的に薄肉形成されているフランジ部の厚さ部分しか重合量が確保できない。すなわち、フランジ部の厚さの分だけの重合量では十分ではなく、強負荷巻き取り時における変形抑制状態(接合部の偏り)、寸法バラツキ、外力等の影響によって、両者の接合部間に僅かな隙間が生じ易い。この結果、水分、埃等がフランジ部前方に形成される内部空間に侵入して駆動部に支障を来し易くなり、防水、防塵の面では十分とはいえない。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ボディの開口部を閉塞する蓋体に形成されるフランジ部と、ボディの前部に取着される筒部材との間で、ボディ内部に対する防水、防塵効果を向上した魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用スピニングリールは、巻き取り駆動機構を収容するボディと、このボディの開口部を閉塞する蓋体とを備えたリール本体と、前記リール本体に回転可能に設けられ、前記リール本体に設けられたハンドル軸の回転操作で回転駆動されるロータと、前記リール本体に前後動可能に支持され、釣糸が巻回されるスプールと、を有し、前記ハンドル軸の回転操作で前記ロータを回転しつつ前後動するスプールに釣糸を巻回するように構成されており、前記蓋体は、径方向に突出するフランジ部と、このフランジ部の外周端から前記スプール側に向けて突出する前方突出壁部と、を備え、前記ボディの前部に装着した筒部材の後端部の内周面を、前記前方突出壁部の外周面に対して重合する状態で接合したことを特徴とする。
上記した構成の魚釣用スピニングリールでは、ボディを閉塞する蓋体に径方向に突出するフランジ部を設けるとともに、このフランジ部の外周端にスプール側に向けて突出する前方突出壁部を設け、この前方突出壁部の外周面に対してボディの前部に装着した筒部材の後端部の内周面を重合するように配設したため、重合量を軸方向に長くすることが可能となり、ハンドルの巻き取り操作時など、蓋体を浮き上がらせようとする力を効果的に押さえ付けることが可能となる。これにより、蓋体の変形が防止され、フランジ部と筒部材との間の密着性が高まり、防水、防塵効果を向上することが可能となる。
本発明によれば、ボディの開口部を閉塞する蓋体に形成されるフランジ部と、ボディの前部に取着される筒部材との間で、ボディ内部に対する防水、防塵効果を向上した魚釣用スピニングリールが得られる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールの斜視図。 図1に示す魚釣用スピニングリールを側面から見た図であり、要部を切り欠いた部分断面図。 図2の要部拡大図。 図3のA−A線に沿った断面図。 図3のB−B線に沿った断面図。 図5の主要部の拡大図。 (a)及び(b)は、それぞれフランジ部と筒部材との係合関係の変形例を示す図。 ボディに蓋体を装着固定した状態を示す側面図。 逆転防止装置及び切換操作部の構成を示す要部断面図。 図3のC−C線に沿った断面図。 図3のD−D線に沿った断面図。
以下、図1から図11を参照して、本発明に係る魚釣用スピニングリールの一実施形態について具体的に説明する。
本実施形態に係る魚釣用スピニングリール(以下、リールと称する)1のリール本体1Aには、釣竿に装着される先端に竿装着部2Aを形成したリール脚2が一体形成されており、その前方には、回転可能に支持されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に支持されたスプール5とが配設されている。
前記リール本体1Aは、後述する巻き取り駆動機構50を収容するボディ1Bと、このボディ1Bの開口部1Cを閉塞する薄板状の蓋体1Dを備えている。また、前記ロータ3は、スプール5の周囲を回転する一対の腕部3aを備えており、各腕部3aの夫々の前端部には、ベール3bの基端部を取り付けたベール支持部材3cが釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。この場合、ベール3bの一方の基端部は、ベール支持部材3cに一体的に設けられた釣糸案内部(ラインローラ)3dに取り付けられている。
本実施形態のロータ3は、ロータ3の後端側がリール本体1Aの前端側の円筒収容部(ボディ筒部)1Eに軸方向で重なるように配設されており、その後端面(底面)3Aはリール本体1A(円筒収容部1E)の外面との間で径方向に一定の隙間を生じさせた状態で回転駆動するようになっている。
図11に示すように、リール本体1A内には、ハンドル軸7が一対の軸受け7a,7bを介して回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル7cが取り付けられている。前記ハンドル軸7は、リール本体1Aの両サイドから突出するように支持されており、ハンドル7cは、公知のように、いずれか一方(右側巻き/左側巻き)に装着され、ハンドルを装着しない側のハンドル軸には、キャップ7dが取着されるようになっている。なお、図1では、上記したロータ3およびハンドル7cについては省略されている。
前記ハンドル軸7には、巻き取り駆動機構50が係合しており、この巻き取り駆動機構50は、ハンドル軸7に一体回転可能に装着された駆動ギア8と、この駆動ギア8に噛合するピニオン歯部10aを具備してハンドル軸7と直交する方向に延出し且つ内部に軸方向に延在する空洞部が形成された回転駆動軸(駆動部)としてのピニオン10とを備えている。
前記ピニオン10は、ピニオン歯部10aの前側と後側とがそれぞれ、リール本体1A(ボディ1B)の支持部に嵌合支持された一対の軸受12a,12bにより、リール本体1A内に回転可能に支持されている。また、ピニオン10はスプール5側に向けて延出しており、ピニオン10の先端部にはロータ3がロータナットを介して一体回転可能に取り付けられている。
前記ピニオン歯部10aの前側に配置した軸受12aの前方側のピニオン10上には、逆転防止装置20を構成する一方向クラッチ21が取り付けられており、リール本体1Aの外部に設けられた切換操作部30を回動操作することで、ハンドル(ロータ3)の釣糸繰出し方向の逆回転を防止するようになっている。
すなわち、切換操作部30を回動操作することで、ロータ3を逆転防止状態(逆転防止装置のON状態)と、逆回転可能状態(逆転防止装置のOFF状態)の切り換えができるように構成されている。
図3に示すように、前記一方向クラッチ21は、ピニオン10に対して回り止め嵌合された内輪22と、内輪22の外側で複数の転がり部材26を周方向に亘って保持する保持器23と、保持器23の外側に配された外輪25とを有している。前記外輪25の内周面には、公知のように、保持器23によって保持された複数の転がり部材26がフリーに回転できるフリー回転領域と、複数の転がり部材26の回転を阻止する楔領域とが形成されており、各転がり部材26は、保持器23に設けられたバネ部材(図示せず)によって楔領域に付勢されている。
このような構成の一方向クラッチ21において、ピニオン10と共に内輪22が正回転(ロータ3が釣糸巻取り方向に回転)すると、保持器23に保持される転がり部材26が外輪25のフリー回転領域に位置され、そのため、内輪22の回転力が外輪25に伝達されず(外輪25によって阻止されず)、したがって、ピニオン10とともにロータ3が支障なく回転する。これに対して、ピニオン10と共に内輪22が逆回転(ロータ3が釣糸繰出し方向に回転)しようとすると、保持器23に保持される転がり部材26がバネ部材によって外輪25の楔領域に位置するため、内輪22の回転力が外輪25に伝達され、これがストッパとなって、ピニオン10及びロータ3の逆回転が阻止される(一方向クラッチの逆転防止状態;ON状態)。
前記逆転防止装置を構成する一方向クラッチ21は、切換操作部30の回動操作によって、上記した逆転防止状態から逆転可能状態(OFF状態)に切り換えできるようになっている。本実施形態の切換操作部30は、レバー形態で構成されており、リール本体1A(蓋体1D)の側面の輪郭内で且つ前記ハンドル軸7に対して前記竿装着部2と反対側の領域に回動可能(蓋体1Dに対して起伏可能)に配設されている。ここで、リール本体1Aの側面の輪郭とは、図2及び図3の点線Eで示すように、リール本体1A(蓋体1D)の外形状を規定するエッジを意味しており、本実施形態の切換操作部30は、このエッジEの領域内に配設され、かつ、その領域から突出しない(露出しない)ように配設されている。
上記した位置に配設される切換操作部30は、図4、図9及び図10に示すように、リール本体1A内でスプール軸15と略平行に延びる軸部31を有しており、この軸部31の先端突部31aは保持器23の径方向に延びる延出部23aの係合孔23bに係合して連結されている。また、軸部31の基端部はビス33によって切換操作部30に固定されており、切換操作部30を回動操作することにより、軸部31を介して保持器23を周方向に回動させることが可能となっている。この場合、軸部31には、リール本体1Aとの間で振り分けバネ36が取り付けられており、保持器23の回動位置を2か所(ON状態とOFF状態)で振り分け保持するように構成されている。
すなわち、切換操作部30を回動して、保持器23の回動位置がON状態(図10のP1の位置)となるように振り分け保持されると、転がり部材26は、上記したように、内輪22(ピニオン)の正回転を許容するとともに逆回転を阻止する状態に保持される。また、切換操作部30を回動して、保持器23の回動位置がOFF状態(図10のP2の位置)となるように振り分け保持されると、転がり部材26は、バネ部材の付勢力に抗して外輪25のフリー回転領域に強制的に位置し、内輪22(ピニオン)の正回転及び逆回転を許容する状態に保持される。このように、切換操作部30を回動操作することで、ロータ3の正回転を許容して逆回転を防止する位置と、ロータ3の正逆回転を許容する位置との間で選択的に切り換え操作できるようになっている。
前記ピニオン10の内部に形成された空洞部には、ハンドル軸7と直交する方向に延出し、先端側にスプール5を装着したスプール軸15が軸方向に移動可能に挿通されている。前記スプール軸15は、ピニオン10に連結されるギアトレインを介して駆動されるスプール往復動装置40によって前後に往復動される。
前記スプール往復動装置40は、前記スプール軸15と平行となるようにリール本体内に回転可能に支持され、外周面に螺旋溝41aが形成された螺軸41と、前記螺旋溝41aに係合する係合ピン43aを保持し、前記スプール軸15の後端にビス43を介して固定された摺動子(スライダ)44と、摺動子44を前後方向に摺動するようにガイドするガイド軸45とを備えている(図11では、摺動子44の位置が図3の断面線D−Dの位置に前方側に移動したものとして示されている)。また、スプール往復動装置40は、図10に示すように、前記駆動ギア8によって回転駆動されるピニオン10の歯部10aと噛合する動力伝達ギア(ギアトレイン)47を備えている。本実施形態の動力伝達ギア47は、二段ギアとして構成されており、ピニオンの歯部10aと噛合する大径ギア47aと、大径ギアに併設される小径ギア47bとを備えており、この小径ギア47bが前記螺軸41の端部に固定された入力ギア41bに噛合することで、ハンドル軸7の回転駆動が減速されて前記螺軸41に伝達される。
上記した構成により、ハンドル7cを巻き取り操作すると、巻き取り駆動機構50を構成する駆動ギア8及びピニオン10を介してロータ3が回転駆動される共に、駆動ギア8、ピニオン10、動力伝達ギア(二段ギア)47、入力ギア41bを介して螺軸41が減速して回転駆動され、摺動子44に固定されたスプール軸15(スプール5)が前後方向に往復動される。したがって、釣糸は、回転駆動されるロータ3の釣糸案内部3dを介してスプール5に均等に巻回されるようになる。
上記した巻き取り駆動機構50及びスプール往復動装置40は、リール本体1Aを構成するボディ1B内に収容されており、ボディ1Bの開口部1Cに蓋体1Dを被せることで閉塞される。この場合、図3に示すように、ボディ1B側の露出端面には、複数のネジ穴1gが形成されるとともに、蓋体1D側には、ネジ穴1gに対応する位置にネジ孔が複数個所形成されており、蓋体1Dを開口部1C部分に被せてネジ1fを螺入することで、蓋体1Dはボディ1Bに固定される。
また、前記ボディ1Bの前部は、筒状に形成されて前記円筒収容部1Eを構成しており、前記一方向クラッチ21は、この円筒収容部1E内に配設されている。円筒収容部1Eの外周面には、全面に亘って密着される筒部材1E´が一体的に装着されており、この筒部材1E´は、ボディ1Bに対して装着される蓋体1Dとボディ1Bとの間から円筒収容部1E内へ水分や埃が侵入しないように防水、防塵機能を有する。
以下、防水、防塵機能を発揮するための具体的な構成について、図3から図8を参照して説明する。
前記蓋体1Dの前側には、軸方向から見て略180°に亘って径方向に突出するフランジ部1Daが形成されており、このフランジ部1Daの外周端には、前記スプール側に向けて突出する前方突出壁部1Dbが形成されている。この前方突出壁部1Dbの外周面には、前記筒部材1E´の後端部の内周面が重合する状態で接合されるようになっている(図6では、この重合する長さ(軸方向重合長さ)を符号Wで示す)。すなわち、前方突出壁部1Dbの外周面に対して前記筒部材1E´の後端部の内周面を重合させることで、蓋体1Dの変形が抑制されるとともに、水分や埃の侵入を抑制することが可能となる。
本実施形態の前方突出壁部1Dbとフランジ部1Daは、断面L字形となるように一体形成されており、前方突出壁部1Dbの先端側の外周面に前記筒部材1E´の後端部の内周面が重合されるようになっている。そして、このようにフランジ部1Daに前方突出壁部1Dbを一体形成し、この部分を利用してボディ1Bと接合させる構成の場合、前方突出壁部1Db、筒部材1E´、及び、ボディ1Bの前部(円筒収容部1E)の夫々を、径方向に重合する状態にすることが好ましく、これにより、図6に示すように、前方突出壁部1Dbと筒部材1E´との間、及び、前方突出壁部1Dbとボディ1Bとの間でラビリンス構造が実現され、防水、防塵効果を高めることが可能となる。
この場合、図6に示すように、前記筒部材1E´が装着されるボディの前部の外周面に段差部1Gを形成しておき、この段差部1Gにフランジ部1Daの前方突出壁部1Dbを配置することが好ましい。また、このような構成に加え、前方突出壁部1Dbの外周面に周方向に沿って凹部1Dcを形成し、この凹部1Dc内に筒部材1E´の後端部内周を配置することが好ましい。
このような構成にすることで、蓋体1Dをボディに装着するに際して、前方突出壁部1Db、筒部材1E´及びボディ1Bの前部(円筒収容部1E)の夫々を、径方向に重合する状態で組み込むことが容易に行えるようになる。
また、上記した構成によれば、ボディ1Bと、ボディ1Bを閉塞する蓋体1Dとの軸方向の係合量、すなわち、筒部材1E´の後端部の内周面と前方突出壁部1Dbの外周面との軸方向重合長さWを長く確保することが可能になるため、蓋体1Dの変形を防止することができ、フランジ部と筒部材との間の密着性が高まって防水、防塵効果を向上することが可能となる。特に、この蓋体1Dには、実釣時において、ハンドルの巻き取り操作時に高負荷が作用すると、ハンドル軸7、これを回転可能に支持する軸受7a,7b(図11参照)を介して、蓋体1Dをこじるような力(蓋体をD1方向に浮き上がらせようとする力;図4参照)が作用するが、上記したように、軸方向重合長さWを長く確保することで、蓋体1Dを浮き上がらせようとする力を効果的に押さえ付けて、水分や埃が侵入するような隙間を生じ難くすることが可能となる。
なお、上記した軸方向重合長さWについては、できるだけ長く確保することで蓋体1Dの浮き上がりを抑えることができることから、フランジ部1Daの肉厚Tよりも長く形成する(W>T)ことが好ましいが、W≧0.5Tに設定しておくことで、十分なラビリンス構造を確保して防水、防塵効果を高めることができると共に蓋体1Dの浮き上がりを抑制することが可能である。この場合、前方突出壁部1Dbの外周面に形成される凹部1Dcについては、図6に示したように、フランジ部1Daの肉厚Tの範囲から外れて端部側に形成しても良いし、図7(a)に示すように、端部からフランジ部1Daの肉厚Tの範囲内に亘って形成しても良い。或いは、図7(c)に示すように、端部からフランジ部1Daの肉厚Tと同等な位置に亘って形成しても良い。このように構成することで、前方突出壁部1Dbの前方への長さを大きくすることなく、効率的に(W>T)の関係を実現することが可能となる。このように、筒部材1E´の後端部の内周面が、前方突出壁部1Dbの外周面に当て付いて接合された状態になっていれば、その重合態様については、特に限定されることはない。
また、図3及び図8に示すように、蓋体1Dの前方側でネジ止めする構成では、蓋体1Dをボディ1Bに対してネジ止めした後、円筒収容部1Eに筒部材1E´を装着することで、複数のネジ1fの内、前方側のネジを隠すことも可能である。この場合、筒部材1E´は、一方向クラッチ21をシールするシール部材(本実施形態では、磁気シール機構で構成される)を保持した蓋部材70を円筒収容部1Eの前方開口に止めビス71等によって固定することで、軸方向に対して抜け止め固定することが可能である。
上述したように、本実施形態の切換操作部30は、リール本体1A(蓋体1D)の側面の輪郭E内で且つ前記ハンドル軸7に対して前記竿装着部2と反対側の領域で、その領域から突出しない(露出しない)ように配設されている。
具体的には、図9に示すように、蓋体1Dの前側に、軸部31の支持部となる前記フランジ部1Daが形成されており、そのフランジ部1Daに貫通孔1Deを形成し、蓋体1Dの取着時に、貫通孔1Deに切換操作部30の軸部31を挿通させることにより、蓋体1Dの矢印D1方向への浮き上がり(図4参照)を規制するようにしている。このため、上記した前方突出壁部1Dbと筒部材1E´の係合構造に加え、切換操作部30の軸部31によっても蓋体1Dの浮き上がりが規制されることから、蓋体1Dがこじれるような変形を受けることがより確実に防止され、ピニオンギアとドライブギアの噛合部やその軸受12a,12b等を摩耗させることなく耐久性を向上し、噛合精度を安定して維持することが可能となる。
また、前記切換操作部30は、ハンドル軸7の軸芯よりも前方側(好ましくは本実施形態のように、ハンドル軸の前方側且つ下方側)の領域に配設されているため、蓋体1Dがこじれる力を受けた際に影響を及ぼす巻き取り駆動機構50の軸受等の部品の近くで規制を行なえるようになり、より効果的に部品の摩耗を防止し、噛合部を精度良く維持することができる。また、そのような位置に配設したことで、一方向クラッチの保持器23と連結される軸部31の長さを短くすることができ、これにより連結部分での強度が向上して作動を安定化できるとともに、軽量化することが可能となる。
また、切換操作部30がロータ側に近い位置にあることから、実釣時や取り扱い時に、ロータ3の径方向の膨出によって指などの他物が切換操作部30に誤って触れてしまうことがなく、逆転防止装置が誤作動することが防止できる。特に、本実施形態では、切換操作部30の少なくとも一部を、前記ロータ3の後端面3Aよりもスプール側に位置するように配設したことで、切換操作部30の一部がロータ3によって覆われた状態となり、他物が接触等し難くなり、破損や誤作動などを確実に防止することができる。
なお、切換操作部30を蓋体1Dの表面領域で起伏させる構成では、図10に示すように、前記リール本体1Aの側面(蓋体1D)の表面に凹部1dを形成しておき、切換操作部30が倒伏した際、切換操作部が表面からできるだけ突出しないように構成する(切換操作部30と蓋体1Dの表面が略面一状になる)ことが好ましい。このように構成することで、糸絡みを効果的に防止できるとともに、他物が引っ掛かることが確実に防止できる。
また、切換操作部30を倒伏したON状態で、蓋体1Dとの間で空間が生じるように切り換え保持させることが好ましい。例えば、本実施形態では、前記凹部1d内に凸部1eを形成しており、切換操作部30が倒伏した際に、凸部1eに当て付いて、回動位置を規制しつつ、凸部によって空間Sが生じるようにしている。このような構成によれば、切換操作部30をON状態からOFF状態に回動操作する際、空間Sにより指を引っ掛け易くなり、操作性の向上が図れるようになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。上述した実施形態では、切換操作部30を利用して蓋体1Dの浮き上がりを規制できるようにしたが、切換操作部の配設位置や操作態様については上記した構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。また、本発明は、リール本体の円筒収容部1Eに筒部材1E´を装着するに際して、蓋部材1Dのフランジ部に形成された前方突出壁部1Dbを係合させることで防水、防塵効果を高め且つ蓋体の浮き上がりを規制することに特徴があり、それ以外の構成については、図に示した実施形態の構成に限定されることはない。
1 魚釣用スピニングリール
1A リール本体
1B ボディ
1D 蓋体
1E´ 筒部材
1Da フランジ部
1Db 前方突出壁部
1Dc 凹部
1G 段差部
3 ロータ
5 スプール
21 一方向クラッチ
30 切換操作部
50 巻き取り駆動機構

Claims (6)

  1. 巻き取り駆動機構を収容するボディと、このボディの開口部を閉塞する蓋体とを備えたリール本体と、
    前記リール本体に回転可能に設けられ、前記リール本体に設けられたハンドル軸の回転操作で回転駆動されるロータと、
    前記リール本体に前後動可能に支持され、釣糸が巻回されるスプールと、
    を有し、前記ハンドル軸の回転操作で前記ロータを回転しつつ前後動するスプールに釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールにおいて、
    前記蓋体は、径方向に突出するフランジ部と、このフランジ部の外周端から前記スプール側に向けて突出する前方突出壁部と、を備え、
    前記ボディの前部に装着した筒部材の後端部の内周面を、前記前方突出壁部の外周面に対して重合する状態で接合したことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
  2. 前記前方突出壁部は、前記フランジ部とともに断面L字形となるように一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
  3. 前記筒部材が装着されるボディの前部の外周面に段差部を形成し、
    前記段差部に、前記フランジ部の前方突出壁部を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリール。
  4. 前記前方突出壁部の外周面に周方向に沿って凹部を形成し、
    前記凹部内に前記筒部材の後端部内周を配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用スピニングリール。
  5. 前記前方突出壁部、前記筒部材、及び、前記ボディの前部の夫々は、径方向に重合する状態で配設されていることを特徴とする請求項4に記載の魚釣用スピニングリール。
  6. 前記筒部材の後端部の内周面と前記前方突出壁部の外周面との軸方向重合長さWは、前記フランジ部の肉厚をTとした場合、W≧0.5Tに設定したことを特徴とする請求項5に記載の魚釣用スピニングリール。
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